JP3607122B2 - 多周波数帯共用アンテナ装置 - Google Patents

多周波数帯共用アンテナ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1枚以上の反射鏡面を用いて構成される多周波数帯共用アンテナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、周波数選択鏡面を用いた多周波数帯共用アンテナ装置の分波方式は、周波数選択鏡面をビーム伝送系の一部に用いたり、副反射鏡として用いたりして、ある特定の周波数帯は反射、別のある特定の周波数帯は透過するように構成されている。
図6に周波数選択鏡面を用いた従来のオフセットアンテナを示す。図6において、1はオフセット反射鏡、2、3、4は互いに異なる周波数帯f1、f2、f3に対応した異なる一次放射器、11、12は周波数選択鏡面であり、周波数選択鏡面11は周波数帯f2を透過、これと異なる周波数帯f1を反射し、周波数選択鏡面12は周波数帯f2を透過、f1、f2とは異なる周波数帯f3を反射するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、このように一枚の周波数選択鏡面で分波する周波数帯は2周波数帯であった。したがって、3周波数帯以上を共用するアンテナ装置を構成するためには、周波数選択鏡面を2枚以上用いる必要があり、配置スペースを広く必要とする機構上の大型化の問題、ある周波数帯においては反射鏡面の一部しか使わないため開口能率が低くなる問題、副反射鏡を用いる場合は反射鏡枚数の増加に伴い製作コストが高くなるコスト上の問題等があった。
【0004】
本発明は上記の問題点を解決し、1枚の周波数選択鏡面により3周波数帯以上を分波でき、反射鏡の鏡面全体を利用できるようにすることにより、構造上の簡易化、低コスト化、高能率化を図った多周波数帯共用アンテナ装置を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の多周波数帯共用アンテナ装置は、反射鏡と、この反射鏡の焦点位置に配置され第1の周波数帯の電波を送信または受信する第1の一次放射器と、これらの間に電波の進行方向に対して所定の角度になるように配置された周波数選択鏡面と、この周波数選択鏡面により上記焦点位置と鏡像関係となる位置に配置され第2の周波数帯の電波を送信または受信する第2の一次放射器とを備え、上記周波数選択鏡面に対する電波の上記所定の入射角で上記第1の周波数帯の電波を透過し、上記第2の周波数帯の電波を反射する多周波数帯共用アンテナ装置において、上記周波数選択鏡面を電波の入射角を変えうる駆動装置と、上記周波数選択鏡面により上記焦点位置と鏡像関係となる位置であって上記第2の一次放射器とは異なる位置に配置された第3の一次放射器とを備え、この第3の一次放射器は、上記第1の周波数帯の電波を透過する範囲において、上記周波数選択鏡面を上記とは異なる所定の電波入射角位置となるように駆動した場合、反射する第3の周波数帯の電波を送信または受信し、一枚の周波数選択鏡面で3周波数帯以上の電波を分波可能としたことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の請求項2の多周波数帯共用アンテナ装置は、上記周波数選択鏡面の入射角の異なる位置に、異なる周波数帯の電波を伝送する一次放射器またはビーム伝送系をそれぞれ配置し、上記周波数選択鏡面を駆動することによりそれぞれの一次放射器またはビーム伝送系に電波を伝送することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項3の多周波数帯共用アンテナ装置は、周波数選択鏡面を複数のビーム伝送系に配置し分波することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1を図1に示す。図1の(a)は本発明の多周波数帯共用アンテナ装置の中央縦断面図である。また、図1の(b)は周波数選択鏡面部の拡大図である。なお、以下、特定の周波数帯f1、f2、… 又はその周波数帯内の周波数のことを単に周波数f1、f2、…ということとする。
図において、1はオフセット反射鏡、2、3、4は互いに異なる周波数f1、f2、f3に対応する一次放射器、5は周波数選択鏡面である。
【0009】
周波数選択鏡面5は図示しない駆動機構を有しており、電波の入射角θ1方向においてある周波数f1を反射、別のある周波数f2を透過し、また、別の異なる入射角θ2方向において、別のある周波数f3を反射、周波数f2を透過する特性を有している。図2は周波数選択鏡面5の構造を示すもので、(a)は周波数選択鏡面の一部の拡大平面図で図に示すような金属板5Aに矩形のホール5Bを規則的に配置させて構成したものである。(b)は周波数選択鏡面を2層に構成したものをy軸方向から見た図である。
【0010】
図1において、周波数選択鏡面5を駆動させ、入射角θ1で電波が伝送するように実線で示した位置に配置した場合、反射鏡1の焦点位置に一次放射器3を配置、その鏡像関係の焦点位置に一次放射器2をそれぞれ配置することにより、周波数f1を反射し周波数f2を透過する。
また、周波数選択鏡面5を駆動させ、入射角θ2で電波が伝送するように破線で示した位置に配置した場合、反射鏡1の焦点の鏡像関係の位置に一次放射器4をそれぞれ配置することにより、周波数f3を反射、周波数f2はそのまま透過する。
なお、周波数選択鏡面の周囲を枠で固定し、例えば図2のy軸の周りに回動可能に形成することにより図1のように駆動させることができる。
【0011】
図3(a)に入射角θ1=45°で電波を入射させた場合の周波数選択鏡面5の反射損失、透過損失の特性例を、図3(b)に入射角θ2=35°で電波を入射させた場合の周波数選択鏡面5の反射損失、透過損失の特性例を示す。
図3において、周波数f1、f2、f3が図示の範囲にある場合、図3(a)の入射角θ1=45°においては、f2の透過損失、f1の反射損失は極めて小さいことを示している。また、図3(b)の入射角θ2=35°においては、f2の透過損失は僅かに増加するが、f3の反射損失はほぼ0であることを示している。
【0012】
上記のように、この構成において、電波の入射角をθ1とθ2のどちらかとなるように周波数選択鏡面を駆動することにより、伝送可能な周波数を使い分けることが可能であり、一枚の周波数選択鏡面で3周波数帯以上の多周波数帯共用が可能となる。
【0013】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2を図4に示す。実施の形態1に示した本発明の多周波数帯共用アンテナ装置において、図4に示すように一次放射器の代わりに焦点位置に副反射鏡7、8を配置し、ビーム伝送系を構成する場合も同様の効果が得られる。また、実施の形態1ではオフセットアンテナの例を示したが、軸対称アンテナの場合でも周波数選択鏡面をビーム伝送系の一部に用いて同様の効果が得られる。従って、この場合、一次放射器を給電部に近接して配置することもできるため、伝送損失の低減が可能である。
【0014】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3を図5に示す。図5では図1における一次放射器4の位置にさらに1枚の駆動可能な周波数選択鏡面6を配置し、周波数選択鏡面5が第2の駆動位置(破線で示す位置)のとき、一次放射器4の周波数f3を反射、一次放射器10の周波数f5を透過する駆動位置と、一次放射器9の周波数f4を反射、一次放射器10の周波数f5を透過する駆動位置とをとることができる。実施の形態1に示した本発明の多周波数帯共用アンテナ装置において、周波数選択鏡面を複数枚組合せることにより4周波数帯以上の共用が可能となる。
【0015】
【発明の効果】
以上のように構成されているため、本発明は以下のような効果を奏する。
本発明の請求項1〜3に記載の多周波数帯共用アンテナ装置によれば、1枚の周波数選択鏡面で3周波数帯以上の分波が可能であり、装置の小型化、低コスト化、高能率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のアンテナ装置中央縦断面図。
【図2】本発明を説明するための周波数選択鏡面の構成図。
【図3】本発明を説明するための周波数選択鏡面の反射損失、透過損失特性を示す図。
【図4】本発明の実施の形態2のアンテナ装置中央縦断面図。
【図5】本発明の実施の形態3のアンテナ装置中央縦断面図。
【図6】従来のアンテナ装置の中央縦断面図。
【符号の説明】
1、7、8 反射鏡、 2、3、4、9、10 一次放射器、 5、6 周波数選択鏡面、 11、12 周波数選択鏡面。

