JPH10321119A - 熱電子放出フィラメントおよび熱電子放出装置 - Google Patents

熱電子放出フィラメントおよび熱電子放出装置

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JPH10321119A
JPH10321119A JP12573197A JP12573197A JPH10321119A JP H10321119 A JPH10321119 A JP H10321119A JP 12573197 A JP12573197 A JP 12573197A JP 12573197 A JP12573197 A JP 12573197A JP H10321119 A JPH10321119 A JP H10321119A
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JP
Japan
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filament
electron emission
region
emission
electron
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JP12573197A
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English (en)
Inventor
Naohisa Osaka
尚久 大坂
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な構造で熱電子放出量の増大を図る。 【解決手段】 LaB6 材料で形成したフィラメント本
体1の中央領域を電子放出領域2とするとともに、同領
域2に電子放出面3を形成する。この電子放出面3を環
状に湾曲することにより、同面3の面積を広げ電子放出
量の増大を図る。電子放出領域2の周囲には補熱領域5
を形成し、電子放出領域2の温度安定化を図ってもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、X線発生装置な
どに利用される熱電子放出フィラメント、および該フィ
ラメントを用いた熱電子放出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、タングステン(W)等の材料で
形成したフィラメントは、通電による発熱に伴い、熱電
子を放出することが知られている。この熱電子は、X線
発生装置やイオン発生器、電子加速機などに利用されて
おり、例えば、X線発生装置においては、フィラメント
から放出された熱電子を収束してターゲット(対陰極)
に衝突させ、該衝突面から所要のX線を発生させる構造
となっている。
【0003】従来の熱電子放出フィラメントとしては、
タングステン材料からなるコイル状フィラメントが多く
用いられていたが、このコイル状フィラメントは、コイ
ルの巻き線形状に応じてX線焦点内に電子密度の不均
一、すなわちムラが発生し、その結果、発生するX線の
強度が不均一になるという問題があった。また、フィラ
メントが高温に発熱するときタングステンが蒸発し、該
蒸発したタングステンがターゲットの表面に付着してし
まい、その結果、得られるX線の波長が予定していたも
のと全く異なってしまうという問題もあった。そこで、
上記のようなコイル状フィラメントにみられる問題点を
解消するために、LaB6(六硼化ランタン)材料によ
り形成した熱電子放出フィラメント(LaB6フィラメ
ント)が提案されている。
【0004】図14は、従来のLaB6フィラメントの
構成を示す斜視図である。同図に示すように、従来のL
aB6フィラメント100は、棒状のLaB6材料を屈曲
形成してなり、その中央領域に矩形状の端面を形成し、
同端面を電子放出面101としていた。このような構成
のLaB6フィラメント100は、両端部を電極として
通電すると、中央領域が発熱して電子放出面101から
熱電子を放出する。
【0005】X線発生装置にこのLaB6フィラメント
100を用いる場合は、図15の(a)に示すごとく電
子放出面101をターゲット10に対向して配置すると
ともに、ウェネルト11と称する電子収束器を電子放出
面101の前方周囲に配設した構成とする。電子放出面
101から放出された熱電子aは、ウェネルト11によ
り収束されてターゲット10に衝突する。熱電子aは、
