JP3614622B2 - 電解装置、及び電解槽の防食方法 - Google Patents

電解装置、及び電解槽の防食方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ化水素を含有する混合溶融塩を用い、この混合溶融塩を電気分解することによって、フッ素を得ることができる電解装置、及びこれに含まれる電解槽を防食するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、フッ素は、電気分解のみにて工業的に得られる。このように、工業的にフッ素を得るには、混合溶融塩(KF・2HF)を約90℃で電気分解する、いわゆる中温法が専ら用いられている。
かかる中温法を用いてフッ素を得ることのできる一般的な電解装置に含まれる電解槽を図12に示す。図12は一般的な電解装置に含まれる電解槽の構成を簡略化して示す断面図である。
【0003】
図12を参照して、一般的な電解装置に含まれる電解槽は、▲1▼混合溶融塩(KF・2HF)を用いて電解浴1aを形成する電解槽本体1と、▲2▼混合溶融塩に浸漬されている陽極2及び陰極3と、▲3▼陽極2側と陰極3側とを仕切る隔壁4とを備えている。一般的には、陽極2、陰極3、電解槽本体1及び隔壁4には、金属が利用されている。なお、図中、参照符号5はブスバー、6は絶縁材、7は金属で製作された電解槽蓋、8は陰極ガス出口、9は陰極ガス出口である。
【0004】
上記電解槽では、陽極2と陰極3との間に予め定める値を示す電解電圧を印加することによって、電解浴1aを電気分解するようになっている。
かかる電気分解反応の総括的な反応は、下記(1)式で示され、陽極2側でフッ素(F)が得られる一方、陰極3側で水素(H)が得られる。
【0005】
【化1】
Figure 0003614622
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記電気分解を健全に継続するためには、分極しにくい陽極とともに十分に調整された電解浴が必要である。これらの条件が揃わないと、フッ素の発生を継続することができない。
ここに、分極は、以下の反応メカニズムによって生じる。すなわち、発生するフッ素と陽極とが反応して、陽極の表面上に、極めて低い表面エネルギーを有する(CF)nフッ化グラファイトが生じ、これに起因して、電解浴に対する陽極の濡れ性が低下し、陽極のフッ素発生反応に対する有効面積が減少することにより生ずるのである。
【0007】
上記のように、電解浴が陽極と全く濡れなくなると、突然、電流が減少し、電圧が上昇する、いわゆる陽極効果(anode effect)が生じる。この陽極効果が生じると、実際に操業する上で大きな問題となる。
そこで、特開昭61−12994号公報等にて、分極しにくい理想的な炭素電極が提案されており、この提案された炭素電極は、国内外で広く使用されている。
【0008】
一方、電解浴の調整とは、水や他の金属イオン等の不純物を含まないようにすることである。
因みに、水分は、電解浴が吸湿性を有しているために、電解槽の気密性が悪かったり、ガス配管出口から大気が逆流したりすること等によって、電解浴の中に混ざると考えられる。
【0009】
一般的に、電解浴中に500ppm以上の水分が入ると、下記(2)式乃至(4)式に示すように、まず、酸化グラファイトが生成される。この生成された酸化グラファイトは、不安定である。そのため、フッ化グラファイトが最終的に生成される。
【0010】
【化2】
Figure 0003614622
【0011】
上記フッ化グラファイトは、表面エネルギーが低い。そのため、例え、陽極として、上記特開昭61−12994号公報等にて提案さている炭素電極を採用したとしても、炭素電極の表面の20%以上がフッ化グラファイトで被覆されると、炭素電極は、電解浴と接することができなくなる。それゆえ、見かけ上の現象としては、通電中に、急に電圧が上昇し、電流が流れにくくなって、電解不能の状態となる。つまり、陽極効果が生じる。
【0012】
かかる陽極効果を防止するために、電解浴中の水分を除去することは、フッ素電解を行う上で、重要な要素の1つである。
因みに、電解浴中に、電気分解で発生させるか、あるいは別途用意したボンベからフッ素を導入することで、電解浴中の水分を200ppm以下に減少させて、陽極効果を防止できるとされている。
【0013】
上記電解浴中の不純物は、通電中には、陽極に炭素材を使用している場合は、主として隔壁のBi−Polar腐食により発生し、電気分解停止時には、陽極と陰極との間で逆電流が流れ、本来の陰極部分が陽極となって溶解することにより発生する。
因みに、通電中の分極は、電極間距離等の設計条件・通電時の電気分解条件を制御することで、防止できるとされている。具体的には、通電中における分極の発生を防止することは、▲1▼電極間距離を調整すること、及び▲2▼特公平7−57915号公報にて開示されているように、隔壁にテフロン等の耐フッ素樹脂材を使用すること等により、達成される。
【0014】
しかしながら、電気分解を停止した後に、何ら対策を講じることなく、そのまま放置しておいたのでは、電気分解停止時に発生する陰極部分の腐食を防止することは困難である。
通常、電解槽本体は、陰極と同じ電位で使用される。そのため、ここでいう陰極部分の腐食とは、陰極及び電解槽本体の両者の腐食を指す。したがって、陰極部分の腐食が進むと、電解装置の破壊を招く事態に陥る恐れがある。また、電解装置の破壊に至らない場合であっても、陰極部分の腐食が起こることで、電解浴中に鉄やその他の金属が混入し、電気分解時に悪影響を及ぼすことになる。
【0015】
具体的には、以下のように、電解槽の構造材料の種類により、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等が溶出する。
【0016】
【化3】
Figure 0003614622
【0017】
上記鉄、銅、ニッケル等の不純物は、電気分解を停止している間は、スラッジとして沈殿しているが、電気分解を開始すると、電気泳動を起こして陽極周辺に集まる。それゆえ、鉄、銅、ニッケル等の不純物は、炭素陽極の表面にも付着することになる。
周知のように、鉄や銅のフッ化物は、不導体である。そのため、健全な電解浴中での電気分解と比較すると、電解電圧が大きく乱れる現象が起きる。また、電解浴の粘度が上昇する原因ともなり、電解浴の循環が悪くなる。そうすると、飛沫同伴(carryover) によって、電解浴がガス出口配管に溜まり、閉息状態に陥る。
【0018】
電解浴の不純物を取り除く方法としては、▲1▼電解浴を丸ごと交換する方法、及び▲2▼特開昭61−127603号公報にて開示さているように、電解浴にフッ化ナトリウムを添加して沈殿させる方法等がある。
一般に、電解浴中の不純物としては、電解槽本体の構造材料である鉄が最も多い。そのため、上記特開昭61−127603号公報にて開示さている技術は、不純物を含んだ電解浴中にフッ化ナトリウムを添加することで、特に、鉄イオンをKNaFeFとして沈殿させて電解浴から除去することを主たる目的としている。
【0019】
しかしながら、上記▲1▼及び▲2▼の電解浴の不純物を取り除く方法は、電解浴や沈殿物の処理が不可欠である。そのため、電解浴や沈殿物の処理に手間がかかるばかりか、フッ化水素の取り扱いを余儀なくされ、危険を伴う。
そこで、原料の無駄や電解槽の構造材料の腐食を無くし、安定的に長期間にわたって電気分解を継続できる技術が要望されている。
【0020】
上記要望に応えるべく、本願発明者等は、電解浴の電気分解が停止されることを条件として、陽極と陰極との間に、電解電圧よりも低く且つ電解槽の腐食が発生する電位よりも高い値を示す防食電圧を印加するようにすればよいのではないかと着想した。
