JP3604059B2 - 部分希釈方式のガス希釈システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、部分採取された排気ガスを例えば空気などの希釈用ガスで希釈する部分希釈方式のガス希釈システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のディーゼルエンジンなどから排出されるガス中に含まれるすすなどの微粒子状物質(Particulate Matter、PMと略称する)の測定に必要なガス希釈システムとして、近年、排気ガスを全量採取しこれを全量希釈する従来からのフルダイリューションシステムに代わって、流量制御および排ガスの部分採取を行うところの部分希釈方式の小規模な希釈システムが採用されてきている。この部分希釈方式の希釈システムは、希釈後の排気ガスを一定流量に維持しながら、排気ガス希釈用空気の流量を制御することにより、これらの流量の差として得られる排気ガスの採取流量を制御するシステムである。
【0003】
図3は、上記部分採取による部分希釈方式のガス希釈システムの一例を示すもので、この図において、1は例えば自動車に搭載されるディーゼルエンジン、2はこれに連なる排気管である。3は排気管2に挿入接続され、排気管2中を流れる排気ガスGをサンプリングするためのプローブで、その下流側はサンプリングされた排気ガスGを希釈する希釈トンネル4に接続されている。5はこの希釈トンネル4の上流側に接続される希釈用空気の供給路で、図4に示すような希釈用ガス流量制御装置6が設けられている。
【0004】
すなわち、図4において、7は流路8に設けられる例えば回転数制御によって吸引能力を変えることができるルーツブロアポンプで、インバータ(周波数変換器)9によって制御される。10は測定精度の高い差圧流量計としてのベンチュリ流量計で、その近傍には流路8を流れる空気の圧力を検出する圧力センサ11、差圧センサ12および温度センサ13が設けられている。14は前記センサ11〜13の検出出力に基づいて流路8を流れる空気の流量(実流量)を演算する流量演算ユニットである。15は流量演算ユニット14において得られた空気の実流量と予め設定される流量とを比較し、所定の制御信号をインバータ9に出力する比較制御回路である。
【0005】
16は希釈トンネル4の下流側に接続され、希釈されたサンプルガスSが流れるガス流路で、この流路16の下流側は二つの流路17,18に分岐し、それぞれの流路17,18にサンプルガス中に含まれるPMを捕集するためのフィルタ19,20および絞り量(圧損)を可変できるコントロールバルブ21,22を設けて、一方の流路17は定常時の排気ガスを流すためのサンプルガス流路に、また、他方の流路18は非定常時の排気ガスを流すためのバイパス流路にそれぞれ構成されている。
【0006】
23は前記サンプルガス流路17、バイパス流路18の下流側に設けられる流路切換え手段としての三方電磁弁で、そのポート23aがサンプルガス流路17に、ポート23bがバイパス流路18にそれぞれ接続されるとともに、ポート23cは三方電磁弁23の下流側のガス流路24に接続されている。
【0007】
そして、前記ガス流路24には、回転数制御によって吸引能力を変えることができる吸引ポンプ、例えばルーツブロアポンプ25と、測定精度の高い差圧流量計、例えばベンチュリ流量計26とがこの順に設けられている。そして、27はガス流路24を流れるガスの圧力を検出する圧力センサ、28は差圧センサ、29は温度センサである。
【0008】
また、30はルーツブロアポンプ25を制御するインバータ(周波数変換器)であり、31は装置全体を制御する流量制御ユニットである。この流量制御ユニット31は、コントロールバルブ21,22やインバータ30に指令を出力したり、前記センサ27〜29からの検出出力が入力される。
【0009】
而して、上記ガス希釈システムにおいて、比較制御回路15からインバータ9に指令値が出力され、この指令値に基づいて流路8に設けたルーツブロアポンプ7が制御されることにより、希釈トンネル4に対して所定流量の希釈用空気が供給される一方、流量制御ユニット31に設けたPIDコントローラ(図示していない)によって出力される指令値をインバータ30に出力し、この指令に基づいてインバータ30から出力される指令値に基づいてルーツブロアポンプ25が制御されることにより、ガス流路16、18、24を流れるサンプルガスSの流量が常に所定の流量になるように制御され、これによって、排気ガスの採取流量が制御される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、ポンプ7とベンチュリ流量計10とを互いに直列にして設けていたため、次のような不都合があった。
【0011】
すなわち、空気流量の計測手段としてのベンチュリ流量計10は、そのフルスケール近傍の流量域においては、約±0.1〜0.2%といった高い流量測定精度を有しているが、空気流量の制御手段としてのポンプ7は、その回転によって流量を変化させるものであり、ポンプ固有の慣性のために、流量制御応答速度は、0.5秒〜1秒程度が限界であった。
【0012】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、部分採取された排気ガスを例えば空気などの希釈用ガスで希釈するとともに、希釈用ガスを高速応答かつ高精度に制御することができる部分希釈方式のガス希釈システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の部分希釈方式のガス希釈システムは、部分採取された排気ガスを希釈用ガスで希釈する部分希釈方式のガス希釈システムにおいて、前記希釈用ガスの供給路にピエゾバルブとベンチュリ流量計とを互いに直列な状態になるように設け、前記ピエゾバルブは、ベンチュリ流量計によって得られた実流量と設定流量の比較結果に基づいて開度調整が行われるようにしている。
【0014】
