JP3609893B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示用のガラス基板、半導体ウエハ、半導体製造用のマスク基板等の基板に熱処理を施す基板処理装置に関し、特に基板に帯電した静電気を除電するイオナイザを備えた基板処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示器の製造工程中には、所定の表面処理が施されたガラス製の基板に熱処理を施す処理工程が設定されている。この処理工程においては、まず、基板は金属製の加熱プレート上に密着載置されて加熱され、ついで、冷却プレート上に移され、ここで同プレートに密着載置され、室温まで冷却されるようになっている。
【0003】
ところで、上記のような基板の熱処理方式においては、ガラス等の絶縁材料からなる基板は、金属製の加熱プレートおよび冷却プレートから剥離されるときにマイナスの電荷が発生し(剥離帯電現象)、負の静電気を帯びた状態になる。基板にかかる静電気の帯電が保持されると、以後の工程における各種センサの誤検出の原因になったり、基板の表面に形成された素子の破壊を招いたり、基板への空気中の微細な塵の吸着により基板が汚染される等の問題点を有している。
【0004】
そこで上記問題点を解消するために、従来、基板を熱処理するに際し、イオン発生器(イオナイザ)からのイオン化された窒素を基板上に送り込み、これによって剥離帯電を中和するような方策が採られている。上記イオナイザは、正負両極の電極を有し、これら電極に直流高電圧を交互に印加した状態で電極間に窒素を送り込み、各電極の周りに生じるコロナ放電によって窒素を正イオンおよび負イオンにイオン化するものである。このイオン化された窒素が基板に向けて送出され、これによって基板の帯電が中和されるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のイオナイザを利用した基板の帯電中和方式においては、塵の電極への付着を防止するためにイオナイザは常に駆動され、各プレートが内装されたチャンバー内に基板が存在するか否かに拘らずイオン化窒素が常時送り込まれるようになっている。そして、イオナイザから送出されるイオン化窒素の量は、基板が各プレートを離れたときに発生する静電気の強さに対応して設定されている。
【0006】
そして、基板が各プレート上に密着されている状態では、基板の表面に略同量の正イオンおよび負イオンを有するイオン化窒素がたえず降り注ぎ、これによって基板の正に帯電している部分には負イオンが、負に帯電している部分には正イオンが吸い寄せられ、基板の静電気は中和された状態になっている。
【0007】
この中和状態の基板を各プレートから引き離すと、基板は、剥離帯電現象によって全体的に負の静電気が帯電された状態になる。この負の極性に帯電した基板の静電気を確実に中和する、すなわち静電気を確実に除電することができないという問題点が存在した。
【0008】
本発明の目的は、上述のような点に鑑み、熱処理を終えた基板に帯電した静電気を確実に除電することができる基板処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、基板を熱処理する基板処理装置において、
基板の主面のほぼ全面に亘って当接して基板を保持するとともに、基板を加熱または冷却する熱処理プレートと、
基板が熱処理プレートにより保持された保持位置と、熱処理プレートより離間した離間位置との間で基板を移動させる基板移動手段と、正にイオン化された気体である正イオンと負にイオン化された気体である負イオンとをそれぞれ基板に供給するイオナイザと、基板が保持位置にあるときと離間位置にあるときとで、イオナイザから基板に供給する正イオンと負イオンとの割合を切り換えるイオン割合切換手段とを有し、上記イオン割合切換手段は、イオナイザから保持位置にある基板に供給される正イオンと負イオンとの割合を、基板が保持位置から離間位置に移動するときに剥離帯電により基板が帯電する電荷の極性と逆極性のイオンの方の割合が大きくなるようにする一方、イオナイザから離間位置にある基板に供給される正イオンと負イオンとの割合をほぼ同等とするものであることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、基板は、所定の温度に設定された熱処理プレート上に保持された保持位置にある状態で、イオナイザからイオン化した気体が供給されることにより、熱処理プレートと基板との間の熱の授受で温度処理されつつ電荷の中和処理が施される。ついで基板が熱処理プレートから離間された離間位置にある状態では、基板はイオナイザからのイオン化した気体の供給を受けて電荷の中和処理が施される。そして、イオン割合切換手段によりイオナイザから基板に供給する正イオンと負イオンとの割合を切り換えることにより、基板は、その状況に応じてそれぞれ適したイオン環境に曝されるようになる。
