JP3604004B2 - 掃除機のブラシ組品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は掃除機のブラシ組品に関するものであり、例えば電気掃除機の吸込口体に設けられるブラシ組品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より知られている一般的な電気掃除機の外観を図11に示し、その吸込口体(3)の断面構造を図12に示す。図11に示すように、電気掃除機本体(1)には吸引パイプ(2)が接続され、その先端部には吸込口体(3)が接続されて使用される。吸込口体(3)の内部には、図12に示すように横軸周りで回転する回転ブラシ(4)が設けられており、回転ブラシ(4)が回転すると、絨毯や畳等の床面(f)が叩かれて塵埃等の吸込みが良好になる。
【0003】
上記回転ブラシ(4)の構成は特開平6−125811号公報等で開示されており、その一例の概略を図13に示す。合成繊維糸等から成るブラシ素材糸(101)を1方向へ併設状に配列し、これを挟むようにブレード(102)を配して所定箇所(103)で縫製すると、ブラシ組品(100)が得られる。そして、2つのブラシ組品(100)を回転ブラシ本体(104)の各溝(104a)に挿入して係止させると、回転ブラシ(4)が得られる。回転ブラシ(4)を構成するブラシ組品(100)としては、これ以外の構成が特開平11−169326号公報で開示されており、その概略を図14に示す。心材(106)周りにブラシ素材糸(101)を1方向へ併設状に配列し、ブラシ素材糸(101)の根元部分にカバー管(105)を外嵌して溶着する。そのカバー管(105)を包むように成形型でブレード(102)を形成加工して固着し、それを上記と同様に回転ブラシ本体(104)の溝(104a)に挿入すると、回転ブラシ(4)が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような縫製作業の構成にあっては、ブラシ素材糸(101)が位置的な偏り,絡み,曲がり等を起こさないようにする必要がある。そのための縫製作業は極めて熟練を要するものであり、熟練作業者が必要となる。また、成形型で形成加工する構成にあっては、成形機械を要する上にブラシ体、特に毛部をインサート成形する高度な技術が必要となる。したがって、特殊成形作業の専門作業者が必要となり、また、定寸ごとに成形金型が必要となるため、多種類の生産には適さないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、ブラシ素材糸の縫製作業や特殊な成形作業が不要であって、多種類生産への容易な対応、生産効率の向上及び生産コストの低廉化を可能とする、掃除機のブラシ組品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の掃除機のブラシ組品は、複数のブラシ素材糸を有するブラシ体と、そのブラシ体を保持するブレードとから成る掃除機のブラシ組品であって、前記ブレードと前記ブラシ体とが個々に形成され、前記ブラシ体が前記ブレードに着脱可能に保持されているとともに、前記ブラシ素材糸にワックス材が混入されているか、あるいはコーティングが施されていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る掃除機用ブラシ組品の一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態はブラシ体等の構造に特徴を有するものであり、それ以外の構成については前記従来例(図11,図12)と同一である。したがって、前記従来例と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略する。
【0013】
