JP3612385B2 - 光ディスク装置 - Google Patents

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  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピットにより記録が行われるピット領域と、物理的表面変化、たとえばカー効果(Kerr Effect)変化により記録が行われるグルーブ領域を有する光ディスクに記録再生する記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
グルーブを有する光ディスクは、たとえばUSP4,999,825号公報に提案され、その一例が図7(A)に示されている。図7(A)に示されるように、提案された光ディスクには、ピットPで構成されるトラックを有するピット領域101Aと、グルーブGによりトラックが形成され、カー効果変化のような表面変化のマーキングが加えられ、コンパクトディスクなどで用いられるEFM符号化情報が記録されるグルーブ領域101Bが設けられている。
【0003】
ディスクの最も内周部に管理領域を設け、そこに管理情報を記録することは知られている。管理情報は、凹凸状のピットを所定位置(たとえば最内周)に形成することにより記録される。管理情報は通常、ピット領域101Aに記録される。管理領域の他に、ユーザーによる記録が可能な記録領域も設けられている。この記録領域は通常、グルーブ領域101Bに設けられている。管理領域における情報としては、記録領域の開始点を示すアドレス、ユーザデータの目次情報であるUTOC(User Table Of Contents)を記録する領域(以下、UTOC領域という)の開始点を示すアドレス、ユーザーデータを記録する領域の先頭を示すアドレス、記録時の推奨光強度などが含まれている。
【0004】
ここで、ピットの幅をトラックピッチの1/2より狭く、グルーブの幅をトラックピッチの1/2より広く設定した場合、図7(B)に示すように、ピットが存在するピット領域とグルーブが存在するグルーブ領域とでトラッキング誤差信号の極性が反転する。ピット領域101Aの場合、ビームスポットがディスクの外側に向かってトラックから外れているときは、トラッキング誤差信号TEは、0より大きい正の値を保持し、またビームスポットがディスクの内側に向かってトラックから外れているときは、トラッキング誤差信号TEは、0より小さい負の値を保持する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、グルーブ領域101Bの場合、ビームスポットがディスクの外側に向かってトラックから外れているときは、トラッキング誤差信号TEは、0より小さい負の値を保持し、また、ビームスポットがディスクの内側に向かってトラックから外れているときは、トラッキング誤差信号TEは、0より大きい正の値を保持する。
【0006】
上述のような誤差信号の極性の反転は、サーボ制御が不正確となる。そこで、この問題を解決するため、従来の光ディスク装置は、たとえば、アドレスデータを読み取ることにより、2つの領域(ピット領域とグルーブ領域)のどちらにビームスポットが照射されているかを検出することにより、検出した領域にしたがってトラッキング誤差信号の極性を決定するようになっている。しかし、このような光ディスク装置の構成では、アドレスデータは常に素早く読み出すことができないので、問題が生じていた。たとえば、アドレスが直ちに読み取られなくても、次の2つの状態を区別する必要が生ずる場合がある。第1の状態は、トラッキングサーボが正しく行われない場合であり(この場合は、トラッキング誤差信号の極性を反転する必要がある)、第2の状態は、ディスク上に傷や汚れが付いていたりする場合である(この場合は、トラッキング誤差信号の極性を反転する必要がない)。
【0007】
上述の問題は、ディスク全体の管理情報を記録するピット領域とUTOC領域が、それぞれ光ディスクの最内周部の近傍と、ピット領域に接近したディスクの内周部に配置された場合に、特に認められるものである。光ディスク装置は、その起動時に、ディスク全体の管理情報と、UTOCの内容を読み取り、使用者による操作の準備をする。したがって、装置は、管理情報の読み取り後、UTOCを読むため、以下に述べる手順に従う必要がある。1)管理情報が記録されているディスクの内周部の領域に光ヘッドを移動させる。2)管理情報を読み取る。3)管理情報内のUTOC領域の先頭のアドレスにしたがって、グルーブ領域に光ヘッドを動かす。4)トラッキング誤差信号の極性を反転する。