JP3601714B2 - 半導体装置及び配線基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体チップ等の電子部品をパッケージ内に設けた半導体装置に関し、より詳細にはボールグリッドアレイ(以下BGAという)型の半導体装置に関する。より詳細には、本発明はBGA型半導体装置の検査の精度の向上を考慮した構成を有するBGA型半導体装置に関する。
【0002】
近年、半導体チップが高集積化してきており、また、半導体装置の実装の高密度化が要求されてきている。
【0003】
そこで、QFP型半導体装置に比べて、半導体装置の裏面にボール状の外部接続用端子を広いピッチでアレイ状に設けることができ、かつ端子の変形が少ないという特徴を有するBGA型半導体装置が注目されてきている。QFP型半導体装置の外部接続用端子はその端部に沿って設けられているので、これを配線基板(プリント基板、回路基板、マザーボード又は単に基板などとも言われる)上にはんだ付けした状態を目視で容易に確認できる。
【0004】
しかしながら、BGA型半導体装置では裏面の全面又は一部にアレイ状にボール状の端子が設けられているため、内部のはんだ付け状態を外から確認することは極めて困難である。本発明は、この点に着目してなされたものである。
【0005】
【従来の技術】
ここで、図36を参照して、従来のBGA型半導体装置を簡単に説明する。図36は、BGA型半導体装置のパッケージ10の裏面を示す。パッケージ10内には、図示しないLSI等のベアチップが収容されている。パッケージの裏面であってチップの位置に対応する領域部分を除き、ボール状のはんだバンプ12がマトリクス状に設けられている。ボール状のはんだバンプ12は、例えば銅のコアとその周囲を覆うニッケルと金(Ni−Au)の合金でメタライズしたものである。
【0006】
図37は、上記BGA型半導体装置を配線基板14上に搭載し、はんだバンプ12と配線基板14上のフットプリント16とをはんだ付けする様子を示す図である。配線基板14上のフットプリント16にメタルマスクを用いてはんだペーストを印刷した後、BGAパッケージ10をペースト上に搭載し、リフロー処理によってはんだ付けする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
はんだ付けの状態を目視又は顕微鏡で行う場合、はんだバンプ12はパッケージ10の裏面内部にまで配置されているので、全てのはんだバンプ12のはんだ付け状態を検査することが困難である。例えば、図36のはんだバンプ12aはパッケージ10の周辺部分にあるので、そのはんだ付け状態の確認は容易である。しかしながら、はんだバンプ12bは内側に位置しているので、パッケージ10の外からはんだ付け状態を確認することは困難である。なお、上記はんだ付け状態とは、具体的にはリフロー処理で形成されるはんだフィレット(はんだバンプ12とフットプリント16とを結合するはんだ部分)の状態を意味する。特に、通常はんだバンプ12の厚みは約0.35mmと薄いため、内側に位置するはんだフィレットの状態を検査するのは困難である。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、BGA型半導体装置等の内部に端子(電極)を有する半導体装置と配線基板とのはんだ付け状態を精度よく容易に確認可能とする構成を有する半導体装置及び配線基板を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、はんだバンプをパッケージの所定面に有する半導体装置において、
前記はんだバンプは、はんだバンプから所定方向に延びる複数のパターンを有するはんだバンプを含み、
かつ、前記複数のパターンは、平面十字状に設けられていることを特徴とする半導体装置である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施例によるBGA型半導体装置のパッケージの裏面を示す図、図2はこのパッケージの裏面の一部を示す斜視図、図3はパッケージ一部を示す側面図である。第1実施例の特徴は、パッケージの裏面の周囲(外側から見える部分)に3種類の異なる大きさのはんだバンプを交互に配置したことを特徴とする。また、配線基板上のフットプリントははんだバンプの大きさに関係なく全て同一寸法とし、はんだペーストの供給量もすべて同一とする。
