JP3605467B2 - 湯葉風味揚げこんにゃくの製造法 - Google Patents

湯葉風味揚げこんにゃくの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物と、豆乳とを主原料として用い、油ちょう処理を施して得られ、湯葉の風味を有する揚げこんにゃくの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
こんにゃくは、煮物やおでんなどに利用され、広く親しまれている日本古来の食品である。こんにゃくは、こんにゃく粉やこんにゃく芋をすりおろしたものを水で練ってこんにゃく糊にした後、石灰乳、炭酸ソーダ、水酸化ナトリウム等のアルカリを添加し、加熱してゲル化させることにより製造されている。
【0003】
なお、こんにゃくの原料となるこんにゃく芋には、貯蔵性多糖類であるグルコマンナン(こんにゃくマンナン)が約10重量%含まれており、こんにゃくはこのグルコマンナンを主成分としている。
【0004】
こんにゃくは、古来から長く親しまれている食品ではあるが、その食感、風味の上での製品の多様化はほとんどなされていなかった。しかし、近年、食生活の多様化に伴って、こんにゃくも、食感や風味に変化をもたせようとする試みがなされるようになってきた。
【0005】
そのような、試みの一つとして、こんにゃく糊中に、豆腐の粉砕物、海藻の粉末等の他の原料を含有させ、アルカリを添加し、加熱してゲルさせたこんにゃくが製造されている。このこんにゃくは、こんにゃくの組織中に、豆腐の粉砕物や、海藻の粉末等が分散して含有されたものとなっている。
【0006】
また、他の試みとして、ゲル化されたこんにゃくをスライスして減圧下に油ちょうしたマンナンチップス(特開昭60−24161号公報)や、本発明者が提案した、こんにゃく糊にアルカリを添加し、所定形状に成形して、少なくとも一部がゾル状態のまま油ちょうしたこんにゃく(特開昭62−104562 号公報)等がある。これらのこんにゃくは、製造工程に油ちょう処理を採用したものである。
【0007】
一方、湯葉、厚揚げ、油揚げ等は、大豆を原料として得られる食品であって、これらも日本古来から親しまれているものである。
【0008】
湯葉は、豆乳を加熱したときにできる蛋白質の皮膜であって、すまし汁の実等に用いられ、また、湯葉を油ちょうした料理もある。なお、湯葉のように薄く、柔らかいものを油ちょうするためには、高度の熟練した技術を要し、したがって、湯葉を油ちょうしたものは、かなり高価で、高級な料理とされている。
【0009】
また、厚揚げは、厚めに切った豆腐を油ちょうしたもので、網焼きしたり、煮物にしたりして食べられている。
【0010】
更に、油揚げは、豆腐を薄く切り、十分水切りした後、油ちょうしたもので、いなりずしの皮、きつねうどんの具等に広く利用されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記こんにゃく糊中に、豆腐の粉砕物、海藻の粉末等の他の原料を含有させたものは、こんにゃく中に他の原料が分散しているだけで、食感、風味は、あくまでこんにゃく特有のものであった。
【0012】
また、上記特開昭60−24161号公報に開示されたマンナンチップス、特開昭62−104562 号公報に開示されたこんにゃく、油ちょうした湯葉、厚揚げ、油揚げは、製造工程に油ちょう処理を含む点において共通であるが、それぞれ、こんにゃく、湯葉、厚揚げ、油揚げという特有の食感、風味を有しており、食感、風味の点における多様さや目新しさを有しているものではなかった。
【0013】
したがって、本発明の目的は、こんにゃく、大豆という日本古来からの原料を用いて、従来にない新しい食感、風味を有する湯葉風味揚げこんにゃくの製造法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の湯葉風味揚げこんにゃくの製造法は、こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物と、豆乳との混合物にアルカリを添加し、該混合物を攪拌しながら40〜85℃で10〜60分間加温して半ゲル化状態にした後、厚さ3〜5mmに成形し、120〜180℃で1〜30分間油ちょうすることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のもう一つの湯葉風味揚げこんにゃくの製造法は、こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物と、豆乳との混合物にアルカリを添加し、該混合物を成形容器に入れて40〜85℃で10〜60分間加温して半ゲル化状態にした後、厚さ3〜5mmに成形し、120〜180℃で1〜30分間油ちょうすることを特徴とする。
