JP3609617B2 - 反射型センサ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本願発明は、発光素子から発せられた光の検出対象物体からの反射光を受光素子で検知することにより、対象物体の存否等を検出するために用いられる反射型センサに関し、特に、これを面実装タイプとしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一つの電子部品としての物体検出センサとして、マイクロスイッチ等の接触型のセンサに代え、インタラプタや反射型センサなどの非接触型の光学センサが各分野において多用されてきている。
【0003】
このうち、インタラプタは発光素子と受光素子とを所定間隔を開けて対向させ、これら発光素子と受光素子との間に検出対象物体が通過するように配置する必要があるため、対象物体が比較的薄状のものに限定されるし、また、対象物体の通過経路にきわめて近接させて、発光素子と受光素子とが対象物体を挟むように配置させねばならない等、センサの設置場所にも制限が多い。
【0004】
一方、反射型センサは、発光素子と受光素子とを同じ方向を向くようにパッケージして構成され、発光素子が発した光の対象物体からの反射光を受光素子が検知することにより対象物体の存否を検知するため、対象物体の形態に制限が少なく、また、設置場所の自由度もインタラプタに比較して飛躍的に大きい。それ故、反射型センサの需要は最近ますます増大している。
【0005】
そうして、電子部品の基板実装の効率化の観点から、このような反射型センサについても、面実装タイプに移行しつつある。面実装タイプの電子部品は、本体から延出するリード等の端子を本体下面とほぼ同一の面に配置するとともに全体として平面上に安定的に載置しうる形態とした電子部品であって、いわゆるハンダリフローの手法によって回路基板等に面実装することができる。すなわち、回路基板の導体パッド上にクリームハンダを印刷等により塗布しておき、この基板上に電子部品をその端子が上記導体パッドと対応するようにして載置した上、この基板をリフロー炉に導入した後冷却する。そうすると、クリームハンダのハンダ成分が熱によって溶融するとともに溶剤が熱で消散し、冷却固化するハンダによって基板上の導体パッドと電子部品の端子とが相互に機械的かつ電気的に接続される。
【0006】
面実装タイプに構成された従来の反射型センサの構造例を図13ないし図15に示す。この反射型センサ1は、所定厚みをもつとともに平面視矩形状をした樹脂パッケージ2内に発光素子31と受光素子32とが埋設された形態をもっている。樹脂パッケージ2は、各素子31,32 と対応して、パッケージ2の上面に臨む二つの透明樹脂部21,22 を備えており、これらの透明樹脂部21,22 内に各素子31,32 が埋め込まれている。各透明樹脂部21,22 の上面を除く四周および底面部はたとえば黒色をした不透明な樹脂で覆われており、この不透明樹脂25が反射型センサ1の外殻をなすとともに、各素子31,32 に対応した透明樹脂部21,22 間およびこの透明樹脂部21,22 とそのパッケージ上面方向を除く外部間を光学的に遮蔽している。上記透明樹脂部21,22 はたとえば透明エポキシ樹脂で、不透明樹脂部25はたとえば黒色PPS(ポリフェニレンサルファイド)で、それぞれ形成されている。そうして、上記反射型センサ1は、帯板状またはフープ状のリードフレーム(製造用フレーム)を用い、その所定のリード部5に発光素子31および受光素子32をボンディングするとともに所定のワイヤボンディングを行った後、まず、透明エポキシ樹脂による一次モールド工程によって上記透明樹脂部21,22 を形成し、ついで黒色PPSなどを用いた二次モールド工程によって上記不透明樹脂外殻部25を形成し、所定のリードカット、リードフォーミング工程を施すという手順によって製造される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記透明樹脂部を形成するための材料として透明エポキシ樹脂を採用する所以は、トランスファモールド法によって光学半導体素子をモールドするためにコスト面およびモールド操作の容易性の面から最適であると認知されてきているからである。一方、外殻部を構成する樹脂としては、機械的強度および耐熱性を備える樹脂が選択される。