【0024】
ガラスエポキシ等で形成されたパッケージ20の裏面の最外周に位置するはんだバンプは、大型バンプ21、標準バンプ22、及び小型バンプ23が順番に配列されている。最外周以外に位置するはんだバンプはすべて標準バンプ22である。標準バンプ22は一般に使用されているはんだバンプと同等の大きさを有し、大型バンプ21は標準バンプ22よりも大きいサイズであり、小型バンプ23は標準バンプ22よりも小さいサイズを有する。
【0025】
これらの3種類のはんだバンプ21、22、23の大きさは、BGA型半導体装置が搭載される配線基板14(図4参照)上に供給されるはんだ膜厚から算出する。通常のはんだバンプである標準バンプ22の径(最大径)が0.7mmで高さが0.35mmの場合、はんだペーストは厚みt(図4参照)が2.0mm程度のメタルマスク18を用いて供給され、リフロー後のはんだ膜厚は約0.1mmである。このことから、大型バンプ21と小型バンプ23とのバンプの高さの差D(図3参照)は0.1mm以下とする必要がある。なお、図3において、バンプの大きさに応じてランド24、25、26の大きさも異なる。ランド24、25、26のそれぞれの中心間の距離は同一であるが、ランドの大きさ(はんだバンプの大きさ)が異なるので、図3に示す隣接するはんだバンプ間のギャップG1、G2は異なる。
【0026】
以下に、各はんだバンプ21、22、23の大きさの一例を示す。
【0027】
【表1】
第1実施例では、最外周に配列された3種類のバンプ21、22、23のはんだ付け状態を検査することで、内側のはんだ付け状態の良否を判断する。即ち、3種類のバンプ21、22、23のはんだつけ状態が不良であれば、内側のはんだ付け状態も不良である可能性が高いので、この場合にははんだ不良と判断する。以下、この検査を詳述する。
【0028】
まず、上記BGA型半導体装置のはんだ付け及び検査の手順を図5を参照して説明する。
【0029】
まず、スクリーン印刷機27を用いて、配線基板にはんだペーストを印刷する。次に、はんだペースト印刷量検査機28ではんだペースト印刷量が適切かどうかを検査する。前述したように、内側のはんだ付けの状態は、外側のはんだバンプ21、22、23が全て良好にはんだ付けされているかどうかで判断する。よって、スクリーン印刷後にはんだペースト印刷状態をはんだペースト印刷量検査機28を用いて検査し、はんだ膜厚及びはんだ量をチェックする。
【0030】
図6は、このチェックを説明するための図である。図6(a)ははんだペーストが良好に印刷された状態を示し、図6(b)は不良状態を示す。良好な印刷状態のはんだペースト31は、配線基板14上のフットプリント上に、所定の厚みでかつ上面が平坦である。この状態を確認すると、図5に示す部品搭載機39による部品搭載工程に進む。図6(b)に示す不良状態を確認すると、印刷不良として、配線基板14をリジェクトする。不良状態のはんだペーストは、所定の厚みがなく、また上面は平坦でない。そして、図5に示すように、印刷条件を見直す。例えば、はんだペーストを塗布するスキージのスピードや印圧等を調整する。このようにして、フットプリント14にはんだペースト31が確実に供給されていることを確認することによって、BGA型半導体装置の内側のはんだ付け状態を保証する。
【0031】
次に、部品搭載機29を用いてBGA型半導体装置を配線基板14に搭載し、リフローはんだ付け機30ではんだ付けする。そして、以下に説明する検査工程に進む。
【0032】
図7(a)は、部品搭載後であってリフロー処理前の状態を示す図であり、図7(b)はリフロー処理後の状態を示す。大型バンプ21ははんだ過剰となり、そのはんだフィレット33と標準バンプ22のはんだフィレットとの間隙は小さい。しかしながら、この間隙に、図7(c)の参照番号34で示すはんだブリッジが発生していなければ、内側の標準バンプ22間は間隙が上記間隙よりも広いので、内側の標準バンプ22は良好なはんだ付け状態であると判断できる。また、小型バンプ23が良好にはんだ付けされていれば、内側の標準バンプ22は小型バンプ23よりも高さが高いので、未はんだ(未接合)の発生はないと判断できる。即ち、図7(c)に示すように、小型バンプ23に未はんだ35を確認すると、内側の標準バンプ22にも未はんだが発生していると考えられる。