本発明は、上記着想に基づきなされたもので、原料の無駄や電解槽の構造材料の腐食を無くし、安定的に長期間にわたって電気分解を継続できる電解装置、及び電解槽の防食方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る電解装置は、フッ化水素を含有する混合溶融塩を用いた電解浴を形成する電解槽本体、電解浴に浸漬されている炭素陽極及び陰極、並びに炭素陽極側と陰極側とを仕切る隔壁を備えており、炭素陽極と陰極との間に、予め定める値を示す電解電圧を印加することによって、電解浴を電気分解し、炭素陽極側でフッ素を得る一方、陰極側で水素を得る電解槽と、上記陽極と上記陰極との間に上記電解電圧を印加する電解電圧印加手段と、この電解電圧印加手段による上記電解浴の電気分解が停止されることを条件として、上記陽極と上記陰極との間に、上記電解電圧よりも低く且つ上記電解槽の腐食が発生する電位よりも高い値を示す防食電圧を印加する防食電圧印加手段とを含むことを特徴とするものである。
【0022】
上記構成において、電解電圧印加手段は、炭素陽極と陰極との間に電解電圧を印加する。そうすると、電解槽では、電解浴が電気分解され、炭素陽極側でフッ素が得れる一方、陰極側で水素が得られる。その後、電解電圧印加手段による電解浴の電気分解が停止されると、防食電圧印加手段は、炭素陽極と陰極との間に防食電圧を印加する。そのため、電解浴中に不純物が発生するのを防止できることになる。これに伴って、電解槽に腐食が発生するのを防止することができる。その結果、原料の無駄や電解槽の構造材料の腐食を無くし、安定的に長期間にわたって電気分解を継続できる。
【0023】
請求項2に記載の発明に係る電解装置は、請求項1に記載の電解装置において、上記電解電圧印加手段は、上記陽極と上記陰極との間に上記電解電圧を印加するための主電源を含み、上記防食電圧印加手段は、上記陽極と上記陰極との間に上記防食電圧を印加するための副電源を含むことを特徴とするものである。
上記構成において、電解浴の電気分解を行っている間は、主電源から電解電圧が陽極と陰極との間に印加される。一方、電解浴の電気分解を停止している間は、副電源から防食電圧が陽極と陰極との間に印加される。このように、電解浴の電気分解を停止している間は、主電源とは別に設けられている副電源から防食電圧が陽極と陰極との間に印加されるようになっている。そのため、簡単な構成で、電解槽の防食機能を発揮することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明に係る電解装置は、請求項2に記載の電解装置において、上記防食電圧印加手段は、上記副電源の稼働を維持するためのバックアップ電池を含むことを特徴とするものである。
上記構成において、副電源から防食電圧が陽極と陰極との間に印加される際には、バックアップ電池により、副電源の稼働が維持される。したがって、停電等の非常時においても、電解槽の防食機能を発揮することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明に係る電解装置は、請求項2又は3に記載の電解装置において、上記主電源が稼働しているか否かを検出する検出手段と、この検出手段による検出の結果、上記主電源が稼働していることを条件として、上記電解電圧印加手段により上記電解電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加させる一方、上記主電源が稼働していないことを条件として、上記防副電源から上記防食電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加させる印加電圧切換手段とを含むことを特徴とするものである。
【0026】
上記構成において、検出手段は、主電源が稼働しているか否かを検出する。そして、印加電圧切換手段は、検出手段にて主電源が稼働していることが検出されると、主電源から電解電圧を陽極と陰極との間に印加させる一方、検出手段にて主電源が稼働していないことが検出されると、副電源から防食電圧を陽極と陰極との間に印加させる。したがって、電解浴の電気分解を行っている状態か、あるいは電解浴の電気分解を停止している状態かを検出し、この検出結果に基づいて、陽極と陰極との間に印加すべき電圧の種類を自動的に切り換えることができる。
【0027】
請求項5に記載の発明に係る電解装置は、請求項2又は3に記載の電解装置において、上記電解電圧に関連する電流の流れを上記主電源から上記陽極及び陰極に向かう一方向に規制する一方、上記防食電圧に関連する電流の流れを上記副電源から上記陽極及び陰極に向かう一方向に規制する整流手段を含むことを特徴とするものである。
【0028】
上記構成において、整流手段によって、電解電圧に関連する電流の流れは、主電源から陽極及び陰極に向かう一方向に規制される一方、防食電圧に関連する電流の流れは、副電源から陽極及び陰極に向かう一方向に規制される。したがって、電解浴の電気分解を行っている間において、主電源の出力が低下し、擬似的に電解浴の電気分解を停止している状態となった場合においても、電解槽の防食機能を発揮することができる。
【0029】
請求項6に記載の発明に係る電解装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の電解装置において、上記防食電圧は、1.0V乃至2.5Vに設定されていることを特徴とするものである。
上記構成において、防食電圧を、1.0V乃至2.5Vに設定することで、電解浴の電気分解を停止している間は、電気分解によりフッ素は発生しないが、電解浴中に水があれば、この水が電気分解される。この電気分解反応は、以下の通りである。
【0030】
【化4】
Figure 0003614622
【0031】
請求項7に記載の発明に係る電解槽の防食方法は、フッ化水素を含有する混合溶融塩を用いた電解浴を形成する電解槽本体、電解浴に浸漬されている炭素陽極及び陰極、並びに炭素陽極側と陰極側とを仕切る隔壁を備えており、主電源から炭素陽極と陰極との間に、予め定める値を示す電解電圧を印加することによって、電解浴を電気分解し、炭素陽極側でフッ素を得る一方、陰極側で水素を得る電解槽を防食するための方法であって、上記陽極と上記陰極との間に上記電解電圧を印加する電解電圧印加工程と、この電解電圧印加手段による上記電解浴の電気分解が停止されることを条件として、上記陽極と上記陰極との間に、上記電解電圧よりも低く且つ上記電解槽の腐食が発生する電位よりも高い値を示す防食電圧を印加する防食電圧印加工程とを含むことを特徴とするものである。
【0032】
上記構成において、電解電圧印加工程では、炭素陽極と陰極との間に電解電圧を印加する。そうすると、電解槽では、電解浴が電気分解され、炭素陽極側でフッ素が得れる一方、陰極側で水素が得られる。その後、電解電圧印加工程による電解浴の電気分解が停止されると、防食電圧印加工程では、炭素陽極と陰極との間に防食電圧を印加する。そのため、電解浴中に不純物が発生するのを防止できることになる。これに伴って、電解槽に腐食が発生するのを防止することができる。その結果、原料の無駄や電解槽の構造材料の腐食を無くし、安定的に長期間にわたって電気分解を継続できる。
【0033】
請求項8に記載の発明に係る電解槽の防食方法は、請求項7に記載の電解槽の防食方法において、上記電解電圧印加工程は、主電源から上記電解電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加する工程を含み、上記防食電圧印加工程は、副電源から上記防食電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加する工程を含むことを特徴とするものである。
