JP3612837B2 - 織機における筬打ち装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、織機における筬打ち装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
筬を支持するスレイはロッキングシャフトの往復回動によって織機の前後方向に往復揺動し、スレイと一体揺動する筬によって筬打ちが行われる。ロッキングシャフト、スレイ及び筬からなる構成物の往復回動はロッキングシャフトの中心軸線を中心にして行われるが、前記構成物の長手方向に見たときの重量中心は前記中心軸線からずれている。このような重量中心のずれは前記構成物の回転アンバランスをもたらし、前記構成物の振動、ロッキングシャフトのねじれ、撓み等の支障が生じる。そのため、前記回転アンバランスを解消するための対策が採られる。
【0003】
特開平4−214445号公報の装置では、軸受けピン(本願におけるロッキングシャフトに相当)に楕円筒形状の軸を嵌め合わせ、この軸の長手方向に見たときの重量中心を前記軸受けピンの回転中心からスレイとは反対側にずらしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ロッキングシャフトは織機の幅に近い長尺物であるため、ロッキングシャフトの長手方向の中間部でも回動可能に支持する必要がある。しかし、ロッキングシャフトに楕円筒形状の軸を嵌め合わせた構成では、前記中間部における支持部位で前記楕円筒形状の軸を偏心しない円形状に合わせる必要があるが、このような構成では加工が面倒である。しかも、前記支持部位における非偏心の円形状の構成のためのスペースが余分に必要となる。
【0005】
本発明は、上記問題を解消した筬打ち装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために請求項1の発明では、織機のサイドフレーム間に回動可能に支持されたロッキングシャフト上にスレイを支持した織機において、長手方向の中間部が織機の前側から回動可能に支持されたロッキングシャフトに対向してスレイとは反対側にロッキングシャフトと同程度の長さの長尺物であるカウンタウェイトを配置し、ロッキングシャフトの一端部から他端部にかけてカウンタウェイトを連結した。
【0007】
請求項1の発明によれば、スレイとは反対側に配置された長尺のカウンタウェイトがロッキングシャフトの回転アンバランスを補正する。カウンタウェイトはロッキングシャフトの全周を包囲しないため、ロッキングシャフトの長手方向の中間部を回動可能に直接支持することができる。又、ロッキングシャフトに連結される長尺のカウンタウェイトが補強材にもなる。
【0008】
また、カウンタウェイトの長さ方向における重量分布がロッキングシャフトに対して均一化し、ロッキングシャフトの捩じれ防止効果が最も高くなる。
【0009】
請求項の発明では、ロッキングシャフトにスレイを結合するためにスレイの長手方向に配列された複数のスレイソードに前記カウンタウェイトを結合した。
請求項の発明によれば、スレイに結合された長尺のカウンタウェイトがロッキングシャフトの回転アンバランスを補正する。スレイに結合されたカウンタウェイトはロッキングシャフトから離間でき、ロッキングシャフトの長手方向の中間部を回動可能に直接支持することができる。
【0010】
請求項の発明では、スレイソードにはロッキングシャフト及びカウンタウェイトを挟み込む挟み込み部が形成されており、挟み込み部は締め付け手段の締め付け作用によってロッキングシャフト及びカウンタウェイトを挟圧するようにした。
【0011】
請求項の発明によれば、長尺のカウンタウェイトが複数のスレイソードの挟み込み部に挟圧される。従って、カウンタウェイトを取り付けるための特別の部材が不要となり、ロッキングシャフトと共に揺動する構成物全体が軽量となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0013】
図1に示すように、織機の左右のサイドフレーム11,12間にはロッキングシャフト13が回動可能に支持されている。ロッキングシャフト13は図示しないクランク機構によって往復回動される。図2及び図3に示すように、ロッキングシャフト13の前側にはブレストビーム14が配設されている。ブレストビーム14はサイドフレーム11,12間に架設されている。ブレストビーム14には織布の織前を下支えするためのフェルプレートの支持機構、織り縮み防止用のテンプル装置等が支持される。図3に示すように、ブレストビーム14の後面にはミドルブラケット15が止着されている。ミドルブラケット15の上端には押さえ体16が締め付け固定されている。ロッキングシャフト13の長手方向の中間部はミドルブラケット15と押さえ体16との間で回動可能に支持されている。
【0014】
