JP3609449B2 - 多層セラミックス基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、多層セラミックス基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高速コンピュータやスーパーコンピュータ等といった高級電子機器に使用されるLSIパッケージを製造する場合、低熱膨張性や高放熱性などいくつかの条件を備えたパッケージ材料を選択する必要がある。このため、セラミックス基板をパッケージ材料とする各種のセラミックパッケージが従来から提案されている。特に近年においては、多層セラミックス基板をパッケージ材料に採用することによって、高密度化や高速化等を達成しようとする傾向が強まっている。
【0003】
勿論、セラミックパッケージのほかにも、例えばハイブリッドICやマルチチップモジュール(MCM: Multi chip modules )用の構成材料として、多層セラミックス基板を使用するケースも多くなってきている。
【0004】
ここで、従来における多層セラミックス基板の製造方法の一例を図8に基づき簡単に説明する。
まず、グリーンシート20の表面側に粘着フィルム21を貼り付ける。前記貼付工程の後、グリーンシート20にスルーホール形成用孔22を透設する。前記孔あけ工程の後、グリーンシート20の表面側から導体ペースト23を印刷し、スルーホール形成用孔22内に導体ペースト23を充填する。前記スルーホール印刷工程の後、グリーンシート20の裏面に導体ペースト23をパターン状に印刷する。前記パターン印刷工程の後、グリーンシート20から粘着フィルム21を引き剥がす。そして、前記剥離工程を経たグリーンシート20をラミネートしかつ所定の温度で焼成を行う。
【0005】
ところで、スルーホール印刷を行うと、導体ペースト23の裏写りによって印刷機の収容部底面24が汚れてしまうことがある。そのため、導体ペースト23の裏写りを防止する手段として、例えば印刷機の収容部底面24とグリーンシート20裏面との間に敷紙25を設けるという対策が採られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の製造方法によると、図9(a),図9(b)に示されるように、グリーンシート20の裏面側に導電ペースト23が広がったり、導電ペースト23の未充填部分26ができるなど、印刷不良が発生しやすかった。そして、このことが製品歩留りの低下につながっていた。
【0007】
また、従来においては導電ペースト23の広がり27を解消する有効な手段がなく、パターン間のショートを回避するためには、スルーホールのピッチを大きく確保せざるを得なかった。そして、このことが多層セラミックス基板のファイン化を妨げる一つの原因になっていた。
【0008】
本発明は上記の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の目的は、スルーホール印刷工程における導電ペーストの印刷不良を確実に防止することができる多層セラミックス基板の製造方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、アスペクト比の大小に関わらず確実にスルーホール形成用孔内に導体ペーストを充填することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、粘着フィルムをグリーンシートの表面側に貼り付ける貼付工程と、グリーンシートにスルーホール形成用孔を透設する孔あけ工程と、グリーンシートの表面側から導体ペーストを押圧しながら印刷してスルーホール形成用孔内に導体ペーストを充填するスルーホール印刷工程と、グリーンシートの裏面に導体ペーストを印刷するパターン印刷工程と、グリーンシートから粘着フィルムを引き剥がす剥離工程と、複数枚のグリーンシートを重ね合わせて各グリーンシートを圧着するラミネート工程と、焼成工程とを順次行う多層セラミックス基板の製造方法において、導体ペースト中の溶剤に対する耐性を有しかつ片面に感圧接着剤からなる粘着剤層を備えた樹脂製のフィルム材を、孔あけ工程を経たグリーンシートの裏面に接着し、この状態でスルーホール印刷工程を行い、次いで前記フィルム材をグリーンシートから引き剥がした後、パターン印刷工程を行う多層セラミックス基板の製造方法をその要旨としている。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1の製造方法において、前記スルーホール印刷工程を経たグリーンシートを室温で乾燥した後、前記フィルム材をグリーンシートから引き剥がしている。請求項3に記載の発明では、請求項1または2の製造方法において、前記スルーホール印刷工程においてローラスキージを用いて前記導体ペーストを印刷している。