Claims (3)

  1. 反射鏡と、この反射鏡の焦点位置に配置され第1の周波数帯の電波を送信または受信する第1の一次放射器と、これらの間に電波の進行方向に対して所定の角度になるように配置された周波数選択鏡面と、この周波数選択鏡面により上記焦点位置と鏡像関係となる位置に配置され第2の周波数帯の電波を送信または受信する第2の一次放射器とを備え、上記周波数選択鏡面に対する電波の上記所定の入射角で上記第1の周波数帯の電波を透過し、上記第2の周波数帯の電波を反射する多周波数帯共用アンテナ装置において、上記周波数選択鏡面を電波の入射角を変えうる駆動装置と、上記周波数選択鏡面により上記焦点位置と鏡像関係となる位置であって上記第2の一次放射器とは異なる位置に配置された第3の一次放射器とを備え、この第3の一次放射器は、上記第1の周波数帯の電波を透過する範囲において、上記周波数選択鏡面を上記とは異なる所定の電波入射角位置となるように駆動した場合、反射する第3の周波数帯の電波を送信または受信し、一枚の周波数選択鏡面で3周波数帯以上の電波を分波可能としたことを特徴とする多周波数帯共用アンテナ装置。
  2. 上記周波数選択鏡面の入射角の異なる位置に、異なる周波数帯の電波を伝送する一次放射器またはビーム伝送系をそれぞれ配置し、上記周波数選択鏡面を駆動することによりそれぞれの一次放射器またはビーム伝送系に電波を伝送することを特徴とする請求項1記載の多周波数帯共用アンテナ装置。
  3. 周波数選択鏡面を複数のビーム伝送系に配置し分波することを特徴とする請求項1または請求項2記載の多周波数帯共用アンテナ装置。
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