JP3602749B2 - チップ型可変抵抗器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音響機器等に使用して好適なチップ型可変抵抗器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来例として本出願人が発明した出願中(特願平11−104192号)のチップ型可変抵抗器を例にして、図7〜図10に基づいて説明すると、図7〜図10は何れも従来のチップ型可変抵抗器を示し、図7は分解斜視図、図8は断面図、図9は要部の拡大斜視図、図10はチップ型可変抵抗器のプリント基板への取付状態を示す断面図である。
【0003】
図7〜図10に示すように、絶縁基板31は、セラミック材から成り、略矩形に焼成加工され、約2mm角と極めて小型の大きさで構成され、上面31aから下面31bに貫通する中心部に設けられた円形の貫通孔31cと、貫通孔31cを囲むように上面31aに設けられたへこみ部31dと、側面31eから突出する一対の突部31fとを有している。
【0004】
抵抗体32は、例えば、サーメット系のペーストなどから成り、絶縁基板31の上面31aのへこみ部31dの周囲に略円弧状に印刷等によって形成されている。
一対の電極33は、例えば、銀とガラスフリットから成り、略矩形で、絶縁基板31の上面31aの突部31f上にわたって設けられ、抵抗体32の両端部にそれぞれ接続され、一対が印刷等によって形成されている。
【0005】
また、端子34は、金属板からなり、略矩形の底板34aと、底板34aと直交し、隣り合う2つの側縁からそれぞれ上方に折り曲げられた一対の脚部34bとを有する。
【0006】
そして、端子34は、底板34aが絶縁基板31の下面31bに当接され、脚部34bが絶縁基板31の角部に直交して、隣り合う2つの側面31eに沿って配置され、更に、脚部34bの先端部が、絶縁基板31の上面31a側に折り曲げられて、端子34が絶縁基板31に取り付けられている。
そして、電極33と端子34とを半田35付けして、互いに接続、固定している。
【0007】
また、中間端子36は、略長方形の底板36aと、底板36aの一方の端部に上方に切り起こされた折り曲げ部36bと、底板36aの中間部に上方に絞り加工にて設けられた円筒状の鳩目部36cとを有する。
また、中間端子36は、底板36aが絶縁基板31の下面31bに当接し、鳩目部36cが絶縁基板31の貫通孔31cに挿通され、折り曲げ部36bが絶縁基板31の側面31eに設けられた切り欠き部に沿って上面31a方向に延びた状態で配置されている。
【0008】
摺動子37は、金属板から成り、円板状部に絞り加工にて形成され、孔37aを設けた底壁部37bを有するお椀状の筒状部37cと、筒状部37cの上端の一部から折り曲げられて、筒状部37cの上方に配置された十字状のドライバー溝37dを有する操作部37eと、筒状部37cの外周から下方に延設された略U字状の摺動部37fとを有している。
【0009】
この摺動子37の筒状部37cは、絶縁基板31の上面31aのへこみ部31d内に配置されると共に、中間端子36の鳩目部36cが、絶縁基板31の貫通孔31cに挿通された状態で、鳩目部36cの先端部が摺動子37の孔37aに挿通されて、鳩目部36cの先端部がカシメ付けられ、摺動子37は、絶縁基板31に対して回動可能に保持されている。
この時、中間端子36の底板36aは、絶縁基板31の下面31bに当接すると共に、摺動子37の摺動部37fは、絶縁基板31の上面31aに設けられた抵抗体32に弾接され、摺動子37の回動に対応して、摺動部37fが抵抗体32上を摺動するようになっている。
【0010】
そして、このような構成を有するチップ型可変抵抗器の動作は、ドライバー溝37dに操作具であるドライバー(図示せず)を挿入して、操作部37eを回転すると、筒状部37cと摺動部37fが同時に回転して、摺動部37fが抵抗体32上を摺動して抵抗値の調整を行うようになっている。
【0011】
次に、従来のチップ型可変抵抗器のプリント配線基板への取付方法を図10に基づいて説明すると、プリント配線基板40は、例えば、ガラス入り合成樹脂材料などから成り平板状で、プリント配線基板40の少なくとも一方の面には、所望の導電パターン(図示せず)が形成されている。このプリント配線基板40の導電パターン(図示せず)上に上述のチップ型可変抵抗器を載置する。
