JP3611249B2 - 印刷装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は所望の文字が印刷されたシートを作成する印刷装置に関し、特に、粘着剤層を介して基材と剥離シートとを重ね合わせてなるシートの端部における剥離シートを剥離し、かかるシートの使用に際し剥離シート全体を剥離し易くする印刷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フィルムの一面に粘着剤層を形成し、その粘着剤層に剥離紙を貼着してなるシートが各方面で使用されている。かかるシートを使用する場合、通常シートの端部から手指にてシートに貼着された剥離紙を剥離させた後、残ったフィルムを各種の媒体に貼り付けて使用しているのが一般的である。
【0003】
また、従来、かかるシートの剥離紙を容易に剥離できるように、シート上のフィルムの適当な箇所でフィルムのみに縦方向に切込みを形成してハーフカットを行い、その使用に際してはシートを切込み部から折り曲げて印刷がなされていないフィルムを持って剥離紙から剥離した後、使用するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の剥離紙の剥離方法のうち前者の方法では、シートの端部においてもフィルムと剥離紙とが粘着剤層により隙間なく密着されているので、手指にてフィルムから剥離紙を剥すのが困難であり、剥離作業を繰り返すうちにシートの端部が折れ曲がってしまい益々剥離紙の剥離が困難となるものであった。
【0005】
また、後者の方法では、フィルムのみに縦方向に切込みを形成してハーフカットを行うので、フィルムを剥離紙から容易に剥すことができるが、フィルムのみに切込みを形成するのは容易ではなく、特に、薄い剥離紙を用いている場合ハーフカット機構に使用される部品に高精度なものが要求され、また、これらの部品を組み付けるについても高精度で管理する必要がある。
【0006】
従って、かかる部品やその組み付けに要求される精度を高く維持するためにコストアップを招来していた。更に、前記のような高精度な管理を行っていても剥離紙の一部が切断されてしまう場合があり、このため、フィルムが剥離紙から剥しにくいシートが形成される虞があった。
【0007】
また、前記のようなハーフカットを行う場合には、ハーフカットによりカットされ、印刷がなされていない部分のフィルムはもはや使用できないので捨て去るしかなく、これよりシートのランニングコスト上も問題があった。
【0008】
本発明は、前記従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、ハーフカットを行うことなく基材から剥離シートを容易に剥すことができるとともに、シートのコストを低く抑えることができる印刷装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1記載の印刷装置は、粘着剤層を介して基材と剥離シートとを重ね合わせてなり、所望の文字が印刷されたシートを作成する印刷装置において、印刷済みののシートを所定の長さに切断する切断手段と、前記切断手段によりシート切断されたシートの端部に作用してその端部をシート面と交差する方向に曲げることにより前記粘着剤層の粘着力に抗して前記基材の端面部から剥離シートの端面部を剥離する剥離部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の印刷装置は、請求項1に記載された印刷装置において、前記剥離部材は、切断されたシートの端部にそのシート面と交差する方向から作用してその端部を同方向に曲げるように構成されたことを特徴とする。
【0011】
【0012】
【作用】
前記構成を有する請求項1記載の印刷装置によれば、所望の文字が印刷されたシートを所定の長さに、シートの基材及び剥離シートの双方ともに重ね合わされた状態で切断手段により切断する。そして、剥離部材は、前記切断手段により切断されたシートの端部に作用してその端部をシート面と交差する方向に曲げることにより前記粘着剤層の粘着力に抗して前記基材の端面部から剥離シートの端面部を剥離する。
【0013】
さらに、請求項2記載の印刷装置によれば、剥離部材が切断されたシートの端部にそのシート面と交差する方向から作用してその端部を同方向に曲げることにより、粘着剤層の粘着力に抗して基材の端面部からから剥離シートの端面部を剥離する。
【0014】
【0015】
【実施例】
以下、本発明を具体化した実施例に基づいて図面を参照しつつ詳細に説明する。図1乃至図4は本発明をテープ印字装置に具体化した第1実施例を示すものであり、以下、これらの図面に基づいて第1実施例について説明する。
