JP3605025B2 - コンベアシステムのモニタリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローラコンベア等のコンベアシステムのモニタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のローラコンベアシステムとして、搬送ラインを複数の制御ゾーンに分割し、各制御ゾーン毎にゾーンコントローラを設けて、ゾーン制御(分散制御)によるゼロプレッシャー蓄積(ZPA)式の搬送を行うように構成したものが、例えば、特開平11−199030号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の分散制御方式のコンベアシステムで、主搬送ラインとは別に、分岐ラインやピッキングラインを設け、主搬送ラインを搬送されている多数の搬送物のうち所望の特定の搬送物のみを分岐ラインやピッキングラインに移送させようとする場合、移送指示のための操作やモニター、さらには移送指示に応じてコンベアシステムを動作させるための付加的な管理制御システムが必要となる。
【0004】
しかし、デバイスネットなどのオープンネットワークを介してコンピュータによる管理制御システムが集中制御を行う構成とすれば、各構成機器の価格が割高であり、上記多数の制御ゾーンを備えるコンベアシステムではトータルコストが非常に高くなってしまう。
【0005】
また、プログラマブルコントローラ(PLC)を用いた制御システムの場合、各機器毎に信号線が必要となって配線が複雑化し、システム構築やメンテナンス性が悪く、配線作業に時間がかかるために、結果的にオープンネットワークの場合よりもコスト高となってしまう。
【0006】
一方、モニタや操作を行うための汎用コンピュータにて管理や制御を行い、比較的安価な通信システム(ネットワークシステム)を介してコンベアシステム側と各種信号の送受信を行う構成とした場合、該通信システムの応答速度が十分でなく、コンベアシステムの各制御ゾーンの搬送用駆動モータの制御に遅延時間が生じて、適切な位置に正確に搬送物を停止させたり、円滑なゼロプレッシャー搬送の実現に支障をきたす。例えば、搬送速度を60m/分とした場合、0.1秒の遅延時間で搬送物は10cm移動してしまい、搬送物の正確かつ円滑な搬送制御を行うことができない。
【0007】
そこで、本発明は、安価な通信システムを採用する場合でも、通常の搬送動作は分散制御により行い、ピッキングやストックなどの特定の動作を行わせるための指令を管理制御システムから出力することによって、全体システムのコスト削減、分散制御システムの複雑化の回避、メンテナンス性の確保、正確かつ円滑な動作制御の実現、搬送ラインの変更容易性の確保などを図ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
本発明は、搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分され、各制御ゾーン毎に搬送物の有無を検知する在荷センサが設けられ、分散制御システムにより各制御ゾーン毎の搬送制御が行われるコンベアシステムのモニタリング装置であって、CPU、記憶装置及び表示装置を備えるコンピュータと、該コンピュータに対し前記在荷センサの検知信号を供給する通信装置とを備え、前記コンピュータの記憶装置にはモニタープログラム並びに管理用データ群とが記憶されており、前記モニタープログラムは前記CPUにより処理され、前記管理用データ群は前記プログラムで参照されるものであり、前記管理用データ群は、コンベアシステムの搬送ラインを定義するライン配置定義データと、該ライン配置定義データに関連付けることで搬送ライン上の各搬送物の位置を定義する搬送物位置データとを備え、前記モニタープログラムは、前記ライン配置定義データで定義された搬送ラインのライン構成図を前記表示装置に表示する第1のステップと、前記搬送物位置データを前記在荷センサの検知信号に基づいて更新する第2のステップと、前記搬送物位置データで定義された各搬送物の位置に対応する前記表示装置に表示されたライン構成図上の所定の位置に、各搬送物を示すイメージ及び/又は文字を表示する第3のステップとを有し、搬送ライン上の搬送物の位置表示をリアルタイムで更新することを特徴とするものとすることができる。
【0009】
上記モニタープログラムは、分散制御システムに対する割込コマンドを受け付けるステップと、受け付けたコマンドを記憶装置に記憶するステップと、記憶されたコマンドを解釈して各コマンドに応じて予め定められた指令信号を分散制御システムに出力するステップとを備えることができる。これによれば、点検や作業が必要となった搬送物をピックアップしたり行先変更したりするための割込コマンドを所望のときに入力することができる。入力されたコマンドは記憶装置に順次記憶され、その入力順に、若しくは、各コマンドで指定された動作が実行可能になった順に、順次解釈・処理され、指令信号が分散制御システムに出力され、コンベアの分散制御システムに所望の動作を行わせることができる。
【0010】
上記モニタリングシステムは、コンベアシステムの搬送ラインの所定の位置に設けられたバーコードリーダ等の搬送物識別装置を備えることができる。該装置は、搬送物が通過する際に該搬送物に付された識別符号を読み取るとともに、該識別符号データを前記通信装置により前記コンピュータに送信する。これによれば、各搬送物をユニークな識別符号で管理でき、上記所望の動作を行わせる搬送物の特定や指示の容易化を図ることができる。
【0011】
なお、上記システムを構成する制御基板、通信機器、モータ等の駆動機器などの各種機器は、すべてDC電源機器とするのが好ましい。これによれば、AC電源線とDC電源線の両方を長い搬送ライン全体に取り回す必要がなく、電源線をも省配線化し、さらに二線式送受電通信装置の採用により電源供給線と信号線とを併用して、更なる省配線化を図ることも可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
また上記した発明は、搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分され、各制御ゾーンには搬送用駆動モータが設けられたコンベアシステムの制御装置であって、搬送物を搬送するべく各モータを起動・停止させるメイン搬送制御のためのローカルロジックを組み込んだコントロールユニットと、前記メイン搬送制御とは別の特定動作を行わせるための動作指令を出力する管理制御システムと共に実施することができる。
【0013】
上記コンベアシステムは、搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分され、各制御ゾーンに搬送用駆動モータが設けられたものであるから、各制御ゾーンの駆動モータをそれぞれ独立して起動・停止させることができ、搬送物が存在しない制御ゾーンを停止させることで省電力化を図ることができ、また、搬送物が搬送されてくる直前に該ゾーンの駆動モータを起動しておくことにより、円滑かつ高速な搬送を行わせることも可能である。
【0014】
また、メイン搬送制御のためのローカルロジックを組み込んだコントロールユニットにより各ゾーンの駆動モータの起動・停止の制御を行うので、制御の応答速度を良好なものとすることができ、高速搬送が可能となる。さらに、特定動作のための動作指令を、コントロールユニットとは別の管理制御システムから出力させることにより、各コントロールユニットの構成が簡素化されるとともに、各コントロールユニット間や、各種センサとの配線が簡素化され、システム全体としてのメンテナンス性の向上、コスト低減を図ることができる。
【0015】
上記ローカルロジックは、各制御ゾーン毎に設けることができ、これにより制御ゾーン毎に独立した制御を行わせることができる。
【0016】
さらに、管理制御システムはモータの起動・停止を直接制御する必要はなく、応答速度の良好なコントロールユニットにモータの直接的な起動・停止の制御を行わせることができ、管理制御システムとしてオープンネットワークなどの高価なものを採用する必要がなく、パーソナルコンピュータと安価な通信装置(ネットワークシステム)を用いた安価なものを採用することが可能となる。このような通信装置としては、例えば、株式会社アイオイ・システムの「AI−NET」を採用でき、特許第2787976号公報に詳細に掲載された二線式送受電通信方法及び装置を採用できる。
【0017】
上記コンベアシステムは、各制御ゾーン毎に搬送物の有無を検知する在荷センサが設けられたものとすることができる。これによれば、制御ゾーン毎に、搬送物の有無を検知することができ、この検知信号を各種制御に用いることができる。
【0018】
各ローカルロジックは、その制御対象の制御ゾーン及びその上下流側に隣接する制御ゾーンの在荷センサの検知信号を入力信号とすることが好ましい。これによれば、各制御ゾーンのメイン搬送制御(例えば、各制御ゾーンを搬送動作させるか停止させるかの制御)のためのローカルロジックの入力に、下流側センサの検知信号を用いるため、下流側の制御ゾーンに搬送物が停止若しくは停滞しているときには当該制御ゾーンの搬送動作を停止させ、搬送物同士が衝突しないように制御することができ(ゼロプレッシャー制御)、また、上流側センサの検知信号を用いているため、搬送物が自ゾーン内に搬送されてくる直前に当該ゾーンの搬送動作を起動しておくことができ、これにより搬送の高速化と円滑化とを図ることができる。
【0019】
上記管理制御システムは、監視対象とする全ての制御ゾーンの在荷センサの検知信号が入力され、これら検知信号に基づいて搬送ライン上の搬送物の搬送状態を監視及び/又は管理するように構成できる。これによれば、在荷センサの検知信号を、コントロールユニットによる分散制御と、モニター管理とに用いているので、それぞれ個別にセンサを設けた場合に比してセンサ数が半減するとともに、メイン搬送制御とモニターとに用いる信号が同一であってこれらが同期的なものとなるので、リアルタイムの監視及び/又は管理システムを容易に構成できる。
【0020】
また、管理制御システムは、特定動作を行わせる所定の搬送物が、特定動作を行わせる制御ゾーンに搬送されると該ゾーンの制御を行うコントロールユニットに前記動作指令を出力するように構成できる。これによれば、搬送物の搬送状態の監視及び/又は管理を行う管理制御システムを、特定動作のための動作指令の出力にも用いることで、搬送物の搬送状態の監視若しくは管理用のデータを用いて所定ゾーンでの特定動作のための動作指令を生成できる。
【0021】
上記コントロールユニットは、上記動作指令を入力すると、上記ローカルロジックによるメイン搬送制御に代えて、特定動作を行わせるための特定動作制御を行うものとすることができる。これによれば、管理制御システムは、搬送状態を管理しつつ所定の搬送物が目的位置まで搬送されるときに動作指令を出力すればよく、各ゾーンの搬送用駆動モータの制御は、動作指令を受けるコントロールユニットに行わせることによって、遅延時間なく正確な搬送動作を行わせることができる。また、コントロールユニットは、管理制御システムからの特定動作指令を受けないときには、それ単独でメイン搬送制御を行うものであるから、管理制御システムがダウンしたり、動作指令を伝送する信号線にトラブルが発生した場合でも、通常の搬送動作を行わせることができる。
