JP3611710B2 - 基板処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板に所定の処理を行う基板処理装置および基板処理装置に清浄な空気を供給する空調ユニットを備えた基板処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用ガラス基板等の基板に所定の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板処理装置の1つに回転式塗布装置がある。回転式塗布装置は、基板にレジスト液を供給し、回転塗布することにより基板の表面に均一なレジスト薄膜を形成する装置である。
【0003】
図5は従来の回転式塗布装置を備えた基板処理システムの断面模式図である。図5において、基板処理システムは、回転式塗布装置30、空調ユニット41および送風管路45を備える。
【0004】
空調ユニット41は化学吸着フィルタ42、ファン43および温湿調整部44を備える。温湿調整部44の出口側には送風管路45の一端が接続されている。また、送風管路45の他端は空気導入部37に接続されている。空気導入部37における送風管路45との接続部近傍には風量調節用のダンパ39が設けられている。ダンパ39の近傍には空気導入部37内に導かれる空気の温度および湿度を検出する温湿度検出器40が配置されている。さらに、空気導入部37内における回転式塗布装置30との境界にはULPA(Ultra Low Penetration Air )フィルタ38が配置されている。
【0005】
回転式塗布装置30は筐体36の内部に回転ユニット31が配置されている。回転ユニット31は、基板Wを保持する基板保持部33と、基板保持部33を回転駆動する回転モータ32と、基板Wからの処理液の飛散を防止するためのカップ34とを備える。カップ34の下面には排気管路35が形成されている。また、回転式塗布装置30には、基板Wにレジスト液やリンス液を供給するための種々の部品(図示せず)が配設されている。
【0006】
回転式塗布装置30の処理時には、ファン43の回転により、外部の空気が空調ユニット41内に取り込まれる。空気は、空調ユニット41の化学吸着フィルタ42により基板処理に有害な溶剤やアルカリ成分が除去され、温湿調整部44により温度および湿度が所定の値に調整される。その後、空気は送風管路45を通り回転式塗布装置30の上部に配置された空気導入部37に送り込まれる。
【0007】
空気導入部37内には温湿度検出器40が取り付けられている。温湿度検出器40は空調ユニット41から送り込まれる空気の温度および湿度を検出し、検出信号を温湿調整部44に出力する。この検出信号に基づいて、温湿調整部44は回転式塗布装置30に向けて送り出す空気の温度および湿度をフィードバック制御して所定の値に調整する。空気導入部37に供給された空気は、ULPAフィルタ38を通過することによって塵埃が除去され、筐体36内を下降してカップ34の内部に供給される。
【0008】
回転ユニット31では、回転駆動される基板Wの表面にULPAフィルタ38を通過した清浄な空気流が供給される。この清浄な空気流は、温度および湿度が所定の値に調整されているため、基板Wの処理雰囲気の温度等の状態が一定に保持される。これにより、基板周辺の温度不均一等に起因するレジスト膜の膜厚不均一が防止され、レジスト膜が均一な膜厚に形成される。
【0009】
また、基板Wに供給される清浄な空気流は、基板Wから飛散されるレジスト液のミスト(飛沫)やパーティクル(粒子)を流し去り、排気管路35を通して外部に排出する。これにより、基板Wの周囲が清浄な状態に保たれ、基板Wの表面にミストやパーティクルが再付着して欠陥が生じることが防止されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示す従来の基板処理システムでは、回転式塗布装置30に導入される空気の通気経路の上流側に化学吸着フィルタ42が配置され、下流側にULPAフィルタ38が配置されている。化学吸着フィルタ42は、化学増幅型レジストが用いられる場合に対応して設けられている。化学増幅型レジストは、雰囲気中にアンモニア成分が存在すると、アンモニア成分と反応して変質する。このため、回転式塗布装置30内に導入する空気中からアルカリ成分などを除去するために化学吸着フィルタ42が設けられている。なお、化学吸着フィルタ42では空気中に含まれる塵埃46については十分に除去することができない。
【0011】
化学吸着フィルタ42は比較的寿命が短く、頻繁に交換する必要がある。このため、交換作業が容易なように、回転式塗布装置30とは別置きにされた空調ユニット41の上部に配置されている。