【0016】
図1はテープ印字装置にテープを作成するためのテープカセットを配置した状態を示す平面図(テープカセットの上ケースを除いて示す)であり、テープカセット1には透明なフィルムテープ2が巻回されたテープスプール3、サーマルインクリボン4が巻回されたリボンスプール5、剥離紙付両面粘着テープ6が剥離紙側を外側にして巻回された粘着テープスプール7が配設されている。
【0017】
これら各スプール3、5、7は図示しない上ケースの下面に設けられた支持部との協働により回転可能に支持されている。
【0018】
また、各スプール3、5、7の間にリボン巻取スプール8が同様に回転可能に支持されており、かかるリボン巻取スプール8は図示しないリボン巻取軸に噛合され、リボン巻取軸の駆動により印字で使用されたサーマルインクリボン4を巻取る。
【0019】
更に、テープカセット1の凹部9にサーマルヘッド10が配設されており、かかるサーマルヘッド10はこれに圧接状態で対向配置されたプラテンローラ11との協働によりサーマルインクリボン4を介してフィルムテープ2上に文字等の印字を行うものである。
【0020】
また、フィルムテープ2の進行方向に沿ってサーマルヘッド10の下流側(図1中左下位置)には、圧接ローラ12及びテープ送りローラ13が相互に圧接状態となるよう回転可能に支持されている。
【0021】
これら両圧接ローラ12及びテープ送りローラ13は、サーマルヘッド10によりサーマルインクリボン4を介して文字等が印字されたフィルムテープ2及び剥離紙付両面粘着テープ6を送りつつ、フィルムテープ2の印字面と剥離紙付両面粘着テープ6の粘着面と圧着し整合させるものであり、これにより最終的にテープTをテープ排出部14から排出する。
【0022】
このように作成されたテープTは図5に示すように、間に粘着剤層Dを介してフィルムテープ2と剥離紙Eとが相互に密着された構成を有する。
【0023】
テープ排出部14の近傍にはカッタ機構15が配設されており、このカッタ機構15は排出部14から排出されたテープTを適宜切断するものである。
【0024】
次に、かかるカッタ機構15について図2を参照して説明する。図2は図1における矢印A方向から見たカッタ機構の側面図を示す。
【0025】
図2において、図1のテープカセット1の後方左端の下にはDCモータ16が配設され、このDCモータ16の駆動軸16Aにピニオン17が固着されている。かかるピニオン17には、アイドルギヤ18が噛合され、また、アイドルギヤ18に揺動ギヤ19が噛合されている。これらピニオン17、アイドルギヤ18及び揺動ギヤ19はギヤ連結機構Gを構成し、アイドルギヤ18と揺動ギヤ19とは共にテープカセット1の側壁に回転可能に支持されている。
【0026】
また、揺動ギヤ19には、その回転中心の近傍に揺動ピン20が固設されるとともに、そのギヤ歯部の近傍にセンサ板21が設けられている。かかるセンサ板21は、揺動ギヤ19のギヤ歯部の外方に配置されたカッタセンサFによって検出されることにより揺動ギヤ19の回転位置を検出し、これより可動刃22の駆動開始位置を制御するものである。
【0027】
更に、揺動ピン20は、回動軸Pを支点として回動する可動刃22に固着された揺動レバー23の凹部23Aに挿嵌されており、これよりDCモータ16の正逆回転に伴いピニオン17、アイドルギヤ18、揺動ギヤ19が正逆回転され、この結果、揺動ピン20を介して揺動レバー23が揺動されるので可動刃22が開閉される。よって可動刃22はその開閉動作に伴い固定刃24と協働してテープTを切断するものである。
【0028】
ここに、固定刃24は固定ねじ25によりテープカセット1の側壁に固定され、可動刃22は回転軸Pを支点として固定刃24に対し開閉可能とされており、これら可動刃22と固定刃24とによりカッタKを構成する。また、可動刃22と固定刃24とは開いた状態で約30度の角度に設定されている。
【0029】
続いて、図3及び図4を参照してこれら可動刃22と固定刃24とよりなるカッタKに設けられたテープTの固定剥離部材について説明する。図3はカッタKを拡大して示す側面図であり、図4はカッタKによりテープTを切断した状態を模式的に示す模式断面図である。
【0030】
固定剥離機構30は2つの固定剥離部材30A及び30Bよりなり、一方の固定剥離部材30Aは可動刃22の刃部の端縁に固着されており、他方の固定剥離部材30Bは固定刃24の刃部の端縁に固着されている。これら両固定剥離部材30A、30Bは共に協働してテープTの端部を所定長さ分複数回曲折したまま固定するものである。
【0031】
