JP3612860B2 - 組立図板装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワイヤーハーネスやワイヤーハーネスを構成するサブアセンブリ(以下、「ワイヤーアセンブリ」と総称する。)を生産ラインにおいて組み立てる際に使用される組立図板装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、ワイヤーアセンブリの一般的な生産ラインの一部を示す斜視図である。同図を参照して、生産ラインにおけるワイヤーアセンブリの組み立ては、移動用架台1に取付けられた布線板2を含む組立図板装置3をラインに沿って移動させ、この移動に伴って布線板2上での布線作業および付属部品取付作業等が順に行われる。作業の手順は、先ず布線工程において、予め定められた形態となるように電線束4を布線した後、付属部品取付工程において、この電線束4の所定の位置に必要な付属部品を取り付ける。
【0003】
布線工程では、作業者がライン上を移動する組立図板装置3に添って通路5を移動し、布線板2上において複数の電線を電線支持具(図6では図示せず)により受け止めて上記電線束4を形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のようなワイヤーアセンブリを構成する電線の中には、ワイヤーアセンブリの形態や長尺電線の布線順序等の要請によって直ちには布線板2の上に止定できないものもあり、そのような電線6は、布線作業中において電線6の端部7が通路5に垂れ下げられる。このため、垂れ下げられた電線6が長尺の場合には、当該電線6の端部7が通路5に落ちてしまうので、電線6の端部7が組立図板装置2の移動に伴って通路5上を引きずられてしまうことや、作業者が誤って踏みつけてしまうことがあった。
【0005】
また、布線板2から垂れ下げられた電線の端部には、一般に端子金具が圧着されており、必要な場合には、コネクタが設けられる。従って、電線6が通路5上を引きずられると、電線自体,端子金具またはコネクタに傷がついてしまううえ、作業者が誤って踏みつけてしまうと、端子金具等が破損してしまい製品としてのワイヤーアセンブリに不良品が発生してしまうおそれがあった。
【0006】
加えて、ライン生産の効率を向上させるという観点から、付属部品の取付作業の能率も向上させたいという要請もあった。
そこで、この発明の目的は、布線作業中に電線が引きずられるのを防いで不良品の発生を防止すると共に、生産ラインにおける各工程での作業の作業性を向上させることができる組立図板装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明の目的を達成するための、請求項1に係る組立図板装置は、ワイヤーアセンブリの生産ラインで使用され、当該ライン方向に沿って移動させるための移動用架台と、移動用架台の上部に設けられた布線板とを有する組立図板装置において、
布線作業中に布線板から垂れ下がる電線を受け止めて床から浮揚させるための受止手段と、ワイヤーアセンブリの付属部品をストックしておくための収容ボックスとを有し、
上記受止手段は、
移動用架台の移動方向先端および後端に備えられた一対の固定レールと、一対の固定レールに取付けられ、架台の移動方向と直交する方向へスライド可能に設けられた一対の第1スライダと、
一対の第1スライダの先端に先端縁部が取付けられ、後端縁部は一対の固定レールに取付けられていて、一対の第1スライダを手前方向にスライドさせて引き出すことにより、電線受け取め空間を形成し、一対の第1スライダを奥方向にスライドさせて押し込むことによりたたまれるシート部材とを有し、
上記収容ボックスは、上記一対の固定レールに架け渡されて、一対の固定レールに案内されて架台の移動方向と直交する方向へスライド可能に設けられた第2スライダの上に固定されており、布線作業時には、第2スライダを奥方向へスライドさせて布線作業の邪魔にならないように布線板の下方へ押し込め、付属部品取付作業時にのみ引き出せるものであることを特徴とするものである。
【0008】
この発明によれば、布線作業中に、電線が布線板から垂れ下がるような場合であっても、この電線を受止手段によって受け止め、床面から浮揚させることができる。これにより、組立図板装置がライン上を移動しても、これに伴って電線が床の上を引きずられたり、作業者に踏みつけられることがなく、電線の損傷を防ぐことができる。
【0012】