5)トラッキングサーボを実行し、アドレスを読み取る。6)UTOC領域の先頭にアクセスする。光ヘッドが、確実にグルーブ領域に移動され、その位置に配置されない限り、トラッキングサーボは正しく実行されないので、従来の光ディスク装置は管理情報内のUTOC領域の先頭のアドレスが示す位置よりも外側に少し余裕をもって光ヘッドを移動させるように設定されている。したがって、上記手段3)と6)における光ヘッドの移動距離は、従来の装置では減ずることができず、装置を起動するのに時間がかかっていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明は、トラッキングサーボを開始する前に、光ディスクのピット領域とグルーブ領域とを確実に判断することができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明によれば、ピットによってトラックに沿って情報が記録されたピット領域と、情報を記録するためのグルーブがトラックに沿って刻まれたグルーブ領域とを有する光ディスクに対して記録再生を行う光ディスク装置であって、該光ディスクに対して光ビームを照射し、光ディスクからの反射光を電気信号に変換して出力する光ヘッド手段と、該電気信号に基づいて該ピットを表わすRF信号を発生する第1の発生手段と、該電気信号に基づいて各波形がトラックの横断を表わす波形信号であるトラッキング誤差信号を発生する第2の発生手段と、該波形信号を所定の閾値と比較してトラッククロス信号を出力する比較器と、該トラッククロス信号の周波数を分周して、クロック信号を発生する分周器と、上記RF信号を検出し、RF信号の存在を示すRF検出信号を発生する検出手段と、上記クロック信号とRF検出信号を受け、上記光ビームが所定本数のトラックを横断する期間内にRF信号の存在を確認したときに、ピット領域検出信号を発生する領域検出手段とにより構成したことを特徴とする光ディスク装置が提供される。
本発明の上記光ディスク装置によってピット領域とグルーブ領域との間の判断は、光ビームがトラックを横断中でさえも安定して行うことができる。ピット領域とグルーブ領域とを有する光ディスクが、光ディスク装置で記録または再生されると、上記のピット領域とグルーブ領域との間の安定した区別により、領域にしたがって、最適なトラッキングサーボを行うことができる。更に、2種類の領域の境界の近傍へのアクセスは、高速でしかも安定して行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光ディスク装置の第1の実施の形態について図1〜図4を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、第1の実施の形態に係る光ディスク装置のブロック図である。図7(A)に示すように、光ディスク101には内周よりピット領域101Aとグルーブ領域101Bを有する。UTOC領域は、グルーブ領域101Bの最内周付近に配置されている。モータ駆動回路103により駆動回転されるスピンドルモータ102は、光ディスク101を回転する。光ヘッド104は、光ビームを集光するレンズ118と、光ヘッド104内において半径方向にレンズを移動させて微調整を行なうトラッキングアクチュエータ117と、光ディスクの反射光を電気信号に変換する光検出器119で構成される。光ヘッド104は、トラバース機構105により半径方向に移動される。プリアンプ107は、光ヘッド104内にある光検出器119からの電気信号を加算あるいは減算し、トラッキング誤差信号TE(C)やRF信号(A)を出力する。
【0011】
図2は、光検出器119およびプリアンプ107の詳細を示す。光検出器119は、8個の光検出素子P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8を有する。光検出素子P1,P2は、トラック方向に沿ってそれぞれ前方後方に配置され、光検出素子P3,P4は、トラック方向の両側に配置されている。他の光検出素子P5,P6,P7,P8は、光検出器119の中央に配置されている。プリアンプ107は、加算器107aと減算器107bで構成される。ディスクからは3本の光ビームが反射され、光検出器119に入射される。加算器107aは、光検出素子P3とP4からの信号を加算し、和信号P3+P4を出力し、この和信号はRF信号(A)として用いられる。減算器107bは、光検出素子P1の信号から光検出素子P2の信号を引算し、差信号P1−P2を出力し、この差信号はトラッキング誤差信号(C)として用いられる。
【0012】
