JP3613670B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、希薄燃焼運転可能な内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気浄化装置に関し、特に、触媒により排気ガス中のNOxを浄化することができる排気浄化装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関から排出される排気ガス中の有害成分の大気への排出量を低減するための一手段として、触媒の酸化作用あるいは還元作用を利用して有害成分を浄化するシステムがある。この排気浄化システムは、車両用内燃機関にも多く採用されている。
【0003】
現在、実用に供されている排気ガス浄化用の触媒には、酸化触媒、三元触媒、NOx触媒などがあり、これら触媒を、内燃機関の燃焼形態や空燃比、あるいは浄化すべき有害物質の種類などに応じて使い分けている。
【0004】
これら触媒のうちNOx触媒は、希薄燃焼運転可能な内燃機関から排出される排気ガスを浄化することができる触媒として多用されている。NOx触媒としては、選択還元型NOx触媒と吸蔵還元型NOx触媒がある。選択還元型NOx触媒とは、酸素過剰の雰囲気で炭化水素(HC)の存在下でNOxを還元または分解する触媒をいい、一方、吸蔵還元型NOx触媒とは、流入排気ガスの空燃比がリーンのときはNOxを吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出しN2に還元する触媒をいう。これらNOx触媒は、排気ガス中のHC,COを酸化して浄化する酸化作用と、排気ガス中のNOxを還元して浄化する還元作用を備えている。
【0005】
一般に、触媒を長期に亘って使用していると、その触媒が有する酸化作用や還元作用が衰えていく、いわゆる劣化が生じる。上記NOx触媒も例に漏れず、長期に亘って使用していると、酸化作用の衰えによりHC浄化能力が低下したり(これをHC劣化と区別する場合もある)、還元作用の衰えによりNOx浄化能力が低下したり(これをNOx劣化と区別する場合もある)する。劣化したNOx触媒を使用し続けると、排気ガス中の有害物質を浄化しきれなくなり、有害物質を含む排気ガスを大気中に排出する虞れがある。したがって、このような浄化能力の低下したNOx触媒に対しては交換等の措置が必要であり、そのためには触媒の浄化能力の管理(換言すれば、触媒の劣化判定)が極めて重要である。
【0006】
触媒の劣化判定技術に関しては、例えば特開平5−312024号公報に開示されているものがある。この公報に記載された技術では、触媒がその機能を発揮しているときには発熱を伴うことに着目し、その温度変化に基づいて触媒の劣化を判定する。
【0007】
詳述すると、内燃機関の排気通路に設けられたNOx触媒の上流と下流に排気ガス温度を検出する温度センサを設け、内燃機関の通常の運転状態における上流側の排気ガス温度と下流側の排気ガス温度の温度差を演算する。NOx触媒が正常に機能してHC,CO,NOxを浄化しているとき、NOx触媒は触媒反応により発熱するので、下流側の排気ガス温度が上流側の排気ガス温度よりも上昇する。ところが、NOx触媒の劣化が進行するにしたがってNOx触媒における発熱量が低下するため、下流側の排気ガス温度は上流側の排気ガス温度に近付いてくる。つまり、NOx触媒の劣化が進行するにしたがって、下流側の排気ガス温度と上流側の排ガス温度の差は小さくなる。そこで、下流側の排気ガス温度と上流側の排気ガス温度の温度差が予め設定した閾値以下になったときに、該NOx触媒が劣化したと判定する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のように温度差に基づいて触媒の劣化判定を行う場合、内燃機関が過渡運転状態にあるときは、排気ガス温度が不安定で判定精度が落ちるので、劣化判定の実行時期としては適さない。これに対して、内燃機関が定常運転状態にあるときは、排気ガス温度が安定し判定精度が向上するので、劣化判定の実行時期として最適である。
【0009】
アイドル運転状態も前記定常運転状態の一形態であり、従来からアイドル運転時に触媒の劣化判定を行う場合もあった。しかしながら、アイドル運転時の触媒における発熱量はアイドル運転に入る前の内燃機関の運転状態の影響を大きく受けるため、アイドル運転時に触媒の劣化判定を行ったからといって、その判定結果が常に高精度であるとは限らない。
【0010】
従来は、アイドル運転に入る前の内燃機関の運転状態がアイドル時の劣化判定精度に与える影響を考慮していなかった。
