JP3608014B2 - 正孔輸送材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた輸送機能、高い機械的・熱的耐久性、可視発光機能を兼ね備えた有機正孔輸送材料の製造方法に関する。本発明により得られる有機正孔輸送材料は、電子写真感光体、電界発光素子、薄膜トランジスタなどの用途に特に有用である。
【0002】
【従来技術とその課題】
ポリシラン、ポリゲルマンおよびシランゲルマンコポリマー(以下、特に必要でない限り、ポリシランにより代表させる)は、溶媒に可溶で大面積薄膜が容易に作製でき、かつ高正孔移動度などの優れた光・電子機能を兼ね備えた材料として近年注目を集めている。特にこのような特性を活かした用途として、電子写真感光体、有機電界発光素子、薄膜トランジスタなどへの応用が検討されている。
【0003】
しかしながら、ポリシランを実際に素子として使用する際に、その機械的あるいは熱的耐久性が低いことが実用上の障害の一つとなっていた。
【0004】
また、ポリシランは、高い発光効率を示すため、発光材料としての応用も期待されているが、その発光波長が紫外光領域にあり、実用上最も有用な可視発光が得られないという問題がある。
【0005】
これらの問題を解決する可能性のある手法として、主鎖骨格に分岐構造を導入することが考えられる。すなわち、分岐構造とすることにより、分子鎖同士の絡み合いが増加し、機械的な強度、熱的な耐性の向上が期待できる(特開平5−230217号公報、5−230218号公報、5−247218号公報など参照)。また、分岐により、発光波長が長波長化し、ブロードな可視発光が得られることが報告されている(Macromolecules vol.26, p.2111,1993、産業科学技術研究開発 第2回ケイ素系高分子材料シンポジウム予稿集 p.207,1994 など)。
【0006】
しかしながら、従来、ポリシランの主鎖骨格に分岐構造を導入すると正孔輸送機能が著しく損なわれるという問題があった(産業科学技術研究開発 第2回ケイ素系高分子材料シンポジウム予稿集 p.207,1994)。すなわち、主鎖分岐構造を有するポリシランを、良好な正孔輸送機能を必要とする電子写真感光体や有機電界発光素子へ応用するのは、困難であるというのが実情であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、高い機械的・熱的耐久性、あるいは/および可視域での発光機能を有しており、かつ良好な正孔輸送機能を兼ね備えたポリシランなどの正孔輸送材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の如き従来技術の現状に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、主鎖骨格が分岐構造を有するポリシランなどであって、あらかじめトリハロシランまたはトリハロゲルマンのみを重合させ、続いてジハロシランまたはジハロゲルマンを添加し、更に重合を行わせる手順に従って製造することにより得られたポリシランなどにおいては、従来技術の問題点が実質的に解消されるか或いは大幅に軽減されることを見出した。
【0009】
さらに、本発明者は、上記方法で製造したポリシランなどの中でも、分岐の節となるSiまたはGe原子の置換基として低級アルキル基を採用することにより、その特性が、より顕著となることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記のポリシランなどの製造方法を提供するものである;
1.一般式
(RA)(RA) (1)
(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、アリ−ル基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基を表す。3つのRは、全て同一でも或いは2つ以上が異なっていても良い。nは2以上の整数であり、mは1以上の整数であり、nとmの和は10〜10000程度である。AはSiまたはGeを示す。AはすべてSiにより構成されていても良く、或いはすべてGeにより構成されていても良く、或いは任意の割合のSiとGeから構成されていても良い。)
で示される、Si−Si結合、Ge−Ge結合またはSi−Ge結合を骨格とし、該骨格が分岐構造を有する高分子正孔輸送材料を製造する方法であって、あらかじめ
一般式
RAX (2)
(式中、RおよびAは、上記に同じ。;Xはハロゲン原子を表す)