【0022】
上記管理制御システムから各コントロールユニットへの動作指令の送信と、各在荷センサの検知信号の管理制御システムへの送信は、二本の電力線を用いて送受電と信号の相互通信とを行う二線式送受電通信装置(例えば、株式会社アイオイ・システムの「AI−NET」)により行うことができる。これによれば、信号線が簡素化し、省配線で多数の在荷センサの検知信号を管理制御システムに集約させることができる。さらに、コンベアシステム側の各種電気機器の電力を、上記二線式送受電通信装置から供給することもでき、電源配線も簡素化し、長距離の搬送ラインも比較的容易かつ低コストで構築できる。
【0023】
また、本発明の制御装置は、主搬送路の中途部に分岐路を有する搬送ラインを備え、該搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分されて各制御ゾーン毎に搬送制御が行われ、各制御ゾーン毎に搬送物の有無を検知する在荷センサが設けられ、分岐路が接続される主搬送路内の制御ゾーンには、搬送物を主搬送路から分岐路へ移載する移載装置が設けられたコンベアシステムに好適に採用できる。
【0024】
この本発明のコンベアシステムの制御装置は、主搬送路上で搬送物の所定の搬送動作を行うべく各制御ゾーン毎の搬送制御を前記在荷センサの検知信号に基づいて行うとともに前記移載装置の作動制御を行う分散制御手段と、前記在荷センサの検知信号が入力される管理制御手段とを備えたものとすることができる。これによれば、分散制御手段により主搬送路上のメイン搬送制御を行わせることができるため、管理制御手段の構築が不完全な場合や管理制御手段にトラブルが発生した場合でも、通常の搬送動作を行うことができる。
【0025】
また、上記管理制御手段(管理制御システム)は主搬送路上を搬送される所定の搬送物を分岐路に移載させるべく前記分散制御手段(分散制御システム)に搬出指令を出力するよう構成できる。これによれば、分散制御手段の構成の複雑化を回避しつつ、所定の搬送物の搬送状態を管理制御手段にて管理し、ロジック回路やコンピュータプログラムなどにより搬出指令を生成して分散制御手段に出力できる。したがって、管理制御手段を搬送ライン上の搬送物のモニター装置として使用しつつ、該モニター装置により所定の搬送物の分岐路への行先変更指令を行わせる構成とすることができる。
【0026】
また、上記分散制御手段は、管理制御手段からの搬出指令を入力すると所定の搬送物を分岐路が接続される制御ゾーン内に停止させ且つ前記移載装置を作動させる構成とすることができる。このように、管理制御手段からの指令を、まず分散制御手段に出力し、この分散制御手段が指令に応じた移載装置や搬送用駆動モータの制御を行うようにすることで、移載装置による分岐路への移載動作を、遅延時間なく制御して正確かつ円滑に行わせることができ、分散制御手段と管理制御手段との通信装置(ネットワーク機器など)として安価なものを採用しても支障なく制御できる。
【0027】
上記本発明の制御装置において、コンベアシステムは、各制御ゾーン毎に搬送用駆動モータが設けられるとともに、各ゾーンのモータ毎に駆動制御用のモータドライブユニット(駆動回路部)が設けられ、さらに、前記移載装置の駆動制御用の移載ドライブユニットを備えたものとすることができる。なお、モータドライブユニットと移載ドライブユニットとは、同一構成としてもよく、別構成であってもよい。
【0028】
また、上記分散制御手段は、複数のゾーンコントロールユニットを備え、各制御ゾーンの搬送制御は、いずれかのゾーンコントロールユニットにおいて、自ゾーンの在荷センサの検知信号と、その上下流側の隣接ゾーンの在荷センサの検知信号とを入力とするセンサロジックにより自ゾーンの搬送動作の起動・停止を判定することにより行なうように構成できる。なお、各制御ゾーンのゾーンコントロールユニットとモータドライブユニットとは、同一基板上に回路配置されていてもよく、別基板上に回路構成されていてもよい。また、複数のゾーンコントロールユニットと複数のモータドライブユニットが同一基板上に回路配置されていてもよい。また、ゾーンコントロールユニットは、そのセンサロジックが論理回路により主構成されていてもよく、センサロジックをソフトウェアにより実現する制御プログラムを処理するCPUにより主構成されていてもよい。CPU基板によりゾーンコントロールユニットを構成する場合、一のゾーンコントロールユニットに複数の制御ゾーンのモータドライブユニットを接続して、ソフトウェアにより各制御ゾーンへの制御指令を個別に出力するように構成することもできる。また、ゾーンコントロールユニットやモータドライブユニットは、各ゾーンのコンベアユニットに固定することが好ましく、これによれば、ラインの組み替えなどを行うためのコンベアユニットを移動させる際に、該コンベアユニット内の制御ゾーンの制御のためのゾーンコントロールユニットやモータドライブユニットの着脱が不要となるし、分散制御方式を採用するため、ライン変更を頻繁に行っても配線が複雑化することがない。
【0029】
また、各ゾーンコントロールユニットには、その制御対象である制御ゾーンの在荷センサの検知信号を入力させることができる。なお、複数の制御ゾーンの搬送制御を司るゾーンコントロールユニットには、該複数の制御ゾーンの在荷センサの検知信号をすべて入力させることができる。
【0030】
また、隣接する他のゾーンコントロールユニット間で相互に隣接ゾーンの在荷センサの検知信号を送受信するよう構成できる。ここで、複数の制御ゾーンの搬送制御を司るゾーンコントロールユニットの場合は、他のゾーンコントロールユニットが制御するゾーンに隣接している制御ゾーンのみの検知信号を送受信すればよい。
【0031】
上記管理制御手段からの搬出指令は、分岐路が接続される制御ゾーンの搬送制御を行うゾーンコントロールユニットに入力させることができる。これによれば、移載装置による搬送物の行先変更動作に無関係な制御ゾーンのゾーンコントロールユニットの構成を簡素化しつつ、該無関係な制御ゾーンにおいては搬出指令の出力の有無に関わらず通常の搬送制御を行うことができる。
【0032】
上記ゾーンコントロールユニットは、管理制御手段からの搬出指令を入力すると、前記センサロジックによる搬送制御を無効化し、所定の搬送物を分岐路が接続される制御ゾーン内に停止させ且つ前記移載装置を作動させるための指令信号を該ゾーンのモータドライブユニット並びに移載ドライブユニットに出力することができる。これによれば、搬出指令がないときには、センサロジックによる通常の搬送制御を行うことができ、一方、搬出指令があったときには、センサロジックよりも搬出指令を優先して、モータドライブユニット及び移載ドライブユニットに所定の搬送物を分岐路に移載するための一連の指令信号を出力し、これら指令信号を受けた各ドライブユニットにより該搬送物の行先変更動作を行わせるように移載装置等の駆動制御を行うことができる。
【0033】
また、本発明は、搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分され、各制御ゾーン毎に搬送制御が行われる分散制御方式のコンベアシステムの制御装置であって、所定の搬送動作を行うべく各制御ゾーン毎の分散制御を行う分散制御システムと、前記所定の搬送動作とは異なる特定の動作を行わせるべく分散制御システムに指令信号を出力する管理制御システムとを備えていることを特徴とするものである。これによれば、搬送ライン上の通常の搬送動作のための制御を分散制御システムにより行うことで、応答速度の良好な制御を行うことができ、搬送速度を高速化した場合でも正確かつ円滑なゼロプレッシャー搬送を行わせることができる。また、ピッキングや行先変更などの特定の動作を起動するための指令信号を管理制御システムから分散制御システムに出力することで、分散制御システムに指令信号に応じたモータの制御等を行わせることができ、管理制御システムの応答速度が0.1秒〜0.2秒程度であっても、上記特定の動作をも正確かつ円滑に行うことができる。
【0034】
上記本発明の制御装置において、上記搬送ラインは、主搬送ラインと、該主搬送ラインの中途部に設けられた取出ラインとを備えることができる。また、主搬送ライン上の搬送物の搬送動作の制御を分散制御システムにより行い、主搬送ラインと取出ラインとの間の搬送物の搬出・搬入動作の起動指令信号を管理制御システムで生成し、該指令信号を受けた分散制御システムが、搬送物の搬出・搬入動作の制御を優先的に行うように構成できる。
【0035】
また、上記管理制御システムは、搬送ライン上の各搬送物の位置を追跡する搬送物位置追跡手段を備えることができる。これによれば、搬送ライン上の搬送物の位置をリアルタイムで画面表示したり、追跡データに基づいて警報を行うことも可能となる。
【0036】
さらに、主搬送ラインを搬送される搬送物のうち予め定めた所定の搬送物が取出ラインまで搬送されたとき、該搬送物を主搬送ラインから取出ラインに搬出させる動作を分散制御システムに行わせるべく、管理制御システムは分散制御システムに指令信号を出力することができる。
【0037】
上記搬送物位置追跡手段は、記憶装置を有するコンピュータと、主搬送ラインの所定の位置を通過する各搬送物に付された識別符号を読み取る識別符号読み取り装置とを備えることができる。
【0038】
コンピュータの記憶装置には、搬送ラインを構成する各制御ゾーンに存在する搬送物の識別符号を管理する搬送物位置データと、該搬送物位置データを各制御ゾーンに設けた在荷センサの検知信号の変化に応じて更新するプログラムとを記憶させることができる。これによれば、搬送物の搬送状態をゾーン単位で管理することができる。さらに、在荷センサの検知信号の変化に応じて搬送物位置データを更新するので、搬送状態のゾーン単位の管理をリアルタイムで行うことができる。なお、上記プログラムはコンピュータのCPUで実行することができ、上記搬送物位置データは上記プログラムで参照することができる。
【0039】
さらに、上記搬送物位置データに基づいて予め定めた所定の搬送物が取出ラインまで搬送されたことを判別することができる。なお、ここで「取出ラインまで」とは、取出ラインの直前まで搬送された場合をも含むものであり、指令信号の出力のタイミングや、該指令信号が出力されてから実際に搬出動作のための制御が開始されるタイミングなどによって適宜調整できる。
【0040】
上記分散制御システムは、各制御ゾーンの搬送用駆動モータの駆動制御を行うべく各制御ゾーン毎に設けられた複数のモータドライブユニットと、複数のゾーンコントロールユニットとを備えることができる。
【0041】
各制御ゾーンの搬送用駆動モータは、いずれか一のモータドライブユニットによりそれぞれ独立して駆動制御され、各モータドライバーはいずれか一のゾーンコントロールユニットにより生成された搬送指令信号に基づいて搬送用駆動モータの駆動制御を行うように構成できる。
【0042】