本発明はこのような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、NOx触媒に対する劣化判定精度の向上と、判定結果の信頼性向上を図ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置は、(イ)希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられたNOx触媒と、(ロ)前記内燃機関のアイドル運転開始から劣化判定時間経過後の前記NOx触媒の触媒温度(あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度)を検出する温度検出手段と、(ハ)前記劣化判定時間内の少なくとも所定期間の間、前記NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段と、(ニ)前記温度検出手段により検出された温度と基準温度とを比較し、その比較値の大きさに基づいて前記NOx触媒が劣化しているか否かを判定する劣化判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この内燃機関の排気浄化装置においては、次の実行条件が満たされたときにNOx触媒の劣化判定を実行する。
(1)内燃機関がアイドル運転状態にあること。
(2)アイドル運転がアイドル運転開始から劣化判定時間継続して行われていること。
(3)前記劣化判定時間内の少なくとも所定期間の間、前記還元剤供給手段がNOx触媒に還元剤を継続して供給していること。
【0013】
そして、アイドル運転開始から劣化判定時間経過後に前記温度検出手段は前記NOx触媒の触媒温度(あるいは前記NOx触媒出口の排気ガス温度)を検出し、前記劣化判定手段は、前記温度検出手段で検出した温度と基準温度とを比較して、その比較値の大きさに基づいてNOx触媒が劣化したか否か判定する。
【0014】
本発明におけるNOx触媒の劣化判定の原理は次の通りである。NOx触媒に還元剤を供給した場合に、NOx触媒が劣化しておらず、且つ、触媒温度が活性温度範囲にあるときには、NOx触媒において触媒反応が起こり、その際にNOx触媒は発熱して触媒温度が上昇する。このときの発熱量は、全く劣化していない新品のときが最大であり、NOx触媒の劣化が進行すると減少していき、触媒温度の上昇が低減する。したがって、この触媒反応による触媒温度の上昇の大きさからNOx触媒の劣化の程度を知ることができる。本発明では、アイドル運転開始から劣化判定時間経過後のNOx触媒温度と基準温度との比較値から、触媒反応に基づく触媒温度上昇の程度を検出し、その温度上昇程度を示す比較値に基づいてNOx触媒が劣化したか否か判定する。尚、NOx触媒の触媒温度の代用としてNOx触媒の出口の排気ガス温度を用いても、本発明は成立する。
【0015】
アイドル運転がアイドル運転開始から劣化判定時間継続して行われていることを劣化判定の実行条件としたのは、アイドル運転に入る前の内燃機関の運転状態がNOx触媒における前記発熱量に与える影響を無くすため、および、劣化判定のための前記比較値を明確にするためには、所定の時間アイドル運転を継続する必要があるからである。
【0016】
また、前記劣化判定時間内の少なくとも所定期間の間、前記還元剤供給手段がNOx触媒に還元剤を継続して供給していることを劣化判定の実行条件としたのは、NOx触媒において触媒反応による発熱を起こし触媒温度の上昇を生じさせるためには、NOx触媒に還元剤を所定期間継続して供給する必要があるからである。
【0017】
本発明において、内燃機関としては、ディーゼルエンジンあるいは希薄燃焼可能なガソリンエンジンを例示することができる。
本発明において、NOx触媒としては、選択還元型NOx触媒や吸蔵還元型NOx触媒を例示することができる。
【0018】
選択還元型NOx触媒は、酸素過剰の雰囲気で炭化水素の存在下でNOxを還元または分解する触媒をいい、例えば、ゼオライトにCu等の遷移金属をイオン交換して担持した触媒、ゼオライトまたはアルミナに貴金属を担持した触媒、等が含まれる。
【0019】
吸蔵還元型NOx触媒は、該触媒に流入する排気ガスの空燃比がリーンのときはNOxを吸収し、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出しN2に還元する触媒をいう。吸蔵還元型NOx触媒は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Ptのような貴金属とが担持されてなる。
【0020】
本発明において、温度検出手段は、温度センサによって構成することができる。
本発明において、還元剤供給手段によりNOx触媒に供給する還元剤としては炭化水素(HC)が好適である。
【0021】
本発明において、還元剤供給手段は、膨張行程あるいは排気行程において気筒内に燃料を副噴射する副噴射手段により構成することもできるし、内燃機関の気筒とNOx触媒の間の排気通路に還元剤を供給する還元剤供給装置で構成することもできる。
【0022】
また、還元剤供給手段による還元剤の供給は、連続供給であってもよいし間欠供給であってもよく、どちらの供給方法を採用するかは、使用するNOx触媒の種類や、排気浄化装置の全体システムによって決定される。いずれの供給方法を採用する場合であっても、劣化判定時間内の所定期間の間、継続して還元剤が供給されていることが劣化判定実行条件となる。