ターゲット10の表面上で同図(b)に示すごとく電子
放出面101に対応した矩形状の焦点bを形成し、該焦
点bからX線が取り出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のLaB6フィラメント100は、中央領域に単純な矩
形状の端面を形成し、同端面を電子放出面101として
いた。さて、LaB6 フィラメント100を比較的小さ
な電流値で発熱させるためには、同フィラメント100
が大きな抵抗値を有している必要がある。そのため、L
aB6 フィラメント100の設計に際しては、できるだ
け全長を長くするとともに、断面積は可能な限り小さく
することが好ましい。また、電子放出面101から放出
される熱電子量は、電子放出面101の面積に比例する
ため、熱電子放出量を増大するためには、電子放出面1
01の面積をなるべく大きく確保する必要がある。
【0007】上述したごとく単純な矩形状の端面で電子
放出面101を形成した従来のLaB6 フィラメントに
おいて、該電子放出面101の面積を大きく確保するに
は、電子放出面101を長手方向に延長するか、あるい
は幅方向に拡張しなければならない。しかしながら、電
子放出面101を長手方向に延長するとしても、同フィ
ラメント100を装着する機器(例えば、X線発生器)
の寸法形状によりその延長長さは制約を受ける。一方、
幅方向に拡張した場合は、LaB6 フィラメント100
の断面積が大きくなり、発熱させるのに大電流を流す必
要が生じてしまう。この発明は、上述した事情に鑑みて
なされたもので、簡易な構造で熱電子放出量の増大を図
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、熱電子を放出する電子放出領域に所定の
電子放出面を形成してなる熱電子放出フィラメントであ
って、電子放出面を帯状に形成するとともに、同面内の
軸線を同一平面上で所要の形状(例えば、環状)に湾曲
または屈曲させたことを特徴としている。このように電
子放出面を湾曲または屈曲形成することで、一定の範囲
内で電子放出面の長さを任意に延ばすことができ、断面
積を広げることなくしかもコンパクトな形態のまま電子
放出面の面積を広げ、熱電子放出量を増大させることが
できる。
【0009】この発明は、電子放出領域を所要の形状
(例えば、環状)に湾曲または屈曲して形成するととも
に、同領域に形成する電子放出面を、面内の軸線が同一
平面上におかれた複数の帯状面で構成することもでき
る。このような構成によっても、一定の範囲内で電子放
出面の長さを任意に延ばすことができ、断面積を広げる
ことなくしかもコンパクトな形態のまま電子放出面の面
積を広げ、熱電子放出量を増大させることができる。
【0010】上述した構成の熱電子放出フィラメント
は、全体をLaB6 (六硼化ランタン)材料で形成して
もよいが、同材料は一般に高価である。そこで、少なく
とも電子放出面を含む電子放出領域のみを、LaB6
(六硼化ランタン)材料で形成することにより、製品コ
ストの低価格化を図ってもよい。例えば、LaB6 材料
以外の耐熱性材料によりフィラメント本体を形成すると
ともに、該フィラメント本体の一部領域に、LaB6
料をもって電子放出面を含む電子放出領域を形成する。
このように少なくとも電子放出領域がLaB6 材料で形
成されていれば、同材料部分の発熱または加熱によって
熱電子が放出される。
【0011】また、この発明の熱電子放出フィラメント
を、電子放出面の前方に負の電場が形成され、同面から
放出した熱電子を該電場により収束する形態で使用する
場合は、電子放出面を、同面内の軸線を通る仮想平面に
対して熱電子が収束する側へ任意の角度傾斜させること
により、熱電子を収束し易くすることができる。
【0012】さて、この発明の熱電子放出フィラメント
を、通電により電子放出領域が発熱する直熱式の構成と
した場合、電子放出面から均一に熱電子を放出するため
には、同領域を均一な温度に発熱させる必要がある。し
かしながら、この発明は電子放出領域を長尺に形成する
構成のため、周囲の環境変化などに影響を受けて電子放
出領域の温度が不安定となりやすい。そこで、電極とな
る両端部から延出した任意の領域に補熱領域を形成する
とともに、該補熱領域から連続する中央領域を電子放出
領域とし、かつ補熱領域を電子放出領域の周囲に形成す
ることにより、補熱領域からの放射熱によって電子放出
領域の冷却を抑制することができ、同領域の温度均一化