各ゾーンコントロールユニットは、それぞれの制御対象である制御ゾーンの在荷センサの検知信号の入力部を備えることができる。また、各ゾーンコントロールユニットは、それぞれの制御対象である制御ゾーンに隣接する他の制御ゾーンを制御する他のゾーンコントロールユニットとの間で互いに隣接する制御ゾーンの在荷センサの検知信号を相互に入出力するための入出力部を備えることができる。
【0043】
また、各ゾーンコントロールユニットは、各制御ゾーンの搬送指令信号を、当該制御ゾーン及びその上下流側の制御ゾーンの在荷センサの検知信号に基づいて生成する演算手段とを備えることができる。これによれば、モータドライブユニットへの搬送指令信号(例えば、起動・停止を指示する信号の他、正転・逆転を指示する信号、搬送速度を指示する信号などを含むことができる)をゾーンコントロールユニットが生成して出力し、該搬送指令信号を入力するモータドライブユニットは、該指令に応じた態様でモータを動作させるようにフィードバック制御することができる。上記ゾーンコントロールユニットはデジタル回路により主構成することができ、上記モータドライブユニットはアナログ回路により主構成することができる。
【0044】
また、上記管理制御システムからの指令信号は、所定のゾーンコントロールユニットに入力させることができる。このゾーンコントロールユニットは、前記指令信号に応じた搬送指令信号を、前記演算手段により生成される搬送指令信号に優先してモータードライブユニットに出力することができる。ここで、「優先して」とは、管理制御システムからの指令信号があったときには当該指令信号に応じた搬送指令信号をモータドライブユニットに出力すれば足り、当該指令信号が入力されたときには上記演算手段を停止若しくは無効化することによって実現してもよく、共に生成された2つの搬送指令信号のうち、優先される方を選択して出力するように構成してもよい。
【0045】
上記各制御ゾーンは、自ゾーン内の搬送物の有無を検知する在荷センサとを備え、分散制御システムは、前記センサの検知信号に基づいて各制御ゾーンの搬送制御を行うとともに、前記センサの検知信号は管理制御システムに入力されるように構成できる。これによれば、センサの検知信号を、各制御ゾーンの搬送動作の起動・停止を定めるローカルロジックに用いるのみならず、管理制御システムにも入力させることによって、該管理制御システムにおいて搬送ライン上の搬送物の搬送状態の監視を行うことができるとともに、その監視データに基づく特定動作のための制御を行うことができる。
【0046】
また、管理制御システムは、CPU、記憶装置及び表示装置を備えるコンピュータと、該コンピュータの記憶装置に実装される制御プログラム並びに制御用データ群とを備えることができる。ここで、制御プログラムはCPUにより処理(実行)され、制御用データ群は前記プログラムで参照されるものである。
【0047】
前記制御用データ群は、コンベアシステムの搬送ラインを定義するライン配置定義データと、該ライン配置定義データに関連付けることで搬送ライン上の各搬送物の位置を定義する搬送物位置データとを備えることができる。これによれば、実際のライン構成の模式図を、上記データに基づいてコンピュータの表示装置に画面表示させることができるとともに、そのライン構成図上の搬送物が存在する位置に記号や文字などを表示させることで、搬送状態のモニタリングを行うことも可能となる。
【0048】
前記制御プログラムは、前記ライン配置定義データで定義された搬送ラインのライン構成図を前記表示装置に表示する第1のステップと、前記搬送物位置データを前記在荷センサの検知信号に基づいて更新する第2のステップと、前記搬送物位置データで定義された各搬送物の位置に対応する前記表示装置に表示されたライン構成図上の所定の位置に、各搬送物を示すイメージ及び/又は文字を表示する第3のステップとを有し、搬送ライン上の搬送物の動作をリアルタイムで表示するものとすることができる。
【0049】
また、本発明は、搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分され、各制御ゾーンには搬送用駆動モータが設けられたコンベアシステムの制御方法である。この制御方法では、搬送物を搬送するべく各モータを起動・停止させるメイン搬送制御は、ローカルロジックを組み込んだコントロールユニットで行い、前記メイン搬送制御とは別の特定動作のための制御を、前記コントロールユニットに通信線を介して接続した管理制御システムにより行うことができる。そして、管理制御システムから特定動作のための指令信号をコントロールユニットに出力することで特定動作を行わせることができる。
【0050】
上記本発明の制御方法において、コンベアシステムは、各制御ゾーン毎に搬送物の有無を検知する在荷センサが設けられ、各ローカルロジックは、その制御対象の制御ゾーン及びその上下流側に隣接する制御ゾーンの在荷センサの検知信号を入力信号とすることができる。そして、管理制御システムに、監視対象とする全ての制御ゾーンの在荷センサの検知信号を供給し、これら検知信号に基づいて搬送ライン上の搬送物の搬送状態を監視及び/又は管理させるとともに、特定動作を行わせる所定の搬送物が、特定動作を行わせる制御ゾーンに搬送されると該ゾーンの制御を行うコントロールユニットに前記動作指令を出力させ、該動作指令を入力したコントロールユニットに、ローカルロジックによるメイン搬送制御に代えて、特定動作を行わせるための特定動作制御を行わせることができる。
【0051】
さらに、管理制御システムから各コントロールユニットへの動作指令の送信と、各在荷センサの検知信号の管理制御システムへの送信は、二本の電力線を用いて送受電と信号の相互通信とを行う二線式送受電通信装置により行うこともできる。
【0052】
本発明は、搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分され、各制御ゾーンには搬送用駆動モータが設けられたコンベアシステムの制御装置であって、搬送物を搬送するべく各制御ゾーンの搬送用駆動モータを起動・停止させる通常の主搬送動作を行わせるメイン搬送制御のためのローカルロジックを組み込んだコントロールユニットと、前記メイン搬送制御とは別の特定動作を行わせるための動作指令を出力する管理制御システムとを備え、前記ローカルロジックは、各制御ゾーン毎に設けられているものとして実施できる。
【0053】
上記コンベアシステムは、ローラコンベアシステムであってもよく、ベルトコンベアシステムであってもよく、ローラコンベアとベルトコンベアの混在型のものであってもよい。
【0054】
上記搬送ラインは、上流側から下流側へ搬送物を搬送するストレートラインであってもよく、環状の巡回ラインであってもよい。さらに、搬送ラインは、分岐路や、ストックラインや、ピッキングゾーンを有するものであってもよい。
【0055】
また、搬送ラインは、分割構成された複数のコンベアユニットを搬送方向に順次接続することによって構成することができ、また、所望の位置に、ストックラインやピッキングゾーンを構成するための補助ユニットを接続することもできる。
【0056】
上記した各コンベアユニットにより一つの制御ゾーンを構成してもよく、一つのコンベアユニットが、さらに複数の制御ゾーンに区分されていてもよく、複数のコンベアユニットにより一つの制御ゾーンを構成することもできる。
【0057】
各制御ゾーンの搬送用駆動モータは、ローラコンベアの場合は駆動ローラの駆動源として用いることができ、ベルトコンベアの場合は搬送ベルトの駆動源として用いることができる。好ましくは、上記搬送用駆動モータを内蔵するローラ(モータ内蔵ローラ)を、ローラコンベアの駆動ローラや、ベルトコンベアのベルト駆動源として用いるのが良い。
【0058】
前記ローカルロジックは論理回路により構成してもよく、ソフトウェアで構成することもできる。
【0059】
メイン搬送制御とは別の特定動作としては、搬送物のピッキング(搬出)、行先変更、ストックラインへの搬出などを挙げることができる。
【0060】
また、本発明は、各制御ゾーン毎に搬送物の有無を検知する在荷センサが設けられ、各ローカルロジックは、その制御対象の制御ゾーン及びその上下流側に隣接する制御ゾーンの在荷センサの検知信号を入力信号とする上記コンベアシステムの制御装置であって、管理制御システムは、監視対象とする全ての制御ゾーンの在荷センサの検知信号が入力され、これら検知信号に基づいて搬送ライン上の搬送物の搬送状態を監視及び/又は管理するとともに、特定動作を行わせる所定の搬送物が、特定動作を行わせる制御ゾーンに搬送されると該ゾーンの制御を行うコントロールユニットに前記動作指令を出力し、前記コントロールユニットは、前記動作指令を入力すると、前記ローカルロジックによるメイン搬送制御に代えて、特定動作を行わせるための特定動作制御を行うものとして実施できる。
【0061】
上記搬送物の搬送状態の監視は、例えば搬送状態をモニター画面に表示することや、コンピュータ内部で所定の条件の判定を行うこと等によって行うことができ、また、搬送状態の管理は、各搬送物の搬送位置データの更新管理などを含む。また、上記特定動作としては、搬送物のピッキング、ストックラインへの搬出、搬送物の巡回などを挙げることができる。
【0062】
また、管理制御システムから各コントロールユニットへの動作指令の送信と、各在荷センサの検知信号の管理制御システムへの送信は、二本の電力線を用いて送受電と信号の相互通信とを行う二線式送受電通信装置により行うことができる。
【0063】
また、本発明は、主搬送路の中途部に分岐路を有する搬送ラインを備え、該搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分されて各制御ゾーン毎に搬送制御が行われ、各制御ゾーン毎に搬送物の有無を検知する在荷センサが設けられ、分岐路が接続される主搬送路内の制御ゾーンには、搬送物を主搬送路から分岐路へ移載する移載装置が設けられたコンベアシステムの制御装置であって、主搬送路上で搬送物の所定の搬送動作を行うべく各制御ゾーン毎の搬送制御を前記在荷センサの検知信号に基づいて行うとともに前記移載装置の作動制御を行う分散制御手段と、前記在荷センサの検知信号が入力される管理制御手段とを備え、管理制御手段は主搬送路上を搬送される所定の搬送物を分岐路に移載させるべく前記分散制御手段に搬出指令を出力し、前記分散制御手段は、管理制御手段からの搬出指令を入力すると所定の搬送物を分岐路が接続される制御ゾーン内に停止させ且つ前記移載装置を作動させることを特徴とするものとすることができる。
【0064】