【0012】
一方、回転ユニット31の上部に配置されたULPAフィルタ38は、空気中に含まれる塵埃46を除去するために設けられている。これにより、回転ユニット31には化学吸着フィルタ42およびULPAフィルタ38を通過した清浄な空気が供給される。
【0013】
しかしながら、温湿度検出器40は、化学吸着フィルタ42とULPAフィルタ38との間に配置されている。温湿度検出器40は温度検出部および湿度検出部を有しており、湿度検出部は離間した2枚の電極間の電位差を検出し、検出した電位差をアナログ信号で出力するように構成されている。このため、湿度検出部の電極近傍の空気中に塵埃46が浮遊したり、電極に塵埃46が付着すると検出精度が低下する。このため、温湿度検出器40からの出力信号に基づく温湿調整部44の調整状態が変動し、回転式塗布装置30の回転ユニット31に供給される空気の湿度が所定の値から変化する。これにより、基板W上のレジスト膜の形成に悪影響が生じる。
【0014】
また、図6は従来の基板処理システムにおける他の動作状態を説明するための断面模式図である。回転ユニット31において基板Wに供給される化学増幅型レジストの一部は基板Wの外周に飛散され、回転ユニット31の上方に浮遊する。ULPAフィルタ38は気体成分を除去する能力を有していない。このため、科学増幅型レジスト中の気体状の特定成分47はULPAフィルタ38を通過して空気導入部37内に侵入する。そして、温湿度検出器40の周囲に拡散すると、温湿度検出器40の温度検出部および湿度検出部では、化学増幅型レジスト中の特定成分47の影響を受けて温度や湿度の検出精度が低下する。これにより、温湿調整部44の調整状態が変動し、それによって回転式塗布装置30の回転ユニット31における基板Wの回転塗布処理に悪影響が生じる。
【0015】
さらに、空気導入部37内に侵入した化学増幅型レジスト中の特定成分47が送風管路45を逆流して空調ユニット41側に侵入すると、温湿調整部44内に配設された銅配管に作用して銅配管を腐食させるなどの不都合が生じる。
【0016】
本発明の目的は基板処理装置への通気経路中に設けられる検出器の検出精度が空気中に塵埃などによって低下することのない基板処理システムを提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、通気経路中に設けられる検出器の検出精度が基板処理装置側から逆流する処理液の気体成分によって低下することのない基板処理システムを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明に係る基板処理システムは、空調ユニットと、基板に所定の処理を行う処理部を含む基板処理装置と、基板処理装置に設けられ、空気を処理部に導入する空気導入部と、空調ユニットと空気導入部との間に接続された送風管路とを備え、空調ユニットが、第1の化学吸着フィルタと、第1の化学吸着フィルタを通過した空気の所定の性状を調整する調整手段と、第1の化学吸着フィルタから調整手段を介して送風管路へ向かう空気の流れを形成する送風手段とを含み、空気導入部内に空気の所定の性状を検出する検出器が設けられるとともに、空気導入部内で検出器の下流側に第1の塵埃除去フィルタが設けられ、空気導入部内でかつ検出器の上流側に第2の塵埃除去フィルタが配置されたものである。
【0019】
第1の発明に係る基板処理システムにおいては、第1の化学吸着フィルタにより空気中の溶剤やアルカリ成分など基板処理に有害な成分を除去し、さらに第1の塵埃除去フィルタにより空気中の塵埃を除去し、空気を清浄化して基板処理装置へ導いている。さらに、基板処理装置に導かれる空気は、空調ユニットにより所定の性状が調整されている。このため、基板処理装置では所定の性状に調整され、かつ清浄化された空気が供給されることによって最適な処理雰囲気下で基板の処理が行われる。
【0020】
また、空気導入部内に検出器を設けるとともに、空気導入部内でかつ検出器の上流側に第2の塵埃除去フィルタを配置することにより、検出器に空気中の塵埃が近接したり付着したりすることを防止している。これにより、検出器の検出精度が塵埃の付着等により低下することが防止され、検出器の検出結果に基づいて空気の所定の性状を所望の値に正確に調整することが可能となる。それによって処理部における基板処理を最適な雰囲気下で行わせることができる。
【0021】
第2の発明に係る基板処理システムは、第1の発明に係る基板処理システムの構成において、検出器の下流側に第2の化学吸着フィルタが設けられたものである。