で示されるトリハロシランおよびトリハロゲルマンの少なくとも1種を特定の金属を陽極に用いる電極反応に供することにより、末端にハロゲンを有するネットワークポリマー(a)を形成させ、続いて
一般式
AX (3)
(式中、RおよびAは、上記に同じ。;Xはハロゲン原子を表す)
で示されるジハロシランおよびジハロゲルマンの少なくとも1種を前記ネットワークポリマー(a)を含む反応系に添加して、更に特定の金属を陽極に用いる電極反応に供することにより、Si−Si結合、Ge−Ge結合またはSi−Ge結合を骨格とし、該骨格が分岐構造を有する高分子正孔輸送材料を製造する方法。
【0011】
2.一般式
(RA)(R’A) (4)
(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、アリ−ル基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基を表す。R’は炭素数1〜4のアルキル基を表す。2つのRは同一でも或いは異なっていても良い。nは2以上の整数であり、mは1以上の整数であり、nとmの和は10〜10000程度である。AはSiまたはGeを示す。AはすべてSiにより構成されていても良く、或いはすべてGeにより構成されていても良く、或いは任意の割合のSiとGeから構成されていても良い。)
で示される、Si−Si結合、Ge−Ge結合またはSi−Ge結合を骨格とし、該骨格が分岐構造を有する高分子正孔輸送材料を製造する方法であって、あらかじめ
一般式
R’AX (5)
(式中、R’およびAは、上記に同じ。;Xはハロゲン原子を表す)
で示されるトリハロシランおよびトリハロゲルマンの少なくとも1種を特定の金属を陽極に用いる電極反応に供することにより、末端にハロゲンを有するネットワークポリマー(b)を形成させ、続いて
一般式
AX (3)
(式中、RおよびAは、上記に同じ。;Xはハロゲン原子を表す)
で示されるジハロシランおよびジハロゲルマンの少なくとも1種を前記ネットワークポリマー(b)を含む反応系に添加して、更に特定の金属を陽極に用いる電極反応に供することにより、Si−Si結合、Ge−Ge結合またはSi−Ge結合を骨格とし、該骨格が分岐構造を有する高分子正孔輸送材料を製造する方法。
【0012】
【発明の実施の態様】
以下においては、上記項1および2の発明をそれぞれ本願第1発明および本願第2発明といい、これらを総括する場合には、単に本発明という。
【0013】
本願第1発明の一般式(1)で示されるポリマーにおいて、置換基Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、アリ−ル基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基を表す。3つのRは、全て同一でも或いは2つ以上が異なっていても良い。nは2以上の整数であり、mは1以上の整数であり、nとmの和は10〜10000程度である。AはSiまたはGeを示す。AはすべてSiにより構成されていても良く、或いはすべてGeにより構成されていても良く、或いは任意の割合のSiとGeから構成されていても良い。
【0014】
上記の置換基Rとしては、水素原子、メチル、ブチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基、フェニルなどのアリ−ル基、メトキシなどのアルコキシ基などがより好ましい。
【0015】
また、nとmの和は30〜7000程度であることがより好ましい。nとmの比率については、
0.003<m/(n+m)<0.3
程度であることがより好ましい。
【0016】
本願第1発明において原料として使用する、一般式(2)および(3)で示される化合物において、Xは、ハロゲン原子(Cl、F、Br、I)を表す。ハロゲン原子としては、Clがより好ましい。
【0017】
本願第2発明における一般式(4)で示されるポリマーにおいて、R’は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R’は、メチル、エチル、プロピル、ブチル基を表す。R’としてはメチル基がより好ましい。
【0018】
