JP3610059B2 - 密封容器入り米飯食品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、米粒の煮くずれが少なく、お粥本来の美味しさを保持した密封容器入り米飯食品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品の加工技術の進歩により、レトルトパウチやプラスチック容器入りの米飯食品が数多く市販されるようになった。このような米飯食品は、常温で長期間保存可能であり、容器ごとボイルしたり、電子レンジで加熱するだけで簡単に調理することができる非常に便利な食品である。
【0003】
通常、レトルトパウチ入りの米飯食品は、米、水、その他の材料をそのまま、あるいは加熱調理してから、耐熱性樹脂シートからなる袋に入れ、密封し、レトルト釜で加熱殺菌して作られるが、レトルト処理や保存中に、米粒がくずれて、糊化してしまい、味や外観が悪くなってしまうという問題があった。
【0004】
このようなレトルト米飯食品における問題を改善するために、例えば、特許文献1には、澱粉分解産物の水溶液および生米、あらかじめ加熱吸水させた米または炊飯米、さらには必要に応じて、肉類、野菜類、調味料などを包装容器に入れ、密封したのち、加圧加熱殺菌することを特徴とする包装容器入り即席粥の製造方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、浸漬米を蒸気又は加圧蒸気で蒸煮して米粒組織を強化した後、加水し、容器に密封することを特徴とするかゆ又はぞうすいの製造方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭54−59347号公報
【特許文献2】
特開平5−219904号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような方法でお粥を製造しても、米粒の煮くずれを充分に防止することができず、味や外観の点で満足できる製品を得ることができなかった。また、例えば、玄米粥を製造した場合、玄米の糠臭が強く出てしまう、玄米の硬い食感が残るなど、あまり美味しいものではなかった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、レトルト処理による米粒の煮くずれが少なく、良好な風味と食感を有する密封容器入り米飯食品及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の密封容器入り米飯食品は、(A)白米及び/又は玄米を含有する食材と、(B)茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し熟成して得られた熟成茶材から得られた水抽出液を含む調味液とを、混合し、加熱して得られたお粥が、加熱殺菌状態で容器に充填され密封されていることを特徴とする。
【0010】
上記発明においては、前記茶材は、緑茶類、中国茶類、紅茶類、及び麦茶から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0011】
また、前記食材は、更にニンニク、タマネギ、小豆、大豆、黒豆、インゲン豆、グリンピース、コーン及び梅肉から選ばれた少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
【0012】
本発明の密封容器入り米飯食品の製造方法は、(A)白米及び/又は玄米を含有する食材と、(B)茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し熟成して得られた熟成茶材から得られた水抽出液を含む調味液とを混合し、そのまま又は予め加熱調理した後、容器に充填して密封し、加熱殺菌処理することを特徴とする。
【0013】
上記発明においては、前記茶材として、緑茶類、中国茶類、紅茶類、及び麦茶から選ばれた1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0014】
また、前記食材として、更にニンニク、タマネギ、小豆、大豆、黒豆、インゲン豆、グリンピース、コーン及び梅肉から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、白米及び/又は玄米を含有する食材を、上記のような熟成茶材から得られた水抽出物を含む調味液と共に容器に入れて密封し、加熱殺菌処理することにより、理由はよく分からないが、米粒の煮くずれを効果的に防止することができ、熟成茶材の風味や旨味を付与することができるので、良好な風味と食感を有する密封容器入り米飯食品を得ることができる。特に玄米を用いた場合は、玄米の糠臭を低減して、その食感も柔らかくすることができる。