【0012】
【作用】
請求項1〜3に記載の発明によると、樹脂製のフィルム材とグリーンシートとが感圧接着剤からなる粘着剤層を介して接着するため、グリーンシートを移動する際にグリーンシートの裏面からフィルム材が剥離しにくくなる。従って、フィルム材の剥離及び再転写に伴う導体ペーストの広がりが確実に防止される。また、導体ペースト中の溶剤に対する耐性を有した樹脂製のフィルム材を接着しているため、フィルム材に溶剤が吸収されにくくなり、フィルム材の表面に導体ペーストが裏写りしにくくなる。従って、裏写りに伴う導体ペーストの未充填が確実に防止される。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明によると、ローラの水平方向への移動に伴う押圧力に、ローラの回転に伴う押圧力が加わるため、導体ペーストが強い力でマスク下方に押し出される。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を多層窒化アルミニウム基板の製造方法に具体化した一実施例を図1〜図7に基づき詳細に説明する。
【0015】
まず、図7(a)〜図7(c)をもとにスルーホール印刷工程時に印刷不良が発生するメカニズムを説明する。これらの図において、Ptは導体ペースト、Gsはグリーンシート、Thはスルーホール形成用孔、Paは敷紙をそれぞれ意味している。
【0016】
図7(a)には、グリーンシートGsの裏面側に敷紙Paを設け、グリーンシートGsの表面側から導体ペーストPtを印刷したときの状態が示されている。このとき、グリーンシートGsの裏面側に押し出された導体ペーストPtは、敷紙Paの表面まで達する。導体ペーストPtが充填されたグリーンシートGsは、敷紙Paとともに次の工程を行うための装置へと移動される。なお、導体ペーストPtは粘度が高く粘着性を有するものであるため、グリーンシートGsに敷紙Paが貼り付いた状態で移動を行うことができる。
【0017】
ところが、敷紙Paは単に導体ペーストPtの粘着性のみによって貼り付いていることから、図7(b)に示されるように、グリーンシートGsの移動時に敷紙Paにずれや剥離が起こりやすい。また、敷紙Paに使用される普通の紙(いわゆる印刷用紙など)の場合、導体ペーストPt中の溶剤が吸収されやすいため、敷紙Paの表面に裏写りUrができやすい。そして、図7(b)に示されるように、ヒケHk、ハネHn、滲みNj等が誘発される結果となる。
【0018】
上記のように滲みNj等が起きたグリーンシートGsを別の装置に設置すると、図7(c)に示されるような状態となる。即ち、ハネHnや滲みNjの部分がグリーンシートGsの裏面に再転写され、これが広がりHgの原因になる。また、ヒケHkがあった部分は、導体ペーストPtの未充填部分Mjになる。そして、前記のような広がりHgや未充填部分Mjの形成は、敷紙Paに位置ずれが起きているとさらに顕著になる。
【0019】
そこで、スルーホール印刷工程における導電ペーストPtの印刷不良を防止する方法として、次のような2つの対策が考えられた。第1の対策は、導体ペーストPt中の溶剤が吸収されにくいフィルム材を敷紙Paの代わりに用い、導体ペーストPtの裏写りUrを避けることである。第2の対策は、前記フィルム材をグリーンシートGsの裏面に対して確実に貼り付け、移動時に位置ずれが生じないようにすることである。
【0020】
次に、図1〜図6にもとづき実施例の多層窒化アルミニウム基板の製造方法を順を追って説明する。
まず、窒化アルミニウム(AlN)粉末、バインダ、焼結助剤、溶剤等からなるスラリーをシート成形することによって、厚さ0.4mmかつ250mm角のグリーンシート1を複数枚作製する。本実施例では、平均粒径が約1.7μmのAlN粉末1000gに対し、焼結助剤としてのY2 O3 粉末4重量%、アクリル系バインダ11重量%、溶剤としてのブタノール16重量%、ソルミックス20重量%、分散剤0.5重量%及び可塑剤5重量%を配合し、均一に混練したスラリーが、グリーンシート1作製用のスラリーとして使用されている。
【0021】
次に、得られたグリーンシート1の表面S1 全体に、厚さ50μm(ベース材2a:38μm,粘着層2b:18μm)かつ250mm角の粘着フィルム2を貼り付ける(第1の貼り付け工程)。粘着フィルム2は、フィルム状をした樹脂製のベース材2aと、その片面に形成された粘着剤層2bとによって構成されている。