本願第2発明の一般式(4)で示されるポリマーにおいて、置換基Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、アリ−ル基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基を表す。2つのRは、同一でも或いは異なっていても良い。nは2以上の整数であり、mは1以上の整数であり、nとmの和は10〜10000程度である。AはSiまたはGeを示す。AはすべてSiにより構成されていても良く、或いはすべてGeにより構成されていても良く、或いは任意の割合のSiとGeから構成されていても良い。
【0019】
上記の置換基Rとしては、水素原子、メチル、ブチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基、フェニルなどのアリ−ル基、メトキシなどのアルコキシ基などがより好ましい。
【0020】
また、一般式(4)で示されるポリマーにおいても、nとmの和は30〜7000程度であることがより好ましく、nとmの比率についても、
0.003<m/(n+m)<0.3
程度であることがより好ましい。
【0021】
本発明において、一般式(2)、(3)、(5)で示されるハロシラン/ハロゲルマンはできるだけ高純度であることが好ましく、例えば、使用に先立て蒸留や再結晶法などにより精製しておくことが好ましい。
【0022】
電極反応に際しては、ハロシラン/ハロゲルマンを溶媒に溶解して使用する。溶媒としては、非プロトン性の溶媒が広く使用でき、具体的にはプロピレンカーボネート、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチレンスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンなどが例示される。これらの溶媒は、単独でもあるいは2種以上の混合物としても使用できる。これらの中では、1,2−ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランがより好ましい。溶媒中のジハロシランの濃度は、低すぎる場合には、電流効率が低下するのに対し、高すぎる場合には、支持電解質が溶解しないことがある。従って、溶媒中のジハロシランの濃度は、通常0.01〜3mol/l程度であり、より好ましくは0.05〜1.5mol/l程度である。
【0023】
本発明の電極反応に使用する支持電解質としては、塩化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウムなどの安価なリチウム塩の他に、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウムなどの過塩素酸アルカリ金属塩;過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウムなどの過塩素酸テトラアルキルアンモニウム等が例示される。これらの支持電解質は、単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用しても良い。これらの支持電解質の中でも、塩化リチウムおよび過塩素酸リチウムが最も好ましい。
【0024】
支持電解質の濃度は、低すぎる場合には、通電が困難乃至は不可能となって反応が進行しないのに対し、高すぎる場合には、電流が流れすぎて反応に必要な電位が確保できなかったり、支持電解質の金属イオンが陰極で還元されて多量に生成し、それが形成されたポリシランのSi−Si結合を開裂して分子量が低下するなどの問題が生じる。したがって、溶媒中の支持電解質の濃度は、通常0.05〜5mol/l程度であり、より好ましくは、0.1〜3mol/l程度であり、特に好ましくは、0.15〜2.0mol/l程度である。
【0025】
本発明の電極反応においては、電極反応をより効率的に行うために、支持電解質に加えて通電助剤を併用することにより、通電性の向上を図っても良い。通電助剤としては、AlCl、Al(OEt)などのAl塩;FeCl、FeClなどのFe塩;MgClなどのMg塩;ZnClなどのZn塩;SnClなどのSn塩;CoClなどのCo塩;PdClなどのPd塩;VClなどのV塩;CuClなどのCu塩;CaClなどのCa塩などが好ましいものとして例示される。これらの通電助剤は、単独で使用しても良く、あるいは2種以上を併用しても良い。これら通電助剤の中でも、AlCl、FeCl、FeCl、CoCl、CuClなどがより好ましい。溶媒中の通電助剤の濃度は、低すぎる場合には、通電性の向上が充分に達成されず、一方、高すぎる場合には、通電助剤が還元されて、反応に関与しなくなる。従って、溶媒中の通電助剤の濃度は、通常、0.01〜6mol/l程度であり、より好ましくは0.03〜4mol/l程度であり、特に好ましくは0.05〜3mol/l程度である。