上記ピエゾバルブは、流量制御範囲がそれほど大きくない領域においては、0.2〜0.5秒程度の高速応答性があり、したがって、このような高速応答性を備えたピエゾバルブと高い流量測定精度を有するベンチュリ流量計とを組合せ、ベンチュリ流量計によって得られた実流量を設定流量と比較し、その比較結果に基づいてピエゾバルブの開度調整を行うようにし、空気など各種の希釈用ガスを高速応答かつ高精度に制御することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1および図2はこの発明の一つの実施の形態を示すもので、この図1において、図4における符号と同じものは同一部材を示している。
【0016】
図1は、この発明の部分希釈方式のガス希釈システムに用いられる気体流量制御装置32の全体構成を概略的に示すもので、この図において、33は流路8に設けられるピエゾバルブで、ベンチュリ流量計10と直列かつベンチュリ流量計10よりも上流側に設けられる。このピエゾバルブ33は、弁口を開閉する弁体をピエゾスタックの歪力により押圧駆動するもので、例えば図2に示すように構成されている。
【0017】
すなわち、図2において、34は本体ブロック、35,36は本体ブロック34に形成された流体入口、流体出口である。37は流体入口35と流体出口36との間に形成される流体流路で、この流体流路37の途中には上面に弁口38を備えたオリフィスブロック39が設けられている。40は本体ブロック34の上面に、オリフィスブロック39の上面を覆うようにして設けられる中空の弁ブロックで、この弁ブロック40内には、弁口38の開度調節を行う弁体41がオリフィスブロック39の上面を覆うようにして設けられるダイヤフラム42によって上下動自在に保持されている。この弁体41は、通常時、オリフィスブロック39の上面(弁口38の上部周囲)との間に若干の隙間が形成されるようにしてある。
【0018】
43は弁体41を下方に押圧駆動するピエゾスタックで、複数のピエゾ素子を積層して形成してあり、弁ブロック40に螺着された筒状のバルブケース44内に収容されている。このピエゾスタック43は、その上端部45がバルブケース44の上端に螺着されるナット部材46に固定され、下端の出力端47が弁体40の上端に当接するように構成されている。48はピエゾスタック43に給電するためのリード線である。
【0019】
上記構成のピエゾバルブ32は、ピエゾスタック43に適宜の直流電圧を印加することにより、各ピエゾ素子が歪み、この歪みによって出力端47が弁体41を下方に押圧駆動し、弁体41と弁口38との間の距離、つまり、弁口38の開度調節を行うもので、流量調整の応答性は数10μsec〜数msecときわめて高速である。なお、このようなピエゾバルブ33は、例えば実用新案登録第2516824号公報に詳しく記載されている。
【0020】
再び、図1において、49は上記ピエゾバルブ33を駆動する回路で、比較制御回路15からの信号を受け、この信号に基づいてピエゾバルブ33における弁口38の開度を調整する。そして、流路8のピエゾバルブ33の上流側には、吸引ポンプ50、フィルタ51、調圧器52が設けられている。
【0021】
上記構成の気体流量制御装置32においては、高速応答性を備えたピエゾバルブ33と高い流量測定精度を有するベンチュリ流量計10とを互いに直列に接続し、ベンチュリ流量計10によって得られた実流量を設定流量と比較し、その比較結果に基づいてピエゾバルブ33の開度調整を行うようにすることにより、空気など気体を高速応答かつ高精度に制御することができる。したがって、このような優れた特性を有する気体流量制御装置32を、図3に示した希釈ガス流量制御装置に組み込んでいる(空気供給路5の上流側に接続する)ので、エンジン排気ガスのトランジェント計測に必要な高速応答かつ高精度の希釈空気制御システムが得られ、これにより、所望のPM測定を確実にしかも高精度行うことができる。
【0022】
この発明は、上述の実施の形態に限られるものではなく、例えば、ポンプ50に代えて、コンプレッサを用いてもよい。
【0023】
そして、上述に実施の形態においては、希釈用空気の定量供給装置として用いていたが、これに限られるものではなく、空気を始めとする各種の希釈用ガスを高速応答かつ高精度に制御する場合に広く用いることができる。
【0024】
【発明の効果】
この発明の部分希釈方式のガス希釈システムにおいては、流量制御の応答性に優れたピエゾバルブと流量計測精度の高いベンチュリ流量計流量計とを組み合わせ、ベンチュリ流量計によって得られた実流量を設定流量と比較し、その比較結果に基づいてピエゾバルブの開度調整を行うようにしているので、空気など各種の希釈用ガスを高速応答かつ高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の部分希釈方式のガス希釈システムで用いる気体流量制御装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】前記気体流量制御装置において用いるピエゾバルブの構成を概略的に示す縦断面図である。
【図3】部分希釈方式のガスサンプルシステムの一例を示す図である。
【図4】従来の部分希釈方式のガス希釈システムで用いられていた気体流量制御装置の全体構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
5…希釈用ガスの供給路、8…流路、10…ベンチュリ流量計、33…ピエゾバルブ、G…排気ガス。
Claims (1)
- 部分採取された排気ガスを希釈用ガスで希釈する部分希釈方式のガス希釈システムにおいて、前記希釈用ガスの供給路にピエゾバルブとベンチュリ流量計とを互いに直列な状態になるように設け、前記ピエゾバルブは、ベンチュリ流量計によって得られた実流量と設定流量の比較結果に基づいて開度調整が行われるものであることを特徴とする部分希釈方式のガス希釈システム。
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