の発明によれば、また、収容ボックスに必要な付属部品を予め収容しておくことによって、布線作業により形成された電線束に付属部品を取り付ける際に、必要な付属部品の取り出しをスムーズに行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る組立図板装置10の斜視図である。
同図を参照して、組立図板装置10は、ワイヤーアセンブリの生産ラインで使用され、ラインに沿って移動されるものである。そして、この組立図板装置10の特徴とするところは、移動する組立図板装置10上で布線される電線束11の中から電線12が組立図板装置10から垂れ下がった場合でも、これを、略U字状に配置されたシート部材13により受け止めて床面14から浮揚させることができる点にあり、これにより、電線12やこれに設けられた端子金具15等が、床面14と接触したり、作業者に踏みつけられたりすることによって損傷を受けるのを防止することができる点である。
【0015】
以下、詳しく説明する。
組立図板装置10は、ライン上を移動する移動用の架台20と、架台20上に設けられた組立図板21と、布線作業中に垂れ下がった電線12を受け止めるための電線受止部30と、布線された電線束11に取り付ける付属部品を収容しておく収容ボックス31とを有している。
【0016】
架台20は、たとえばアングル部材により組み立てることができ、基部24と、組立図板21を支持する支持部25とを有している。基部24の下部には、キャスタ26が設けられており、これにより、架台20は、ラインに沿ってきわめてスムーズに移動することができる。なお、架台20は、アングル部材に限らず、パイプ等の棒状部材による骨組構造とする他に、鋼板等によって箱状のいわゆる製缶部品として構成することができる。
【0017】
組立図板21は、架台20の支持部25に取り付けられており、布線板22と、これに立設された電線支持具23とを有している。電線支持具23は、略U字状のヘッド部を有し、組み立てようとするワイヤーアセンブリWAの形態に沿って予め所定の位置に固定配置されている。ワイヤーアセンブリWAの構成要素となる各電線12は、予め定められた電線支持具23のヘッド部に順に沿わせ、布線板22上で上記形態となるように布線される。
【0018】
ところで、ワイヤーアセンブリを構成する電線12の中には、長尺のものもあり、組み立てようとするワイヤーアセンブリの形態や布線順序等によっては、直ちに布線板22上で止定できないものがある。そのような電線12は、布線作業中において、図に示すように布線板22から垂れ下げられる。
電線受止部30は、このように布線板22から垂れ下がった電線を受け止めるためのものである。電線受止部30は、架台20の基部24に設けられたスライド軸機構32と、シート部材13とを有している。
【0019】
スライド軸機構32は、棒状の固定レール33,34と、固定レール33,34のそれぞれに、軸方向にスライド可能に設けられた第1スライダ35,36と、固定レール33,34に架け渡すように配置された第2スライダ37とを有している。
図2は、電線受止部30の構造を示す要部斜視図である。図1および図2を参照して、一対の固定レール33,34には、それぞれ、一側面に上下一対の溝39,40(図2参照)が軸方向に沿って形成されている。各固定レール33,34は、図1に示すように、左右対称位置に配置されている。
【0020】
第1スライダ35は、固定レール33の溝40に係合された棒状の部材である。同様に、第スライダ36は、固定レール34の溝(図示せず)に係合されており、第1スライダ35と左右対称に配置されている(図1参照)。また、第2スライダ37は、平板部41を含む板状部材であって、その両端部が固定レール34の溝39と固定レール35の溝(図示せず)とに係合されている。このような構造により、第1スライダ35,36および第2スライダ37は、図2中、矢印42および矢印43に沿う方向(ラインの方向と直交する方向)にスライド自在となっている。
【0021】
シート部材13は、ビニールシート50と、その両端縁部53,54に沿って配置された取付板51,52とを有している。取付板51は、細長の平板からなり、ビニールシート50の一端縁部53は、複数のねじ55を用いて取付板51に締結されている。そして、取付板51は、第1スライダ35の先端面58と第スライダ36の先端面(図示せず)とに固着されている。
【0022】
また、取付板52は、偏平したいわゆるチャンネル部材からなる。すなわち、取付板52は、細長の平板部56を有し、この平板部56の両端に当該平板部56から垂直に延設された延設片57を有する部材である。ビニールシート50の他端縁部54は、複数のねじ55を用いて取付板52の平板部56に締結されている。そして、取付板52は、両端の延設片57を固定レール33,34の中間部分に固着することによって取り付けられている。
