JP3601230B2 - 周長調整機構付き管渠内用ライニング施工装置並びにライニング施工方法 - Google Patents

周長調整機構付き管渠内用ライニング施工装置並びにライニング施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、下水道管、上水道管及びガス管等の既設の管渠において、その管渠の内面にライニング層を施工するライニング施工装置に関し、更に詳しくは、長尺の板状体よりなる帯状部材を螺旋状に捲回して形成された管状体いわゆるライニング管を管渠内に挿入してなされるライニング施工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人においては、先に特開平5−169539号をもって、管渠内において帯状体を螺旋状に巻回し、相互に隣接する帯状体の側縁部どおしを係合させることにより管状体を製造して該管状体により管路内周面をライニングする管路内周面のライニング施工法を提案した。
この先行技術によれば、製管されるランニング管の前方に新たに供給される帯状部材をもってライニング管を付加形成するものであるので、長尺のライニング管の製作を実現することができる。
しかしながら、この先行技術においては、製管部位における製管ローラを取り付ける枠体が剛直となっており、円形断面の管渠への適用に限定されている。すなわち、矩形断面の管渠に対しては、直角状の角部に枠体が十分に届かないばかりでなく、角部での接合が不安定となり、その適用に限界がある。
【0003】
そこで、本出願人は更に、特願平7−91650号(以下、先願技術という)をもって、自由断面管渠への適用を可能としライニング施工方法及びその装置を提案した。すなわち、本先願技術によれば、成形フレームに可撓性を付与することにより、所期の目的を達成したものである。
しかしながら、該先願技術によれば、成形フレームの周長は固定的であり、その調整が困難であり、管径の変化に機敏に対応できないものである。更には、ライニング管への装着操作及びライニング管からの脱型作業に手間を要するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの先願技術を更に発展させたものであり、管径の変化に機敏に対応でき、ライニング管への装着及びライニング管からの脱型が容易になされるライニング施工装置並びに該ライニング施工装置を使用してなされるライニング施工方法を提供することを目的とする。
更にまた、本発明は、屈撓自在のリンク式成形フレームを有する管渠内用ライニング施工装置において、短形断面管渠に対して効果的な送り駆動を実現できるライニング施工装置を提供することも他の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の管渠内用ライニング施工装置並びにライニング施工方法は上記目的を達成するため、次の構成を採る。
すなわち、第1番目の管渠内用ライニング施工装置の発明(第1発明)は、成形フレームが剛体状のものを対象とし、請求項1に記載のとおり、管渠内において、両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を連続的に供給するとともに螺旋状に捲回し、相接する接合部相互を接合させて形成された管状体を残置させ、この既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもってライニング管を付加形成するライニング施工装置であって、
所定の幅と横剛性とを有し、複数の円弧状のセグメントの組立てをもって形成される円環状の成形フレーム
前記成形フレームのセグメント間に介装される周長を自在に調整する周長調整機構;
前記成形フレーム回りに回転自在に装着され、帯状部材を螺旋状に捲回して形成されるライニング管の内面に当接する案内ローラ;
前記成形フレームを介して取り付けられ、前記既に形成されたライニング管と新たに供給される帯状部材との接合部相互の位置に配されるとともに帯状部材を挟着する外面ローラと内面ローラとからなる接合機構部;
を有してなることを特徴とする。
第2番目の管渠内用ライニング施工装置の発明(第2発明)は、成形フレームが屈撓自在のものを対象とし、請求項2に記載のとおり、管渠内において、両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を連続的に供給するとともに螺旋状に捲回し、相接する接合部相互を接合させて形成された管状体を残置させ、この既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもってライニング管を付加形成するライニング施工装置であって、
所定の幅と横剛性とを有し、リンク体の連なりによるリンク機構をもって屈撓自在とされるとともに各リンク体の中折れが防止された環状の成形フレーム;
前記成形フレーム中に介装されるリンク体相互の間隔を自在に調整する周長調整機構;前記成形フレーム回りに回転自在に装着され、帯状部材を螺旋状に捲回して形成されるライニング管の内面に当接する案内ローラ;
前記成形フレームを介して取り付けられ、前記既に形成されたライニング管と新たに供給される帯状部材との接合部相互の位置に配されるとともに帯状部材を挟着する外面ローラと内面ローラとからなる接合機構部;
を有してなることを特徴とする。
この構成において、接合機構部を含む本施工装置の径は差し渡し寸法Lとして最大長をなす。