【0023】
本発明において、劣化判定手段が前記温度検出手段で検出した温度と基準温度とを比較して得る比較値は、一方の温度から他方の温度を減算して得た差としてもよいし、一方の温度を他方の温度で除算して得た商とすることも可能である。
【0024】
本発明において、NOx触媒の劣化判定の実行周期は、前述した実行条件が満足するアイドル運転時に毎回実行してもよいし、所定運転時間毎あるいは所定走行距離毎に実行条件が満足したアイドル運転時に実行するようにしてもよい。
【0025】
本発明においては、前記内燃機関のアイドル運転開始時における前記NOx触媒の触媒温度(あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度)が所定温度範囲から外れている場合には、前記NOx触媒に対する劣化判定の実行を禁止するのが好ましい。NOx触媒には活性温度範囲があり、この活性温度範囲から外れているとNOx触媒において触媒反応が殆ど起こらず、判定精度が悪くなるからである。
【0026】
本発明の内燃機関の排気浄化装置は、前記内燃機関のアイドル開始時における前記NOx触媒の触媒温度(あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度)と前記温度検出手段により検出された温度との温度差の大きさに応じて前記劣化判定手段の判定閾値を変更する閾値変更手段を備えることができる。アイドル開始時の触媒温度と劣化判定時間経過後の触媒温度との温度差は、劣化判定の対象となるNOx触媒において大きいときには、全く劣化していない新品のNOx触媒においても大きくなるので、前記温度差に応じて判定閾値を変更した方が、判定精度が向上する。
【0027】
本発明においては、前記内燃機関のアイドル開始時における前記NOx触媒の触媒温度(あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度)の大きさに応じて前記劣化判定時間を変更することもできる。アイドル開始時の前記温度が大きくなるにしたがって劣化判定時間を長くすると、判定精度が向上する。
【0028】
本発明において、前記基準温度は、完全劣化したNOx触媒がアイドル運転開始から劣化判定時間経過後になり得ると推定される触媒温度とすることができる。
【0029】
本発明においては、前記基準温度は、完全劣化したNOx触媒がアイドル運転開始から劣化判定時間経過後になり得ると推定される触媒温度とし、前記劣化判定手段は、前記温度検出手段により検出された温度から前記基準温度を減算して得た温度差の大きさに基づいて前記NOx触媒が劣化しているか否かを判定し、前記閾値変更手段は、アイドル開始時における前記NOx触媒の触媒温度(あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度)と前記温度検出手段により検出された温度との温度差が大きいほど判定閾値を小さくするように変更するものとすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の一実施の形態を図1から図5の図面に基いて説明する。尚、以下に記載する実施の形態は、本発明に係る排気浄化装置を内燃機関としての車両用ディーゼルエンジンに適用した態様である。
【0031】
図1は内燃機関の排気浄化装置の一実施の形態における全体構成を示す図である。エンジン1はディーゼルエンジンであり、各気筒の燃焼室2には吸気管3および吸気弁4を介して吸気が導入される。
【0032】
また、エンジン1には、各気筒毎に燃焼室2に燃料を噴射する燃料噴射弁5が設けられている。燃料噴射弁5の開弁時期及び開弁期間は、エンジン1の運転状態に応じてECU100により制御され、ピストン6が圧縮上死点近傍に位置したときに燃料を主噴射し、膨張行程あるいは排気行程で燃料を副噴射するように制御される。
【0033】
各気筒の燃焼室2で生じた排気ガスは、排気弁7を介して排気管8に排出される。排気管8の途中には、上流側から順に、選択還元型NOx触媒(以下、この実施の形態においてNOx触媒と略すこともある)10を収容したケーシング11と、酸化触媒20を収容したケーシング21が設けられており、これら触媒10,20を通過した排気ガスは図示しないマフラーを介して大気に排出される。
【0034】
選択還元型NOx触媒は、酸素過剰の雰囲気で炭化水素(HC)の存在下でNOxを還元または分解する触媒をいい、例えば、ゼオライトにCu等の遷移金属をイオン交換して担持した触媒、ゼオライトまたはアルミナに貴金属を担持した触媒、等が含まれる。
【0035】
排気管8においてケーシング11の直ぐ上流には、NOx触媒10に流入する排気ガス(以下、入ガスという)の温度に対応した出力信号をECU100に出力する入ガス温センサ31が取り付けられている。
【0036】
また、ケーシング11の略中央には、NOx触媒10の温度(触媒温度)に対応した出力信号をECU100に出力する触媒温センサ(温度検出手段)32が取り付けられている。
