JP3608822B2 - 電子銃 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、医療用X線装置のX線管に用いられる電子銃のように、大電流が通電される電子銃に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線管は、大きな電子流を限られた寸法の焦点に当てて、輝度の高いX線を出射できるように改良が重ねられている。従来、このようなX線管には、コイル状のフィラメントが使用されている。
【0003】
一方、電子ビームを用いて、真空中で被加熱体を溶解する装置等では、大電流を必要とするために平板状フィラメントが多く用いられている。平板状フィラメントは、コイル状のフィラメントより、被照射面に対向するフィラメントの面積を大きく取ることができるが、一方では、熱膨張によってフィラメント自体が変形したり、切損が生じる等の問題や、輻射放熱による冷却が大きいために全体的には電子発生効率が低くなってしまうという問題がある。
【0004】
特開平5−325855号公報には、発熱源であるフィラメントを電子発生源であるカソードに絶縁接着剤で接合して、フィラメントから発生する熱をカソードへ伝えて放散させて、フィラメントやカソードの変形を防ぎ、電子発生効率の向上を図るようにした電子銃が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来技術では、カソードが1700℃程度で動作する電子銃であれば、カソードとフィラメントとを接合している絶縁接着剤が熱によって劣化することもなく問題はないが、フィラメントの材料として、例えばタングステン等、より高温で動作する材料を用いた場合には、絶縁接着剤が熱で劣化してしまい、所期の目的を達することができないという問題点がある。
【0006】
また、フィラメント材料が2000〜2500℃の高温になると、熱伝導による熱の伝達に加えて、熱輻射によって周辺の物体に熱が伝達されてしまうため、入力電力をかなり大きくしないとフィラメントを所望の温度まで加熱することができない。したがって、結果的に陰極を加熱するために大きな電力が必要となってしまうという問題点もある。
【0007】
本発明の目的は、このような問題点を解決すべくなされたものであり、フィラメント材料として、タングステン等の2000℃以上の高温で動作する材料を用いた場合でも、フィラメントやカソードが変形することなく、小さい電力で効率良く熱電子を発生させることができる電子銃を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、蛇行して連なるように形成され通電により熱電子を発生するフィラメント(1)と、このフィラメント(1)の屈曲部と屈曲部との間毎に設けられ、三角形の面の頂点と前記フィラメント(1)の屈曲部と屈曲部との間のほぼ中央部とがそれぞれ点接触することにより前記フィラメント(1)を支持する複数の支持体(2)と、これらの支持体(2)のそれぞれを絶縁材料により接着して支持する支持板(3)と、を備えたことにより達成される。
【0009】
【作用】
本発明にかかる電子銃では、フィラメント材料を蛇行して連なるよう配設しているため、フィラメントとして電気抵抗が大きくなり、少ない電流で効果的に昇温する。また、フィラメント材料は、支持板の上に配設したフィラメント支持体の頂点に点接触によって接合されているため、支持体との接触部における熱の流路が小さく、フィラメント材料に通電した時のフィラメント支持体への伝熱量が小さい。一方、フィラメント支持体へ伝わった熱は、絶縁材料を介して支持板へ伝わるが、フィラメント支持板と支持体とは面接触であるため、その流路は広く伝熱量は多くなる。したがって、フィラメント支持体は入熱量に比べて排熱量がはるかに多くなるため、絶縁材料の温度は上昇しない。更に、フィラメント材料はフィラメント支持体に点接触で支持されているだけなので、昇温時に熱膨張が生じても膨張する方向において支持が開放されており、切損や変形が生じることがない。
なお、支持板のフィラメント材料に対向する面を鏡面に仕上げれば、フィラメント材料からの輻射熱を反射して、フィラメント材料の放熱量を減少させ得る。
【0010】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明による電子銃の要部(平板状フィラメント)の一例を示す平面図、図2は、図1中の平板状フィラメントのフィラメント支持体の構成例を拡大して示す斜視図である。
【0011】
図1において、1は平板状のフィラメント材料であり、本実施例ではタングステン製のものを使用している。図1に示すように、フィラメント材料1は支持板3の上に、フィラメント支持体2を介して蛇行して連なるように配設されている。フィラメント材料1と支持板3との間には、図1に示すように、蛇行するフィラメント材料1のそれぞれの屈曲部と屈曲部との間毎にフィラメント支持体2が設けられており、フィラメント材料1を支持している。なお、フィラメント材料1の両端は、図1には示していないが、折り曲げられてリード部が形成されている。
【0012】
また図2に示すように、フィラメント支持体2はフィラメント材料1と同種の材料からなる平板の一部を上方に折曲げ形成されてなる。フィラメント支持体2の底面2aは絶縁接着剤4を介して支持板3に接合されており、一方、折曲げ部2bは三角形をなしてその頂点2cと前記フィラメント材料1とが拡散接合されている。フィラメント支持体2と支持板3を接合する絶縁接着材4としては、耐熱温度が1300〜1700℃程度のセラミックス系の絶縁材を用いる。
【0013】
このような構成の平板状フィラメントを備えた電子銃は、動作時にはフィラメント材料1が最高2500℃程度まで加熱されて、熱電子を発生する。フィラメント材料1がこのように昇温すると、輻射による放熱が著しくなるため、従来構造のフィラメントでは、加熱電源からの電力量をかなり増やす必要がある。しかし本発明によれば、フィラメント材料1の裏面(支持板3に対向する面)が支持体2との点接触によって熱的にほぼ絶縁していることにより、またフィラメント材料1に対向する支持板3の面を鏡面にして輻射による伝熱量を減少させたことによって、フィラメント材料1を少ない電力で効率よく加熱することができる。
