JP3605483B2 - 高純度金属・合金の精製方法および高周波真空溶解装置 - Google Patents

高純度金属・合金の精製方法および高周波真空溶解装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超高真空中で高純度の金属・合金, 例えば、鉄やその合金を精製する方法およびこの方法の実施に用いる高周波真空溶解装置に関するものである。近年、超高純度金属に関する研究が着実に進み、とくにその特性がこれまでの常識を超えるようなものであることなどが判明するにつれ、これらの超高純度金属材料を容易に使用できる形状にすることや、超高純度金属・合金を溶製 (精錬) する技術の確立が強く求められている。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属の精製には、真空溶解法、浮遊帯溶融法などが広く用いられており、これらはともに電子ビームや高周波誘導エネルギー等を熱源とする方法であり、特に後者の方法は溶融時に耐火物から不純物が入るおそれがなく有利な方法として注目されている。
また最近では、この両者を組み合わせた電子ビーム浮遊帯溶融法も提案されており、これらはいずれも10−6Torr程度の真空中で処理されるのが普通である。これらの従来方法の下で得られた最高純度の鉄は、抵抗比で3000程度のものである。
【0003】
その他に従来、図1に示すような、高真空容器内に配設した耐火物製るつぼ内金属を高周波誘導加熱する真空溶解装置による高純度金属の精製方法の提案もある。この方法は、真空容器101 内に耐火物製るつぼ102 を配設し、このるつぼ102 のまわりに高周波誘導加熱コイル103 を固定的に取付けた装置を使って真空誘導加熱する方法である。
【0004】
ところで、前記真空溶解装置において、真空容器101 内に配設されているるつぼ102 は、一般に、金属酸化物 (Al, MgO , CaOなど) を焼結成形したものであり、このるつぼの外側には誘導加熱コイル103 が配設されており、このコイル103 に高周波電流を通電することにより、るつぼ102 内の材料 (金属・合金) を誘導加熱して溶解するようになっている。この誘導加熱コイル103 は、水冷される銅パイプの外側を絶縁した構造を有し、この誘導加熱コイル103 には水冷ケーブル104 を介して外部の高周波電源105 からの高周波電流が通電できる。
なお、上記水冷ケーブル104 の真空容器101 貫通部分は絶縁−真空シール構造を有し、また、扉を含むフランジ部分や真空シール部はOリング (フッ素ゴムなど) などにて真空シールされている。
【0005】
この装置において真空排気は、油拡散ポンプ, 油回転ポンプ, メカニカルブースターポンプを組み合わせた真空ポンプ106 にて構成されており、到達真空度は耐火物製るつぼ102 , 真空容器101 , 水冷ケーブル104 などからの放出ガスの影響によっても異なるが、一般に10−5Torr程度である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術, とくに高真空誘導加熱技術による金属の精製の場合、次のような問題点があった。
▲1▼ 耐火物製るつぼを用いるため、このるつぼから無機化合物が母金属溶湯へ溶出すること、およびOの混入や吸着ガス (HO, N, O)の離脱が起きるために、超純度化が阻害される。
▲2▼ 水冷ケーブルや加熱コイル絶縁物から有機物 (ハイドロカーボン) や水分が発生し、雰囲気がHO リッチになること。
▲3▼ Oリングシール部などからOやCOが侵入して溶湯の酸化が起きること。
その結果、操業圧力 (真空度) の上昇を招き、とくにO, HO, COの分圧が高い雰囲気の溶解となって、金属の汚染を招くことである。例えば、Feの場合、溶鉄中のO濃度を10ppm 以下とするには雰囲気中のO分圧を1×10−10Torr 以下にする必要があるが、この点、上掲の各従来の技術の下ではこの真空度を実現することができなかった。
さらに、耐火物製るつぼから不純物の混入が起こることなどから、従来の高純度金属の精製方法および高周波真空溶解装置では、元の材料の純度さえ維持することが困難な状況にあった。