【0016】
更に、前記食材が、更にニンニク、タマネギ、小豆、大豆、黒豆、インゲン豆、グリンピース、コーン及び梅肉から選ばれた少なくとも1種を含む場合、栄養分が豊富で、風味豊かな美味しいお粥を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる白米及び/又は玄米(以下、単に米という)は、通常市販されている精白米や玄米(発芽玄米も含む)が用いられ、より具体的には、これらを研いだ生米、予め加熱吸水させた米、炊飯米等が用いられる。また、白米と玄米はそれぞれ単独で用いてもよく、両者をブレンドして用いてもよいが、白米のみ、又は白米と玄米をブレンドしたものがより好ましく用いられる。白米と玄米のブレンドする場合、その配合割合は、特に限定されないが、通常、米の全量中に玄米が10〜90質量%となるようにブレンドすることが好ましい。
【0018】
また、米以外の食材として、更にニンニク、タマネギ、小豆、大豆、黒豆、インゲン豆、グリンピース、コーン及び梅肉から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましく、特にニンニクを用いることが好ましい。ニンニクは、すりおろしたものが好ましく用いられるが、皮をむいたものをそのまま、あるいはスライスやみじん切りにしたものを用いてもよい。これらの食材の配合量は適宜設定でき、例えば、ニンニクの場合は、米100質量部に対して0.01〜3質量部配合することが好ましく、0.2〜0.5質量部配合することがより好ましい。
【0019】
また、茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し熟成して得られる熟成茶材から得られた水抽出液とは、本出願人による特開平11−127783号公報に記載された飲用茶類と同様のものである。すなわち、好ましくは、緑茶類、中国茶類、紅茶類、麦茶から選ばれた1種又は2種以上の茶材に、日本酒、ワイン、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、紹興酒、焼酎等の酒類と、乳酸菌で発酵した半ゲル状ないし液状の乳製品(例えばヨーグルト、酸乳飲料、乳酸菌飲料等、具体的には「ヤクルト」(商品名、株式会社ヤクルト本社製)や「カルピス」(商品名、カルピス食品工業株式会社製)等が挙げられる)とを加えて混和し、該飲用茶材を膨潤させ、好ましくは30〜70℃で4時間〜7日間熟成させて得られる熟成茶材を、水、好ましくはお湯で抽出して得られる水抽出液(以下、単に水抽出液という)である。上記水抽出液は、具体的には、質量比で上記茶材1に対して、上記酒類0.3〜2(好ましくは0.5〜1)、上記酸発酵乳(含水物)0.05〜0.5(好ましくは0.05〜0.2)の割合で添加し、混和させて、茶材を膨潤させ、密封後、30〜70℃の一定温度下で4時間〜7日間熟成させて得られた熟成茶材を、水で抽出することにより得ることができる。本発明において、上記水抽出液は、ブリックス(Brix)0.15〜2.4の濃度となるように調整したものが好ましく用いられる。なお、上記水抽出液を飲料とした製品として「発酵茶」(商品名、長崎飲料株式会社製)が知られており、本発明ではこの「発酵茶」を用いることもできる。
【0020】
本発明においては、上記水抽出液を含む調味液が用いられる。このような調味液を用いることにより、▲1▼レトルト処理による米粒の煮くずれを効果的に防止することができる、▲2▼玄米の糠臭を低減し、食感を柔らかくすることができる、▲3▼お粥に熟成茶材の良好な風味や旨味を付与することができる、▲4▼ニンニクを加えた場合、加熱調理によって生じるニンニクの強い香りを低減し、食べた後に口中に臭いが残らない、などの効果を得ることができる。
【0021】
調味液は、上記水抽出液と水の混合液、好ましくは調味成分として更に食塩を含む混合液が用いられるが、他の調味成分として、例えば、鰹だし、昆布だし、鶏ガラエキス、牛肉エキス、貝エキス、野菜エキス、酵母エキスなどの抽出エキス、HVP、HAPなどのタンパク加水分解物、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、砂糖等から選ばれた1種又は2種以上を適宜用いることができる。また、市販のコンソメスープの素、中華調味料などを用いることもできる。