【0014】
フィラメント材料1とフィラメント支持体2とは点接触で支持されており、接触面積が0.1mm2以下と非常に小さいため、この接触部において熱抵抗が大きくなり、熱伝導による伝熱量は極めて小さくなる。一方、フィラメント支持体2と支持板3とは、3mm2以上の面積で、絶縁接着剤4を介して接合されているため、フィラメント支持体2は入熱量に比べて、支持板3への放熱量が著しく大きくなる。したがって、フィラメント支持体2の温度は頂点2cにおいてはフィラメント材料1の温度とほぼ等しいが、頂点2cから離れるにつれて急激に低下し、支持板3と接合されている底面2aでは1300℃以下になる。したがって、フィラメント材料1の温度が2500℃程度になっても、フィラメント支持体2の底面2aの温度が絶縁接着剤の耐熱温度を超えて上昇することはない。
【0015】
フィラメント材料1の温度が2500℃程度まで上がると、従来の平板状フィラメントでは、フィラメント材料の熱膨張量が大きくなり、支持の仕方によってはフィラメント材料が切損してしまう。ここで、タングステンの熱膨張率は4.3×10−6であり、鉄系の材料に比べると小さいが、フィラメント材料を単純な平板に構成して、長さ20mmのフィラメント材料を2500℃まで加熱すると、熱膨張量は0.2mmとなり、支持部の剛性を小さくしないとフィラメント材料が切損してしまう。
【0016】
本実施例の平板状フィラメントでは、フィラメント材料1を蛇行して連なるように配設すると共に、フィラメント材料1の屈曲部と屈曲部との間のほぼ中央部で、フィラメント支持体2の頂点2cと点接触させて支持するようにしている。したがって、フィラメント材料1の熱膨張は、その支持点、すなわちフィラメント支持体2の頂点2cとの接触点を中心に左右対称に生じる。更に、フィラメント材料1はこの支持点のみでフィラメント支持体2に接触しているだけなので、前記屈曲部と屈曲部との間の両端部において、熱膨張によって生じる応力が開放されている。したがって、フィラメント材料1が昇温して、熱膨張が生じた場合でも、切損を防止することができ、フィラメント材料1の変形を最小限にとどめることが可能となる。また、フィラメント材料1の互いに隣り合う屈曲部と屈曲部との間の間隔が、0.1mm以上あれば、昇温しても互いに接触することはなく、熱電子の放射面を広く取ることが可能となる。
【0017】
なお上述実施例では、フィラメント材料1とフィラメント支持体2とを拡散接合によって接合するようにしたが、機械的な方法を用いて接合するようにしてもよい。また、フィラメント支持体2の形状は、上述実施例のものに限定されることはなく、例えば円錐形にしてその頂点をフィラメント材料1に接合するようにしてもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、フィラメント材料から支持体への熱伝導による放熱を小さくし、フィラメント支持体の温度を低く抑えることができるので、フィラメントが高温になっても絶縁接着剤が熱的に劣化することがない。また、フィラメント材料はフィラメント支持体に点接触で支持されているだけなので、昇温時に熱膨張が生じても膨張する方向において支持が開放されており、切損や変形が生じることがない等の効果がある。
更に、支持板を鏡面にすれば、フィラメント材料からの輻射放熱が抑えられ、少ない電流で、フィラメント材料を昇温させて、効率良く熱電子を放射させることができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子銃の要部の一例を示す平面図
【図2】図1に示す平板状フィラメントのフィラメント支持体を拡大して示す斜視図
【符号の説明】
1 フィラメント材料
2 フィラメント支持体
2a 支持体底面
2b 支持体折曲げ部
2c 支持体頂点
3 支持板
4 絶縁接着剤
Claims (2)
- 蛇行して連なるように形成され通電により熱電子を発生するフィラメント(1)と、このフィラメント(1)の屈曲部と屈曲部との間毎に設けられ、三角形の面の頂点と前記フィラメント(1)の屈曲部と屈曲部との間のほぼ中央部とがそれぞれ点接触することにより前記フィラメント(1)を支持する複数の支持体(2)と、これらの支持体(2)のそれぞれを絶縁材料により接着して支持する支持板(3)と、を備えたことを特徴とする電子銃。
- 前記支持板(3)は、前記フィラメント(1)に対向する面が、鏡面にて形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
Priority Applications (1)
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JP20940794A JP3608822B2 (ja) | 1994-08-11 | 1994-08-11 | 電子銃 |
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JP20940794A JP3608822B2 (ja) | 1994-08-11 | 1994-08-11 | 電子銃 |
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JPH0855594A JPH0855594A (ja) | 1996-02-27 |
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Family Applications (1)
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JP20940794A Expired - Fee Related JP3608822B2 (ja) | 1994-08-11 | 1994-08-11 | 電子銃 |
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1994
- 1994-08-11 JP JP20940794A patent/JP3608822B2/ja not_active Expired - Fee Related
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