【0022】
次に、粘着フィルム2が貼り付けられたグリーンシート1に対して、パンチング加工を施す。その結果、図2に示されるように、グリーンシート1の所定部分に複数のスルーホール形成用孔3が透設される(孔あけ工程)。このとき、グリーンシート1の外縁部及び粘着フィルム2の外縁部には、両者を貫通する位置決め用のガイド孔4,5が透設される。前記ガイド孔4,5は、スルーホール形成用孔3よりいくぶん大径である。この実施例では、スルーホール形成用孔3の内径は0.2mmであり、そのピッチは1.00mmである。また、孔の深さ/孔の内径によって表されるスルーホール形成用孔3のアスペクト比は、この実施例においては2である。
【0023】
次に、孔あけ工程を経たグリーンシート1の裏面S2 に、樹脂製のフィルム材6を接着する(第2の貼り付け工程)。このフィルム材6は、フィルム状をした樹脂製のベース材6aと、その片面に形成された粘着剤層6bとによって構成されている。前記ベース材6aを形成するための素材には、導体ペースト8中の溶剤に対して耐性があるものが選択される。ゆえに、このフィルム材6は通常使用される敷紙よりも溶剤吸収性が低く、溶剤が浸透しにくいものとなっている。
【0024】
フィルム材6の外形は、グリーンシート1の外形よりもひとまわり小さい必要がある。その理由は、グリーンシート1に透設されたガイド孔4を閉塞することなく、スルーホール形成用孔3のみを閉塞するためである。なお、本実施例では、フィルム材6aとしてパナック社製の「ルミラー NT」を使用している。粘着フィルム2についても同様である。
【0025】
ここで粘着フィルム2の厚さは30μm〜75μmであることが好ましい。粘着フィルム2が厚すぎると、粘着フィルム2とグリーンシート1とを打ち抜くとき(スルーホール形成時)に、フィルム面にバリが発生する。これは、粘着フィルム2が厚すぎると、打ち抜き性が悪くなるためである。このため、バリ発生部にはグリーンシート1と粘着フィルム2との間にクリアランスができ、ペースト滲み等が発生する。一方、粘着フィルム2が薄すぎると、グリーンシート1側のガイド孔4の変形防止を充分に図ることができなくなるおそれがある。また、グリーンシート1を装置から装置へ移動する際の取扱性を充分に向上させることができなくなる。
【0026】
次に、図2に示されるように、スクリーン印刷機9の収容部内にグリーンシート1をセットする。このとき、収容部底面9aに対して裏面S2 側(即ち、フィルム材6側)が接するように、グリーンシート1を配置する。収容部底面9aには、複数本のガイドピン9bが立設されている。これらのガイドピン9bを各ガイド孔4に挿入することによって、グリーンシート1を位置決めする。
【0027】
次に、グリーンシート1の表面S1 側(即ち、粘着フィルム2側)にメタルマスク10を配置し、ローラスキージ11によって導体ペーストとしてのタングステン(W)ペースト8を印刷する。ローラスキージ11を移動させると、回転するローラ11aによって、メタルマスク10の開口10aからWペースト8が押し出される。その結果として、スルーホール形成用孔3内にWペースト8が充填される。
【0028】
ここで使用されるWペースト8は、W粒子にバインダ、溶剤及び分散剤を配合してなるものである。この実施例では、平均粒径が3.4μmのW粒子2000gに、アクリル系バインダ1.9重量%、溶剤2.7重量%及び分散剤0.1重量%配合し、均一に混合したものが、Wペースト8として使用されている。
【0029】
Wペースト8の粘度は100000cps 〜900000cps 、さらには400000cps 〜600000cps の範囲内に調整されることが好ましい。この粘度が低すぎると、Wペースト8中における溶剤等の割合が大きくなり、乾燥に長時間を要するようになってしまう。一方、この粘度が高すぎると、アスペクト比の大きいスルーホール形成用孔3に対して確実にWペースト8を充填することが困難になる。そして、この場合にはWペースト8の作製が面倒になる、Wペースト8の寿命が短くなるというような問題も生じる。
【0030】
この実施例では、上記の点を考慮してWペースト8の粘度を500000cps 前後に調整している。また、スクリーン印刷の条件として印圧を3.5kgf/cm2 に設定している。
【0031】
次に、前記スルーホール印刷工程を経たグリーンシート1を所定の条件(室温,20時間)で乾燥する。その後、図3に示されるように、フィルム材6をグリーンシート1の裏面S2 から引き剥がす(第1の剥離工程)。
【0032】
