JP3606044B2 - 構造物の制震方法および制震用ダンパ - Google Patents

構造物の制震方法および制震用ダンパ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、地震や風等の振動外力による建物の揺れを低減するための構造物の制震方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の揺れを低減するためのダンパ形式の制震装置には、開閉制御弁の開度を能動的に制御可能とした能動制御型の可変減衰装置(例えば、特公平7−45781号公報等参照)や、特定の1または2以上の減衰係数を与える受動型の減衰装置がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
能動制御型の制震装置の場合、受動型の装置に比べて大きな制震効果が期待できるが、外乱に対する制御則が複雑になり、また装置自体も複雑となり、外部および内部センサ等周辺の装置も多くなるなど、コスト面の問題がある他、装置の制御にも限界がある。
【0004】
一方、受動型の装置では、制御効果に限界があり、十分な制御効果が得られない。
【0005】
本願発明は上述のような課題の解決を図ったもので、建物層間の変位、速度および装置の発生力などの限られた情報量により、簡単な機構で減衰係数を制御し、受動型の装置に比べ十分大きな制震効果の得られる構造物の制震方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る構造物の制震方法は、減衰係数を最大値Cmax と最小値Cmin の2段階に切り替え可能とした可変減衰装置を建物フレーム内に設置し、振動外力が作用したときの建物層間の変位x、速度dx/dt 、および前記可変減衰装置の発生力Fをもとに、
あらかじめ設定した最低作動荷重Fに対し、
|F|>F
の範囲では、可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmax
に維持し、
C=Cmax
の状態において、
|F|>F、かつF×(dx/dt)<0
すなわち、発生力Fと層間速度dx/dt の符号が逆向きになったときに、可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmin
に変化させ、
可変減衰装置の発生力Fについて、
|F|≦F
となった時点で、再び可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmax
に変化させ、
以下、同様の制御を繰り返し行うことを特徴とする。
【0007】
本願の請求項2に係る構造物の制震方法は、減衰係数を最大値Cmax と最小値Cmin の2段階に切り替え可能とした可変減衰装置を建物フレーム内に設置し、振動外力が作用したときの建物層間の変位x、速度dx/dt 、および前記可変減衰装置の発生力Fをもとに、
あらかじめ設定した最低作動荷重F0 に対し、
|F|>F0
の範囲では、可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmax
に維持し、
C=Cmax
の状態において、
|F|>F0 かつ|F|>|u|
ただし、
u=Gv ・(dx/dt)、
v =(2Kf /ω)・g
ここで、
(dx/dt)は層間速度、
v はゲイン、
f はフレーム剛性、
ωは建物の固有振動数、
gは係数で0.5以上の値とする、
になったときに、可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmin
に変化させ、
可変減衰装置の発生力Fについて、
|F|≦F0
となった時点で、再び可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmax
に変化させ、
以下、同様の制御を繰り返し行うことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る制震方法では、層間速度(dx/dt)にゲインGを乗じたuで判定を行うことにより、請求項1に係る制震方法のような層間速度(dx/dt)の符号の向きだけで判定する場合に対し、装置の作動遅れなどを補償することができる。係数gは大きな値が望ましいが、0.5以上であれば作動遅れの設定にずれがあっても制御効果の変動は小さい。係数gの数値の上限は特に規定する必要はないが、通常は1以下で十分である。
【0009】
なお、装置の性能がよく、作動遅れがほとんどない場合には、実質的に請求項1の場合と制御効果に差はでないことになり、その場合は、請求項1のように層間速度(dx/dt)の符号の向きだけで判定すれば十分ということになる。
【0010】
本願の請求項3に係る構造物の制震方法は、減衰係数を最大値Cmax と最小値Cmin の2段階に切り替え可能とした可変減衰装置を建物フレーム内に設置し、振動外力が作用したときの建物層間の変位x、速度dx/dt 、および前記可変減衰装置の発生力Fをもとに、
