JP3606995B2 - 金超微粒子の固定化方法および金超微粒子固定化触媒の調製方法 - Google Patents

金超微粒子の固定化方法および金超微粒子固定化触媒の調製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、担体上に金超微粒子を固定化する方法、および、該固定化方法により得られる金超微粒子固定化物から金超微粒子固定化触媒を調製する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、金超微粒子を担体上に固定化して金超微粒子固定化触媒を調製する方法が種々提案されている。例えば、特開昭60−238148号公報、特開平2−252610号公報には、共沈法による調製方法が開示されており、特開平3−97623号公報、特開平6−16422号公報には、析出沈澱法による調製方法が開示されている。
【0003】
ところが、担体表面に金化合物を析出沈澱させることを特徴とする析出沈澱法においては、担体として使用することができる無機物の種類に制約があり、また、担持される金超微粒子の担持量が比較的少ないという問題点を有している。特に、担体が成型体である場合、或いは、担体が酸化ケイ素(シリカ)やゼオライト等の無機物を含み、その表面の等電位点が比較的低い場合等には、担体上に析出される金沈澱物の析出量、つまり、担持される金超微粒子の担持量が極端に少ないという問題点を有している。
【0004】
そこで、金化合物を含む水溶液のpHや温度、該金化合物の濃度等を規制することにより、担体上に析出される金沈澱物の析出量を増加させる方法が試みられている。この方法では、水溶液中の金化合物は、負の電荷を有する錯イオンとして存在している。従って、担体上に析出される金沈澱物の析出量を増加させるためには、水溶液のpHを担体表面の等電位点よりも低い値、即ち、該pHを酸性側に調節することにより、該担体表面が正の電荷を有するように調整することが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水溶液のpHを酸性側に調節することにより、担体表面を正の電荷を有するように調整すると、担体が酸化ケイ素やゼオライト等の無機物を含む場合、つまり、担体表面の等電位点が比較的低い場合には、上記の水溶液中において、金化合物は錯イオンとして存在することができない。従って、水溶液のpHを調節する上記従来の方法では、担体表面の等電位点が比較的低い場合には、金超微粒子を担体上に固定化して金超微粒子固定化触媒を調製することができないという問題点を有している。
【0006】
また、担体が例えば最大径が1mm以上の大きさに成形された成型体である場合に、上記従来の方法を採用すると、該担体の内部に金沈澱物を析出させることが容易でない。従って、担体が成型体である場合には、担持される金超微粒子の担持量を増加させることが難しいという問題点を有している。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、例えば、担体が成型体である場合、或いは、担体表面の等電位点が比較的低い場合等においても、該担体上に金超微粒子を固定化することができる方法、および、該固定化方法により得られる金超微粒子固定化物から金超微粒子固定化触媒を調製する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、担体上に金超微粒子を固定化する方法、および、該固定化方法により得られる金超微粒子固定化物から金超微粒子固定化触媒を調製する方法について鋭意検討した。その結果、金化合物と界面活性剤とを含む水溶液に担体を浸漬し、該担体上に金沈澱物を析出させることにより、例えば、担体が成型体である場合、或いは、担体表面の等電位点が比較的低い場合等においても、該担体上に金超微粒子を従来よりも多く固定化することができることを見い出した。そして、該固定化方法により得られる金超微粒子固定化物を、300℃以上に加熱することにより、金超微粒子の担持量が従来よりも多い金超微粒子固定化触媒を調製することができることを見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、請求項1記載の発明の金超微粒子の固定化方法は、上記の課題を解決するために、金化合物と界面活性剤とを含む水溶液に担体を浸漬し、該担体上に金沈澱物を析出させることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明の金超微粒子の固定化方法は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の金超微粒子の固定化方法において、水溶液のpHが6〜10の範囲内であることを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の発明の金超微粒子の固定化方法は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の金超微粒子の固定化方法において、界面活性剤がアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤であることを特徴としている。
