JP3604356B2 - コンバインの穀稈搬送構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィードチェーンのガイドフレームに、前記フィードチェーンの搬送始端部を露出させる格納位置と、前記搬送始端部を隠す使用位置とに位置変更可能に装備される手刈り穀稈載置用のカバー体を、前記搬送始端部の両横側に配設される一対のカバーと、それらのカバーを前記ガイドフレームに変位可能に連結する可動部材とから構成してあるコンバインの穀稈搬送構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のようなコンバインの穀稈搬送構造において、手刈り穀稈載置用のカバー体における一対のカバーは、それらの配置に関係なくガイドフレームの側面に面する平板状に形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、搬送穀稈の穂先側が株元側よりも切れワラやワラ屑などが発生し易い箇所であることから、上記の従来技術のように各カバーをそれらの配置に関係なく平板状に形成すると、搬送穀稈の穂先側となる機体内方側に配置された可動部材やその近傍箇所に多くの切れワラやワラ屑などが付着堆積するようになり、その付着堆積した切れワラやワラ屑などが可動部材の作動抵抗になることから、カバー体の位置変更操作が困難になる不都合を招き易くなっていた。
【0004】
本発明の目的は、搬送穀稈の穂先側に配置された可動部材やその近傍箇所への切れワラやワラ屑などの付着堆積を防止して、カバー体の位置変更操作を長期に亘って円滑に行えるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、フィードチェーンのガイドフレームに、前記フィードチェーンの搬送始端部を露出させる格納位置と、前記搬送始端部を隠す使用位置とに位置変更可能に装備される手刈り穀稈載置用のカバー体を、前記搬送始端部の両横側に配設される一対のカバーと、それらのカバーを前記ガイドフレームに変位可能に連結する可動部材とから構成してあるコンバインの穀稈搬送構造において、前記一対のカバーのうち、機体内方側に配置される内側のカバーの上下方向中間部に、内側のカバーに対する前記可動部材を上方から覆う覆部を設けた。
【0006】
〔作用〕
上記請求項1記載の発明によると、内側のカバーの上下方向中間部に設けた覆部によって、搬送穀稈の穂先側となる機体内方側に配置された可動部材やその近傍箇所への切れワラやワラ屑などの付着堆積が防止されるようになる。つまり、可動部材やその近傍箇所に付着堆積した切れワラやワラ屑などが可動部材の作動抵抗になることを未然に回避できるようになる。又、可動部材やその近傍箇所に付着堆積した切れワラやワラ屑などを取り除く手間を省くことができるようになる。
【0007】
〔効果〕
従って、カバー体の位置変更操作を長期に亘って円滑に行えるとともに、カバー体のメンテナンスに要する労力の軽減を図れるようになった。
【0008】
〔構成〕
本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記格納位置では、前記内側のカバーの上端が、前記搬送始端部で搬送される穀稈の穂先側を脱穀装置の投入口に案内する投入案内板における前記フィードチェーン側の端部よりも低くならないように設定した。
【0009】
〔作用〕
上記請求項2記載の発明によると、内側のカバーの上端が投入案内板におけるフィードチェーン側の端部よりも低くなることによって発生する、投入案内板におけるフィードチェーン側の端部に搬送穀稈が引っ掛かることに起因した搬送穀稈の姿勢乱れや搬送詰まりを未然に回避できるようになる。
【0010】
〔効果〕
従って、脱穀装置に穀稈を好適な姿勢で搬送供給できることから脱穀性能の向上を図れるようになり、又、脱穀装置の投入口付近での搬送詰まりを回避できることから作業効率の向上を図れるようになった。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1には自脱形コンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1で走行する走行機体2の前部に、植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送装置3を昇降可能に連結し、走行機体2に、刈取搬送装置3からの刈取穀稈を受け取って脱穀・選別処理を施す脱穀装置4と、脱穀装置4からの穀粒を貯留する穀粒タンク5とを搭載するとともに、穀粒タンク5の前方箇所に搭乗運転部6を形成することによって構成されている。
【0012】