【0007】
以上説明したように、従来の高純度金属の精製技術については、精製方法の制約や装置の不備のために高純度化ができないばかりか、かえって不純物濃度を増加させるという問題点があった。
本発明の目的は、材料中の不純物濃度を低下させて、少なくとも元の材料の純度以上の純度にすることを可能にする、金属・合金の高純度化精製の方法を提案することにある。
本発明の他の目的は、金属等の高純度化精製に好適に用いられる高周波真空溶解装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決を目指して鋭意研究した結果、発明者らは次のような課題解決のための精製方法に想到した
【0009】
即ち、本発明は、真空槽内に配置した誘導加熱式るつぼ溶解炉内に被処理金属・合金を収容し、るつぼの外まわりに設けた誘導加熱コイルに通電して誘導加熱することにより、該るつぼ内金属・合金を溶解するに当たり、上記被処理金属・合金を水冷可能な金属製るつぼ内に装填し、その金属製るつぼでの溶解に先立ちまず、真空槽、るつぼおよび被処理金属・合金をともに予備加熱して乾燥し、その後、該真空槽内の全圧を1×10-8Torr以下に制御すると同時に、その精製雰囲気を、酸素分圧Po2を1×10-10Torr以下にし、H2による精錬効果が優勢になるように水素分圧をPH2/PH2O比で10以上,好ましくは20以上,より好ましくは100以上を示すようにH2供給量を制御し、かつ一酸化炭素分圧がPco/Pco2比で1以上を示すように到達真空度の制御を行うことを特徴とする高純度金属・合金の精製方法である。
【0010】
上記精製方法の実施のために使用する装置として本発明は、真空槽と高周波誘導加熱式るつぼ溶解炉とから主としてなり、この真空槽は、外設した熱交換器から供給される循環温水によって加熱可能な二重ジャケット構造を有すると共に、該槽内全圧を1×10-8Torr以下にするための真空ポンプを主要素とする真空排気系を有し、かつ該槽内雰囲気を、酸素分圧P o 2 を1× 10 -10 Torr 以下にし、水素分圧をP H2 /P H2O 比で 10 以上を示すように制御し、かつ一酸化炭素分圧がP co /P co 2 比で 10 以上を示すように到達真空度を調整するための制御ガス導入口を具えてなり、そして前記るつぼ溶解炉は、水冷可能な金属製るつぼとこのるつぼの外まわりに配設した水冷可能な高周波誘導コイルとによって構成されていることを特徴とする高周波真空溶解装置を提案する。
【0011】
なお、本発明において、上記金属製るつぼおよび高周波誘導コイルの冷却を、熱交換器の循環水を利用して行うことが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる精製方法に想到した理由について、発明者らが行った実験等の結果に基づいて説明する。
一般に、純鉄は、室温から溶解温度 (1540℃) までほとんど酸素を固溶しないが、高温において純鉄に酸素を反応させると、鉄(Fe)→ウスタイト(FeO) →マグネタイト(Fe )→ヘマタイト(Fe) と酸化物形態が遷移していくことはよく知られている。
図2は、酸素分圧(Po) が変化したときの鉄の酸化物の遷移を示したものである。この図に明らかなように、純鉄は、酸素分圧の上昇とともに鉄からヘマタイトへと遷移している。つまり、酸素分圧Poが10−4Torr以上と高い場合には、鉄の表面はウスタイト、マグネタイト、ヘマタイトの酸化物が厚く生成するが、10−5〜10−9Torr程度の酸素分圧(Po) になると、ウスタイト、マグネタイトの層が薄く生成することがわかる。従来の一般的な金属精製装置の精製雰囲気がこの状態である。
この点、酸素分圧Poが10−10Torr 以下になった場合には、酸化物 (ウスタイト) の生成が非常に遅れることになり、その分だけ高純度金属の精製を長時間にわたって安定して行うことができるようになる。
【0013】
ところが、発明者らの研究によれば、高純度金属の精製には、単に雰囲気中の真空度を上げるだけでは十分でないことがわかった。その理由は、純鉄表面を高温酸化させるガスとしては、一般に酸素が代表的なものと言えるが、発明者らの知見ではむしろ水蒸気のほうがその傾向が強いことが原因である。