あらかじめ設定した最低作動荷重F0 に対し、
|F|>F0
の範囲では、可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmax
に維持し、
C=Cmax
の状態において、
(A) F×x<0の範囲、およびF×x≧0かつ|F|>αKd |x|
ここで、
αは領域の境界を与える直線の傾きであり、3〜4の数値、
d は装置設置部分の剛性、
の範囲(以下、フィルター領域という)では、
|F|≧r|Ftemp
ここで、
tempはフィルター領域における更新前の最大荷重、
rは判断基準を与える数値であり、0.4〜0.6の値、
となったとき、可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmax
に維持したまま、Ftempの最大値を更新し、
|F|<r|Ftemp
では、可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmin
に変化させるとともに、Ftempをゼロクリアし、
(B) F×x≧かつ|F|≦αKd |x|
の範囲では、
|F|>|u|
ただし、
u=Gv ・(dx/dt)、
v =(2Kf /ω)・g
ここで、(dx/dt)は層間速度、
v はゲイン、
f はフレーム剛性、
ωは建物の固有振動数、
gは係数で0.5以上の値とする
になったとき、可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmin
に変化させるとともに、Ftempをゼロクリアし、
|F|≦|u|
では、可変減衰装置の減衰係数Cについて、
C=Cmax
に維持したまま、Ftempの最大値を更新し、
可変減衰装置の発生力Fについて、
|F|≦F0
となった時点で、再び可変減衰装置の減衰係数Cを、
C=Cmax
に変化させ、
以下、同様の制御を繰り返し行うことを特徴とする。
【0011】
本願の請求項1、2、3に係る発明は、減衰係数を可変に制御できるセミアクティブ型制震装置としての可変減衰装置を用いて制御を行うものであり、制御に必要な情報量は可変減衰装置を設置している建物層間の変位x、速度dx/dt および可変減衰装置の発生力Fである。
【0012】
可変減衰装置の減衰係数Cは、これらの情報を基に最大値Cmax 、最小値Cmin の2段階に切り替えられるものとする。実際の装置としては、装置自身の受動的な抵抗力を可変に制御できるものであればよく、可変油圧ダンパや可変摩擦ダンパ等が使用できる。この制御により同じ構造のパッシブダンパに比較して2倍以上程度の減衰定数hを建物に付加することができ、地震時の建物の安全性を向上させることができる。
【0013】
より、具体的には、図1に示すように建物のフレーム剛性をKで表し、可変減衰装置の設置部分の剛性がK、減衰係数C(t) が可変のマックスウェルモデルで表し、フレームと装置部の剛性比βを次式
β=(K+K)/K
で定義する。
【0014】
また、装置の減衰係数の変化範囲を
min ≦C(t) ≦Cmax
とする。
【0015】
このモデルが一定振幅で振動している状態において、履歴面積が最大になるように可変減衰装置の減衰係数を制御したときの荷重変形関係は、図2に示すようなものとなる。
【0016】
図2(a) は可変減衰装置の荷重Fと層間変形δの関係であり、図2(b) は層全体としての復元力Qとδの関係を示したものである。可変減衰装置の減衰係数は正の値に限定されるため、図2に示した曲線が履歴面積を最大とする曲線となる。
【0017】
このとき、層の等価減衰定数heqは次式
eq=W/(2πKδ
で表される。ここで、Wは1サイクルの履歴面積であり、Kは層の等価剛性であり、それぞれ次式で表される。
【0018】
W=4Kδ
=K+K
したがって、図2のように可変減衰装置が制御されたときの層の等価減衰定数heqは次式で表される。
【0019】
eq=2(β−1)/(πβ)
図4は同じ剛性比βにおけるパッシブダンパと制御時の建物に対する付加減衰定数を比較したものである。これにより、減衰係数を制御することにより減衰係数を一定としたパッシブダンパの約2倍の減衰定数を建物に付加することができることが分かる。
【0020】
このような履歴形状を実現するには、可変減衰装置の減衰係数を常に最大値Cmax としておき、層間速度dx/dt と装置荷重Fの向きが逆向きになったとき(図2における振幅最大点)に減衰係数をCmin に変化させればよい。
【0021】
また、装置の動作遅れがあらかじめ分かっている場合には、層間速度dx/dt にゲインGを乗じた値uを用いて
|F|>|u|
となった時点(図3のP点)で減衰係数をCmin に変化させる信号を与えればよい。Gは次式の形で与える。
【0022】
=(2K/ω)・g
gは係数であり、0.5以上の大きな値をとっておけばよい。上述のようにこれ以上の値をとっておけば、復元力形状の変化は小さいため制御効果の変動は小さい。