【0011】
また、イオン割合切換手段は、イオナイザから保持位置にある基板に供給される正イオンと負イオンとの割合を、基板が保持位置から離間位置に移動するときに剥離帯電により基板が帯電する電荷の極性と逆極性のイオンの方の割合が大きくなるようにするため、基板を熱処理プレートから剥離するときに基板に生じる剥離帯電の極性と異なる極性のイオンがイオン割合切換手段の働きによってイオナイザから供給され、これによって基板に生じた剥離帯電に起因する静電気は確実に中和される。
【0012】
また、イオン割合切換手段は、イオナイザから離間位置にある基板に供給される正イオンと負イオンとの割合をほぼ同等とするため、基板が離間位置にある状態では、部分的に正または負に帯電した個所が存在する状態になっており、イオナイザから基板に略同等の正イオンと負イオンとを含む気体が供給されることにより、基板の正に帯電している部分が負イオンにより中和され、負に帯電している部分が正イオンによって中和され、これによって基板の部分的な帯電状態が解消し、基板の中和効果が大きくなる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記基板は、ガラス製の基板であり、上記熱処理プレートは、基板を保持しつつ冷却する金属製の冷却プレートであり、イオン化割合切換手段は、イオナイザから保持位置にある基板に供給される正イオンの割合を負イオンの割合と比較して大きくする手段であることを特徴とするものである。
【0014】
この発明によれば、ガラスと金属との間の剥離帯電の特性により、基板は、それを熱処理プレートから剥離するときに負に帯電した状態になるが、イオン化割合切換手段の働きにより基板が保持位置にあるときはイオナイザからは正イオンが負イオンよりも多く放出され、正イオンが蓄積された状態になっているため、剥離帯電により負に帯電した基板は負イオンよりも多い正イオンによって確実に中和される。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の基板処理装置において、基板に帯電した静電気の電荷量を測定する電荷量測定手段を有するとともに、イオン化割合切換手段が上記電荷量に応じて、正イオンと負イオンとの割合を切り換える手段であることを特徴とするものである。
【0016】
この発明によれば、電荷量測定手段の測定結果に基づき、イオン化割合切換手段によって、例えば、基板が正に帯電しているときは負イオンの割合が多い気体がイオナイザから基板に供給され、基板が負に帯電しているときは正イオンが多い気体がイオナイザから基板に供給されるようにする等、基板に供給される正イオンと負イオンの割合を制御することができるようになり、基板はその電荷量に応じて確実に除電される。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る基板処理装置1の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、基板Bが冷却プレート(以下CPと称する)3の載置面31上に装着された状態を示している。また、図2は、図1に示す基板処理装置1において、基板Bがリフトピン41によって持ち上げられた状態を示している。これらの図では、基板処理装置1として基板冷却装置10を例示している。基板冷却装置10は、内部に基板冷却用のチャンバー20を備えた箱型のハウジング2、このハウジング2内の底部に設けられたCP3、このCP3上に載置された基板Bを昇降する基板昇降機構4、上記CP3上に載置された基板Bを吸着固定する基板固定手段5、上記ハウジング2の天井部に設けられたイオナイザ6、このイオナイザ6に窒素ガスを供給する窒素供給手段7、および基板冷却装置10の運転を制御する制御手段8とを備えて形成されている。
【0018】
上記ハウジング2の一側部(図1では左側部)は、チャンバー20に対して基板Bを出し入れするための基板搬出入口21を有している。この基板搬出入口21は、少なくとも基板Bの幅寸法および厚み寸法を有する矩形状に形成され、この基板搬出入口21を介し図略のロボットアーム等によって基板Bをチャンバー20に対して出し入れし得るようになっている。
【0019】