【0008】
上記の構造を有する従来の反射型センサは、上述したハンダリフローの手法による面実装を行う上において、樹脂パッケージ2内でワイヤ4のセカンドボンディング部が断線してしまうことがあるという不具合が指摘されている。
【0009】
すなわち、リフロー炉の温度は、ハンダペースト中のハンダ成分が再溶融するたとえば200℃以上に設定される。そして、その際、上記反射センサ1の樹脂パッケージ2も同様に200℃以上に加熱され、熱膨張が起こる。ハンダ成分は、たとえば183℃まで冷却された時点で固化し、その際、リード5の端部は基板Sの導体パッドPに対して固定される。ところが、この時点では樹脂パッケージ2の特にエポキシ樹脂からなる透明樹脂部21,22 はいまだかなりの熱膨張を起こしたままであるとともに、ガラス転移点以上の温度であり、かつ軟化した状態にある。透明樹脂部の材料として採用される透明エポキシ樹脂の場合、ガラス転移点は120℃以上である。したがって、上記ハンダリフローの手法による面実装の冷却過程において、ハンダの固化温度(たとえば183℃)から透明樹脂部21,22 のガラス転移点(たとえば120℃)まで温度が低下してゆくとき、リード5の端部が基板Sに固定された状態で、樹脂パッケージ2の特に透明樹脂部21,22 が依然熱収縮してゆくという状態を経る。このとき、リード5と樹脂パッケージ2との間には、あたかもリード5をその軸線方向に樹脂パッケージ2から引き抜こうとするような大きな力が作用し、しかも透明樹脂部21,22 を構成する透明エポキシ樹脂が軟化状態にあることから、透明樹脂部21,22 に対してリード5がその軸線方向に動いてしまい、その際にワイヤ5とリード5とのスティッチボンディング部が断線してしまう不具合が発生するのである。
【0010】
このような問題を解消しようとすれば、従来においては、やむなく手ハンダによって基板実装を行うしかなかったが、これではこの種の反射型センサの実装効率が著しく低下してしまう。
【0011】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、従来と同等の製造手法によって製造することができながら、ハンダリフローの手法による面実装時の熱によってワイヤの断線が生じにくい構造の反射型センサを提供することをその課題としている。
【0012】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0013】
すなわち、本願発明の第1の側面によって提供される反射型センサは、上面部と底面部と側面部とを備えた樹脂パッケージ内に平面的に所定間隔隔てられた発光素子と受光素子とが埋設され、かつ上記発光素子と導通するリードおよび上記受光素子と導通するリードのそれぞれの一部が上記樹脂パッケージの底面部の高さ位置と同等または略同等の高さ位置に配置されているとともに、上記樹脂パッケージは、上記発光素子を内蔵する第1透明樹脂部および上記受光素子を内蔵する第2透明樹脂部と、上記第1透明樹脂部と第2透明樹脂部との間を埋め、かつ第1透明樹脂部および第2透明樹脂部の側面を覆い、上記第1透明樹脂部および第2透明樹脂部より線膨張係数が小であってより硬質の不透明外殻樹脂部とを備えて形成されている反射型センサであって、上記第1透明樹脂部と上記第2透明樹脂部のそれぞれに対応して、上記リードは、一対の内部リードと、これら内部リードに連続して上記不透明外殻樹脂部における上記第1透明樹脂部と上記第2透明樹脂部のそれぞれを挟む部位を水平に通過して外部に延出させられるとともに、L字状折曲部を介して端部が上記樹脂パッケージの底面部の位置と同等または略同等の高さ位置に配置された外部リードとが、略同一軸線をもつように配置されており、上記発光素子および受光素子は、上記第1透明樹脂部および第2透明樹脂部内において、それぞれ、一方の内部リードの上面にボンディングされるとともに他方の内部リードとの間がほぼ各内部リードの軸線方向に延びるワイヤによって結線されることにより埋設されており、かつ、各内部リードにその軸線と交差する方向に延びるように形成された延出部が上記不透明外殻樹脂に突入させられていることを特徴としている。