【0026】
本発明の電極反応においては、陽極として、MgまたはMgを主成分とする合金を使用する。Mgを主成分とする合金としては、例えば、Alを3〜10%程度含有するものが挙げられる。また、JIS H 6125−1961に規定されている1種(MGA1)、2種(MGA2、通称AZ63)、3種(MGA3)などが挙げられる。陰極としては、電流を通じうる物質であれば特に限定されないが、SUS304、316などのステンレス鋼;Mg、Cu、Zn、Sn、Al、Ni、Coなどの各種金属;炭素材料などが例示される。
【0027】
陰陽極ともにMgあるいはMgを主成分とする合金を用いる場合には、陰陽極の極性を一定時間間隔毎に切り換えても良い。これによって、陰極上に付着した金属塩などを除去できる。切替の間隔は、1秒乃至10分程度の範囲で行うことが好ましい。
【0028】
電極の形状は、通電を安定して行いうる限り特に限定されないが、棒状、板状、筒状、円錐状、円盤状、球状、あるいはそれらをバスケットに収容したもの、板状体をコイル状に巻いたものなどが好ましい。電極表面の酸化皮膜は、必要ならば、予め除去しておく。電極からの酸化皮膜の除去は任意の方法で行えば良く、例えば、電極を酸により洗浄した後、エタノールおよびエーテルなどにより洗浄し、減圧下に乾燥する方法、窒素雰囲気下に電極を研磨する方法、或いはこれらの方法を組み合わせた方法などにより行うことができる。
【0029】
本発明の電極反応は、例えば以下のような方法などにより行うことができる。
【0030】
(a)陽極および陰極を設置した密閉可能な反応容器に一般式(2)で示されるトリハロシラン/トリハロゲルマンおよび支持電解質、必要に応じて通電助剤を、溶媒とともに収容し、好ましくは機械的もしくは磁気的に攪拌しつつ、所定量の電流を通電し電極反応を行わせることにより、末端にハロゲンを有する有するネットワークポリマーを形成させ、続いて、本願第1発明においては一般式(3)で、本願第2発明においては一般式(5)で示されるジハロシラン/ジハロゲルマンを上記反応系に添加して、好ましくは機械的もしくは磁気的に攪拌しつつ、更に所定量の電流を通電し電極反応を行わせることにより、目的生成物を得る方法。
【0031】
(b)陽極および陰極を設置した電解槽、反応液貯槽、ポンプ、配管などから構成される流動式電極反応装置を用いて、反応液貯槽に一般式(2)で示されるトリハロシラン/トリハロゲルマン、支持電解質、溶媒、必要に応じて通電助剤を投入し、それらから構成される反応溶液をポンプにより電極反応装置内を循環させつつ、所定量の電流を通電し電解槽内で電極反応を行わせることにより、末端にハロゲンを有する有するネットワークポリマーを形成させ、続いて、本願第1発明においては一般式(3)で、本願第2発明においては一般式(5)で示されるジハロシラン/ジハロゲルマンを上記反応系に添加して、反応溶液をポンプにより電極反応装置内を循環させつつ、更に所定量の電流を通電し電解槽内で電極反応を行わせる方法。
【0032】
電極反応時の反応容器或いは反応装置内は、乾燥雰囲気であればよいが、乾燥した窒素または不活性ガス雰囲気であることがより好ましく、さらに脱酸素し、乾燥した窒素雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気であることが特に好ましい。
【0033】
通電量は、あらかじめトリハロシラン/トリハロゲルマンよりネットワークポリマーを形成させる過程、続いてジハロシラン/ジハロゲルマンを投入し主鎖骨格が分岐を有するポリマーを形成させる過程のそれぞれにおいて、反応に使用するハロシラン/ハロゲルマン中のハロゲンの総量を基準として、1F/mol程度以上であれば良い。また、それぞれの過程において通電量を調整することにより、一般式(1)および(4)中の直鎖部、分岐部のそれぞれの重合度n、mおよび分子量の制御が可能となる。
【0034】
反応時間は、原料の量、支持電解質や通電助剤の量などに関係する反応溶液の抵抗などにより異なりうるので、適宜定めればよい。反応時の温度は、通常−20℃から使用する溶媒の沸点までの温度範囲にあり、より好ましくは−5〜30℃程度の範囲内にあり、もっとも好ましくは、0〜25℃程度の範囲内にある。本発明の電極反応において、通常の電極還元反応においては必須とされている隔膜は、使用しても良いが、必須ではないので、操作が簡便となり、実用上有利である。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、下記のような顕著な効果が達成される。