以上の第1・第2発明において、周長調整機構に間隔保持機構が併設される態様は別発明を構成する。
更に、第2発明において、適用される管渠は円形断面に限定されず、短形断面も含む。
また、第3番目の管渠内におけるライニング施工方法の発明(第3発明)は、請求項4に記載のとおり、管渠内において、両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を連続的に供給するとともに螺旋状に捲回し、相接する接合部相互を接合させて形成された管状体を残置させ、この既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもってライニング管を付加形成する方法であって、
所定の幅と横剛性とを有し、環状をなすとともに周長を調整する周長調整機構が配された成形フレーム回りに前記帯状部材の内面に当接する案内ローラが装着され、かつ、この成形フレームに、既に形成された管状体の端縁部において、帯状部材の外面に当接する外面ローラと帯状部材の内面に当接する内面ローラとの2つのローラからなる接合ローラ部を配し、前記接合ローラ部でのローラを回転駆動させるとともに、既に形成された管状体と新たに供給される帯状部材との接合部相互の位置において前記2つの外面及び内面ローラで挟着して管状体を形成し、
前記管状体の形成工程において、前記成形フレームに配された周長調整機構に より成形フレームの周長を調整して管渠の周長の変化に対応することを特徴とする。
【0006】
(作用)
第1・第2発明において、成形フレームの案内ローラ回りに帯状部材が螺旋状に捲回されてライニング管を形成する。本管渠内用ライニング施工装置はその形成フレームとともに回転動作をなしつつライニング管を形成してゆく。
すなわち、製管動作において、帯状部材の閉合部位で接合ローラ部の外面ローラ及び内面ローラの挟着作用により相接する接合部の相互は係合される。接合ローラ部は常に閉合部位に位置し、新たに供給される帯状部材とともに所定のピッチで管軸方向に前進する。これにより、本施工装置は全体的に公転し、帯状部材は連続的に閉合されてライニング管が形成される。
また、その周長調整機構により成形フレームの周長が適宜に調整され、管径の変化に対応できるとともに、ライニング管との着脱が容易になされる。
第1・第2発明において、周長調整機構に間隔保持機構が併設されるとき、ライニング管の形成とともに形成フレームには大きな力が作用するが、周長調整機構は間隔保持機構により応力が分散し、当該周長調整機構部分に過大な応力が作用しない。
第3発明において、管渠内用ライニング施工装置は対象とする管渠の断面に対応してその成形フレームの周長が選択される。
すなわち、(i) 本施工装置の差し渡し寸法Lを管渠の径Dよりも大きく採り(L>D)、成形フレームの周長を管渠の内周に可及的近づけるとき、成形フレーム回りのライニング管は成形フレームの屈撓性により変形を許容し、管渠内に挿入される。
(ii)また、本施工装置の差し渡し寸法Lを管渠の径Dよりも小さく採るとき(L<D)、成形フレーム回りのライニング管は変形を受けず自然状態での径を保持したまま、管渠内へ挿入される。そして、段差部のある管渠に設置されるとき、本施工装置の差し渡し寸法Lは段差部での高さHより上回るとしても、該成形フレームの周長は段差部の内周の長さ以下に設定される。
段差部において、本管渠内用ライニング施工装置の成形フレームの周長は該段差部の内周の長さ以下となっているので、屈撓性を発揮し、段差を通過する。
あるいは、該ライニング施工装置の成形フレームの周長が該段差部の内周の長さより大きい場合には、周長調整機構により更に周長を減少させて調整し、段差を通過する。
曲がり部において、該曲がり部の管壁から反力を受け、成形フレームは管壁の曲率に追従して変形し、曲がり部を通過する。
また、断面の変化する管渠において、大径断面から小径断面へ移行する場合、大断面部内において周長調整機構により成形フレームを縮小させた後、製管作業をなしつつ小径断面部内へ進入する。その逆に、小径断面から大径断面へ移行する場合、大径断面部内へ移行したのち、大断面部内において周長調整機構により成形フレームを拡径させ、製管作業を続行する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の管渠内用ライニング施工装置及びその施工方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図16は本発明の管渠用ライニング施工装置の一実施形態を示す。すなわち、図1及び図2は本ライニング施工装置Sの全体の概略を示し、図3〜図16は本ライニング施工装置Sの各部の構成を示す。また、図25・図26は帯状部材の各態様を示す。
これらの図において、Pは管渠、Rはライニング管を示す。なお、本装置Sの進行方向(矢印イ)をもって、前部、後部とする。
【0008】
帯状部材100,120
図24は本実施形態のライニング施工において使用される帯状部材の一例を示す。
帯状部材100は本体が一定厚さの平板状をなし、その外面の長手方向に適宜数(図例では7)の突条102が連続的に縦設される。突条102に先端部にはフランジ102aが形成される。突条102の相互間は溝104もしくは溝空間を形成する。内面106は実質的に平滑に形成される。