【0014】
本願発明の第2の側面によって提供される反射型センサは、上面部と底面部と側面部とを備えた樹脂パッケージ内に平面的に所定間隔隔てられた発光素子と受光素子とが埋設され、かつ上記発光素子と導通するリードおよび上記受光素子と導通するリードのそれぞれの一部が上記樹脂パッケージの底面部の高さ位置と同等または略同等の高さ位置に配置されているとともに、上記樹脂パッケージは、上記発光素子を内蔵する第1透明樹脂部および上記受光素子を内蔵する第2透明樹脂部と、上記第1透明樹脂部と第2透明樹脂部との間を埋め、かつ第1透明樹脂部および第2透明樹脂部の側面を覆い、上記第1透明樹脂部および第2透明樹脂部より線膨張係数が小であってより硬質の不透明外殻樹脂部とを備えて形成されている反射型センサであって、上記第1透明樹脂部と上記第2透明樹脂部のそれぞれに対応して、上記リードは、一対の内部リードと、これら内部リードに連続して上記不透明外殻樹脂部における上記第1透明樹脂部と上記第2透明樹脂部のそれぞれを挟む部位を水平に通過して外部に延出させられるとともに、L字状折曲部を介して端部が上記樹脂パッケージの底面部の位置と同等または略同等の高さ位置に配置された外部リードとが、略同一軸線をもつように配置されており、上記発光素子および受光素子は、上記第1透明樹脂部および第2透明樹脂部内において、それぞれ、一方の内部リードの上面にボンディングされるとともに他方の内部リードとの間がほぼ各内部リードの軸線方向に延びるワイヤによって結線されることにより埋設されており、かつ、上記各リードの上記不透明外殻樹脂部を通過する部分には、このリードの軸線と交差する方向に突出する凸部、このリードの軸線と交差する方向に凹入する切り欠き、または、このリードの軸線と交差する方向に延びる屈曲部が形成されていることを特徴としている。なお、ここで透明樹脂部の概念中には、肉眼で透明として認識されるもののほか、赤外光は透過しうるが、可視光は透過しえないように処理された、肉眼ではたとえば黒色として認識されるものを含む。すなわちこの場合、赤外光を検出しうる受光素子にとって透明である。
【0015】
好ましい実施の形態において上記各透明樹脂部は、上記樹脂パッケージの上面部および底面部の双方に露出させられている。
【0016】
本願発明の第3の側面によって提供される反射型センサは、上記第1の側面によって提供される反射型センサであって、ハンダリフローの手法によって基板に対して面実装されていることを特徴とするものである。
【0017】
上記反射型センサは、その底面部を下にして、回路基板上にたとえばハンダリフローの手法によって面実装される。本願発明に係る反射型センサは、そのリード(外部リード)の一部が樹脂パッケージの底面部の高さ位置と同等または略同等の高さ位置に配置された面実装タイプに形成されている。発光素子と受光素子は、それぞれ透明樹脂部に内蔵され、かつ、この透明樹脂部は、樹脂パッケージの上面に露出させられている。したがって、樹脂パッケージの上面部を介して発光素子から発せられた光を検出対象物体等に向けて外部に照射することができ、また、対象物体からの反射光は、樹脂パッケージの上面部を介して受光素子に到達することができる。このように、本願発明に係る反射型センサは、その上面部が検出対象物体を向くようにして配置することにより、都合よく物体の存否を検出する等の目的に使用することができる。
【0018】
そして、本願発明においては、各透明樹脂部内で各素子がボンディングされる内部リードおよび各素子との間がワイヤによって結線される内部リードにその軸線と交差する方向に延出する延出部が形成され、かつこの延出部が上記不透明外殻樹脂に突入させられている。
【0019】
透明樹脂部を形成する材料として好適に選択される透明エポキシ樹脂は、その線膨張係数が比較的大きく、ガラス転移点はたとえば120℃以上である。一方、不透明外殻樹脂は、素子の熱や外力からの保護の観点からPPS等の硬質の耐熱性樹脂が好適に選択され、その線膨張係数は透明エポキシ樹脂よりも小さい。
【0020】