上記CP3は、所定の熱容量を有するように厚さ寸法が設定されたアルミニウム製の板で直方体状に形成され、その表面に基板Bの大きさよりも若干大きい面積を有する平面状の載置面31が形成されている。この載置面31には、ほぼ所定間隔で多数の基板吸着孔32が穿設されているとともに、四隅部にピン孔33が設けられている。かかるCP3は、アース線35を介して接地されている。CP3上の基板Bの存否は、気体吸引管路52に設けられた気体吸引管路52内の圧力を検出する圧力センサ36により検出される。具体的には、CP3上に基板Bがあるときは気体吸引管路52内は負圧になり、CP3上に基板Bがないときは大気圧になるため、気体吸引管路52内の圧力を圧力センサ36で測定することにより基板の存否を検出し得るようになる。
【0020】
上記基板昇降機構4は、上記CP3の各ピン孔33に下部から貫入された4本のリフトピン41と、CP3の下部に設けられ、かつ、これらリフトピン41を昇降させるピン駆動部42とから形成されている。各リフトピン41は、ピン駆動部42の駆動によって所定高さまで同期して上昇し、ピン駆動部42の逆駆動によって頂部がピン孔33内に没入するまで同期して下降するようになされている。
【0021】
従って、リフトピン41が下降した状態でCP3の載置面31上に基板Bを載置し、ピン駆動部42を駆動することによって各リフトピン41は頂部がピン孔33から抜け出て上昇し、これによって基板Bが上昇するとともに(図2)、ピン駆動部42を逆駆動することによって各リフトピン41は下降してピン孔33内に没入し、これによって基板Bが載置面31に載置されるようになっている。
【0022】
上記基板固定手段5は、真空ポンプ51、この真空ポンプ51に接続された気体吸排気管路52、この気体吸排気管路52に設けられた三方弁からなる第1制御弁53、および高圧窒素ボンベからなる窒素源55を備えて形成されている。気体吸排気管路52の基端側は第1制御弁53に接続されているとともに、先端側は上記多数の基板吸着孔32に連通されている。また、上記窒素源55の下流側にはフィルター54が設けられ、このフィルター54の下流側が窒素管路54aを介して第1制御弁53に接続されているとともに、第1制御弁53と真空ポンプ51との間には気体排出管路51aが介設されている。
【0023】
そして、第1制御弁53を第1開弁位置に設定することにより気体排出管路51aと気体吸排気管路52とが連通状態になり、第1制御弁53を第2開弁位置に設定することにより窒素管路54aと気体吸排気管路52とが連通状態になり、第1制御弁53を閉弁位置に設定することにより気体吸排気管路52と、気体排出管路51aおよび窒素管路54aのいずれもとの連通状態が遮断されるようになっている。
【0024】
従って、真空ポンプ51を駆動し、かつ、CP3の載置面31上に基板Bを載置した状態で第1制御弁53を第1開弁位置に設定することによって基板Bは各基板吸着孔32内は減圧され、これによって基板BはCP3の載置面31上に吸着固定された状態になる(図1)。そして、基板吸着孔32内が所定の真空度になった時点で第1制御弁53を閉弁位置に設定して真空ポンプ51の駆動を停止しても、基板Bの載置面31への吸着固定状態は維持されるようになっている。
【0025】
逆に、基板Bが載置面31に固定されている状態で第1制御弁53を第2開弁位置に設定することにより、窒素源55からの窒素ガスが窒素管路54a、第1制御弁53、および気体吸排気管路52を介して各基板吸着孔32内に導入され、これによって基板吸着孔32内の減圧状態が解消され、基板Bの載置面31への吸着固定状態が解消されることになる。
【0026】
一方、CP3内には図略の冷却管路が蛇行状態で埋設され、この冷却管路の上流端および下流端に上流側および下流側の冷媒管路34aが接続され、冷熱源34からの冷媒が上流側の冷媒管路34a、CP3内の冷却管路、および下流側の冷媒管路34aを循環移動されるようにしている。この冷媒の循環移動によってCP3が冷却されることになる。冷媒管路34aには第3制御弁34bが設けられ、これの開閉操作で冷熱源34からの冷媒のCP3への供給および供給遮断を行い得るようにしている。
【0027】
図3は、イオナイザ6の内部構造の一実施形態を示す説明図である。本実施形態においては、イオナイザ6は、正電極64aおよび負電極64bに直流高電圧を印加して各電極64a,64bからそれぞれ正イオンおよび負イオンを発生させる、いわゆるパルスDCタイプのものが用いられている。
【0028】
かかるイオナイザ6は、ハウジング2(図1および図2)の天井壁に外部から固定されたケーシング60に内装され、かつ、直流電源66を交流のパルス波形に変換するパルス変換器61、イオンバランス設定手段62、このイオンバランス設定手段62から出力された電圧を昇圧する昇圧器63、およびこの昇圧器63からの高電圧が印加される上記正電極64aおよび負電極64bを備えて形成されている。また、ケーシング60は、開口がハウジング2のチャンバー20内に臨んだ左右一対のフード65を有している。そして、左方のフード65には正電極64aが内装されているとともに右方のフード65には負電極64bが内装されている。
