JP3611875B2 - 無線通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明の、デジタルコードレス電話等の通信分野において適用可能な無線通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、規格化されているデジタルコードレス電話システム(RCR STD−28)では、音声コーデックとしてITU−T 勧告G.721 規格の32kbps ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation) を使用している。デジタルコードレス電話では、音声信号であるADPCM データは、40サンプルを1フレームとして、誤り検出のためのチェックビット(ITU−T勧告による、16ビットの生成多項式により生成された剰余ビット)を1フレームごとに付加し、TDMA(時分割多元接続)方式として接続される。ITU−T 勧告G.721 規格は本来エラーレートの低い有線路に用いることを前提に開発されており、種々の誤りが起こり得ると考えられる無線通信路における誤りのことは考慮されておらない。そのため、デジタルコードレス電話にITU−T 勧告G.721 規格を用いる場合は、なんらかの誤り対策を施さないと通信品質を保証することは難しい。
【0003】
従来の伝送誤り対策では、フレームごとにCRC(Cyclic Redundancy Check)方式による誤り検出を行い、そのフレームに伝送誤りが生じているか否かの判断を下し、伝送誤りが存在する場合には、次に示すミューティング操作およびフレームデータの置換を中心に行うのが一般的である。
【0004】
ここでは、特開昭4−263528号(出願人:NTT 、発明の名称:音声ミューティング方式)に記載の方式を説明する。この方式では、入力音声、出力信号の各々に対してミューティング処理を施している。
【0005】
入力信号に対して、次の<1> ないし<6> の処理を行なう。すなわち、
<1> 誤りのある音声フレームを、予め用意してある特定のパターンで置き換える。
【0006】
<2> 誤りのある音声フレームをその前に入力された誤りのない音声フレームで置き換える。
【0007】
<3> 誤りのある音声フレームに対してその前に入力された誤りのない音声フレームを特定の符号変換で変換したもので置き換える。
【0008】
<4> 誤りのある音声フレームに対してその前に入力された誤りのある音声フレームに対してある特定の符号変換を施したもので置き換える。
【0009】
<5> 誤りのある音声フレームが連続して入力された場合、そのフレーム数がある一定値以下の時にはその前に入力された誤りのない音声フレームで置き換え、一定値以上のときには、予め用意してある特定のパターンで置き換える。
【0010】
<6> 誤りのある音声フレームが連続して入力された場合、そのフレーム数がある一定値以下のときにはその前に入力された誤りのない音声フレームで置き換え、一定値以上のときには、その誤りのない音声フレームに特定の符号変換を施したもので置き換える。
【0011】
出力信号に対して、次の<7> および<8> の処理を行なう。すなわち、
<7> 出力信号の音声帯域の縮小を行なう。
【0012】
<8> 出力信号の音量の縮小を行なう。
【0013】
すなわち、A,B,C,D と名付けた音声データフレームが入力され、B,C,D に伝送誤りが生じた場合、これらのデータフレームは次のように処理される(なお、Xは予め用意されているB,C,D とは相関のないデータフレームであり、上記<5> および<6> で用いられる一定値の設定値を2としている。また、a,b,c,d とは、それぞれ、A,B,C,D に対して、ある符号変換を施したものである)。
【0014】
<1> の場合、A,X,X,X
<2> の場合、A,A,A,A
<3> の場合、A,a,a,a
<4> の場合、A,b,c,d
<5> の場合、A,A,A,X
<6> の場合、A,A,A,a
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述した方法では、伝送中に連続的に誤りが発生する場合には、その時に生じるピークノイズを抑圧する作用があり有効である。
【0016】
しかしながら、ランダム誤りが生じたときには、上述した方法を用いると、本来誤りのない出力音声の部分に歪を生じさせ、音声品質の劣化を招くという問題点があった。
【0017】
また、従来の処理でランダム誤りが生じる場合も考慮し、ミューティングやフレームデータの置換の度合いを調整する場合には、連続的に誤りが発生している場合のノイズ抑圧作用が軽減してしまう。
【0018】