【0022】
この場合、検出器の下流側に設けられた第2の化学吸着フィルタは、基板処理装置側から逆流する有害な気体成分を吸着して除去する。このため、有害な気体成分が検出器に作用し、検出器の検出精度が低下することが防止される。また、有害な気体成分が空気導入部を通って逆流し、空調ユニットの内部において悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0023】
第3の発明に係る基板処理システムは、空調ユニットと、基板に所定の処理を行う処理部を含む基板処理装置と、基板処理装置に設けられ、空気を処理部に導入する空気導入部と、空調ユニットと空気導入部との間に接続された送風管路とを備え、空調ユニットが、第1の化学吸着フィルタと、第1の化学吸着フィルタを通過した空気の所定の性状を調整する調整手段と、第1の化学吸着フィルタから調整手段を介して送風管路へ向かう空気の流れを形成する送風手段とを含み、空気導入部内に空気の所定の性状を検出する検出器が設けられるとともに、空気導入部内でかつ検出器の下流側に第2の化学吸着フィルタが設けられ、空気導入部内でかつ第2の化学吸着フィルタの下流側に第1の塵埃除去フィルタが設けられたものである。
【0024】
第3の発明に係る基板処理システムにおいては、第1の化学吸着フィルタにより空気中の溶剤やアルカリ成分など基板処理に有害な成分を除去し、さらに第1の塵埃除去フィルタにより空気中の塵埃を除去し、空気を清浄化して基板処理装置へ導いている。さらに、基板処理装置に導かれる空気は空調ユニットにより空気の所定の性状が調整されている。このため、基板処理装置では所定の性状に調整されかつ清浄化された空気が供給されることによって最適な処理雰囲気下で基板の処理が行われる。また、空気導入部内に検出器を設けるとともに、空気導入部内でかつ検出器の下流側に第2の化学吸着フィルタを配置している。第2の化学吸着フィルタは、基板処理装置側から逆流する有害な気体成分を吸着して除去する。このため、有害な気体成分が検出器に作用し、検出器の検出精度が低下することが防止される。また、有害な気体成分が送風管路を通って逆流し、空調ユニットの内部において悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0025】
第4の発明に係る基板処理システムは、空調ユニットと、基板に所定の処理を行う処理部を含む基板処理装置と、基板処理装置に設けられ、空気を処理部に導入する空気導入部と、空調ユニットと空気導入部との間に接続される送風管路とを備え、空調ユニットが、第1の化学吸着フィルタと、第1の化学吸着フィルタを通過した空気の所定の性状を調整する調整手段と、第1の化学吸着フィルタから調整手段を介して送風管路へ向かう空気の流れを形成する送風手段とを含み、空気導入部内に第1の塵埃除去フィルタが設けられ、送風管路の途中が主管路と主管路をバイパスするバイパス管路とに分岐され、バイパス管路内に空気の所定の性状を検出する検出器が設けられ、バイパス管路内で検出器の上流側に第2の塵埃除去フィルタが設けられ、バイパス管路内で検出器の下流側に第2の化学吸着フィルタが設けられたものである。
【0026】
第4の発明に係る基板処理システムにおいては、第1の化学吸着フィルタにより空気中の溶剤やアルカリ成分など基板処理に有害な成分を除去し、さらに第1の塵埃除去フィルタにより空気中の塵埃を除去し、空気を清浄化して基板処理装置へ導いている。さらに、基板処理装置に導かれる空気は、空調ユニットにより所定の性状が調整されている。このため、基板処理装置では所定の性状に調整されかつ清浄化された空気が供給されることによって最適な処理雰囲気下で基板の処理が行われる。
【0027】
この場合、空気導入部に接続されるバイパス管路内の検出器の上流側に設けられた第2の塵埃除去フィルタは、空調ユニット側から送出される空気中の塵埃を除去する。これにより、第2の塵埃除去フィルタの下流に配置された検出器に空気中の塵埃が近接し、あるいは付着して検出精度を低下させることを防止することができる。また、空気導入部に接続されるバイパス管路内の検出器の下流側に設けられた第2の化学吸着フィルタは、基板処理装置側から逆流する有害な気体成分を吸着除去する。これにより、有害な気体成分が検出器に作用し、検出精度を低下させることを防止することができる。この第2の塵埃除去フィルタおよび第2の化学吸着フィルタにより、検出器の検出精度が維持される。
【0028】
第5の発明に係る基板処理システムは、第1〜第4のいずれかの発明に係る基板処理システムの構成において、調整手段が、検出器の出力に基づいて空気の所定の性状を調整するものである。