【0034】
上記構成において、電解浴の電気分解を行っている間は、主電源から電解電圧が陽極と陰極との間に印加される。一方、電解浴の電気分解を停止している間は、副電源から防食電圧が陽極と陰極との間に印加される。つまり、電解浴の電気分解を停止している間は、主電源とは別に設けられている副電源から防食電圧が陽極と陰極との間に印加されるようになっている。そのため、簡単な構成で、電解槽の防食機能を発揮することができる。
【0035】
請求項9に記載の発明に係る電解槽の防食方法は、請求項8に記載の電解槽の防食方法において、バックアップ電池により、上記副電源の稼働を維持する工程を含むことを特徴とするものである。
上記構成において、副電源から防食電圧が陽極と陰極との間に印加される際には、バックアップ電池により、副電源の稼働が維持される。したがって、停電等の非常時においても、電解槽の防食機能を発揮することができる。
【0036】
請求項10に記載の発明に係る電解槽の防食方法は、請求項8又は9に記載の電解槽の防食方法において、上記主電源が稼働しているか否かを検出する検出工程と、この検出工程による検出の結果、上記主電源が稼働していることを条件として、上記電解電圧印加工程によって、上記主電源から上記電解電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加させる一方、上記主電源が稼働していないことを条件として、上記副電源から上記防食電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加させる印加電圧切換工程とを含むことを特徴とするものである。
【0037】
上記構成において、検出工程では、主電源が稼働しているか否かを検出する。そして、印加電圧切換工程では、検出工程にて主電源が稼働していることが検出されると、主電源から電解電圧を陽極と陰極との間に印加させる一方、検出工程にて主電源が稼働していないことが検出されると、副電源から防食電圧を陽極と陰極との間に印加させる。したがって、電解浴の電気分解を行っている状態か、あるいは電解浴の電気分解を停止している状態かを検出し、この検出結果に基づいて、陽極と陰極との間に印加すべき電圧の種類を自動的に切り換えることができる。
【0038】
請求項11に記載の発明に係る電解槽の防食方法は、請求項8又は9に記載の電解槽の防食方法において、上記電解電圧に関連する電流の流れを上記主電源から上記陽極及び陰極に向かう一方向に規制する一方、上記防食電圧に関連する電流の流れを上記副電源から上記陽極及び陰極に向かう一方向に規制する工程を含むことを特徴とするものである。
【0039】
上記構成において、電解電圧に関連する電流の流れは、主電源から陽極及び陰極に向かう一方向に規制される。一方、防食電圧に関連する電流の流れは、副電源から陽極及び陰極に向かう一方向に規制される。したがって、電解浴の電気分解を行っている間において、主電源の出力が低下し、擬似的に電解浴の電気分解を停止している状態となった場合においても、電解槽の防食機能を発揮することができる。
【0040】
請求項12に記載の発明に係る電解槽の防食方法は、請求項7乃至11のいずれかに記載の電解槽の防食方法において、上記防食電圧は、1.0V乃至2.5Vに設定されていることを特徴とするものである。
上記構成において、防食電圧を、1.0V乃至2.5Vに設定することで、電解浴の電気分解を停止している間は、電気分解によりフッ素は発生しないが、電解浴中に水があれば、この水が電気分解される。この電気分解反応は、以下の通りである。
【0041】
【化5】
Figure 0003614622
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態の概要)
本実施の形態では、電解槽本体内に内装されており、隔壁によって互いに仕切られている陽極と陰極との間に、予め定める値を示す電解電圧を印加することによって、フッ化水素を含有する混合溶融塩を用いた電解浴を電気分解し、陽極側でフッ素を得る一方、陰極側で水素を得ることのできる電解槽を含む電解装置を対象としている。
【0043】
ここで、本実施の形態の主たる特徴は、原料の無駄や電解槽の構造材料の腐食を無くし、安定的に長期間にわたって電気分解を継続できるとともに、より安価にフッ素を発生することを可能とするべく、電解浴の電気分解が停止されることを条件として、陽極と陰極との間に、電解電圧よりも低く且つ電解槽の腐食が発生する電位よりも高い値を示す防食電圧を印加し、いわゆるカソード防食を行って、電解浴中に不純物が発生するのを防止するようにした点にある。
【0044】
因みに、電解浴の電気分解が停止されているときに、特開昭55−34684号公報で開示されているように、陽極と陰極との間に、電解電圧まで高い電圧を印加しないのは、以下の理由による。すなわち、電解浴の電気分解が停止されているときに、陽極と陰極との間に、電解電圧まで高い電圧を印加すると、主反応により、フッ素が発生する可能性は皆無とはいえず、原料のフッ化水素を無駄に消費したり、極端な場合には、長期間放置することで、装置内にフッ素や水素が溜まり、このことを知らずに装置の操作を行うと、事故を誘発する恐れがあるからである。
【0045】
つまり、上記フッ素発生用電解装置において、フッ素を発生させるための理論分解電圧(theoretical decomposition voltage) は、2.85Vであるが、上記防食電圧としては、ここまでの負荷は不要である。
そこで、本願発明者等は、上記目的を達成するための実効的な防食電圧の範囲を、以下のようにして設定している。
【0046】
下記(5)式に示すように、電解浴中において鉄が還元される電位を印加すると、陰極及び電解槽本体は保護される一方、陽極は、水を電気分解し得る電位に保たれる。
【0047】
【化6】
Figure 0003614622
【0048】
水を電気分解することによって水素を発生させるための電位は、1.23Vである。しかしながら、フッ化水素を含有する混合溶融塩を用いた電解浴中の水分から水素を発生させるための電位を決定することは困難であるのが実情である。したがって、浴電圧を考慮して、およそ1.0V乃至2.5Vの範囲を実効的な防食電圧の範囲とし、かかる範囲内の防食電圧を陽極と陰極との間に印加することで、電解槽の防食を実現することとした。このように、1.0V乃至2.5Vの範囲内の防食電圧を印加したときには、電気分解によってフッ素は発生しないが、電解浴中に水があれば、この水は電気分解される。その結果、脱水効果を得ることができる。
【0049】
そして、本願発明者等は、本実施の形態の特徴による効果を確認するために、ON/OFFを頻繁に行う30Aフッ素電解槽を採用し、電解浴の濃度をKF・1.9−2.3Fに調整して、電解浴を十分に脱水した後に、電解浴を90℃で電気分解を行い、フッ素を発生する電解装置を用意しておいて、以下に示す実験条件1及び実験条件2で、約5ケ月間繰り返し実験を行った後、電解浴の不純物濃度の測定と、電解浴の電気分解を行っているときの状態の比較とを行った。なお、陽極には東洋炭素社製FE−5炭素電極を用い、陰極及び電解槽本体には鉄を用いている。また、隔壁にはモネルを使用している。
【0050】
<実験条件1>
1日の中で、電解浴の電気分解を行う時間を8時間とし、それ以外の時間は、陽極と陰極との間に防食電圧を印加することなく、そのまま放置する。
<実験条件2>
1日の中で、電解浴の電気分解を行う時間を8時間とし、それ以外の時間は、陽極と陰極との間に1.8Vの防食電圧を印加する。
【0051】
【表1】
Figure 0003614622
【0052】
