JP3605671B2 - 印刷装置の印字部リリース方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、名刺やハガキ等の比較的小型サイズの被印刷物を印刷する際に用いて好適な印刷装置の印字部リリース方法に関する。
【0002】
【従来技術及び課題】
従来、名刺やハガキ等の比較的小型サイズの被印刷物に印刷を行う印刷装置は、例えば、特開平2−206573号公報等で知られている。
【0003】
この種の印刷装置は、通常、多数の被印刷物がセットされた給紙機構から順次被印刷物が送り出されるとともに、送り出された被印刷物は前段搬送機構により印字機構まで搬送され、印字ヘッド(サーマルヘッド)及びインクリボンを用いた熱転写方式により印字される。そして、印字された被印刷物は後段搬送機構により搬送され、排紙トレイ上に排出される。この場合、被印刷物が印字機構まで搬送され、当該被印刷物がプラテン上に載ったら、リリース位置にある印字ヘッド及びインクリボンを含む印字部をセット位置まで変位させ、当該印字部を加圧スプリング(加圧部材)により被印刷物に圧接させて印刷を行う。
【0004】
ところで、この種の印刷装置では、印刷領域以外でのインクリボンの消費をできるだけ抑えて無駄となるインクリボンの発生を回避する必要がある。したがって、通常、印刷領域が終了したなら被印刷物から印字部を速やかにリリースさせるとともに、インクリボンの送り動作を停止させているが、従来の印刷装置では、印字部をリリースする際に、被印刷物にインクリボンによる黒筋等の汚れが付着し、印刷品質を損ねてしまう問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する課題を解決したものであり、インクリボンの無駄を排して資源節減及びランニングコスト削減を図れることに加え、被印刷物に対する汚れの付着を排して印刷品質の向上を図れるとともに、追加部品を必要とすることなく制御手法の改良により容易に実現できる印刷装置の印字部リリース方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び実施の形態】
本発明に係る印刷装置Mの印字部リリース方法は、プラテン2上の被印刷物Pに対して圧接させたインクリボン3及び印字ヘッド4を含む印字部1をリリースさせる際における当該印字部1が被印刷物Pから離れる前に、インクリボン3に対するバックテンションFrを解除し、印字部1が被印刷物Pから離れた後に、インクリボン3に対してバックテンションFrを再付与するとともに、印字部1をリリースさせる速度は、インクリボン3を巻取る巻取リール7の巻取量が少ないときに遅くし、巻取量が多いときに速くするようにしたことを特徴とする。この場合、好適な実施の態様により、インクリボン3を繰出す供給リール5に接続してバックテンションFrを付与するトルクリミッタ6を供給リール5から切離すことによりバックテンションFrを解除できる。
【0007】
また、本発明に係る印刷装置Mの他の印字部リリース方法は、プラテン2上の被印刷物Pに対して圧接させたインクリボン3及び印字ヘッド4を含む印字部1をリリースさせる際における当該印字部1が被印刷物Pから離れる前に、インクリボン3に対する前方への引張力Ffを解除し、印字部1が被印刷物Pから離れた後に、インクリボン3に対して引張力Ffを再付与するとともに、印字部1をリリースさせる速度は、インクリボン3を巻取る巻取リール7の巻取量が少ないときに遅くし、巻取量が多いときに速くするようにしたことを特徴とする。この場合、好適な実施の態様により、印字部1をリリースさせる速度は、当該印字部1をリリースさせるリリースモータ9の回転速度Vrを制御して変更することができる。
【0008】
さらに、本発明に係る印刷装置Mの印字部リリース方法には、印字部1が被印刷物Pから離れる前に、インクリボン3に対するバックテンションFr及び前方への引張力Ffの双方を解除し、印字部1が被印刷物Pから離れた後に、インクリボン3に対してバックテンションFr及び引張力Ffの双方を再付与する場合が含まれる。
【0009】
【実施例】
次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
まず、本発明の理解を容易にするため印刷装置Mの概要について、図6を参照して説明する。
【0011】
印刷装置Mは、本体下部61と、この本体下部61に対して後部のヒンジ部60を支点に上下に開閉する本体上部62を備える。図6に示す印刷装置Mは、右側が前面部Mfとなり、この前面部Mfに、給紙機構63を配設するとともに、この給紙機構63から後部に向かって、前段搬送機構64,印字機構65,後段搬送機構66及び排紙トレイ機構67を順次配設する。なお、68は制御ユニット、69は操作パネルを示す。