【0033】
なお、異なるサイズのはんだバンプは最外周のみならず、外側から確認できる範囲でその内側に設けてもよい。また、大型バンプ21、標準バンプ22及び小型バンプ23を検査専用に設けてもよく、また実際に信号を伝達するものであってもよい。
【0034】
図8は、上記本発明の第1実施例の変形例を示す図である。この変形例は、第1実施例を簡略化したものである。図8(a)に示すように、小型バンプ23のみからなる最外周を作成し、その内側に標準バンプ22を配列する。図8(b)に示すように、目視又は顕微鏡で小型バンプ23が良好にはんだ付けされていれることが確認できれば、内側の標準バンプ22は小型バンプ23よりも高さが高いので、未はんだ(未接合)の発生はないと判断できる。この変形例では、大型バンプ21を用いていないので、検査の精度は第1実施例よりも劣るが、簡易的に接合品質をチェックすることができる。
【0035】
図9は、本発明の第2実施例を示す図である。第2実施例では、第1実施例及びその変形例とはことなり標準バンプ22のみで構成されるが、最外周にあるいくつかの標準バンプ22a、22b間の距離L1を通常の標準バンプ22間の距離L2よりも小さくし、L1の距離にはんだブリッジ36が生じているかどうかを検査する。ブリッジが生じていなければ、その他の部分にははんだブリッジが生じていないと判断できる。ブリッジ36が生じていれば、その他の部分にはんだブリッジが生じている可能性があると判断する。第2実施例は、第1実施例よりも検査精度は劣るが、簡易的に接合品質をチェックすることができる。
【0036】
次に、本発明の第3実施例について説明する。第3実施例は、従来から行われているX線透過像を用いてはんだ接合部の状態を判断する方法において、その精度を向上させることができる構成を有したBGA型半導体装置である。
【0037】
まず、図10を参照して、X線透過像を用いた従来の検査方法について説明する。いま、図10(a)は、良好なはんだ付け状態及び不良なはんだ付け状態を示す。X線透過像を例えば、矢印X方向から照射する。X線透過像を図10(b)に示す。図示するように、はんだのある部分は丸い影となって写るため、はんだ付けの状態がわからない。
【0038】
図11及び図12は、本発明の第3実施例によるBGA型半導体装置の要部を示す図である。ガラスエポキシ等のパッケージ38にはスルーホール37が設けられ、この中及び対向する面上に図示するパターン部分を有する銅等の導体39が設けられている。パッケージ38の裏面(下面)には、スルーホール37の周囲にリング状のはんだバンプ42、及び導体39の一部であるリング状のランドから4つの直交する方向に延びる4つの引き出しパターン(検査パターンともいう)39a、39b、39c及び39dが形成されている。スルーホール37内部には銅等の導電材40が充填され、はんだバンプ42を形成する部分の表面には、銅の酸化防止用Ni−Au等のメッキ層41が設けられている。
【0039】
はんだバンプ40の径D1は、対向する2つの引き出しパターン(例えば、(a)の39aと39b)の端部間の距離D2よりも小さく、例えばD1=0.7mm、D2=1.0mmである。また、各引き出しパターン39a〜39dの長さL3及び幅は、例えばそれぞれ0.15mm及び0.3mmである。
【0040】
上記引き出しパターン39a〜39dは、X線透過像によるはんだ付け状態の検査精度を向上させる機能を有する。このような引き出しパターン39a〜39dを有するはんだバンプ42を、例えばパッケージ38の裏面の最外周をバンプの並びを形成するように設ける。
【0041】
図13は、上記BGA型半導体装置を配線基板14上に搭載した後、リフロー処理してはんだ付けした状態を示す。はんだバンプ42とフットプリント16との間には、はんだフィレット43が図示するように形成されている。はんだ付けが正常な場合、はんだフィレット43は引き出しパターン39a既往39d上にも形成されている。この引き出しパターン39a〜39d上に、はんだがどのように形成されているかをX線透過像を観察することで、はんだ付けの良否を判断する。