表1から明らかなように、電解浴の不純物濃度は、電解浴の電気分解を停止している間に、陽極と陰極との間に防食電圧を印加することなく、そのまま放置した場合に比べて、電解浴の電気分解を停止している間に、陽極と陰極との間に防食電圧(1.8V)を印加した場合の方が、上昇率が低く、殆ど増加しないことが判明した。特に、鉄(Fe)の濃度は、電解浴の電気分解を停止している間に、陽極と陰極との間に防食電圧を印加することなく、そのまま放置した場合には、2600ppmまで上昇しているのに対し、電解浴の電気分解を停止している間に、陽極と陰極との間に防食電圧(1.8V)を印加した場合には、10ppm乃至20ppmと殆ど増加していない。
【0053】
一方、電解浴の電気分解を行う際の電解電圧は、電解浴の電気分解を停止している間に、陽極と陰極との間に防食電圧を印加することなく、そのまま放置した場合には、電流密度の上昇とともに不安定となって0.5V以上の振れが観察され、7A/dm以上の電流密度では、安定して電気分解を行うことは困難であったのに対し、電解浴の電気分解を停止している間に、陽極と陰極との間に防食電圧(1.8V)を印加した場合には、電解電圧の振れは、0.1V以下と安定しており、15A/dm以上の電流密度でも、安定的に電気分解を継続することができた。
【0054】
ここで、上述した本実施の形態の概要を踏まえた上で、具体的な実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【0055】
同図を参照して、本実施の形態1の電解装置は、▲1▼混合溶融塩(KF・2HF)を用いた電解浴11aを形成する電解槽本体11、電解浴11aに浸漬されている陽極12及び陰極13、並びに陽極12側と陰極13側とを仕切る隔壁14を備えており、陽極12と陰極13との間に電解電圧を印加することによって電解浴11aを電気分解し、陽極12側でフッ素(F)を得る一方、陰極13側で水素(H)を得る電解槽10と、▲2▼陽極12と陰極13との間に電解電圧を印加する電解電圧印加手段20と、▲3▼この電解電圧印加手段20による電解浴11aの電気分解が停止されることを条件として、陽極12と陰極13との間に、防食電圧を印加する防食電圧印加手段30とを備えている。
【0056】
電解槽10の構成要素である電解槽本体11、陽極12、陰極13及び隔壁14には、従来の電解槽と同一の構造材料が採用されている。具体的には、一般的には、陽極12、陰極13、電解槽本体11及び隔壁14には、金属が使用されている。
電解電圧印加手段20は、陽極12と陰極13との間に電解電圧を印加するための主電源21を備えている。この主電源21は、定電流電源であって、その入力側は、電源投入スイッチ100を介して、入力ラインL1に接続されており、出力側は、第1の常閉接点51を介して、陽極12及び陰極13に接続されている。
【0057】
防食電圧印加手段30は、陽極12と陰極13との間に防食電圧を印加するための副電源31を備えている。この副電源31は、定電圧電源であって、その入力側は、入力ラインL2に接続されており、出力側は、第2の常閉接点52を介して、陽極12及び陰極13と第1の常閉接点51との接続中間点Aに接続されている。
【0058】
また、本実施の形態1の電解装置は、上記電解槽10、電圧印加手段20及び防食電圧印加手段30に加えて、▲1▼電圧印加手段20の主電源21が稼働しているか否かを検出する検出手段40と、▲2▼この検出手段40による検出の結果、主電源21が稼働していることを条件として、主電源21から電解電圧を陽極12と陰極13との間に印加させる一方、主電源21が稼働していないことを条件として、副電源31から防食電圧を陽極12と陰極13との間に印加させる印加電圧切換手段50とを備えている。
【0059】
検出手段40は、主電源21の入力変化をとらまえて、主電源21が稼働しているか否かを検出する主電源稼働検出回路41を備えている。この主電源稼働検出回路41は、入力ラインL1に接続されており、第1の常閉接点51の接触子51a、及び第2の常閉接点52の接触子52aに対して、それぞれ、検出結果に基づいた制御信号を出力するようになっている。
【0060】
印加電圧切換手段50は、▲1▼陽極12及び陰極13と主電源21との間に介在されている第1の常閉接点51と、▲2▼接続中間点Aと副電源31との間に介在されている第2の常閉接点52とから構成されており、主電源稼働検出回路41にて主電源21が稼働していることが検出されると、第2の常閉接点52を開成状態として、主電源21から電解電圧を陽極12と陰極13との間に印加させる一方、主電源稼働検出回路41にて主電源21が稼働していないことが検出されると、第1の常閉接点51を開成状態として、副電源31から防食電圧を陽極12と陰極13との間に印加させるようになっている。
【0061】
ここで、上記電解装置の動作について説明する。
電解浴11aの電気分解を行っている間は、電源投入スイッチ100がONされている。そのため、主電源21には、入力ラインL1を介して、予め定める定格電流が供給される。このとき、主電源稼働検出回路41は、入力ラインL1を介して、主電源21に定格電流が供給されていることをとらまえて、主電源21が稼働状態にあることを検出する。そして、この検出結果に基づき、主電源稼働検出回路41は、開成することを促す制御信号を第2の常閉接点52の接触子52aに出力する。そうすると、第2の常閉接点52は、開成状態となる。これによって、主電源21から電解電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。そうすると、電解槽10では、電解浴11aが電気分解され、陽極12側でフッ素(F)が得れる一方、陰極13側で水素(H)が得られる。
【0062】
一方、電解浴11aの電気分解を停止している間は、電源投入スイッチ100がOFFされている。そのため、主電源21には、入力ラインL1を介して、定格電流の供給がされず、主電源21は、稼働を停止した状態にある。このとき、主電源稼働検出回路41は、入力ラインL1を介して、主電源21に定格電流が供給されていないことをとらまえて、主電源21が稼働を停止してる状態にあることを検出する。そして、この検出結果に基づき、主電源稼働検出回路41は、開成することを促す制御信号を第1の常閉接点51の接触子51aに出力する一方、閉成することを促す制御信号を第2の常閉接点52の接触子52aに出力する。そうすると、第1の常閉接点51は、開成状態となる一方、第2の常閉接点52は、閉成状態となる。これによって、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。
【0063】
すなわち、本実施の形態1によると、以下の作用効果を奏する。
▲1▼陽極12と陰極13との間に電解電圧を印加して、電解槽10内において、電解浴11aの電気分解が行われた後、電解浴11aの電気分解が停止されると、陽極12と陰極13との間に防食電圧が印加されるようになっている。そのため、電解浴11a中に不純物が発生するのを防止できることになる。これに伴って、電解槽10に腐食が発生するのを防止することができる。その結果、原料の無駄や電解槽10の構造材料の腐食を無くし、安定的に長期間にわたって電気分解を継続できる。
【0064】
▲2▼電解浴11aの電気分解を停止している間は、主電源21とは別に設けられている副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加されるようになっている。そのため、簡単な構成で、電解槽10の防食機能を発揮することができる。
