JP3611366B2 - 筆記具、化粧具等の液体塗布具 - Google Patents

筆記具、化粧具等の液体塗布具 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、筆記具、化粧具等の液体塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクを直に軸筒内に貯蔵した筆記具や、マニキュア液等の液体化粧料を軸筒内に貯蔵した化粧具等の液体塗布具では、インクやマニキュア液等の吐出量を制御する等の目的で軸筒内部に弁装置が装着されることが多い。この弁の開閉用のノツク機構の一つとしては、軸筒に蛇腹軸部を設け、その蛇腹軸部のスクイズ性を利用して軸方向にノックできるようにしたものがある(実開昭62−109980号公報、実公平6−18616号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、蛇腹軸部を設けた前記従来の液体塗布具においては、前述ようにそのスクイズ性を利用しているため、蛇腹軸部の押圧力を通常使用に合うように低く設定することが望ましい。具体的には、蛇腹軸部の肉厚寸法を0.3〜0.4mm程度に設定することが好適であると考えられる。しかしながら、その蛇腹軸部が設けられる軸筒の胴部の肉厚(通常0.8mm程度)との関係上、ダイレクトブローやインジェクション・ブローによるブロー容器では軸筒を調達できず、結果として蛇腹軸部を前記肉厚寸法に成形することは困難であった。
【0004】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、ノック機構を備えた液体塗布具において、ノック部の押圧力を通常使用に合わせて低く設定でき、しかも、ノック部の誤動作防止機能を維持しつつノック操作を容易に行える筆記具、化粧具等の液体塗布具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、次のような構成を有する。
すなわち、請求項1の発明は、塗布液を内部に貯蔵する軸筒を備えた筆記具、化粧具等の液体塗布具であって、尾端に設けられたノック部を軸方向にノックすることにより、内部に設けられた弁を開放させてペン先から塗布液を流出させるようにしたものにおいて、前記軸筒の後端開口には、ノック機構を保持しかつ軸筒とは別体の構成としたノック部を備えた尾栓が嵌合され、前記ノック部は、ノック操作時に復元可能に変形する薄肉壁を有し、前記尾栓は、前記ノック部の周囲に形成されて前記ノック部の誤動作を防止するカバー部が一体成形されたものであることを特徴とする筆記具、化粧具等の液体塗布具である。
【0006】
請求項2の発明は、前記カバー部の周壁には、後方に開放し指が挿入可能な切り欠きが設けられたことを特徴とする請求項1記載の筆記具、化粧具等の液体塗布具である。
【0007】
請求項3の発明は、前記尾栓は、前記ノック部の薄肉壁とカバー部とが一体または一体的に成形されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の筆記具、化粧具等の液体塗布具である。
【0008】
【作用】
請求項1の発明によれば、ノック機構を保持しかつ軸筒とは別体の構成としたノック部を備えた尾栓を前記軸筒の後端開口に嵌合し、該ノック部に復元可能に変形する薄肉壁を形成するようにしたので、使用者は、前記薄肉壁を変形させることでノック部をノックすることが可能となり、それにより前記弁を開放させて塗布液をペン先に流出させることができる。したがって、ノック機構を保持しつつ、ノック部を軸筒とは別体の構成とした本発明では、軸筒の肉厚とは無関係にノック部を成形できる。よって、前記薄肉壁を例えば0.3〜0.4mm程度に成形し、ノック部の押圧力を通常使用に合わせて低く設定することが可能となる。
【0009】
また、請求項の発明によれば、前記尾栓は、前記ノック部の周囲に形成されてノック部の誤動作を防止するカバー部が一体成形されたものであるため、キャップ装着時等におけるノック部の誤動作を防止することができる。また、カバー部の一体化により後部構造を簡素化して安価に構成することもできる。