を図ることが可能となる。
【0013】また、この発明は、上述した直熱式の構成
以外にも、熱電子放出フィラメントにおける電子放出領
域の周囲に、同領域をほぼ均一に加熱する加熱手段を配
設した熱電子放出装置として構成することにより、電子
放出領域を均一な温度に加熱して、電子放出面から均一
に熱電子を放出させることもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。図1〜図3は、こ
の発明の第1実施形態に係る熱電子放出フィラメントを
説明するための図で、図1は同フィラメントの電子放出
領域の形状を示す正面図、図2は図1のA−A線断面
図、図3は同フィラメントをX線発生装置に適用した例
を示す断面構成図である。
【0015】本実施形態の熱電子放出フィラメントは、
LaB6 材料によりフィラメント本体1を形成してあ
る。このフィラメント本体1は、例えば、LaB6 材料
のインゴットを所定の厚さにスライスした後、ワイヤカ
ット放電加工機などの精密加工装置を用い所要の形状に
切り抜いて成形される。本実施形態では、フィラメント
本体1を任意幅の長尺な帯状に形成するとともに、同本
体の両端部(図示せず)に電極を形成してある。LaB
6 材料からなるフィラメント本体1は、該電極の間を通
電することにより発熱する。
【0016】前述したように、フィラメント本体1を比
較的小さな電流値で発熱させるためには、フィラメント
本体1が大きな抵抗値を有している必要がある。そのた
め、フィラメント本体1は、できるだけ全長を長くする
とともに、断面積は可能な限り小さくすることが好まし
い。そこで、フィラメント本体1の厚さは、使用に耐え
得る強度の保持を条件に、なるべく薄肉とすることが好
ましい。通電によりフィラメント本体1の発熱量は、両
端部から等しい距離にある中央領域がもっとも大きく、
該中央領域の温度がいちばん高くなる。この中央領域を
電子放出領域2として設定してあり、同領域2の正面に
電子放出面3を形成してある。
【0017】電子放出面3は、図1に破線のハッチング
で示すように、長尺な帯状に形成され、しかも環状に湾
曲して形成してある。発熱により、電子放出面3からは
熱電子が放出されるが、その熱電子の放出量は電子放出
面3の面積に比例する。上記のとおり電子放出面3を長
尺な帯状とした結果、同面3の面積が拡大し充分な熱電
子放出量を得ることが可能となる。一方、電子放出面3
の幅は広げていないので断面積は拡大せず、したがって
大きな抵抗値を確保することができる。さらに、電子放
出面3は環状に湾曲形成することにより、コンパクトな
形状を実現できる。なお、電子放出面3の内側には、中
空部4が形成される。この中空部4は、後述するように
X線発生装置内に発生したイオンの透過路を形成する。
【0018】さて、本実施形態の熱電子放出フィラメン
トをX線発生装置に利用する場合は、図3に示すよう
に、ターゲット(対陰極)10と対向するように電子放
出面3を配置するとともに、同面3の前方周囲にウェネ
ルト11と称する電子収束器を配設する。ターゲット1
0は、銅(Cu),モリブデン(Mo),タングステン
(W)等の材料で形成してあり、熱電子の衝突によりX
線を発生する。ウェネルト11には負の電圧が印加さ
れ、電子放出面3の前方に周囲から中心へ向かう負の電
場を形成する。
【0019】熱電子放出フィラメントの両端部に形成し
た電極(図示せず)の間に電圧を印加して通電すると、
フィラメント本体1が発熱し、特に中央領域に形成した
電子放出領域2が高温となり、該領域2にある環状の電
子放出面3から熱電子aが放出される。電子放出面3か
ら放出された熱電子aは、ウェネルト11によって形成
された電場の作用をもって中心部に収束され、ターゲッ
ト10の所定箇所に焦点を形成する。このようにして熱
電子aがターゲット10に照射されると、熱電子aの焦
点b部分からX線cが発生する。
【0020】ここで、X線発生装置の内部は、真空雰囲
気を形成しているものの、僅かではあるが装置内にガス
分子が残留することは避けられない。そして、電子密度
の高い熱電子aの収束部分では、残留ガス分子がイオン
化し、特に質量の大きな陽イオンは熱電子aの収束軌道
に沿って直進する。この陽イオンの直進軌道(図3の矢
印d)上にフィラメント本体1が存在すると、同本体1
がイオン衝撃を受けて蒸発し、寿命が短くなるととも
に、蒸発したLaB6 材料が熱電子aの流れに沿って運
ばれ、ターゲット10に付着する現象(これをコンタミ