【0012】
給紙機構63は、多数の被印刷物P…をセットする給紙ガイド機構70と、この給紙ガイド機構70にセットされた多数の被印刷物P…から一枚ずつ被印刷物Pを送り出す給紙ローラ機構71を備える。給紙ガイド機構70は、給紙エレベータ機構部72により上昇し、かつマニュアル操作により下降させることができる給紙トレイ73を備え、この給紙トレイ73上に多数の被印刷物P…が積み重ねられてセットされる。セットできる被印刷物P…は、横置きした名刺Pa,縦置きしたハガキPb,縦置きした封筒Pcである。なお、被印刷物P…の上面位置はセンサにより検出され、給紙エレベータ機構部72が駆動制御されることにより、常に、一定範囲の高さに維持される。一方、給紙ローラ機構71は、セットされた被印刷物P…の最上面に当接し、被印刷物P…を搬送方向前方へ送り出すピックアップローラ74,ピックアップローラ74の搬送方向前方に配したフィードローラ75,フィードローラ75の下方に配したリタードローラ76を備え、フィードローラ75とリタードローラ76により、被印刷物Pが分離されて一枚ずつ前方に送り出される。
【0013】
前段搬送機構64は、テイクアウェイローラ機構77,プリレジストローラ機構78,レジストローラ機構79を順次水平方向に配設して構成し、給紙ローラ機構70から送り出された被印刷物P…を印字機構65まで搬送する機能を有する。なお、各ローラ機構77〜79の間隔は、搬送する被印刷物P…の最小サイズよりも短い間隔に設定される。特に、プリレジストローラ機構78とレジストローラ機構79は、回転動作の制御により、搬送する被印刷物P…の角度(向き)を一定に揃えるスキュー修正機能と、搬送する被印刷物P…の間隔が開いた場合に、その間隔を詰める搬送間隔修正機能を備えている。
【0014】
次に、本実施例に係る印字部リリース方法を実施できる印字機構65の構成について、図2及び図5を参照して具体的に説明する。
【0015】
11は、給紙ローラ機構71の下方に配設した水平方向の支持シャフトであり、この支持シャフト11に、カセット装填フレーム12の一端部をベアリングを介して回動自在に取付ける。カセット装填フレーム12は、インクリボン用カセットCを装填するカセット装填部12sを有する。
【0016】
一方、カセット装填フレーム12の他端部の下方には、昇降駆動部13を配設する。昇降駆動部13は、ステッピングモータを用いたリリースモータ9と、偏心カム14と、リリースモータ9の回転を偏心カム14の軸部15に伝達する回転伝達ギア機構部16と、偏心カム14が係合するカセット装填フレーム12の下面に固定した従動部17を備える。従動部17は一定の間隔を空けて配した下面にV面を有する上係合部と上面にV面を有する下係合部を備え、この上係合部と下係合部間に偏心カム14が配される。これにより、リリースモータ9を駆動制御すれば、偏心カム14が回転し、カセット装填フレーム12の他端部側は偏心カム14の回転角度に応じて昇降変位する。
【0017】
他方、18は、側面視をU形に形成したヘッド支持機構であり、一端部を、ベアリングを介して支持シャフト11に回動自在に取付けるとともに、他端部側は、カセット装填フレーム12の下方を経由して上方に至らせる。そして、ヘッド支持機構18の他端部上端により印字ヘッド4を支持する。なお、ヘッド支持機構18は印字ヘッド4に対する位置決め機能も備えている。印字ヘッド4は、名刺やハガキ等の厚手或いは硬い被印刷物Pに対しても確実に印字できるように、C端面タイプのサーマルヘッドを使用する。また、C端面タイプのサーマルヘッドを用いた場合には、被印刷物Pにカールを生じやすいため、プラテン2にゴム硬度が80度以上のゴムローラを使用してカールを防止する。印字ヘッド4はプラテン2の直下に位置する。
【0018】
以上の構成により、支持シャフト11,この支持シャフト11に支持され、かつ他端部に従動部17を設けたカセット装填フレーム12及び印字ヘッド4を支持するヘッド支持機構18は、インクリボン3と印字ヘッド4を一緒に変位させる伝達機構部19を構成し、この伝達機構部19は、昇降駆動部13による従動部17の昇降変位を、印字ヘッド4に伝達することにより、プラテン2上の被印刷物Pに対する印字ヘッド4の圧接及び圧接解除を行うリリース機構となる。
【0019】