ハンダリフローの手法によって上記の反射型センサを面実装する場合、リフロー炉でたとえばハンダの際溶融温度である200℃以上に加熱されてから冷却させられる過程において、ハンダの固化温度(たとえば183℃)から透明樹脂部のガラス転移点(たとえば120℃)まで温度が低下してゆくとき、リードの端部が基板に固定された状態で、樹脂パッケージの特に透明樹脂部が依然熱収縮してゆくという状態を経る。このとき、リードをその軸線方向に樹脂パッケージから引き抜こうとするような大きな力が作用するが、本願発明の第1の側面によって提供される反射型センサにおいては、内部リードにその軸線と交差するように延出する延出部を形成してこの延出部を硬質耐熱性の不透明外殻樹脂中に突入させているから、これにより、内部リードと樹脂パッケージ、とくに透明樹脂部との間の相対的な動きが阻止される。その結果、従来例のように、透明樹脂部に対して内部リードがその軸線方向に動いてしまい、その際にワイヤと内部リードとのスティッチボンディング部が断線してしまう不具合はなくなる。その結果、本願発明に係る反射型センサは、ハンダリフローの手法によって面実装をすることが実質的に可能となる。
【0021】
また、本願発明の第2の側面によって提供される反射型センサにおいては、上記各リードの上記不透明外殻樹脂部を通過する部分には、このリードの軸線と交差する方向に突出する凸部、このリードの軸線と交差する方向に凹入する切り欠き、または、このリードの軸線と交差する方向に延びる屈曲部が形成されているから、これにより、内部リードと樹脂パッケージの硬質外殻樹脂部との間の相対的な動きが阻止され、その結果、内部リードと透明樹脂部との間の相対的て動きも阻止される。これにより、上記第1の側面と同様、透明樹脂部に対して内部リードがその軸線方向に動いてしまい、その際にワイヤと内部リードとのスティッチボンディング部が断線してしまう不具合は抑制されることになる。
【0022】
さらに、好ましい実施の形態のように、各透明樹脂部の上面と底面の双方を樹脂パッケージの外面に露出させるようにすると、さらにハンダリフローの手法による面実装にあたってのワイヤ破断の可能性を低めることができるが、その具体的理由については、後述する。
【0023】
また、本願発明に係る反射型センサは、基本的には従来と同様の製造工程を経て製造することができ、工程増加によるコストアップ要因はほとんどない。
【0024】
本願発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
図1は本願発明に係る反射型センサの一実施形態の全体斜視図、図2は平面図、図3は図2のIII −III 線に沿う断面図、図4は図3のIV−IV線に沿う断面図、図5〜図8は製造工程の説明図、図9は作用説明図、図10〜図12は本願発明に係る反射型センサの他の実施形態の説明図である。なお、これらの図において、図13〜図15に示した従来例と同一または同等の部材または部分には、同一の符号を付してある。
【0027】
これらの図に示されるように、反射型センサ1は、発光素子31と受光素子32とを内蔵する樹脂パッケージ2と、樹脂パッケージ2内において各素子31,32 と電気的に導通する内部リード 53 および樹脂パッケージ2の外部に導出させられている外部リードからなるリード5とを備える。樹脂パッケージ2は、全体として所定厚みをもつとともに略矩形の平面視形状をした箱状をしている。上記リード5は、所定幅の金属板で形成されていて、樹脂パッケージ2の側面から外部に導出させられるとともに略L字状に屈曲させられ、外端に樹脂パッケージ2の底面とほぼ同一高さ位置に配置された水平部51が形成されてこれが基板に対する接続端子部として機能する。そして、このリード5は、各素子31,32 に対応して樹脂パッケージ2の両側から2本ずつ、合計4本延出させられているので、この反射型センサ1を基板等の水平面上に安定して載置することができる。
【0028】