この時、所定の導電パターン上にクリーム半田(図示せず)を塗布しておき、このクリーム半田に接続するようにチップ型可変抵抗器の端子34と中間端子36とを載置する。
【0012】
この状態で、チップ型可変抵抗器が載置されたプリント配線基板40をリフロー炉内に搬送して、チップ型可変抵抗器の端子34と中間端子36とプリント配線基板40の導電パターンとを半田41接続する。
この時、クリーム半田は、端子34、中間端子36をそれぞれ導電パターンに接続する半田41と、半田41から浮遊した半田ボール42となって存在する。そして、半田ボール42が、特に間隔の小さい端子34と中間端子36との間に位置すると、両者を導通して可変抵抗器としての機能を果たさなくなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来のチップ型可変抵抗器は、単に、端子34と中間端子36とが絶縁基板31の下面31bに載置された状態で取り付けられるため、小型のチップ型可変抵抗器においては、間隔の小さい端子34と中間端子36とが半田ボール42によって導通するという問題がある。
そこで、本発明は、特に小型のチップ型可変抵抗器において、半田ボールによる端子間の接続を防止したチップ型可変抵抗器を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の解決手段として、中央部に貫通孔を有し、上面に抵抗体を形成した絶縁基板と、前記抵抗体の両端にそれぞれ接続された状態で前記絶縁基板の側面に設けられた一対の端子と、前記絶縁基板の上面に配設され、前記抵抗体上を摺動する摺動子と、前記絶縁基板の下面に配設され、前記摺動子を回転可能に取り付ける鳩目部を有する中間端子とを備え、前記中間端子は、金属板で形成され、前記鳩目部を設けたフランジ部と、該フランジ部から延出され、一端部に折り曲げ部を有する接続部とを有し、前記フランジ部には前記接続部よりも板厚の薄い薄肉部を設けた構成とした。
【0015】
また、第2の解決手段として、前記フランジ部の薄肉部は、たたき加工によって形成された構成とした。
また、第3の解決手段として、前記フランジ部の全体が前記薄肉部で形成された構成とした。
【0016】
また、第4の解決手段として、前記薄肉部の表面には、絶縁膜を形成した構成とした。
また、第5の解決手段として、前記絶縁基板の下面には、前記中間端子の前記フランジ部と前記接続部とを受け入れる凹部が設けられ、前記薄肉部の表面が前記絶縁基板の下面より前記凹部内に位置して、前記中間端子を前記絶縁基板に取り付けた構成とした。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のチップ型可変抵抗器を図1〜図6に基づいて説明すると、図1〜図6は何れも本発明のチップ型可変抵抗器を示し、図1は斜視図、図2は平面図、図3は側面図、図4は下面図、図5は図2の5−5線における断面図、図6はチップ型可変抵抗器のプリント基板への取付状態を示す断面図である。
【0018】
図1〜図6に示すように、絶縁基板1は、セラミック材から成り、略矩形に焼成加工され、約2mm角と極めて小型の大きさで構成され、上面1aから下面1bに貫通する中心部に設けられた円形の貫通孔1cと、側面1eから突出する一対の突部1fと、突部1fの下面に設けられた凹部1gと、貫通孔1cの位置を含んで下面1bに設けられた矩形状の凹部1hとを有している。
【0019】
抵抗体2は、例えば、サーメット系のペーストなどから成り、絶縁基板1の上面1aの貫通孔1cの周囲に略円弧状に印刷等によって形成されている。
一対の電極3は、例えば、銀とガラスフリットから成り、略矩形で、従来と同様に、絶縁基板1の上面1aの突部1f上にわたって設けられ、抵抗体2の両端部にそれぞれ接続され、一対が印刷等によって形成されている。
【0020】
また、端子4は、金属板からなり、略矩形の底板4aと、底板4aと直交し、隣り合う2つの側縁からそれぞれ上方に折り曲げられた一対の脚部4bとを有する。
【0021】
そして、端子4は、底板4aが絶縁基板1の凹部1gの下面1bに当接され、脚部4bが絶縁基板1の角部に直交して、隣り合う2つの側面1eに沿って配置され、更に、脚部4bの先端部が、絶縁基板1の上面1a側に折り曲げられて、端子4が絶縁基板1に取り付けられている。
そして、電極3と端子4とを半田5付けして、互いに接続、固定している。