図1に、ブラシ組品(5)を搭載した吸込口体(3)の概略構造を断面的に示し、図2に、図1のA−A線断面構造を示す。電気掃除機の吸込口体(3)の内部には回転ブラシ(4)が設けられており(図1)、回転ブラシ(4)は回転ブラシ本体(41)と2つのブラシ組品(5)とで構成されている(図2)。回転ブラシ(4)は、回転ブラシ本体(41)にブラシ組品(5)が挿嵌された構造になっている。その両端は回転ブラシ本体(41)に係止したプーリ(42)で挟嵌され、回転ブラシ本体(41)の両端に係止したプーリ(42)が、ベアリング等から成る軸受け(43)で吸込口体(3)内に回転可能に軸支される。
【0014】
図3にブラシ組品(5)の組立構成を示し、図4に回転ブラシ(4)の組立構成を示す。また、図7にブラシ組品(5)の縦断面構造を示す。ブラシ組品(5)は、複数のブラシ素材糸(71)を有するブラシ体(7)と、そのブラシ体(7)を保持するブレード(6)とから成る。そして、図3に示すようにブレード(6)とブラシ体(7)とは個々に形成され、後述するようにブラシ体(7)がブレード(6)に対し着脱可能に保持される。図5にブラシ体(7)の縦断面構造を示し、図6にブレード(6)の縦断面構造を示す。ブレード(6)の断面は略U字形状を成し、ブラシ体(7)はブラシ素材糸(71)を根元部分で固定する心材(72)を有する。なおブラシ素材糸(71)は、それぞれが1本の糸から成るものでもよく、複数本の糸をより合わせたものでもよい。
【0015】
ブレード(6)は、柔軟性及び弾性を有する樹脂(軟質塩化ビニル材料,ゴム材料等)で形成される。その底部には心材(72)との間に隙間(Q;図7参照)をもって係合する溝部(6a)が形成されており、また、ブレード(6)の外面には図4に示すように回転ブラシ本体(41)に係合する溝(6b)が形成されている。そして、各溝部(6a,6b)は長尺方向に両端を開口している。ブレード(6)が弾性を有する樹脂で形成されているため、長尺成形後の保管,運搬等が容易であるとともに、ブラシ体(7)の挿入を容易に行うことができる。また、ブレード(6)の弾性によりブラシ体(7)を確実に保持し、ブラシ素材糸(71)の立姿勢を保持することができる。
【0016】
ブラシ体(7)は、図5に示すようにブラシ素材糸(71)が略U字型に心材(72)を貫通して1方向へ併設状に配列して植えられた構成になっている。心材(72)は、樹脂材(テトロン,ポリプロピレン,ナイロン等)から成る薄板(例えば厚さ0.3〜1.0mmの板)を長尺に切断するか、あるいは押し出しで成形される。また、樹脂糸(テトロン,ポリプロピレン、ナイロン等)から成る編布で成形してもよい。このように心材(72)を構成すれば、ミシン針等を容易に貫通させることができるので、ミシン針等でブラシ素材糸(71)を連続的かつ容易に植毛することができるとともに、必要長さに容易に切断することができる。また、心材(72)はブラシ素材糸(71)の略U字型を寄せたときの幅w1(図7参照)より大なる寸法の幅w2(図5参照)を有する。これにより、ブラシ体(7)をブレード(6)に挿入したときに、ブレード(6)でブラシ体(7)を確実に保持することができる。また、図5に示すように心材(72)の植毛部分に接着剤等でコーティング(73)を施すと、ブラシ素材糸(71)と心材(72)との締結をより確実にすることができる。
【0017】
図3に示すように、ブラシ体(7),ブレード(6)をそれぞれ長尺に成形し、必要長さに切断し(生産時にその都度長尺物を必要サイズに切断して使用する)、ブラシ体(7)の心材(72)をブレード(6)の溝部(6a)に挿入すると、心材(72)の部分でブラシ体(7)がブレード(6)に対し着脱可能(したがって離脱可能)に挟包されて、ブラシ体(7)をブレード(6)で挟包した構造のブラシ組品(5)が得られる(図7等参照)。このとき、ブラシ体(7)の心材(72)をブレード(6)の端部から溝部(6a)に挿入してもよいが、凸部(6g)を押し広げて心材(72)側からブラシ体(7)を挿入して組み込んでもよい。
【0018】
上記のように、ブラシ組品(5)は断面略U字形状のブレード(6)に対しブラシ体(7)が心材(72)部分で着脱自在に挟包される構成になっているため、ブラシ素材糸(71)の縫製作業や特殊な成形作業が不要であり、ブラシ体(7)とブレード(6)とを容易に組み合わせることが可能である。また、ブレード(6)とブラシ体(7)とが個々に形成されるため、個々に交換し補修することが可能であり、多種類生産への容易な対応、生産効率の向上及び生産コストの低廉化が可能である。