一方、図2にはカセット装填部12sに装填されたインクリボン用カセットCを駆動する巻取軸回転駆動部20を示す。カセットCは供給リール5及び巻取リール7を有し、供給リール5から繰出されたインクリボン3は印字ヘッド4のヘッド面に接した後、巻取リール7に巻取られる。巻取リール7には、一体の被動ギア21を有し、この被動ギア21には、巻取モータ8の回転軸に設けた駆動ギア22の回転が回転伝達部23を介して伝達される。回転伝達部23は、第一ギア23a,第二ギア23b,第三ギア23c,第四ギア23d,第五ギア23e,第六ギア23f,第七ギア23gを備え、第一ギア23aに駆動ギア22が噛合し、第七ギア23gに被動ギア21が噛合する。また、第一ギア23aと第二ギア23b間には、スプリング式スリップクラッチ24を介在させる。これにより、回転伝達は行われるも設定された回転トルク以上の回転トルクが付与された場合にはスリップし、一定の回転トルクに制限される。
【0020】
他方、供給リール5には、一体の伝達ギア25を有し、この伝達ギア25に第一中間ギア26aを噛合させるとともに、この第一中間ギア26aに、電磁クラッチ27の入力軸27iに取付けた第二中間ギア26bを噛合させる。そして、電磁クラッチ27の出力軸にはトルクリミッタ6を構成するオイル式ロータリダンパの入力軸を結合する。なお、28はインクリボン3をガイドするガイドシャフト,29はインクリボン3をガイドするガイドプレートを示す。
【0021】
さらに、30は、制御ユニット68に備える制御部であり、この制御部30は、各種設定機能,記憶機能,演算機能及び制御機能を備えており、シーケンス制御により本実施例に係るリリース方法を実行する。制御部30の出力側には、上述した巻取モータ8及び電磁クラッチ27を接続するとともに、リリースモータ9を接続する。また、制御部30の入力側には、図5に示すように、巻取リール7に巻回されるインクリボン3の巻取量Rrを検出する巻取量検出器、例えば、反射型光センサ31を接続する。
【0022】
次に、本実施例に係る印字部リリース方法について、各図を参照しつつ図1に示すフローチャートに従って説明する。
【0023】
今、被印刷物Pがプラテン2と印字部1間にあり、被印刷物Pに対して印刷が行われている場合を想定する(ステップS1)。この場合、カセット装填フレーム12は図5に仮想線で示す上昇位置にあり、印字部1は被印刷物Pに対して圧接している。また、制御部30により、巻取モータ8はオン(作動)状態に、電磁クラッチ27は接続状態に制御されている。したがって、巻取モータ8の回転トルクは回転伝達部23及びスリップクラッチ24を介して巻取リール7に伝達される。これにより、印字ヘッド4を通過したインクリボン3は、巻取リール7により巻取られるとともに、インクリボン3に対して前方への引張力Ffが付与される。このときの引張力Ffの大きさは、スリップクラッチ24により設定される。また、供給リール5の回転は、伝達ギア25,第一中間ギア26a,第二中間ギア26b及び電磁クラッチ27を介してトルクリミッタ6に伝達され、インクリボン3に対して所定の大きさのバックテンションFrが付与される。
【0024】
そして、印刷(印刷領域)が終了すれば、印字部リリース指令が出力し、リリースモータ9が起動する(ステップS2,S3,S4)。図3(b)におけるtaがリリースモータ9の起動時点を示す。リリースモータ9の起動により、リリースモータ9の回転が回転伝達ギア機構部16を介して偏心カム14に伝達され、偏心カム14が回転する。一方、印字部リリース指令の出力から第一設定時間T1が経過したなら、制御部30は、巻取モータ8をオフ(通電停止)状態に、電磁クラッチ27を切離状態に制御する(ステップS5,S6)。図3(c),(d)におけるtbが巻取モータ8のオフ時点と電磁クラッチ27の切離時点を示す。この場合の第一設定時間T1は、僅かな時間でよく、0であってもよい。他方、偏心カム14の回転により、カセット装填フレーム12が下降し、図3(a)に示すtc時点で印字部1が下降を開始、即ち、tc時点でインクリボン3が被印刷物Pから離れる。リリースモータ9の回転開始から実際にインクリボン3が被印刷物Pから離れるまでの時間(tc−ta)は、主に、印字部1を被印刷物Pに対して圧接させるスプリング(不図示)の伸長する時間である。
【0025】
したがって、巻取モータ8のオフ時点(電磁クラッチ27の切離時点)tbは、リリースモータ9の起動時点taと印字部1が下降を開始する時点tcの間となるように、前述した第一設定時間T1を設定することが望ましく、基本的には、印字部1が被印刷物Pから離れる前、即ち、印字部1が下降を開始する時点tcよりも前に設定する。
【0026】