【0014】
図3は、各雰囲気中でアームコ鉄を1000℃に加熱した場合に生成するウスタイト層の厚さと保持時間の関係を示したものである。この図より、鉄の表面は、水蒸気、酸素、空気、炭酸ガスの順序でウスタイトが生成し易いことがわかる。つまり、水蒸気は純鉄を一番激しく高温酸化させるものである。これは、水蒸気が鉄表面で酸素と水素に解離し、これが高温酸化を促進させるためであると考えられる。
【0015】
従って、高純度の金属・合金を精製するためには、上記真空度の制御にあわせてさらにHO を制御しなければならないことがわかる。そのために本発明では、真空雰囲気 (真空容器, るつぼ, 被処理金属・合金) を予備乾燥してHO の除去を図り、かつ PH2/ PH2O 比を制御することが有効であるとの結論を得た。
【0016】
図4は、酸化物の生成に及ぼす PH2/ PH2O と温度との関係を示すものであるが、この図に示すとおり、水素分圧(PH2) と水蒸気分圧(PH2O ) との比も、鉄の高温酸化に重要な因子となることが明白である。すなわち、Poを十分に小さくした場合には、 PH2/ PH2O が大きければ大きいほど、純鉄は高温酸化されることなく安定に存在することがわかる。
【0017】
そこで本発明では、超高真空技術を応用すると同時にHガス量の制御を併用して、その比(PH2/ PH2O ) を10以上とし、長時間の無酸化精製を可能なものとした。この点、通常の高真空精製雰囲気の場合は PH2/ PH2O が10−2程度であり、これでは図に示すとおり、鉄は広い温度域でマグネタイトが安定な領域になることがわかる。従って、従来の真空溶解装置によっては純鉄・鉄合金を長時間にわたって安定して精製することは困難であることがわかる。
【0018】
また、酸素や水蒸気だけでなく、炭酸ガスも弱いながら鉄を高温酸化させる。すなわち、炭酸ガスは酸素と一酸化炭素に解離して高温酸化を進行させるのである。従って、本発明においては、この炭酸ガスの制御も当然のことながら必要である。
図5に示すように、一酸化炭素分圧(Pco) と炭酸ガス分圧 (Pco) との比が正で、しかも大きくなるほど純鉄は高温でも安定である。従来の技術の場合は、Pco /Pcoが10−1程度であるためマグネタイトが安定である。この点、本発明では、このPco /Pco比を10以上にするが、この領域では金属鉄が安定であることがわかる。
【0019】
以上説明したように、高純度金属の精製に当たっては、精製雰囲気の真空度のみならず、酸素濃度、水蒸気濃度、炭酸ガス濃度が鉄の高温酸化に強く影響することがわかる。そこで、本発明では、こうした真空度, O, HO, CO各濃度制御の他、さらに必要に応じ、鉄および鉄酸化物の蒸気圧と温度の関係をも十分に考慮したうえで制御する。
たとえば、純鉄の精製を長時間にわたって行うための好適な条件は、真空容器内精製雰囲気の全圧は10−8Torr以下の超高真空域とすると同時に、この雰囲気中のPoを10−10Torr 以下、 PH2/ PH2O を10以上、Pco /Pcoを10以上とすることであるとの結論に達し、超高真空精製技術を開発した。
【0020】
また、発明者らは、高純度化のために、精製に与えるるつぼ耐火物の影響についても研究した。このるつぼ耐火物には、酸化物をはじめCl, S,Pb, Cなどの不純物が含まれている上、構成元素 (金属) の混入と同時にOの発生が不可避となる。また、マグネシア系耐火物などはその構成成分中の酸化物が解離し、溶鉄と反応して該溶鉄中にOを供給する。この反応例は、次式で示される。
MgO(s) =Mg(g) +2O(g)
すなわち、上記式に示すように、耐火物中に含まれるMgO, Al, SiO, CaO など酸化物からOが解離し、その解離したOが溶鉄中に還元される。
さらに、溶鉄と上記耐火物とはまた、下記のように直接的に反応してOを発生する。
Fe(l) +MgO(s) =Mg(g) +
つまり、この反応においてもまた、溶湯中の酸素濃度を上げることになる。
また、るつぼに関しては、溶鉄中のCによる耐火物の侵食が起こり、次式のように反応して一酸化炭素を発生する。
SiO(s) +2Si+2CO(g)
【0021】