【0042】
図14は、はんだ付けが良好な状態及び不良な状態、並びにこれらのX線透過像を示す。はんだ付けが良好な場合は、4つの引き出しパターン39a〜39d上にはんだがのるので、すべての引き出しパターン39a〜39dが確認できる。ただし、図14中に良品限度として示してあるように、4つの引き出しパターン39a〜39dにおいて各パターンの一部が確認できる場合の良品と判断して差しつかえない。未はんだの場合にははんだが引き出しパターン39a〜39dにのらないので、X線透過像でランド部分のみが確認でき、4つの引き出しパターン39a〜39dのいずれも確認することができない。
【0043】
図15は、引き出しパターン39a〜39dを形成する方法を示す図である。まず、図15(a)に示すように、ガラスエポキシ等の基板38に適当な治具でスルーホール37を形成する。次に、図15(b)に示すように、銅等の導体をメッキ処理等でスルーホール37内及び基板38の両面全面に設けた後、パターニングする。そして、図15(c)に示すように、コアを形成するための銅等をスルーホール37内及びランド上に設ける。最後に、図15(d)に示すように、Ni−Auメッキ41を形成する。
【0044】
なお、はんだバンプ42間のピッチP1を狭くするためには、図16に示すような配置とすることが好ましい。隣り合うはんだバンプ42から延びている引き出しパターン39a〜39dは、45°傾斜している。この配列でP=0.65mmの狭ピッチ化が可能となる。
【0045】
次に、図17を参照して本発明の第4実施例によるBGA型半導体装置について説明する。第4実施例は、スリット52を有するはんだバンプ51を、パッケージ50の最外周に並べたことを特徴とする。図17に示すスリット52は十字形である。リフロー処理で溶融したはんだは、はんだ付けが正常な場合、このスリット52内に漏れ上がり、はんだフィレットが形成される。この状態を観察して、はんた付けの良否を判断する。
【0046】
図18は、上記はんだバンプ51を形成する方法を示す図である。まず、図18(a)に示すように、ガラスエポキシ等の基板50にスルーホール53を形成し、銅等の導体をメッキ等で形成した後、パターニングする。次に、図18(b)に示すように、スルーホール53内部に銅等を充填し、はんだバンプ51のコア55を形成する。そして、図18(b)に示す十字状の突起を有する金型56をコア55に押し当て、コア55に十字状のスリットを形成する。最後に、Ni−Auメッキ層57を図18(c)に示すように形成する。
【0047】
図19は、上記第4実施例において、はんだ付けが良好な場合と不良な場合を示す図である。はんだ付けが良好な状態では、はんだフィレット58がはんだバンプ51の周囲のみならず、スリット52内部にも存在する。一方、はんだ付けが不良な状態では、スリット52内部にはんだが存在せず、スリット52が露出している。よって、容易かつ精度よくはんだ付け状態を検査することができる。
なお、バンプ51のスリット52内にはんだが存在することで、バンプ51とはんだが接触する面積が大きくなるため、はんだ付け強度が上がるという効果も得られる。
【0048】
次に、図20を参照して、本発明の第5実施例によるBGA型半導体装置を説明する。第5実施例は、基板59のそりや作業条件等により不良はんだ付けが発生する可能性の高い位置に、通常サイズ(前述の標準バンプ22に相当)のはんだバンプ61よりも小さいサイズ(少なくとも、標準バンプ22よりも高さが低い)のはんだバンプ62を設けたことを特徴とする。この小型バンプ62にはんだ付けが正しく行われていることが確認できれば、標準バンプ61のはんだ付けも正常であると判断できる。
【0049】
この確認を行うために、小型バンプ62に対応する位置にある配線基板59上のフットプリントは、引き出しパターン70でパッケージ60の外側に位置するフットプリント65に電気的に接続されている。フットプリント65には、プローブ66が接続可能である。
【0050】