図1及び図2に示すように、脱穀装置4は、刈取搬送装置3により搬送された刈取穀稈の株元側を挟持して後方に向けて搬送するフィードチェーン7、フィードチェーン7により搬送される刈取穀稈の穂先側を受け止める受網8、受網8上の刈取穀稈の穂先側に対して脱穀処理を施す扱胴9、前後方向に揺動駆動されることで受網8から漏下した処理物や受網8の後方に形成された送塵口10から流出した処理物に対して篩い選別処理を施すシーブケース11、風力選別用の選別風をシーブケース11に供給する唐箕12、篩い選別及び風力選別によって選別された穀粒を回収する1番物回収部13、篩い選別及び風力選別によって選別されなかった穀粒とワラ屑などとの混在物を回収する2番物回収部14、及び、篩い選別及び風力選別によって選別されたワラ屑などを機外に排出する排塵ファン15、などを備えて構成されている。
【0013】
1番物回収部13には、回収した穀粒を揚送スクリュー16に向けて搬送する1番スクリュー17が、又、2番物回収部14には、回収した混在物を2番還元スクリュー18に向けて搬送する2番スクリュー19が装備されている。揚送スクリュー16は、1番スクリュー17からの穀粒を揚送して穀粒タンク5に供給し、2番還元スクリュー18は、2番スクリュー19からの混在物を揚送してシーブケース11に還元するようになっている。
【0014】
図1及び図3〜8に示すように、フィードチェーン7を案内するガイドフレーム20には、フィードチェーン7の搬送始端部7Aを露出させる格納位置と、搬送始端部7Aを隠す使用位置とに、位置変更可能に構成された手刈り穀稈載置用のカバー体21が装備されており、これによって、収穫作業走行時には、図1、図3及び図5に示すようにカバー体21を格納位置に位置させることで、刈取搬送装置3からの刈取穀稈を自動的にフィードチェーン7の搬送始端部7Aに受け取らせることができるとともに、その搬送始端部7Aによる搬送で、刈取穀稈の穂先側を脱穀装置4の投入口4A(図2参照)から脱穀装置4内に供給することができるようになり、又、枕扱き作業時には、図4、図6及び図8に示すようにカバー体21を使用位置に位置させることで、フィードチェーン7の搬送始端部7Aによる穀稈搬送を防止できるとともに、カバー体21に手刈り穀稈を載置できることから、手作業によるフィードチェーン7を介した脱穀装置4の投入口4A(図2参照)から脱穀装置4内への手刈り穀稈の穂先側投入を容易に行えるようになっている。
【0015】
図3〜8に示すように、カバー体21は、フィードチェーン7の搬送始端部7Aの左右両横側に配設される一対のカバー21A,21Bと、それらのカバー21A,21Bをガイドフレーム20に変位可能に連結する左右一対の可動部材21C,21Dとから構成されている。各可動部材21C,21Dは、前後一対の揺動アーム21a,21bによって構成されており、各揺動アーム21a,21bの遊端に対応するカバー21A,21Bが枢支されている。
【0016】
ガイドフレーム20には、その前端部によって左右向きの軸心P1,P2周りに回動自在に支持された前後一対の支軸22A,22B、各支軸22A,22Bの左側端部に溶接された第1連結アーム22C、及び、各支軸22A,22Bの右側端部に溶接された第2連結アーム22Dからなる被連結部22が装備されており、各連結アーム22C,22Dに、対応する揺動アーム21a,21bがボルト連結されるようになっている。尚、各連結アーム22C,22Dには、対応する揺動アーム21a,21bの端縁との接当で、その揺動アーム21a,21bの回り止めを行う受止部22a,22bが備えられている。
【0017】
つまり、ガイドフレーム20に対するカバー体21の組み付けを4本のボルト23のみで行えることから、ガイドフレーム20に対するカバー体21の着脱性が向上し、フィードチェーン7の搬送始端部7Aに対するメンテナンスを容易に行えるようになっている。
【0018】
ガイドフレーム20における後側の支軸22Bの後方箇所には、連係軸24が左右向きの軸心P3周りに回動自在に装備されており、この連係軸24の右端部を屈曲して形成された第1アーム25が、刈取搬送装置3に対する伝動状態を切り換える図外の刈取クラッチを入り切り操作する刈取クラッチレバー26にレリーズワイヤ27を介して連係され、連係軸24の左端部に溶接された第2アーム28が、被連結部22における前後の各第1連結アーム22Cに単一の連係ロッド29を介して連係されている。又、ガイドフレーム20に溶接された係止片30と、前側の支軸22Aに溶接された係止アーム31とにわたって、カバー体21を格納位置に復帰付勢する引っ張りバネ32が、ガイドフレーム20に内装された状態で架設されている。引っ張りバネ32は、刈取クラッチレバー26による刈取クラッチの入り操作に伴って、その付勢でカバー体21を格納位置に復帰させるように設定されている。
【0019】