上記制御装置において、各制御ゾーン毎に搬送用駆動モータが設けられるとともに、各ゾーンのモータ毎に駆動制御用のモータドライブユニットが設けられ、前記移載装置の駆動制御用の移載ドライブユニットを備え、前記分散制御手段は、複数のゾーンコントロールユニットを備え、各制御ゾーンの搬送制御は、いずれかのゾーンコントロールユニットにおいて、自ゾーンの在荷センサの検知信号と、その上下流側の隣接ゾーンの在荷センサの検知信号とを入力とするセンサロジックにより自ゾーンの搬送動作の起動・停止を判定することにより行い、各ゾーンコントロールユニットには、その制御対象である制御ゾーンの在荷センサの検知信号が入力されるとともに、隣接する他のゾーンコントロールユニット間で相互に隣接ゾーンの在荷センサの検知信号が送受信され、管理制御手段からの搬出指令は、分岐路が接続される制御ゾーンの搬送制御を行うゾーンコントロールユニットに入力され、該ゾーンコントロールユニットは、管理制御手段からの搬出指令を入力すると、前記センサロジックによる搬送制御を無効化し、所定の搬送物を分岐路が接続される制御ゾーン内に停止させ且つ前記移載装置を作動させるための指令信号を該ゾーンのモータドライブユニット並びに移載ドライブユニットに出力するものとすることができる。
【0065】
また、本発明は、搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分され、各制御ゾーン毎に搬送制御が行われる分散制御方式のコンベアシステムの制御装置であって、所定の搬送動作を行うべく各制御ゾーン毎の分散制御を行う分散制御システムと、前記所定の搬送動作とは異なる特定の動作を行わせるべく分散制御システムに指令信号を出力する管理制御システムとを備えているコンベアシステムの制御装置として実施できる。
【0066】
前記搬送ラインは、主搬送ラインと、該主搬送ラインの中途部に設けられた取出ラインとを備え、主搬送ライン上の搬送物の搬送動作の制御を分散制御システムにより行い、主搬送ラインと取出ラインとの間の搬送物の搬出・搬入動作の起動指令信号を管理制御システムで生成し、該指令信号を受けた分散制御システムは、搬送物の搬出・搬入動作の制御を優先的に行うことができる。
【0067】
前記管理制御システムは、搬送ライン上の各搬送物の位置を追跡する搬送物位置追跡手段を備え、主搬送ラインを搬送される搬送物のうち予め定めた所定の搬送物が取出ラインまで搬送されたとき、該搬送物を主搬送ラインから取出ラインに搬出させる動作を分散制御システムに行わせるべく、管理制御システムは分散制御システムに指令信号を出力することができる。
【0068】
前記搬送物位置追跡手段は、記憶装置を有するコンピュータと、主搬送ラインの所定の位置を通過する各搬送物に付された識別符号を読み取る識別符号読み取り装置とを備え、前記コンピュータの記憶装置には、搬送ラインを構成する各制御ゾーンに存在する搬送物の識別符号を管理する搬送物位置データと、該搬送物位置データを各制御ゾーンに設けた在荷センサの検知信号の変化に応じて更新するプログラムとが記憶されており、前記搬送物位置データに基づいて予め定めた所定の搬送物が取出ラインまで搬送されたことを判別することができる。
【0069】
前記分散制御システムは、各制御ゾーンの搬送用駆動モータの駆動制御を行うべく各制御ゾーン毎に設けられた複数のモータドライブユニットと、複数のゾーンコントロールユニットとを備え、各制御ゾーンの搬送用駆動モータは、いずれか一のモータドライブユニットによりそれぞれ独立して駆動制御され、各モータドライバーはいずれか一のゾーンコントロールユニットにより生成された搬送指令信号に基づいて搬送用駆動モータの駆動制御を行い、各ゾーンコントロールユニットは、それぞれの制御対象である制御ゾーンの在荷センサの検知信号の入力部と、それぞれの制御対象である制御ゾーンに隣接する他の制御ゾーンを制御する他のゾーンコントロールユニットとの間で互いに隣接する制御ゾーンの在荷センサの検知信号を相互に入出力するための入出力部と、各制御ゾーンの搬送指令信号を、当該制御ゾーン及びその上下流側の制御ゾーンの在荷センサの検知信号に基づいて生成する演算手段とを備え、前記管理制御システムからの指令信号は、所定のゾーンコントロールユニットに入力され、該ゾーンコントロールユニットは、前記指令信号に応じた搬送指令信号を、前記演算手段により生成される搬送指令信号に優先してモータードライブユニットに出力することができる。
【0070】
また、各制御ゾーンは、自ゾーン内の搬送物の有無を検知する在荷センサを備え、分散制御システムは、前記センサの検知信号に基づいて各制御ゾーンの搬送制御を行うとともに、前記センサの検知信号は管理制御システムに入力されるように構成できる。
【0071】
また、前記管理制御システムは、CPU、記憶装置及び表示装置を備えるコンピュータと、該コンピュータの記憶装置に実装される制御プログラム並びに制御用データ群とを備え、前記制御プログラムは前記CPUにより処理され、前記制御用データ群は前記プログラムで参照されるものであり、前記制御用データ群は、コンベアシステムの搬送ラインを定義するライン配置定義データと、該ライン配置定義データに関連付けることで搬送ライン上の各搬送物の位置を定義する搬送物位置データとを備え、前記制御プログラムは、前記ライン配置定義データで定義された搬送ラインのライン構成図を前記表示装置に表示する第1のステップと、前記搬送物位置データを前記在荷センサの検知信号に基づいて更新する第2のステップと、前記搬送物位置データで定義された各搬送物の位置に対応する前記表示装置に表示されたライン構成図上の所定の位置に、各搬送物を示すイメージ及び/又は文字を表示する第3のステップとを有し、搬送ライン上の搬送物の動作をリアルタイムで表示することもできる。
【0072】
また、本発明は、搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分され、各制御ゾーンには搬送用駆動モータが設けられたコンベアシステムの制御方法であって、搬送物を搬送するべく各制御ゾーンの搬送用駆動モータを起動・停止させて通常の主搬送動作を行わせるメイン搬送制御は、ローカルロジックを組み込んだコントロールユニットで行い、前記メイン搬送制御とは別の特定動作のための制御を、前記コントロールユニットに通信線を介して接続した管理制御システムにより行い、該システムから特定動作のための指令信号をコントロールユニットに出力することで特定動作を行わせることを特徴とするコンベアシステムの制御方法として実施できる。
【0073】
上記制御方法において、各制御ゾーン毎に搬送物の有無を検知する在荷センサが設けられ、各ローカルロジックは、その制御対象の制御ゾーン及びその上下流側に隣接する制御ゾーンの在荷センサの検知信号を入力信号とすることができる。さらに、前記管理制御システムに、監視対象とする全ての制御ゾーンの在荷センサの検知信号を供給し、これら検知信号に基づいて搬送ライン上の搬送物の搬送状態を監視及び/又は管理させるとともに、特定動作を行わせる所定の搬送物が、特定動作を行わせる制御ゾーンに搬送されると該ゾーンの制御を行うコントロールユニットに前記動作指令を出力させ、該動作指令を入力したコントロールユニットに、ローカルロジックによるメイン搬送制御に代えて、特定動作を行わせるための特定動作制御を行わせることもできる。
【0074】
また、前記管理制御システムから各コントロールユニットへの動作指令の送信と、各在荷センサの検知信号の管理制御システムへの送信は、二本の電力線を用いて送受電と信号の相互通信とを行う二線式送受電通信装置により行うことができる。
【0075】
また、本発明は、搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分され、各制御ゾーン毎に搬送物の有無を検知する在荷センサが設けられ、分散制御システムにより各制御ゾーン毎の搬送制御が行われるコンベアシステムのモニタリング装置であって、CPU、記憶装置及び表示装置を備えるコンピュータと、該コンピュータに対し前記在荷センサの検知信号を供給する通信装置とを備え、前記コンピュータの記憶装置にはモニタープログラム並びに管理用データ群とが記憶されており、前記モニタープログラムは前記CPUにより処理され、前記管理用データ群は前記プログラムで参照されるものであり、前記管理用データ群は、コンベアシステムの搬送ラインを定義するライン配置定義データと、該ライン配置定義データに関連付けることで搬送ライン上の各搬送物の位置を定義する搬送物位置データとを備え、前記モニタープログラムは、前記ライン配置定義データで定義された搬送ラインのライン構成図を前記表示装置に表示する第1のステップと、前記搬送物位置データを前記在荷センサの検知信号に基づいて更新する第2のステップと、前記搬送物位置データで定義された各搬送物の位置に対応する前記表示装置に表示されたライン構成図上の所定の位置に、各搬送物を示すイメージ及び/又は文字を表示する第3のステップとを有し、搬送ライン上の搬送物の位置表示をリアルタイムで更新することを特徴とするコンベアシステムのモニタリング装置として実施できる。
【0076】
さらに上記モニタリング装置において、モニタープログラムは、分散制御システムに対する割込コマンドを受け付けるステップと、受け付けたコマンドを記憶装置に記憶するステップと、記憶されたコマンドを解釈して各コマンドに応じて予め定められた指令信号を分散制御システムに出力するステップとを備えるものとすることができる。
【0077】
また、コンベアシステムの搬送ラインの所定の位置に設けられた搬送物識別装置を備え、該装置は、搬送物が通過する際に該搬送物に付された識別符号を読み取るとともに、該識別符号データを前記通信装置により前記コンピュータに送信することもできる。
【0078】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0079】
図1及び図2に示す本発明の一実施例に係るコンベアシステム1は、複数のコンベアユニット2を環状に順次接続してなる主搬送ラインM(ストレートライン)と、主搬送ラインからの分岐路を構成する2つのピッキングゾーンA,Bと、複数の搬送物をストック可能なストックラインS(分岐路)とからなる搬送ラインを備えている。主搬送ラインMの搬送方向は平面視時計周り方向とされている。ここで、本実施例では、主搬送ラインMを巡回搬送させる制御を「メイン搬送制御」とし、主搬送ラインMとピッキングゾーンA,Bとの間の搬送物の搬出入動作や、主搬送ラインMからストックラインSへの搬送物の排出動作を「特定動作」とする。
【0080】
この搬送ラインは図2に示すように複数の制御ゾーンに区分されている。具体的には、主搬送ラインMは、24の制御ゾーン(Zone4 〜Zone26,Zone28 )に区分されており、第1のピッキングゾーンAは一つの制御ゾーン(Zone27)により構成され、第2のピッキングゾーンBは一つの制御ゾーン(Zone29)により構成され、ストックラインSは3つの制御ゾーン(Zone1 〜Zone3 )に区分されており、全部で29の制御ゾーンに区分されている。なお、ストックラインSは、Zone3 側を上流、Zone1 側を下流としてある。
【0081】
Zone8,Zone9,Zone13,Zone14 の4つの制御ゾーンは、ベルトコンベアユニットにより構成されており、その他の制御ゾーンはローラコンベアユニットにより構成されている。各ベルトコンベアユニットやローラコンベアユニットの構成は種々のものとすることができる。例えば、ベルトコンベアユニットは、搬送用駆動モータを内蔵する駆動ローラと従動ローラとにわたって搬送ベルトを巻回したものとすることができる。また、ローラコンベアユニットは、少なくとも一つの搬送用駆動モータを内蔵するモータ内蔵ローラと、該駆動ローラに連動する従動ローラとを備えるものを用いることができる。上記搬送用駆動モータとしては、ブラシレスDCモータを好適に採用できる。また、カーブラインの制御ゾーン(Zone6,Zone7,Zone15,Zone16 )を構成するローラコンベアユニットの駆動ローラ及び従動ローラは、そのカーブ内径側のローラ径を小さくし、カーブ外径側のローラ径を徐々に大きくして、傾斜状の搬送面を構成している。