【0029】
上記イオンバランス設定手段62にはパルス変換器61からの両極のパルス電圧が供給され、ここで所定のイオンバランスに対応した正・負の各電圧レベルが設定され、これら各電圧が昇圧器63に向けて出力されるようになっている。昇圧器63は、正電圧昇圧器63aと負電圧昇圧器63bとからなり、イオンバランス設定手段62からの正電圧は正電圧昇圧器63aに入力されるとともに、負電圧は負電圧昇圧器63bに入力され、各電圧が所定の昇圧比で昇圧されるようになっている。
【0030】
一方、上記窒素供給手段7は、上記窒素源55と各フード65とを結ぶ窒素供給管路71、この窒素供給管路71に設けられた第2制御弁72、およびこの第2制御弁72の下流側に設けられたフィルター72aを備えている。そして、直流電源66からの高電圧がイオンバランス設定手段62および昇圧器63を介して正電極64aおよび負電極64bに印加された状態で第2制御弁72を開弁することにより、高電圧の正電極64aおよび負電極64bの周りには窒素ガス流が形成されるようにしている。
【0031】
従って、正電極64aおよび負電極64bに高電圧を印加した状態でフード65内に窒素ガスを送り込むことにより、正電極64a側のフード65内の空間では窒素気流内で生じる正電極64aによるコロナ放電によって窒素ガスの一部が正イオンになり、また負電極64b側の空間では負電極64bによるコロナ放電によって窒素ガスの一部が負イオンになり、これらのイオン化窒素ガスが各フード65の開口からCP3上の基板Bに降り注ぐことになる。
【0032】
そして上記イオンバランス設定手段62は、制御手段8からの指令信号に基づいて、正電極64a側からの正イオンと、負電極64b側からの負イオンとの生成割合が所定の値になるように各電極64a,64bに供給する電圧のバランス調整を行うイオンバランストリマ回路を内蔵している。
【0033】
本実施形態においては、イオンバランス設定手段62は、CP3の載置面31上に載置された基板Bにイオナイザ6からのイオン化窒素を供給する際の帯電防止モード(第1のモード)M1と、基板Bがリフトピン41の上昇によって載置面31から剥離された際の除電モードM2とに切り換え可能に構成されている。
【0034】
図4は、各モードにおけるイオンの生成状態を模式的に示した説明図であり、(イ)は帯電防止モードM1における状態、(ロ)は除電モードM2における状態をそれぞれ示している。なお、この図においては、円印の中に「+」を記入して正の電荷を示し、同「−」を記入して負の電荷を示している。
【0035】
まず、帯電防止モードM1時には、イオンバランス設定手段62(図3)において正電圧が負電圧より高レベルに設定され、これによって正電圧昇圧器63aを介して正電極64aに印加される電位は、負電圧昇圧器63bを介して負電極64bに印加される電位よりも絶対値が大きくなっている。また、除電モードM2時には、イオンバランス設定手段62において正電圧と負電圧とが等しくなるように設定され、これによって昇圧器63を介して正電極64aおよび負電極64bに印加される電位は絶対値が同一になっている。
【0036】
従って、帯電防止モードM1においては、図4の(イ)に示すように、フード65内の正電極64a側から放出される正イオンは、同負電極64b側から放出される負イオンよりも多くなっている。逆に、除電モードM2においては、図4の(ロ)に示すように、フード65からは同量の正イオンと負イオンとが導出され、これらがCP3からの剥離によって本実施形態においては、負に帯電した基板Bの表面に降り注ぐようになっている。
【0037】
図5は、制御手段8による制御系統の一実施形態を示すブロック図である。制御手段8には、圧力センサ36からの検出信号が入力されるとともに、この検出信号、および内装された図略のタイマーの時間経過信号に基づいてピン駆動部42、真空ポンプ51、第1制御弁53、第2制御弁72、第3制御弁34b、およびイオンバランス設定手段62に所定の制御信号が出力され、これによって基板Bに対する冷却処理、および静電気の除電処理が施されるようにしている。
【0038】
すなわち、図略の稼動スイッチがONされると、まず第3制御弁34b(図1)が開弁され、冷熱源34からの冷媒が冷媒管路34aを通してCP3に供給され、これによってCP3は所定の温度にまで冷却される。ついで第2制御弁72が開弁され、窒素源55からの窒素ガスが窒素供給管路71を通して各フード65に供給される。