【0018】
更に、本発明においては、前記油ちょうを、120〜180℃で1〜30分間行う。より好ましくは、100〜130℃で3〜10分油ちょうし、その後、150〜180℃で10秒〜1分油ちょうするのがよい。
【0019】
なお、本発明においてグルコマンナン部分分解物とは、グルコマンナンを含有する原料に、グルコマンナーゼ、又はグルコマンナーゼを産生する菌の培養液を添加して、グルコマンナンを部分分解させたものを意味する。
【0020】
また、本発明において半ゲル化状態とは、ゾルからゲルに移行する中間の状態であって、完全にはゲル化されていない状態を意味する。より具体的には、例えば指で押したとき、弾力がなく塑性変形するような部分がまだ残っている状態を意味する。
【0021】
本発明の湯葉風味揚げこんにゃくの製造法では、こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物と、豆乳との混合物にアルカリを添加し、所定形状に成形して油ちょうするので、こんにゃくの生地中に豆乳が均一に混合された湯葉風味の揚げこんにゃくという、従来にない新しい食感、風味の食品が得られる。
【0022】
本発明の好ましい態様において、上記混合物を撹拌しながら加温して半ゲル化にした後、所定形状に成形して油ちょうする場合には、加温中に部分的にゲル化した粒子が分散して粘度が高くなるので、所望の形状に成形することが容易となり、この成形物を油ちょうした場合は、歯切れのよい食感の製品が得られる。
【0023】
また、上記混合物を成形容器に入れて加温し、半ゲル化状態にした後、成形容器から取り出して油ちょうする場合は、油ちょう中に混合物の形状がくずれることなく維持され、成形容器の内部形状をなす製品を得ることができる。
【0024】
なお、成形容器から取り出した半ゲル化状物を、そのまま油ちょうすれば厚揚げ又はがんものような形状となり、上記半ゲル化状物を厚さ3〜5mmにスライスして油ちょうすると、油揚げのような形状とすることができる。
【0025】
また、原料の一つとしてグルコマンナン部分分解物を用いた場合、グルコマンナンが分解されないでそのまま含まれているこんにゃく粉を原料として用いたものよりソフトで歯切れがよいものとなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明においてこんにゃく粉は、こんにゃく芋をすりおろした後、乾燥させて調製される一般的なものをそのまま用いることができる。
【0027】
本発明においてグルコマンナン部分分解物は、グルコマンナンを含有する原料に、グルコマンナーゼ、又はグルコマンナーゼを産生する菌の培養液を添加して、グルコマンナンを部分分解させたものを用いる。
【0028】
グルコマンナンを含有する原料としては、グルコマンナンを含有するものであれば特に限定されないが、通常、こんにゃく芋をすりおろしたものや、こんにゃく芋から調製されたこんにゃく粉等を用いることができる。
【0029】
その製造法の一例として、一般的に入手しやすいこんにゃく粉を用いたものについて説明すると、まず、こんにゃく粉1重量部に対して水30〜40重量部を加えて膨潤させてこんにゃく糊を形成した後、このこんにゃく糊にグルコマンナーゼを作用させて酵素分解させる。
【0030】
こんにゃく糊にグルコマンナーゼを作用させる方法としては、予め精製酵素あるいは粗酵素として調製されたグルコマンナーゼを添加することもできるが、製造コストの点からグルコマンナーゼを産生する菌の培養液を添加して分解させることが好ましい。
【0031】