【0010】
また、請求項の発明によれば、前記カバー部の周壁には、後方に開放し指が挿入可能な切り欠きが設けられているので、使用者は、この切り欠きにカバー部を避けて指を入れ、ノック部をノックすることができる。よって、ノック部の誤動作防止機能を維持しつつ、容易にノック操作を行うことができる。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図は本発明の実施例である筆記具を示したものである。
【0012】
第1実施例は、図1および図2に示すように、インク(塗布液の一例)を内部に貯蔵する軸筒1を備えた筆記具であって、尾端に設けられたノック部12を軸方向にノックすることにより、内部に設けられた弁を開放させてペン先から塗布液を流出させるものである。軸筒1の後端開口には、ノック部12を一体に備えた尾栓13が嵌合される。ノック部12は、有底筒状を呈し、かつ、ノック操作時に復元可能に変形する薄肉壁14を周壁に有する。
【0013】
また、尾栓13は、ノック部12と、このノック部12の周囲に形成されてノック部12の誤動作を防止するカバー部15とが一体成形されたものであり、このカバー部15の周壁には、後方に開放し指が挿入可能な切り欠き17が設けられている。
【0014】
以下、各部の構成を詳細に説明する。先ず、軸筒1は軟質合成樹脂製で前後両端が開口している。その前端開口部には弁座2が嵌着され、さらに弁座2内にはペン先側からバネ受け3が嵌着されている。そして、弁座2の後方空間をインクタンク4となし、その内部にはインク撹拌用ボール5が遊動自在に装入されている。
【0015】
弁棒6は、前端に太径部6aを有し、その太径部6aの外面に前方へ向いた段部6bを有する。太径部6aの後端は、テーパ状に縮径する段部6cとなっており、その段部6cの後方には細径部6dが延長されている。さらに細径部6dの後端には、連結小径部6eが形成されている。そして、太径部6aを前述した弁座2とバネ受3によって囲まれた空間部に配設することにより、その後方のテーパ状の段部6cを弁座2の開口縁部に対して当接・離脱可能にさせる。また、細径部6dは、弁座2の後端面を貫通して後方に突出し、その後端の連結小径部6eは、長寸の細径パイプ7の前端口に圧入され連結される。また、前端の太径部6aの段部6bとその前方のバネ受3の後面との間には、弁バネ8が張架されて組み付けられており、弁棒6は、この弁バネ8の弾性力を常時受け、かつ、軸方向に移動自在となっている。
【0016】
そして前述の弁棒6の後端に連結した細径パイプ7は、その後端が尾栓13のノック部12のリブ19(後述)に連結している。一方、軸筒1の前端外周面には、軸筒1の前端縁に重合した弁座2およびバネ受3の鍔部2a,3aを挟持した先軸9が螺着されている。先軸9の中心孔には、その内面の所要位置(円周方向の120°毎の位置)から中心に向って半径方向に突出したリブ9aが形成され、このリブ9aによって塗布部材としてのフェルト製等のペン芯10が把持されている。このペン芯10の後端面は、バネ受3の中心孔の内縁部の所要位置(円周方向の120°毎の位置)に設けられた突起3bの前端面に当接している。先軸9の軸方向の略中央位置には、中間径部9bが形成されており、この中間径部9bの内孔部にはスポンジ体11が装着されている。そして、スポンジ体11の中心孔には、ペン芯10の後端とバネ受3の突起3bとが嵌入されると共に、スポンジ体11の後端面は、バネ受3の前面と当接している。なお、軸筒1の前方の先軸9の外周部にはキャップ16(図1参照)が着脱自在に嵌着される。
【0017】
次に、尾栓13の構造を説明する。尾栓13は、図2に示すように、軸筒1の後端開口に嵌入する略円筒形の固定部18と、この固定部18の後端に前記薄肉壁14が連結した前記ノック部12と、固定部18と薄肉壁14との連結部の外周に接続した前記カバー部15とが射出成形等で一体成形された樹脂成形品である。尾栓13は、軸筒1の後端開口に圧入または融着等の固着手段により取り付けられる。