【0039】
また当初は第1制御弁53が第1開弁位置に設定されて気体排出管路51aと気体吸排気管路52とが連通状態にされている。この状態で真空ポンプ51が駆動され、これによって基板Bの冷却処理の準備が完了した状態になる。
【0040】
ついで、基板Bがロボットアーム等によって基板搬出入口21を介してハウジング2のチャンバー20内に導入され、CP3の載置面31の定位置に載置されると、それを圧力センサ36が検出し、その検出信号が制御手段8に入力され、この時点から基板Bの冷却処理が開始される。
【0041】
すなわち、圧力センサ36が基板Bの存在を検出した時点で、まず第1制御弁53が第1開弁位置に設定され、基板吸着孔32内が減圧されることによって基板Bは載置面31上に吸着固定された状態になる。同時にイオンバランス設定手段62は帯電防止モードM1に切り換わり、正電極64aの電位の絶対値が負電極64bの電位の絶対値よりも高くなり、これによってフード65から正イオンの方が負イオンよりも多い窒素気流が放出され、チャンバー20内は負イオンよりも正イオンの方が多い環境になる。従って、CP3上の基板Bの表面は、上記正イオンの影響で正に帯電した状態になる。
【0042】
ついで所定時間経過後、すなわち基板BがCP3からの冷熱を受けて所定温度まで冷却された後、第1制御弁53が第2開弁位置に設定変更される。これによって窒素源55からの窒素ガスが基板吸着孔32内に導入されため、基板Bの載置面31への吸着状態が解消される。
【0043】
この時点にイオンバランス設定手段62は除電モードM2に切り換えられる同時に、ピン駆動部42の駆動によってリフトピン41が上昇される。この上昇によって基板BはCP3の載置面31から剥離され、このときの剥離帯電現象によって負の静電気が帯電された状態になるが、各フード65から窒素気流に乗せてこの帯電を中和するように同量の正イオンと負イオンとが供給されるため、基板Bの静電気帯電は解消される。なお、窒素気流中の余剰の負イオンは、ハウジング2やCP3等を介してアースに戻される。
【0044】
ついで、除電モードM2において所定時間が経過した後、基板Bはロボットアーム等によってチャンバー20内から基板搬出入口21を介して外部に取り出され、つぎの工程に搬送される。ついでリフトピン41は下降され、つぎの基板Bを受け入れる態勢に戻される。そして、つぎの基板Bが圧力センサ36によって検出されると、イオンバランス設定手段62は帯電防止モードM1に切り換わり、この状態からつぎの基板Bの処理が上記同様に行われ、かかる操作を順次行うことによって基板に冷却処理が施されるとともに、基板Bの剥離帯電現象による静電気が中和される。
【0045】
図6は、基板Bの電荷の分布状態を経時的に示す模式図であり、(イ)は帯電防止モードM1において基板BがCP3上に載置された直後の状態、(ロ)は帯電防止モードM1において基板Bの冷却処理が完了した時点の状態、(ハ)は除電モードM2において基板BがCP3から剥離された状態をそれぞれ示している。なお、図6においては、円印の中に「+」を記入して正の電荷を示し、同「−」を記入して負の電荷を示している。
【0046】
まず、図6の(イ)に示すように、基板BがCP3上に載置された時点では、基板Bには正の電荷と負の電荷とが入り乱れた状態で分布している。なお、基板Bの裏面に密着しているCP3の載置面31には、基板Bの裏面とは正負が逆になる電荷分布が形成され、見掛け上中和している。
【0047】
その後、帯電防止モードM1の環境でフード65からは正イオンの方が負イオンよりも多い窒素気流が基板Bの表面に供給されるため、所定の時間が経過した後には、図6の(ロ)に示すように、基板Bは負の電荷よりも正の電荷の方が多くなり、逆帯電状態になる。
【0048】
ついで、図6の(ハ)に示すように、リフトピン41の上昇による剥離帯電現象により基板Bに多くの負の電荷が発生するが(図示の都合上基板Bの下方に示している)、これらの負の電荷は、帯電防止モードM1が終了した直後の図6の(ロ)の状態における電荷分布の正の電荷との間で中和が起こり、図6の(ハ)に斜線で重ね書きしたように静電気は消滅するため、基板Bの負の電荷は、帯電防止モードM1により基板Bを逆帯電状態にしない場合に比べて少なくなっている(正と負の電荷を相殺した状態を図6の(ハ)の右方に括弧書きで示している)。従って、除電モードM2での基板Bの除電処理は、剥離帯電による負の電荷が減少した分容易になる。
【0049】