【0023】
減衰係数Cを一旦Cmin とした後は、最低作動荷重Fに荷重が下がるまで制御する必要はなく、|F|<Fとなった時点で再びC=Cmax として同じ制御を繰り返せばよい。従って、可変減衰装置は減衰係数を低下させるタイミングのみが制御されればよい。
【0024】
図6(請求項1に対応)、図7(請求項2に対応)は以上の制御則をフローチャートの形で示したものである。
【0025】
一層建物のように応答振動数がある範囲に限定される条件では、上記の制御則で十分な効果が得られるが、多層建物に適用する場合には応答に高次モードが混入してくるため層間速度の符号が頻繁に変化し、その度に荷重の除荷が起こり制御効果が低下する。
【0026】
そこで、これを避けるために、請求項3に係る制震方法では、減衰係数の制御を図5に示すような荷重−変形関係に基づいた判定空間で行う。
【0027】
図5におけるBの領域では前述したようにuとFの大小関係をもとに、除荷のタイミングを判定するが、Aのフィルター領域ではその領域における過去の(更新前の)最大荷重Ftempのr倍以下に荷重が低下するまではCmax を維持する。rの値としては、0.4〜0.6程度とすればよい。これにより、応答が反対側に向かう途中での頻繁な除荷を避けることができる。
【0028】
Aのフィルター領域とBの領域の境界線は次式
F=αK
の形で与える。
【0029】
αの値は本来βに依存して定まるものであるが、実際には3〜4程度としておけば十分である。
図8は以上の制御則をフローチャートの形で示したものである。
【0030】
本願の請求項4は、請求項1、2または3に係る構造物の制震方法において、前記可変減衰装置が、シリンダと、シリンダ内で往復動する両ロッド形式のピストンを有する制震用油圧ダンパであって、前記ピストンの両側の油圧室を連結する油路に閉状態で減衰係数Cの最大値Cmax 、開状態で減衰係数Cの最小値Cmin を与える開閉制御弁を設け、さらにピストン速度に対する発生荷重が2次関数で表される固定オリフィスを前記開閉制御弁と並列に設けたものであることを特徴とする。
【0031】
また、請求項5は請求項4に係る構造物の制震方法において、前記制震用油圧ダンパが、前記油路に、前記開閉制御弁および前記固定オリフィスと並列に、所定以上の荷重で開くリリーフ弁を設けたものである場合である。
【0032】
すなわち、可変減衰装置が、減衰係数すなわち弁開度を最大・最小の2段階に制御する制震用油圧ダンパであり、弁開度は例えば装置内蔵の圧力センサとピストンのストロークセンサによる計測量のみに基づいて内部で制御可能であり、外部にセンサや制御コンピュータおよび通信系が不要であり、上記請求項1、2、3に係る構造物の制震方法に用いた場合において、ほとんどパッシブダンパと同様のシステムが実現できる。
【0033】
また、開閉制御弁と並列に固定オリフィスとリリーフ弁を設置することにより、微小荷重領域ではオリフィスによる高減衰パッシブダンパとして、また大レベルの外乱に対してはリリーフ弁によるパッシブ弾塑性ダンパとして機能するため、フェールセーフ機能を兼ね備えることになる。
【0034】
【発明の実施の形態】
次に、本願発明の制震方法の具体的な実施形態として5層の建物モデルを用いてた制御効果を示す。
【0035】
1次固有周期=2.0秒、剛性比β=1.3とした。入力波は、エルセントロNSと、タフトEWの2波とし、入力加速度は100Galとした。
【0036】
図9は最大層間変位を無制御(減衰2%)と比較して示したものである。また、図10には第1層の可変減衰装置の荷重−変形曲線を示す。これらより設定した制御則の有効性が確認できる。
また、本願発明で用いる制震用油圧ダンパの構成例を図11に示す。
【0037】
ダンパ1は、シリンダ2、ピストン3、ピストンロッド4、油圧室5a,5b、チェック弁6a,6b、開閉制御弁7、固定オリフィス8a,8b、リリーフ弁9a,9b、アキュムレータ10、圧力センサ、ストロークセンサなどにより構成される。
【0038】
制御に必要な情報量は、装置を設置している層の層間変位x、層間速度dx/dt 、および装置荷重(発生力)Fである。これらは、内蔵の圧力センサおよびストロークセンサの計測量に基づいて次式
【0039】
F=Δp・A、
x=xd +F/Kd
で計算される。
ここで、
Δpは左右のシリンダの圧力差、
Aはピストン面積、
d はストローク変位、
d は取り付けブレースの剛性
である。
これらの情報量を用いて、上述の制震方法における制御を行う。
【0040】
この制御では、通常は制御弁は閉の状態として装置の減衰係数を最大値Cmax としておき、装置荷重が最低作動荷重Fを越えた場合に制御状態に入り、必要なタイミングで制御弁を開としてCmin とし、荷重すなわち内圧を除荷する。
【0041】
制御弁は開指令を受けた後は荷重がFまで低下するまで待ち、荷重がF以下になった場合に再び閉とする。従って、時々刻々弁開度を制御するサーボ機構等は必要なく、アンロード弁等を応用した簡単な機構のバルブで制御することができる。