ネーションという)が発生する。コンタミネーションが
発生すると、ターゲット10の表面に形成されたLaB
6 材料の層に熱電子aが衝突することとなり、その結
果、ターゲット10から発生するX線cの強度が変化し
てしまうという問題が生じる。
【0021】本実施形態の熱電子放出フィラメントは、
既述したように電子放出面3の内側に中空部4が形成し
てあり、イオンの発生場所と考えられる熱電子aの収束
部分は該中空部4に対向している。したがって、発生し
た陽イオンはこの中空部4を貫通してフィラメント本体
1の後方に抜けるため、同本体1への衝突が回避され
る。このように、本実施形態の熱電子放出フィラメント
は、コンタミネーションによる問題を回避できる形状と
なっている。
【0022】図4〜図6は、この発明の第2実施形態に
係る熱電子放出フィラメントを説明するための図で、図
4は同フィラメントの電子放出領域の形状を示す正面
図、図5は図4のB−B線断面図、図6は同フィラメン
トをX線発生装置に適用した例を示す断面構成図であ
る。本実施形態では、先に説明した第1実施形態の熱電
子放出フィラメントにおける電子放出領域2の一部正
面、具体的には上部面および下部面を帯状の電子放出面
3としてある。これらの電子放出面3は、図5に示すよ
うに、同面内の軸線xを通る仮想平面yに対し、任意の
角度θだけ内側(中空部4側)に傾斜させてある。
【0023】本実施形態の熱電子放出フィラメントはX
線発生装置に適用される。すなわち、図6に示すよう
に、ターゲット(対陰極)10と対向するように電子放
出面3が配置され、かつ同面3の前方周囲にウェネルト
11と称する電子収束器が配設される。ウェネルト11
は、負の電圧印加により、電子放出面3の前方に周囲か
ら中心へ向かう負の電場を形成する。熱電子放出フィラ
メントの両端部に形成した電極(図示せず)の間に電圧
を印加して通電すると、フィラメント本体1が発熱し、
特に中央領域に形成した熱電子放出領域2が高温とな
り、該領域2にある電子放出面3から熱電子aが放出さ
れる。
【0024】電子放出面3から放出された熱電子aは、
ウェネルト11により形成された電場の作用をもって中
心部に収束され、ターゲット10の所定箇所に焦点bを
形成する。ここで、本実施形態では、電子放出面3を内
側、すなわちウェネルト11が熱電子aを収束する側へ
傾斜させてあるので、同面から放出した熱電子aが収束
しやすく、ターゲット10の表面における電子密度が向
上する。電子密度が向上すると、ターゲット10から発
生するX線cの強度が高まり、X線発生装置の出力性能
が向上する。
【0025】図7および図8は、この発明の第3実施形
態に係る熱電子放出フィラメントを説明するための図
で、図7は同フィラメントの電子放出領域の形状を示す
正面図、図8は図7のC−C線断面図である。この実施
形態では、先に説明した第1実施形態の熱電子放出フィ
ラメントにおける電子放出領域2の周囲に補熱領域5を
形成してある。
【0026】本実施形態の熱電子放出フィラメントも、
第1実施形態と同様に、LaB6 材料によりフィラメン
ト本体1を形成してある。このフィラメント本体1は、
例えば、LaB6 材料のインゴットを所定の厚さにスラ
イスした後、ワイヤカット放電加工機などの精密加工装
置を用い所要の形状に切り抜いて成形される。本実施形
態では、フィラメント本体1を任意幅の長尺な帯状に形
成するとともに、同本体1の両端部1a,1bに電極を
形成してある。そして、これら両端部1a,1bから連
続して補熱領域5を形成し、さらにこの補熱領域5から
連続して電子放出領域2が形成してある。
【0027】電子放出領域2は、両端部1a,1bから
等しい距離にある中央領域に形成してある。また、電子
放出領域2の正面には、図7に破線のハッチングで示す
ように電子放出面3が形成してある。これら電子放出領
域2および電子放出面3の形状は、第1実施形態と同様
である。補熱領域5は、電子放出領域2の周囲を取り囲
むようにして形成してある。
【0028】既述したように、両端部1a,1bに形成
した電極の間を通電することにより、フィラメント本体
1は発熱する。発熱温度がもっとも高いのは中央領域に
形成した電子放出領域2であるが、補熱領域5も通電に
より発熱する。この補熱領域5に生じた熱は、電子放出
領域2の冷却を妨げる効果がある。すなわち、周囲に存
在する低温の空気が直接電子放出領域2に接触すると、
同領域2が冷却されて熱電子の放出量が低下するばかり