本実施形態は、以上詳述したように、基板処理装置1に基板Bを装填してCP3上で冷却処理を施すに際し、前半の帯電防止モードM1と、後半の除電モードM2とに区分してイオナイザ6からチャンバー20内へイオン化窒素を供給するようにし、帯電防止モードM1時にはイオナイザ6から負イオンよりも正イオンをより多く放出するようにしたので、基板Bは帯電防止モードM1時に冷却されつつより多くの正イオンを受けるようになり、これによって基板Bは全体的に正側に帯電した状態(逆帯電状態)になる。
【0050】
従って、つぎの除電モードM2において、基板BがCP3から剥離され、これによって基板Bに高い負電位の電荷が生じても、帯電防止モードM1での正の電荷との間で打ち消し合うため、負の帯電状態は緩和され、基板処理装置1による基板の処理時間内で確実に除電し得るようになる。
【0051】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容を含むものである。
【0052】
(1)上記の実施形態においては、基板処理装置1として基板Bを冷却する装置を例示したが、本発明は基板処理装置1が基板冷却装置であることに限定されるものではなく、所定の処理が施された後の基板Bを加熱プレート上に載置して加熱処理する基板加熱装置であってもよい。
【0053】
(2)上記の実施形態においては、CP3はアース線35を介して接地されているが、これに代えてアース線35にスイッチを設け、帯電防止モードM1においては上記スイッチをOFFにするようにしてもよい。こうすることによって、CP3からのアースによる電荷の移動が遮断されるため、CP3自体の帯電を高めることが可能になり、これに対応した基板Bの正の電荷を高めることが可能になる。また、帯電防止モードM1時に基板Bの電荷量および電荷の極性を検出する電荷量センサー、およびこのセンサーの検出結果により正イオンと負イオンとの割合を調整するイオン調節器を備えるようにし、電荷量検出センサーの検出結果に基づいて調節器によって正イオンと負イオンとの割合を調節することにより、第1の状態での基板の電荷の極性および電荷量が除電モードM2での基板の除電に適したものになるようにしてもよい。
【0054】
(3)上記の実施形態においては、正電極64aおよび負電極64bには窒素源55からの窒素ガスが供給されるようにしているが、これに代えて清浄化したクリーンエアーを送り込むようにしてもよい。
【0055】
(4)上記の実施形態においては、イオナイザ6は、正電極64aおよび負電極64bに直流電圧を所定の時間ピッチで印加して各電極64a,64bからそれぞれ正イオンおよび負イオンを発生させる、いわゆるパルスDCタイプのものが用いられているが、かかるパルスDCタイプのイオナイザ6に代えて、接地されたグリッドの中央にエミッタが配置され、このエミッタに交流電圧を印加してグリッドとエミッタとの間の空気をイオン化するACタイプのイオナイザを適用してもよい。
【0056】
(5)上記の実施形態においては、CP3の冷却に冷熱源34からの冷媒を用いるようにしているが、かかる冷媒を用いる代わりにペルチェ素子を用いて冷却するようにしてもよい。
【0057】
(6)上記の実施形態においては、CP3に供給する窒素およびフード65に供給する窒素は同一の窒素源55から供給されるようにしているが、こうする代わりにCP3およびイオナイザ6へはそれぞれ別の窒素源からの窒素を供給するようにしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、基板は、基板移動手段によって熱処理プレートに保持された保持位置と、熱処理プレートより離間した離間位置との間で移動されるとともに、イオン割合切換手段とによって、基板が保持位置にあるときと離間位置にあるときとで、イオナイザから供給される正イオンと負イオンとの割合が切り換えられようにしているため、基板は、その状況に応じてそれぞれ適したイオン環境に曝され、確実に除電することができるようになる。
【0059】
また、イオン割合切換手段によって、基板は、それが保持位置にある状態で、保持位置から離間位置に移動するときに剥離帯電により基板が帯電する電荷の極性と逆極性のイオンの方の割合が大きくなるように、正イオンと負イオンとの割合が設定されてイオナイザからイオンが供給されるため、基板が保持位置にあるときに基板の周りは予め剥離帯電を打ち消し得る環境になっており、従って、基板が保持位置から離間位置に移る基板の剥離時には、剥離帯電が効果的に中和され、基板を確実に除電することができる。
【0060】
また、基板が離間位置にあるときは、イオン割合切換手段によりイオナイザから同量の正イオンと負イオンとが基板に供給されるため、イオナイザから基板に略同等の正イオンと負イオンとを含む気体が供給されることにより、基板の正に帯電している部分が負イオンにより中和され、負に帯電している部分が正イオンによって中和され、これによって基板の部分的な帯電状態が解消し、基板の中和効果が大きくなる。