上記樹脂パッケージ1は、発光素子31を内蔵する第1透明樹脂部21と、受光素子32を内蔵する第2透明樹脂部22と、これら各透明樹脂部21,22 を水平方向に所定間隔を隔てた状態において、各透明樹脂部21,22 間を埋め、かつ各透明樹脂部21,22 を少なくとも上面部を残して覆う不透明外殻樹脂部25とを備えている。本実施形態においては、各透明樹脂部21,22 は、その上面部のみならず、上面部と底面部の双方が樹脂パッケージ2の上面および底面に露出させた形態とされている。上記各透明樹脂部21,22 は、たとえば透明エポキシ樹脂によって形成され、上記不透明外殻樹脂部25は、たとえば、黒色PPSによって形成される。
【0029】
各透明樹脂部21,22 の内部には、その高さ方向の中間位置において、発光素子31と受光素子32とが、それぞれ細帯板状の内部リード52上にボンディングされた格好で内蔵されている。そして、各素子31,32 の上面電極ともう一方の内部リード53間は、ワイヤ4によって結線されている。そして、上記各内部リード52,53 の内端部には、この内部リード52,53 の軸線と直交する方向に延びる延出部54が一体形成されており、かつこの延出部54は、上記不透明外殻樹脂部25にその内壁側から突入させられている。
【0030】
発光素子31としては、たとえば発光ダイオード(LED)が採用され、受光素子32としては、たとえばフォトトランジスタ、あるいはフォトダイオードが採用され、いずれもチップの状態で内蔵されている。ワイヤ4は、素子31,32 の上面電極に対していわゆるボールボンディングによって接続され、内部リード53に対していわゆるスティッチボンディングによって接続される。
【0031】
上記構成を備える反射型センサ1は、図5に示すような製造用フレーム6を用い、以下に説明する工程を経て製造される。製造用フレーム6は、金属薄板材料を打ち抜きプレスして形成されるものであって、長手方向両側のサイドフレーム部61,61 と、両サイドフレーム部61,61 から内方に延出するリード部65と、必要に応じてクロスフレーム部66を備えており、図4に符号Aで示す区間の構成がフレーム6の長手方向に連続して形成されている。リード部65の先端は、それぞれ、チップボンディング部あるいはワイヤボンディング部として機能し、かつそれぞれの先端には、リード部65の軸線に直交する方向に延びる延出部54が形成されている。
【0032】
図6に示すように、上記製造用フレーム6の各リード部65の各内端部に対し、発光素子31および受光素子32をそれぞれボンディングするチップボンディング工程、および、各素子31,32 の上面電極と他方リードのワイヤボンディング部間をワイヤ4によって結線するワイヤボンディング工程が施される。
【0033】
次に、図7に示すように、各素子31,32 およびその周辺のワイヤボンディング部を透明樹脂でモールドする一次モールド工程が施される。このとき、各リード部65の内端にあらかじめ形成した延出部54が一次モールドされた透明樹脂の側方から突出する状態とされる。なお、ここで、発光素子31と受光素子32とは、それぞれ別個に透明樹脂でモールドされており、こうしてモールドされた部分が、最終的に上記の第1および第2透明樹脂部21,22 を構成する。この透明樹脂としては、前述したように、透明エポキシ樹脂が好適に採用され、モールド法としては、いわゆるトランスファモールド法が好適に採用される。
【0034】
次に、図8に示すように、上記第1および第2透明樹脂部21,22 の間を埋め、かつ第1および第2透明樹脂部21,22 の上面部および底面部を残してこれらの透明樹脂部21,22 を不透明樹脂で覆う二次モールド工程が施される。このとき、上記一次モールド工程において透明樹脂部21,22 の側面から突出していた内部リードの延出部54が二次モールドされた不透明樹脂中に突入させられた状態が実現される。この不透明樹脂は、前述したように、外殻樹脂部25を形成するためのものであるので、耐熱性および機械強度に優れた黒色PPSなどが好適に採用される。モールド法としては、一次モールド工程と同様、トランスファモールド法が好適に採用される。
【0035】
続いて、製造用フレームにリードカット工程を施すとともにリードをL字状に屈曲させるリードフォーミング工程を施して最終的に図1〜図4に示す個々の反射型センサ1を得る。
【0036】
次に、上記構成の反射型センサ1の作用について説明する。
【0037】