【0023】
シート部材13がこのように取り付けられることにより、ビニールシート50の一端縁部53と他端縁部54とは所定の間隔を有し、ビニールシートが下方にU字状に垂れ下がる。これにより、布線板22から垂れ下がる電線12を受け止めることができる電線受止空間65が、布線板22に添って(ライン方向に沿って)形成される(図1参照)。
【0024】
なお、本実施形態では、上記ビニールシート50を用いたが、布シートを用いることもできるし、破れににくいものであれば、紙シート等も採用することができる。また、相当の剛性を有するシートであれば、これを略V字状に形成して配置することもできる。さらに、ビニールシート50は、ねじ55を用いて締結する他に、接着剤を用いて取付板51,52に貼り付けることもできる。さらに、本実施形態では、取付板51,52は、ビニールシート50の一端縁部53および他端縁部54が撓んで下方に垂れ下がらないようにするために設けたものであるが、このような垂れ下がりが生じないシート材を用いる場合には、取付板51を無くしてシート部材の一端側隅部を第1スライダ35,36に直接取り付けることができ、取付板52の平板部56を無くしてシート部材の他端側隅部を直接取付板52の延設片57に取り付けることもできる。
【0025】
図1を参照して、収容ボックス31は、細長の箱状部材であって、上面が開放されている。収容ボックス31は、第2スライダ37の平板部41(図2参照)に載置され固定されている。収容ボックス31の内部は、複数の部屋が区画形成されており、これらは、複数の部品収容室60を形成している。図示していないが、各部品収容室60には、ワイヤーアセンブリWAの組み立てに必要な各種の付属部品、たとえば、コネクタのハウジングや電線束11を束ねるクランプ等を種類ごとにストックされている。
【0026】
各部品収容室60は、布線板22上で布線される電線束11の形態に対応させて所定の位置に配置されている。つまり、たとえば、布線作業中にコネクタCを取り付ける場所に対応する位置には、当該コネクタCのハウジングをストックするための部品収容室60が設けられており、クランプを取り付ける場所に対応する位置には、このクランプをストックするための部品収容室60が設けられている。
【0027】
収容ボックス31は、第2スライダ37に取り付けられることによって上記矢印43の方向に沿って(ラインの方向に直交する方向に沿って)移動自在となっている。なお、本実施形態では、収容ボックス31は、各部品収容室60を一体的に形成したものとなっているが、各部品収容室60ごとに収容ボックス31を設け、各収容ボックス31を第2スライダ37に取り付けるようにすることもできる。
【0028】
次に、図3ないし図5を参照して本実施形態の作用効果について説明する。
図3は、収容ボックス31およびシート部材13を共に収納した状態を示している。この実施形態によれば、作業者は、ラインを移動する組立図板装置10に添って移動しながら、組み立てようとするワイヤーアセンブリに含まれる電線12を布線板22上で布線する。このとき、布線作業中に、電線12が布線板22から垂れ下がるような場合には、第1スライダ35,36を図1に示すように手前側(ラインの方向に直交する方向)に引き出し、電線受止空間65を形成する(図4の状態)。
【0029】
これにより、布線作業中に電線12が垂れ下がっても、これをシート部材13によって構成される電線受止空間65内に収容することができるから(図1参照)、電線12を床面から浮揚させることができ、組立図板装置10がライン上を移動しても、これに伴って電線12が床の上を引きずられたり、作業者に踏みつけられることがない。そして、布線作業が進むにつれて、一旦電線受止空間65内に収容していた電線12を布線板2上で布線し、布線作業を完了することができる。
【0030】
このように本実施形態では、電線12の損傷を防いで製品としてのワイヤーアセンブリWAに不良品が発生するのを防止することができると共に、作業者が垂れ下がる電線12を傷つけないように気を配る必要もなく、布線作業の作業性を向上させることができる。特に、本実施形態では、電線12を受け止めるための手段として、ビニールシート50をU字状に垂れ下げて電線受止空間65を形成するというきわめて簡単な構成であるから、組立図板装置10のコストの上昇を抑えることができるという利点がある。
【0031】