【0036】
すなわち、主鎖骨格が分岐構造を有するポリシランなどにおいて、
(a)あらかじめトリハロシランまたは/およびトリハロゲルマンのみを重合させ、後にジハロシランまたは/およびジハロゲルマンを添加し、更に重合を行わせる手順に従って製造することにより得られるもの(本発明によるもの)と、(b)トリハロシランまたは/およびトリハロゲルマンと、ジハロシランまたは/およびジハロゲルマンとを同時に重合し得られるもの(従来のもの)或いは、(c)あらかじめジハロシランまたは/およびジハロゲルマンのみを重合させ、後にトリハロシランまたは/およびトリハロゲルマンを添加し、更に重合させて得られるもの(従来のもの)とは、分岐の空間的な配列が異なる高分子構造体が得られるものと推定される。
その結果、本発明によるポリシランなどは、機械的・熱的耐久性が改善され、可視発光機能を有しており、かつ良好な正孔輸送機能を兼ね備えるという特異な性質を発揮することができる。
【0037】
さらに本発明によれば、上記方法で製造したポリシランなどの中でも、分岐の節となるSiまたはGe原子の置換基として低級アルキル基を採用することにより、その特長がより顕著となる。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の特徴とするところを一層明確にする。
【0039】
実施例1
陽極としてMgを、陰極としてSUS304を装着したフラスコ(以下反応器という)中に、溶媒としてテトラヒドロフラン60ml、支持電解質として塩化リチウム1.6gとFeCl0.56gを投入した。そこへ、原料としてまずメチルトリクロロシラン4mmolを投入し、このメチルトリクロロシランを基準として2F/molの電気量となるよう通電し、電極還元重合させた後、メチルフェニルジクロロシラン40mmolを追加投入し、このメチルフェニルジクロロシランを基準として3F/molの電気量となるよう更に通電し、重合を行った。
【0040】
反応終了後、反応溶液に1N塩酸30mlを加え、さらに蒸留水120mlを加えて、エーテル150mlで抽出し、貧溶媒エタノール400ml、良溶媒テトラヒドロフラン20mlを用いて再沈した。
【0041】
その結果、重量平均分子量20400のメチルフェニルシラン−メチルシラン−コポリマーを得た。
【0042】
得られたポリシランの正孔移動度を測定するため、このポリシランのトルエン25重量%溶液をアルミニウムを蒸着したガラス基板上にスピンコートし、乾燥させることにより、厚さ5.0μmの薄膜を得た。さらにこの薄膜上に直流スパッタ装置により上部電極として金半透明膜を成膜した。得られた試料について窒素パルスレーザ(波長337nm)直接励起によるTime of Flight測定を行ったところ、図1のような良好な伝導を示す非分散型の過渡電流波形が得られた。波形より求めた正孔移動度は、電界強度1.0×10V/cmに対して7.3×10−5cm/Vsであった。
【0043】
また、このポリシランの薄膜の機械的強度を測定するため、ピン・オン・ディスク型の摺動試験装置による摩擦摺動試験を行った。試料のトルエン溶液をアルミニウム板上にスピンコートし、乾燥させることにより、ポリシラン薄膜を得た。これを摺動試験装置のターンテーブルに固定し、摺動子としてジルコニア球を用いて押しつけ加重=1gおよび線速度=200mm/秒で回転させ、このポリシラン薄膜上に目視にて傷の発生が確認されるまでの時間をもって機械的強度1とし、以下の実施例および比較例の基準値とした。
【0044】
また、このポリシランの発光特性を調べるため、トルエンを溶媒とする10wt%溶液をガラス基板上にキャストし、乾燥させて得られた薄膜について、窒素レーザ励起によるフォトルミネッセンス分光測定を行った。その結果、直鎖状Si−Si結合部に基づく354nmの鋭いピークに加え、分岐部に起因する444nmのブロードな可視発光ピークが現れた。図2にフォトルミネッセンススペクトルを示す。
【0045】
実施例2
原料としてフェニルトリクロロシラン4mmolを反応器に投入し、このフェニルトリクロロシランを基準として2F/molの電気量となるよう通電し、電極還元重合を行った後、そこへメチルフェニルジクロロシラン40mmolを投入し、このメチルフェニルジクロロシランに対して3F/molの電気量となるよう更に通電を行い、電極還元重合を完結させた以外は実施例1と同様にして、メチルフェニルシラン−フェニルシラン−コポリマーの製造を行った。得られたポリシランの重量平均分子量は21000であった。