【0029】
この場合、検出器の出力に基づいて調整手段による空気の所定の性状の調整動作を制御することにより正確かつ迅速に空気の性状を所定の値に調整することが可能となり、基板処理装置における基板の処理状態を安定化することができる。
【0030】
第6の発明に係る基板処理システムは、第1〜第5のいずれかの発明に係る基板処理システムの構成において、第1の化学吸着フィルタが送風手段の上流側に設けられたものである。
【0031】
この場合、作業者が取扱容易な位置に第1の化学吸着フィルタを配置することが可能となり、第1の化学吸着フィルタの保守作業が容易となる。
第7の発明に係る基板処理システムは、第1〜第6のいずれかの発明に係る基板処理システムの構成において、基板処理装置は、基板にレジスト液を塗布する回転式塗布装置である。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施例による基板処理システムの断面模式図である。図1において、基板処理システムは、回転式塗布装置1、空調ユニット17および送風管路13を備える。
【0033】
空調ユニット17は、温湿調整部14、ファン15および化学吸着フィルタ16を備える。化学吸着フィルタ16は外部から取り込まれる空気中に含まれるアルカリ成分や溶剤を除去するために設けられている。ファン15は空気を温湿調整部14、送風管路13を通して回転式塗布装置1に送出するために設けられている。
【0034】
温湿調整部14はファン15により取り込まれた空気の温度を調整するための空気冷却器または空気加熱器と、空気の湿度を調整する加湿器を備える。空気冷却器、空気加熱器および加湿器は後述する温湿度検出器12からの出力信号に基づいてフィードバック制御される。
【0035】
温湿調整部14の出口側には送風管路13の一端部が接続されている。また、送風管路13の他端部は回転式塗布装置1の上部に配置された空気導入部8に接続されている。送風管路13と空気導入部8との連結部には、空気の流量を調整するダンパ11が設けられている。さらに、ダンパ11の下流側には塵埃を除去するためのHEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタ12が設けられている。HEPAフィルタ12は空気中の塵埃を捕獲して除去する。
【0036】
さらに、空気導入部8内におけるHEPAフィルタ12の下流側には温湿度検出器10が取り付けられている。温湿度検出器10は空気導入部8内に導入される空気の温度を検出する温度検出部と、空気の湿度を検出する湿度検出部とを有する。そして、温度検出信号および湿度検出信号をそれぞれ温湿調整部14に出力する。
【0037】
また、空気導入部8と回転式塗布装置1の上面との境界部分にはULPAフィルタ9が配設されている。ULPAフィルタ9はHEPAフィルタ12と同様に、空気中の塵埃を除去する。ULPAフィルタ9はHEPAフィルタ12に比べ、より粒子の小さい塵埃をより高い捕集率で除去することができる。このULPAフィルタ9を通過することにより、回転式塗布装置1に導入される空気中から塵埃を十分に除去することができる。
【0038】
回転式塗布装置1では、筐体7の内部に回転ユニット2が配置されている。回転ユニット2は、基板Wを保持する基板保持部4と、基板保持部4を回転駆動する回転モータ3と、基板Wからの処理液の飛散を防止するためのカップ5とを備える。カップ5の下面には排気管路6が形成されている。さらに、回転式塗布装置1には、基板Wにレジスト液やリンス液を供給するための種々の部品(図示せず)が配設されている。
【0039】
上記の構成を有する基板処理システムにおいて、空気は空調ユニット17、送風管路13、空気導入部8を通り、回転式塗布装置1に供給される。また、この基板処理システムでは、空気の流動経路の上流側から化学吸着フィルタ16、HEPAフィルタ12およびULPAフィルタ9が配置されている。そして、化学吸着フィルタ16により空気中の溶剤やアルカリ成分が除去され、さらにHEPAフィルタ12およびULPAフィルタ9により空気中の塵埃が除去される。また、温湿調整部部14により空気の温度および湿度が所定の値に調整される。これにより、回転式塗布装置1の回転ユニット2には温度および湿度が所定値に調整された清浄な空気流が供給される。
【0040】
また、温湿度検出器10はHEPAフィルタ12とULPAフィルタ9との間に配置されている。このため、化学吸着フィルタ16を通過した塵埃はHEPAフィルタ12により除去される。このため、温湿度検出器10に空気中の塵埃が付着して検出精度が低下することが防止される。