このように、耐火物製るつぼによる溶解精製反応では、耐火物構成成分中の酸化物の解離、および溶鉄との反応によりOが溶鉄中に供給されるため、CまたはHによる溶鉄の脱酸限度は理論値よりもかなり大きくなり、100 ppm 級となることが多い。
その上、耐火物製るつぼで溶解精製する場合、耐火物中の金属成分が溶鉄中に溶出する傾向があり、特に、耐火物製るつぼ中のSiOについてはSiがFeと反応し、どんどんFe中に溶けだしてしまう。
【0022】
そこで、本発明では、使用するるつぼとして、水冷可能な金属るつぼを用いることで、上述した耐火物の影響を回避して、高純度金属の精製が可能となるようにする。
【0023】
なお、本発明精製方法において採用する超高真空下においては、Feの蒸気圧より蒸気圧の大きい不純物元素はすべて蒸発によって除去できる。すなわち、1600℃においてFeの蒸気圧は0.039Torr であるから、この蒸気圧より大きい物質、例えば、Al, Cu, Mg, Zn, Cは、蒸発除去の可能性がある。
とくに、FeOはFeよりほぼ全ての領域で蒸気圧は低いが、比重がFeの70%程度であり表面に集中するため蒸発除去の可能性が強い。
【0024】
なお、蒸発除去の場合においても、溶湯表面に蒸気が滞留し蒸発を抑制しないためにも平均自由工程を数m級の真空度にする必要がある。この点、従来の耐火物製るつぼによる溶解では、耐火物を構成する酸化物の蒸発があるため、溶湯表面の酸化物の蒸気圧が高くなり、溶湯中の不純物の蒸発除去が困難である。
【0025】
次に、上述した精製方法の実施に当たって用いる真空溶解装置について、図6に基づき説明する。
本発明にかかるこの装置は、主として真空槽1とその内部に収容される誘導加熱式るつぼ溶解炉2、真空ポンプ3、高周波電源4および熱交換器5とで構成されている。
【0026】
前記真空槽1は、均熱に有利な二重ジャケット構造になつていて、溶解に先立って予備加熱 (ベーキング) を行うために、そのジャケット内部には外設した温水循環系からなる熱交換器5からの冷水・温水 (常温〜約 110℃) が供給できるようになっている。
このように温水ジャケット構造にすると、真空槽1内の全ての構成成分を60℃以上にすることができ、槽内表面や槽内各種部品 (るつぼ, ワイヤーケーブル, コイル, その他の部品) から水蒸気の離脱・除去を図ることができる。
ただし、温水が利用できない場合、あるいはそうした構造部分 (のぞき窓や蒸着防止板) については、ヒーターを用いてもよい。
【0027】
前記溶解炉2は、水冷金属製るつぼ2aとこのるつぼの外まわりを包囲するように配設された高周波誘導加熱コイル2bとから構成されていて、これらは前記熱交換器5から供給される冷却水にて水冷できる。なお、上記るつぼ2aは、銅のような非磁性金属を用いることが好ましく、より好ましくは周方向を複数に分割してセラミックス等を介在させた形式のものがよい。
【0028】
前記真空ポンプ3は、槽内全圧を1×10−9Torr以下にしうる能力を具えるものであればよく、HO の排気に有利な液体窒素級のコールドトラップを具える真空排気系とする。
また、上記真空排気系とともにこの真空槽1には、大気復圧のための窒素ガスや槽内雰囲気調整のためのArガス, PH2/ PH2O 比制御のためのHガスなどの導入設備が付加してある。
【0029】
なお、前記真空槽1に対しては、その扉部のシール (Oリング) やワイヤケーブル, コイルのシール (Oリング) あるいは無機材料や樹脂絶縁材を用いたシールからのOの透過や漏洩を完全に防止しないと、1×10−10Torr 級の真空度が得られなくなるので、前記真空排気系のO分圧を常にさげる方向で操業を行うことが肝要である。好ましくは図6に示すように、例えば、誘導加熱コイル2bの導入部については、シール部分をガラスやセラミックス等の絶縁材料やテフロンのような有機物絶縁材料 (割れにくい) を併用するなどして、槽内と外部 (大気) との間にNパージ域6を設けることによってO分圧を下げるとよい。
【0030】
その他、この真空槽1には、ヒーター7にて加熱できるのぞき窓8を具えるとともに、こののぞき窓8下の槽内には、視界を確保するために、蒸発金属の蒸着を防止するための蒸着防止板9が設けられている。また、図示の10は、H, Ar, Nなどの制御ガス導入口、11はヒーターつきの各種センサである。