【0046】
このポリシランの正孔移動度を実施例1と同様にして測定したところ、電界強度1.0×10V/cmに対して4.0×10−5cm/Vsの値が得られた。
【0047】
このポリシラン薄膜の機械的強度を実施例1に記載の方法で測定したところ、実施例1の試料に対し、相対強度1.11であった。
【0048】
また、このポリシランのフォトルミネッセンス分光測定を実施例1と同様にして行ったところ、可視域のピークが観測された。このピークの強度は実施例1の可視発光ピークに対して1.1倍であった。
【0049】
実施例3
原料としてメチルトリクロロシラン2mmolおよびメチルトリクロロゲルマン2mmolを反応器に投入し、これらの合計4mmolに対して2F/molの電気量となるよう通電し、電極還元重合を行った後、そこへメチルフェニルジクロロシラン20mmolおよびメチルフェニルジクロロゲルマン20mmolを投入し、これらの合計40mmolに対して3F/molの電気量となるよう更に通電を行い、電極還元重合を完結させた以外は実施例1と同様にして、メチルフェニルシラン−メチルフェニルゲルマン−メチルシラン−メチルゲルマン−コポリマーの製造を行った。
【0050】
得られたシランゲルマンコポリマーについて、実施例1と同様にして正孔移動度、機械的強度および発光特性を調べたところ、実施例1のポリシランと同等の性能を示した。
【0051】
比較例1
原料としてメチルフェニルジクロロシラン40mmolのみを反応器中に投入し、このメチルフェニルジクロロシランを基準として3F/molを通電し、電極還元重合を完結した以外は実施例1と同様の方法によって、直鎖状ポリメチルフェニルシランを製造した。得られたポリシランの重量平均分子量は、20100であった。
【0052】
このポリシランの正孔移動度を実施例1と同様にして測定したところ、電界強度1.0×10V/cmに対して7.0×10−5cm/Vsの値が得られた。
【0053】
このポリシラン薄膜の機械的強度を実施例1に記載の方法で測定したところ、実施例1の試料に対し、相対強度0.35であった。
【0054】
また、このポリシランのフォトルミネッセンス分光測定を実施例1と同様にして行ったところ、直鎖状Si−Si結合部に基づく354nmの紫外域のピークのみが観測され、可視域からの発光はほとんど見られなかった。
【0055】
比較例2
原料としてメチルトリクロロシラン4mmolとメチルフェニルジクロロシラン40mmolとを反応器に同時に投入し、メチルフェニルジクロロシランを基準として3F/molの電気量となるよう通電し、電極還元重合させた以外は実施例1と同様にして、メチルフェニルシラン−メチルシラン−コポリマーの製造を行った。得られたポリシランの重量平均分子量は、22300であった。
【0056】
このポリシランについて、実施例1と同様にしてTime of Flight測定を行ったところ、過渡電流波形は、非分散型を示したものの、正孔移動度は電界強度1.0×10V/cmに対して2.3×10−5cm/Vsであり、実施例1の1/3以下であった。
【0057】
このポリシラン薄膜の機械的強度を実施例1に記載の方法で測定したところ、実施例1の試料に対し、相対強度1.05であった。
【0058】
また、このポリシランのフォトルミネッセンス分光測定を実施例1と同様にして行ったところ、可視域のピークが観測された。このピークの強度は実施例1の可視発光ピークに対して0.95倍であった。
【0059】
比較例3
原料としてメチルフェニルジクロロシラン40mmolを反応器に投入し、このメチルフェニルジクロロシランを基準として0.5F/molの電気量となるよう通電し、電極還元重合を行った後、そこへメチルトリクロロシラン4mmolを投入し、最初のメチルフェニルジクロロシランに対して2.5F/molの電気量となるよう更に通電を行い、電極還元重合を完結させた以外は実施例1と同様にしてメチルフェニルシラン−メチルシラン−コポリマーの製造を行った。得られたポリシランの重量平均分子量は、19500であった。
【0060】
このポリシランの正孔移動度を調べるため実施例1と同様にしてTime of Flight測定を行ったところ、過渡電流波形は分散型を示し、正孔輸送機能が著しく損なわれている結果が得られた。
【0061】
このポリシラン薄膜の機械的強度を実施例1に記載の方法で測定したところ、実施例1の試料に対し、相対強度1.08であった。
【0062】
比較例4