他方、小型バンプ62は、ガラスエポキシ等のパッケージ60に設けられたスルーホール63(内部に導体が設けられている)に結合し、図20に示すようにプローブ67が接続可能になっている。このスルーホール63がないBGA型半導体装置に対応するため、配線基板59には小型バンプ62に対応する位置に設けられたスルーホール64が設けてある。スルーホール64内には、銅等の導電体69が設けれている。更に、プローブ68が接続できるように、スルーホール64の周囲にフットプリントが設けられている。
【0051】
プローブ66と67、又はプローブ66と68が導通するがどうかをチェックすることで、小型バンプ62のはんだ付けが良好であるかどうか、即ち標準はんだバンプ61のはんだ付けが良好であるかどうかを判断することができる。
【0052】
図21は、本発明の第6実施例を示す図である。第6実施例では、基板75のそりや作業条件等により不良はんだ付けが発生する可能性の高い位置に、はんだバンプ71を通常ピッチよりも狭いピッチで配列したことを特徴とする。図21では、狭いピッチで配列されているはんだバンプを74a、74bとして示してある。狭いピッチのはんだバンプ74a、74bにはんだブリッジ76が発生していないことが確認できれば、標準ピッチで配列されている他のはんだバンプ74のはんだ付けも正常であると判断できる。なお、配線基板75上のフットプリントも狭いピッチに対応させて、配置されている。
【0053】
狭いピッチのはんだバンプ74a、74bは、内部に導体を有するスルーホール72、73でパッケージの表面(上面)でプローブ66、67に接続可能である。はんだプリッジ76が発生していれば、プローブ66と67は導通する。この場合には、他のバンプ74部分にはんだブリッジが発生している可能性があると判断できる。プローブ66と67が導通していなければ、他のバンプ74部分にはんだブリッジが発生している可能性はないと判断してよい。
【0054】
なお、第6実施例は、前述の第2実施例に類似しているが、第2実施例ではパッケージの外側から観察できる点で異なる。
【0055】
図22は、本発明の第7実施例を示す図である。第7実施例は、配線基板80に検査用のスルーホール81を設け、このスルーホール81を介してBGA型半導体装置のパッケージ77に設けられたはんだバンプ78とのはんだ付けの状態を検査することを特徴とする。なお、図示するスルーホール81内部には導体が設けられている。
【0056】
図23は、スルーホール81を介したはんだ付け検査を示す図である。図23(a)は、良好ははんだ付けを示す。図示するように、良好なはんだフィレット82が形成されている場合には、スルーホール81内部のはんだが吸い上げられた状態(スルーホール81の端部近傍のはんだ凹面)にある。換言すれば、このような状態が形成されるようなはんだペースト量を塗布する必要がある。
【0057】
図23(b)は、未はんだ不良を示す。はんだがはんだボール78に接続されていないため、はんだが吸い上げられていない。図23(c)は、はんだブリッジによる不良を示す。この場合には、スルーホール81内のはんだが極端に吸い上げられている。
【0058】
次に、本発明の第8実施例を説明する。第8実施例は、従来から行われている超音波を用いてはんだ接合部の電気的特性を検出することではんだ接合部の状態を判断する方法において、その精度を向上させることができる構成を有したBGA型半導体装置である。
【0059】
まず、図24及び図25を参照して、超音波を用いた従来の検査方法について説明する。超音波プローブ88をBGA型半導体装置のパッケージ85内に設けられたスルーホール86から延びている導体のランド部分に一定の荷重をもって接触させる。そして、上記ランドと一体に形成され、かつスルーホール86内に形成されている導体膜を介してはんだバンプ87に超音波を伝搬させ、その反射エネルギーを検出することではんだ付け状態(はんだフィレット89の状態)の良否を判断する。
【0060】
図26は、この測定方法の原理を示す図である。一定の荷重をもってプローブをリードに接触させ、超音波を出力する。この超音波はリードの下にあるはんだフィレットを歪ませる。反射してプローブに戻る超音波は、はんだフィレットの歪み量を反映している。正常にはんだフィレットが形成されている場合の特性を予め測定しておき、この特性に合致しない場合にははんだ付け不良と判断できる。
【0061】