【0022】
また、中間端子6は、比較的柔らかい鋼等の金属板からなり、たたき加工によって形成された薄肉部からなる略矩形のフランジ部6aと、このフランジ部6aに繋がって延出され、フランジ部6aよりも肉厚の接続部6bと、この接続部6bの一端から上方に切り起こされた折り曲げ部6cと、フランジ部6aの中間部に上方に絞り加工にて設けられた円筒状の鳩目部6dとを有する。
また、中間端子6は、フランジ部6aと接続部6bが絶縁基板1の下面1bの凹部1h内に位置して、下面1bに当接し、鳩目部6dが絶縁基板1の貫通孔1cに挿通され、折り曲げ部6cが絶縁基板1の側面1eに設けられた切り欠き部に沿って上面1a方向に延びた状態で配置されている。
【0023】
摺動子7は、中間端子6より硬いステンレス等の金属板から成り、円板状部に絞り加工にて形成され、孔7aを設けた底壁部7bを有するお椀状の筒状部7cと、筒状部7cの上端の一部から折り曲げられて、筒状部7cの上方に配置された十字状のドライバー溝7dを有する操作部7eと、筒状部7cの外周から下方に延設された略U字状の摺動部7fとを有している。
【0024】
この摺動子7の筒状部7cは、絶縁基板1の上面1aに配置されると共に、中間端子6の鳩目部6dが、絶縁基板1の貫通孔1cに挿通された状態で、鳩目部6dの先端部が摺動子7の孔7aに挿通されて、鳩目部6dの先端部がカシメ付けられ、摺動子7は、絶縁基板1に対して回動可能に保持されている。
この時、中間端子6のフランジ部6aの薄肉部は、絶縁基板1の凹部1h内に位置して、薄肉部の表面が絶縁基板1の下面1bより凹部1h内側に凹んだ状態となると共に、摺動子7の摺動部7fは、絶縁基板1の上面1aに設けられた抵抗体2に弾接され、摺動子7の回動に対応して、摺動部7fが抵抗体2上を摺動するようになっている。
【0025】
また、絶縁材からなる絶縁膜8が、フランジ部6aの表面と、鳩目部6dの孔内に形成されている。
そして、この絶縁膜8は、絶縁基板1の凹部1h内に位置して、少なくとも下面1bと面一になるように形成されると共に、端子4と近い中間端子6の部分側に絶縁膜8が設けられたものとなっている。
なお、この絶縁膜8は、フランジ部6aの全表面に形成しても良く、また、この実施例においては、フランジ部6aの全体を薄肉部としているが、フランジ部6aの外周の一部、特に、端子4に近い部分に薄肉部を設けたものでも良い。
【0026】
そして、このような構成を有するチップ型可変抵抗器の動作は、ドライバー溝7dに操作具であるドライバー(図示せず)を挿入して、操作部7eを回転すると、筒状部7cと摺動部7fが同時に回転して、摺動部7fが抵抗体2上を摺動して抵抗値の調整を行うようになっている。
【0027】
次に、本発明のチップ型可変抵抗器のプリント配線基板への取付方法を図6に基づいて説明すると、プリント配線基板10は、例えば、ガラス入り合成樹脂材料などから成り平板状で、プリント配線基板10の少なくとも一方の面には、所望の導電パターン(図示せず)が形成されている。このプリント配線基板10の導電パターン(図示せず)上に上述のチップ型可変抵抗器を載置する。
この時、所定の導電パターン上にクリーム半田(図示せず)を塗布しておき、このクリーム半田に接続するようにチップ型可変抵抗器の端子4と中間端子6とを載置する。
【0028】
この状態で、チップ型可変抵抗器が載置されたプリント配線基板10をリフロー炉内に搬送して、チップ型可変抵抗器の端子4と中間端子6とプリント配線基板10の導電パターンとを半田11接続する。
この時、クリーム半田は、端子4、中間端子6をそれぞれ導電パターンに接続する半田11と、半田11から浮遊した半田ボールとなって存在する。
【0029】
そして、本発明においては、中間端子6の肉厚部である接続部6bと端子4の下面が導電パターンに載置され、薄肉部であるフランジ部6aがプリント基板10の表面から浮いた状態となるため、フランジ部6aの薄肉部での半田ボールの付着が少なくなり、端子4と中間端子6との導通が防止される。
【0030】
また、絶縁基板1に凹部1hを設けて、中間端子6のフランジ部6aと接続部6bを凹部1h内に位置させると、フランジ部6aの薄肉部と端子4との間に絶縁基板1の一部が存在したものとなり、中間端子6の薄肉部と端子4との間における半田ボールの付着が一層無くなり、端子4と中間端子6との導通が防止される。
