JP3605307B2 - 化粧用塗布具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は乾燥状態でも柔軟な発泡体からなる化粧用塗布具、特にプレスドパウダリーファンデーション用の化粧用パフに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では、使い勝手の良さからプレスドパウダリーファンデーション(固形状粉末化粧料)が非常に多用されており、その化粧料の進歩により粉末のきめも細かくなり、また肌への付きやのりが非常に改善されている。このプレスドパウダリーファンデーション用の化粧用塗布具としては、乾燥状態でも柔軟な発泡体、例えば、ポリウレタン発泡体やNBR等の合成ゴム発泡体からなり、その側面が研磨されたスポンジパフが通常使用されている。このスポンジパフは一般に次のようにして製作されているものである。
【0003】
柔軟な発泡体シートを所定の寸法に打ち抜いて裁断するか、または筒状に成型した柔軟な発泡体を所定の厚み幅にスライスするか、等により所定の寸法にし、この発泡体の側面を曲面に研磨して化粧用パフに加工する。
【0004】
この研磨には、特公昭50−12636号公報に開示されているような、高速回転砥石による方法が採用されており、例えば円形のものでは所定寸法の円形発泡体の側面に凹面を有する回転砥石を押し当てて短時間に研磨する。四角形その他特定の形状では、回転砥石の凹面に押し当てる発泡体を所定形状のカムを用いて追従させて自動的に側面の研磨を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の回転砥石による柔軟な発泡体の研磨は、研磨面(側面)と天面との境に必ず研削の縁角が残りこれを避けることはできなかった。化粧用塗布具として研磨面と天面との境に研削縁角が残ることは好ましくなく、使用時に滑らかさが劣り違和感があったが、従来技術では解決することができなかった。
【0006】
従来の裁断されまたはスライスされて側面を研磨されたパフでは、化粧料塗布面となる天面がスライスされたままの状態で使用され、非常に滑らかなものとなっている。しかし、最近のように化粧料自体の付きが良く、またパウダリーファンデーションのきめが細かくなると、パフの発泡体の発泡孔の中にファンデーションが入り込みケーキング(目詰まり)を起こしてしまい、すぐにパフが汚れたり、あるいは化粧料がパフに付きにくくなったり、あるいは化粧料のパフから肌へののり移りが悪くなったりするという現象が見られるようになっている。
【0007】
従来の研磨のもう一つの問題点は、発泡体が柔軟になるほど研磨が困難になることであり、極めて柔軟な発泡体は高速研磨で引きちぎられて凹凸が発生し研磨不能となる。最近では極めて柔軟な発泡体のパフが望まれるようになり、従来の研磨方法では対応できなかった。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、従来の問題点であった研磨面と天面との境の研削縁角がなく、使用時に優れた滑らかさが得られ、化粧料の塗布が一層行い易く、パウダリーファンデーションによるケーキングが起こり難いような化粧用塗布具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、柔軟な発泡体シートを打ち抜きまたは裁断した、或いは筒状に成型した柔軟な発泡体をスライスした、乾燥状態で柔軟な発泡体からなる化粧用塗布具において、前記発泡体の全表面が研磨されて、前記塗布具の側面および化粧料塗布面となる天面が全面的に研磨されケーキングが起こり難い状態であり、側面と化粧料塗布面との境の周縁は研削縁角のない滑らかな曲面となっていることを特徴とする化粧用塗布具により前記目的を達成する。
【0011】
また、本発明によれば、内部に研磨材が設けられている回転容器内に、化粧用塗布具の側面および化粧料塗布面となる天面を具備した乾燥状態でも柔軟な発泡体を入れて前記回転容器を回転させることにより前記発泡体を研磨することにより化粧用塗布具を製造することができる。
【0012】
【実施例】
本発明の化粧用塗布具は次のようにして製造できる。
【0013】
乾燥状態でも柔軟な発泡体としては、ポリウレタン、ニトリル・ブタジエンラバー(NBR)、シリコンラバー、等による独立気泡、または連続気泡の発泡体が使用される。先ず、これら発泡体を所定寸法に打ち抜きまたは裁断する。一方、発泡体を収納する容器の内部には研磨材を設ける。
【0014】
容器は、球形、円筒形、多角筒形、ドーナツ式筒形等の適宜形状のものとできる。内部に設置する研磨材としては、グラインダーに使用される布ヤスリ、サンドペーパー等が使用できる。研磨材は容器の内面に貼着したり、容器の内部に攪拌羽根を設けて、その攪拌羽根の表面に研磨材を貼着したりすればよい。攪拌羽根は容器の運動とは別に攪拌回転ができるようにすることが好ましく、容器内部に投入した柔軟な発泡体の研磨効果を高めることができる。
【0015】
研磨材を設けた容器内に乾燥状態で柔軟な発泡体を投入して、容器を回転、揺動、振動、転動など適宜に動かすことにより、研磨材と発泡体との間で三次元的な相対運動が生じ、発泡体が研磨される。この場合、発泡体は軽量であり、容器が動くにつれ、種々に向きを変えるので、最終的に発泡体の全表面が研磨されることになる。例えば、容器の中心を軸として回転させると、発泡体は研磨材に軽く接触しながら容器内で上下左右前後に移動し、その結果、発泡体の側面および周縁が研削の縁角のない滑らかな曲面に研磨されるとともに、同時に天面も研磨され、天面の感触がソフトでまろやかな仕上がりとなる。天面がソフトに研磨されたことによりパウダリーファンデーションの天面への付きと天面からの落ちが良くなり、ケーキングが起こり難い優れた化粧用塗布具が得られる。
【0016】
また、本発明において極めて柔軟な発泡体を研磨する場合に、発泡体に化学的方法または物理的方法で処理を施して、一時的に硬度を高めて研磨をすることが有効である。
【0017】
このような化学的方法としては、可溶性の合成樹脂または糊剤を用いる方法があり、ポリビニールアルコール、澱粉、ゼラチン、カゼイン、CMC、アルギン酸ソーダー、等の水溶液に浸漬し、過剰の液を絞って乾燥することによって硬度を高めることができる。研削後に洗浄処理によって硬化剤を除去して元の柔軟性に戻す。
【0018】