【0037】
ECU100はデジタルコンピュータからなり、双方向バスによって相互に接続されたROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、CPU(セントラルプロセッサユニット)、入力ポート、出力ポートを具備し、エンジン1の燃料噴射量制御等の基本制御を行うほか、この実施の形態では、NOx触媒の劣化判定処理を行っている。
【0038】
これら制御のために、ECU100の入力ポートには、アクセル開度センサ51からの入力信号と、クランク角センサ52からの入力信号と、アイドルスイッチ53からの入力信号が入力される。アクセル開度センサ51はアクセル開度に比例した出力電圧をECU100に出力し、ECU100はアクセル開度センサ51の出力信号に基づいてエンジン負荷を演算する。クランク角センサ52はクランクシャフトが一定角度回転する毎に出力パルスをECU100に出力し、ECU100はこの出力パルスに基づいてエンジン回転数を演算する。これらエンジン負荷とエンジン回転数によってエンジン運転状態が判別される。また、アイドルスイッチ53はアクセル全閉のときにONとなってアイドル状態を示す出力信号をECU100に出力する。
【0039】
選択還元型NOx触媒10で排気ガス中のNOxを浄化するためには、NOx触媒10において所定濃度のHCが必要であり、この実施の形態では、NOx触媒10にNOx浄化用のHCを供給する手段として、前述の如くエンジン1の膨張行程あるいは排気行程で燃料噴射弁5から燃料を副噴射している。したがって、この実施の形態においては、燃料噴射弁5によって、NOx触媒10に還元剤を供給する還元剤供給手段が実現される。
【0040】
ここで、副噴射量はエンジン1の運転状態に基づきECU100が演算する。即ち、エンジン1の運転状態からNOx排出量を推定することができ、さらに当該排出量のNOxを浄化するのに必要な還元剤(HC)量を推定することができることから、ECU100は、エンジン1の運転状態に基づき、予めROMに記憶しておいた副噴射量マップ(図示せず)を参照してNOx浄化に必要な副噴射量を演算する。
【0041】
このエンジン1においては、NOx触媒10の触媒温度が活性温度範囲から外れているときには副噴射を実行しない。活性温度範囲から外れているときにはNOx触媒10に還元剤を供給してもNOxを浄化することができず、燃費悪化になるだけだからである。
【0042】
NOx触媒10の触媒温度が活性温度範囲にあるなどの副噴射実行条件が成立したときには、燃料噴射弁5から燃焼室2への燃料の副噴射が実行され、排気ガス中のNOxを浄化するのに必要なHCがNOx触媒10に供給される。
【0043】
次に、この実施の形態におけるNOx触媒10の劣化判定処理について説明する。
前述のように副噴射を実行してNOx触媒10にHCを供給した場合に、NOx触媒10が劣化しておらず、且つ、触媒温度が活性温度範囲にあるときには、NOx触媒10において酸化、還元反応が起こり、HC,CO,NOxが浄化される。このNOx触媒10の触媒反応によりNOx触媒10は発熱し、触媒温度が上昇する。この発熱量は、NOx触媒10の劣化の進行によって徐々に減少していき、NOx触媒10が完全に(100%)劣化したときには、触媒反応による発熱はなくなる。
【0044】
したがって、NOx触媒10が触媒反応により上昇した温度の大きさを検出することができれば、その大きさに基づいてNOx触媒10が劣化しているか否か判定することができる。これが、この排気浄化装置におけるNOx触媒10の劣化判定の原理である。
【0045】
NOx触媒10が触媒反応により上昇した温度の大きさを求めるには外乱の少ないエンジン1の定常運転時が好ましく、特に、アイドル運転時は常に同一条件下で判定することができることから、判定精度が向上し、信頼性が高くなるので、より好ましい。そこで、この排気浄化装置では、NOx触媒10の劣化判定処理をアイドル運転時に行うこととした。
【0046】
また、アイドル運転時といえども、アイドル運転時のNOx触媒10における発熱量は、アイドル運転に入る前のエンジン1の運転状態の影響を大きく受けるので、この排気浄化装置では、アイドル運転前の運転状態による影響がなくなるまで待ってから劣化判定を実行することにした。即ち、この排気浄化装置では、アイドル運転開始から所定時間(以下、これを劣化判定時間という)アイドル運転が継続された後に劣化判定を実行することにした。
【0047】