図1において、トラッキング誤差信号は、TE反転回路108により反転、すなわち−1で掛算される。TE切換回路109は、反転トラッキング誤差信号を受けるための実線で示した位置と、非反転トラッキング誤差信号を受けるための点線で示した位置のいずれかに切り換えられ、その出力はトラッキングループフィルタ110に加えられる。トラッキングループフィルタに加えられた信号は、以下に説明するように、位相補正に用いられる。
【0013】
トラッキングループフィルタ110に加えられた信号が正(+)の場合、ループフィルタ110は、トラッキングアクチュエータ117に正の駆動信号を与え、光ヘッド104内のレンズ118をディスクの中心方向にシフトする。
【0014】
他方、トラッキングループフィルタ110に加えられた信号が負(−)の場合、ループフィルタ110は、トラッキングアクチュエータ117に負の駆動信号を与え、光ヘッド104内のレンズ118をディスクの外周方向にシフトする。ここでシフトされる量は、駆動信号、すなわちトラッキング誤差信号の振幅に比例する。
【0015】
光ヘッド104がピット領域101Aに存在するときは、切換回路109は、点線で示す位置に切り換えられ、他方、光ヘッド104がグルーブ領域101Bに存在するときは、切換回路109は、実線で示す位置に切り換えられる。この動きについて更に説明する。
【0016】
光ヘッドがピット領域101Aにある場合は、切換回路109は、点線で示す位置に切り換えられる。図7(C)に示すように、光ヘッド104がディスクの外側に向かってトラックからそれたとき(外側オフトラック状態)、トラッキング誤差信号は0レベルから+レベルに変化する。この場合、切換回路109は点線で示す位置にあるので、トラッキングループフィルタ110は、正の駆動信号を出力し、これにより、トラッキングアクチュエータ117は、光ヘッド104内にあるレンズ118をディスクの中心方向に移動する。したがって、光ヘッド104は、トラックの中心位置に戻される(オントラック状態)。光ヘッド104がディスクの内側に向かってトラックからそれて内側オフトラック状態になったとき、トラッキング誤差信号は0レベルから−レベルに変化する。したがって、トラッキングループフィルタ110は、負の駆動信号を出力し、これにより、トラッキングアクチュエータ117は、光ヘッド104内にあるレンズ118をディスクの外周方向に移動する。したがって、光ヘッド104は、オントラック状態に戻される。
【0017】
他方、グルーブ領域101Bにある場合は、切換回路109は、実線で示す位置に切り換えられる。図7(C)に示すように、光ヘッド104が外側オフトラック状態になったとき、トラッキングエラー信号は0レベルから−レベルに変化するが、これは、インバータ108により+レベルに反転される。したがって、トラッキングループフィルタ110は、正の駆動信号を出力し、これにより、トラッキングアクチュエータ117は、光ヘッド104内にあるレンズ118をディスクの中心方向に移動する。したがって、光ヘッド104は、オントラック状態に戻される。逆に、光ヘッド104が内側オフトラック状態になったとき、トラッキング誤差信号は、0レベルから+レベルに変化するが、これは、インバータ108により−レベルに反転される。したがって、トラッキングループフィルタ110は、負の駆動信号を出力し、これにより、トラッキングアクチュエータ117は、光ヘッド104内にあるレンズ118をディスクの外側に移動する。したがって、光ヘッド104は、再びオントラック状態に戻される。
【0018】
切換回路109は、システムコントローラ112により切り換えられ、このシステムコントローラ112は、光ヘッド104がピット領域101Aにあるか、またはグルーブ領域101Bにあるかを検出することができる。
【0019】
スイッチ116は、トラッキングループフィルタ110の出力に接続される。スイッチ116が実線で示す位置に切り換えられれば、トラッキングループフィルタ110の出力がトラッキングアクチュエータ117に接続される。スイッチ116が点線で示す位置に切り換えられれば、トラッキングループフィルタ110とトラッキングアクチュエータ117との接続が遮断されると共に、トラッキングアクチュエータ117の入力は接地される。光ヘッド104がトラックの追従を行っているとき(たとえば再生または記録モードのとき)、スイッチ116は、実線で示す位置に切り換えられ、光ヘッド104がトラックを横断しているとき(たとえば検索モードにあるとき)、スイッチ116は、点線で示す位置に切り換えられる。
【0020】