か、周囲の環境変化により同領域の温度が不安定となり
やすい。電子放出領域2の温度が不安定であると、電子
放出面3から安定して熱電子を放出することができなく
なる。この実施形態では、補熱領域5からの放射熱によ
り電子放出領域2の冷却を防止し、均一な熱電子の放出
を確保している。
【0029】図9および図10は、この発明の第4実施
形態に係る熱電子放出フィラメントを説明するための図
で、図9は同フィラメントの電子放出領域の形状を示す
正面図、図10は図9のD−D線断面図である。先に説
明した各実施形態では、フィラメント本体1の全体をL
aB6 材料で構成したが、同材料は一般に高価である。
一方、熱電子を放出する必要のある領域は、フィラメン
ト本体1の中央部に形成した電子放出領域2のみであ
り、該領域のみをLaB6 材料で形成すれば目的は達成
される。
【0030】このような観点から、本実施形態ではフィ
ラメント本体1をカーボン等の耐熱性のある発熱材料で
形成し、その中央領域の正面にLaB6 材料からなる薄
板6を貼着して電子放出領域を形成した。薄板6からな
る電子放出領域の正面は電子放出面3となっている。こ
の電子放出面3の形状は先に示した各実施形態と同様で
ある。
【0031】フィラメント本体1の両端部に形成した電
極の間を通電すると、同本体の中央領域がもっとも高温
に発熱する。この熱がLaB6 材料からなる薄板に伝わ
り、電子放出領域(薄板6)が加熱される結果、電子放
出面3から熱電子が放出される。また、本実施形態の構
成によれば、電子放出領域(薄板6)以外の領域が発熱
しても、同領域はLaB6 材料で形成されていないため
熱電子を放出することがなく、したがって熱電子放出フ
ィラメントの周囲に熱電子の防護対策を施す必要がなく
なり、周辺構造を簡素化することが可能となる。
【0032】図11〜図13は、この発明の第5実施形
態に係る熱電子放出装置を説明するための図で、図11
は同装置の正面図、図12は図11のE−E線断面図、
図13は図11のF−F線断面図である。上述した各実
施形態では、フィラメント本体1を通電することにより
発熱させる構造を採用したが、本実施形態では電子放出
領域2の周囲に加熱部材20を設け、同部材20で発生
した熱により電子放出領域2を加熱する構成となってい
る。
【0033】すなわち、熱電子放出フィラメントにおけ
る電子放出領域2の背面および外周面を囲むように加熱
部材20を配設してある。加熱部材20はカーボン等の
発熱体で構成してあり、両端縁20a,20bに電極が
形成してある。熱電子放出フィラメントは、LaB6
料で形成してあり、電子放出領域2および電子放出面3
は、先に説明した第1実施形態と同様に帯状の湾曲形状
となっている。通電により加熱部材20が発熱すると、
その熱が熱電子放出フィラメントの電子放出領域2に伝
わり、同領域2が均一に加熱される。その結果、電子放
出面3から熱電子が放出される。
【0034】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れるものではない。例えば、電子放出面は図1等に示し
た形状に限定されるものではなく、同面から放出される
熱電子が収束して形成する焦点形状や、熱電子放出フィ
ラメントの設置スペース等を考慮して、任意に湾曲また
は屈曲形成すればよい。一例として、電子放出面の全体
を等しい曲率で湾曲させて円環状に形成するとともに、
同面から放出された熱電子を中心線に向かって収束する
ことにより、点形状の焦点(ファインフォーカス)を得
ることができる。また、第二実施形態では、電子放出領
域2の一部正面、具体的には上部面および下部面のみを
電子放出面3とし、同面3を内側(中空部側)に傾斜さ
せたが、図1に示した環状の電子放出面3の全てを内側
に傾斜させることもできる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
電子放出面を帯状に形成するとともに、同面内の軸線を
同一平面上で所要の形状に湾曲または屈曲さるか、また
は電子放出領域を所要の形状に湾曲または屈曲して形成
するとともに、電子放出面を面内の軸線が同一平面上に
おかれた複数の帯状面で形成することにより、簡易な構
造で熱電子放出量の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る熱電子放出フィ
ラメントにおける電子放出領域の形状を示す正面図であ