そして、劣化判定時間は、次のようにして決定する。図2は、車両を10・15モードの運転パターンで走行したときに、劣化していない新品のNOx触媒(以下、新品触媒という)の触媒温度(太い実線)と、ある程度劣化したNOx触媒(以下、これを耐久品触媒という)の触媒温度(細い実線)と、完全劣化したNOx触媒(以下、これを完全劣化触媒という)の触媒温度(破線)の経時変化を実験的に求めて得た実験結果の一例である。アイドル運転状態では、触媒温度は経時的に低下していくが、完全劣化触媒に着目すると、アイドル運転開始から所定時間が経過すると完全劣化触媒の触媒温度はほぼ平衡している。このことから、この時点になると、アイドル運転に入る前のエンジン1の運転状態が触媒温度に与える影響は、殆どないということができる。しかも、完全劣化触媒の触媒温度がほぼ平衡したときに、新品触媒と耐久品触媒の触媒温度差が極めて大きくなり、新品と耐久品の差が明確になる。そこで、この実施の形態では、アイドル運転開始から完全劣化触媒の触媒温度がほぼ平衡するまでにかかる時間を予め実験的に求め、これを劣化判定時間として採用する。
【0048】
次に、NOx触媒10の劣化判定は次のようにして行う。図2において、耐久品触媒の触媒温度から完全劣化触媒の触媒温度を減算して得た温度差が、耐久品触媒が触媒反応によって上昇した温度であるということができる。しかしながら、実車両に完全劣化触媒を搭載しその触媒温度を検出するのは非現実的である。そこで、この実施の形態では、アイドル運転開始時のNOx触媒10の入ガス温度から、前記劣化判定時間が経過した後の完全劣化触媒の触媒温度を推定することにした。そして、推定した完全劣化触媒の触媒温度を基準温度として、劣化判定時間経過後に触媒温センサ32で検出したNOx触媒10の触媒温度から前記基準温度を減算して、NOx触媒10が触媒反応によって上昇した温度を求め、この上昇温度が予め設定した所定の閾値よりも小さい場合に、NOx触媒10は劣化していると判定することにした。
【0049】
前記基準温度は、完全劣化触媒の熱容量を考慮してNOx触媒10の入ガス温度をなまし処理したものと言うことができる。
なお、この実施の形態では、予め実験的にアイドル運転開始時のNOx触媒の入ガス温度と前記基準温度との関係を求め、これに基づいて基準温度マップ(図示せず)を作成しECU100のROMに記憶しておく。
【0050】
ところで、アイドル運転開始時の触媒温度と劣化判定時間経過後の触媒温度との温度差は、耐久品触媒の該温度差が大きいときには新品触媒の該温度差も大きくなり、耐久品触媒の該温度差が小さいときには新品触媒の該温度差も小さくなることが、実験的に確認されている。したがって、前述のようにNOx触媒10の劣化判定を行う場合には、アイドル運転開始時におけるNOx触媒10の触媒温度と劣化判定時間経過後のNOx触媒10の触媒温度との温度差の大きさに応じて、この温度差が大きいほど前記劣化判定の閾値を小さくするように閾値を変更するのが好ましい。
【0051】
そこで、この実施の形態では、予め実験的に、新品触媒について、アイドル運転開始時の触媒温度と劣化判定時間経過後の触媒温度との温度差と、劣化判定時間経過後における触媒反応に基づく温度上昇分との関係を求め、この新品触媒の実験結果に基づいて、アイドル運転開始時と劣化判定時間経過後の触媒温度の温度差に対応する判定閾値を設定し、これを図3に示すような閾値マップにしてECU100のROMに予め記憶しておく。
【0052】
そして、劣化判定を実行する毎に、アイドル運転開始時の触媒温度と劣化判定時間経過後の触媒温度との温度差を演算し、この温度差に応じた判定閾値を前記閾値マップを参照して算出し、この判定閾値を採用して劣化判定を実行するようにした。
【0053】
また、この実施の形態では、アイドル運転開始時のNOx触媒10の触媒温度が副噴射実行温度範囲から外れている場合には、NOx触媒10に対する劣化判定の実行を禁止するようにした。そもそも、この排気浄化装置では、NOx触媒10に還元剤としてのHCを供給したときに触媒反応に基づいてNOx触媒10の温度が上昇する現象を利用して劣化判定を行っており、HCの供給がないときにはNOx触媒10において触媒反応が殆どなく、温度上昇が極めて小さい。そして、この実施の形態ではNOx触媒10へのHC供給を副噴射により行っており、NOx触媒10の触媒温度が副噴射実効温度範囲から外れているときには、副噴射が実行されず、NOx触媒10の劣化判定を実質的に実行し得ないからである。
ただし、アイドル開始時のNOx触媒10の触媒温度が副噴射実行温度範囲から高い側に外れている場合には、しばらくアイドル放置すれば副噴射実行温度範囲に入ってくるため、このような場合には劣化判定を実行してもよい。
【0054】
さらに、副噴射実効温度範囲はNOx触媒10の活性温度範囲内において設定されており、副噴射実行温度範囲から外れている場合には、NOx触媒10の触媒温度も活性温度範囲から外れていることになるため、万が一、エンジン1から排出される排気ガスのHC濃度が高かったとしても、このときにはNOx触媒10において触媒反応が殆どないことも、大きな理由である。
【0055】
さらに、この実施の形態では、前記劣化判定時間の間における所定期間の間、副噴射が継続して実行されなかった場合にも、NOx触媒10に対する劣化判定の実行を禁止するようにした。これは、副噴射の継続時間が前記所定期間よりも短い場合には、副噴射によるNOx触媒10の温度上昇の影響が表れず、NOx触媒10の劣化判定を行うことができないからである。