【0031】
【実施例】
この実施例は図6に示す真空溶解装置を使って純鉄の精錬を行った例である。ここで使用した真空溶解装置において溶解炉2としては、るつぼ2aは耐火物を一切使用しておらず、水冷式金属製るつぼであり、また、誘導加熱コイル2bは、一切絶縁物を使用しない構造のものを用いた。例えば、このるつぼ2aは、高周波電源, 誘導加熱コイルによって電力を与えられる形式のスリット付き水冷金属製るつぼを用いた。本発明においてこのようなるつぼを用いた理由は、上述した耐火物の問題が一掃できるからである。しかも、このような金属製るつぼでは、溶融金属の攪拌が極めて大きく溶存酸素などが均一に表面に現れるため、還元などの精錬作用が円滑に進むという付随する効果も認められる。
【0032】
はじめに、真空槽1内を、真空ポンプ3を介して目標とする到達真空度 (1×10−8Torr以上) になるように真空引きを行う。
次いで、溶解精製に先立ちまず、使用する真空槽, 金属製溶解炉, 誘導加熱コイル, 水冷ケーブル等を、熱交換器5の温水器5aからの温水 (≧60℃) を真空槽1のジャケット内に供給するなどして予備加熱する。溶解に先立つこの予備加熱 (ベーキング) により、真空槽1内部品の全ての表面 (槽内壁、るつぼ、加熱コイルなど) からHO の離脱と排気をはかり、溶解中に槽内にHO が発生しないようにした。この予備加熱 (ベーキング) は、溶解時に被溶解金属から噴出するガスが、冷えたるつぼ表面から被溶解金属中に離脱ガスの再吸着が起こることを防止するためにも有効に作用する。
次いで、高周波電源4から高周波誘導コイル2bに電力を供給し、るつぼ内被溶解金属 (鉄) を溶解した。
【0033】
こうした溶解条件の下で精製した結果、この実施例では通常の真空溶解炉より2桁以上放出ガス量を減らすことができ、酸素分圧Poは1×10−10Torr 以下になった。なお、使用した装置には、全圧で1×10−10Torr 以下にしうる形式の真空排気ポンプを備え、かつ少なくとも液体窒素級のコールドトラップを備えたものを用いて、HO の排気を特に強力に行なうことで、 PH2/ PH2O 比を大きくできるようにH 導入設備を有するものを用いた。
【0034】
なお、この精製に当たっては、水冷金属製るつぼを使用し、かつ真空槽やこの金属製るつぼおよび被溶解材料はそれぞれベーキングを行い、真空雰囲気中の主成分であったHO ガスを大幅に低減させ、さらにH導入設備により還元雰囲気を作り出し高純度金属を酸化させることなく溶解した。
また、真空容器内の精製雰囲気中全圧を1×10−8Torr以下に制御することにより、平均自由行程が数m以上とし、溶解時に溶湯中の不純物成分、ガス成分の蒸発除去を促進させることにした。
【0035】
次に、本発明にかかる精製方法によって高純度鉄を溶解精製した実施例につき説明する。
表1は、実施に供した被溶解材料 (原料鉄) の成分分析値を示す。
【表1】
Figure 0003605483
【0036】
表1の溶解材料を、本発明の必須要件とするベーキングを行なわなかったときの精製結果を表2に示す。この精製溶解実験では、酸素量がまだかなり高いことがわかる。
【表2】
Figure 0003605483
【0037】
次に、他の比較例として、本発明にかかる溶解装置を用いたが、シール部分などのリークによりわずかな真空漏れはあったがベーキングは行った精製例についてのインゴットの分析値を表3に示す。また、この精製時の到達真空度を表4に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0003605483
【0039】
【表4】
Figure 0003605483
【0040】
この表3、表4に示す結果から明らかなように、この例では酸素分圧がやや高く、 PH2/ PH2O が低いため成分中の酸素量が多くなっていることがわかる。ただし、Al, C, Cd, H,Mg, N, Pbは減少しており、多少のリークがあってもベーキングを行った場合には、これを省略した上記の例に比べ、相当改善されていることがわかった。
【0041】
