JP3613713B2 - 水系化粧料 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は粉体を含有し、油剤や界面活性剤を含まない水系化粧料において、使用感がよく、耐水性、耐汗性に優れ、皮膚刺激がなく、かつ経時安定性の良好な化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、粉体と水とを含む化粧料として古くは水白粉などが用いられてきた。このタイプの化粧料は多量の水を含んでいるため、清涼感があり、さっぱりとした使用感を有するが、通常、水、粉体、保湿剤等からなり油分が配合されていないため、化粧をする際、なめらかさに欠け、仕上がりが粉っぽかったり、経時での化粧持ちや耐水性、耐汗性が著しく悪いという欠点があった。また、静置時には水と粉体との二層に分離しており、使用する際に振とうして使う必要性があり、均一な化粧をしづらいものであった。また、粉体としては一般にタルク、カオリン、マイカ、などの体質顔料が用いられるが、皮脂による色沈みが起きたりするために多量の配合が困難であった。また、化粧崩れの原因として汗や水などの水性成分が注目され、かかる化粧崩れを防止するため、表面を金属石鹸、脂肪酸、リン脂質、シリコーン油などで処理した粉体の配合が行われてきた。しかし、これらの表面処理粉体を配合した化粧料は、皮脂等の油性成分による化粧崩れを防止することはできなかった。さらに、これらの粉体を水系に均一分散する手段として、機械力により強制的に分散させるか、あるいは界面活性剤を多量に配合し分散させる方法が行われてきたが、こうして得られた化粧料は皮膚に対する刺激性や経時での化粧持ちの悪化という問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の欠点を改良する方法として、油分を配合することが考えられるが、水系に単純に油分を配合すれば上部に油層ができてしまい、均一な乳液状にならないので使用感の一定なものが得られない。そこで粉体に油分を配合(特公平2−3768号公報)することも考えられたが、これは、粉体層と水層からなる二層型のものであった。また、使用時のなめらかさを演出するために、水溶性高分子等を配合し、系を均一にする方法も考えられるが、この方法では化粧膜の耐油性が低下したり、あるいは粉体の凝集にともなう経時安定性の悪さや、きめの悪さ、化粧崩れによる汚さがめだち、化粧の持続性が悪化するという問題があった。従って、本発明の目的は、使用が簡便であり、使用時の感触が良好で、化粧持続性に優れ、さらに経時安定性が良好な水系化粧料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定量のシリコーン系撥水処理粉体及び/又はフッ素系撥水・撥油処理粉体と低級アルコールを、アクリル酸系ポリマーエマルションとアルカリ剤とで増粘させた水性成分に分散することで、前記目的を達成する化粧料が得られることを知見した。さらに、撥水及び撥水・撥油処理した粉体は水系に混合あるいは分散するためには、通常機械力により行っていたが、これを予め低級アルコールで濡らすことにより、水系への分散を容易に行えることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は次の成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e):
(a)シリコーン系撥水処理粉体及び/又はフッ素系撥水・撥油処理粉体1〜50重量%(b)メタノール、エタノール及びイソプロパノールから選ばれた低級アルコール1〜20重量%
(c)アルカリ剤の添加により増粘するアクリル酸系ポリマーエマルション(固形分濃度30重量%に換算して)0.5〜10重量%
(d)アルカリ剤0.01〜2.5重量%
(e)水性成分97.49〜17.5重量%
を含有する水系化粧料であって、成分(a)を成分(b)で予め濡らした後、成分(c)、成分(d)及び成分(e)の混合液に分散してなり、一層であることを特徴とする水系化粧料を提供するものである。
【0006】
本発明に用いられるシリコーン系撥水処理粉体(a)(以下、撥水処理粉体と略す)は、通常化粧料に用いられる粉体をシリコーン系撥水処理剤で表面処理することにより得られるものである。
【0007】
本発明に用いられるフッ素系撥水・撥油処理粉体(a)(以下、撥水・撥油処理粉体と略す)は、通常化粧料に用いられる粉体をフッ素系撥水・撥油処理剤で表面処理することにより得られるものである。
【0008】
撥水処理粉体、及び撥水・撥油処理粉体に用いられる粉体としては、化粧料一般に用いられるもの、例えば、体質顔料、白色顔料、有色顔料、有機粉末、パール剤等が使用可能である。具体的には、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベントナイト、無水ケイ酸、ケイ酸アンモニウムマグネシウム、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、黄酸化鉄、ナイロン末、シルクパウダー、雲母チタン等があげられ、これらは特に限定されるものではなく、必要に応じて、1種又は2種以上を組み合わせて用いられる。又、これらの粉体は予め油剤処理したものも使用することができる。
【0009】
シリコーン系撥水処理剤としては、特に限定されないが、好ましくはメチルハイドロジェンポリシロキサンが使用でき、かかるシリコーン系撥水処理剤は、KF−99−P(信越化学(株)製)、SH1107C(トーレ・シリコーン(株)製)として市販されているものを使用することができる。