固定剥離部材30Aは図4に示す断面形状を有し、図中右方に突出した凸部31、左方に凹状をした凹部32が形成されている。尚、凸部31及び凹部32のエッジ部分は所定の曲率を有する曲面加工が施されており、テープTを固定したときテープTが必要以上に曲折されて変形したり破損したりすることがないようにされている。
【0032】
これに対し、固定剥離部材30Bは固定剥離部材30Aとの間にテープT分の間隙を形成するように対向配置されるものであり、前記凸部31に対応する凹部34、前記凹部32に対応する凸部35及び可動刃22の刃先に対応するテーパ部36が形成されている。尚、凹部34及び凸部35についても前記と同様の理由からこれらの各エッジ部分には曲面加工が施されている。
【0033】
尚、前記のように可動刃22と固定刃24とは、開状態で約30度の角度に設定されているので両刃22、24はその開閉に伴って0度から30度の範囲で移動し、これより固定剥離部材30Aと30Bも同様に0度から30度の範囲で移動することとなる。
【0034】
次に、かかる固定剥離機構30によるテープTの端部を剥離する動作について説明する。テープ印字装置によりテープTの作成が終了した後、DCモータ16を駆動すると前記したようにカッタ機構15が作動する。かかる駆動に伴い可動刃22は固定刃24に向かって回動し、これに伴って固定剥離部材30A及び30Bは協働してテープTを曲折しつつ固定するとともに、可動刃22と固定刃24がテープTの切断を開始する。
【0035】
更に、可動刃22が回動してテープTの切断が終了した時点においては、テープTの端部は図4に示すように固定剥離部材30Aの凸部31、凹部32と30Bの凹部34、凸部35とにより固定されており、この固定状態で凹部32と凸部35とにより形成される曲折部からテーパ部36に至る部分において剥離紙Eに塑性変形が生じる。
【0036】
このように剥離紙Eに塑性変形が生じるのは、フィルムテープ2は腰が強く曲折されても弾性的に元の状態に戻るが、剥離紙Eの場合はフィルムテープ2に比して腰が弱く従って曲折されると塑性変形され易く、また、テープTの端部では剥離紙Eの曲折に伴って剥離紙EがテープTの端面から粘着剤層Dの粘着力に抗して剥がれ易くなるからである。尚、テープTの端面から離れた部分では、フィルムテープ2の弾性的な腰の強さと曲折部の両側に存在する粘着剤層Dの粘着力との作用により、剥離紙Eの曲折部には塑性変形は生じない。
【0037】
このように剥離紙Eに塑性変形が形成されるので、テープTを固定剥離部材30A、30Bから開放すると切断されたテープTの端面においてフィルムテープ2と剥離紙Eとが剥離されることとなる。
【0038】
以上説明したように、第1実施例のテープの端部剥離装置は、可動刃22と固定刃24とにそれぞれ固定剥離部材30A及び30Bを設けたので、両刃22と24とによるテープTの切断と同時に、テープTの端部においてフィルムテープ2と剥離紙Eとを剥離することができる。これより部品点数を少なくしてコストの低い端部剥離装置を提供することとができる。また、テープTを切断する毎にテープTの切断部の端面を剥離することができ非常に便利である。
【0039】
このように作成されたテープTでは、フィルムテープ2を剥離紙Eから極めて容易に剥すことができるものである。
【0040】
尚、本第1実施例では、固定剥離部材30A、30BをテープTが排出されて来る側に対し可動刃22、固定刃24の外側に設けたが、これに限定されることなく固定剥離部材30A、30Bを可動刃22、固定刃24の内側に設けてもよいことは勿論である。
【0041】
次に、図6乃至図9を参照して本発明の第2実施例について説明する。図6は剥離紙を有するシートを固定部材により固定した状態を示す斜視図であり、シートSの端部はその自由端部40として所定の長さを残して一対のシート固定部材41と42により固定される。ここに、シートSは前記第1実施例で使用したテープTと同様図5に示す構成を有するものである。また、自由端部40の長さとしては、約1mm程度としている。
【0042】
また、この剥離装置では図8に示すように剥離部材43が自由端部40に対してなす角度αが約80度となるように配設されている。そして、かかる剥離部材43は角度αを80度に保持しつつ図8中矢印方向に適宜の駆動機構を介して移動可能とされている。
【0043】
続いて、このような構成を有する第2実施例の動作について説明する。先ず、図7に示すようにシートSをシート固定部材41、42により固定する。この後、剥離部材43を図8において左方から右方に角度αを保持しながら矢印方向に移動させる。これにより、シートSの自由端部40はシートSの固定端面においてシート面と交差する方向に曲折される。かかる曲折により前記第1実施例で説明したと同様に剥離紙Eに塑性変形が生じ、その結果、第1実施例と同様の作用によって図9に示すようにシートSの端部においてフィルムテープ2が剥離紙Eから剥離される。