次に、グリーンシート1を再びスクリーン印刷機9の収容部内にセットする。このとき、印刷面である裏面S2 を上に向けるようにしてグリーンシート1を配置する。その際、グリーンシート1は、ガイドピン9bを各ガイド孔4,5に挿入することによって位置決めされる。そして、グリーンシート1の裏面S2 にWペースト8をパターン状に印刷する(パターン印刷工程)。その結果、グリーンシート1の裏面S2 に所定形状のパターン13が形成される。
【0033】
次に、パターン印刷が施されたグリーンシート1を所定の条件(70℃,20時間)で乾燥する。この後、裏面S2 を上に向けるようにしてグリーンシート1を仮プレス機12にセットする。その際、グリーンシート1は、ガイドピン12bを各ガイド孔4,5に挿入することによって位置決めされる。この状態で仮プレスを行うと、図4に示されるように、パターン13全体がグリーンシート1内に埋没し、裏面S2 側が平坦になる。
【0034】
次に、図5に示されるように、グリーンシート1から粘着フィルム2を引き剥がす(第2の剥離工程)。続いて、ラミネート装置14の下側治具上に、複数枚のグリーンシート1を重ね合わせた状態で配置する。その際、ラミネート装置14の各ガイドピン14aをグリーンシート1のガイド孔4に挿入し、グリーンシート1を位置決めする。この状態で垂直方向に圧力を加えることによって、各グリーンシート1を圧着する(ラミネート工程)。その結果、図6に示されるように、複数枚のグリーンシート1からなる積層体15が得られる。
【0035】
次に、ラミネート工程を経て得られた積層体15を脱脂・仮焼成した後、仮焼体をホットプレス法によって本焼成する(焼成工程)。この後、焼結体の表裏面や外縁部を研削除去する。以上の一連の工程を経て、スルーホールを備えた所望の多層AlN基板が製造される。
【0036】
さて、本実施例の多層AlN基板の製造方法の作用効果について説明する。
この製造方法によると、樹脂製のフィルム材6の片面に粘着剤層6aが設けられていることから、フィルム材6とグリーンシート1とを粘着剤層6aを介して確実に接着させることができる。このため、グリーンシート1を別の装置に移動するときであっても、グリーンシート1の裏面S2 からフィルム材6が不用意に剥離してしまうことがない。よって、従来のときとは異なり、フィルム材6の剥離及び再転写に伴うWペースト8の広がりを確実に防止することができる。
【0037】
また、この製造方法では、Wペースト8中の溶剤に対する耐性を有した樹脂製のフィルム材6を接着していることから、敷紙を用いたときに比較して溶剤がフィルム材6に吸収されにくい。よって、フィルム材6の表面にWペースト8が裏写りしにくくなる。従って、従来のときとは異なり、裏写りに伴うWペースト8の未充填を確実に防止することができる。
【0038】
以上のようなことから、本実施例の製造方法によると、スルーホール印刷工程におけるWペースト8の印刷不良が確実に防止されるため、製品歩留りの向上を期待することができる。しかも、Wペースト8の広がりが解消されることから、スルーホールのピッチを従来よりも小さく設定することができる。ゆえに、多層AlN基板のファイン化を達成するうえで極めて好都合である。
【0039】
勿論、スクリーン印刷機9の収容部底面9aとグリーンシート1の裏面S2 との間には前記フィルム材6が介在していることから、裏写りに起因する収容部底面9aの汚れも確実に回避することができる。
【0040】
また、この製造方法では、ガイドピン9b,12a,14aを挿入するための孔として、グリーンシート1の外縁部のみならず粘着フィルム2の外縁部にもガイド孔5を設けている。そして、この粘着フィルム2をラミネート工程の直前までグリーンシート1に貼り付けておくこととしている。この場合、グリーンシート1側のガイド孔4の周囲が粘着フィルム2によって補強された状態となる。従って、グリーンシート1側のガイド孔4に変形が生じにくくなる。そのため、焼成工程前の各工程(特にパターン印刷工程及びラミネート工程)における位置決め精度が向上し、製品歩留りもそれに伴って向上する。また、脆弱なグリーンシート1全体に粘着フィルム2を貼り付けた状態で移動が行われるため、グリーンシート1に歪み等が起きにくく、取扱性が向上する。以上の結果、寸法精度に優れた多層AlN基板を確実に得ることが可能となる。
【0041】
さらに、ローラスキージ11によって印刷を行うこの方法では、ローラ11aの水平方向への移動に伴う押圧力に、ローラ11aの回転に伴う押圧力が加わるため、Wペースト8が強い力でメタルマスク10の下方に押し出される。従って、アスペクト比の大小に関わらず、確実にスルーホール形成用孔3内にWペースト8を充填することができる。ゆえに、未充填等の印刷不良が回避され、製品歩留りも向上する。特に、ローラスキージ11による印刷は、実施例のように圧抜け性のあまり高くない樹脂製のフィルム材6を設けたときに有効である。