つまり、この連係構成によって、刈取クラッチレバー26による刈取クラッチの入り操作が行われると、引っ張りバネ32の付勢でカバー体21が格納位置に切り換わり、刈取クラッチレバー26による刈取クラッチの切り操作が行われると、引っ張りバネ32の付勢に抗してカバー体21が使用位置に切り換わるようになっている。又、引っ張りバネ32をガイドフレーム20に内装していることから、引っ張りバネ32に対する切れワラやワラ屑などの付着を防止することができ、もって、それらの付着に起因して、カバー体21の格納位置への切り換えが行えなくなることを未然に回避できるようになっている。
【0020】
図5〜8に示すように、カバー体21において、機体内方側に配置される右側のカバー21Bは、そのカバー21Bを支持する右側の可動部材21Dを上方から覆う覆部21cを有するように屈曲形成されており、この覆部21cによって、切れワラやワラ屑などが発生し易い搬送穀稈の穂先側に配置された右側の可動部材21Dやその近傍箇所への切れワラやワラ屑などの付着堆積を防止することができ、もって、右側の可動部材21Dやその近傍箇所に付着堆積した切れワラやワラ屑などが、カバー体21の位置変更操作を行う際の作動抵抗になることを未然に回避することができるとともに、右側の可動部材21Dやその近傍箇所に付着堆積した切れワラやワラ屑などを取り除く手間を省くことができるようになっている。又、右側のカバー21Bの屈曲により、そのカバー21Bに覆部21cを一体形成していることから、覆部21cを別部材で構成してカバー21Bに後付けする場合に比較して、組み付けや部品管理などの面で有利にすることができるようになっている。
【0021】
図1、図2及び図5〜8に示すように、脱穀装置4の前部には、フィードチェーン7の搬送始端部7Aで搬送される穀稈の穂先側を脱穀装置4の投入口4Aに案内する投入案内板33が装備されており、この投入案内板33におけるフィードチェーン7側の端部33Aとなる左側端部33Aには、ガイドフレーム20に対するカバー体21の組み付けを許容する切欠部33aが形成されている。そして、カバー体21と投入案内板33とは、カバー体21を使用位置に切り換えた状態では当然のことながら格納位置に切り換えた状態でも、右側のカバー21Bの上端21dが投入案内板33の左側端部33Aよりも低くならないように設定されており、これによって、右側のカバー21Bの上端21dが投入案内板33の左側端部33Aよりも低くなることによって発生する、投入案内板33の左側端部33Aに搬送穀稈が引っ掛かることに起因した搬送穀稈の姿勢乱れや搬送詰まりを未然に回避できるようになっている。
【0022】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)カバー体21としては、上下方向のスライド操作で格納位置と使用位置とに切り換えられるように構成されたものであってもよい。
(2)機体内側のカバー21Bに別部材からなる覆部21cを取り付けることで、機体内側のカバー21Bに覆部21cを備えさせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】自脱形コンバインの全体側面図
【図2】脱穀装置の縦断側面図
【図3】カバー体を格納位置に切り換えた状態を示す要部の左側面図
【図4】カバー体を使用位置に切り換えた状態を示す要部の左側面図
【図5】カバー体を格納位置に切り換えた状態を示す要部の右側面図
【図6】カバー体を使用位置に切り換えた状態を示す要部の右側面図
【図7】カバー体の構成を示す要部の横断平面図
【図8】カバー体の構成を示す要部の縦断正面図
【符号の説明】
4 脱穀装置
4A 投入口
7 フィードチェーン
7A 搬送始端部
20 ガイドフレーム
21 カバー体
21A カバー(外側)
21B カバー(内側)
21C 可動部材(外側)
21D 可動部材(内側)
21c 覆部
21d 上端
33 投入案内板
33A 端部
Claims (2)
- フィードチェーン(7)のガイドフレーム(20)に、前記フィードチェーン(7)の搬送始端部(7A)を露出させる格納位置と、前記搬送始端部(7A)を隠す使用位置とに位置変更可能に装備される手刈り穀稈載置用のカバー体(21)を、前記搬送始端部(7A)の両横側に配設される一対のカバー(21A)(21B)と、それらのカバー(21A)(21B)を前記ガイドフレーム(20)に変位可能に連結する可動部材(21C)(21D)とから構成してあるコンバインの穀稈搬送構造であって、
前記一対のカバー(21A)(21B)のうち、機体内方側に配置される内側のカバー(21B)の上下方向中間部に、内側のカバー(21B)に対する前記可動部材(21D)を上方から覆う覆部(21c)を設けてあるコンバインの穀稈搬送構造。 - 前記格納位置では、前記内側のカバー(21B)の上端が、前記搬送始端部(7A)で搬送される穀稈の穂先側を脱穀装置(4)の投入口(4A)に案内する投入案内板(33)における前記フィードチェーン(7)側の端部(33A)よりも低くならないように設定してある請求項1記載のコンバインの穀稈搬送構造。
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