【0012】
請求項4記載の発明の金超微粒子の固定化方法は、上記の課題を解決するために、請求項1、2または3記載の金超微粒子の固定化方法において、水溶液中の金化合物の濃度が0.01ミリモル/L〜10ミリモル/Lの範囲内であることを特徴としている。
【0013】
請求項5記載の発明の金超微粒子の固定化方法は、上記の課題を解決するために、請求項1、2、3または4記載の金超微粒子の固定化方法において、担体が酸化チタンを含むことを特徴としている。
【0014】
請求項6記載の発明の金超微粒子の固定化方法は、上記の課題を解決するために、請求項1、2、3または4記載の金超微粒子の固定化方法において、担体が酸化チタンと、酸化ケイ素および/または酸化アルミニウムとを含むことを特徴としている。
【0015】
上記の方法によれば、水溶液が界面活性剤を含んでいるので、例えば、担体が成型体である場合、或いは、担体表面の等電位点が比較的低い場合等においても、該担体上に金超微粒子を従来よりも多く固定化することができる。これにより、金超微粒子が従来よりも多く固定化された金超微粒子固定化物を得ることができる。
【0016】
また、請求項7記載の発明の金超微粒子固定化触媒の調製方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし6の何れか1項に記載の固定化方法により得られる金超微粒子固定化物を、300℃以上に加熱することを特徴としている。
【0017】
上記の方法によれば、金超微粒子の担持量が従来よりも多い金超微粒子固定化触媒を調製することができる。
【0018】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかる金超微粒子の固定化方法は、金化合物と界面活性剤とを含む水溶液に担体を浸漬し、該担体上に金沈澱物を析出させる方法である。尚、本発明において、「超微粒子」とは、ナノメートル(nm)サイズの粒子径を有する粒子を示す。
【0019】
上記の金化合物は、水溶性であればよく、特に限定されるものではない。金化合物としては、具体的には、例えば、テトラクロロ金(III) 酸「H〔AuCl〕」、テトラクロロ金(III) 酸ナトリウム「Na〔AuCl〕」、ジシアノ金(I) 酸カリウム「K〔Au(CN)〕」、ジエチルアミン金(III) 三塩化物「(CNH・〔AuCl〕」等の錯体;シアン化金(I) 「AuCN」等が挙げられる。尚、金化合物は、水和物となっていてもよい。
【0020】
金化合物の使用量は、担体の種類や比表面積、形状、使用量等にもよるが、水溶液中の金化合物の濃度が0.01ミリモル/L〜10ミリモル/Lの範囲内となる量が好ましい。上記の濃度が0.01ミリモル/Lよりも低いと、金沈澱物の析出量が乏しくなるので好ましくない。濃度が10ミリモル/Lよりも高いと、析出する金沈澱物の粒子径、即ち、固定化すべき金粒子の粒子径が大きくなりすぎ、超微粒子が生成されないので好ましくない。
【0021】
上記の界面活性剤としては、具体的には、例えば、長鎖アルキルスルホン酸およびその塩、長鎖アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、長鎖アルキルカルボン酸およびその塩等のアニオン性界面活性剤;長鎖アルキル四級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;ポリアルキレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のノニオン性界面活性剤;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。上記例示の界面活性剤のうち、アニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤がより好ましく、アニオン性界面活性剤が特に好ましい。また、アニオン性界面活性剤のうち、炭素数が8以上の長鎖アルキル(アリール)スルホン酸およびその塩、長鎖アルキル(アリール)カルボン酸およびその塩がより好ましい。
【0022】
界面活性剤の使用量は、該界面活性剤や金化合物、担体の種類、組み合わせ等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、水溶液中の界面活性剤の濃度が0.1ミリモル/L〜10ミリモル/Lの範囲内となる量がより好ましい。上記の濃度が0.1ミリモル/Lよりも低いと、界面活性剤を用いることにより得られる効果が乏しくなるおそれがある。濃度を10ミリモル/Lよりも高くしても、界面活性剤を上記の範囲内で用いた場合と比較して、更なる効果は殆ど期待できない。また、得られる金超微粒子固定化物を洗浄する洗浄操作が煩雑となる。
【0023】
上記の水溶液は、水に金化合物と界面活性剤とを溶解させると共に、そのpHを調節することにより、容易に調製することができる。水溶液のpHは、6〜10の範囲内に調節されていることが望ましい。水溶液のpHを上記の範囲内に調節することにより、超微粒子状の金沈澱物が生成する。尚、水溶液の調製方法は、特に限定されるものではない。