この反射型センサ1は、前述したように、平面上に安定して載置しうることから、いわゆるハンダリフローによる面実装によって基板上に実装することができる。すなわち、基板S上の導体パッドP上にクリームハンダHを印刷等によって塗布しておき、そして、図3に示されるように各導体パッドPと各リードの接続端子部51とが対応するように位置決めしつつ反射型センサ1を基板S上に載置する。そうして、この状態の基板をリフロー炉に導入し、かつその後冷却を行う。ハンダリフローのために、リフロー炉の温度はたとえば200℃以上とされる。リフロー炉内の熱により、クリームハンダ中のハンダ成分が溶融するとともに、溶剤成分が消散する。溶融ハンダは導体パッドPとリード5の接続端子部51の双方に濡れた状態となる。そうして、ハンダが冷却固化されると、反射型センサ1は、基板Sに対して電気的かつ機械的に接続され、実装が完了する。
【0038】
発光素子31と受光素子32は、それぞれ透明樹脂部21,22 に内蔵され、かつ、この透明樹脂部21,22 は、樹脂パッケージ2の上面に露出させられている。したがって、樹脂パッケージ2の上面部を介して発光素子31から発せられた光を検出対象物体等に向けて外部に照射することができ、また、対象物体からの反射光は、樹脂パッケージ2の上面部を介して受光素子32に到達することができる。このように、本願発明に係る反射型センサ1は、その上面部が検出対象物を向くようにして配置することにより、都合よく物体の存否を検出する等の目的に使用することができる。
【0039】
また、上記発光素子31および受光素子32が内蔵された透明樹脂部2は、その側面が不透明外殻樹脂部25によって覆われており、かつこの不透明外殻樹脂部25は、各透明樹脂部21,22 間をも埋めている。したがって、各透明樹脂部21,22 には、樹脂パッケージ2の上面部以外の方向から無用な光が入り込むことがなく、また、発光素子31から発せられた光が直接的に受光素子32に到達させられることもない。また、各透明樹脂部21,22 は樹脂パッケージ2の上面部のみならず、底面部にも露出しているが、前述したように、本願発明の反射型センサ2それ自体が面実装タイプに構成されていて、実装時に樹脂パッケージ2の底面部は回路基板Sに対してわずかなすきまを介して対向することになるので、樹脂パッケージ2の底面部から外部光が透明樹脂部21,22 に導入されてセンサとしての機能が阻害されるといったことも、都合よく回避される。
【0040】
上記透明樹脂部21,22 を形成する透明エポキシ樹脂の線膨張係数は、たとえば11〜12×10−5/℃であり、不透明外殻樹脂部25を形成するPPSの線膨張係数は、たとえば6〜7×10−5/℃である。このように、外殻樹脂部25よりもこの外殻樹脂部25によって四周を拘束された透明樹脂部21,22 のほうが膨張係数が大きい。上記のようにハンダリフロー時の熱によって透明樹脂部21,22 が外殻樹脂部25よりも大きな比率で膨張するが、本実施形態では、各透明樹脂部21,22 はその上面部と底面部の双方が樹脂パッケージ2の外部に露出しているため、図9に強調して示すように、透明樹脂部21,22 の上面部と底面部とが平均して樹脂パッケージ2の外面から膨出するという現象となって現れる。したがって、透明樹脂部21,22 の上面部のみが外部に露出する場合に比較して、樹脂パッケージ2内に発生する熱応力を緩和することができるとともに、透明樹脂部21,22 の膨張変形に起因する素子31,32 やワイヤ4の変位が抑制される。しかも、素子31,32 がボンディングされ、かつこの素子との間がワイヤ4で連結される各内部リード52,53 の先端部に一体形成した延出部54を外殻樹脂部25に突入させているので、リフロー加熱時の透明樹脂部21,22 の膨張変形に起因した素子31,32 やワイヤ4の変位抑制効果がさらに高められる。
【0041】