はんだフィレットが超音波振動の観点から周囲の影響を受けない場合には、精度よくはんだ付けの良否を判断できる。しかしながら、実際には図25に示すように、複数のはんだバンプが近接してパッケージ85に支持されているため、被測定バンプに超音波を与えてもすべてが被測定バンプに伝達されるものではなく、一部はパッケージ85を伝搬する。したがって、超音波プローブ88が受ける反射波も被測定バンプの周囲から入力される。これでは、精度よくはんだ接合状態の良否を判断できない。以下に説明するように、第8実施例はこの点を考慮した構成を有する。
【0062】
図27は本発明の第8実施例によるBGA型半導体装置の要部を示す断面図、図28はこのBGA型半導体装置の裏面(底面)を示す図である。また、図29は図27に示す要部の周辺部分も含めた断面図である。
【0063】
第8実施例は、図27に示すスリット100を図28示すように格子状に設けて、各はんだバンプ93を音響的に分離した構成としたことを特徴とする。スリット100は、パッケージ90の表面及び裏面に形成されている。なお、パッケージ90の裏面のベアチップ95に対応する部分にははんだバンプ93が形成されていないので、スリット100を設ける必要はない。だたし、製造工程の都合から、この部分にスリット100を設けてもよい。
【0064】
スリット100は、プローブ88をスルーホール91内の導体92と一体に形成されるランド部分に一定の荷重をもって接触させて、はんだフィレット94を振動させたときに、この振動が隣接するはんだ接合部に伝搬するのを阻止する機能を有する。スリット100の深さは、パッケージ90の材料や厚み等の種々の要素によって決められる。例えば、パッケージ90がガラスエポキシ製で1.9mmの厚みを有するときに、0.6mm程度の深さがあれば、音響的に各はんだバンプ93を切り離すことができる。
【0065】
図29に示すように、1つずつプローブ88を接触させて、音響特性を測定する。
【0066】
図30は、図29に示す4つのポイントを測定した結果の一例を示すグラフである。予め良好ははんだ付けで測定して得られたインピーダンスから、基準値を決定する。この基準値は、この値以上のインピーダンス値は、正常なはんだ付けであると判断できるものである。図29に示すポイント1、2及び4のインピーダンスは、上記基準値を越えているのに対し、ポイント3は基準値を下回っている。よって、図30に示す測定結果から、ポイント3ははんだ不良であると判断できる。なお、未はんだの場合は得られるインピーダンスはパッケージ90のインピーダンスにほぼ等しい。
【0067】
上記測定において、各ポイントはスリット100で音響的に分離されているため、各ポイントのはんだ付け状態の良否判断の信頼性は高いものである。
【0068】
次に、本発明の第9実施例を説明する。本発明は、前述の第1ないし第8実施例と同様にボール状のはんだバンプを用いているが、第9実施例では半導体装置にボール状のはんだバンプを設けておくのではなく、実装配線基板にスルーホールを設けておき、この中にはんだの固まり(はんだボール)を挿入しておくことを特徴とする。これにより、製造工程を簡略化できるとともに、はんた付けの状態を容易に確認することができる。
【0069】
図31は、第9実施例を示す図である。半導体装置のパッケージ120には、平面を有する電極121が設けられている。パッケージ120内には半導体チップが設けられ、平面電極121は内部配線で半導体チップに電気的に接続されている。一方、半導体装置を実装する配線基板123は、半導体装置の平面電極121に対応したスルーホール125を有する。図31(c)に示すように、スルーホール125をジグザグに設け、ピッチP2=P3とすることで、半導体装置の端子を効率的に配置できる。各スルーホール内には、銅等のメッキで形成されるスルーホール電極124が設けられている。このスルーホール電極124は、配線基板123の実装面に又はこれに加え実装面と対向する面にパターン部分を有する。なお、このパターン部分は省略してもよい。
【0070】