【0022】
なお、調味液における上記水抽出液の配合割合は、通常、調味液100質量部中に、上記水抽出液(ブリックス0.15〜2.4)を10〜70質量部含むことが好ましく、10〜40質量部含むことがより好ましい。
【0023】
本発明で用いられる容器は、密封可能で耐レトルト性を有する容器であればよく、具体的にはレトルトパウチ等の可撓性を有する容器が好ましく用いられる。
【0024】
本発明の密封容器入り米飯食品は、一般的なレトルト粥の製造方法に基づいて行なうことができる。具体的には、米と、必要に応じてニンニク等を適量加えた食材と、熟成茶材の水抽出液を含む調味液とを、レトルトパウチに入れて密封し、118〜122℃で50〜80分間加圧加熱殺菌処理(レトルト処理)すればよい。なお、調味液は、通常のお粥を作る程度、すなわち質量比で米の5〜16倍量用いることが好ましい。
【0025】
また、所定量の米等の食材と調味液とを混合し、予め加熱調理、例えば100℃で15分程度加熱沸騰させ、米のデンプンをある程度糊化して米粒などの固形物が浮遊している状態にしてから、レトルトパウチに入れて密封し、加圧加熱殺菌処理してもよい。
【0026】
このようにして得られる本発明の密封容器入り米飯食品は、従来のレトルト粥とは異なり、米粒の煮くずれが少なく、お粥本来の美味しさが保持されており、更に、熟成茶材の良好な風味や旨味が付与されるので、良好な風味と食感を有している。また、玄米を含む場合は、玄米の糠臭が低減されると共に玄米の食感も柔らかくすることができる。また、米以外の食材として、ニンニクを加えた場合には、加熱調理によって生じるニンニクの強い香りを低減し、食べた後に口中に臭いが残らない美味しいお粥とすることができる。
【0027】
なお、本発明の密封容器入り米飯食品は、一般のレトルト食品等と同様に加熱してから食されるが、加熱しなくても充分に美味しく食すことができる。
【0028】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0029】
製造例
煎茶の茶葉100g、ウーロン茶の茶葉100g、麦茶の茶葉100g、紅茶の茶葉100g、ウィスキー150g、白ワイン50g、吟醸酒50g、「カルピス」(商品名、カルピス食品工業株式会社製)120gの混和物を、ステンレス製の密封容器に入れ、80℃の温度下で72時間熟成して熟成茶材を得た。この熟成茶材に85℃の熱湯50Lを加え、水溶性成分を抽出し、熟成茶材の水抽出液を得、これを以下の実施例において用いた。
【0030】
実施例1(白粥)
水69.7質量部、上記熟成茶材の水抽出液30質量部、塩0.3質量部を混合して調味液を調製した。
【0031】
そして、研いだ精白米10質量部と、上記調味液50質量部を、レトルトパウチに入れて密封した後、121℃で60分間加圧加熱殺菌処理して、密封容器入り白粥を得た。また、上記熟成茶材の水抽出液を用いずに、水99.7質量部に塩0.3質量部を混合した調味液を用いた以外は同様にして対照の白粥を得た。
【0032】
これらの白粥をそれぞれ湯煎してから、5名のパネラーにより官能評価を行なったところ、対照の白粥に比べて、本発明の白粥は、米粒の煮くずれが非常に少なく、米粒自体に旨味があって美味しいとの評価であった。
【0033】
実施例2(玄米粥)
研いだブレンド米(質量比で精白米7:玄米3)10質量部と、実施例1と同様の調味液70質量部を、レトルトパウチに入れて密封した後、118℃で80分間加圧加熱殺菌処理して、密封容器入り玄米粥を得た。また、水と塩だけの調味液(実施例1と同様)を用いた以外は同様にして対照の玄米粥を得た。
【0034】
これらの玄米粥をそれぞれ湯煎してから、5名のパネラーにより官能評価を行なったところ、対照の玄米粥に比べて、本発明の玄米粥は、▲1▼米粒の煮くずれが非常に少ない、▲2▼玄米の糠臭がほとんどない、▲3▼玄米の食感が柔らかい、▲4▼風味がよいとの評価であった。
【0035】
実施例3(ニンニク粥)
研いだ精白米10質量部と、すりおろしたニンニク0.2質量部と、実施例1と同様の調味液50質量部を、レトルトパウチに入れて密封した後、120℃で60分間加圧加熱殺菌処理して、密封容器入りニンニク粥を得た。
【0036】
また、水と塩だけの調味液(実施例1と同様)を用いた以外は同様にして対照のニンンク粥を得た。
【0037】