【0082】
また、Zone18の制御ゾーンを構成するローラコンベアユニットは、上流側の制御ゾーン(Zone17)から搬送されてきた搬送物を横方向に送り出し、下流側の制御ゾーン(Zone19)に受け渡すことができるように、ローラ外周に横方向の搬送力を生じさせる螺旋状若しくは傾斜リング状の突起が設けられている。
【0083】
各制御ゾーンには、光電式若しくは感圧式等の適宜の在荷センサS1〜S29 が設けられており、各制御ゾーン内に搬送物が存在するか否かの検知信号を個別に出力する。
【0084】
ピッキングゾーンA,Bが接続される主搬送ライン内のコンベアユニット(制御ゾーンZone4,Zone26)には、特開2000-168948 号公報に開示されたクロスフィーダ(横送り移載装置)が装着されている。このクロスフィーダは、図4〜図7に示すように、ローラコンベアを基礎とするコンベアラインの横方向搬送装置として使用されるものであり、物品搬送部102と昇降部103とによって主構成され、昇降用駆動モータ(モータ内蔵ローラ)と搬送用駆動モータ(モータ内蔵ローラ)とを備えている。これら各モータとしてはブラシレスDCモータが採用されている。そして、このクロスフィーダよって、メイン搬送制御のときはZone4 の搬送物をZone5 に移送し、ピッキング動作制御のときはZone4 の搬送物をピッキングゾーンB(Zone29)に搬出する。また、特定動作としてのストック動作制御を行うときは、クロスフィーダを作動させずに、Zone4 の搬送物をストックラインS側にストレートに搬出する。
【0085】
上記物品搬送部102は、平行な2枚の板状部材107,108の組合せを5組持つ。各対の板状部材107,108の間には、10個のプーリ110〜119が設けられている。
【0086】
板状部材107,108は、いずれも同一の形であり、略帯状をしている。板状部材107,108の下部中央には突出部120が設けられている。当該突出部120には円弧状の切り欠き121が設けられている。
【0087】
板状部材107,108によって挟まれた部位には、前記した様に10個のプーリ110〜119が設けられている。プーリ110〜119の配置は、上側に8個のプーリ110〜117が一列に設けられている。そして残る二つのプーリ118,119は、板状部材107,108の突出部120の近傍に設けられている。
【0088】
板状部材107,108には、二本の六角棒123,125が挿通され、5組の板状部材は一体化されている。そして板状部材107,108の切り欠き121に搬送用モータ内蔵ローラ126が挿通されている。ここで本実施形態で採用する搬送用モータ内蔵ローラ126について説明すると、搬送用モータ内蔵ローラ126は、例えば円筒中に、モータと遊星歯車列からなる減速機が内蔵されたものである。
【0089】
搬送用モータ内蔵ローラ126では、円筒から突出した固定軸はいずれも全く回転しない。そしてモータを回転すると、モータの回転力は、減速機を経てローラ本体に伝達される。その結果モータを回転すると、外側の円筒が減速されて回転する。
【0090】
そして搬送用モータ内蔵ローラ126の板状部材107,108によって挟まれる部位には、Vプーリが固定されている。
【0091】
そして、板状部材107,108の間に設けられたプーリ110〜119と、搬送用モータ内蔵ローラ126に装着されたVプーリの間には、Vベルトが懸架されている。
【0092】
昇降部103は、昇降用モータ内蔵ローラ(昇降用器具)140と、空転ローラ及び歯付きベルト145によって構成されている。
【0093】
昇降用モータ内蔵ローラ140は、公知のモータ内蔵ローラと同様に円筒内に、モータと減速機が内蔵され、モータの回転を減速して円筒に伝達するものである。昇降用モータ内蔵ローラ140についても、円筒から突出した固定軸はいずれも全く回転しない。そしてモータを回転すると、モータの回転力は、減速機を経て円筒に伝達される。その結果モータを回転すると、外側の円筒が減速されて回転する。
【0094】
昇降用モータ内蔵ローラ140が前記した搬送用モータ内蔵ローラ126と異なる部分として、円筒の外筒に歯付きベルト用プーリ153が設けられている点が挙げられる。また昇降用モータ内蔵ローラ140は、減速機の減速比が150:1程度と言う極めて高いものが採用されている。また昇降用モータ内蔵ローラ140では、昇降部103を安定させる為に内部に抵抗部材が設けられている。
【0095】
前記した昇降用モータ内蔵ローラ140の固定軸及び、空転ローラの固定軸は、図示しないベースに取り付けられている。
【0096】
昇降用モータ内蔵ローラ140と、空転ローラとは歯付きベルト145で連結されていて、両者は同期的に回転する。
【0097】
上記クロスフィーダ101は、縦送りのローラコンベアユニットの内部に配置されて使用される。コンベアユニットは、単一のフレームにモータ内蔵ローラを含む複数のローラが配置されたものである。そして、コンベアユニットは、5か所にローラ間の距離が広く設定された部分があり、当該部分にクロスフィーダ101のプーリの列が配置される。
【0098】
クロスフィーダ101は、通常時は昇降用モータ内蔵ローラ140の円形突起(取付部)が下の位置となって停止し、物品搬送部102は、降下した状態にあり、物品搬送部102のプーリ110〜117およびVベルトは、コンベアユニットのローラの間に沈んでいる。そのため、コンベアユニットによって運ばれる物品は、物品搬送部102と当たることなく、下流に円滑に搬送される。
【0099】
そして、搬送物を横送りしてピッキングゾーンに移載するときは、搬送物をクロスフィーダ101の真上の位置で停止させる。次に昇降用モータ内蔵ローラ140を一方の方向に約180度回転させる。
【0100】
昇降用モータ内蔵ローラ140が約180度回転して停止すると、物品搬送部102は上昇し、Vベルトの背面が、コンベアユニットのローラの最上部よりも上に突出する。そして搬送物は、物品搬送部102によって下からすくい上げられ、コンベアユニットのローラから離れる。
【0101】
次に搬送用モータ内蔵ローラ120を回転する。すると、搬送用モータ内蔵ローラ120に懸架されたVベルトが共に同期的に走行し、搬送物は移動してコンベアユニットから搬出される。
【0102】
図3は、本発明の実施例に係るコンベアシステムの制御装置の全体ブロック構成図を示している。該制御装置は、パーソナルコンピュータPC、ジャンクションボックスJB(親局)、I/Oユニット(I/O1〜I/O18 )を備える管理制御システムを有する。さらに制御装置は、モータドライブ基板MD1,MD2及び外付けゾーンコントロールユニットCTRL1,CTRL2を備える分散制御システムを有する。
【0103】
上記コンベアシステムの分散制御システムは、一つの制御ゾーンの搬送用駆動モータの駆動制御を行う複数のモータドライブ基板MD1と、2つの制御ゾーンの搬送用駆動モータの駆動制御を行う複数のモータドライブ基板MD2と、該ドライブ基板MD2に搬送指令信号を出力するコントロール基板CTRLを備えている。
【0104】
MD1は、図10に示すように、センサロジックによる搬送制御を行うゾーンコントロールユニットと、該ゾーンコントロールユニットからの搬送指令信号(起動・停止信号及び正逆転信号)に基づいてモータの駆動制御を行うモータドライブユニット(駆動回路部)とが同一基板上に回路配置されたものである。MD1は、管理制御システムのI/Oユニットとの入出力端子11と、自ゾーンの在荷センサの検知信号の入力端子12と、上下流側のゾーンコントロールユニットとの間で相互に在荷センサの検知信号を送受信するための上流側入出力端子13及び下流側入出力端子14とを備える。上記入力端子12には、制御対象とする制御ゾーンの在荷センサが接続され、その検知信号が内蔵ゾーンコントロールユニットに入力される。また、この検知信号は、入出力端子13,14に出力されるとともに、I/Oユニットとの入出力端子11にも出力される。上記入出力端子13,14は、それぞれ上下流側のドライブ基板MD1若しくはコントロール基板CTRLのセンサ信号入出力端子と信号線を介して接続され、上下流側の制御ゾーンの在荷センサの検知信号が内蔵ゾーンコントロールユニットに入力される。
【0105】
駆動回路部は、上記搬送指令信号に基づいて、ブラシレスDCモータのフィードバック制御を行い、モータが接続される端子15にモータの制御信号を出力する。
【0106】
MD2は、図11に示すように、2つの制御ゾーンのモータの駆動制御を行い得るものであり、2つのモータドライブユニット(駆動回路部)と、停止位置制御を行う2つのコントロールユニットとが同一基板上に回路配置されたものである。なお、このコントロールユニットは、当該制御ゾーンの搬送制御を行うものではなく、ゾーン内の所定の位置に正確に搬送物を停止させるための制御を行うものである。なお、後述するように、本実施例ではこのコントロールユニットによる停止位置制御は行っておらず、外部のゾーンコントロールユニットCTRLからの搬送指令信号がそのままモータドライブユニットに出力されるようになっている。
【0107】
また、MD2は、外部のゾーンコントロールユニットCTRLとの信号の送受信のための入出力端子11を備えており、この入出力端子11には、在荷センサS の検知信号が出力されており、該端子11の在荷センサS の検知信号出力部は、I/Oユニットにも接続されている。また、MD2は、停止位置制御のためのセンサ信号の入力端子20,21が設けられている。一方の入力端子20には、搬送物が停止位置を超えて搬送されたことを検知するセンサ信号が入力され、他方の入力端子21には、搬送物が停止位置まで搬送されていないことを検知するセンサ信号が入力されるものである。そして、停止位置制御を行う場合には、これらセンサ信号を入力しておき。ゾーンコントロールユニットCTRLからの停止指令信号を入力すると、モータを停止させるべくモータドライブユニットに停止信号を出力して搬送物を停止させ、仮に停止位置を超えた場合には逆転搬送させることにより搬送物を停止位置まで逆送させ、停止位置まで搬送されないときにはモータを起動して停止位置まで搬送物を搬送させることができる。
【0108】
なお、図2には、各制御ゾーンの在荷センサの検知信号が出力されるI/Oユニットの4桁の識別子と、該I/Oユニットの入力端子番号(1 or 2)を示してある。各在荷センサの検知信号は、I/Oユニットにおいてこれら識別子と入力端子番号とに関連付けられてジャンクションボックスに送信され、これをコンピュータに取り込むことにより、各在荷センサの検知信号を各制御ゾーンに関連付けて容易に判別可能としている。
【0109】