本発明の目的は、上記の問題点を解決し、巡回符号を用いて伝送誤りデータを修正し音声品質を向上させることのできる無線通信装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、フレームごとに区分されたADPCMデータおよび巡回符号を含むデータを前記巡回符号により所定の演算を行う演算手段と、該演算手段による演算結果に基づき前記ADPCMデータのフレームに誤りがあるか否かを判定する判定手段と、該判定手段により肯定判定された場合、前記演算手段による演算結果と予め定めた誤りパターンとを比較する比較手段と、該比較手段により比較した結果、両者が一致する場合、誤り位置のデータを修正し、両者が一致しない場合、誤り位置のデータを修正しない修正手段と、前記修正手段の出力から前記ADPCMデータの復号を行うADPCM復号手段と、前記修正手段と前記ADPCM復号手段との間、および前記ADPCM復号手段の後段に設けられ、前記比較手段により比較した結果、両者が一致しない場合で、かつ前記ADPCMデータのフレームに誤りがあることが肯定判定された場合に、フレームの置き換えとミューティング処理を行う処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
<第1実施例>
図1は本発明の第1実施例を示す。この例は、1フレームの入力ADPCM データ中、1ビットだけが誤っている場合に修正を行なう例であるが、2ビット以上の誤りに対しても適用可能である。図1において、1は受信符号であり、5 msごとに1フレーム(196 ビット)が送られてくる。受信符号1は、図2に示すように、CIビット(4ビット)と、SACCH ビット(16ビット)と、ADPCM データ(160 ット)と、CRC チェックビット(16ビット)により構成されている。ADPCM データ(160 ビット)は音声を8 kHz で4ビットづつ40サンプリングして得られる。2は受信符号バッファであり、受信符号1をバッファリングするためのものである。7は受信ADPCM データである。11は修正器20およびセレクタ16により構成された回路である。
【0023】
3はCRC 方式誤り検出回路であり、ITU−T により定められている生成多項式、すなわち、CRC チェックビット(16ビット)で、受信符号1のうちCRC チェックビット(16ビット)を除く180 ビットを除算するものである。4はフレーム誤りを示す信号であり、生成多項式による剰余が’0’ となり、しかも受信フレームに誤りがないときに’0’ となり、剰余が’0’ でなく、しかも受信フレームに誤りがあるときに’1’ となる。5は受信符号1を生成多項式で除算して得られる16ビットの剰余データである。誤りがない場合は16ビット全てがゼロである。
【0024】
6は予め用意した剰余データテーブルであり、196 パターンの誤り形態が存在する。ここでは、1ビットに対する処理を行なうために受信データ中に誤りが発生したときに得られる剰余データをその誤り位置とともにテーブルの中に納めてある。すなわち、テーブル中には、次のように、誤り位置情報と、その位置に誤りが生じたときに生成される剰余データのペアが格納されている。
【0025】
0xba95 … ADPCM データ部の1ビット目
0xd55a … ADPCM データ部の2ビット目
0x6aad … ADPCM データ部の3ビット目
テーブルデータ作成の計算は、誤りのない受信符号の各位置のデータを誤りに置き換え、生成多項式で除算した剰余を求めることで可能である。
【0026】
このテーブル内の真データは、予め計算により求められているが、処理速度の向上に従って、テーブルを保持することなく、毎回計算することにより、実現することが可能である。
【0027】
8は剰余データテーブル6に入っている位置情報である。10は剰余データテーブル6に入っている各誤り位置に誤りが生じた場合に得られる剰余データである。
【0028】
12は比較器であり、CRC方式誤り検出回路からの剰余データ5を、剰余データテーブル6に納められている196パターンの剰余データと全て比較し、合致した値が剰余データテーブル6に存在したときには'1'の信号を出力し、存在しないときには'0'の信号を出力する。14は比較器12から出力された'0'または'1'の信号であり、回路11をフレーム誤りなしの状態にする。9はゲートであり、信号14が'1'のとき、フレーム誤り信号を無効とし、信号14が'0'のときフレーム誤り信号4を回路24、30にそのまま送る
【0029】
16はセレクタであり、信号14が’1’ のとき、修正器20からのADPCM データ22を処理回路24に送り、信号14が’0’ のとき、受信ADPCM 7をそのまま処理回路24に送るものである。17はセレクタ16により選択されたADPCM データである。20は修正器であり、ADPCM のようなデジタルデータの場合には、その誤り位置のデータに対して、データが’0’ のときは’1’ に修正し、データが’1’ のときは’0’ に修正するものである。22は修正器20により修正されたADPCM データである。
【0030】
24は処理回路であり、従来例の<1> ないし<6> の処理を行なうものである。28はITU−T 勧告G.721 により定められているADPCM 復号器であり、処理回路24の処理結果を復号するものである。8kHz で4ビットのADPCM データをシリアルに復号する。30は処理回路であり、ADPCM 復号器28の出力に対して従来例の<7> および<8> の処理を行なうものである。
【0031】
図3は誤り修正処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0032】