これらのニンニク粥をそれぞれ湯煎してから、5名のパネラーにより官能評価を行なったところ、熟成茶材の水抽出液を含む調味液を用いたニンニク粥は、米粒の煮くずれが非常に少なく、また、ニンニク臭が低減されて、程よいニンニクの香りがし、食べた後に口中に臭いが残らず、非常に美味しいとの評価であった。一方、対照のニンニク粥は、米粒が煮くずれて糊化しており、また、ニンニク臭が強過ぎるとの評価であった。
【0038】
実施例4(小豆粥)
研いだ精白米10質量部と、小豆1質量部と、実施例1と同様の調味液70質量部を、レトルトパウチに入れて密封した後、120℃で70分間加圧加熱殺菌処理して、密封容器入り小豆粥を得た。また、水と塩だけの調味液(実施例1と同様)を用いた以外は同様にして対照の小豆粥を得た。
【0039】
これらの小豆粥をそれぞれ湯煎してから、5名のパネラーにより官能評価を行なったところ、対照の小豆粥に比べて、本発明の小豆粥は、米粒の煮くずれが非常に少なく、小豆の風味が豊かで美味しいとの評価であった。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、(A)白米及び/又は玄米を含有する食材と、(B)茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し熟成して得られた熟成茶材から得られた水抽出液を含む調味液とを混合し、そのまま又は予め加熱調理した後、容器に充填して密封し、加熱殺菌処理することにより、米粒の煮くずれが少なく、良好な風味と食感を有する密封容器入り米飯食品を得ることができる。特に玄米を用いた場合は、玄米の糠臭を低減して、その食感も柔らかくすることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、米粒の煮くずれが少なく、お粥本来の美味しさを保持した密封容器入り米飯食品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品の加工技術の進歩により、レトルトパウチやプラスチック容器入りの米飯食品が数多く市販されるようになった。このような米飯食品は、常温で長期間保存可能であり、容器ごとボイルしたり、電子レンジで加熱するだけで簡単に調理することができる非常に便利な食品である。
【0003】
通常、レトルトパウチ入りの米飯食品は、米、水、その他の材料をそのまま、あるいは加熱調理してから、耐熱性樹脂シートからなる袋に入れ、密封し、レトルト釜で加熱殺菌して作られるが、レトルト処理や保存中に、米粒がくずれて、糊化してしまい、味や外観が悪くなってしまうという問題があった。
【0004】
このようなレトルト米飯食品における問題を改善するために、例えば、特許文献1には、澱粉分解産物の水溶液および生米、あらかじめ加熱吸水させた米または炊飯米、さらには必要に応じて、肉類、野菜類、調味料などを包装容器に入れ、密封したのち、加圧加熱殺菌することを特徴とする包装容器入り即席粥の製造方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、浸漬米を蒸気又は加圧蒸気で蒸煮して米粒組織を強化した後、加水し、容器に密封することを特徴とするかゆ又はぞうすいの製造方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭54−59347号公報
【特許文献2】
特開平5−219904号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような方法でお粥を製造しても、米粒の煮くずれを充分に防止することができず、味や外観の点で満足できる製品を得ることができなかった。また、例えば、玄米粥を製造した場合、玄米の糠臭が強く出てしまう、玄米の硬い食感が残るなど、あまり美味しいものではなかった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、レトルト処理による米粒の煮くずれが少なく、良好な風味と食感を有する密封容器入り米飯食品及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の密封容器入り米飯食品は、(A)白米及び/又は玄米を含有する食材と、(B)茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し熟成して得られた熟成茶材から得られた水抽出液を含む調味液とを、混合し、加熱して得られたお粥が、加熱殺菌状態で容器に充填され密封されていることを特徴とする。
【0010】
上記発明においては、前記茶材は、緑茶類、中国茶類、紅茶類、及び麦茶から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0011】