【0024】
水溶液のpHを上記の範囲内に調節するには、アルカリ性を呈する化合物を適宜添加すればよい。該化合物としては、具体的には、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら化合物は、固体状で添加してもよく、水に溶解させた状態で添加してもよい。
【0025】
上記の担体は、無機物からなっていればよく、特に限定されるものではないが、酸化チタン(チタニア)を含んでいることがより好ましく、酸化チタンと、酸化ケイ素(シリカ)および/または酸化アルミニウム(アルミナ)とを含んでいることがさらに好ましい。本発明において、「酸化チタンを含む」とは、担体が酸化チタンを含んでなるか、或いは、酸化チタン以外の無機物からなる担体の表面(担体上)に酸化チタンが担持されていることを示す。上記酸化チタンの結晶構造は、特に限定されるものではないが、非晶質またはアナターゼ型であることが望ましい。尚、酸化チタン、酸化ケイ素、および酸化アルミニウムは、水和物となっていてもよい。
【0026】
さらに、担体の表面に酸化チタンが担持されている場合には、酸化チタンが、いわゆる島状構造をなすように分散された状態で、該表面に担持されていることが特に好ましい。尚、酸化チタンは、いわゆるコーティング等の操作を行うことにより、担体の表面に担持させることもできる。また、担体は、酸化チタン以外の無機物を担持していてもよい。
【0027】
担体の比表面積は、特に限定されるものではないが、50m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましい。比表面積が50m/g未満であると、固定化される金超微粒子の量が少なくなるおそれがある。つまり、金超微粒子固定化触媒の活性が低下するおそれがある。また、担体が成型体である場合において、該成型体の形状や大きさ、成形方法等は、特に限定されるものではない。
【0028】
上記の水溶液を攪拌しながら、担体を添加することにより、水溶液に担体を浸漬する。浸漬された担体は、攪拌されることにより、水溶液中に分散・懸濁されると共に、その表面、即ち、担体上に金沈澱物が析出する。金沈澱物としては、具体的には、例えば、金水酸化物、金超微粒子等が挙げられる。該金沈澱物は、比較的狭い粒子径分布を有している。
【0029】
担体上に金沈澱物を析出させる際の析出温度は、30℃〜80℃程度が好適である。また、析出時間は、10分間〜3時間程度で充分である。尚、必要に応じて、析出する金沈澱物の粒子径が大きくなりすぎない程度において、析出操作を繰り返し行うことによって、担体上に析出させる金沈澱物の析出量を増加させることもできる。
【0030】
上記の操作により、金超微粒子が、担体表面に効率的に固定化され、金超微粒子固定化物が得られる。以上のように、本発明にかかる固定化方法によれば、水溶液が界面活性剤を含んでいるので、例えば、担体が成型体である場合、或いは、担体表面の等電位点が比較的低い場合等においても、該担体上に金超微粒子を従来よりも多く固定化することができる。これにより、金超微粒子が従来よりも多く固定化された金超微粒子固定化物を得ることができる。金超微粒子固定化物における金の含有量は、多い方が望ましいが、0.01重量%〜20重量%の範囲内が好適であり、0.1重量%〜5重量%の範囲内がより好適である。尚、金超微粒子固定化物は、必要に応じて水洗し、その表面に付着している界面活性剤を除去してもよい。
【0031】
本発明にかかる金超微粒子固定化触媒(以下、単に触媒と記す)の調製方法は、上記の金超微粒子固定化物を、300℃以上に加熱する方法である。つまり、金超微粒子固定化物を、空気中で300℃以上に加熱し、焼成することにより、触媒が得られる。尚、金沈澱物が金水酸化物である場合には、分解されて金超微粒子となる。
【0032】
焼成方法は、特に限定されるものではない。また、加熱時間は、加熱温度に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。焼成することにより、金超微粒子が担体表面に強固に固定化され、触媒が調製される。即ち、上記の方法によれば、金超微粒子の担持量が従来よりも多い金超微粒子固定化触媒を調製することができる。
【0033】
上記の触媒は、例えば、一酸化炭素や水素の酸化反応、炭化水素やアミン化合物の酸化分解反応、炭化水素の部分酸化反応等の酸化反応、或いは、窒素酸化物の還元反応等に好適に供される。また、上記の金超微粒子固定化物は、触媒の前駆体として用いられる他、可燃性ガスを検知するガスセンサー、化粧料や絵の具、釉薬等の顔料等に利用することができる。尚、上記の触媒を用いる反応は、上記例示にのみ限定されるものではない。本発明にかかる触媒は、いわゆる触媒燃焼方式を採用した各種暖房器具や厨房用加熱器具等の酸化触媒体、或いは、石油ストーブや石油ファンヒータ、ガスファンヒータ等から排出される排ガスの浄化用触媒体、空調機器用の空気浄化フィルタとして利用することができる。また、工場から排出される排ガスの浄化用触媒体や、塗料工業等において廃棄される溶剤の酸化処理用触媒体として利用することもできる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0035】