【0019】
図7に示すように、溝部(6a)には心材(72)に対峙する凸部(6h)が設けられており、隙間(Q)をもって心材(72)と係合する。これと同様に、凸部(6j)が設けられており心材(72)を保持する。心材(72)は凸部(6h,6j)で部分的に保持されるので、手作業での挿入が容易になるとともに、心材(72)やブレード(6)の変形,反り等が生じてもスムーズな挿入が可能となる。また、隙間(Q)があいているため、ブラシ体(7)がブレード(6)内でZ方向又は反Z方向に移動可能に保持される。ブレード(6)は、その内部でブラシ体(7)の毛先部分との間に隙間(S)をあけるとともに、ブラシ体(7)の根元部分に当接してブラシ体(7)を挟嵌する。つまり、略U字型を成す側片(6c,6d)がブラシ素材糸(71)を挟むようにして倒れや破損を防止し、それと同時に、ブラシ素材糸(71)の根元付近で当接する部位に形成されている凸部(6f)がブラシ素材糸(71)を圧接して挟包する。この構成により、ブレード(6)とブラシ体(7)とを確実に保持できるとともに、互いの撓み性能を向上させることができる。
【0020】
回転ブラシ本体(41)には、図4に示すようにブレード(6)の溝(6b)と係合可能な複数個の溝(41a)が設けられており、ブラシ組品(5)が手作業で挿入される。凸部(6f)を溝(6b)と同レベル位置に設けると、回転ブラシ本体(41)の溝(41a)で溝(6b)が押さえられるため、凸部(6f)は広がることがなく確実にブラシ素材糸(71)を保持することができる。そして、回転ブラシ本体(41)の両端をプーリ(42)で挟嵌してブラシ組品(5)が保持される(図1)。
【0021】
上記のようにして組立てられた回転ブラシ(4)は、図2に示すように吸込口体(3)内に回転自在に内装され、電動機又はタービン等(不図示)で回転駆動される。回転駆動されるとブラシ組品(5)の先端が絨毯,畳,フローリング等の床面(f)を叩いて、塵埃を効率良く吸込口体(3)内に案内するとともに、ブラシ体(7)が床面(f)を磨くことになる。図7に示すようにブレード(6)とブラシ素材糸(71)との間には隙間(S)があるため、図2に示すようにブラシ組品(5)の先端が床面(f)に当接したとき、互いに干渉されることなくスムーズに撓むことができる。
【0022】
ブレード(6)は、図7に示すように、ブラシ体(7)の毛先近くまで延伸した側片(6c,6d)を有する。ブレード(6)の側片(6c,6d)がブラシ体(7)の毛先近くまで延伸しているため、ブラシ体(7)を保持して倒れを防止し保護するとともに、床面(f)の毛や糸等のゴミを効率良く吸込口体(3)内に案内し、絨毯等の表面を叩いて塵埃を追い出す叩き効果等を掃除と同時に得ることができる。またブレード(6)の側片(6c,6d)は、使用条件により片方、例えば図2では床面(f)側の側片(6d)だけにして、側片(6c)は短くてもよい。これにより、少ない材料でブレード(6)を形成することができるため、ブラシ組品(5)を安価にすることができる。
【0023】
また図7に示すように、心材(72)と溝部(6a)とは隙間(Q)をもって係合するため、回転ブラシ(4)の回転中心から毛先部分までの距離は変化可能であり、ブラシ体(7)はブレード(6)内でZ方向(又は反Z方向)に移動する。これにより、床面(f)の環境(例えば凹凸のある絨毯や畳、異物の存在等)により回転ブラシ(4)の回転に抵抗が発生すると、ブラシ体(7)の先端は反Z方向へ移動することになる。つまり、回転ブラシ(4)の回転中心から毛先までの距離を小さくして回転抵抗を減少させることができる。また、ブレード(6)の先端部分には凸部(6g)が設けられているため(図6等)、床面(f)が絨毯等の場合には凸部(6g)が絨毯の毛足をかき分けて、絨毯内の塵埃を効率良く掻き取ることができる。また、シリコンや床磨き用のワックス材をブラシ素材糸(71)に混入したり(例えば内部に含有させる)、ブラシ素材糸(71)の表面にコーティングを施したりすると、掃除作業と同時に床にワックス掛け作業を行うことができる。