そして、第一設定時間T1の経過から、さらに、第二設定時間T2が経過したなら、制御部30は、巻取モータ8をオン(作動)状態に、電磁クラッチ27を接続状態に制御する(ステップS7,S8)。これにより、インクリボン3に対してバックテンションFr及び引張力Ffの双方が再付与される。図3(c),(d)における時点tdが巻取モータ8のオン時点と電磁クラッチ27の接続時点を示すが、この時点tdは、少なくとも印字部1が被印刷物Pから離れた後になるように設定する。この後、印字部1がリリース位置まで下降し、リリースが終了したことを検出すれば、制御部30はリリースモータ9を停止させる(ステップS9,S10)。図3(a)におけるteがリリースが終了した時点を示すとともに、図3(b)におけるtfがリリースモータ9が停止した時点を示している。なお、時点tdは、時点teよりも前に設定することが望ましいが、必ずしも時点teよりも後に設定する場合を排除するものではない。
【0027】
一方、本実施例における印字部リリース方法では、巻取リール7に巻回されるインクリボン3の巻取量Rrに応じて、リリースモータ9の回転速度Vrの大きさを変更している。図4に示す特性線Qoは、巻取量Rrに対するリリースモータ9の回転速度Vrの関係を示すが、本実施例では、反射型光センサ31により、巻取リール7に巻回されたインクリボン3の最外周面の位置から巻取量Rrを検出し、この検出結果に基づいて、制御部30は、リリースモータ9のオン(作動)時における回転速度Vrを制御する。具体的には、巻取リール7の巻取量Rrが少ないときは、回転速度Vrを遅くするとともに、巻取量Rrが多いときは、回転速度Vrを速くする制御を行う。この場合、制御は、特性線Qoのように連続して行ってもよいし、特性線Qsのように段階的に行ってもよい。
【0028】
このような本実施例に係る印字部リリース方法は、印字部1が被印刷物Pから離れる前に、インクリボン3に対するバックテンションFr及び前方への引張力Ffを解除し、印字部1が被印刷物Pから離れた後に、インクリボン3に対してバックテンションFr及び引張力Ffを再付与するようにしたため、インクリボン3が被印刷物Pから離れる際には、インクリボン3に対してバックテンションFr及び前方への引張力Ffが付与されず、インクリボン3のズレ等に基づく被印刷物Pへの無用なインクの付着が回避される。よって、本実施例に係る印字部リリース方法によれば、インクリボン3の無駄を排して資源節減及びランニングコスト削減を図れることに加え、被印刷物Pに対する汚れの付着を排して印刷品質の向上を図れるとともに、追加部品を必要とすることなく制御手法の改良により容易に実現することができる。
【0029】
以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除することができる。例えば、実施例は、印字部1が被印刷物Pから離れる前に、インクリボン3に対するバックテンションFr及び前方への引張力Ffの双方を解除し、印字部1が被印刷物Pから離れた後に、インクリボン3に対してバックテンションFr及び引張力Ffの双方を再付与するようにしたが、いずれか一方、即ち、印字部1が被印刷物Pから離れる前に、インクリボン3に対するバックテンションFrを解除し、印字部1が被印刷物Pから離れた後に、インクリボン3に対してバックテンションFrを再付与するようにしてもよいし、印字部1が被印刷物Pから離れる前に、インクリボン3に対する前方への引張力Ffを解除し、印字部1が被印刷物Pから離れた後に、インクリボン3に対して引張力Ffを再付与するようにしてもよい。実施例のように双方を実施した場合には、被印刷物Pに対する汚れの付着をほとんど無くすることができるため、高度の印刷品質を得ることができるが、いずれか一方のみを実施した場合は、双方を実施する場合よりは劣るも、被印刷物Pに付着する汚れをかなり少なくすることができる。
【0030】
また、印字部1をリリースさせるリリースモータ9の回転速度Vrは、巻取リール7によるインクリボン3の巻取量Rrが少ないときに遅くし、巻取量Rrが多いときに速くすることが望ましいが、回転速度Vrは巻取量Rrに拘わらず一定であってもよい。さらに、実施例は、供給リール5に接続してバックテンションFrを付与するトルクリミッタ6を供給リール5に対して切離すことによりバックテンションFrを解除する場合を示したが、インクリボン3に対するバックテンションFrを解除可能な他の任意の方法(手段)を採用できるとともに、巻取リール7に回転トルクを付与して引張力Ffを発生させる巻取モータ8を停止させることにより引張力Ffを解除する場合を示したが、インクリボン3に対する引張力Ffを解除可能な他の任意の方法(手段)を採用できる。