原料としてフェニルトリクロロシラン4mmolとメチルフェニルジクロロシラン40mmolとを反応器に同時に投入し、メチルフェニルジクロロシランを基準として、3F/molの電気量となるよう通電し、電極還元重合させた以外は実施例1と同様にしてメチルフェニルシラン−フェニルシラン−コポリマーの製造を行った。
【0063】
得られたポリシランの重量平均分子量は22000であった。
【0064】
この正孔移動度を調べるため実施例1と同様にしてTime of Flight測定を行ったところ、過渡電流波形は分散型を示し、正孔輸送機能が著しく損なわれている結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたメチルフェニルシラン−メチルシラン−コポリマーのTime of Flight過渡電流波形を示すグラフである。
【図2】実施例1で得られたメチルフェニルシラン−メチルシラン−コポリマーのフォトルミネッセンススペクトル図である。

Claims (2)

  1. 一般式
    (RA)(RA) (1)
    (式中、Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、アリ−ル基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基を表す。3つのRは、全て同一でも或いは2つ以上が異なっていても良い。nは2以上の整数であり、mは1以上の整数であり、nとmの和は10〜10000程度である。AはSiまたはGeを示す。AはすべてSiにより構成されていても良く、或いはすべてGeにより構成されていても良く、或いは任意の割合のSiとGeから構成されていても良い。)
    で示される、Si−Si結合、Ge−Ge結合またはSi−Ge結合を骨格とし、該骨格が分岐構造を有する高分子正孔輸送材料を製造する方法であって、あらかじめ
    一般式
    RAX (2)
    (式中、RおよびAは、上記に同じ。;Xはハロゲン原子を表す)
    で示されるトリハロシランおよびトリハロゲルマンの少なくとも1種を特定の金属を陽極に用いる電極反応に供することにより、末端にハロゲンを有するネットワークポリマー(a)を形成させ、続いて
    一般式
    AX (3)
    (式中、RおよびAは、上記に同じ。;Xはハロゲン原子を表す)
    で示されるジハロシランおよびジハロゲルマンの少なくとも1種を前記ネットワークポリマー(a)を含む反応系に添加して、更に特定の金属を陽極に用いる電極反応に供することにより、Si−Si結合、Ge−Ge結合またはSi−Ge結合を骨格とし、該骨格が分岐構造を有する高分子正孔輸送材料を製造する方法。
  2. 一般式
    (RA)(R’A) (4)
    (式中、Rは、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、アリ−ル基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基を表す。R’は炭素数1〜4のアルキル基を表す。2つのRは同一でも或いは異なっていても良い。nは2以上の整数であり、mは1以上の整数であり、nとmの和は10〜10000程度である。AはSiまたはGeを示す。AはすべてSiにより構成されていても良く、或いはすべてGeにより構成されていても良く、或いは任意の割合のSiとGeから構成されていても良い。)
    で示される、Si−Si結合、Ge−Ge結合またはSi−Ge結合を骨格とし、該骨格が分岐構造を有する高分子正孔輸送材料を製造する方法であって、あらかじめ
    一般式
    R’AX (5)
    (式中、R’およびAは、上記に同じ。;Xはハロゲン原子を表す)
    で示されるトリハロシランおよびトリハロゲルマンの少なくとも1種を特定の金属を陽極に用いる電極反応に供することにより、末端にハロゲンを有するネットワークポリマー(b)を形成させ、続いて
    一般式
    AX (3)
    (式中、RおよびAは、上記に同じ。;Xはハロゲン原子を表す)
    で示されるジハロシランおよびジハロゲルマンの少なくとも1種を前記ネットワークポリマー(b)を含む反応系に添加して、更に特定の金属を陽極に用いる電極反応に供することにより、Si−Si結合、Ge−Ge結合またはSi−Ge結合を骨格とし、該骨格が分岐構造を有する高分子正孔輸送材料を製造する方法。
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