ステップS2にて、CRC 方式の誤り検出を行い、その剰余を求め、ステップS4にて、受信符号から算出した剰余と、剰余テーブルの剰余テーブルとを比較する。比較した結果、剰余テーブル内に合致する符号が見つかった場合は、ステップS6に移行し、ステップS6にて、誤り位置情報に基づき修正する。すなわち、誤り位置のデータが”0” の場合は”1” に修正し、誤り位置のデータが”1” の場合は”0” に修正する。
【0033】
<第2実施例>
図4は本発明の第2実施例を示す。
【0034】
本実施例は第1実施例との比較でいえば、1ビット誤り検出および訂正回路が相違する。すなわち、第1実施例では、剰余テーブル6と、比較器12と、回路11とにより構成した。
【0035】
これに対して、本実施例では、排他的論理和ゲート41と、ダウンカウンタ42と、論理回路43とにより構成し、論理回路43により、16ビットの剰余データの入力に対して9ビットのデータを出力し、出力真データのうち8ビットは、196ビット中のADPCM データ部の1ビット誤りに対応する剰余データ入力に対し、誤り位置に対応する0〜159の誤り位置を出力する。また、1ビット誤りに対応した剰余データ以外の場合と、ADPCM データ部以外の部分に対応する1ビット誤りに対応する剰余データの場合に、160以上の値(誤り位置)を出力する。出力データのうち1ビットは、196ビットのデータに対して1ビット誤りに対応した剰余データの入力に対し、’1’ を出力する1ビット誤り検出ビットである。8ビットのADPCM データ誤り位置データは、40サンプルごとのフレーム(160 ビット= 4 ビット×40サンプル)に同期してダウンカウンタ42にロードされる。このダウンカウンタ42は、ADPCM の転送クロックでダウンカウントされ、セットされた誤り位置でRCO から1ビット区間に’1’ を出力する。例えば、0がセットされている場合は、ADPCM の最初の1ビット区間に’1’ が出力される。このRCO とADPCM データの排他的論理和を排他的論理和ゲート41によりとることにより、ADPCM データの修正を行うことができる。ダウンカウンタ42には、フレームごとに値がロードされるが、修正の必要がない場合には、160以上の値をセットしておけば、修正は行われないので、図1に示すセレクタの機能に置き換えることができる。
【0036】
第1および第2実施例では、連続的な誤りがある場合はADPCM データの修正は行わないが、従来処理により、連続的な誤りに対して最も有効なミューティングおよびフレームデータの置換処理を施すことができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上記のように構成したので、巡回符号を用いて伝送誤りデータを修正し音声品質を向上させることがきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すブロック図である。
【図2】受信データの構成例を示す図である。
【図3】誤り修正処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 バッファ
3 CRC 方式誤り検出回路
6 剰余データテーブル
9 ゲート
11 回路
12 比較器
16 セレクタ
20 修正器
24,30 処理回路

Claims (2)

  1. フレームごとに区分されたADPCMデータおよび巡回符号を含むデータを前記巡回符号により所定の演算を行う演算手段と、
    該演算手段による演算結果に基づき前記ADPCMデータのフレームに誤りがあるか否かを判定する判定手段と、
    該判定手段により肯定判定された場合、前記演算手段による演算結果と予め定めた誤りパターンとを比較する比較手段と、
    該比較手段により比較した結果、両者が一致する場合、誤り位置のデータを修正し、両者が一致しない場合、誤り位置のデータを修正しない修正手段と、
    前記修正手段の出力から前記ADPCMデータの復号を行うADPCM復号手段と、
    前記修正手段と前記ADPCM復号手段との間、および前記ADPCM復号手段の後段に設けられ、前記比較手段により比較した結果、両者が一致しない場合で、かつ前記ADPCMデータのフレームに誤りがあることが肯定判定された場合に、フレームの置き換えとミューティング処理を行う処理手段と
    を備えたことを特徴とする無線通信装置。
  2. 前記比較手段は、前記演算結果を入力とし、前記ADPCMデータ部のデータ誤り位置と、前記フレーム中に誤りを検出したことを示す誤り検出ビットとが記憶されたROMからなり、入力された前記演算結果に対応するデータ誤り位置および誤り検出ビットが出力されることにより比較を行い、
    前記修正手段は、前記データ誤り位置が入力され、セットされた誤り位置で出力するダウンカウンタと、入力されたADPCMデータと、前記ダウンカウンタの出力が入力され、前記入力されたADPCMデータの論理を反転する排他的論理和回路とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
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