グルコマンナーゼを産生する菌としては、バチルス属に属するグルコマンナーゼ生産菌、特には、好熱性のバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)が好ましく用いられる。このような菌の好ましい例としては、FERM BP−4993として工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されているバチルス・コアグランス 304 (Bacillus coagulans 304)株が挙げられる。
【0032】
なお、バチルス・コアグランス 304 株の培養液を調製するための培地としては、例えば、大豆10gを一晩水に浸漬し、水を加えて100 gとし、ミキサー等ですり潰した後、100 ℃に加熱して濾過し、次いで、120 ℃で、15分間滅菌した豆乳培地が好ましく用いられる。
【0033】
また、バチルス・コアグランス 304 株の培養液は、グルコマンナンを含有する原料、例えばこんにゃく粉に水を加えて調製したこんにゃく糊に、約10〜60℃の温度下で添加するのが好ましく、作用させる時間によって部分分解の程度をかえることができるが、通常は20〜120 分間作用させることが好ましい。
【0034】
こうして、グルコマンナンをグルコマンナーゼによって部分分解したものが、本発明でいうグルコマンナン部分分解物である。なお、グルコマンナン部分分解物は、必要に応じて乾燥、粉末化して用いることもできる。乾燥粉末化する方法としては、上記分解物を凍結乾燥後、80℃以上に加熱して酵素を失活させる方法等が好ましく採用される。
【0035】
本発明において豆乳は、砕いた大豆に水を加えた後、煮沸することにより調製される一般的なものを用いることができる。
【0036】
本発明においてアルカリは、通常こんにゃくを製造する際に用いるもの、例えば、石灰乳、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、卵殻カルシウム、貝殻カルシウム等の水溶液又は水分散液を用いることができる。
【0037】
本発明においては、こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物と、豆乳とを混合し、アルカリを添加した後、この混合物を所定形状に成形して直ちに油ちょうしてもよいが、好ましくは、上記混合物を撹拌しながら加温して半ゲル化状態にした後、所定形状に成形して油ちょうするか、あるいは、上記混合物を成形容器に入れて加温し、半ゲル化状態にした後に、成形容器から取り出して油ちょうする。
【0038】
上記混合物を所定形状に成形して直ちに油ちょうした場合には、混合物の粘性が低いために、油ちょう中に形状がくずれてしまうという問題がある。これに対して、上記混合物を加温して半ゲル化状態にした後、油ちょうする場合には、油ちょうする前の形状を維持して所望の形状の製品を作ることができる。
【0039】
なお、上記成形容器としては、加熱温度下に耐えられるものであれば、所望の形状のものを用いることができ、例えば、合成樹脂フィルムでできた袋状のケーシングや、所定形状の箱などを用いることができる。この場合、容器の内面が滑らかなものを用いることにより、製品の表面につやが出て、湯葉に似た外観の食品を得ることができる。
【0040】
次に、本発明の湯葉風味揚げこんにゃくの製造法について、より好ましい態様を挙げて説明する。
【0041】
まず、こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物と、豆乳とを混合してこんにゃく糊を形成する。こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物と、豆乳との混合割合は、こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物(固形分)1gに対して、固形分濃度2〜15重量%の豆乳20〜50mlとするのが好ましい。
【0042】
なお、こんにゃく粉と豆乳とを混合してこんにゃく糊を形成した後、グルコマンナーゼ又はグルコマンナーゼを産生する菌の培養液を添加してこんにゃく粉中のグルコマンナンを部分分解させてもよい。この場合、上記のようにしてこんにゃく糊を調製した後、グルコマンナーゼ又はグルコマンナーゼを産生する菌の培養液を添加、混合し、室温で20〜120 分間放置して、グルコマンナンを部分分解する。なお、この状態で、グルコマンナーゼを産生する菌が生きていても、後に行う油ちょうにより滅菌される。