トラッキング誤差信号(C)やRF信号(A)は、ピット検出信号(F)を出力するピット領域検出回路111に加えられる。システムコントローラ112は、ピット検出信号(F)を受け、TE切換回路109、スイッチ116、トラバース駆動回路106、スピンドルモータ駆動回路103等を制御する。
【0021】
図2において、ピット領域検出回路111の詳細が示されている。ピット領域検出回路111は、RF検出回路201、比較器202、分周器203、フリップフロップ204,205を有する。ピット領域検出回路111は、光ヘッド104がトラックの追従を行っていないとき、すなわち、トラバース駆動回路106や、後で図5,6で説明する強制トラッキング駆動回路501によりトラックを横断しているときに動作する。
【0022】
RF検出回路201は、ハイパスフィルタ201a、エンベロップ検出器201b、比較器201cを有する。ハイパスフィルタ201aは、RF信号(A)(図3(A))を受け、その低周波成分を除去する。光ヘッド104がトラックを横断する際、光ヘッド104がピット領域101Aにある場合は、高周波成分がサイン波形的にゆっくり変化する信号が出力される一方、光ヘッド104がグルーブ領域101Bにある場合には、低周波のサイン波形の信号が出力される。
【0023】
すなわち、RF信号の振幅は、図3(A)のように変化する。これは、トラッキングサーボが行われておらず、トラックと光ビームの相対位置がまだ決定されない状態、たとえばアクセス時などに起こる状態のときに相当する。ピット領域101AにおけるRF信号は、ピットによる高周波成分を含んでおり、光ビームがオントラックしているとき大きい振幅を示す一方、光ビームがピットにオフトラックしているとき小さい振幅を示す。他方、ピットが存在しないグルーブ領域101Bにおいては、RF信号は、高周波成分を含まず、1本のトラックを横切るたびに、信号は大きくなって小さくなる。
【0024】
ハイパスフィルタ201aは、低周波成分を遮断し、エンベロップ検出器201bは、高周波成分の包絡線を検出する。また、比較器201cは、包絡線を所定の閾値と比較し、図3(B)に示すように、ピット領域においてはパルスを出力する一方、グルーブ領域においてはパルスを出力しない。図3(B)に示す信号は、RF検出信号である。光ヘッド104がピット領域101Aにあるトラックを横切る際、RF検出信号は、ハイとなる。比較器202は、図3(C)に示すトラッキング誤差信号を受ける。ここで、光ヘッド104は、トラックを横切っているので、トラッキング誤差信号は、サイン波形になっている。比較器202は、トラッキング誤差信号を所定の閾値と比較し、各トラックに対応してパルス(図3(D))を出力する。ここで、ヒステリシス特性をとる閾値を用いれば、チャッタリングを防止することができる。図3(D)に示す信号は、トラッククロス信号である。分周器203は、トラッククロス信号の周波数を1/2の周波数に分周する。
【0025】
フリップフロップ204は、RF検出信号を受けるセット端子を有する。セット端子における信号がハイであれば、フリップフロップ204のQ出力は、たとえクロック端子CKにクロック信号が与えられていても、常にハイレベルの信号を出力する。セット端子における信号がローであれば、Q出力は、それまでの信号を保持するが、クロック端子CKに加えられるクロック信号の立ち上がりエッジに応答して、データ入力Dに加えられる信号、この場合はローレベル信号、に変えられる。分周器203からの出力信号がクロック信号として用いられる。したがって、図3(F)に示すように、フリップフロップ204のQ出力は、光ヘッド104がピット領域にある場合はハイを出力し、グルーブ領域に入ると、最初のクロック信号(図3(E))の立ち上がりに応答してローに変化する。
【0026】
フリップフロップ205は、フリップフロップ204のQ出力を受けるデータ入力Dと、分周器203からの出力を受けるクロック端子CKを有する。Q出力からの信号は、クロック信号の立ち上がりエッジに応じてデータ入力の信号に変えられる。したがって、図3(G)に示すように、フリップフロップ205のQ出力は、フリップフロップ204のQ出力がハイを出力している間はハイを出力し、グルーブ領域に入った後、クロック信号(図3(E))の2番目の立ち上がりエッジに応答してローに変化する。
【0027】
光ヘッド104は、光ヘッド手段を構成し、比較器202、分周器203は横切ったトラック本数に関連したクロック信号を出力するクロック出力手段を構成し、プリアンプ107は、RF信号生成手段を構成し、RF検出回路201は、RF検出手段を構成し、Dフリップフロップ204,205からなる回路は、ピット領域検出手段を構成する。
