JP3609657B2 - 構造物の地下外壁およびその構築工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は構造物の地下外壁およびその構築工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ソイルセメント柱列壁は仮設構造物として構築され、本体構造物である外壁の構築後に地盤内に埋め殺しされるのが一般的であった。しかし近年においてソイルセメント柱列壁を本体構造物の一部として有効利用するために、図6に示すように、外壁と一体化した合成壁体の開発が進められている。このソイルセメント柱列壁18と外壁19との一体化は、スタッドボルト20で行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようなスタッドボルトによるソイルセメント柱列壁と外壁との一体化には、以下のような問題がある。
▲1▼ 芯材におけるスタッドボルトの溶接箇所の下地処理が必要になる。
▲2▼ スタッドボルトの現場溶接は、高所作業のため危険である他、品質が低 下し、全体の工期および工費がかかる。
▲3▼ スタッドボルトの数は、外壁と芯材との間に作用するせん断力および引張力によって決定される。
▲4▼ ソイルセメント柱列壁内を浸透して外壁に達した地下水がその表面に広く滞留しており、地下外壁の止水性の確保が必要となる。
【0004】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ソイルセメント柱列壁と地下外壁とが簡単に一体化できる構造物の地下外壁およびその構築工法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための手段は、請求項1の発明が、地山側の柱列壁における芯材の一部が構造物の外壁内に埋設され、該外壁の鉄筋が芯材の一部に沿って配筋され、これら柱列壁と外壁とが一体となったことを特徴とする。
【0006】
請求項1の発明によれば、柱列壁の芯材の一部が外壁内に埋設されるため、これらの合成度が大きくなる。また外壁背面に滞留した地下水の水平方向への流れを芯材で遮断する。またスタッドボルトを用いないので施工性が向上する。また芯材の一部が鉄筋を配筋するための基準となる。
【0007】
請求項2の発明が、請求項1において、芯材の一部が粗面仕上げであることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明によれば、芯材と外壁のコンクリートとの付着力が大きくなる。
【0009】
請求項3の発明が、請求項1または2において、芯材の一部が外壁内の鉄筋に接合されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明によれば、柱列壁と外壁との合成度が大きくなるとともに、外壁の鉄筋の配筋が簡単にできる。
【0011】
請求項4の発明が、請求項1〜3のいずれかにおいて、芯材の一部にシアコネクタが設けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明によれば、柱列壁と外壁との合成度、芯材と外壁のコンクリートとの付着力がそれぞれ大きくなる。
【0013】
請求項5の発明が、一方のフランジからウエブにかけてソイルセメントの付着を防止するカバーが被覆されたH形鋼を芯材とする柱列壁を地盤に構築した後、該柱列壁内側の地盤の根切りとともに、柱列壁内側と前記カバーとをはつって芯材の一部を露出させ、該露出した芯材の一部に沿って外壁の鉄筋を配筋するとともに外壁用型枠を組み立てた後、該外壁用型枠内にコンクリートを打設することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明によれば、柱列壁と外壁との合成度の大きな地下外壁が簡単に構築できる。また芯材の一部が鉄筋を配筋するための基準となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、構造物の地下外壁およびその構築工法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。はじめに構造物の地下外壁について説明し、その後にその構築工法について説明する。
【0018】
図1は第1の実施の形態の地下外壁の断面図であり、該地下外壁1は地山2a側のソイルセメント柱列壁(以下柱列壁という)2と鉄筋コンクリート製の外壁3とから構成されている。柱列壁2には芯材4であるH形鋼5が配設され、このフランジ6が外壁3内の鉄筋8に接した状態で埋設されている。前記フランジ6とウエブ7の一部は、コンクリート9との付着力を増するために粗面仕上げされている。このようにフランジ6が外壁3内に埋設され、これに沿って鉄筋8が配筋されているため、フランジ6が鉄筋8を配筋するときの基準となる。
【0019】