また、前記食材は、更にニンニク、タマネギ、小豆、大豆、黒豆、インゲン豆、グリンピース、コーン及び梅肉から選ばれた少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
【0012】
本発明の密封容器入り米飯食品の製造方法は、(A)白米及び/又は玄米を含有する食材と、(B)茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し熟成して得られた熟成茶材から得られた水抽出液を含む調味液とを混合し、そのまま又は予め加熱調理した後、容器に充填して密封し、加熱殺菌処理することを特徴とする。
【0013】
上記発明においては、前記茶材として、緑茶類、中国茶類、紅茶類、及び麦茶から選ばれた1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0014】
また、前記食材として、更にニンニク、タマネギ、小豆、大豆、黒豆、インゲン豆、グリンピース、コーン及び梅肉から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、白米及び/又は玄米を含有する食材を、上記のような熟成茶材から得られた水抽出物を含む調味液と共に容器に入れて密封し、加熱殺菌処理することにより、理由はよく分からないが、米粒の煮くずれを効果的に防止することができ、熟成茶材の風味や旨味を付与することができるので、良好な風味と食感を有する密封容器入り米飯食品を得ることができる。特に玄米を用いた場合は、玄米の糠臭を低減して、その食感も柔らかくすることができる。
【0016】
更に、前記食材が、更にニンニク、タマネギ、小豆、大豆、黒豆、インゲン豆、グリンピース、コーン及び梅肉から選ばれた少なくとも1種を含む場合、栄養分が豊富で、風味豊かな美味しいお粥を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる白米及び/又は玄米(以下、単に米という)は、通常市販されている精白米や玄米(発芽玄米も含む)が用いられ、より具体的には、これらを研いだ生米、予め加熱吸水させた米、炊飯米等が用いられる。また、白米と玄米はそれぞれ単独で用いてもよく、両者をブレンドして用いてもよいが、白米のみ、又は白米と玄米をブレンドしたものがより好ましく用いられる。白米と玄米のブレンドする場合、その配合割合は、特に限定されないが、通常、米の全量中に玄米が10〜90質量%となるようにブレンドすることが好ましい。
【0018】
また、米以外の食材として、更にニンニク、タマネギ、小豆、大豆、黒豆、インゲン豆、グリンピース、コーン及び梅肉から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましく、特にニンニクを用いることが好ましい。ニンニクは、すりおろしたものが好ましく用いられるが、皮をむいたものをそのまま、あるいはスライスやみじん切りにしたものを用いてもよい。これらの食材の配合量は適宜設定でき、例えば、ニンニクの場合は、米100質量部に対して0.01〜3質量部配合することが好ましく、0.2〜0.5質量部配合することがより好ましい。
【0019】
また、茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し熟成して得られる熟成茶材から得られた水抽出液とは、本出願人による特開平11−127783号公報に記載された飲用茶類と同様のものである。すなわち、好ましくは、緑茶類、中国茶類、紅茶類、麦茶から選ばれた1種又は2種以上の茶材に、日本酒、ワイン、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、紹興酒、焼酎等の酒類と、乳酸菌で発酵した半ゲル状ないし液状の乳製品(例えばヨーグルト、酸乳飲料、乳酸菌飲料等、具体的には「ヤクルト」(商品名、株式会社ヤクルト本社製)や「カルピス」(商品名、カルピス食品工業株式会社製)等が挙げられる)とを加えて混和し、該飲用茶材を膨潤させ、好ましくは30〜70℃で4時間〜7日間熟成させて得られる熟成茶材を、水、好ましくはお湯で抽出して得られる水抽出液(以下、単に水抽出液という)である。上記水抽出液は、具体的には、質量比で上記茶材1に対して、上記酒類0.3〜2(好ましくは0.5〜1)、上記酸発酵乳(含水物)0.05〜0.5(好ましくは0.05〜0.2)の割合で添加し、混和させて、茶材を膨潤させ、密封後、30〜70℃の一定温度下で4時間〜7日間熟成させて得られた熟成茶材を、水で抽出することにより得ることができる。本発明において、上記水抽出液は、ブリックス(Brix)0.15〜2.4の濃度となるように調整したものが好ましく用いられる。なお、上記水抽出液を飲料とした製品として「発酵茶」(商品名、長崎飲料株式会社製)が知られており、本発明ではこの「発酵茶」を用いることもできる。