▲3▼主電源21が稼働しているか否かを検出し、主電源21が稼働していることが検出されると、主電源21から電解電圧が陽極12と陰極13との間に印加される一方、主電源21が稼働していないことが検出されると、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加されるようになっている。したがって、電解浴11aの電気分解を行っている状態か、あるいは電解浴11aの電気分解を停止している状態かを検出し、この検出結果に基づいて、陽極12と陰極13との間に印加すべき電圧の種類を自動的に切り換えることができる。
【0065】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
同図を参照して、本実施の形態2の電解装置の特徴は、副電源31を入力ラインL1に接続し、主電源21及び副電源31の入力系統を1系統としている点にあり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0066】
詳細に説明すると、副電源31の入力側は、入力ラインL1と主電源稼働検出回路41との接続中間点Bよりも前段位置において、入力ラインL1に接続されている。
なお、陽極12と陰極13との間に電解電圧を印加する電解動作、及び陽極12と陰極13との間に防食電圧を印加する防食動作については、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
すなわち、本実施の形態2では、副電源31を入力ラインL1に接続することによって、主電源21及び副電源31の入力系統を1系統化を達成している。したがって、主電源21及び副電源31の入力系統の構成を簡素なものとすることができる。
【0068】
(実施の形態3)
図3は本発明の実施の形態3に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
同図を参照して、本実施の形態3の電解装置の特徴は、防食電圧印加手段30を、▲1▼副電源31と、▲2▼この副電源31に接続されており、副電源31の稼働を維持するためのバックアップ電池32とから構成している点にあり、その他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0069】
ここで、上記電解装置の動作について説明する。なお、電解動作及び防食動作については、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
電解浴11aの電気分解が停止されていることに伴って、陽極12と陰極13との間に防食電圧を印加する防食動作を行っている間に、停電等の非常事態が発生すると、バックアップ電池32は、副電源31の稼働を維持する。これによって、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。その結果、停電等の非常事態が発生しているのにもかかわらず、防食動作が継続されることになる。
【0070】
すなわち、本実施の形態3では、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される際には、バックアップ電池32により、副電源31の稼働が維持されるようになっている。したがって、陽極12と陰極13との間に防食電圧を印加している際に、停電等の非常事態が発生した場合においても、電解槽10の防食機能を発揮することができる。
【0071】
(実施の形態4)
図4は本発明の実施の形態4に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
同図を参照して、本実施の形態の電解装置の特徴は、主電源稼働検出回路41を、主電源の出力変化をとらまえて、主電源21が稼働しているか否かを検出するように構成している点にあり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0072】
詳細に説明すると、主電源稼働検出回路41は、主電源21と第1の常閉接点51との接続中間点Cに接続されている。
ここで、上記電解装置の動作について説明する。
電解浴11aの電気分解を行っている間は、電源投入スイッチ100がONされている。そのため、主電源21は、稼働状態にある。換言すると、主電源21は、電解電圧に関連する電流を出力している状態にある。このとき、主電源稼働検出回路41は、主電源21から電解電圧に関連する電流が出力されていることをとらまえて、主電源21が稼働状態にあることを検出する。そして、主電源稼働検出回路41は、開成することを促す制御信号を第2の常閉接点52の接触子52aに出力する。そうすると、第2の常閉接点52は、開成状態となる。これによって、主電源21から電解電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。そうすると、電解槽10では、電解浴11aが電気分解され、陽極12側でフッ素(F)が得れる一方、陰極13側で水素(H)が得られる。
【0073】
一方、電解浴11aの電気分解を停止している間は、電源投入スイッチ100がOFFされている。そのため、主電源21は、稼働を停止した状態にある。換言すると、主電源21は、電解電圧に関連する電流を出力していない状態にある。このとき、主電源稼働検出回路41は、主電源21から電解電圧に関連する電流が出力されていないことをとらまえて、主電源21が稼働を停止してる状態にあることを検出する。そして、この検出結果に基づき、主電源稼働検出回路41は、開成することを促す制御信号を第1の常閉接点51の接触子51aに出力する一方、閉成することを促す制御信号を第2の常閉接点52の接触子52aに出力する。そうすると、第1の常閉接点51は、開成状態となる一方、第2の常閉接点52は、閉成状態となる。これによって、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。
【0074】
すなわち、本実施の形態4では、電解浴11aの電気分解が行われるに伴って、主電源21が稼働していることが検出されると、主電源21から電解電圧が陽極12と陰極13との間に印加される一方、電解浴11aの電気分解が停止されるに伴って、主電源21が稼働していないことが検出されると、主電源21とは別に設けられている副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加されるようになっているので、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0075】
(実施の形態5)
図5は本発明の実施の形態5に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
同図を参照して、本実施の形態2の電解装置の特徴は、副電源31の入力側を接続中間点Bに接続し、主電源21及び副電源31の入力系統を1系統としている点にあり、その他の構成は、実施の形態4と同様である。
【0076】
なお、陽極12と陰極13との間に電解電圧を印加する電解動作、及び陽極12と陰極13との間に防食電圧を印加する防食動作については、実施の形態4と同様であるので、その説明を省略する。
すなわち、本実施の形態5では、副電源31を入力ラインL1に接続して、主電源21及び副電源31の入力系統を1系統化を実現しているので、実施の形態2と同様の効果を奏する。
【0077】
(実施の形態6)
図6は本発明の実施の形態6に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
同図を参照して、本実施の形態6の電解装置の特徴は、バックアップ電池32により、副電源31の稼働を維持するようにしている点にあり、その他の構成は、実施の形態5と同様である。
【0078】