また図2は、柱列壁2から浸透した地下水10がH形鋼5のウエブ7で遮断されている状態を示したものであり、ウエブ7が止水板としての機能を果たすことにより柱列壁2内を流れる地下水10を完全に遮断する。なお、芯材4はH形鋼5に限定されるものではなく、I形鋼やその他の形鋼であってもよい。さらに芯材4はフランジ6が横筋8aより内側に位置するように配設することもできる(図示せず)。
【0020】
また図3は第2の実施の形態の地下外壁11を示し、外壁3の横筋8aがフランジ6に溶接されたものであり、これ以外の構成は第1の実施の形態の地下外壁1と同じである。このように横筋8aをフランジ6に溶接すると、鉄筋8を正確かつ迅速に配筋できるとともに、外壁3との合成度を大きくすることができる。
【0021】
また図4は第3の実施の形態の地下外壁12を示し、ウエブ7にスタッドボルトなどのシアコネクタ13を設けた芯材4を外壁3内に、フランジ6が横筋8aの内側に位置するように配置したものである。このようにウエブ7に設けたシアコネクタ13により外壁3との合成度がさらに大きくなるとともに、フランジ6の外壁3への埋め込み深さを増したことにより、地下外壁12の厚さAを小さくすることができる。
【0022】
次に、地下外壁の構築工法について説明する。図5は第1の実施の形態の地下外壁の構築方法を示したものであり、はじめに、同図の(1)に示すように、土留用の柱列壁2を構築する。この柱列壁2の芯材4であるH形鋼5の一方のフランジ6からウエブ7かけてはソイルセメントの付着を防止する硬質プラスチックなどのカバー14が被覆されている。
【0023】
次に、同図の(2)に示すように、前記カバー14が被覆されている部分をはつり出してカバー14を除去すると、芯材4の一部であるフランジ6とウエブ7が露出する。そして、このフランジ6に沿って外壁の鉄筋8を配筋するとともに外壁用型枠15を組み立て、その中にコンクリート16を打設すると、図1に示すような柱列壁2と外壁3とが一体となった地下外壁1が構築される。また第2および第3の実施の形態の地下外壁11、12を構築する場合も同じ方法で構築する。
【0024】
【発明の効果】
柱列壁の芯材の一部が外壁内に埋設されるため、これら柱列壁と外壁との合成度が大きな地下外壁が構築できる。また外壁背面に滞留した地下水の水平方向への流れを芯材で遮断する。
【0025】
壁の厚さが小さくなるので空間の有効利用が図れる。
【0026】
芯材と外壁のコンクリートとの付着力が大きくなる。
【0027】
柱列壁と外壁との合成度が大きくなるとともに、外壁の鉄筋の配筋が簡単にできる。
【0028】
柱列壁と外壁との合成度、芯材と外壁のコンクリートとの付着力がそれぞれ大きくなる。
【0029】
柱列壁と外壁との合成度が大きな地下外壁を簡単な方法で構築できる。
【0030】
芯材の一部のはつり出しが容易にできるとともに、芯材の一部へのソイルセメントの付着が防げて施工性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の地下外壁の断面図である。
【図2】地下水の浸透を表した地下外壁の断面図である。
【図3】第2の実施の形態の地下外壁の断面図である。
【図4】第3の実施の形態の地下外壁の断面図である。
【図5】(1)および(2)は地下外壁の構築工法を示す断面図である。
【図6】(1)および(2)は従来の地下外壁の斜視図と断面図である。
【符号の説明】
1、11、12 地下外壁
2、18 柱列壁
2a 地山
3、19 外壁
4 芯材
5 H形鋼
6 フランジ
7 ウエブ
8 鉄筋
8a 横筋
9、16 コンクリート
10 地下水
13 シアコネクタ
14 カバー
15 型枠
Claims (5)
- 地山側の柱列壁における芯材の一部が構造物の外壁内に埋設され、該外壁の鉄筋が芯材の一部に沿って配筋され、これら柱列壁と外壁とが一体となったことを特徴とする構造物の地下外壁。
- 芯材の一部が粗面仕上げであることを特徴とする請求項1に記載の構造物の地下外壁。
- 芯材の一部が外壁内の鉄筋に接合されたことを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の地下外壁。
- 芯材の一部にシアコネクタが設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の構造物の地下外壁。
- 一方のフランジからウエブにかけてソイルセメントの付着を防止するカバーが被覆されたH形鋼を芯材とする柱列壁を地盤に構築した後、該柱列壁内側の地盤の根切りとともに、柱列壁内側と前記カバーとをはつって芯材の一部を露出させ、該露出した芯材の一部に沿って外壁の鉄筋を配筋するとともに外壁用型枠を組み立てた後、該外壁用型枠内にコンクリートを打設することを特徴とする構造物の地下外壁の構築工法。
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