【0031】
【発明の効果】
このように、本発明に係る印刷装置の印字部リリース方法は、印字部をリリースさせる際における当該印字部が被印刷物から離れる前に、インクリボンに対するバックテンションを解除し、印字部が被印刷物から離れた後に、インクリボンに対してバックテンションを再付与し、或いは印字部をリリースさせる際における当該印字部が被印刷物から離れる前に、インクリボンに対する前方への引張力を解除し、印字部が被印刷物から離れた後に、インクリボンに対して引張力を再付与するようにするとともに、印字部をリリースさせる速度は、インクリボンを巻取る巻取リールの巻取量が少ないときに遅くし、巻取量が多いときに速くするようにしたため、次のような顕著な効果を奏する。
【0032】
(1) インクリボンの無駄を排して資源節減及びランニングコスト削減を図れることに加え、被印刷物に対する汚れの付着を排して印刷品質の向上を図ることができる。
【0033】
(2) 追加部品を必要とすることなく制御手法の改良により容易に実現できる。
【0034】
(3) 特に、印字部をリリースさせる際における当該印字部が被印刷物から離れる前に、インクリボンに対するバックテンション及び前方への引張力の双方を解除し、印字部が被印刷物から離れた後に、インクリボンに対してバックテンション及び引張力の双方を再付与するようにすれば、両者の相乗効果により高度の印刷品質を得ることができる。
【0035】
(4) 印字部をリリースさせる速度を、インクリボンを巻取る巻取リールの巻取量が少ないときに遅くし、巻取量が多いときに速くしたため、被印刷物に対する汚れの付着をより回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る印刷装置の印字部リリース方法の処理手順を示すフローチャート、
【図2】同印字部を備える印字機構におけるカセット駆動機構の構成図、
【図3】同印字部リリース方法を用いた際における各部の状態を示すタイミングチャート、
【図4】同印字部リリース方法におけるインクリボンの巻取量に対するリリースモータの回転速度特性図、
【図5】同印字部を備える印字機構及び制御系を含む動作説明図、
【図6】同印字機構を備える印刷装置の概要図、
【符号の説明】
1 印字部
2 プラテン
3 インクリボン
4 印字ヘッド
5 供給リール
6 トルクリミッタ
7 巻取リール
8 巻取モータ
9 リリースモータ
M 印刷装置
P 被印刷物
Fr バックテンション
Ff 引張力

Claims (5)

  1. プラテン上の被印刷物に対して圧接させたインクリボン及び印字ヘッドを含む印字部をリリースさせる印刷装置の印字部リリース方法において、前記印字部をリリースさせる際における当該印字部が前記被印刷物から離れる前に、前記インクリボンに対するバックテンションを解除し、前記印字部が前記被印刷物から離れた後に、前記インクリボンに対してバックテンションを再付与するとともに、前記印字部をリリースさせる速度は、前記インクリボンを巻取る巻取リールの巻取量が少ないときに遅くし、巻取量が多いときに速くすることを特徴とする印刷装置の印字部リリース方法。
  2. 前記インクリボンを繰出す供給リールに接続して前記バックテンションを付与するトルクリミッタを前記供給リールから切離すことにより前記バックテンションを解除することを特徴とする請求項1記載の印刷装置の印字部リリース方法。
  3. 前記印字部をリリースさせる速度は、当該印字部をリリースさせるリリースモータの回転速度を制御して変更することを特徴とする請求項1記載の印刷装置の印字部リリース方法。
  4. プラテン上の被印刷物に対して圧接させたインクリボン及び印字ヘッドを含む印字部をリリースさせる印刷装置の印字部リリース方法において、前記印字部をリリースさせる際における当該印字部が前記被印刷物から離れる前に、前記インクリボンに対する前方への引張力を解除し、前記印字部が前記被印刷物から離れた後に、前記インクリボンに対して前記引張力を再付与するとともに、前記印字部をリリースさせる速度は、前記インクリボンを巻取る巻取リールの巻取量が少ないときに遅くし、巻取量が多いときに速くすることを特徴とする印刷装置の印字部リリース方法。
  5. 前記印字部をリリースさせる速度は、当該印字部をリリースさせるリリースモータの回転速度を制御して変更することを特徴とする請求項4記載の印刷装置の印字部リリース方法。
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