【0018】
ノック部12は有底の略円筒形を呈する。図2に示すように、ノック部12の前部に形成された薄肉壁14は、固定部18側の大径部14aと、ノック部12底壁側の小径部14bとからなり、ノック部12の他の部分および軸筒1の肉厚に比して薄肉に形成され、所望のスクイズ性を有する。また、ノック部12の底壁の内面には、前記細径パイプ7に連結した棒状のリブ19が一体成形されている。
【0019】
カバー部15は、その前端が固定部18の後端外周に連結し、該連結部からノック部12を隠蔽するように後方に向けて略円筒形状に延出される。カバー部15の後端は、側面視(図2参照)でノック部12の底壁よりも僅かに後方に位置している。切り欠き17は、カバー部15後部の円筒仮想ライン(図3参照)の軸径方向一側(図3では上側)を削除した形状である。なお、このカバー部15後端のノック部12の底壁に対する位置や切り欠き17の形状は、使用条件等に応じて適宜変更可能である。
【0020】
以上のような構成を有する第1実施例によれば、図3に示すようにノック部12の底壁を軸方向にノツクして薄肉壁14を変形させることにより、ノック部12を前方に没入させ、没入した分だけ細径パイプ7を押圧して前進させ、細径パイプ7の前端に連結した弁棒6を弁バネ8を圧縮させながら前進させることにより弁座2を開口させ、インクタンク4よりペン芯10へインクを供給させることができる。
【0021】
一方、ノック部12の底壁から押圧力を取り除いてノック操作を止めると、圧縮された弁バネ8の復元力が弁棒6、細径パイプ7およびリブ19を介してノック部12の底壁裏面に押圧力を加え、変形していた薄肉壁14を元の形態に復帰させる。それと同時に弁棒6の段部6cが弁座2に当接して弁が閉じ、インクの供給が停止する。
【0022】
したがって、第1実施例では、ノック機構を保持しつつ、ノック部12を軸筒1とは別体の構成としたので、軸筒1の肉厚とは無関係にノック部12を成形できる。よって、薄肉壁14の肉厚tが例えば0.3〜0.4mm程度になるように尾栓13を成形することができ、これによりノック部12の押圧力を通常使用に合わせて低く設定できる。
【0023】
また、尾栓13が、誤動作防止用のカバー部15とノック部12とを一体成形したものであるため、ノック部12の誤動作を防止することができる。すなわち、カバー部15の開口面積より広い手の平等ではカバー部15に阻止されてノック部12を押圧することが不可能となり、また例えばキャップ16を嵌める場合には尾栓13を手の平等で支えていたとしても(通常この様な場合に指先等で尾栓13側を支持するのは不自然である)、誤って薄肉壁14が変形されることがなく不本意なる弁の開口等が防止できる。また、カバー部15の一体化により筆記具の後部構造を簡素化して安価に構成することもできる。
【0024】
また、ノック部12の底壁にリブ19が設けられているため、筆記具組み立て時に撹拌用ボール5が軸中心から外れた位置に配置される。これにより、尾栓13と細径パイプ7との間に撹拌用ボール5が挟まれることが防止できる。すなわち、筆記具組み立て時において、尾栓13を軸筒1の後端開口に固定し、撹拌用ボール5およびインクを軸筒1に入れた後に、ペン先を上に向けて細径パイプ7を挿入する際、撹拌用ボール5が図2および図3に示すように軸中心から外れた位置に納まるので、細径パイプ7と尾栓13との間に撹拌用ボール5が挟まる等の不都合が生じない。
【0025】
さらに、カバー部15に切り欠き17が設けられているので、使用者は、この切り欠き17にカバー部15を避けて指を入れ、ノック部12をノックすることができ、カバー部15による誤作動防止機能を維持しつつ、容易にノック操作を行うことが可能になる。
【0026】
次に、第2実施例の筆記具について説明する。この第2実施例に係る尾栓20のノック部21は、図4に示すように、前記第1実施例と略同様に階段状に形成された薄肉壁22と、この薄肉壁22の横断面視の略中央部に棒状に一体成形された前後一対のリブ23a,23bと、後ろ側のリブ23bに嵌着されてノック時に摺動するノックキャップ24とを備える。なお、尾栓20以外の構造は、前記第1実施例のものと同様である。