【0020】
本発明においては、上記水抽出液を含む調味液が用いられる。このような調味液を用いることにより、▲1▼レトルト処理による米粒の煮くずれを効果的に防止することができる、▲2▼玄米の糠臭を低減し、食感を柔らかくすることができる、▲3▼お粥に熟成茶材の良好な風味や旨味を付与することができる、▲4▼ニンニクを加えた場合、加熱調理によって生じるニンニクの強い香りを低減し、食べた後に口中に臭いが残らない、などの効果を得ることができる。
【0021】
調味液は、上記水抽出液と水の混合液、好ましくは調味成分として更に食塩を含む混合液が用いられるが、他の調味成分として、例えば、鰹だし、昆布だし、鶏ガラエキス、牛肉エキス、貝エキス、野菜エキス、酵母エキスなどの抽出エキス、HVP、HAPなどのタンパク加水分解物、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、砂糖等から選ばれた1種又は2種以上を適宜用いることができる。また、市販のコンソメスープの素、中華調味料などを用いることもできる。
【0022】
なお、調味液における上記水抽出液の配合割合は、通常、調味液100質量部中に、上記水抽出液(ブリックス0.15〜2.4)を10〜70質量部含むことが好ましく、10〜40質量部含むことがより好ましい。
【0023】
本発明で用いられる容器は、密封可能で耐レトルト性を有する容器であればよく、具体的にはレトルトパウチ等の可撓性を有する容器が好ましく用いられる。
【0024】
本発明の密封容器入り米飯食品は、一般的なレトルト粥の製造方法に基づいて行なうことができる。具体的には、米と、必要に応じてニンニク等を適量加えた食材と、熟成茶材の水抽出液を含む調味液とを、レトルトパウチに入れて密封し、118〜122℃で50〜80分間加圧加熱殺菌処理(レトルト処理)すればよい。なお、調味液は、通常のお粥を作る程度、すなわち質量比で米の5〜16倍量用いることが好ましい。
【0025】
また、所定量の米等の食材と調味液とを混合し、予め加熱調理、例えば100℃で15分程度加熱沸騰させ、米のデンプンをある程度糊化して米粒などの固形物が浮遊している状態にしてから、レトルトパウチに入れて密封し、加圧加熱殺菌処理してもよい。
【0026】
このようにして得られる本発明の密封容器入り米飯食品は、従来のレトルト粥とは異なり、米粒の煮くずれが少なく、お粥本来の美味しさが保持されており、更に、熟成茶材の良好な風味や旨味が付与されるので、良好な風味と食感を有している。また、玄米を含む場合は、玄米の糠臭が低減されると共に玄米の食感も柔らかくすることができる。また、米以外の食材として、ニンニクを加えた場合には、加熱調理によって生じるニンニクの強い香りを低減し、食べた後に口中に臭いが残らない美味しいお粥とすることができる。
【0027】
なお、本発明の密封容器入り米飯食品は、一般のレトルト食品等と同様に加熱してから食されるが、加熱しなくても充分に美味しく食すことができる。
【0028】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0029】
製造例
煎茶の茶葉100g、ウーロン茶の茶葉100g、麦茶の茶葉100g、紅茶の茶葉100g、ウィスキー150g、白ワイン50g、吟醸酒50g、「カルピス」(商品名、カルピス食品工業株式会社製)120gの混和物を、ステンレス製の密封容器に入れ、80℃の温度下で72時間熟成して熟成茶材を得た。この熟成茶材に85℃の熱湯50Lを加え、水溶性成分を抽出し、熟成茶材の水抽出液を得、これを以下の実施例において用いた。
【0030】
実施例1(白粥)
水69.7質量部、上記熟成茶材の水抽出液30質量部、塩0.3質量部を混合して調味液を調製した。
【0031】
そして、研いだ精白米10質量部と、上記調味液50質量部を、レトルトパウチに入れて密封した後、121℃で60分間加圧加熱殺菌処理して、密封容器入り白粥を得た。また、上記熟成茶材の水抽出液を用いずに、水99.7質量部に塩0.3質量部を混合した調味液を用いた以外は同様にして対照の白粥を得た。
【0032】
これらの白粥をそれぞれ湯煎してから、5名のパネラーにより官能評価を行なったところ、対照の白粥に比べて、本発明の白粥は、米粒の煮くずれが非常に少なく、米粒自体に旨味があって美味しいとの評価であった。