〔実施例1〕
酸化チタン(II)アセチルアセトナート3.92gを含むメチルアルコール溶液700mlに、酸化ケイ素(商品名・シリカQ−10,富士シリシア化学株式会社製;比表面積326m/g、10メッシュ〜20メッシュ、粒子径840μm〜1,700μm)60gを浸漬した後、エバポレータを用いてメチルアルコールを留去した。得られた固形物を120℃で12時間乾燥させた後、空気中で400℃、3時間、焼成することにより、担体としての酸化ケイ素担持酸化チタンを得た。該担体における酸化チタンの担持量は、1重量%であった。
【0036】
次に、金化合物としてのテトラクロロ金(III) 酸0.172gを水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.8に調節することにより、テトラクロロ金(III) 酸水溶液1000mlを調製した。この水溶液に、界面活性剤としてのラウリン酸ナトリウム0.56gを添加して溶解させた。得られた水溶液に、60℃で、上記の酸化ケイ素担持酸化チタン10gを添加し、1時間攪拌して該酸化ケイ素担持酸化チタンを懸濁させると共に、その表面に金沈澱物を固定化した。
【0037】
その後、懸濁液を濾過し、濾残、即ち、金超微粒子固定化物を水洗して乾燥させた。次いで、該金超微粒子固定化物を、空気中で400℃、3時間、焼成することにより、金超微粒子固定化触媒としての酸化ケイ素担持酸化チタン担持金を得た。
【0038】
一方、濾液および水洗液中の金の含有量、つまり、担持されなかった金の量を、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)によって測定した。そして、仕込んだテトラクロロ金(III) 酸中の金の量から、測定によって求められた金の量を差し引くことにより、酸化ケイ素担持酸化チタンに担持された金の担持量を算出した。その結果、酸化ケイ素担持酸化チタン担持金における金の担持量は、0.24重量%であった。
【0039】
次に、プロピレンの部分酸化反応に対する上記酸化ケイ素担持酸化チタン担持金の性能を調べた。即ち、得られた酸化ケイ素担持酸化チタン担持金1.0gを、内径8mmのガラス製反応セルに充填した。一方、プロピレン、水素、酸素、およびアルゴンを、体積比(プロピレン/水素/酸素/アルゴン)が10/10/10/70となるように混合することにより、原料ガスを調製した。そして、酸化ケイ素担持酸化チタン担持金層の温度を150℃に加熱した後、該反応セル内に、上記の原料ガスを、常圧、流速5,000ml/hr(標準状態)で流通させ、プロピレンを150℃で反応させた。
【0040】
反応開始30分後に、反応セル出口のガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した。その結果、プロピレンの転化率は、5.1%であり、プロピレンオキシドへの選択率は、92.1%であり、水素の転化率は、17.8%であった。上記の結果から、プロピレンの空時収率は、60.8g/hr/kg・cat.であった。
【0041】
〔実施例2〕
チタン(IV)テトラブトキシド5.12gを含むメチルアルコール溶液500mlに、シリカアルミナ(商品名・N−632L,日揮化学株式会社製;比表面積約500m/g、アルミナ含有量13重量%、3mmφの円筒状の成型物)60gを浸漬した後、エバポレータを用いてメチルアルコールを留去した。得られた固形物を120℃で12時間乾燥させた後、空気中で600℃、3時間、焼成することにより、担体としてのシリカアルミナ担持酸化チタンを得た。該担体における酸化チタンの担持量は、2重量%であった。
【0042】
次に、テトラクロロ金(III) 酸0.172gを水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.5に調節することにより、テトラクロロ金(III) 酸水溶液500mlを調製した。この水溶液に、界面活性剤としてのドデシル硫酸ナトリウム0.70gを添加して溶解させた。得られた水溶液に、60℃で、上記のシリカアルミナ担持酸化チタン10gを添加し、1時間攪拌して該シリカアルミナ担持酸化チタンを懸濁させると共に、その表面に金沈澱物を固定化した。
【0043】
その後、懸濁液を濾過し、濾残、即ち、金超微粒子固定化物を水洗して乾燥させた。次いで、該金超微粒子固定化物を、空気中で400℃、3時間、焼成することにより、金超微粒子固定化触媒としてのシリカアルミナ担持酸化チタン担持金を得た。
【0044】
上記のシリカアルミナ担持酸化チタン担持金における金の担持量を、実施例1と同様にして算出した。その結果、金の担持量は、0.22重量%であった。
【0045】
次に、一酸化炭素の酸化反応に対する上記シリカアルミナ担持酸化チタン担持金の性能を調べた。即ち、得られたシリカアルミナ担持酸化チタン担持金0.5gを、10メッシュ〜20メッシュの粒子径となるように粉砕した後、内径5mmのガラス製反応セルに充填した。そして、シリカアルミナ担持酸化チタン担持金層の温度を80℃に加熱した後、該反応セル内に、一酸化炭素を1%含む空気を、常圧、流速5,000ml/hr(標準状態)で流通させ、一酸化炭素を80℃で反応させた。