【0061】
上記請求項2記載の発明によれば、基板としてガラス製のものが、熱処理プレートとして金属製の冷却プレートが採用され、基板が保持位置にあるときは、イオン化割合切換手段により、正イオンが負イオンよりも大きくなるようにイオン割合の設定されたイオンがイオナイザから基板に供給されるようにしているため、ガラスと金属との間の剥離帯電の特性により、基板は、それを熱処理プレートから剥離するときに負に帯電した状態になるが、基板が保持位置にあるときに基板の周りの環境はすでに正イオンが多く蓄積された状態になっており、剥離帯電により負に帯電した基板は負イオンよりも多い正イオンによって確実に中和することができるようになる。
【0062】
上記請求項3記載の発明によれば、基板に帯電した静電気の電荷量を測定する電荷量測定手段が備えられ、この電荷量測定手段の測定結果に基づいてイオン化割合切換手段によって正イオンと負イオンとの割合を切り換えるようにしているため、例えば、基板が正に帯電しているときは負イオンの割合が多い気体がイオナイザから基板に供給され、基板が負に帯電しているときは正イオンが多い気体がイオナイザから基板に供給されるようにする等、基板に供給される正イオンと負イオンの割合を制御することができるようになり、基板の静電気を電荷量に応じて確実に除電することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板処理装置の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、基板がCPの載置面上に装着された状態を示している。
【図2】図1に示す基板処理装置において、基板がリフトピンによって持ち上げられた状態を示す斜視図である。
【図3】イオナイザの内部構造の一実施形態を示す説明図である。
【図4】(イ)および(ロ)は各モードにおけるイオンの生成状態を模式的に示した説明図である。
【図5】制御手段による制御系統の一実施形態を示すブロック図である。
【図6】(イ)〜(ハ)は基板の電荷の分布状態を経時的に示す模式図である。
【符号の説明】
1 基板処理装置
20 チャンバー
3 冷却プレート(CP)
31 載置面
32 基板吸着孔
34b 第3制御弁
35 アース線
36 圧力センサ
4 基板昇降機構
5 基板固定手段
6 イオナイザ
64a 正電極
64b 負電極
65 フード
7 窒素供給手段
8 制御手段
B 基板
M1 帯電防止モード(第1のモード)
M2 除電モード(第2のモード)
Claims (3)
- 基板を熱処理する基板処理装置において、
基板の主面のほぼ全面に亘って当接して基板を保持するとともに、基板を加熱または冷却する熱処理プレートと、
基板が熱処理プレートにより保持された保持位置と、熱処理プレートより離間した離間位置との間で基板を移動させる基板移動手段と、
正にイオン化された気体である正イオンと負にイオン化された気体である負イオンとをそれぞれ基板に供給するイオナイザと、
基板が保持位置にあるときと離間位置にあるときとで、イオナイザから基板に供給する正イオンと負イオンとの割合を切り換えるイオン割合切換手段とを有し、
上記イオン割合切換手段は、イオナイザから保持位置にある基板に供給される正イオンと負イオンとの割合を、基板が保持位置から離間位置に移動するときに剥離帯電により基板が帯電する電荷の極性と逆極性のイオンの方の割合が大きくなるようにする一方、イオナイザから離間位置にある基板に供給される正イオンと負イオンとの割合をほぼ同等とするものであることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1記載の基板処理装置において、
上記基板は、ガラス製の基板であり、
上記熱処理プレートは、基板を保持しつつ冷却する金属製の冷却プレートであり、
イオン化割合切換手段は、イオナイザから保持位置にある基板に供給される正イオンの割合を負イオンの割合と比較して大きくする手段であることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または2記載の基板処理装置において、
基板に帯電した静電気の電荷量を測定する電荷量測定手段を有するとともに、イオン化割合切換手段が上記電荷量に応じて、正イオンと負イオンとの割合を切り換える手段であることを特徴とする基板処理装置。
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