リフロー炉による加熱の後、温度が次第に低下してゆくが、このとき、まず、ハンダの固化温度(たとえば183℃)でリード5が基板Sに固定される。そして、透明エポキシ樹脂で形成されている透明樹脂部21,22 のガラス転移点(たとえば120℃)に到達するまでは、主として透明樹脂部21,22 が軟化状態のまま熱収縮を続ける。外殻樹脂部25もまた程度の差はあるが熱収縮する。さらに、透明樹脂部21,22 のガラス転移点を超えて常温まで温度低下するときにも、樹脂パッケージ2の熱収縮は続く。この過程において、内部リード52,53 を樹脂パッケージ2に対して引き抜こうとする力が作用するが、上述するように、内部リード52,53 の先端の延長部54が硬質耐熱性の外殻樹脂部25に突入させられているから、上記のような場合においても、内部リード52,53 が実際に透明樹脂部25に対して引き抜き方向に動いてしまうという事態は回避される。
【0042】
以上の結果、本願発明に係る反射型センサ1によれば、ハンダリフローの手法によって面実装する場合のワイヤ破断の不具合の発生が著しく抑制され、信頼性が向上する。
【0043】
また、前述したように、本願発明に係る反射型センサ1は、従来と同様の製造工程を経て製造することができ、本願発明を実施するにあたって工程増加等のコスト上昇要因は発生しない。
【0044】
図10〜図12は、本願発明に係る反射型センサの他の実施形態を示している。これらの実施形態において、上述した実施形態との相違は、上記実施形態では、内部リード52,53 の先端に軸線と直交する突起54を設けてこれを不透明外殻樹脂部に突入させているのに対し、リード5における不透明外殻樹脂部25を通過する部位に、不透明外殻樹脂部25に対するリード5の軸線方向の相対移動を阻止するための手段を設けている点である。すなわち、図10に示す形態では、リード5の軸線に直交して突出する突起55が設けられ、図11に示す形態ではリード5の軸線に直交して凹入する切り欠き56が設けられ、図12に示す形態では、リード5の軸線に直交する方向に延びる屈曲部57を設けている。その余の構成は、図1〜図5に示した実施形態と同様に構成することができる。
【0045】
このようにすれば、リード5の側縁に、リード5の軸線と交差する方向に延びる縁が形成されるため、これがハンダリフローの手法による面実装におけるハンダ固化後の樹脂パッケージ2の熱収縮時にリード5が硬質耐熱性の外殻樹脂部25に対して相対的に抜け方向に移動してしまうという事態を阻止する。このことは、内部リード52,53 の透明樹脂部25に対する相対的な移動をも効果的に阻止することにつながり、その結果、この種の反射型センサ1のハンダリフローの手法による面実装にあたり、樹脂パッケージ2内でワイヤ破断の不良が発生するという問題を解消ないし低減することができる。
【0046】
なお、本願発明の範囲は上述した実施形態に限定されるものではない。実施形態では、各透明樹脂部の上面部と底面部の双方が樹脂パッケージの上面および底面に露出させられているが、図13〜図14に示した従来例のように、透明樹脂部の底面部をも外殻樹脂部で覆われている場合にも問題なく本願発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態に係る反射型センサの全体構成を示す斜視図である。
【図2】上記反射型センサの平面図である。
【図3】図2のIII −III 線に沿う断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】上記反射型センサの製造工程の説明図である。
【図6】上記反射型センサの製造工程の説明図である。
【図7】上記反射型センサの製造工程の説明図である。
【図8】上記反射型センサの製造工程の説明図である。
【図9】本願発明の作用説明図である。
【図10】本願発明に係る反射型センサの他の実施形態の要部平面図である。
【図11】本願発明に係る反射型センサのさらに他の実施形態の要部平面図である。
【図12】本願発明に係る反射型センサのさよに他の実施形態の要部平面図である。
【図13】従来の反射型センサの全体構成を示す斜視図である。
【図14】図13のXIV −XIV 線に沿う断面図である。
【図15】図13のXV−XV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 反射型センサ
2 樹脂パッケージ
21 第1透明樹脂部
22 第2透明樹脂部
25 不透明外殻樹脂部
31 発光素子
32 受光素子
4 ワイヤ
5 リード