外部ゾーンコントロールユニットCTRLには、Zone19からZone24までの6つの制御ゾーンの搬送制御を行う第1のゾーンコントロールユニットCTRL1 と、ピッキングゾーンA,Bを含む複数の制御ゾーン並びに上記クロスフィーダの作動制御を行う第2のゾーンコントロールユニットCTRL2 とがある。なお、上記クロスフィーダの昇降用駆動モータ及び搬送用駆動モータは、上記モータドライブ基板MD2によって作動制御され、この基板を図3に符号50で示す。
【0110】
第1のゾーンコントロールユニットCTRL1 は、図12に示すように、CPU、記憶装置としてのROM及びRAM、I/Oインターフェイスを内蔵しており、CPUは、データバスを介してROM,RAM及びI/Oと通信可能である。ROMには、該ゾーンコントロールユニットが制御対象とする複数の制御ゾーンの搬送制御をそれぞれ独立して行うための制御プログラムが記憶されている。また、ゾーンコントロールユニットCRTL1 は、MD2に搬送指令信号を出力するとともに、各制御ゾーンの在荷センサの検知信号を入力するための入出力端子30が3つ設けられており、さらに、隣り合うモータードライブ基板MD1若しくは第2のゾーンコントロールユニットCTRL2 との間で、相互に隣接ゾーンの在荷センサの検知信号を送受信するための入出力端子13,14が設けられている。本実施例では、第1のゾーンコントロールユニットCRTL1 は、Zone19の在荷センサの検知信号のみをZone18を制御するモータドライブ基板に出力し、Zone24の在荷センサの検知信号のみを隣り合う第2のコントロールユニットCTRL2 に出力する。また、この第2のコントロールユニットCTRL2 は、Zone25の在荷センサの検知信号のみを第1のコントロールユニットCTRL1 に出力する。
【0111】
第2のゾーンコントロールユニットCTRL2 は、図13に示すように、第1のゾーンコントロールユニットCTRL1 の構成に加えて、I/Oユニット(I/O14,I/O16 )からの特定動作の指令信号を入力する入力端子31と、ストックラインの隣接ゾーンZone3 のモータドライブ基板との間で相互に在荷センサの検知信号を送受信するための入出力端子16とを備えている。
【0112】
ピッキングゾーンA(Zone27)と、該ピッキングゾーンAが接続される主搬送ライン内の制御ゾーン(Zone26)と、その上流側の制御ゾーン(Zone25)は、上記第2のゾーンコントロールユニットCTRL2 の一方により搬送動作の制御が行われる。また、ピッキングゾーンB(Zone29)と、該ピッキングゾーンBが接続される主搬送ライン内の制御ゾーン(Zone4 )と、その上流側の制御ゾーン(Zone28)は、上記第2のゾーンコントロールユニットCTRL2 の他方により搬送動作の制御が行われる。
【0113】
上記一方のゾーンコントロールユニットCTRL2 の入力端子31は、管理制御システムのI/Oユニット(I/O14 )の2つの出力(OUT1,OUT2 )に接続される。このI/O14 は、コンピュータからの特定動作制御のための指令信号に基づいて、表1に示す指令信号をゾーンコントロールユニットに出力する。
【0114】
【表1】
Figure 0003605025
【0115】
すなわち、管理制御システムから特定動作のための指令信号が入力されないときは、I/O14 は2つの出力をともにLレベルとする。このとき、CTRL2 は、メン搬送制御を行うようにプログラムされている。また、ピッキングゾーンAへの搬出若しくは搬入を行わせるときは、表1に示した指令信号を2つの出力から供給し、この指令信号を受けたCTRL2 はそれぞれの特定動作を行うようにプログラムされている。
【0116】
I/O16 は、表2に示すように、ストックラインへの搬出制御指令が付加されている点を除いて同様であるので詳細説明を省略する。
【0117】
【表2】
Figure 0003605025
【0118】
上記モータドライブ基板MD1に内蔵のゾーンコントロールユニット、並びに、外部のゾーンコントロールユニットCTRLには、各制御ゾーン毎に搬送制御を行うためのローカルロジック(センサロジック)が、論理回路若しくはソフトウェアとして組み込まれている。このローカルロジックの一例を図14に示す。図14において、Sは自ゾーンの在荷センサの検知信号であり、SUPは上流側の在荷センサの検知信号であり、SDOWNは下流側の在荷センサの検知信号である。これら検知信号がHレベルのとき当該ゾーン内に搬送物が存在することを示し、Lレベルのとき搬送物が存在しないことを示す。上記ローカルロジックは、上記3つの在荷センサの検知信号を入力とし、搬送指令信号の一つである起動・停止信号RUN をモータドライブユニットに出力する。モータドライブユニットは、RUN 信号がHレベルのとき当該ゾーンの搬送用駆動モータを回転駆動させ、Lレベルのとき当該ゾーンの搬送用駆動モータを停止させる。
【0119】
図15は、論理回路により構成したローカルロジックの一例を示した。なお、RUN 信号出力をそのままモータドライブユニットに出力してもよく、該RUN 信号を、さらに別の信号とのロジックを設けて、その出力を搬送指令信号としてモータドライブユニットに出力してもよい。
【0120】
各モータドライブユニットMD1,MD2は、管理制御システムのいずれかのI/Oインターフェイスに自ゾーンの在荷センサの検知信号を出力する。各I/Oインターフェイスに入力された在荷センサの検知信号は、二線式送受電通信装置を介してジャンクションボックスJBに送信され、これら検知信号はコンピュータに取り込まれる。
【0121】
上記管理制御システムのI/Oインターフェイスとの通信装置としては、株式会社アイオイ・システムの「AI−NET」を採用している。この「AI−NET」は2線でデータと電力を送ることができる省配線システムであり、その詳細は特許第2787976号公報に開示されており、その一般的なシステム構成を図8に示す。コントローラは、パーソナルコンピュータからのコマンドをAI−NETの信号に変換し、AI−NETを監視する。ジャンクションボックスJBは、I/Oインターフェイスへの電源供給とコントローラからのデータを2線式に変換する。I/Oインターフェイスは、図9に示すように、2本の電力線に接続されるトランシーバと、安定化電源REG と、ゲートアレイと、マイコンとを備える。トランシーバは、2本の電力線から直流電力(例えば12V)を受電してこれを安定化電源REG に供給する。安定化電源は、供給された直流電力から数種の電圧の電力を生成し、この電力を種々の外部機器の供給可能である。なお、本実施例では、I/Oインターフェイスを外部機器の電源としては使用していないが、例えば、在荷センサの電源として用いることが可能である。
【0122】
また、2本の電力線を介してI/Oインターフェイスに供給された信号は、トランシーバ及びゲートアレイによって抽出され、マイコンに供給される。そして、マイコンにおいて所定のデータ処理を行い、該信号を外部機器に出力する。一方、外部機器からI/Oインターフェイスに出力された信号は、マイコンにおいて所定のデータ処理が行われ、該信号をゲートアレイ及びトランシーバを介して2本の電力線に出力する。
【0123】
より詳細にAI−NETの説明をすると、この二線式送受電通信方法は、二本の電力線を介して接続された装置間において、以下の段階を経て送受電及び相互通信を行う。
(a1)送電側装置(JB)が、所定電力レベルの直流電力を前記二本の電力線に給電するとともに、各電力線上の電力レベルを、受電側装置宛の指示データを含む第一のパルス群データの個々のデータレベルの変化に従い逐次遅延反転させて平衡パルス状となし、前記第一のパルス群データが終了した時点で前記給電を停止して各電力線からの受電状態を形成する。
(a2)前記受電側装置(I/O)は、前記二本の電力線から受電した前記平衡パルス状の電力を整流し、該整流電力を用いて前記平衡パルス状の電力が表す前記第一のパルス群データ成分の解読処理を行いながら前記整流電力を蓄電しておき、前記受電の停止を検出した時点で前記蓄電された電力を前記二本の電力線に給電するとともに各電力線上の電力レベルを前記送電側装置宛の返答データを含む第二のパルス群データの個々のデータレベルの変化に従い逐次遅延反転させて平衡パルス状となす。
(a3)前記受電状態の送電側装置に於いて前記二本の電力線上の平衡パルス状電力が表す第二のパルス群データ成分の解読処理を行う。
【0124】
また、送電側装置(JB)と複数の受電側装置(I/O)との間で送受電及び相互通信を行う場合は、各装置間に於いて以下のような段階を経る。
(b1)送電側装置が、所定電力レベルの直流電力を前記二本の電力線に給電するとともに、各電力線上の電力レベルを、通信相手の指定アドレス及び該通信相手となる受電側装置宛の指示データを含む第一のパルス群データの個々のデータレベルの変化に従い逐次遅延反転させて平衡パルス状となし、前記第一のパルス群データが終了した時点で前記給電を停止して各電力線からの受電状態を形成する。
(b2)少なくとも前記通信相手となる受電側装置が、前記二本の電力線から受電した前記平衡パルス状の電力を整流し、該整流電力を用いて前記平衡パルス状の電力が表す前記第一のパルス群データ成分を解読して自装置の指定アドレスの有無を検出するとともに前記整流電力を蓄電する。
(b3)自装置の指定アドレスを検出した受電側装置が、前記受電の停止を検出した時点で前記蓄電された電力を前記二本の電力線に給電するとともに、各電力線上の電力レベルを、自装置アドレスと前記送電側装置宛の返答データとを含む第二のパルス群データの個々のデータレベルの変化に従って逐次遅延反転させて平衡パルス状となす。
(b4)前記受電状態の送電側装置に於いて前記二本の電力線から受電した平衡パルス状の電力が表す第二のパルス群データ成分の解読処理を行う。
【0125】
また、二線式送受電通信装置は、前記送電側装置(ジャンクションボックスJB)として使用される装置であって、二本の電力線を介して接続される少なくとも一つの相手側装置(I/O)との間で、以下の要素ないし手段により送受電及び相互通信を行う。
(c1)通信相手を定める相手側装置の指定アドレス及び該相手側装置宛の指示データを含む第一のパルス群データを生成するとともに、入力された論理情報に基づくデータ成分の解読処理を行うデータ処理部、
(c2)所定電力レベルの直流電力を出力する電源、
(c3)前記直流電力を前記二本の電力線に給電するとともに各電力線上の電力レベルを前記第一のパルス群データの個々のデータレベルの変化に従い逐次遅延反転させて平衡パルス状となし、前記第一のパルス群データの終了を契機に前記給電を停止する電力制御手段、
(c4)給電停止中における各電力線の電力レベルの反転情報を検出して論理情報に変換し、変換した論理情報を前記データ処理部へ導く受信バッファ回路。
【0126】
また、別の二線式送受電通信装置は、前記受電側装置として使用される装置であって、二本の電力線を介して接続される相手側装置との間で、以下の要素ないし手段により送受電及び相互通信を行う。
(d1)前記相手側装置が指定した通信相手の指定アドレス及び当該通信相手に対する指示データを含む第一のパルス群データ成分を表す所定電力レベルの平衡パルス状電力を前記二本の電力線から受電して整流する整流器、