はんだボール122の直径は、スルーホール電極124が設けられたスルーホール125の径よりもわずかに大きい。一例として、スルーホール125の径が1.6mmの場合、はんだボール122の径は1.3mm程度である。これは、はんだボール122をスルーホール125内に圧入するためである。圧入されたはんだボール122は実装面から部分的に突出している。はんだボール122は延性があるため、上記圧入作業は容易である。この圧入作業を更に容易にするために、配線基板123を予熱してもよい。例えば、はんだボール122が共晶はんだSn60Pb40の場合その融点は183℃なので、配線基板123を約100℃に予熱しておく。勿論、他の実施例と同様に、Sn90Pb10等の高融点はんだやSn、Pb+Bi15等の低融点はんだを用いてもよい。また、余熱に代えて、フラックスをスルーホール125内部へ塗布してもよい。フラックスの粘着性により、はんだボール122が仮固定される。
【0071】
はんだボール1212が圧入された状態で半導体装置の平面電極121をはんだボール122上に搭載し、前述したようなリフロー処理ではんだを溶融してはんだ付けを行う。図31(d)に、はんだ付けの状態を示す。図示するように、はんだフィレット126が形成されている。このはんだ付けの状態は、図22及び図23を参照して説明したように、配線基板の裏面から容易にチェックできる。また、第9実施例によれば、半導体装置にボール状のはんだバンプを設ける必要がないため、第1ないし第8実施例で必要であったバンプ形成設備が不要になるという効果も得られる。
【0072】
図32は、図31に示す第9実施例の変形例を示す図である。第9実施例でははんだボール122を用いていたが、図32に示す変形例では、くさび形はんだ131を用いることを特徴とする。くさび形はんだ131の最大径は例えば1.2mmである。最小径D4は0.6mmで、テーパ状に幅広がりとなっていおり、その根元付近の径は0.9mmのスルーホールの径D3よりも大きい。くさび形はんだ131を用いても第9実施例と同様な効果が得られる。
【0073】
図33は、本発明の第10実施例の説明図である。第10実施例は、配線基板又は半導体装置のパッケージの反りを測定することで、はんだ接合部の良否を判断することを特徴とする。第10実施例による半導体装置のパッケージ140の上面の4つのコーナー部分には、銅等で構成されるパッド等の反射部141が設けられている。この反射部141にレーザービームを照射し、その反射光を例えば図34に示す4分割フォトディテクタ150で検出することで、半導体装置のパッケージ140の歪みを検出する。パッケージ140にバンプ143が取り付けられているので、パッケージ140が歪んでいる場合には接合部のはんだ付け不良が予想される。
【0074】
4分割フォトディテクタ150は、4つの分割されたフォトディテクタ151〜154を有する。パッケージ140に歪みがなければ、反射光は入射光L1、L2と同一光軸を通り、4分割フォトディテクタ150上にを均等に照射される。これに対し、基板が歪んでいる場合には、反射光は入射光L1,L2とは異なる光軸を有し、4分割フォトディテクタ150上の照射位置がずれる。このずれを4分割フォトディテクタの4つの出力信号を処理して特定する。この処理を4つのコーナー部分に設けられた反射部141についてそれぞれ行い、パッケージ140の反り等の歪みを特定して、ぱんだ付けの状態を推定する。
【0075】
併せて、配線基板145の歪みを同様に測定する。基板145上には、銅等で構成されるパッド等の反射部146及び147が設けられている。反射部146及び147は、パッケージ140の4隅に対応して4つ設けることが好ましい。配線基板145に歪みがなければ、反射光は入射光l1、l2と同一光軸を通り、4分割フォトディテクタ150上にを均等に照射される。これに対し、基板が歪んでいる場合には、反射光は入射光l1,l2とは異なる光軸を有し、4分割フォトディテクタ150上の照射位置がずれる。このずれを4分割フォトディテクタの4つの出力信号を処理して特定する。この処理を4つのコーナー部分に設けられた反射部141についてそれぞれ行うことで、配線基板145の歪みが特定できる。
【0076】
以上のようにして求めたパッケージ140及び配線基板145の歪みに基づいて、はんだ付けの良否を判断することができる。
【0077】
最後に、上記実施例及び変形例の内部構成の一例を、図35を参照して説明する。この構成例はあくまでも一例であって、この他に数多くの公知の構成が存在しいずれも本発明で採用することができるが、本発明では内部構成そのものには特別な特徴はないので、上記一例のみ以下に説明する。