る。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】同フィラメントをX線発生装置に適用した例を
示す断面構成図である。
【図4】この発明の第2実施形態に係る熱電子放出フィ
ラメントにおける電子放出領域の形状を示す正面図であ
る。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【図6】同フィラメントをX線発生装置に適用した例を
示す断面構成図である。
【図7】この発明の第3実施形態に係る熱電子放出フィ
ラメントにおける電子放出領域の形状を示す正面図であ
る。
【図8】図7のC−C線断面図である。
【図9】この発明の第4実施形態に係る熱電子放出フィ
ラメントにおける電子放出領域の形状を示す正面図であ
る。
【図10】図9のD−D線断面図である。
【図11】この発明の第5実施形態に係る熱電子放出装
置を示す正面図である。
【図12】図11のE−E線断面図である。
【図13】図11のF−F線断面図である。
【図14】従来のLaB6フィラメントの構成を示す斜
視図である。
【図15】従来のLaB6フィラメントをX線発生装置
に利用したときの構成図である。
【符号の説明】
1:フィラメント本体 2:電子放出領域 3:電子放出面 4:中空部 5:補熱領域 6:薄板 10:ターゲット 11:ウェネルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01J 35/06 H01J 35/06 C

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱電子を放出する電子放出領域に所定の
    電子放出面を形成してなる熱電子放出フィラメントであ
    って、 前記電子放出面を帯状に形成するとともに、同面内の軸
    線を同一平面上で所要の形状に湾曲または屈曲させたこ
    とを特徴とする熱電子放出フィラメント。
  2. 【請求項2】 熱電子を放出する電子放出領域に所定の
    電子放出面を形成してなる熱電子放出フィラメントであ
    って、 前記電子放出領域を所要の形状に湾曲または屈曲して形
    成するとともに、前記電子放出面を、面内の軸線が同一
    平面上におかれた複数の帯状面で形成したことを特徴と
    する熱電子放出フィラメント。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の熱電子放出フィ
    ラメントにおいて、 少なくとも前記電子放出面を含む電子放出領域を、La
    6材料で形成したことを特徴とする熱電子放出フィラ
    メント。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の熱電子放出フィラメント
    において、 LaB6材料以外の耐熱性材料によりフィラメント本体
    を形成するとともに、該フィラメント本体の一部領域
    に、LaB6材料をもって前記電子放出面を含む電子放
    出領域を形成したことを特徴とする熱電子放出フィラメ
    ント。
  5. 【請求項5】 前記電子放出面の前方に負の電場が形成
    され、同面から放出した熱電子を前記電場により収束す
    る使用形態の請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱
    電子放出フィラメントにおいて、 前記電子放出面を、同面内の軸線を通る仮想平面に対し
    て熱電子が収束する側へ任意の角度傾斜させたことを特
    徴とする熱電子放出フィラメント。
  6. 【請求項6】 通電により前記電子放出領域を発熱させ
    る請求項1乃至5のいずれか一項に記載の熱電子放出フ
    ィラメントにおいて、 両端部に電極を形成し、該両端部から延出した任意の領
    域に補熱領域を形成するとともに、該補熱領域から連続
    する中央領域を前記電子放出領域とし、 かつ前記補熱領域を前記電子放出領域の周囲に形成した
    ことを特徴とする熱電子放出フィラメント。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の
    熱電子放出フィラメントにおける前記電子放出領域の周
    囲に、同領域をほぼ均一に加熱する加熱手段を配設した
    ことを特徴とする熱電子放出装置。
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