(d2)前記整流器から出力された整流電力を蓄電する蓄電器、
(d3)前記第一のパルス群データ成分の電力レベルの反転情報を検出して論理情報に変換する受信バッファ回路、
(d4)前記整流電力により、少なくとも、前記受信バッファ回路で変換された論理情報から自装置宛の指定アドレスの有無を検出し、前記指定アドレスを検出した場合は自装置アドレス及び所定の返答データを含む第二のパルス群データを生成する処理と、前記受電の停止検出を契機に前記蓄電器に蓄電された電力の前記二本の電力線への給電制御を行うとともに各電力線上の電力レベルを前記第二のパルス群データのレベル変化に従って逐次遅延反転させて平衡パルス状となす処理とを行うデータ処理手段。
【0127】
なお、上記した別の二線式送受電通信装置において、起動開始時の二本の電力線上の電力レベルを検出し、検出結果に応じて前記起動開始時以降の論理情報の初期レベルを論理High又は論理Lowのいずれか一方に統一的に設定するレベル設定手段を備えることが望ましい。
【0128】
上記した二線式送受電通信方式において、送電側装置では、電力制御手段が、電源から出力される直流電力を二本の電力線に給電するとともに、各電力線上の電力レベルを、例えばデータ処理部で生成された第一のパルス群データに則って逐次遅延反転させる。これにより各電力線上に、第一のパルス群データの個々のデータレベル変化に対応してその電力レベルが変化する平衡パルス状電力が形成される。電力制御手段は、第一のパルス群データが終了した時点、すなわち最終データについての電力形成が終了した時点で給電を停止する。その後、受電側装置からの給電(データ送出)を待つ。
【0129】
受電側装置では、各電力線から受電した平衡パルス状電力を整流器で整流し、これにより得られた整流電力を蓄電器に蓄電する。また、整流電力を用いて次のような動作を行う。まず、受信バッファ回路が、受電した平衡パルス状の電力から第一のパルス群データ成分の電力レベルの反転情報を検出して論理情報に変換する。データ処理手段は、この論理情報から自装置宛の指定アドレスの有無を検出し、該指定アドレスを検出した場合は、自装置アドレス及び返答データを含む第二のパルス群データを生成し、受電の停止検出を契機に蓄電器に蓄電された電力の二本の電力線への給電を開始する。また、各電力線上の電力レベルを第二のパルス群データに則って逐次遅延反転させる。これにより各電力線上に第二のパルス群データの個々のデータレベル変化に対応してその電力レベルが変化する平衡パルス状電力が形成される。一方、受電状態の送電側装置では、二本の電力線から受電した平衡パルス状の電力が表す第二のパルス群データ成分、すなわち通信相手として指定した受電側装置からのデータ成分の解読処理を行う。
【0130】
なお、受電側装置がレベル設定手段を備える構成では、起動開始時の電力線上の電力レベルがどのような状態であっても、起動開始時以降の論理情報の初期レベルが論理High又は論理Lowのいずれか一方に統一的に設定されるので、受電側装置は、起動開始時点の電力レベル状態を意識する必要が無くなる。
【0131】
上記コンベアシステムの管理制御システムは、コンベアの搬送ライン上の搬送物の搬送状態などを監視及び/又は管理するモニタリング装置として機能するとともに、コンベアシステムに対し、ピッキングゾーンA,Bへの所望の搬送物の移載(搬出)指令、ピッキングゾーンA,Bから主搬送ラインMへの搬送物の移載(搬入)指令、Zone4 からZone5への搬送物の巡回指令、並びに、ストックゾーンへの搬送物の搬出指令を行うものである。
【0132】
即ち、管理制御システムは、主搬送ラインの所定の位置を通過する各搬送物に付されたバーコード(識別符号)を読み取るバーコードリーダBCR を備えている。該バーコードリーダBCR は、本実施例では2台設けられており、適宜のI/Oユニットに接続したスイッチのON/OFFによって、いずれかのバーコードリーダをオンライン状態としてバーコードの読み取りを行い得るようにしている。また、管理制御システムのコンピュータは、CPU、RAMやハードディスクなどの記憶装置及びCRTや液晶画面などの表示装置を備え、該コンピュータの記憶装置に実装される制御プログラム並びに制御用データ群を備える。制御プログラムはCPUにより処理され、制御用データ群は前記プログラムで参照されるものである。なお、かかるコンピュータやバーコードリーダ等により、搬送物位置追跡手段が構成されている。
【0133】
制御プログラムは種々の構成とすることができ、例えば、図19〜図22のフローチャートで示すものとすることができる。具体的には、制御プログラム(モニタープログラム)は、ライン配置定義データで定義された搬送ラインのライン構成図を、図16に示すように表示するステップ(図19の「初期設定」)と、搬送物位置データを在荷センサの検知信号に基づいて更新するステップ(図20参照)と、搬送物位置データで定義された各搬送物の位置に対応する前記表示装置に表示されたライン構成図上の所定の位置に、図17に示すように、各搬送物を示すイメージや文字を表示するステップ(図20の「搬送物の状態を画面に表示」)とを有し、モニター起動中は搬送ライン上の搬送物の動作を表示装置にリアルタイムで表示するものである。なお、搬送物には個別IDと、グループ単位での管理に用いることができるグループIDが割り振られており、同一グループに属する搬送物毎に色分け表示されている。また、認識されていない搬送物は白色で表示している。
【0134】
また、制御プログラムは、分散制御システムに対する割込コマンドを受け付けるステップ(図21参照)と、受け付けたコマンドを記憶装置に記憶するステップ(図21の「入力されたデータを保存」)と、記憶されたコマンドを解釈して各コマンドに応じて予め定められた指令信号を分散制御システムに出力するステップ(図20の「ピッキングラインのユニットに信号を出力」)をも備えている。上記コマンドの入力は、図16に示す画面表示の中で、「指示」タブを開き、ピッキング場所とピッキングする物を特定して、「指示を送信」ボタンをクリックすることによって行うことができる。また、ピッキング戻りコマンドは、右側の「Aライン」ボタン或いは「Bライン」ボタンをクリックすることで入力できる。入力されたコマンドは、図18に示すように、「指示状況」タブにより確認することができる。
【0135】
前記制御用データ群は、表3に示す搬送物定義データと、表4に示すグループ定義データと、上記コマンドの記憶データからなる表5に示すコマンドデータと、コンベアシステムの搬送ラインを定義する表6及び表7に示すライン配置定義データと、該ライン配置定義データに関連付けることで搬送ライン上の各搬送物の位置を定義する搬送物位置データ(図示せず)とを備えている。この搬送物位置データは、各制御ゾーン内に搬送物があるか否かを定義するとともに、搬送物がある場合にはその搬送物の識別IDを定義するものである。
【0136】
【表3】
Figure 0003605025
【0137】
【表4】
Figure 0003605025
【0138】
【表5】
Figure 0003605025
【0139】
【表6】
Figure 0003605025
【0140】
【表7】
Figure 0003605025
【0141】
なお、I/Oインターフェイスには種々の機器を接続することができるが、本実施例では、モータドライブ基板が接続され、該基板から各在荷センサの検知信号をパーソナルコンピュータに送信するために利用している。
【0142】
上記実施例では、管理制御システムとして、パーソナルコンピュータ1台、I/Oインターフェイス(I/Oユニット)18台、ジャンクションボックス1台、AI−NETコントローラ1台、バーコードリーダ2台、RS−232C I/F2台、モニタリングソフト(管理制御用プログラム)1式、AI−NETドライバソフト1式を使用した。
【0143】
制御ゾーン数は29あり、ゾーン上の搬送物検出センサー(在荷センサー)は、すべて、いずれかのモータドライブ基板MD1,MD2に接続した。また、センサー信号はすべてI/Oユニットにも接続して出力した。なお、I/Oユニットは、2入力、3出力タイプのものを用いた。センサー電源はモータドライブ基板から供給したが、上記2線式送受電通信装置から供給することもできる。
【0144】
ピッキングを行うA,BのI/Oユニット(I/O14,I/O16 )からは、ピッキングの指令を2出力端子を使って外部ゾーンコントロールユニットCTRL2 に接続した。
なお、各ゾーンのモータ起動、停止の情報は、I/Oユニットには伝達していない。
【0145】
I/O14,I/O16 には、1点入力のスイッチを接続し、A,Bにピッキングされている搬送物を主搬送ラインに戻すスイッチとして使用できる。
I/O17 にも1点のスイッチ入力を接続し、このスイッチによってバーコードリーダBCR2を使用できるようにしている。
【0146】
また、3個のスイッチング電源装置によりDC24Vをコンベアの側面に引き回し、各モータや基板の電源として使用している。また、AI−NETの伝送路もコンベアの側面に引き回している。
バーコードリーダは、I/Fを通じてAI−NETに接続されている。
【0147】
上記実施例の制御装置では、パソコンからピッキング場所A,B及びストックラインに搬送物個々の特定動作の命令(コマンド)を入力できるとともに、搬送物のグループでも命令ができる。
【0148】
また、I/O14,I/O16 にそれぞれ接続したスイッチをONすると、AI−NETを通じてパソコンから搬送物を主搬送ラインに戻す指令信号をI/O14,I/O16に出力することができる。
また、センサー信号とバーコードリーダの情報をAI−NETを通じてパソコンに取り込み、パソコンの画面上で搬送物が今どこにあるかをリアルタイムで表示させることができる。
【0149】
I/O13,I/O14 は、センサーと共に移動することもでき、この場合、モニター上の画面表示の変更は必要ないが、ピッキング作業は変更前と同様にできるように設定する。
【0150】
また、パソコンのモニター画面には、搬送物の移動を表示させることができる。ピッキングゾーンA,Bへのピッキング命令が登録された特定の搬送物が該ゾーンA,Bまで搬送されたとき、当該ゾーンA,Bに別の搬送物が存在している場合には、管理制御システムからのピッキング指令をキャンセルし、通常の主搬送動作を行わせることができる。この場合、パソコンの表示画面のピッキング場所に「FULL」の表示をさせることができる。
【0151】
また、上記実施例によれば、搬送物を搬送する為にモータを起動・停止させる制御は、論理回路やCPUなどによるロジックを組み込んだコントロールユニットが受け持ち、分散制御による搬送物の搬送を行わせることができる。一方、メイン動作以外のピッキング動作(搬出動作)や、主搬送ラインへの搬入などのメイン動作以外の特定の動作命令は、管理制御システムが制御指令を出力するように構成することができる。このような管理制御システムとしては、例えば二線式通信方式(株式会社アイオイ・システムの「AI−NET」など)により分散制御システムを構成する各機器に制御指令を出力するコンピュータにより構成できる。