ロッキングシャフト13には複数のスレイソード17がロッキングシャフト13の長手方向に配列して結合されている。各スレイソード17には一対の円形状の挿通孔171,172が形成されており、両挿通孔171,172がスリット173を介して繋がっている。挿通孔171にはロッキングシャフト13が挿通されており、挟み込み部となる挿通孔172には単一の長尺のカウンタウェイト20が挿通されている。各スレイソード17はスリット173を通るボルト18とナット19との締め付けによってロッキングシャフト13に締め付け結合されている。又、締め付け手段を構成するボルト18とナット19との締め付けによってカウンタウェイト20が各スレイソード17に挟み込み結合されている。
【0015】
スレイソード17の上端にはスレイ21が止着されており、スレイ21上には筬22が立設されている。
図1に示すように、カウンタウェイト20はロッキングシャフト13とほぼ同程度の長さである。カウンタウェイト20は、ロッキングシャフト13の一端部から他端部にかけて配列された複数のスレイソード17によってスレイ21とは反対側に配置されている。スレイ21、ロッキングシャフト13及びカウンタウェイト20は互いに平行配置されており、これら全体の長手方向に見た重量中心がロッキングシャフト13のほぼ回動中心軸線上となるようにしてある。
【0016】
第1の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1)スレイ21、ロッキングシャフト13及びカウンタウェイト20を長手方向に見た重量中心がロッキングシャフト13のほぼ回動中心軸線上にあるため、筬22、スレイ21、ロッキングシャフト13及びカウンタウェイト20からなる構成物全体の回転バランスが良い。
(2)良好な回転バランスをもたらす単一のカウンタウェイト20は複数のスレイソード17を介してロッキングシャフト13に連結されている。従って、ロッキングシャフト13、カウンタウェイト20及びスレイソード17が強固な梯子形状を構成し、ロッキングシャフト13の捩じれ、撓みが防止される。
(3)円形状のロッキングシャフト13がミドルブラケット15及び押さえ体16によって直接支持されるため、ロッキングシャフト13の長手方向の中間部における支持部位の構成が簡素となる。従って、前記支持部位における必要スペースが少なくて済み、ブレストビーム14をスレイ21側に近づけることができる。ブレストビーム14をスレイ21側に接近させれば、前記したフェルプレートの支持機構の剛性が高まる。
(4)カウンタウェイト20がスレイ21を支持するスレイソード17によって支持されるため、カウンタウェイト20を取り付けるための特別の機構が不要となり、ロッキングシャフト13と共に揺動する構成物全体が軽量になる。この軽量化は織機の高速化の上で有利である。
(5)ロッキングシャフト13と同程度の長さのカウンタウェイト20の採用では、カウンタウェイト20の長手方向の重量分布がロッキングシャフト13に対して均一化し、ロッキングシャフト13の捩じれ防止効果が最も高くなる。
(6)単一の長尺のカウンタウェイト20は引き抜き加工によって容易に形成でき、コスト的にも有利である。
(7)単一の長尺のカウンタウェイト20の採用は、ロッキングシャフト13、カウンタウェイト20及びスレイソード17からなる構成物のコンパクト化に寄与する。
【0017】
次に、図4の第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。
この実施の形態におけるスレイソード23はスレイ21を支持するのみであり、ロッキングシャフト13とほぼ同程度の長さの長尺のカウンタウェイト25はねじ24によって直接ロッキングシャフト13に締め付け結合される。カウンタウェイト25の中間部には切り欠き251が形成されており、ミドルブラケット15が切り欠き251に挿通される。スレイ21、ロッキングシャフト13及びカウンタウェイト25の長手方向に見た重量中心はロッキングシャフト13のほぼ回動中心軸線上にある。
【0018】
第2の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1)良好な回転バランスをもたらすカウンタウェイト25は直接ロッキングシャフト13に連結されている。従って、カウンタウェイト25がロッキングシャフト13の捩じれ、撓みを防止し、しかもスレイ21、ロッキングシャフト13及びカウンタウェイト25からなる構成物がコンパクトになる。。
(2)円形状のロッキングシャフト13がミドルブラケット15及び押さえ体16によって直接支持されるため、ロッキングシャフト13の長手方向の中間部における支持部位の構成が簡素となる。
【0019】
次に、図5の第3の実施の形態を説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。
この実施の形態では、ロッキングシャフト13を挿通するスレイソード26の下端部の半円弧部にはスリット262が形成されている。スリット262はロッキングシャフト13を挿通する挿通孔261に繋がっている。前記半円弧部には半円弧形状のカウンタウェイト27が嵌め合わされており、ねじ28がスリット262と略直交するようにカウンタウェイト27に通されている。ねじ28とナット29との締め付けによりカウンタウェイト27は半円弧の内側に撓み変形し、スレイソード26の半円弧部のスリット262の間隔が狭まる。従って、スレイソード26もねじ28とナット29との締め付けによりロッキングシャフト13に締め付け固定される。スレイ、ロッキングシャフト13及びカウンタウェイト27の長手方向に見た重量中心はロッキングシャフト13のほぼ回動中心軸線上にある。カウンタウェイト27はロッキングシャフト13から離間しており、ロッキングシャフト13の長手方向の中間部は図示しないミドルブラケット及び押さえ体によって直接支持される。