【0010】
フッ素系撥水・撥油処理剤としては、特に限定されないが例えば次の一般式(1)又は(2)
【0011】
【化2】
【0012】
で表され、かかるフッ素系撥水・撥油処理剤は、例えばアサヒガードAG530(旭硝子(株)製)として市販されているものを使用することができる。
【0013】
撥水処理粉体は、粉体表面をシリコーン系撥水処理剤にて処理することにより得られるもので、具体的には粉体の1種又は2種以上の混合物と処理剤とを混合するか、粉体に処理剤を噴霧すること及びさらに必要によりこれらの方法により得られた処理粉体を加熱又は焼付け処理すること等、通常行われる方法により実施される。
【0014】
撥水・撥油処理粉体は、例えば粉体の1種又は2種以上の混合物に水を加えてスラリー状態とし、一方フッ素系撥水・撥油処理剤に水を加えて攪拌し0.1〜5重量%(以下単に「%」で示す)のエマルション状態としたものを、前記スラリーに徐々に注入・混合した後酸性とし、常温又は高温静置等によってエマルションを破壊して粉体の表面をフッ素系撥水・撥油処理剤の連続層で被覆させ、次いで洗浄・濾過、乾燥することにより製造される。処理時の粉体の濃度は特に制限されないが、例えば5〜20%の比較的高濃度でも十分に攪拌混合が可能であり、小型装置で大量処理が可能である。また、フッ素系撥水・撥油処理剤は、粉体に対して0.1〜10%、特に0.5〜5%用いるのが好ましい。尚、これらの処理は10〜35℃の大気下で行うことができる。
【0015】
本発明に用いられる、撥水処理粉体及び/又は撥水・撥油処理粉体(a)の配合量は1〜50%が好ましく、この範囲で用いれば、使用性、使用感に優れ、撥水処理粉体及び/又は撥水・撥油処理粉体の特徴であるのびのなめらかさや肌への付着性、化粧膜の持続性が良好となる。
【0016】
本発明に用いられる低級アルコール(b)としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールが挙げられるが、エタノールが特に好ましい。本発明における低級アルコールの配合量は1〜20%が好ましい。低級アルコールを用いない場合は、清涼感、さっぱり感が得られない。
【0017】
本発明に用いられる、アルカリ剤の添加により増粘するアクリル酸系ポリマーエマルシ ョン(c)としては、通常のアクリル酸又はメタアクリル酸の重合体、これらの共重合体、及びアクリル重合体を一部架橋したもの、例えば、アクリル酸又はメタアクリル酸のホモポリマーエマルション又はコポリマーエマルション、及びそれらの塩が挙げられる。これらの配合量は、通常化粧料に使用される量であって、特に限定されず、他の成分との関係、また、感触及び粘性調整の目的等で決められるが、アルカリ剤の添加により増粘するアクリル酸系ポリマーエマルション(固形分30%)の場合、0.5〜10%(固形分としては、0.15〜3%)、好ましくは1〜3%(固形分としては0.3〜0.9%)である。
【0018】
本発明に用いられるアルカリ剤(d)としては、特に制限されるものではなく、通常化粧料に使用されるものであれば、そのいずれのものも使用することができる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ剤、L−アルギニン等の塩基性アミノ酸、トリエタノールアミン等のアミン類、アンモニア等が挙げられる。アルカリ剤の添加量はその種類によって異なり、特に限定されるものではなく、アルカリ剤の添加により増粘するアクリル酸系ポリマーの種類、量によって決定すればよいが、好ましくは0.01〜2.5%である。このアルカリ剤は、予め水に溶解することで、あるいは直接ポリマーと混合して添加できる。
【0019】
本発明に用いられる水性成分(e)としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、水等があげられ、配合量としては30〜90%が好ましい。
【0020】
本発明の化粧料には本発明の効果を妨げない範囲で従来の液状化粧料に使用される粉体、保湿剤(例えばポリエチレングリコール等)、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘液質等を添加することができる。ただし、化粧膜の持続性、皮膚刺激性の観点から通常の油性成分や界面活性剤は配合しないことが望ましい。
【0021】
本発明の水系化粧料は、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び任意成分を均一に混合することにより、すなわち、アルカリ剤の添加により増粘するアクリル酸系ポリマーエマルション(c)と、アルカリ剤(d)とを添加して増粘させた水性成分(e)中に、撥水処理粉体及び/又は撥水・撥油処理粉体(a)を分散せしめることにより得られるが、撥水処理粉体及び/又は撥水・撥油処理粉体(a)を水系中に分散する前に予め低級アルコール(b)の全部又は一部でよく濡らしておくことにより、これらの粉体の分散性が極めて向上し、製造上の効率化が図れると共に、経時安定性が向上する。本発明の水系化粧料は、ファンデーション、頬紅、アイシャドウ等のメークアップ化粧料に限らず、基礎化粧料等にも適用することができる。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を挙げて更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0023】