【0152】
また、バーコードリーダで読み取ったデータをAI−NETを介してコンピュータに取り込み、コンピュータでデータ処理を行い、コンピュータから行先変更指令をAI−NETを介してコントロールユニットに出力することができる。これによれば、モータの起動・停止の制御を、各制御ゾーン毎に分散制御を行う分散制御システムにより行うため、在荷センサのON/OFFに対して遅延時間なくメイン搬送制御を行うことができ、コンピュータを用いて行先変更をAI−NETを介して実施することにより、各制御ゾーンのコントロールユニットの回路構成の簡素化、配線の簡素化を図りつつ、コンピュータから簡単に搬送物のピッキング制御を行うことが可能となる。
【0153】
また、ストレートラインMには、ローカルロジックを組み込んだモータードライブ基板を各ゾーン毎に設け、隣接するゾーンのモータードライブ基板と信号線(コミュニティケーションケーブル)で接続を行い、センサー信号を相互に送受信することにより、簡単な装置構成ならびに配線とし、プラグ&プレイで簡単にライン変更可能なコンベアシステムを構築できる。各ドライバーにはセンサー信号の入力端子を設け、別端子からAI−NETのI/Oユニット(子局)にセンサー信号を出力することができる。
【0154】
移載装置部には4種類の入力に応じたローカルロジックを組み込んだ外部ゾーンコントロールユニットを設置し、コントロールユニットから各モータドライブ基板MD2にRUN/STOP信号や、DIR信号(搬送方向信号、CW/CCW信号)を出力する。コントロールユニット間及びモータードライブ基板とコントロールユニットは信号線で接続を行い、センサー信号の送受信を行うことができる。また、モータドライブ基板にもセンサー信号の入出力端子を設けており、コントロールユニットとAI−NETのI/Oに出力する。
【0155】
モータドライブ基板から出力されたセンサー信号はAI−NETのI/Oに入力され、2線式通信によってジャンクションボックスJBに取り込まれる。また、バーコードリーダBCRで読み取ったデータもAI−NETのスキャナーに入力され2線式通信によりジャンクションボックスに取り込まれる。ジャンクションボックスに取り込まれたデータをボードコントローラを介してコンピュータに取り込み、コンピュータで所望のコマンドを実行すれば、AI−NETを通じて所定のI/Oに制御指令が送信され、この指令データはI/Oの出力端子からコントローラに出力される。
【0156】
所定のI/O14,16 からの出力信号がない場合はメインの搬送動作(上記実施例ではループ動作)をするように分散制御システムの各コントロールユニットを構成することで、管理制御システムのシステムダウンや、AI−NETの通信異常の発生があっても、メインの搬送動作は停滞することなく、継続して動作させることができる。
【0157】
また、各ゾーンの在荷センサー信号もAI−NETを介してコンピュータに取り込んでいるため、コンピュータ画面にモニター表示させることもできる。
【0158】
また、PLC(プログラマブルコントローラ)を用いないため、ライン変更を行うにもモータ電源と信号線を数カ所抜き差しするだけですぐに搬送動作をさせることができる。
【0159】
ストレートラインの制御を、移載部のように、モータードライバーと、別のコントローラで行わせることも可能である。
【0160】
上記実施例では、センサー電源はモータドライバーから供給したが、AI−NETの2線式からも電源供給が可能である。この場合、センサーの電源供給端子(正側端子)を直接AI−NETに接続し、センサーの出力端子(負側端子)から出力される検知信号をモータードライバーに入力することができる。
【0161】
AI−NETの応答速度(例えば、センサーの検知信号の変化から、コントローラに制御指令が供給されるまでの時間)が0.2秒遅延する場合は、バーコードリーダに入力があってからコントローラに行先命令を供給するまでに0.2秒遅延しても対応できるように、S25とBRの距離を離しておくことが好ましい。例えば、主搬送ラインの搬送速度が毎分60mの場合、0.1秒の遅延で100mm移動する。したがって、0.2秒の遅延の場合は200mmの距離を設けておくことで、行先変更も遅延なく実施することが可能となる。
【0162】
なお、上記実施例のコンベアシステムは、ピッキングゾーンA(ピッキングライン)の位置を、図23及び図24に示すように容易にライン変更することができる。即ち、Zone19〜Zone24の6つの制御ゾーンと、Zone25〜Zone27の3つの制御ゾーンを、これらのゾーンコントロールユニットCTRL1,CTRL2 と共に入れ替え、センサ信号を相互に送受信するコミュニティケーションケーブルを差し替えるとともに、これらに関連するI/OユニットとAI−NETとの接続を差し替え、コンピュータ内の搬送ライン定義データを表8及び表9に示すように変更すればよく、容易かつ迅速にライン変更でき、また、主搬送制御を分散制御システムにより行っているのでプラグアンドプレイで搬送動作を開始させることができる。
【0163】
【表8】
Figure 0003605025
【0164】
【表9】
Figure 0003605025
【0165】
【発明の効果】
本発明によれば、安価な通信システムを採用する場合でも、通常の搬送動作は分散制御により行い、ピッキングやストックなどの特定の動作を行わせるための指令を管理制御システムから出力することによって、全体システムのコスト削減、分散制御システムの複雑化の回避、メンテナンス性の確保、正確かつ円滑な動作制御の実現、搬送ラインの変更容易性の確保などを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンベアシステムのライン構成の一実施例を示す簡略斜視図である。
【図2】同コンベアシステムのライン構成における制御ゾーンの区分並びに割り当てを示すライン構成図である。
【図3】同ライン構成における分散制御システム並びに管理制御システムの各種機器のブロック構成図である。
【図4】移載装置の一実施例としての横送り装置(クロスフィーダ)が設けられたコンベアユニットの側面図である。
【図5】同横送り装置の全体斜視図である。
【図6】同横送り装置の平面図である。
【図7】同横送り装置の簡略正面図である。
【図8】AI−NETを用いた管理制御システムの一実施例を示す簡略構成図である。
【図9】同管理制御システムのI/Oユニット(子局)の簡略ブロック図である。
【図10】モータドライブユニット(駆動回路部)とゾーンコントロールユニットとを内蔵するモータドライブ基板「MD1」の一実施例を示す簡略ブロック図である。
【図11】2つのモータドライブユニット(駆動回路部)と停止制御ユニットとを内蔵するモータドライブ基板「MD2」の一実施例を示す簡略ブロック図である。
【図12】CPU基板により主構成されるゾーンコントロールユニット「CTRL1」の一実施例を示す簡略ブロック図である。
【図13】CPU基板により主構成されるゾーンコントロールユニット「CTRL2」の一実施例を示す簡略ブロック図である。
【図14】ゾーンコントロールユニットに組み込まれるセンサロジックの一実施例を示す論理値表である。
【図15】搬送動作の起動・停止を判定するセンサロジックを実現する論理回路の一実施例を示す論理回路図である。
【図16】本発明の一実施例の管理制御システム(モニタリング装置)のモニター表示画面であって、監視停止中の画面構成図である。
【図17】同管理制御システムのモニター表示画面であって、監視起動中かつ指示コマンド待ちの画面構成図である。
【図18】同管理制御システムのモニター表示画面であって、監視起動中かつ指示状況確認の画面構成図である。
【図19】管理制御システムの管理プログラムのメインプログラムの処理の流れを簡略して示すフローチャートである。
【図20】同管理プログラムの一部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】同管理プログラムの一部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】同管理プログラムの一部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】図2に示すライン構成の一部を組み替えた他のライン構成における制御ゾーンの区分並びに割り当てを示すライン構成図である。
【図24】同ライン構成における分散制御システム並びに管理制御システムの各種機器のブロック構成図である。
【符号の説明】
1 コンベアシステム
2 コンベアユニット
A,B ピッキングゾーン
M 主搬送ライン
S ストックライン(分岐路)
PC パーソナルコンピュータ
JB ジャンクションボックスJB(親局)
MD1,MD2 モータドライブ基板
CTRL1,CTRL2 外付けゾーンコントロールユニット
S1〜S29 在荷センサ

Claims (2)

  1. 搬送ラインが複数の制御ゾーンに区分され、各制御ゾーン毎に搬送物の有無を検知する在荷センサが設けられ、分散制御システムにより各制御ゾーン毎の搬送制御が行われるコンベアシステムのモニタリング装置であって、
    CPU、記憶装置及び表示装置を備えるコンピュータと、該コンピュータに対し前記在荷センサの検知信号を供給する通信装置とを備え、前記コンピュータの記憶装置にはモニタープログラム並びに管理用データ群とが記憶されており、前記モニタープログラムは前記CPUにより処理され、前記管理用データ群は前記プログラムで参照されるものであり、
    前記管理用データ群は、コンベアシステムの搬送ラインを定義するライン配置定義データと、該ライン配置定義データに関連付けることで搬送ライン上の各搬送物の位置を定義する搬送物位置データとを備え、
    前記モニタープログラムは、前記ライン配置定義データで定義された搬送ラインのライン構成図を前記表示装置に表示する第1のステップと、前記搬送物位置データを前記在荷センサの検知信号に基づいて更新する第2のステップと、前記搬送物位置データで定義された各搬送物の位置に対応する前記表示装置に表示されたライン構成図上の所定の位置に、各搬送物を示すイメージ及び/又は文字を表示する第3のステップとを有し、搬送ライン上の搬送物の位置表示をリアルタイムで更新し、
    さらにモニタープログラムは、分散制御システムに対する割込コマンドを受け付けるステップと、受け付けたコマンドを記憶装置に記憶するステップと、記憶されたコマンドを解釈して各コマンドに応じて予め定められた指令信号を分散制御システムに出力するステップとを備えることを特徴とするコンベアシステムのモニタリング装置。
  2. コンベアシステムの搬送ラインの所定の位置に設けられた搬送物識別装置を備え、該装置は、搬送物が通過する際に該搬送物に付された識別符号を読み取るとともに、該識別符号データを前記通信装置により前記コンピュータに送信することを特徴とする請求項1に記載のコンベアシステムのモニタリング装置。
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