【0042】
最低作動荷重F以下では制御弁は常に閉であるため、このままでは装置は剛結されたのと等しい状態となってしまうため、制御弁と並列に固定オリフィスを設置する。
【0043】
制御に必要なCmax の値は無限大に大きな必要はなく、Cmax =10×K/ωとする程度で十分である。ここで、ωは建物の固有振動数である。
固定オリフィスは速度の2乗に比例した減衰特性を持つため、大きな荷重レベルでは減衰係数は大きく、小さな荷重レベルでは減衰係数は小さくなる。従って、大きな荷重レベルでは必要十分な減衰係数Cmax となり、最低作動荷重Fレベルではパッシブとして最適な減衰係数となるようオリフィスを設定しておけば、微小レベルから有効に減衰力を発揮することができる。
【0044】
さらに、図11の例では、大レベルでの過大な荷重発生を避けるためにリリーフ弁を設置している。これにより一定値以上の荷重上昇を抑えることができるため、装置の機構設計および建物の構造設計を容易にすることができる。
【0045】
また、このリリーフ弁には完全にパッシブ機構で作動するため、断電状態においても確実に動作し、この場合には弾塑性ダンパと等しい特性を発揮して建物を守ることができる。図12には断電状態(制御弁が閉)のときの減衰特性を示す。
【0046】
【発明の効果】
本願発明の制震方法によれば、建物層間の変位x、速度dx/dt および装置の発生力Fなどの限られた情報量により、簡単な機構で減衰係数を制御し、受動型の装置に比べ十分大きな制震効果を効率良く得ることができる。
【0047】
また、請求項4、5に係る制震方法においては、オリフィスの設定により微小レベルから有効に減衰力を発揮させることができ、さらにリリーフ弁を設けることで大レベルでの過大な荷重発生を避けることができ、装置の機構設計および建物の構造設計を容易にすることができる。
【0048】
また、リリーフ弁は完全にパッシブ機構で作動するため、断電状態においても確実に動作し、この場合には弾塑性ダンパと等しい特性を発揮して建物を守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に対応する力学モデルを示す図である。
【図2】モデルが一定振幅で振動している状態において、履歴面積が最大になるように可変減衰装置の減衰係数を制御したときの荷重変形関係を示したもので、(a) は可変減衰装置の荷重Fと層間変形δの関係を示す図、(b) は層全体としての復元力Qとδの関係を示す図である。
【図3】装置作動遅れを補償するように、層間速度(dx/dt)にゲインGを乗じたuで除荷のタイミングを与えるときの装置荷重Fとuの関係を示した図である。
【図4】同じ剛性比βにおけるパッシブダンパと制御時の建物に対する付加減衰定数を比較した図である。
【図5】荷重−変形関係に基づいた判定空間の説明図である。
【図6】請求項1に係る制震方法に対応するフローチャートである。
【図7】請求項2に係る制震方法に対応するフローチャートである。
【図8】請求項3に係る制震方法に対応するフローチャートである。
【図9】本願発明の制震方法を5層の建物モデルに適用し、エルセントロNSとタフトEWを入力波とした場合の制御効果を示した図である。
【図10】図9に対応する例において、第1層の可変減衰装置の荷重−変形曲線を示した図である。
【図11】本願の請求項4、5に係る制震用油圧ダンパの一実施形態を示す油圧回路図である。
【図12】断電状態における図11の装置の減衰特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…制震用油圧ダンパ、2…シリンダ、3…ピストン、4…ピストンロッド、5a,5b…油圧室、6a,6b…チェック弁、7…開閉制御弁、8a,8b…固定オリフィス、9a,9b…リリーフ弁、10…アキュムレータ、11…制御回路

Claims (5)

  1. 減衰係数を最大値Cmax と最小値Cmin の2段階に切り替え可能とした可変減衰装置を建物フレーム内に設置し、振動外力が作用したときの建物層間の変位x、速度dx/dt 、および前記可変減衰装置の発生力Fをもとに、
    あらかじめ設定した最低作動荷重F0 に対し、
    |F|>F0
    の範囲では、可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmax
    に維持し、
    C=Cmax
    の状態において、
    |F|>F0 、かつF×(dx/dt)<0
    すなわち、発生力Fと層間速度dx/dt の符号が逆向きになったときに、可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmin
    に変化させ、
    可変減衰装置の発生力Fについて、
    |F|≦F0
    となった時点で、再び可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmax
    に変化させ、
    以下、同様の制御を繰り返し行うことを特徴とする構造物の制震方法。
  2. 減衰係数を最大値Cmax と最小値Cmin の2段階に切り替え可能とした可変減衰装置を建物フレーム内に設置し、振動外力が作用したときの建物層間の変位x、速度dx/dt 、および前記可変減衰装置の発生力Fをもとに、
    あらかじめ設定した最低作動荷重F0 に対し、
    |F|>F0
    の範囲では、可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmax
    に維持し、
    C=Cmax
    の状態において、
    |F|>F0 かつ|F|>|u|
    ただし、
    u=Gv ・(dx/dt)、
    v =(2Kf /ω)・g
    ここで、
    (dx/dt)は層間速度、
    v はゲイン、
    f はフレーム剛性、
    ωは建物の固有振動数、
    gは係数で0.5以上の値とする、
    になったときに、可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmin
    に変化させ、
    可変減衰装置の発生力Fについて、
    |F|≦F0
    となった時点で、再び可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmax
    に変化させ、
    以下、同様の制御を繰り返し行うことを特徴とする構造物の制震方法。
  3. 減衰係数を最大値Cmax と最小値Cmin の2段階に切り替え可能とした可変減衰装置を建物フレーム内に設置し、振動外力が作用したときの建物層間の変位x、速度dx/dt 、および前記可変減衰装置の発生力Fをもとに、
    あらかじめ設定した最低作動荷重F0 に対し、
    |F|>F0
    の範囲では、可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmax
    に維持し、
    C=Cmax
    の状態において、
    (A) F×x<0の範囲、およびF×x≧0かつ|F|>αKd |x|
    ここで、
    αは領域の境界を与える直線の傾きであり、3〜4の数値、
    d は装置設置部分の剛性、
    の範囲(以下、フィルター領域という)では、
    |F|≧r|Ftemp
    ここで、
    tempはフィルター領域における更新前の最大荷重、
    rは判断基準を与える数値であり、0.4〜0.6の値、
    となったとき、可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmax
    に維持したまま、Ftempの最大値を更新し、
    |F|<r|Ftemp
    では、可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmin
    に変化させるとともに、Ftempをゼロクリアし、
    (B) F×x≧かつ|F|≦αKd |x|
    の範囲では、
    |F|>|u|
    ただし、
    u=Gv ・(dx/dt)、
    v =(2Kf /ω)・g
    ここで、(dx/dt)は層間速度、
    v はゲイン、
    f はフレーム剛性、
    ωは建物の固有振動数、
    gは係数で0.5以上の値とする
    になったとき、可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmin
    に変化させるとともに、Ftempをゼロクリアし、
    |F|≦|u|
    では、可変減衰装置の減衰係数Cについて、
    C=Cmax
    に維持したまま、Ftempの最大値を更新し、
    可変減衰装置の発生力Fについて、
    |F|≦F0
    となった時点で、再び可変減衰装置の減衰係数Cを、
    C=Cmax
    に変化させ、
    以下、同様の制御を繰り返し行うことを特徴とする構造物の制震方法。
  4. 前記可変減衰装置が、シリンダと、シリンダ内で往復動する両ロッド形式のピストンを有する制震用油圧ダンパであって、前記ピストンの両側の油圧室を連結する油路に閉状態で減衰係数Cの最大値Cmax 、開状態で減衰係数Cの最小値Cmin を与える開閉制御弁を設け、さらにピストン速度に対する発生荷重が2次関数で表される固定オリフィスを前記開閉制御弁と並列に設けたものであることを特徴とする請求項1、2または3記載の構造物の制震方法。
  5. 前記制震用油圧ダンパが、前記油路に、前記開閉制御弁および前記固定オリフィスと並列に、所定以上の荷重で開くリリーフ弁を設けたものである請求項4記載の構造物の制震方法。
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