【0028】
図4は、第1の実施の形態におけるシステムコントローラ112により実行される動作のフローチャートを示す。
【0029】
まず、切換回路109が点線で示す位置に切り換えられ、スイッチ116が点線で示す位置に切り換えられる(ステップ400)。次いで、スピンドルモータ駆動回路103が光ディスク101を回転させるとともに、光ヘッド104は、トラバース駆動回路106により光ディスクの内周方向に移動させられ(ステップ401)、検出スイッチ115がオンにされる(ステップ402)と停止する。検出スイッチ115は、光ヘッドが管理情報を読むことができる位置に達した時点でスイッチオンするよう予め調整されている。次いで、スイッチ116は、実線で示す位置に切り換えられ(ステップ403a)、トラック制御が可能となる。
【0030】
スピンドルモータ駆動回路103がスピンドルモータ102を駆動し、その結果、光ディスク101は所定の回転数で回転され、システムコントローラ112は、フォーカス/トラッキングのサーボ制御を開始し、ピット領域101Aに記録されている管理情報の読み出しを開始する(ステップ403b)。管理情報の読み出しを終えると、スイッチ116は点線で示す位置に切り換えられ、トラッキングサーボを外す。次いで、光ヘッド104は、ピット検出信号(図3(G))がローに変化するまで、トラバース駆動回路106によりディスクの外周方向に移動される(ステップ404)。
【0031】
上述したように、ピット検出信号は、ピット領域101Aにおいてはハイを示し、光ヘッド104がグルーブ領域101Bに入れば、ローに変化する。したがって、ピット検出信号がハイからローへ変化した時点で、光ヘッド104を止めたとすれば、光ヘッド104を、ピット領域101Aとグルーブ領域101Bの境界近傍、すなわちUTOC領域の近傍に位置させることができる。光ヘッド104が止まれば、切換回路109は実線に示す位置に切り換えられ(ステップ406)、トラッキング誤差信号の極性を反転させると共に、スイッチ116も実線で示す位置に切り換えられ(ステップ406)、トラッキングサーボを開始する。次に、UTOC領域にアクセスし、UTOCを読み込む(ステップ407)。
【0032】
本発明においては、UTOC領域にアクセスするためには、光ヘッド104を外周方向へ向かって必要以上に移動させる必要がないため、UTOC領域への短時間でのアクセスが可能となる。したがって、起動開始から起動完了までの時間を短くすることができ、ユーザーを長い間待たせることなく、ディスク装置を起動することが可能となる。
【0033】
また、トラッキングサーボが行われていなくても、ピット検出信号は、安定して得ることができ、光ディスク装置の動作を安定化させることができる。
【0034】
次に、トラックを横切ってピット領域を検出する際の光ビームのトラック横断スピードについて説明する。上述したピット領域検出回路111は、トラッククロス信号を用いて横切ったトラックの本数を知ることができ、それにより、ピット領域を検出することができる。トラッククロス信号は、トラッキング誤差信号を2値化した信号であり、トラックを横断する速度が遅くなるとチャッタリングにより、0クロス付近でコンパレータの出力に髭状のノイズが入りやすい。たとえば、第1の実施の形態において述べたように、トラバース機構105を用いて光ヘッド104を半径方向に移動させ、この間にピット検出信号を送り込む場合は問題がないが、光ヘッドが停止した状態でのピット領域/グルーブ領域の判断には注意を要する。図5はこの問題を解消するための工夫を施した光ディスク装置のブロック図である。
【0035】
以下、第2の実施の形態について、図5,図6を参照しながら説明する。
図1において説明した第1の実施の形態と比べ、図5に示す第2の実施の形態は、以下の点で異なる。強制トラッキング駆動回路501は、定電圧源で構成され、+Vcまたは−Vcを出力する。スイッチ502は、次の3つの位置のいずれか一つをとることができる。実線で示す位置においては、トラッキングループフィルタ110と接続され、点線で示す位置においては、接地され、一点鎖線で示す位置においては、強制トラッキング駆動回路501と接続される。スイッチ502の出力は、トラッキングアクチュエータ117に接続されている。
【0036】