【0056】
次に、この実施の形態におけるNOx触媒10の劣化判定処理を図4及び図5を参照して説明する。
図4は、劣化判定時においてエンジン1のアイドル運転開始前後に亘るNOx触媒の触媒温度経時変化の一例を示す図であり、この図において、細い実線は劣化判定の対象となるNOx触媒10の触媒温度を示し、破線は完全劣化触媒の推定触媒温度を示し、太い実線は新品触媒の触媒温度を示している。
【0057】
劣化判定処理は、図5に示す劣化判定処理ルーチンに従って実行される。図5に示す劣化判定処理ルーチンは、ECU100のROMに予め記憶されており、所定時間毎にCPUによって繰り返し実行されるルーチンである。
【0058】
<ステップ101>
ECU100は、まず、ステップ101において、エンジン1がアイドル運転を開始して、且つ、アイドル運転開始時のNOx触媒10の触媒温度Tc1が副噴射実効温度範囲(A〜B゜C)に入っているか否かを判定する。ここで、アイドル運転については、アイドルスイッチ53が0FFからONになったときにエンジン1がアイドル運転に入ったと判定する。また、アイドル運転開始時のNOx触媒10の触媒温度Tc1はアイドル運転開始時の触媒温センサ32の出力信号から読み込む。
【0059】
ステップ101において否定判定した場合には、すなわち、エンジン1がアイドル運転を開始しないとき、あるいは、エンジン1がアイドル運転を開始してもそのときのNOx触媒10の触媒温度が副噴射実効温度範囲にないときには、ECU100は、NOx触媒10に対する劣化判定を実行すべきでなく禁止すべきであるとして、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0060】
<ステップ102>
ステップ101において肯定判定した場合には、ECU100は、ステップ102に進む。ECU100は、ステップ102において、アイドル運転開始からのアイドル運転継続時間が劣化判定時間以上であり、且つ、その劣化判定時間の間の副噴射実行継続時間が予め設定した所定期間D(秒)以上か否か判定する。
【0061】
ステップ102において否定判定した場合には、すなわち、アイドル運転継続時間が劣化判定時間に満たないとき、あるいは、副噴射実行継続時間が所定期間Dに満たないときには、ECU100は、NOx触媒10に対する劣化判定を実行すべきでなく禁止すべきであるとして、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0062】
<ステップ103>
ステップ102において肯定判定した場合には、ECU100は、ステップ103に進み、前述した基準温度マップを参照して、アイドル運転開始時の入ガス温度に対応する基準温度Cを算出する。なお、アイドル運転開始時の入ガス温度は、アイドル運転開始時の入ガス温センサ31の出力信号から読み込む。
【0063】
<ステップ104>
次に、ECU100は、ステップ104に進み、劣化判定時間経過直後の触媒温センサ53の出力信号から劣化判定時間経過後のNOx触媒10の触媒温度Tc2を読み込み、アイドル運転開始時のNOx触媒10の触媒温度Tc1から劣化判定時間経過後のNOx触媒10の触媒温度Tc2を減算して、閾値算出のための温度差△tを算出する。
△t=Tc1 − Tc2
【0064】
<ステップ105>
次に、ECU100は、ステップ105に進み、前述した閾値マップを参照して、前記温度差△tに対応する判定閾値Eを算出する。
【0065】
<ステップ106>
次に、ECU100は、ステップ106に進み、劣化判定時間経過後のNOx触媒10の触媒温度Tc2からステップ103で算出した基準温度Cを減算して、触媒反応によって温度上昇したNOx触媒10の上昇温度△Tcを算出する。
△Tc=Tc2 − C
【0066】
<ステップ107>
次に、ECU100は、ステップ107に進み、ステップ106で算出した上昇温度△Tcがステップ105で算出した判定閾値Eよりも小さいか否か判定する。
ステップ107において否定判定した場合には、NOx触媒10は未だ劣化していないので、ECUは、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0067】
<ステップ108>
一方、ステップ107において肯定判定した場合には、ECU100は、ステップ108に進んで、NOx触媒10が劣化していると判定し、その後、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0068】
以上説明したように、この実施の形態の排気浄化装置においては、NOx触媒10の劣化判定を劣化判定時間経過後に実行するようにしているので、アイドル運転開始前のエンジン1の運転状態によるNOx触媒10の発熱量への影響を殆どなくすことができる。したがって、この発熱に起因したNOx触媒10の上昇温度に基づいて行う触媒の劣化判定精度を高めることができる。
【0069】