51 接続端子部
52 内部リード
53 内部リード
54 延出部
6 製造用フレーム
S 基板
H ハンダ
P 導体パッド
Claims (4)
- 上面部と底面部と側面部とを備えた樹脂パッケージ内に平面的に所定間隔隔てられた発光素子と受光素子とが埋設され、かつ上記発光素子と導通するリードおよび上記受光素子と導通するリードのそれぞれの一部が上記樹脂パッケージの底面部の高さ位置と同等または略同等の高さ位置に配置されているとともに、上記樹脂パッケージは、上記発光素子を内蔵する第1透明樹脂部および上記受光素子を内蔵する第2透明樹脂部と、上記第1透明樹脂部と第2透明樹脂部との間を埋め、かつ第1透明樹脂部および第2透明樹脂部の側面を覆い、上記第1透明樹脂部および第2透明樹脂部より線膨張係数が小であってより硬質の不透明外殻樹脂部とを備えて形成されている反射型センサであって、
上記第1透明樹脂部と上記第2透明樹脂部のそれぞれに対応して、上記リードは、一対の内部リードと、これら内部リードに連続して上記不透明外殻樹脂部における上記第1透明樹脂部と上記第2透明樹脂部のそれぞれを挟む部位を水平に通過して外部に延出させられるとともに、L字状折曲部を介して端部が上記樹脂パッケージの底面部の位置と同等または略同等の高さ位置に配置された外部リードとが、略同一軸線をもつように配置されており、
上記発光素子および受光素子は、上記第1透明樹脂部および第2透明樹脂部内において、それぞれ、一方の内部リードの上面にボンディングされるとともに他方の内部リードとの間がほぼ各内部リードの軸線方向に延びるワイヤによって結線されることにより埋設されており、かつ、各内部リードにその軸線と交差する方向に延びるように形成された延出部が上記不透明外殻樹脂に突入させられていることを特徴とする、反射型センサ。 - 上面部と底面部と側面部とを備えた樹脂パッケージ内に平面的に所定間隔隔てられた発光素子と受光素子とが埋設され、かつ上記発光素子と導通するリードおよび上記受光素子と導通するリードのそれぞれの一部が上記樹脂パッケージの底面部の高さ位置と同等または略同等の高さ位置に配置されているとともに、上記樹脂パッケージは、上記発光素子を内蔵する第1透明樹脂部および上記受光素子を内蔵する第2透明樹脂部と、上記第1透明樹脂部と第2透明樹脂部との間を埋め、かつ第1透明樹脂部および第2透明樹脂部の側面を覆い、上記第1透明樹脂部および第2透明樹脂部より線膨張係数が小であってより硬質の不透明外殻樹脂部とを備えて形成されている反射型センサであって、
上記第1透明樹脂部と上記第2透明樹脂部のそれぞれに対応して、上記リードは、一対の内部リードと、これら内部リードに連続して上記不透明外殻樹脂部における上記第1透明樹脂部と上記第2透明樹脂部のそれぞれを挟む部位を水平に通過して外部に延出させられるとともに、L字状折曲部を介して端部が上記樹脂パッケージの底面部の位置と同等または略同等の高さ位置に配置された外部リードとが、略同一軸線をもつように配置されており、
上記発光素子および受光素子は、上記第1透明樹脂部および第2透明樹脂部内において、それぞれ、一方の内部リードの上面にボンディングされるとともに他方の内部リードとの間がほぼ各内部リードの軸線方向に延びるワイヤによって結線されることにより埋設されており、かつ、上記各リードの上記不透明外殻樹脂部を通過する部分には、このリードの軸線と交差する方向に突出する凸部、このリードの軸線と交差する方向に凹入する切り欠き、または、このリードの軸線と交差する方向に延びる屈曲部が形成されていることを特徴とする、反射型センサ。 - 上記各透明樹脂部は、上記樹脂パッケージの上面部および底面部の双方に露出させられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の反射型センサ。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の反射型センサであって、この反射型センサは、ハンダリフローの手法によって基板に対して面実装されていることを特徴とする、反射型センサ。
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