JP3603261B2 - ローヤルゼリー含有ソフトカプセル剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はローヤルゼリーを含有するカプセル剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりローヤルゼリーのソフトカプセル剤としては、ローヤルゼリーにミツロウやグリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤を加え、油脂等に懸濁させてカプセル内容物としたものが販売されている。
このようなソフトカプセル剤は、一定量の成分を簡単に摂取しやすいこと、内容成分が直接空気に触れないために空気酸化を受けにくいこと等を特徴とする有用な整剤である。
しかしタンパク質を主体にアミノ酸、ビタミン類など40種以上の種々の栄養素を含んだローヤルゼリーは安定性の高い物質とは言えず、ローヤルゼリーを含有するソフトカプセルは、その皮膜や内容物が経時的あるいは高温保存状態において褐色に変化してしまうことが知られている。このローヤルゼリーの変色を防止するため、ソフトカプセル剤内容液にカルシウムを加えたり(特開平11−266804号)、乾燥ローヤルゼリーをサイクロデキストリンで抱接させたものを用いること等が提案されているが、いずれも充分な改善が図られていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ローヤルゼリーを含有するソフトカプセル剤において生じる褐色変化を抑制または防止することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項1記載のローヤルゼリー含有のソフトカプセル剤は、ローヤルゼリーを10〜50重量%及びスクワレンを5〜80重量%含有する組成物をソフトカプセル化したことを特徴として成るものである。
【0005】
また請求項2記載のローヤルゼリー含有のソフトカプセル剤は、前記請求項1記載の組成物に更に1〜30重量%の抗酸化剤及びマスキング剤を配合して成るものである。
【0006】
更にまた請求項3記載のローヤルゼリー含有のソフトカプセル剤は、前記請求項1記載の組成物に更に1〜30重量%の抗酸化剤、マスキング剤及び賦形剤を配合して成るものである。
【0007】
更にまた請求項4記載のローヤルゼリー含有のソフトカプセル剤は、前記請求項2または3記載の要件に加え、前記抗酸化剤が、抗酸化ビタミン、フラボノイド及びポリフェノールの中から選ばれて成るものである。
【0008】
更にまた請求項5記載のローヤルゼリー含有のソフトカプセル剤は、前記請求項2または3記載の要件に加え、前記マスキング剤がカルシウム誘導体であることを特徴として成るものである。
【0009】
更にまた請求項6記載のローヤルゼリー含有のソフトカプセル剤は、前記請求項3記載の賦形剤が、デキストリン、サイクロデキストリン、還元糖、セルロース及びポリサッカライドの中から選ばれて成るものである。
【0010】
【発明の作用】
本発明の作用は必ずしも明らかではないが、深海サメの肝臓より抽出した油脂の一種であるスクワレンの物性により、その作用がなされるものと推察できる。すなわちスクワレンは、化学構造上、二重結合を多く持っていることから強力な酸化防止効果があることによって、ローヤルゼリーに含まれる化学的に不安定な物質を安定化させたり、成分中の糖とタンパク質及びソフトカプセル皮膜のゼララチンとの反応で生じる褐色変化の原因となるメーラード反応を抑制すると考えることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明はローヤルゼリー及びスクワレンを含有するソフトカプセル剤を製造するものである。ここでローヤルゼリーの含有率は、カプセル内容薬液の総和に対して10〜50重量%であり、これに対してスクワレンを5〜80重量%、好ましくは20〜60重量%含有させることにより、ローヤルゼリーを含有するソフトカプセル剤の褐色変化の抑制または防止が可能となる。
【0012】
また本発明のソフトカプセル剤には、ローヤルゼリー及びスクワレンのほか、抗酸化剤及びマスキング剤または更に賦形剤を配合することが可能であり、これらの総和は1〜30重量%である。ここで抗酸化剤としては、ビタミンC、ビタミンE等の抗酸化ビタミン、フラボノイド、ポリフェノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
またマスキング剤としては、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、真珠カルシウム、乳酸カルシウム、ミルクカルシウム、貝カルシウム等のカルシウム誘導体、賦形剤としては、デキストリン、サイクロデキストリン、還元糖、セルロース、ポリサッカライド等を挙げることができる。しかしこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。なお本発明を実施するには、常法に従ってソフトカプセルを製造すればよく、例えばソフトカプセル剤皮は、ロータリー式、シームレス式または平板式などの方法を使用することができる。
【0014】