【0033】
実施例2(玄米粥)
研いだブレンド米(質量比で精白米7:玄米3)10質量部と、実施例1と同様の調味液70質量部を、レトルトパウチに入れて密封した後、118℃で80分間加圧加熱殺菌処理して、密封容器入り玄米粥を得た。また、水と塩だけの調味液(実施例1と同様)を用いた以外は同様にして対照の玄米粥を得た。
【0034】
これらの玄米粥をそれぞれ湯煎してから、5名のパネラーにより官能評価を行なったところ、対照の玄米粥に比べて、本発明の玄米粥は、▲1▼米粒の煮くずれが非常に少ない、▲2▼玄米の糠臭がほとんどない、▲3▼玄米の食感が柔らかい、▲4▼風味がよいとの評価であった。
【0035】
実施例3(ニンニク粥)
研いだ精白米10質量部と、すりおろしたニンニク0.2質量部と、実施例1と同様の調味液50質量部を、レトルトパウチに入れて密封した後、120℃で60分間加圧加熱殺菌処理して、密封容器入りニンニク粥を得た。
【0036】
また、水と塩だけの調味液(実施例1と同様)を用いた以外は同様にして対照のニンンク粥を得た。
【0037】
これらのニンニク粥をそれぞれ湯煎してから、5名のパネラーにより官能評価を行なったところ、熟成茶材の水抽出液を含む調味液を用いたニンニク粥は、米粒の煮くずれが非常に少なく、また、ニンニク臭が低減されて、程よいニンニクの香りがし、食べた後に口中に臭いが残らず、非常に美味しいとの評価であった。一方、対照のニンニク粥は、米粒が煮くずれて糊化しており、また、ニンニク臭が強過ぎるとの評価であった。
【0038】
実施例4(小豆粥)
研いだ精白米10質量部と、小豆1質量部と、実施例1と同様の調味液70質量部を、レトルトパウチに入れて密封した後、120℃で70分間加圧加熱殺菌処理して、密封容器入り小豆粥を得た。また、水と塩だけの調味液(実施例1と同様)を用いた以外は同様にして対照の小豆粥を得た。
【0039】
これらの小豆粥をそれぞれ湯煎してから、5名のパネラーにより官能評価を行なったところ、対照の小豆粥に比べて、本発明の小豆粥は、米粒の煮くずれが非常に少なく、小豆の風味が豊かで美味しいとの評価であった。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、(A)白米及び/又は玄米を含有する食材と、(B)茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し熟成して得られた熟成茶材から得られた水抽出液を含む調味液とを混合し、そのまま又は予め加熱調理した後、容器に充填して密封し、加熱殺菌処理することにより、米粒の煮くずれが少なく、良好な風味と食感を有する密封容器入り米飯食品を得ることができる。特に玄米を用いた場合は、玄米の糠臭を低減して、その食感も柔らかくすることができる。
Claims (6)
- (A)白米及び/又は玄米を含有する食材と、(B)茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し熟成して得られた熟成茶材から得られた水抽出液を含む調味液とを、混合し、加熱して得られたお粥が、加熱殺菌状態で容器に充填され密封されていることを特徴とする密封容器入り米飯食品。
- 前記茶材は、緑茶類、中国茶類、紅茶類、及び麦茶から選ばれた1種又は2種以上である、請求項1に記載の密封容器入り米飯食品。
- 前記食材は、更にニンニク、タマネギ、小豆、大豆、黒豆、インゲン豆、グリンピース、コーン及び梅肉から選ばれた少なくとも1種を含むものである、請求項1又は2に記載の密封容器入り米飯食品。
- (A)白米及び/又は玄米を含有する食材と、(B)茶材に酒類及び酸発酵乳を混和し熟成して得られた熟成茶材から得られた水抽出液を含む調味液とを混合し、そのまま又は予め加熱調理した後、容器に充填して密封し、加熱殺菌処理することを特徴とする密封容器入り米飯食品の製造方法。
- 前記茶材として、緑茶類、中国茶類、紅茶類、及び麦茶から選ばれた1種又は2種以上を用いる、請求項4に記載の密封容器入り米飯食品の製造方法。
- 前記食材として、更にニンニク、タマネギ、小豆、大豆、黒豆、インゲン豆、グリンピース、コーン及び梅肉から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いる、請求項4又は5に記載の密封容器入り米飯食品の製造方法。
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