【0078】
図35に示すBGA型半導体装置150は、ベース151と封止部154とを有する。ベース151と封止部154とが、前述のパッケージを構成する。このパッケージ(ベース151)の裏面一面又は一部を除いて、ボール状のはんだバンプ153が設けられている。
【0079】
以上本発明の実施例及び変形例を説明した。本発明は、上記実施例や変形例に限定されず、これらの実施例を介して説明した技術的思想を有する他の構成を含むものである。また、上記実施例や変形例を適宜組み合わせることも当業者には自明であり、ここでは一々説明しない。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果が得られる。
【0081】
請求項1に記載の発明によれば、はんだバンプから所定方向に延びる複数のパターンを有するはんだバンプにどのようにはんだが乗っているかを観察(例えばX線で)することで、容易かつ高い信頼性で内部のはんだ付けの状態の良否を判断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す平面図である。
【図2】図1に示す第1実施例の一部拡大斜視図である。
【図3】図1に示す第1実施例の一部拡大側面図である。
【図4】はんだペーストの塗布を説明するための図である。
【図5】はんだ付け及び検査の手順を示す図である。
【図6】はんだペーストの塗布の良否を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施例のはんだ付けを説明する図である。
【図8】本発明の第1実施例の変形例を示す側面図である。
【図9】本発明の第2実施例を示す側面図である。
【図10】本発明の第3実施例を示す断面図である。
【図11】第3実施例の要部拡大図である。
【図12】第3実施例の要部斜視図である。
【図13】第3実施例のはんだ付けの状態を示す図である。
【図14】第3実施例におけるはんだ付けの良否を示す図である。
【図15】第3実施例におけるスルーホール及び引き出しパターンの製造工程を示す断面図である。
【図16】第3実施例の引き出しパターンの好ましい配列を示す図である。
【図17】本発明の第4実施例を示す図である。
【図18】第4実施例の要部及びその製造工程を示す断面図である。
【図19】第4実施例におけるはんだ付けの状態を示す側面図である。
【図20】本発明の第5実施例を示す断面図である。
【図21】本発明の第6実施例を示す断面図である。
【図22】本発明の第7実施例を示す断面図である。
【図23】第7実施例におけるはんだ付けの良否の判断を示す断面図である。
【図24】本発明の第8実施例の背景を示す斜視図である。
【図25】第8実施例の背景となる超音波検査を示す図である。
【図26】超音波検査の原理を説明するための図である。
【図27】本発明の第8実施例の要部断面図である。
【図28】第8実施例の平面図である。
【図29】図27に示す要部周辺を示す断面図図である。
【図30】第8実施例の超音波測定結果の一例を示す図である。
【図31】本発明の第9実施例を示す図である。
【図32】第9実施例の変形例を示す図である。
【図33】本発明の第10実施例を示す図である。
【図34】本発明の第10実施例の光反射部で反射した光を受ける4分割フォトディテクタの構成を示す図である。
【図35】本発明の各実施例の基本構成を示す図である。
【図36】従来のBGA型半導体装置の底面図である。
【図37】BGA装置を基板に搭載した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
20 パッケージ
21 大型バンプ
22 標準バンプ
23 小型バンプ
39a〜39d 引き出しパターン
52 スリット
Claims (1)
- はんだバンプをパッケージの所定面に有する半導体装置において、
前記はんだバンプは、はんだバンプから所定方向に延びる複数のパターンを有するはんだバンプを含み、
かつ、前記複数のパターンは、平面十字状に設けられていることを特徴とする半導体装置。
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