【0031】
また、絶縁膜8を設けると、中間端子6の薄肉部と端子4との間における半田ボールの付着が皆無となり、端子4と中間端子6との導通が防止される。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明のチップ型可変抵抗器において、中間端子6は、金属板で形成され、鳩目部6dを設けたフランジ部6aと、該フランジ部6aから延出され、一端部に折り曲げ部6cを有する接続部6bとを有し、フランジ部6aには接続部6bよりも板厚の薄い薄肉部を設けたため、薄肉部であるフランジ部6aがプリント基板10の表面から浮いた状態となるため、フランジ部6aの薄肉部での半田ボールの付着が少なくなり、端子4と中間端子6との導通が防止できる。
【0033】
また、フランジ部6aの薄肉部は、たたき加工によって形成されるため、その加工が簡単で、生産性が良好である。
また、フランジ部6aの全体が薄肉部で形成されたため、端子4と中間端子6との導通が一層防止される。
【0034】
また、薄肉部の表面には、絶縁膜8を形成したため、端子4と中間端子6との導通を皆無にできる。
また、絶縁基板1の下面1bには、中間端子6のフランジ部6aと接続部6bとを受け入れる凹部1hが設けられ、薄肉部の表面が絶縁基板1の下面1bより凹部1h内に位置して、中間端子6を絶縁基板1に取り付けたため、フランジ部6aの薄肉部と端子4との間に絶縁基板1の一部が存在したものとなり、中間端子6の薄肉部と端子4との間における半田ボールの付着が一層無くなり、端子4と中間端子6との導通が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチップ型可変抵抗器の斜視図。
【図2】本発明のチップ型可変抵抗器の平面図。
【図3】本発明のチップ型可変抵抗器の側面図。
【図4】本発明のチップ型可変抵抗器の下面図。
【図5】図2の5−5線における断面図。
【図6】本発明のチップ型可変抵抗器のプリント基板への取付状態を示す断面図。
【図7】従来のチップ型可変抵抗器の分解斜視図。
【図8】従来のチップ型可変抵抗器の要部断面図。
【図9】従来のチップ型可変抵抗器の要部の拡大斜視図。
【図10】従来のチップ型可変抵抗器のプリント基板への取付状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 絶縁基板
1a 上面
1b 下面
1c 貫通孔
1e 側面
1f 突部
1g 凹部
1h 凹部
2 抵抗体
3 電極
4 端子
4a 底板
4b 脚部
5 半田
6 中間端子
6a フランジ部
6b 接続部
6c 折り曲げ部
6d 鳩目部
7 摺動子
7a 孔
7b 底壁部
7c 筒状部
7d ドライバー溝
7e 操作部
7f 摺動部
8 絶縁膜
10 プリント基板
11 半田
Claims (5)
- 中央部に貫通孔を有し、上面に抵抗体を形成した絶縁基板と、前記抵抗体の両端にそれぞれ接続された状態で前記絶縁基板の側面に設けられた一対の端子と、前記絶縁基板の上面に配設され、前記抵抗体上を摺動する摺動子と、前記絶縁基板の下面に配設され、前記摺動子を回転可能に取り付ける鳩目部を有する中間端子とを備え、前記中間端子は、金属板で形成され、前記鳩目部を設けたフランジ部と、該フランジ部から延出され、一端部に折り曲げ部を有する接続部とを有し、前記フランジ部には前記接続部よりも板厚の薄い薄肉部を設けたことを特徴とするチップ型可変抵抗器。
- 前記フランジ部の薄肉部は、たたき加工によって形成されたことを特徴とする請求項1記載のチップ型可変抵抗器。
- 前記フランジ部の全体が前記薄肉部で形成されたことを特徴とする請求項1、又は2記載のチップ型可変抵抗器。
- 前記薄肉部の表面には、絶縁膜を形成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載のチップ型可変抵抗器。
- 前記絶縁基板の下面には、前記中間端子の前記フランジ部と前記接続部とを受け入れる凹部が設けられ、前記薄肉部の表面が前記絶縁基板の下面より前記凹部内に位置して、前記中間端子を前記絶縁基板に取り付けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のチップ型可変抵抗器。
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