【0041】
本実施例および以下の実施例において、空調ユニット17が本発明の空調ユニットに相当し、回転式塗布装置1が基板処理装置に相当し、送風管路13および空気導入部8が通気路に相当し、ULPAフィルタ9が第1の塵埃除去フィルタに相当し、化学吸着フィルタ16が第1の化学吸着フィルタに相当し、温湿度検出器10が検出器に相当する。さらに、本実施例において、HEPAフィルタ12が本発明の第2の塵埃除去フィルタに相当する。
【0042】
図2は本発明の第2の実施例による基板処理システムの断面模式図である。第2の実施例による基板処理システムでは回転式塗布装置1で用いられる化学増幅型レジストに含まれる気体状の特定成分が空気導入部8あるいは送風管路13を逆流して温湿調整部14に侵入することを防止するために化学吸着フィルタ20が設けられている。
【0043】
化学吸着フィルタ20はULPAフィルタ9上に重ねて取り付けられている。回転式塗布装置1では、基板Wに塗布される化学増幅型レジストに含まれる特定成分が筐体7内を上昇する。筐体7の上面にはULPAフィルタ9が配置されている。しかしながら、ULPAフィルタ9は塵埃などの粒子を捕獲除去するフィルタであり、化学増幅型レジスト中の特定成分はULPAフィルタ9を通過する。そこで、ULPAフィルタ9の上面に化学吸着フィルタ20を積層することにより、ULPAフィルタ9を通過した化学増幅型レジスト中の特定成分を吸着除去することができる。
【0044】
これにより、化学増幅型レジスト中の特定成分が空気導入部8内の温湿度検出器10に近接して温度や湿度の検出精度を低下させることが防止される。さらに、送風成分が送風管路13を逆流し、温湿調整部14内の銅配管を腐食するなどの不都合が防止される。
【0045】
本実施例において、化学吸着フィルタ20が本発明の第2の化学吸着フィルタに相当する。
【0046】
図3は、本発明の第3の実施例による基板処理システムの断面模式図である。第3の実施例による基板処理装置は、第1の実施例による基板処理システムと第2の実施例による基板処理システムにおけるフィルタを組み合わせて配置したものである。
【0047】
すなわち、空気の流動経路の上流側から順に化学吸着フィルタ16、HEPAフィルタ、化学吸着フィルタ21およびULPAフィルタ9を配置したものである。これにより、温湿度検出器10の上流側にはHEPAフィルタ12が配置され、下流側には化学吸着フィルタ20が配置される。このため、外部から化学吸着フィルタ17を通過して流動する空気中に含まれる塵埃はHEPAフィルタ12により除去され、温湿度検出器10には到達しない。また、回転式塗布装置1側から逆流する化学増幅型レジストの特定成分は化学吸着フィルタ20により除去され、温湿度検出器10に到達しない。これにより、空気中の塵埃により、または化学増幅型レジスト中の特定成分により温湿度検出器10の測定精度が低下することが防止される。さらに、温湿調整部14への化学増幅型レジストの特定成分の逆流による悪影響が防止される。
【0048】
本実施例において、HEPAフィルタ12が本発明の第2の塵埃除去フィルタに相当し、化学吸着フィルタ20が本発明の第2の化学吸着フィルタに相当する。
【0049】
図4は本発明の第4の実施例による基板処理システムの断面模式図である。図4において、第4の実施例による基板処理システムでは、送風管路13の途中が主管路13aとバイパス管路13bとに分岐されており、バイパス管路13b中に温湿度検出器10が取り付けられている。さらに、温湿度検出器10の上流側には塵埃を除去するためのHEPAフィルタ22が配置され、下流側には化学吸着フィルタ23が配置されている。HEPAフィルタ22は化学吸着フィルタ16を通過する空気中に含まれる塵埃を除去する。これにより、温湿度検出器10が塵埃の付着などにより測定精度が低下することが防止される。
【0050】
さらに、化学吸着フィルタ23は回転式塗布装置1側から逆流する化学増幅型レジストの特定成分を除去する。これにより、化学増幅型レジストの特定成分により温湿度検出器10の測定精度が低下することが防止される。
【0051】
本実施例において、HEPAフィルタ22が本発明の第2の塵埃除去フィルタに相当し、化学吸着フィルタ23が第2の化学吸着フィルタに相当する。
【0052】
なお、上記実施例において、基板処理装置として回転式塗布装置1を用いた例について説明したが、これに限定されることなく、例えば現像装置など他の基板処理装置に本発明を適用することができる。
【0053】