【0043】
上記こんにゃく糊には、必要に応じて、青のり、ごま、唐辛子、ひじき、卵白、大豆等の副原料を添加してもよい。また、しょうゆ等の調味料を添加して味付けしてもよく、色素等を添加して着色してもよい。
【0044】
次に、上記こんにゃく糊に、アルカリを添加する。なお、こんにゃく糊中に直接アルカリを添加することなく、こんにゃく糊をアルカリを含む水溶液中に浸漬してアルカリを含漬させることもできる。こんにゃく糊にアルカリを添加すると、次第に粘性を増して粘度の高いゾル状となる。なお、アルカリを添加した後、水中に浸漬してあく抜きをしてもよい。
【0045】
次いで、このこんにゃく糊を撹拌しながら加温して半ゲル化状態にするか、あるいは上記こんにゃく糊を成形容器に入れ、加温して半ゲル化状態にする。前述したように、半ゲル化状態とは、ゾルからゲルに移行する中間の状態であって、完全にはゲル化されていない状態をいう。加温は、湯中浸漬、蒸煮等の各種手段が採用でき、40〜85℃で10〜60分間行う。加温条件が上記よりも少ない場合は、ゲル化の程度が不十分となって、後の油ちょう時に形状がくずれやすく、加温条件が上記よりも多い場合は、ゲル化の程度が進み過ぎ、油ちょうしたときに、表面に軟らかい揚げ皮ができにくく、全体として弾力性のないものになるので好ましくない。なお、加温方法は、湯煎、蒸煮、オーブンに入れる等のいずれの方法であってもよい。
【0046】
こんにゃく糊を撹拌しながら加温して半ゲル化状態にした場合には、粘度が高くなるので、例えばドラム成形機等で所望の形状に成形して、油ちょうすることができる。また、成形容器に入れて加温し、半ゲル化状態にした場合には、成形容器から取り出して油ちょうする。
【0047】
なお、こんにゃく粉に豆乳を加えた生地は、こんにゃく特有のつるつる感が少なくなり、餅っぽい生地となるので、通常の包あん機を用いて、内部に小豆餡、味噌、挽き肉、野菜等の具材を包あんさせた食品を製造することもできる。この場合、本発明で得られるこんにゃくは、通常のこんにゃくよりも離水が少なく、石灰臭も少ないので、内部の具材の風味を損なうことがない。
【0048】
本発明において、前記油ちょうは、120〜180℃で1〜30分間行うが、より好ましくは、100〜130℃で3〜10分油ちょうし、その後、150〜180℃で10秒〜1分油ちょうするのがよい。
【0049】
本発明において、上記こんにゃく糊を所定のブロック状、あるいは比較的厚い板状に成形して油ちょうした場合は、厚揚げ又はがんものような製品が得られ、3〜5mmにスライスして油ちょうした場合は、油揚げのような製品が得られる。スライスして油ちょうすることにより油揚げのような製品にする場合、油ちょうの温度及び時間を調整したり、アルカリの添加量を調整することにより、表面に揚げ皮ができていて、内部に一部ゾル状態が残った製品を得ることもできる。この場合には、豆腐から製造される通常の油揚げと同様に内部を開いて寿司飯、餅、卵、肉、野菜等の具を詰めることができる。
【0050】
上記のようにして製造される湯葉風味揚げこんにゃくは、こんにゃく成分と豆乳成分とが均一に混合された湯葉風味を有する揚げこんにゃくであって、従来にない新しい食感、風味の食品である。
【0051】
【実施例】
実施例1
固形分濃度7重量%の豆乳2000mlに、こんにゃく粉45.6gを入れて、10分間撹拌した後、アルカリとして石灰3.2 gを水200ml に溶解させた溶液を加えて撹拌してこんにゃく糊を得た。
【0052】
次いで、このこんにゃく糊を、ポリエチレンフィルム製で、直径3cm、長さ15cmの筒状袋に入れて封をし、80℃の湯中で、30分間茹でた。
【0053】
その後、筒状袋から取り出し、120 ℃で、3分間油ちょうし、更に170 ℃で10秒間油ちょうして、厚揚げ風の湯葉風味揚げこんにゃくを得た。
【0054】
試験例1
実施例1で得られた厚揚げ風の湯葉風味揚げこんにゃくと、上記と同じ条件で油ちょうした市販のこんにゃく(比較例1)と、市販の厚揚げ(比較例2)とを用意し、通常煮物に用いるしょうゆとみりんとを加えただし汁で煮た後、5人のパネラーに食べさせて食感、風味を評価させた。
【0055】
その結果、実施例1の厚揚げ風の湯葉風味揚げこんにゃくは、湯葉の風味を有し、表面に軟らかい皮があり、内部は滑らかな口当たりで、だし汁のしみ込みもよく、従来にない新しい、食感、風味であるという評価を得た。