【実施例】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
〔実施例1〕
乾燥ローヤルゼリー45重量%、ミツロウ5.5重量%、スクワレン49.5重量%の配合比の内容薬液を下記の操作で製造した。スクワレンの配合処方量の1/4量に配合処方量のミツロウを加え、できるだけ低温で窒素気流中加熱溶解(温度:60〜70℃)後、冷却しミツロウとスクワレンのペーストを作成し、これに残りのスクワレンを加え、適当な高速攪拌機で窒素気流中で攪拌均一化した。なおこのときの攪拌速度は、スクワレンの温度が上昇しない程度のものとする(3,000rpm以下)。更に均一化したスクワレンとミツロウの混合物(ペースト状態)に配合量の乾燥ローヤルゼリーを加え、温度40℃以下の状態を保ちながら窒素気流中で高速攪拌機で約15分間攪拌して(回転速度は3,000rpm〜6,000rpm)均一な配合薬液とした。
【0015】
次に高圧ホモジナイザーを用い、温度上昇がないようにして(入口温度と出口温度の差が20℃以下)配合薬液を粉砕し、60メッシュの篩で篩過し、更に720mmHg/cm2 以下の真空下で脱泡してソフトカプセル内容薬液を製造し、従来のカプセル充填製造方法、例えば対向ロータリーダイ式のゼラチンシートシームレスカプセル加工の手法を用いてカプセル化した。
【0016】
【褐色変化の抑制及び防止効果に対する試験方法及び結果】
本発明のスクワレンを含むローヤルゼリーカプセルとスクワレンを含まない比較例1のローヤルゼリーカプセルを表1の条件下で保存して比較した(表1及び表2)。このスクワレンを含まない比較例1は、本発明の実施例1におけるスクワレンをサフラワー油に置き換えたものであり、具体的には下記のとおりである。
【0017】
【比較例1】
カプセル剤に内容薬液の総和に対して乾燥ローヤルゼリーを45重量%、ミツロウを5.5重量%、サフラワー油を49.5重量%の配合で下記の操作で内容薬液を製造した。サフラワー油の配合処方量の1/4量に配合処方量のミツロウを加え、できるだけ低温で窒素気流中加熱溶解(温度:60〜70℃)後、冷却し、ミツロウとサフラワー油のペーストを作成する。次に前で作成したミツロウとサフラワー油のペーストに残りのサフラワー油を加え、適当な高速攪拌機で窒素気流中で攪拌均一化する。このときの攪拌速度は、サフラワー油の温度が上昇しない程度のものとする(3,000rpm以下)。更に均一化したサフラワー油とミツロウの混合物(ペースト状態)に配合処方量の乾燥ローヤルゼリーを加え、温度40℃以下の状態を保ちながら窒素気流中で高速攪拌機の回転速度を3,000〜6,000rpmの回転速度で15分間攪拌して均一な配合薬液とする。次に高圧ホモジナイザーもしくは石臼式粉砕機を用いて温度上昇がないようにして(入口温度と出口温度の差が20℃以下)配合薬液を粉砕し、60メッシュの篩で篩過する。更に720mmHg/cm2 以下の真空下で脱泡してソフトカプセル内容薬液を製造し、従来のカプセル充填製造方法を用いてカプセル化した。
【0018】
比較に際して、色の変化の指標としてJIS Z 8105 3007及びJIS Z 8721に定められたJIS標準色票を用いて色の変化を測定した。これらの結果、1カ月の室温保存では、本発明品及び従来手法による比較例1ともにほとんどスタート時と変わらず、褐色変化を起こさずに推移していた。しかし直射日光にさらした状態では、従来手法による比較例1で赤みを帯びた褐色変化を生じていたが、本発明品ではスタート時の色とほぼ同一の色調を示していた。温度と湿度による変化についての結果から、ローヤルゼリーカプセルの褐色変化は、温度依存性を示して褐色変化が進み、且つ湿度が高いほど(カプセルに対する直接の水分)影響が強いことも示されていた。しかしながら本発明では、従来手法による比較例1と比較して褐色変化が少なく、赤みを示す色調の変化をJIS規格のマンセル表色系で表したとき、ほぼ1/4まで抑制していることを示していた。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、ローヤルゼリー含有ソフトカプセル剤において生じる褐色変化を確実に防止または抑制することができる。
Claims (6)
- ローヤルゼリーを10〜50重量%及びスクワレンを5〜80重量%含有する組成物をソフトカプセル化したことを特徴とするローヤルゼリー含有ソフトカプセル剤。
- 請求項1に記載の組成物に更に1〜30重量%の抗酸化剤及びマスキング剤を配合した請求項1記載のローヤルゼリー含有ソフトカプセル剤。
- 請求項1に記載の組成物に更に1〜30重量%の抗酸化剤、マスキング剤及び賦形剤を配合した請求項1記載のローヤルゼリー含有ソフトカプセル剤。
- 前記抗酸化剤が、抗酸化ビタミン、フラボノイド及びポリフェノールの中から選ばれている請求項2または3記載のローヤルゼリー含有ソフトカプセル剤。
- 前記マスキング剤がカルシウム誘導体である請求項2または3記載のローヤルゼリー含有ソフトカプセル剤。
- 請求項3に記載の賦形剤が、デキストリン、サイクロデキストリン、還元糖、セルロース及びポリサッカライドの中から選ばれている請求項3記載のローヤルゼリー含有ソフトカプセル剤。
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