次に、図6に示す本発明装置を用い、かつ本発明の精製条件を全部充足する方法での溶解実験を行った。
即ち、▲1▼酸素分圧を1×10−10Torr 以下とし、▲2▼H/HO を少なくとも100 以上はとるべくHO の発生を抑制し、▲3▼H/HO を100 以上とした場合においてもHを導入した場合、平均自由行程を1m以上確保できるHO 発生量とし、▲4▼CO/COを少なくとも10以上とれるべくCO発生を抑制するか、この酸化反応を抑制すべくCOの発生量を低下させ、▲5▼るつぼを通水冷却できるスリットを備えた水冷金属製るつぼとし、実質的に溶湯と接触する耐火物をなくし、そして、▲6▼るつぼ内溶解材料を誘導加熱して溶解する精製溶解方法を実施することにより、鉄の真空精錬 (特に脱酸) を行った。
この精製方法の下で得られたインゴットの分析値を表5に示す。また、表6はこの精製時の到達真空度を示す。
【0042】
【表5】
Figure 0003605483
【0043】
【表6】
Figure 0003605483
【0044】
表5、表6に示すように、本発明方法に適合する精製では、非常に良好な結果が得られた。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、極めて高純度の金属・合金を精製することができる。たとえば、本発明方法によれば、溶鉄中のOが30ppm 以上あれば、10ppm 級のCを1ppm 級以下にできると共に、H添加による脱酸精錬も可能である。すなわち、るつぼが水冷銅などの低温金属であるため、Oの供給、金属の溶出がなく、理論値にほとんど近い高純度の金属・合金を溶製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の真空溶解装置の略線図。
【図2】酸素分圧と鉄酸化物との関係を示すグラフ。
【図3】ウスタイト層に与える各種気体の影響を示すグラフ。
【図4】PH2/ PH2O と鉄酸化物との関係を示すグラフ。
【図5】Pco/Pcoと鉄酸化物との関係を示すグラフ。
【図6】本発明方法の実施に用いられる真空溶解装置の略線図。
【符号の説明】
1 真空槽
2 溶解炉
2a るつぼ
2b 誘導加熱コイル
3 真空ポンプ
4 高周波電源
5 熱交換器
6 Nパージ域
7 ヒーター
8 のぞき窓
9 蒸着防止板
10 制御ガス導入口
11 センサ

Claims (3)

  1. 真空槽内に配置した誘導加熱式るつぼ溶解炉内に被処理金属・合金を収容し、るつぼの外まわりに設けた誘導加熱コイルに通電して誘導加熱することにより、該るつぼ内金属・合金を溶解するに当たり、上記被処理金属・合金を水冷可能な金属製るつぼ内に装填し、その金属製るつぼでの溶解に先立ちまず、真空槽、るつぼおよび被処理金属・合金をともに真空下で予備加熱して乾燥し、その後、該真空槽内の全圧を1×10-8Torr以下に制御すると同時に、その精製雰囲気を、酸素分圧Po2を1×10-10Torr以下にし、水素分圧をPH2/PH2O比で10以上を示すように制御し、かつ一酸化炭素分圧がPco/Pco2比で10以上を示すように到達真空度の制御を行うことを特徴とする高純度金属・合金の精製方法。
  2. 真空槽と高周波誘導加熱式るつぼ溶解炉とから主としてなり、この真空槽は、外設した熱交換器から供給される循環温水によって加熱可能な二重ジャケット構造を有すると共に、該槽内全圧を1×10-8Torr以下にするための真空ポンプを主要素とする真空排気系を具える他、該槽内雰囲気を、酸素分圧P o 2 を1× 10 -10 Torr 以下にし、水素分圧をP H2 /P H2O 比で 10 以上を示すように制御し、かつ一酸化炭素分圧がP co /P co 2 比で 10 以上を示すように到達真空度を調整するための制御ガス導入口を具えてなり、そして前記るつぼ溶解炉は、水冷可能な金属製るつぼとこのるつぼの外まわりに配設した水冷可能な高周波誘導コイルとによって構成されていることを特徴とする高周波真空溶解装置。
  3. 上記金属製るつぼおよび高周波誘導コイルの冷却を、熱交換器の循環水を利用することを特徴とする請求項に記載の装置。
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