スイッチ502が一点鎖線の位置にある場合、定電圧+Vcがトラッキングアクチュエータ117に加えられ、レンズ118を、電圧+Vcで決定されるスピードでディスクの中央に向かってシフトさせる。したがって、光ビームはトラックを強制的に横切ることにより、ピット領域検出器111により領域検出を行うことができる。強制トラッキング駆動回路501が定電圧+Vcのかわりに−Vcを出力すれば、トラッキングアクチュエータ117は、レンズ118をディスクの外周方向に向かってシフトさせ、上述と同様な結果を得ることができる。
【0037】
システムコントローラ503は、トラバース駆動回路106、切換回路109およびトラッキング駆動信号切換回路502を制御する。
図6は、第2の実施の形態の光ディスク装置の動作を示すフローチャートである。
なお、光ヘッド104の対物レンズは、光集光手段、光ヘッド内のトラッキングアクチュエータは、トラッキングアクチュエータ手段、強制トラバース駆動回路105は、強制トラバース駆動手段、システムコントローラ503は、制御手段と呼ぶ。
【0038】
ピット検出信号を取り入れる前に、システムコントローラ503は、スイッチ回路502を一点鎖線で示す位置に切り換え(ステップ601)、強制トラッキング駆動回路501をトラッキングアクチュエータ117と接続する。強制トラッキング駆動回路501から出力された強制駆動信号、たとえば+Vcは、光ヘッド104内のトラッキングアクチュエータ117に加えられ、対物レンズを、比較的早い速度(たとえば、トラック横断周波数5kHz)で半径方向に移動する。次に、対物レンズが移動している間、ピット領域検出器111は、ピット検出信号を出力する(ステップ602)。そして、スイッチ502は、実線で示す位置に切り換えられ、トラッキングループフィルタ110は、トラッキングアクチュエータ117と接続される。
【0039】
このように、ピット検出信号を取り込む際に、対物レンズを強制的に半径方向に移動させることにより、トラッククロス信号のゼロクロス付近でのノイズの影響をなくした状態で、ピット領域検出をすることが可能となる。
【0040】
強制トラッキング駆動回路501から出力された強制駆動信号は、±Vcの変わりに、トラッキングアクチュエータの一次共振周波数以下のサイン波形信号を用いることも可能である。このような信号を加えることにより、強制駆動信号を与えた後に生ずるレンズの振動を防ぐことができる。そして、その後の動作を迅速かつ安定にすることができる。もちろん、パルス状の電圧を加えてもよい。
【0041】
第1の実施の形態においては、トラック横断本数2本ごとに検出を行ったが、分周器の分周比は予想される偏心量に応じた数にすることが望ましい。たとえば、トラックピッチ1.6μmで偏心量100μmが予想される場合、分周比を63以上(100/1.6=62.5)にする。これにより、ピット検出信号を読み込んでからトラッキングサーボをかけ終わるまでの間に、偏心によって光ビームがグルーブ領域101Bからピット領域101Aに移動してしまうことを防止することができる。
【0042】
なお、第1,第2の実施の形態においては、トラック移動本数を検出するためにトラッククロス信号を用いたが、たとえばRF信号のエンベロップ信号を2値化した信号など、光ビームのトラック横断本数がわかるような信号であれば、どのような信号を用いてもかまわない。
【0043】
また、第1,第2の実施の形態においては、トラック横断2本ごとにピット領域101Aの検出を行う場合について説明したが、何本ごとに検出を行ってもかまわない。また、この本数は、固定値を用いるのではなく、RF検出信号やトラッククロス信号の品質などに応じて変化させてもよい。たとえば、ピット領域101Aにおいて光ヘッド104を半径方向に移動させ、このときのRF検出信号とトラッククロス信号をモニタし、RF検出信号がトラック横断に応じて変化する頻度を求め、これに基づいて何本ごとに検出するかを決めたり、あるいは、トラック移動速度に応じて、移動速度が早ければ本数を減らし、RF信号の振幅が小さければ本数を多くするなどの方法により、調整を行うことができる。
【0044】
また、第1,第2の実施の形態においては、RF検出信号の生成方法として、RF信号から高周波成分のみを抜き出し、この振幅が大きいかどうかを判断していたが、他の方法を用いてもよい。
また、第1,第2の実施の形態においては、ピット検出信号がハイのときにピット検出としたが、ピット領域検出回路の構成により、ローのときにピット検出としてもよい。
また、第1,第2の実施の形態においては、内周部にピット領域、外周部にグルーブ領域を有する光ディスクを例に挙げて説明したが、たとえば外周部にピット領域、内周部にグルーブ領域を有するような光ディスク、あるいは、複数のピット領域やグルーブ領域を有する光ディスクに対しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0046】