ここで、上記電解装置の動作について説明する。
電解浴11aの電気分解が停止されていることに伴って、陽極12と陰極13との間に防食電圧を印加する防食動作を行っている間に、停電等の非常事態が発生すると、バックアップ電池32は、副電源31の稼働を維持する。これによって、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。その結果、停電等の非常事態が発生しているのにもかかわらず、防食動作が継続されることになる。
【0079】
すなわち、本実施の形態6では、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される際には、副電源31の稼働は、バックアップ電池32によって維持されるようになっているので、実施の形態3と同様の効果を奏する。
【0080】
(実施の形態7)
図7は本発明の実施の形態7に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
同図を参照して、本実施の形態7の電解装置の特徴は、▲1▼主電源21に操作スイッチ21aを設けている点、▲2▼検出手段40をコントローラ42から構成している点、▲3▼印加電圧切換手段50を、陽極12及び陰極13と主電源21との間に介在されている電磁接触器53から構成している点、並びに▲4▼副電源31の出力側を陽極12及び陰極13と電磁接触器53との接続中間点Dに接続している点にあり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0081】
コントローラ42は、CPU、データRAM及びプログラムROMを含み、予めROMに記憶されているプログラムに従って制御を行うマイクロコンピュータを備えており、操作スイッチ21aの操作信号に基づき、主電源21が稼働している否かを検出し、この検出結果を基に、電磁接触器53の開閉動作を制御するようになっている。
【0082】
電磁接触器53は、従来公知のものであって、図示しない電磁石、及び接触子53aを備えており、電磁石が励磁されると、接触子53aが閉じる一方、電磁石が消磁されると、接触子53aが開くようになっている。
ここで、上記電解装置の動作について説明する。
電解浴11aの電気分解を行っている間は、操作スイッチ21aaがONされている。そのため、主電源21は、稼働状態にある。このとき、コントローラ42は、操作スイッチ21aのON操作信号に基づいて、主電源21が稼働状態にあることを検出する。そして、この検出結果に基づき、コントローラ42は、励磁信号を電磁接触器53に出力する。そうすると、電磁接触器53の電磁石が励磁される。その結果、電磁接触器53の接触子53aが閉じる。これによって、主電源21から電解電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。そうすると、電解槽10では、電解浴11aが電気分解され、陽極12側でフッ素(F)が得れる一方、陰極13側で水素(H)が得られる。
【0083】
一方、電解浴11aの電気分解を停止している間は、操作スイッチ21aaがOFFされている。そのため、主電源21は、稼働を停止した状態にある。このとき、コントローラ42は、操作スイッチ21aのOFF操作信号に基づいて、主電源21が稼働を停止している状態にあることを検出する。そして、この検出結果に基づき、コントローラ42は、消磁信号を電磁接触器53に出力する。そうすると、電磁接触器53の電磁石が消磁される。その結果、電磁接触器53の接触子53aが開く。これによって、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。
【0084】
すなわち、本実施の形態7によると、実施の形態1と同様の作用効果を奏することに加えて、以下の作用効果を奏する。
▲1▼主電源21の操作スイッチ21aの操作信号に基づいて、コントローラ42が主電源21の稼働状態を検出するようになっている。したがって、主電源21の稼働状態を検出するために、特別な回路構成を有する検出回路を採用する必要がなくなる。
【0085】
▲2▼頻繁な開閉動作にも十分に耐え得る電磁接触器53を、陽極12及び陰極13と主電源21との間に介在しておくとともに、副電源31を接続中間点Dに接続しておいて、コントローラ42により、電磁接触器53の開閉動作を制御し、主電源21の稼働状態に応じて、陽極12と陰極13との間に印加すべき電圧の種類を自動的に切り換えるようになっている。したがって、陽極12と陰極13との間に印加すべき電圧の種類の切り換えが頻繁に行われるような場合でも、十分に対処することができる。
【0086】
(実施の形態8)
図8は本発明の実施の形態8に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
同図を参照して、本実施の形態8の電解装置の特徴は、副電源31の入力側を入力ラインL2に接続し、主電源21及び副電源31の入力系統を1系統としている点にあり、その他の構成は、実施の形態7と同様である。
【0087】
なお、陽極12と陰極13との間に電解電圧を印加する電解動作、及び陽極12と陰極13との間に防食電圧を印加する防食動作については、実施の形態7と同様であるので、その説明を省略する。
但し、上記電解動作を行う際にも、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加されることになるが、防食電圧は、上述したように、電解電圧よりも低い1.0V乃至2.5Vに設定されるので、電気分解に支障をきたすことはない。
【0088】
すなわち、本実施の形態8では、副電源31を入力ラインL1に接続して、主電源21及び副電源31の入力系統を1系統化を実現しているので、実施の形態2と同様の効果を奏する。
【0089】
(実施の形態9)
図9は本発明の実施の形態9に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
同図を参照して、本実施の形態9の電解装置の特徴は、バックアップ電池32により、副電源31の稼働を維持するようにしている点にあり、その他の構成は、実施の形態8と同様である。
ここで、上記電解装置の動作について説明する。
電解浴11aの電気分解が行われていることに伴って、陽極12と陰極13との間に電解電圧を印加する電解動作を行っている間に、停電等の非常事態が発生すると、主電源21の稼働は、強制的に停止される。その結果、電解動作が停止する。一方、副電源31の稼働は、バックアップ電池32によって維持される。これによって、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。その結果、電解動作に代わって、防食動作が行われることになる。
【0090】
一方、電解浴11aの電気分解が停止されていることに伴って、陽極12と陰極13との間に防食電圧を印加する防食動作を行っている間に、停電等の非常事態が発生すると、バックアップ電池32は、副電源31の稼働を維持する。これによって、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。その結果、停電等の非常事態が発生しているのにもかかわらず、防食動作が継続されることになる。
【0091】
すなわち、本実施の形態9では、副電源31の出力側を接続中間点Dに接続し、この副電源31の稼働をバックアップ電池32によって維持するようになっている。したがって、電解動作時及び防食動作時に、停電等の非常事態が発生した場合においても、電解槽10の防食機能を発揮することができる。
【0092】
(実施の形態10)