一方、物理的な方法により硬度を高めるには液体窒素等により凍結処理をする方法がある。
【0019】
本発明では、従来のように高速回転の砥石に押し当てるのと異なり、砥面との当たりがマイルドで比較的低速であるので、極めて柔軟な発泡体でも引きちぎられることなく滑らかな研磨が可能であるが、効率よく研磨を行うには一時的に硬度を高めて研磨を行うことが有効である。
【0020】
〔実施例1〕
ルビセルWH−505E2(ポリウレタン湿式発泡シート、密度0.12g/cm3 、F硬度35、トーヨーポリマー株式会社製品)の厚さ8mmのシートを45mm×55mmの形状に裁断した。この裁断した柔軟な発泡体150個を、50Lの回転ドラム容器(#180、サンドペーパーを内面全体に貼着した)に入れ15時間回転をした。その結果、ルビセル発泡体の側面および周縁並びに天面が研磨され、側面と天面との境目の周縁には研削縁角が全くなく滑らかな曲面となり、天面はソフトで柔らかに研磨された。プレスドパウダリーファンデーションの使用の結果は、滑らかで使用感が抜群であった。尚、化粧料の使用によるケーキングの発生はなかった。
【0021】
〔実施例2〕
NBRラテックス発泡体からなる長径60mm楕円筒状の成型体を厚さ幅を8mmにスライスして、密度0.144g/cm3 、F硬度60の楕円型のシート状物を得た。次いで、該楕円型シート状物の側面および周縁を従来技術による回転砥石により研磨した。側面は研磨されたが、研磨面と天面の境の周縁に研削縁角が残り、天面はスライスされたままの面であった。
【0022】
#150のサンドペーパーを内面に貼着した六角形をした回転容器(容積50L)の中に、上記の従来技術により研磨されたシート状発泡体を200個投入して8時間回転した。その結果、発泡体の側面および周縁はまろやかに研磨されていて、研削縁角が全くなくなり滑らかな研磨の曲面となった。天面はソフトで柔らかに研磨された。プレスドパウダリーファンデーションの使用の結果は、使用感は極めて滑らかであった。化粧料のケーキングの発生は認められなかった。
【0023】
〔実施例3〕
ルビセルWH−501UZE2(ポリウレタン湿式発泡体、トーヨーポリマー株式会社製品)の厚さ8mm、密度0.12g/cm3 、F硬度30の極めて柔軟な発泡体からなるシートを、デンカポバールB−05S(ポリビニールアルコール、電気化学工業株式会社製品)5%水溶液に浸漬した後、絞り率を90%に絞り、ロールで絞液して80℃で60分乾燥して一時的に硬くして、40mm×50mmの形状に裁断した。裁断した150個を50Lの回転容器(#150のサンドペーパーを内面に貼着した円形回転ドラム)に入れて4時間回転した。次いで40℃20分の湯洗いによりPVAを除去して元の柔軟度に復元した。この発泡体の如く極めて柔軟なものでは従来技術による研磨は無理であったが、本発明の方法により研磨が可能であった。研磨の効果を高めるためにPVAにより一時的に硬くすることにより研磨の均一性と研磨時間の短縮が得られた。発泡体の側面および周縁は研磨されていて研削縁角が全くなく、滑らかな研磨の曲面が得られ、天面はソフトで柔らかに研磨することができた。プレスドパウダリーファンデーションの使用の結果は使用感は滑らかであり、ケーキングの心配はなかった。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、研磨面(側面)と天面との境の研削縁角がなく、滑らかな曲面とした化粧用塗布具が得られ、この塗布具は使用時に優れた滑らかさが得られ、化粧料の塗布がより行い易い。また、乾燥状態で柔軟なパフの化粧料塗布面となる天面を研磨したことにより、パウダリーファンデーションによるケーキングが起こり難い。
Claims (3)
- 柔軟な発泡体シートを打ち抜きまたは裁断した、或いは筒状に成型した柔軟な発泡体をスライスした、乾燥状態で柔軟な発泡体からなる化粧用塗布具において、前記発泡体の全表面が研磨されて、前記塗布具の側面および化粧料塗布面となる天面が全面的に研磨されケーキングが起こり難い状態であり、側面と化粧料塗布面との境の周縁は研削縁角のない滑らかな曲面となっていることを特徴とする化粧用塗布具。
- 乾燥状態で柔軟な発泡体が合成ゴムからなる発泡体であることを特徴とする請求項1に記載の化粧用塗布具。
- 乾燥状態で柔軟な発泡体がポリウレタン発泡体であることを特徴とする請求項1に記載の化粧用塗布具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36672798A JP3605307B2 (ja) | 1998-12-24 | 1998-12-24 | 化粧用塗布具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36672798A JP3605307B2 (ja) | 1998-12-24 | 1998-12-24 | 化粧用塗布具 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33836394A Division JP2919764B2 (ja) | 1994-12-31 | 1994-12-31 | 化粧用塗布具の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH11239514A JPH11239514A (ja) | 1999-09-07 |
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Family
ID=18487515
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36672798A Expired - Fee Related JP3605307B2 (ja) | 1998-12-24 | 1998-12-24 | 化粧用塗布具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3605307B2 (ja) |
-
1998
- 1998-12-24 JP JP36672798A patent/JP3605307B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH11239514A (ja) | 1999-09-07 |
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