実施例1〜3及び比較例1〜3
表1に示す処方の化粧料を調製し、使用時及び使用後の使用感、化粧料の持続性について官能評価を行った。その結果を表2に示す。なお、実施例1、2、3及び比較例1、2、3はファンデーションである。
【0024】
【表1】
【0025】
(製法)
A.(1)〜(11)を混合粉砕する。
B.Aに(12)及び(13)を添加後、充分混合攪拌して、均一にする。
C.(14)〜(20)を混合溶解し、攪拌しながら、Bを加え、均一に分散する。
D.Cを容器に充填して製品とする。
【0026】
(評価方法)
10名の官能パネルにより下記の7段階(0〜6)の絶対評価を行い、その平均点をさらに4段階に分けて評価した。
(1)絶対評価
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(2)4段階評価
5.0〜6.0:非常に良好:◎
3.0〜4.9:良好 :○
1.0〜2.9:やや不良 :△
0 〜0.9:不良 :×
【0027】
【表2】
【0028】
表2の結果から明らかなように、本発明品である実施例1〜3の水系化粧料は、比較例1〜3の水系化粧料に比較して、使用感、使用性面で、はるかに優れた特性を有していることが分かる。特に、本発明品は、二層タイプでないため使用時に振とうする必要がなく使用が簡便であり、のびもなめらかで、付着性も良好である。又、使用後の仕上がりも粉っぽさがなくかつべとつきのない仕上がりで、さっぱり感を付与し、その上、経時での化粧膜がくずれにくく、しっかりとした化粧膜を付与するものである。一方、水溶性高分子を配合した比較例1では、経時での粉体の凝集を生じ、安定性が悪く経時により使用性の変化が見られた。又、油性物質を配合した比較例2では、経時での油うきが観察された。比較例3についても使用時の評価において満足するものは得られなかった。
【0029】
【0030】
(製法)
A.(1)〜(5)を混合粉砕する
B.Aに(6)を添加後、充分混合攪拌して、均一にする。
C.(7)〜(12)を混合溶解し、攪拌しながらBを加え、均一に分散する。
D.Cを容器に充填して製品とする。
【0031】
【0032】
(製法)
A.(1)〜(7)を混合粉砕する。
B.Aに(8)を添加後、充分混合攪拌して、均一にする。
C.(9)〜(14)を混合溶解し、攪拌しながらBを加え、均一に分散する。
D.Cを容器に充填して製品とする。
【0033】
上記実施例4、5については、実施例1〜3と同様に、使用感、使用性において、優れた特性を有するものが得られた。
【0034】
【発明の効果】
本発明の水系化粧料は、使用が簡便で、清涼感、さっぱり感、しっとり感等の良好な使用感を有し、また皮膚への展延性、親和性が良好で、なめらかにのび、しかも化粧持続性に優れる等の使用特性を有し、経時安定性にも優れるものである。
Claims (3)
- 次の成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e):
(a)シリコーン系撥水処理粉体及び/又はフッ素系撥水・撥油処理粉体1〜50重量%
(b)メタノール、エタノール及びイソプロパノールから選ばれた低級アルコール1〜20重量%
(c)アルカリ剤の添加により増粘するアクリル酸系ポリマーエマルション(固形分濃度30重量%に換算して)0.5〜10重量%
(d)アルカリ剤0.01〜2.5重量%
(e)水性成分97.49〜17.5重量%
を含有する水系化粧料であって、成分(a)を成分(b)予めで濡らした後、成分(c)、成分(d)及び成分(e)の混合液に分散してなり、一層であることを特徴とする水系化粧料。 - シリコーン系撥水処理粉体が、化粧料用粉体をメチルハイドロジェンポリシロキサンで処理したものである請求項1記載の水系化粧料。
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JP28062693A JP3613713B2 (ja) | 1993-10-14 | 1993-10-14 | 水系化粧料 |
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---|---|---|---|
JP28062693A JP3613713B2 (ja) | 1993-10-14 | 1993-10-14 | 水系化粧料 |
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JPH07112915A JPH07112915A (ja) | 1995-05-02 |
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Family Applications (1)
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JP28062693A Expired - Lifetime JP3613713B2 (ja) | 1993-10-14 | 1993-10-14 | 水系化粧料 |
Country Status (1)
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-
1993
- 1993-10-14 JP JP28062693A patent/JP3613713B2/ja not_active Expired - Lifetime
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