図10は本発明の実施の形態10に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
同図を参照して、本実施の形態10の電解装置の特徴は、▲1▼副電源31の入力側を入力ラインL1に接続し、主電源31及び副電源31の入力系統を1系統としていること、並びに▲2▼電解電圧に関連する電流の流れを主電源21から陽極12及び陰極13に向かう一方向に規制する一方、防食電圧に関連する電流の流れを副電源31から陽極12及び陰極13に向かう一方向に規制する整流手段60とを備えていることにより、実施の形態1乃至実施の形態9で必要とされた、検出手段40及び印加電圧切換手段50を排除して、電解浴11aの電気分解が停止されることを条件として、陽極12と陰極13との間に防食電圧を印加するようにした点にある。なお、主電源21には、操作スイッチ21aが設けられている。
【0093】
整流手段60は、第1のダイオード61及び第2のダイオード62を備えている。第1のダイオード61のアノードは、主電源21の出力側に接続されており、カソードは、陽極12及び陰極13に接続されている。第2のダイオード62のアノードは、副電源31の出力側に接続されており、カソードは、陽極12及び陰極13と第1のダイオード61との接続中間点Eに接続されている。
【0094】
なお、その他の構成は、実施の形態2と同様である。
ここで、上記電解装置の動作について説明する。
電解浴11aの電気分解を行っている間は、操作スイッチ21aaがONされている。そのため、主電源21は、稼働状態にある。それゆえ、主電源21から電解電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。そうすると、電解槽10では、電解浴11aが電気分解され、陽極12側でフッ素(F)が得れる一方、陰極13側で水素(H)が得られる。
【0095】
このとき、副電源31には、入力ラインL1を介して、定格電流が供給される。しかし、電解電圧に関連する電流の流れは、第1のダイオード61によって、主電源21から陽極12及び陰極13に向かう一方向に規制される。一方、防食電圧に関連する電流の流れは、第2のダイオード62によって、副電源31から陽極12及び陰極13に向かう一方向に規制される。それゆえ、電解浴11aの電気分解を開始した際には、主電源21から電解電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。一方、副電源31は、第2のダイオード62の整流作用によって、副電源31に対して逆電圧が付加されなくなり、稼働しない。そのため、陽極12と陰極13との間には、防食電圧が印加されない。その後、主電源31の出力が定格出力よりも低減し、予め定める定格出力よりも低い出力になると、副電源31も稼働し、副電源31から陽極12及び陰極13に向かって、防食電圧に関連する電流が流れる。最終的に、主電源21の出力が副電源31の定格出力よりも低くなると、主電源21は、稼働を停止し、結果的に電解浴11aの電気分解を停止している状態となり、陽極12と陰極13との間には、防食電圧が印加される。
【0096】
一方、電解浴11aの電気分解を停止している間は、操作スイッチ21aがOFFされている。そのため、主電源21は、稼働を停止した状態にある。一方、入力ラインL2を介して、副電源31に定格電流が供給されており、副電源31は、稼働状態にある。それゆえ、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。
【0097】
すなわち、本実施の形態10によると、実施の形態1で述べた▲1▼及び▲2▼、並びに実施の形態2と同様の作用効果を奏することに加えて、以下の作用効果を奏する。
具体的には、電解電圧に関連する電流の流れは、第1のダイオード61によって、主電源21から陽極12及び陰極13に向かう一方向に規制される一方、防食電圧に関連する電流の流れは、第2のダイオード62によって、副電源31から陽極12及び陰極13に向かう一方向に規制されるようになっている。したがって、電解浴11aの電気分解を行っている間において、主電源21の出力が低下し、擬似的に電解浴11aの電気分解を停止している状態となったっ場合においても、電解槽10の防食機能を発揮することができる。
【0098】
(実施の形態11)
図11は本発明の実施の形態11に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
同図を参照して、本実施の形態11の電解装置の特徴は、バックアップ電池32により、副電源31の稼働を維持するようにしている点にあり、その他の構成は、実施の形態10と同様である。
【0099】
ここで、上記電解装置の動作について説明する。
電解浴11aの電気分解が行われていることに伴って、陽極12と陰極13との間に電解電圧を印加する電解動作を行っている間に、停電等の非常事態が発生すると、主電源21の稼働は、強制的に停止される。その結果、電解動作が停止する。一方、副電源31の稼働は、バックアップ電池32によって維持される。これによって、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。その結果、電解動作に代わって、防食動作が行われることになる。
【0100】
一方、電解浴11aの電気分解が停止されていることに伴って、陽極12と陰極13との間に防食電圧を印加する防食動作を行っている間に、停電等の非常事態が発生すると、バックアップ電池32は、副電源31の稼働を維持する。これによって、副電源31から防食電圧が陽極12と陰極13との間に印加される。その結果、停電等の非常事態が発生しているのにもかかわらず、防食動作が継続されることになる。
【0101】
すなわち、本実施の形態11では、副電源31の出力側を接続中間点Eに接続し、この副電源31の稼働をバックアップ電池32によって維持するようになっているので、実施の形態9と同様の効果を奏する。
【0102】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態7乃至実施の形態9において、主電源21によって、副電源31が壊れる可能性がある場合には、副電源31と接続中間点Dとの間にダイオードを挿入して、副電源31の破壊を防止するようにしてもよい。
その他、本発明の請求の範囲内での種々の設計変更及び修正を加え得ることは勿論である。
【0103】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、請求項1及び7に記載の発明によると、電解浴の電気分解が停止されると、陽極と陰極との間に、電解電圧より低く且つ電解槽の腐食が発生する電位よりも高い値を示す防食電圧を印加するため、電解浴中に不純物が発生するのを防止できることになり、これに伴って、電解槽に腐食が発生するのを防止することができる結果、原料の無駄や電解槽の構造材料の腐食を無くし、安定的に長期間にわたって電気分解を継続できる。
【0104】
請求項2及び8に記載の発明によると、電解浴の電気分解を停止している間は、主電源とは別に設けられている副電源から防食電圧が陽極と陰極との間に印加されるようになっているため、簡単な構成で、電解槽の防食機能を発揮することができる。
請求項3及び9に記載の発明によると、電解浴の電気分解を停止している間は、副電源から防食電圧が陽極と陰極との間に印加される際には、バックアップ電池により、副電源の稼働が維持されるので、停電等の非常時においても、電解槽の防食機能を発揮することができる。
【0105】