また、第2の実施の形態においては、ピット検出信号を取り込んだ後、トラッキング駆動信号切換回路502をトラッキングループフィルタ110側に切り換えたが、トラッキング駆動信号切換回路502を駆動信号なしなど第3の状態も選択できるようにし、ピット検出信号を取り込んだ後、第3の状態にしても、本発明によって得られる効果は変わりない。
【0047】
【発明の効果】
ピット領域とグルーブ領域が存在する光ディスクに、記録再生を行う場合、確実にピット領域とグルーブ領域の判断ができ、これにより、安定にトラッキングサーボを行い、また、UTOC領域のアクセスなど動作が高速である光ディスク装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における光ディスク装置のブロック図。
【図2】図1に示すプリアンプおよびピット領域検出回路の詳細なブロック図。
【図3】(A),(B),(C),(D),(E),(F),(G)は、図1および図2に示す回路の種々の点における信号波形図。
【図4】図1に示すシステムコントロールによって行われる動作を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施の形態における光ディスク装置のブロック図。
【図6】図5に示すシステムコントロールによって行われる動作を示すフローチャート。
【図7】(A),(B),(C)は、ピット領域およびグルーブ領域の構成を示す説明図。

Claims (7)

  1. ピットによってトラックに沿って情報が記録されたピット領域と情報を記録するためのグルーブがトラックに沿って刻まれたグルーブ領域とを有する光ディスクに対して記録再生を行う光ディスク装置であって、
    前記光ディスクに対して光ビームを照射し、光ディスクからの反射光を電気信号に変換して出力する光ヘッド手段と、
    前記電気信号に基づいて、前記ピットを表わすRF信号を発生する第1の発生手段と、
    前記電気信号に基づいて、各波形がトラックの横断を表わす波形信号を発生する第2の発生手段と、
    前記波形信号を所定の閾値と比較してトラッククロス信号を出力する比較器と、
    前記トラッククロス信号の周波数を分周して、クロック信号を発生する分周器と、
    前記RF信号を検出し、RF信号の存在を示すRF検出信号を発生する検出手段と、
    前記クロック信号と前記RF検出信号を入力し、ピット領域検出信号を出力する領域検出手段を備え、
    前記領域検出手段は、前記RF検出信号がRF信号の存在を示しているときには、前記クロック信号にかかわらず出力をRF検出状態とし、前記RF検出信号がRF信号の存在を示していないときには、前記クロック信号のエッジに従い出力をRF未検出状態とする第1のフリップフロップと、
    前記第1のフリップフロップの出力を前記クロック信号のエッジでラッチする第2のフリップフロップを備え、前記第2のフリップフロップの出力をピット領域検出信号として出力することを特徴とする光ディスク装置。
  2. 請求項1に記載の光ディスク装置であって、前記光ヘッド手段が、光ビームを半径方向に動かすトラッキングアクチュエータを備えることを特徴とする光ディスク装置。
  3. 請求項2に記載の光ディスク装置であって、更に、前記波形信号をトラッキング誤差信号として受け、トラッキングアクチュエータを作動させる作動信号を発生するループフィルタを設け、それにより前記光ビームをトラック上に維持することを特徴とする光ディスク装置。
  4. 請求項3に記載の光ディスク装置であって、前記ピット領域検出信号は、ピット領域内のトラッキング誤差信号と、グルーブ領域内のトラッキング誤差信号との間で、該トラッキング誤差信号の極性を変える為に用いられることを特徴とする光ディスク装置。
  5. 請求項2に記載の光ディスク装置であって、更に、光ビームがトラックを横断する時に、トラッキングアクチュエータをループフィルタから遮断する遮断手段を設けたことを特徴とする光ディスク装置。
  6. 請求項2に記載の光ディスク装置であって、更に、トラッキングアクチュエータに強制的信号を発生する強制トラッキング駆動手段を設け、光ビームが強制的にトラックを横断することを特徴とする光ディスク装置。
  7. 請求項1に記載の光ディスク装置であって、前記トラックの所定本数は、光ディスクの偏心量により包含されるトラック本数より多いことを特徴とする光ディスク装置。
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