【0044】
このように、第2実施例の剥離装置では、固定部材41、42により自由端部40を残してシートSの端部を固定し、この自由端部40に対し剥離部材43を角度αを約80度に保持しつつ作用させるようにしているので、確実且つスムースにフィルムテープ2を剥離紙Eから剥離させることができる。
【0045】
尚、本第2実施例では剥離部材43が自由端部40に対してなす角度αを約80度に保持するようにしたが、これに限定されるものではなく自由端部40の長さ、フィルムテープ2及び剥離紙Eの腰の強さ、粘着剤層Dの粘着力の程度等によって種々変更できることは勿論である。
【0046】
続いて、図10乃至図12を参照して本発明の第3実施例について説明する。前記第2実施例に使用されたシートSと同じシートが自由端部50を残して一対の固定部材51、52によって固定される。そして、剥離部材53が自由端部50に対してそのシート面と垂直方向に適宜の駆動機構を介して移動可能とされている。
【0047】
かかる剥離装置においてシートSの端部を剥離するには、先ず図10に示すように固定部材51、52によりシートSを自由端部50を残して固定する。この後、剥離部材53を垂直方向(図11中矢印方向)に移動させ、剥離部材53をシートSの自由端部50にそのシート面と交差する方向から作用させる。これにより、図12に示すように自由端部50はシートSの固定端面において曲折され、前記第1実施例、第2実施例で説明したと同様の作用によって剥離紙Eに塑性変形が形成される。この結果、シートSのフィルムテープ2は自由端部50にて剥離紙Eから剥離される。
【0048】
このように第3実施例の剥離装置では、第2実施例の剥離装置と同様、シートSの端部においてフィルムテープ2を剥離紙Eから確実且つスムースに剥離することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、粘着剤層を介して基材と剥離シートとを重ね合わせてなり、所望の文字が印刷されたシートを作成する印刷装置において、ハーフカットを行うことなく基材を剥離シートから容易に剥すことができるとともに、シートのコストを低く抑えることができる印刷装置を提供することができ、その産業上奏する効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】テープ印字装置にテープカセットを配置した状態を示す平面図である。
【図2】カッタ機構の側面図である。
【図3】カッタを拡大して示す側面図である。
【図4】カッタによりテープを切断した状態を模式的に示す模式断面図である。
【図5】テープの構成を説明するための説明図である。
【図6】固定部材によりテープを固定した状態を示す斜視図である。
【図7】第2実施例において固定部材によりテープを固定した状態を示す正面図である。
【図8】第2実施例において剥離部材によりテープの端部を剥離している状態を示す正面図である。
【図9】第2実施例においてテープの端部が剥離された状態を示す正面図である。
【図10】第3実施例において固定部材によりテープを固定した状態を示す正面図である。
【図11】第3実施例において剥離部材によりテープの端部を剥離している状態を示す正面図である。
【図12】第3実施例においてテープの端部が剥離された状態を示す正面図である。
【符号の説明】
2 フィルムテープ
6 剥離紙付両面粘着テープ
22 可動刃
24 固定刃
30 固定剥離機構
30A、30B 固定剥離部材
31、35 凸部
32、34 凹部
36 テーパ部
40、50 自由端部
41、42、51、52 固定部材
43、53 剥離部材
D 粘着剤層
E 剥離紙
K カッタ機構
S シート
T テープ
Claims (2)
- 粘着剤層を介して基材と剥離シートとを重ね合わせてなり、所望の文字が印刷されたシートを作成する印刷装置において、
印刷済みのシートを所定の長さに切断する切断手段と、
前記切断手段により切断されたシートの端部に作用してその端部をシート面と交差する方向に曲げることにより前記粘着剤層の粘着力に抗して前記基材の端面部から剥離シートの端面部を剥離する剥離部材と
を備えたことを特徴とする印刷装置。 - 前記剥離部材は、切断されたシートの端部にそのシート面と交差する方向から作用してその端部を同方向に曲げるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
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