【0024】
ブラシ素材糸(71)と心材(72)とを結合して成るブラシ体(7)の構成は、図5に示すものに限らない。例えば心材(72)は板状以外の形状でもよく、ブラシ素材糸(71)を保持するとともにブレード(6)に挟嵌されて容易に離脱しない形状(例えば、円形,楕円形,三角形等)であって、幅w1(図7)より大なる幅w2(図5)の寸法が得られる形状であればよい。図8〜図10にブラシ体(7)の他の例を示す。ただし、図5等に示すブラシ体(7)と同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して示す。図8に示すブラシ体(7)は、心材(72)の上にブラシ素材糸(71)を載せ、その中央を固定部材(8)で固定したものである。図9に示すブラシ体(7)は、断面が略円形の心材(72)周りにブラシ素材糸(71)をU字型に巻き付け、毛根部分を接着剤等で固定したものである。図10に示すブラシ体(7)は、心材(72)に対しその長手方向にブラシ素材糸(71)を複数列U字状に植毛したものである。これらのブラシ体(7)を用途に合わせて使用することにより、より生産性を向上させることができる。
【0025】
なお、上述したブラシ組品(5)の各特徴は、回転ブラシ(4)に搭載されるブラシ組品(5)に限らず、例えば図2に示すように吸込口体(3)の周縁部分に設けられるブラシ組品(Y)に採用した場合でも同様の効果が得られる。また、以上説明した吸込口体(3),回転ブラシ(4),ブラシ組品(5)等は本発明の一実施の形態を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で更に種々の変更を加えて実施することが可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ブレードとブラシ体とが個々に形成され、ブラシ体がブレードに着脱可能に保持された構成になっているため、ブラシ素材糸の縫製作業や特殊な成形作業が不要であり、多種類生産への容易な対応、生産効率の向上及び生産コストの低廉化が可能である。しかも、ブラシ素材糸にワックス材が混入又はコーティングされているため、掃除と同時に床をワックス掛けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るブラシ組品を搭載した吸込口体の概略構造を示す断面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】ブラシ組品の組立構成を示す分解斜視図。
【図4】回転ブラシの組立構成を示す分解斜視図。
【図5】ブラシ体を示す縦断面図。
【図6】ブレードを示す縦断面図。
【図7】ブラシ組品を示す縦断面図。
【図8】ブラシ体の他の例を示す断面図。
【図9】ブラシ体の他の例を示す断面図。
【図10】ブラシ体の他の例を示す断面図。
【図11】電気掃除機の従来例を示す斜視図。
【図12】図11の電気掃除機を構成している吸込口体を示す断面図。
【図13】吸込口体に搭載される回転ブラシの従来例を示す分解斜視図。
【図14】回転ブラシを構成するブラシ組品の従来例を示す分解斜視図。
【符号の説明】
1 電気掃除機本体
2 吸引パイプ
3 吸込口体
4 回転ブラシ
41 回転ブラシ本体
5 ブラシ組品
6 ブレード
6c,6d 側片
7 ブラシ体
71 ブラシ素材糸
72 心材

Claims (1)

  1. 複数のブラシ素材糸を有するブラシ体と、そのブラシ体を保持するブレードとから成る掃除機のブラシ組品であって、
    前記ブレードと前記ブラシ体とが個々に形成され、前記ブラシ体が前記ブレードに着脱可能に保持されているとともに、
    前記ブラシ素材糸にワックス材が混入されているか、あるいはコーティングが施されていることを特徴とする掃除機のブラシ組品
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