【0020】
第3の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1)良好な回転バランスをもたらすカウンタウェイト27は複数のスレイソード26を介してロッキングシャフト13に連結されている。従って、ロッキングシャフト13、カウンタウェイト27及びスレイソード26が強固な梯子形状を構成し、ロッキングシャフト13の捩じれ、撓みが防止される。
(2)円形状のロッキングシャフト13がミドルブラケット15及び押さえ体16によって直接支持されるため、ロッキングシャフト13の長手方向の中間部における支持部位の構成が簡素となる。
(3)カウンタウェイト27がスレイソード26によって支持されるため、カウンタウェイト27を取り付けるための特別の機構が不要となり、ロッキングシャフト13と共に揺動する構成物全体が軽量になる。
【0021】
次に、図6の第4の実施の形態を説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。
この実施の形態では、ロッキングシャフト13に支持されるスレイソード30に半円弧形状のカウンタウェイト31がねじ32によって締め付け固定されている。スレイ、ロッキングシャフト13及びカウンタウェイト31の長手方向に見た重量中心はロッキングシャフト13のほぼ回動中心軸線上にある。カウンタウェイト31はロッキングシャフト13から離間しており、ロッキングシャフト13の長手方向の中間部は図示しないミドルブラケット及び押さえ体によって直接支持される。
【0022】
第4の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1)良好な回転バランスをもたらすカウンタウェイト31は複数のスレイソード30を介してロッキングシャフト13に連結されている。従って、ロッキングシャフト13、カウンタウェイト31及びスレイソード30が強固な梯子形状を構成し、ロッキングシャフト13の捩じれ、撓みが防止される。
(2)円形状のロッキングシャフト13が図示しないミドルブラケット及び押さえ体によって直接支持されるため、ロッキングシャフト13の長手方向の中間部における支持部位の構成が簡素となる。
【0023】
前記各実施の形態では単一のカウンタウェイトが用いられたが、複数本の長尺のカウンタウェイトを平行配置してもよい。
前記した実施の形態から把握できる請求項記載以外の発明について以下のその効果と共に記載する。
(1)請求項1乃至請求項におけるカウンタウェイトは単一の構造体である織機における筬打ち装置。
【0024】
ロッキングシャフト、カウンタウェイト及びスレイソードからなる構成物のコンパクト化に寄与する。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明では、ロッキングシャフトに対してスレイとは反対側に長尺のカウンタウェイトを配置し、ロッキングシャフトにカウンタウェイトを連結したので、加工が容易かつコンパクトな筬打ち装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を説明する正面図。
【図2】図1のA−A線拡大断面図。
【図3】図1のB−B線拡大断面図。
【図4】第2の実施の形態を説明する正面図。
【図5】第3の実施の形態を説明する要部側断面図。
【図6】第4の実施の形態を説明する要部側断面図。
【符号の説明】
13…ロッキングシャフト、17…スレイソード、20,25,27,31…カウンタウェイト、18…締め付け手段を構成するボルト、19…締め付け手段を構成するナット、172…挟み込み部となる挿通孔。

Claims (3)

  1. 織機のサイドフレーム間に回動可能に支持されたロッキングシャフト上にスレイを支持した織機において、
    長手方向の中間部が織機の前側から回動可能に支持されたロッキングシャフトに対向して前記スレイとは反対側にロッキングシャフトと同程度の長さの長尺物であるカウンタウェイトを配置し、前記ロッキングシャフトの一端部から他端部にかけて前記カウンタウェイトを連結した織機における筬打ち装置。
  2. 前記スレイは、その長手方向に配列された複数のスレイソードを介してロッキングシャフトに結合されており、前記カウンタウェイトは前記複数のスレイソードに結合されている請求項1に記載の織機における筬打ち装置。
  3. 前記スレイソードにはロッキングシャフト及びカウンタウェイトを挟み込む挟み込み部が形成されており、挟み込み部は締め付け手段の締め付け作用によってロッキングシャフト及びカウンタウェイトを挟圧する請求項2に記載の織機における筬打ち装置。
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