【0056】
これに対し、比較例1の油ちょうしたこんにゃくは、表面に硬く、ぼそぼそした皮ができており、また、だし汁のしみ込みが悪く、こんにゃく特有の食感、風味がむしろ損なわれているという評価であった。更に、比較例2の厚揚げは、通常の厚揚げ特有の単調な食感、風味であるという評価がなされた。
【0057】
実施例2
実施例1と同様のこんにゃく粉、豆乳、アルカリを用い、実施例1と同様にしてこんにゃく糊を得た。
【0058】
得られたこんにゃく糊を、撹拌しながら80℃で30分間湯煎した。このこんにゃく糊を、ドラム成形機で厚さ5mmの板状に成形し、110 ℃で、10分間油ちょうして、油揚げ風の湯葉風味揚げこんにゃくを得た。
【0059】
この油揚げ風の湯葉風味揚げこんにゃくは、内部にゾル状態の部分が残っているため、縦方向中央部で切断し、表裏面をそれぞれ引っ張ることにより、中央部を開くことができ、袋状とすることができた。
【0060】
試験例2
実施例2で得られた油揚げ風の湯葉風味揚げこんにゃくと、市販の油揚げ(比較例3)とを、通常煮物に用いるしょうゆとみりんとを加えただし汁で煮た後、5人のパネラーに食べさせて食感、風味を評価させた。
【0061】
その結果、実施例2の油揚げ風の湯葉風味揚げこんにゃくは、湯葉の風味を有し、かつ、こんにゃくの食感、風味も有しており、今までにない新しい食感、風味であるという評価を得た。これに対して、比較例3の油揚げは、油揚げ特有の単調な食感、風味であるという評価であった。
【0062】
実施例3
大豆10gを、一晩水に浸漬し、水を加えて100 gとし、ミキサーですり潰した後、100 ℃に加熱して濾過し、次いで、120 ℃で、15分間滅菌して豆乳培地を調製した。次に、この豆乳培地に、バチルス・コアグランス 304 株(FERM BP−4993)を接種し、55℃で16時間培養して、バチルス・コアグランス 304 株の培養液を得た。
【0063】
こんにゃく粉1重量部と、固形分濃度12重量%の豆乳50重量部とを混合、撹拌した後、上記製造例で得られたバチルス・コアグランス 304 株の培養液0.28重量部を添加し、20℃の室温下に、100 分間作用させて、グルコマンナン部分分解物と豆乳との混合物を得た。
【0064】
次いで、この混合物に、0.15重量%の石灰水を5重量部添加した後、実施例1と同様なポリエチレンフィルム製の筒状袋に入れて封をし、80℃の湯中で、30分間茹でた。
【0065】
その後、筒状袋から取り出し、120 ℃で、3分間油ちょうし、更に170 ℃で10秒間油ちょうして厚揚げ風の湯葉風味揚げこんにゃくを得た。
【0066】
得られた厚揚げ風の湯葉風味揚げこんにゃくを、みりんとしょうゆを含むだし汁で煮て食べたところ、実施例1の厚揚げ風の湯葉風味揚げこんにゃくと同様に、湯葉の風味を有し、新しい食感、風味を有している上、実施例1のものより更にだし汁のしみ込みがよく、ソフトで、歯切れもよいものであった。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物と、豆乳との混合物にアルカリを添加し、所定形状に成形した後、油ちょうすることによって、こんにゃくの生地中に豆乳が均一に混合された湯葉風味の揚げこんにゃくという、従来にない新しい食感、風味の食品を製造することができる。

Claims (2)

  1. こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物と、豆乳との混合物にアルカリを添加し、該混合物を攪拌しながら40〜85℃で10〜60分間加温して半ゲル化状態にした後、厚さ3〜5mmに成形し、120〜180℃で1〜30分間油ちょうすることを特徴とする湯葉風味揚げこんにゃくの製造法。
  2. こんにゃく粉及び/又はグルコマンナン部分分解物と、豆乳との混合物にアルカリを添加し、該混合物を成形容器に入れて40〜85℃で10〜60分間加温して半ゲル化状態にした後、厚さ3〜5mmに成形し、120〜180℃で1〜30分間油ちょうすることを特徴とする湯葉風味揚げこんにゃくの製造法。
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