請求項4及び10に記載の発明によると、主電源が稼働していることが検出されると、主電源から電解電圧が陽極と陰極との間に印加される一方、主電源が稼働していないことが検出されると、副電源から防食電圧が陽極と陰極との間に印加されるようになっているので、電解浴の電気分解を行っている状態か、あるいは電解浴の電気分解を停止している状態かを検出し、この検出結果に基づいて、陽極と陰極との間に印加すべき電圧の種類を自動的に切り換えることができる。
【0106】
請求項5及び11に記載の発明によると、電解電圧に関連する電流の流れは、主電源から陽極及び陰極に向かう一方向に規制される一方、防食電圧に関連する電流の流れは、副電源から陽極及び陰極に向かう一方向に規制されるようになっているので、電解浴の電気分解を行っている間において、主電源の出力が低下し、擬似的に電解浴の電気分解を停止している状態となった場合においても、電解槽の防食機能を発揮することができる。
【0107】
請求項6及び12に記載の発明によると、防食電圧を、1.0V乃至2.5Vに設定することで、電解浴の電気分解を停止している間は、電気分解によりフッ素は発生しないが、電解浴中に水があれば、この水は電気分解される結果、脱水効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態5に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態6に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態7に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態8に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態9に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態10に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態11に係る電解装置の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図12】一般的な電解装置に含まれる電解槽の構成を簡略化して示す断面図である。
【符号の説明】
10 電解槽
11 電解槽本体
11a 電解浴
12 陽極
13 陰極
14 隔壁
20 電解電圧印加手段
21 主電源
30 防食電圧印加手段
31 副電源
32 バックアップ電池
40 検出手段
50 印加電圧切換手段
60 整流手段

Claims (12)

  1. フッ化水素を含有する混合溶融塩を用いた電解浴を形成する電解槽本体、電解浴に浸漬されている炭素陽極及び陰極、並びに炭素陽極側と陰極側とを仕切る隔壁を備えており、炭素陽極と陰極との間に、予め定める値を示す電解電圧を印加することによって、電解浴を電気分解し、炭素陽極側でフッ素を得る一方、陰極側で水素を得る電解槽と、
    上記陽極と上記陰極との間に上記電解電圧を印加する電解電圧印加手段と、
    この電解電圧印加手段による上記電解浴の電気分解が停止されることを条件として、上記陽極と上記陰極との間に、上記電解電圧よりも低く且つ上記電解槽の腐食が発生する電位よりも高い値を示す防食電圧を印加する防食電圧印加手段とを含むことを特徴とする電解装置。
  2. 請求項1に記載の電解装置において、
    上記電解電圧印加手段は、上記陽極と上記陰極との間に上記電解電圧を印加するための主電源を含み、
    上記防食電圧印加手段は、上記陽極と上記陰極との間に上記防食電圧を印加するための副電源を含むことを特徴とする電解装置。
  3. 請求項2に記載の電解装置において、
    上記防食電圧印加手段は、上記副電源の稼働を維持するためのバックアップ電池を含むことを特徴とする電解装置。
  4. 請求項2又は3に記載の電解装置において、
    上記主電源が稼働しているか否かを検出する検出手段と、
    この検出手段による検出の結果、上記主電源が稼働していることを条件として、上記主電源から上記電解電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加させる一方、上記主電源が稼働していないことを条件として、上記副電源から上記防食電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加させる印加電圧切換手段とを含むことを特徴とする電解装置。
  5. 請求項2又は3に記載の電解装置において、
    上記電解電圧に関連する電流の流れを上記主電源から上記陽極及び陰極に向かう一方向に規制する一方、上記防食電圧に関連する電流の流れを上記副電源から上記陽極及び陰極に向かう一方向に規制する整流手段を含むことを特徴とする電解装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の電解装置において、
    上記防食電圧は、1.0V乃至2.5Vに設定されていることを特徴とする電解装置。
  7. フッ化水素を含有する混合溶融塩を用いた電解浴を形成する電解槽本体、電解浴に浸漬されている炭素陽極及び陰極、並びに炭素陽極側と陰極側とを仕切る隔壁を備えており、主電源から炭素陽極と陰極との間に、予め定める値を示す電解電圧を印加することによって、電解浴を電気分解し、炭素陽極側でフッ素を得る一方、陰極側で水素を得る電解槽を防食するための方法であって、
    上記陽極と上記陰極との間に上記電解電圧を印加する電解電圧印加工程と、
    この電解電圧印加手段による上記電解浴の電気分解が停止されることを条件として、上記陽極と上記陰極との間に、上記電解電圧よりも低く且つ上記電解槽の腐食が発生する電位よりも高い値を示す防食電圧を印加する防食電圧印加工程とを含むことを特徴とする、電解槽の防食方法。
  8. 請求項7に記載の電解槽の防食方法において、
    上記電解電圧印加工程は、主電源から上記電解電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加するための工程を含み、
    上記防食電圧印加工程は、副電源から上記防食電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加する工程を含むことを特徴とする、電解槽の防食方法。
  9. 請求項8に記載の電解槽の防食方法において、
    上記防食電圧印加工程は、バックアップ電池により、上記副電源の稼働を維持する工程を含むことを特徴とする、電解槽の防食方法。
  10. 請求項8又は9に記載の電解槽の防食方法において、
    上記主電源が稼働しているか否かを検出する検出工程と、
    この検出工程による検出の結果、上記主電源が稼働していることを条件として、上記電解電圧印加工程によって、上記主電源から上記電解電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加させる一方、上記主電源が稼働していないことを条件として、上記副電源から上記防食電圧を上記陽極と上記陰極との間に印加させる印加電圧切換工程とを含むことを特徴とする、電解槽の防食方法。
  11. 請求項8又は9に記載の電解槽の防食方法において、
    上記電解電圧に関連する電流の流れを上記主電源から上記陽極及び陰極に向かう一方向に規制する一方、上記防食電圧に関連する電流の流れを上記副電源から上記陽極及び陰極に向かう一方向に規制する行程を含むことを特徴とする、電解槽の防食方法。
  12. 請求項7乃至11のいずれかに記載の電解槽の防食方法において、
    上記防食電圧は、1.0V乃至2.5Vに設定されていることを特徴とする、電解槽の防食方法。
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