【0027】
前側のリブ23aは、インクタンク4に向けて突出しており、前記第1実施例のリブ19と同様の機能を有するものであり、尾栓20と細径パイプ7との間に撹拌用ボール5が挟まれることを防止する。ノックキャップ24は、後方に向けてやや縮径したテーパ状の成形品であり、内側に筒状のリブ24aを備える。ノックキャップ24は、その筒状のリブ24aが前記リブ23bに嵌合すると共に、カバー部15の内周壁に突設された突起25によって係止されていて、ノック操作時にはカバー部15の内周壁で摺動する。
【0028】
続いて、第3実施例を説明する。第3実施例の尾栓26のノック部27は、図5に示すように、前記第2実施例の薄肉壁22および前後一対のリブ23a,23bに相当する部分を尾栓本体とは別部品の弾性体28で構成したものである。この弾性体28は、前後一対のリブ29a,29bと、円環状に形成された薄肉壁30とを備える。弾性体28は、例えばエラストマー等のゴム材で構成され、ポリプロピレン等からなる尾栓26の本体と二色成形機などで一体的に成形される。この第3実施例によれば、薄肉壁30を弾性体28に設けているため、ノック部27の作動性が良好になる。
【0029】
なお、前記第1〜第3実施例は、本発明の好適な実施の態様であり、本発明の技術的範囲はこの実施例に何ら限定されない。例えば、本実施例では、第1実施例に示したように薄肉壁14を大径部14aと小径部14bとの段部で構成したり、あるいは、第3実施例のように環状の薄肉壁30で薄肉壁を構成したが、本発明に係る薄肉壁は、従来の蛇腹軸部を薄肉に成形したものや、円筒部に環状の溝を単数または複数個形成したようなものなどでもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明の通り、本発明によれば、筆記具、化粧具等の液体塗布具において、ノック部の押圧力を通常使用に合わせて低く設定できる。しかも、何ら注意を払う必要なくキャップの着脱等をなし得て、使い勝手を向上させる効果もある。さらに、該誤動作防止機能を維持しつつ容易にノック操作を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る尾栓およびキャップが外れた状態の全体斜視図である。
【図2】第1実施例に係る軸筒に尾栓が装着された状態の縦断面図である。
【図3】図2におけるA部拡大図である。
【図4】第2実施例の要部の拡大縦断面図である。
【図5】第3実施例の要部の拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1 軸筒
12 ノック部
13 尾栓
14 薄肉壁
15 カバー部
17 切り欠き
20 尾栓
21 ノック部
22 薄肉壁
26 尾栓
27 ノック部
30 薄肉壁

Claims (3)

  1. 塗布液を内部に貯蔵する軸筒を備えた筆記具、化粧具等の液体塗布具であって、尾端に設けられたノック部を軸方向にノックすることにより、内部に設けられた弁を開放させてペン先から塗布液を流出させるようにしたものにおいて、
    前記軸筒の後端開口には、ノック機構を保持しかつ軸筒とは別体の構成としたノック部を備えた尾栓が嵌合され、
    前記ノック部は、ノック操作時に復元可能に変形する薄肉壁を有し、
    前記尾栓は、前記ノック部の周囲に形成されて前記ノック部の誤動作を防止するカバー部が一体成形されたものであることを特徴とする筆記具、化粧具等の液体塗布具。
  2. 前記カバー部の周壁には、後方に開放し指が挿入可能な切り欠きが設けられたことを特徴とする請求項1記載の筆記具、化粧具等の液体塗布具。
  3. 前記尾栓は、前記ノック部の薄肉壁とカバー部とが一体または一体的に成形されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の筆記具、化粧具等の液体塗布具。
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