また、この実施の形態では、アイドル運転開始時のNOx触媒10の触媒温度Tc1と劣化判定時間経過後のNOx触媒10の触媒温度Tc2との温度差△tに応じて判定閾値Eを変更しているので、NOx触媒10の劣化判定精度が高い。
【0070】
尚、この実施の形態においては、前述した劣化判定処理ルーチンのうちステップ104およびステップ105をECU100が実行することにより、本発明における閾値変更手段が実現される。また、劣化判定処理ルーチンのうちステップ106からステップ108をECU100が実行することにより、本発明における劣化判定手段が実現される。
【0071】
〔他の実施の形態〕
前述した実施の形態では劣化判定時間を一定にしたが、アイドル運転開始時の触媒温度が高いほど触媒温度が安定するまでに時間が長くかかることから、アイドル運転開始時のNOx触媒10の触媒温度の大きさに応じて、劣化判定時間を変更するようにすることも可能である。この場合、アイドル運転開始時のNOx触媒10の触媒温度が大きいほど劣化判定時間を長くするようにする。
【0072】
このように劣化判定時間を変更して劣化判定を実行する場合には、アイドル運転開始時のNOx触媒10の触媒温度の大きさに応じた劣化判定時間を予め設定して、これを劣化判定時間変更マップとしてECU100のROMに記憶しておき、劣化判定を実行する毎にこの劣化判定時間変更マップを参照して劣化判定時間を算出するようにすればよい。
【0073】
前述の実施の形態では、ケーシング11に設けた触媒温センサ32によってNOx触媒10の触媒温度を直接に検出しているが、触媒温センサ32を設ける代わりに、ケーシング11の下流に、NOx触媒10の下流の排気ガス温度を検出する出ガス温センサ(温度検出手段)を設けて、この出ガス温センサで検出した出ガス温度を前記触媒温度の代わりにして、NOx触媒10の劣化判定を行うことも可能である。その場合には、アイドル運転開始時のNOx触媒10の触媒温度に代えてアイドル運転開始時の出ガス温度を用い、劣化判定時間経過後のNOx触媒10の触媒温度に代えて劣化判定時間経過後の出ガス温度を用いて劣化判定を行う。
【0074】
前述の実施の形態では、NOx触媒10に流入する入ガス温度を入ガス温センサ31で実測し、この入ガス温度から基準温度を推定するようにしているが、入ガス温度はエンジン1の運転状態から推定可能であるので、エンジンの運転状態と基準温度とを対応させたマップを予め実験的に求めてECU100のROMに記憶させておき、このマップを参照して基準温度を推定するようにしてもよい。
【0075】
前述の実施の形態では、NOx触媒10に還元剤を供給する還元剤供給手段として、膨張行程あるいは排気行程で燃料を燃焼室2に供給する副噴射を採用したが、これに代えて、NOx触媒10よりも上流の排気管8に還元剤を供給する還元剤供給装置を採用することも可能である。
また、前述の実施の形態では、内燃機関をディーゼルエンジンとしたが、本発明の内燃機関の排気浄化装置はガソリンエンジンにも適用可能である。
【0076】
前述の実施の形態では、NOx触媒を選択還元型NOx触媒としたが、本発明の内燃機関の排気浄化装置はNOx触媒を吸蔵還元型NOx触媒とした場合にも成立する。吸蔵還元型NOx触媒は、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときはNOxを吸収し、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出しN2に還元する触媒であり、吸蔵還元型NOx触媒に吸収されたNOxを放出し還元するときに吸蔵還元型NOx触媒に還元剤(HC)を供給する。
【0077】
【発明の効果】
本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置によれば、(イ)希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられたNOx触媒と、(ロ)前記内燃機関のアイドル運転開始から劣化判定時間経過後の前記NOx触媒の触媒温度(あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度)を検出する温度検出手段と、(ハ)前記劣化判定時間内の少なくとも所定期間の間、前記NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段と、(ニ)前記温度検出手段により検出された温度と基準温度とを比較し、その比較値の大きさに基づいて前記NOx触媒が劣化しているか否かを判定する劣化判定手段と、を備えることにより、アイドル運転に入る前の内燃機関の運転状態による影響を受けずに、NOx触媒の劣化判定を行うことができるので、判定精度が向上し、判定結果に対する信頼性が高まるという優れた効果が奏される。
【0078】
本発明において、前記内燃機関のアイドル運転開始時における前記NOx触媒の触媒温度あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度が所定温度範囲から外れているときには、前記NOx触媒に対する劣化判定の実行を禁止するようにした場合には、誤判定を未然に防止することができる。