また、本実施形態では、第1スライダ35、36をスライドさせることによって、ビニールシート50の一端縁部53と他端縁部54との間隔を変化させることができるので、布線作業中には、一端縁部53と他端縁部54との間隔を広げて垂れ下がる電12線を確実に受け止めることができる一方、布線作業を行わないときには、一端縁部53と他端縁部54との間隔を狭めることによってシート部材13をたたむことができる(図3の状態)。
【0032】
これにより、布線作業終了後付属部品取付作業をする際にシート部材13が邪魔にならず、その結果、布線作業後の付属部品取付作業の作業性を向上させることができる
【0033】
さらに、本実施形態では、収容ボックス31に予め必要な付属部品をストックしておくことにより、布線作業により形成された電線束11に付属部品を取り付ける際に、必要な付属部品の取り出しをスムーズに行うことができる。これにより、付属部品取付作業の作業性を一層向上させることができ、ワイヤーアセンブリの生産性が向上する。
【0034】
しかも、収容ボックス31は、第2スライダ37に取り付けられているから、布線作業時には、収容ボックス31を布線板22の下方へ押し込んでおくことができ、付属部品取付作業時にのみ引き出すことが可能である(図5の状態)。これにより、布線作業の作業性を悪化させることもない
【0035】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々の設計変更を施すことができる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、布線板から垂れ下がる電線を受止手段によって受け止めることができるから、電線が床まで垂れ下がることに起因した電線自体の損傷や、電線の端部に設けられた端子金具およびコネクタの損傷を防止することができる。その結果、製品としてのワイヤーアセンブリに不良品が発生するのを防止することができると共に、作業者が垂れ下がる電線を傷つけないように気を配る必要もなく、布線作業の作業性を向上させることができる。
【0038】
えて、収容ボックスに付属部品をストックしておくことによって、付属部品取付作業時に必要な付属部品の取り出しをスムーズに行うことができる。その結果、付属部品取付作業の作業性を一層向上させることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る組立図板装置の斜視図である。
【図2】電線受止部の構造を示す要部斜視図である。
【図3】シート部材および収容ボックスを収納した状態を模式的に示した図である。
【図4】シート部材を引き出し、収容ボックスを収納した状態を模式的に示した図である。
【図5】シート部材を収納し、収容ボックスを引き出した状態を模式的に示した図である。
【図6】従来の組立図板装置を用いたワイヤーアセンブリの生産ラインを示す斜視図である。
【符号の説明】
10 組立図板装置
12 電線
13 シート部材
14 床面
15 端子金具
20 架台
21 組立図板
22 布線板
30 電線受止部
31 収容ボックス
32 スライド軸
33 固定レール
34 固定レール
35 第1スライダ
36 第1スライダ
37 第2スライダ
38 第2スライダ
50 ビニールシート
53 一端縁部
54 他端縁部
65 電線受止空間

Claims (1)

  1. ワイヤーアセンブリの生産ラインで使用され、当該ライン方向に沿って移動させるための移動用架台と、移動用架台の上部に設けられた布線板とを有する組立図板装置において、
    布線作業中に布線板から垂れ下がる電線を受け止めて床から浮揚させるための受止手段と、ワイヤーアセンブリの付属部品をストックしておくための収容ボックスとを有し、
    上記受止手段は、
    移動用架台の移動方向先端および後端に備えられた一対の固定レールと、一対の固定レールに取付けられ、架台の移動方向と直交する方向へスライド可能に設けられた一対の第1スライダと、
    一対の第1スライダの先端に先端縁部が取付けられ、後端縁部は一対の固定レールに取付けられていて、一対の第1スライダを手前方向にスライドさせて引き出すことにより、電線受け取め空間を形成し、一対の第1スライダを奥方向にスライドさせて押し込むことによりたたまれるシート部材とを有し、
    上記収容ボックスは、上記一対の固定レールに架け渡されて、一対の固定レールに案内されて架台の移動方向と直交する方向へスライド可能に設けられた第2スライダの上に固定されており、布線作業時には、第2スライダを奥方向へスライドさせて布線作業の邪魔にならないように布線板の下方へ押し込め、付属部品取付作業時にのみ引き出せるものであることを特徴とする組立図板装置。
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