【0042】
そして、この実施例の製造方法では、Wペースト8の粘度を一般的な値(700000cps 前後)よりも低く設定している。従って、Wペースト8の作製が比較的容易になり、しかもWペースト8の寿命も確実に長くなる。よって、スルーホール印刷工程にかかる手間やコストが低減される。なお、仮にWペースト8の粘度を一般的な値に設定したときしても、充填作業自体になんら支障はない。
【0043】
また、粘着剤層6aを備えた実施例のフィルム材6の場合、接着作業も剥離作業も極めて簡単に行うことができる。なお、ここではあまり接着強度の高くない粘着剤層6aを選択していることから、フィルム材6の剥離に伴ってグリーンシート1に歪みや変形等が起こるということもない。
【0044】
次に、実施例の製造方法及び従来の製造方法の良否を判定するための試験方法、及びその結果について説明する。
この試験では、実施例として4つの試験区を設け、従来例(比較例)として2つの試験区を設けた。表1に示されるように、サンプル▲1▼はアスペクト比を2に設定したものである。サンプル▲2▼,▲3▼,▲4▼は、スルーホール形成用孔3の深さ(即ちグリーンシート1の厚さ)を変更することにより、アスペクト比をそれぞれ3,4,5に設定したものである。比較例となるサンプル▲5▼,▲6▼は、アスペクト比をそれぞれ2,3に設定したものである。なお、フィルム材6の代わりに、敷紙(ここでは厚さ50μmの印刷用紙B)が使用されている。また、ローラスキージ11の代わりに角型スキージが使用されている。表1には、スルーホール印刷工程後における印刷不良の発生率(%)を調査した結果が示されている。
【0045】
この試験では、スルーホール形成用孔3の設計値に対して印刷径が10%以上になった場合、「広がり」が起きているものと判断した。また、スルーホール形成用孔3内に充填されたWペースト8の内部に約20μm以上の空隙ができた場合、「未充填」が起きているものと判断した。
【0046】
【表1】
【0047】
なお、本発明は上記実施例のみに限定されることはなく、次のように変更することが可能である。例えば、
(a) フィルム材6や粘着フィルム2は、透明または半透明であることがよい。その理由は、スルーホール印刷工程を行った後に、Wペースト8の充填状態を目視することができるからである。
【0048】
(b) スルーホール印刷工程においてはローラスキージ11ばかりでなく、既存の角型スキージを使用することとしてもよい。
(c) 例えば炭化タングステン、タンタル、モリブデン、ニオブ等を主成分として含む導体ペーストをWペースト8の代わりに使用してもよい。また、グリーンシート1の作製に用いるセラミックスは、AlNのほか、例えばアルミナ、ムライト、窒化ほう素、炭化珪素等であっても勿論よい。
【0049】
(d) 粘着剤層6aを形成するための粘着剤の原料として、例えばポリビニルエーテル、アクリル共重合体、ポリビニルアルコール等の熱可塑性接着剤や、ポリイソブチレン、ブチルゴム、シリコーンゴム等のゴム系接着剤などを選択してもよい。
【0050】
(e) クラフト紙等の厚手の紙に樹脂を塗布、ラミネートまたは含浸させたものをベース材6aとして使用してもよい。
(f) このほか、既存のセロファンテープ、ガムテープ、アルミニウムテープ、クラフト紙等を主材とした紙粘着テープ等を前記フィルム材6の代わりに用いてもよい。
【0051】
ここで、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施例及び別例によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。
(1) 請求項1〜3において、AlN製のグリーンシートとWペーストとを使用すること。この組合せであると、熱伝導性が高くかつ低シート抵抗の多層セラミックス基板を得ることができる。
【0052】
(2) 請求項1〜3において、フィルム材及び粘着フィルムは同じ素材からなるものとすること。この方法であると、形成材料の種類が少なくなり工程管理が容易になる。
【0053】
(3) 請求項3において、導体ペーストの粘度は100000cps 〜900000cps 、さらには200000cps 〜600000cps であること。この方法であると、ペーストの乾燥に長時間を要する、ペーストの作製が面倒になる、ペーストの寿命が短くなる等の問題を回避できる。