【0079】
本発明において、前記内燃機関のアイドル開始時における前記NOx触媒の触媒温度あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度と前記温度検出手段により検出された温度との温度差の大きさに応じて前記劣化判定手段の判定閾値を変更する閾値変更手段を備えた場合には、判定精度がさらに向上する。
【0080】
本発明において、前記内燃機関のアイドル開始時における前記NOx触媒の触媒温度あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度の大きさに応じて前記劣化判定時間を変更するようにした場合には、判定精度がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の一実施の形態の概略構成図である。
【図2】車両を10・15モードの運転パターンで走行したときのNOx触媒温度の経時変化を示す一例である。
【図3】前記実施の形態における閾値マップの一例である。
【図4】劣化判定時におけるNOx触媒温度の経時変化を示す一例である。
【図5】前記実施の形態におけるNOx触媒の劣化判定処理ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン
2 燃焼室
5 燃料噴射弁(還元剤供給手段)
8 排気管(排気通路)
10 選択還元型NOx触媒(NOx触媒)
20 酸化触媒
31 入ガス温センサ
32 触媒温センサ(温度検出手段)
53 アイドルスイッチ
100 ECU(劣化判定手段、閾値変更手段)
Claims (4)
- (イ)希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられたNOx触媒と、(ロ)前記内燃機関のアイドル運転開始から劣化判定時間経過後の前記NOx触媒の触媒温度あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度を検出する温度検出手段と、(ハ)前記劣化判定時間内の少なくとも所定期間の間、前記NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段と、(ニ)前記温度検出手段により検出された温度と基準温度とを比較し、その比較値の大きさに基づいて前記NOx触媒が劣化しているか否かを判定する劣化判定手段と、前記内燃機関のアイドル開始時における前記NO x 触媒の触媒温度あるいは前記NO x 触媒の出口の排気ガス温度と前記温度検出手段により検出された温度との温度差の大きさに応じて前記劣化判定手段の判定閾値を変更する閾値変更手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
- (イ)希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられたNOx触媒と、(ロ)前記内燃機関のアイドル運転開始から劣化判定時間経過後の前記NOx触媒の触媒温度あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度を検出する温度検出手段と、(ハ)前記劣化判定時間内の少なくとも所定期間の間、前記NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段と、(ニ)前記温度検出手段により検出された温度と基準温度とを比較し、その比較値の大きさに基づいて前記NOx触媒が劣化しているか否かを判定する劣化判定手段と、を備え、前記内燃機関のアイドル開始時における前記NO x 触媒の触媒温度あるいは前記NO x 触媒の出口の排気ガス温度の大きさに応じて前記劣化判定時間を変更することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
- 前記基準温度は、完全劣化したNOx触媒がアイドル運転開始から劣化判定時間経過後になり得ると推定される触媒温度であることを特徴とする請求項1または2に記載する内燃機関の排気浄化装置。
- 前記基準温度は、完全劣化したNOx触媒がアイドル運転開始から劣化判定時間経過後になり得ると推定される触媒温度であり、前記劣化判定手段は、前記温度検出手段により検出された温度から前記基準温度を引いた温度差の大きさに基づいて前記NOx触媒が劣化しているか否かを判定し、前記閾値変更手段は、アイドル開始時における前記NOx触媒の触媒温度あるいは前記NOx触媒の出口の排気ガス温度と前記温度検出手段により検出された温度との温度差が大きいほど判定閾値を小さくするように変更することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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