【0046】
反応開始30分後に、反応セル出口のガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて、その組成を分析した。その結果、一酸化炭素の二酸化炭素への転化率は、88%であった。
【0047】
〔比較例1〕
実施例1における界面活性剤としてのラウリン酸ナトリウムを用いない以外は、実施例1の操作等と同様の操作等を行って、比較用の酸化ケイ素担持酸化チタン担持金を得た。上記の比較用酸化ケイ素担持酸化チタン担持金における金の担持量を、実施例1と同様にして算出した。その結果、金の担持量は、0.09重量%であった。
【0048】
次に、実施例1の反応および分析等と同様の反応および分析等を行うことにより、プロピレンの部分酸化反応に対する上記比較用酸化ケイ素担持酸化チタン担持金の性能を調べた。その結果、プロピレンの転化率は、2.4%であり、プロピレンオキシドへの選択率は、94.7%であり、水素の転化率は、11.4%であった。上記の結果から、プロピレンの空時収率は、29.4g/hr/kg・cat.であった。
【0049】
〔比較例2〕
実施例2における界面活性剤としてのドデシル硫酸ナトリウムを用いない以外は、実施例2の操作等と同様の操作等を行って、比較用のシリカアルミナ担持酸化チタン担持金を得た。上記の比較用シリカアルミナ担持酸化チタン担持金における金の担持量を、実施例1と同様にして算出した。その結果、金の担持量は、0.08重量%であった。
【0050】
次に、実施例2の反応および分析等と同様の反応および分析等を行うことにより、一酸化炭素の酸化反応に対する上記比較用シリカアルミナ担持酸化チタン担持金の性能を調べた。その結果、一酸化炭素の二酸化炭素への転化率は、32%であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の金超微粒子の固定化方法は、以上のように、金化合物と界面活性剤とを含む水溶液に担体を浸漬し、該担体上に金沈澱物を析出させる方法である。
【0052】
本発明の請求項2記載の金超微粒子の固定化方法は、以上のように、水溶液のpHが6〜10の範囲内である方法である。
【0053】
本発明の請求項3記載の金超微粒子の固定化方法は、以上のように、界面活性剤がアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤である方法である。
【0054】
本発明の請求項4記載の金超微粒子の固定化方法は、以上のように、水溶液中の金化合物の濃度が0.01ミリモル/L〜10ミリモル/Lの範囲内である方法である。
【0055】
本発明の請求項5記載の金超微粒子の固定化方法は、以上のように、担体が酸化チタンを含む方法である。
【0056】
本発明の請求項6記載の金超微粒子の固定化方法は、以上のように、担体が酸化チタンと、酸化ケイ素および/または酸化アルミニウムとを含む方法である。
【0057】
上記の方法によれば、例えば、担体が成型体である場合、或いは、担体表面の等電位点が比較的低い場合等においても、該担体上に金超微粒子を従来よりも多く固定化することができる。これにより、金超微粒子が従来よりも多く固定化された金超微粒子固定化物を得ることができるという効果を奏する。
【0058】
また、本発明の請求項7記載の金超微粒子固定化触媒の調製方法は、以上のように、請求項1ないし6の何れか1項に記載の固定化方法により得られる金超微粒子固定化物を、300℃以上に加熱する方法である。
【0059】
これにより、金超微粒子の担持量が従来よりも多い金超微粒子固定化触媒を調製することができるという効果を奏する。

Claims (6)

  1. 金化合物と界面活性剤とを含みかつpHが6〜10の範囲内である水溶液に担体を浸漬し、該担体上に金沈澱物を析出させることを特徴とする金超微粒子の固定化方法。
  2. 界面活性剤がアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の金超微粒子の固定化方法。
  3. 水溶液中の金化合物の濃度が0.01ミリモル/L〜10ミリモル/Lの範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の金超微粒子の固定化方法。
  4. 担体が酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1、2または3記載の金超微粒子の固定化方法。
  5. 担体が酸化チタンと、酸化ケイ素および/または酸化アルミニウムとを含むことを特徴とする請求項1、2または3記載の金超微粒子の固定化方法。
  6. 請求項1ないし5の何れか1項に記載の固定化方法により得られる金超微粒子固定化物を、300℃以上に加熱することを特徴とする金超微粒子固定化触媒の調製方法。
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