さらに、本発明において温湿度検出器10の上流側に設けられる塵埃除去フィルタとしては、上記実施例のようにHEPAフィルタ12,22のみならず、例えばULPAフィルタ他の塵埃除去フィルタを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による基板処理システムの断面模式図である。
【図2】本発明の第2の実施例による基板処理システムの断面模式図である。
【図3】本発明の第3の実施例による基板処理システムの断面模式図である。
【図4】本発明の第4の実施例による基板処理システムの断面模式図である。
【図5】従来の基板処理システムの断面模式図である。
【図6】従来の基板処理システムにおける処理状態を説明るための断面模式図である。
【符号の説明】
1 回転式塗布装置
2 回転ユニット
8 空気導入部
9 ULPAフィルタ
10 温湿度検出器
12,22 HEPAフィルタ
13 送風管路
13a 主管路
13b バイパス管路
14 温湿調整部
15 ファン
16,20,23 化学吸着フィルタ
17 空調ユニット
Claims (7)
- 基板処理システムであって、
空調ユニットと、
基板に所定の処理を行う処理部を含む基板処理装置と、
前記基板処理装置に設けられ、空気を前記処理部に導入する空気導入部と、
前記空調ユニットと前記空気導入部との間に接続された送風管路とを備え、
前記空調ユニットは、第1の化学吸着フィルタと、前記第1の化学吸着フィルタを通過した空気の所定の性状を調整する調整手段と、前記第1の化学吸着フィルタから前記調整手段を介して前記送風管路へ向かう空気の流れを形成する送風手段とを含み、
前記空気導入部内に空気の所定の性状を検出する検出器が設けられるとともに、前記空気導入部内で前記検出器の下流側に第1の塵埃除去フィルタが設けられ、前記空気導入部内でかつ前記検出器の上流側に第2の塵埃除去フィルタが配置されたことを特徴とする基板処理システム。 - 前記検出器の下流側に第2の化学吸着フィルタが設けられたことを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
- 基板処理システムであって、
空調ユニットと、
基板に所定の処理を行う処理部を含む基板処理装置と、
前記基板処理装置に設けられ、空気を前記処理部に導入する空気導入部と、
前記空調ユニットと前記空気導入部との間に接続された送風管路とを備え、
前記空調ユニットは、第1の化学吸着フィルタと、前記第1の化学吸着フィルタを通過した空気の所定の性状を調整する調整手段と、前記第1の化学吸着フィルタから前記調整手段を介して前記送風管路へ向かう空気の流れを形成する送風手段とを含み、
前記空気導入部内に前記空気の所定の性状を検出する検出器が設けられるとともに、前記空気導入部内でかつ前記検出器の下流側に第2の化学吸着フィルタが設けられ、前記空気導入部内でかつ前記第2の化学吸着フィルタの下流側に第1の塵埃除去フィルタが設けられたことを特徴とする基板処理システム。 - 基板処理システムであって、
空調ユニットと、
基板に所定の処理を行う処理部を含む基板処理装置と、
前記基板処理装置に設けられ、空気を前記処理部に導入する空気導入部と、
前記空調ユニットと前記空気導入部との間に接続される送風管路とを備え、
前記空調ユニットは、第1の化学吸着フィルタと、前記第1の化学吸着フィルタを通過した空気の所定の性状を調整する調整手段と、前記第1の化学吸着フィルタから前記調整手段を介して前記送風管路へ向かう空気の流れを形成する送風手段とを含み、
前記空気導入部内に第1の塵埃除去フィルタが設けられ、
前記送風管路の途中が主管路と前記主管路をバイパスするバイパス管路とに分岐され、
前記バイパス管路内に前記空気の所定の性状を検出する検出器が設けられ、前記バイパス管路内で前記検出器の上流側に第2の塵埃除去フィルタが設けられ、前記バイパス管路内で前記検出器の下流側に第2の化学吸着フィルタが設けられたことを特徴とする基板処理システム。 - 前記調整手段は、前記検出器の出力に基づいて空気の所定の性状を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基板処理システム。
- 前記第1の化学吸着フィルタは前記送風手段の上流側に設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の基板処理システム。
- 前記基板処理システムは、基板にレジスト液を塗布する回転式塗布装置であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の基板処理システム。
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