【0054】
なお、本明細書中において使用した技術用語▲1▼,▲2▼を次のように定義する。
「▲1▼粘着剤: ポリビニルエーテル、アクリル共重合体、ポリビニルアルコール等の熱可塑性接着剤や、ポリイソブチレン、ブチルゴム、シリコーンゴム等のゴム系接着剤などを成分として含む感圧接着剤(Pressure sensitive adhesive )のことをいう。」
「▲2▼セラミックス基板: 窒化アルミニウム(AlN),窒化ほう素(BN),炭化珪素(SiC)等といった非酸化物系セラミックスからなる基板をいうほか、例えばアルミナ(Al2 O3 ),ベリリア(BeO),ムライト(3Al2 O3 ・2SiO2 ),ガラスセラミックス(MgO−Al2 O3 −SiO2 やBaO−Al2 O3 −SiO2 等),フォルステライト(2MgO・SiO2 ),スピネル(MgO・Al2 O3 )などといった酸化物系のセラミックス等からなる基板をも意味する。」
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1,2に記載の多層セラミックス基板の製造方法によれば、導体ペーストの広がりや未充填が確実に解消されるため、スルーホール印刷工程における導体ペーストの印刷不良を確実に防止することができる。
【0056】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1,2の発明の効果に加え、アスペクト比の大小に関わらず確実にスルーホール形成用孔内に導体ペーストを充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施例の多層窒化アルミニウム基板の製造方法において、孔あけ工程を経たグリーンシートの裏面にフィルム材を接着した状態を示す概略断面図である。
【図2】同製造方法において、スルーホール印刷工程におけるグリーンシートを示す概略断面図である。
【図3】同製造方法において、第1の剥離工程におけるグリーンシートを示す概略断面図である。
【図4】同製造方法において、仮プレス工程を経たグリーンシートを示す概略断面図である。
【図5】同製造方法において、第2の剥離工程におけるグリーンシートを示す概略断面図である。
【図6】同製造方法において、ラミネート工程におけるグリーンシートを示す概略断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、印刷不良の発生メカニズムを説明するための要部拡大断面図である。
【図8】従来の多層セラミックス基板の製造方法を説明するためのグリーンシートの概略断面図である。
【図9】(a)は従来方法における問題点を説明するためのグリーンシート裏面側の要部拡大平面図、(b)は要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1…グリーンシート、2…粘着フィルム、3…スルーホール形成用孔、4,5…ガイド孔、6…(樹脂製の)フィルム材、6b…粘着剤層、8…導体ペーストとしてのタングステンペースト、11…ローラスキージ、S1 …表面、S2 …裏面。
Claims (3)
- 粘着フィルムをグリーンシートの表面側に貼り付ける貼付工程と、グリーンシートにスルーホール形成用孔を透設する孔あけ工程と、グリーンシートの表面側から導体ペーストを押圧しながら印刷してスルーホール形成用孔内に導体ペーストを充填するスルーホール印刷工程と、グリーンシートの裏面に導体ペーストを印刷するパターン印刷工程と、グリーンシートから粘着フィルムを引き剥がす剥離工程と、複数枚のグリーンシートを重ね合わせて各グリーンシートを圧着するラミネート工程と、焼成工程とを順次行う多層セラミックス基板の製造方法において、
導体ペースト中の溶剤に対する耐性を有しかつ片面に感圧接着剤からなる粘着剤層を備えた樹脂製のフィルム材を、孔あけ工程を経たグリーンシートの裏面に接着し、この状態でスルーホール印刷工程を行い、次いで前記フィルム材をグリーンシートから引き剥がした後、パターン印刷工程を行う多層セラミックス基板の製造方法。 - 前記スルーホール印刷工程を経たグリーンシートを室温で乾燥した後、前記フィルム材をグリーンシートから引き剥がす請求項1に記載の多層セラミックス基板の製造方法。
- 前記スルーホール印刷工程において、ローラスキージを用いて前記導体ペーストを印刷する請求項1または2に記載の多層セラミックス基板の製造方法。
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