帯状部材100の両側には互いに内外に重合して係合する接合部100A,100Bが形成される。すなわち、前縁側接合部100Aはその前端部の突条102Aの基部が膨径され、その内面側より凹溝110が縦設され、更にこの突条102Aより張出し部112が連設される。後縁側接合部100Bは後端部の突条102Bより張出し部114が張設され、該張出し部114の端部寄りに前記前縁側接合部100Aの凹溝110に係合する凸条116が縦設される。
接合時において、相隣れる帯状部材100の前縁部と後縁部とが重なり合い、前縁側接合部100Aに後縁側接合部100Bが後記する接合ローラ部の外面ローラと内面ローラとの挟着作用を受けて、凹溝110内に凸条116が、また、突条102Bのフランジ102a内に張出し部112の端部がそれぞれ嵌り込み、接合される。この場合、主たる係合は凹溝110と凸条116とによりなされ、張出し部112と突条102Bとは従たる係合をなすものであり、従って、場合によっては従たる係合は省略されうる。
更に、本実施形態では張出し部112,114の当接部分にはシール材118が介装され、接合性を高める。なお、接合部100A,100Bにおける嵌合係合で十分であれば、当該シール材118を省略することができる。
帯状部材は合成樹脂の素材をもって作成され、特に成形性の観点から押出し形成により連続的に成形できる塩化ビニール(PVC)樹脂が好適である。しかし金属製による成形を妨げるものではない。
【0009】
図25は更に他の帯状部材の態様を示す。
このものは主材(主帯状部材)120と嵌合材130との組み合わせよりなり、主材120は突条122及び溝124を有し、その両端部には接合部120A,120Bが形成され、該接合部120A,120Bに嵌合溝126が形成される。また、嵌合材130は主材120の嵌合溝126に弾圧的に嵌まり込む嵌合突条132を有する。
接合時において、相並べられた主材120の接合部120A,120B間に跨って嵌合材130が接合される。
【0010】
ライニング施工装置S(図1〜図15参照)
図1〜図15を参照して、本実施形態のライニング施工装置Sの構成を説明する。
図1及び図2に示されるように、このライニング施工装置Sは、所定幅を有し複数のリンク体により構成されるリンク機構をもって屈撓自在の環状体をなす成形フレーム1と、この成形フレーム1に介装される周長調整機構2と、この周長調整機構2に併設される間隔保持機構3と、該成形フレーム1のリンク機構の各軸部に配される複数の案内ローラ4と、該成形フレーム1に取り付けられ、内面ローラ5と外面ローラ6とを含む接合機構部7との主要部からなる。
【0011】
以下、各部の細部構造を説明する。
成形フレーム1(図1〜図10参照)
成形フレーム1は、所要の幅をもって環状体をなし、全体がリンク機構をもって外径方向へは屈撓自在となっており、かつ横剛性を有し、その一部は接合機構部7の取付け部となる。すなわち、この環状体の屈撓性は複数のリンク体10が軸部11を介して連なったリンク連鎖より得られる。
【0012】
(リンク機構)(図3・図4参照)
リンク体10は、本実施形態では、図3・図4に示されるように、外側リンク体10Aと、内側リンク体10Bとの2態様を採り、交互に配される。
外側リンク体10Aは、全体としてH形をなし、相平行する側板12とこれらの中央部においてこれらを剛的に繋ぐ連結板13とからなる。側板12の両側には円形の軸孔14が開設される。
内側リンク体10Bは、コ字形をなす2つの分割体10bより組み立てられて全体として外側リンク体10Aと同形のH形をなす。すなわち、この分割体10bは、短側板16と背板17とからなるコ字体をなし、背板17相互を対接してボルト・ナット(図示せず)により剛結され、H形体として一体的に組み立てられる。短側板16には外側リンク体10Aの側板12の軸孔14に対応して円形の軸孔18が開設される。
しかして、外側リンク体10Aと内側リンク体10Bとは、外側リンク体10Aの側板12の内側に内側リンク体10Bの側板16を重ねるとともに、それらの軸孔14,18の軸心を一致させ、該軸孔14,18内に固定保持された軸受20を介して軸部11が挿通され、リンク機構を構成する。
【0013】
(中折れ防止機構)(図5参照)
リンク体10の相互は180°を基準に、外折れが可能とされるが、中折れは防止される。このため、中折れ防止機構が設けられるものであって、図5にその一例を示す。すなわち、一方のリンク体10(I)の側板の端部にはストッパー用の凹部22が凹設され、他のリンク体10(II)の側板には先のリンク体10(I)側に突設するストッパー23が固設されてなり、ストッパー23がストッパー凹部22の一方の端面22aに当接することにより中折れが阻止される。また、ストッパー23はストッパー凹部22の他方の端面22bに当接するまで外折れが可能である。凹部22の開き角度(α)が揺動幅となる。
【0014】
(取付け部)(図6・図7参照)
取付け部は、他のリンク体と同様の構成を採り、内面ローラ5を抱持する2つの分割体25,26からなり、図6・図7に示すように、分割体26は接合機構部7との取付けに供される。分割体25,26の側板には前記した中折れ防止機構22,23が設けられる。
該取付け部の回転方向のリンク体10b’は、その前側板を後方へ後退され、細幅状をなす。その後退幅は帯状部材100を受け入れるに十分な幅とされる。
【0015】
本実施の形態の成形フレーム1においては、17個のリンク体より構成されているが、これを減少させることも、あるいは増加させることも自由である。要は、施工対象となる管渠の径に合わせて増減される。
【0016】
周長調整機構2(図2、図8〜図10参照)
周長調整機構2は成形フレーム1のリンク機構の適宜箇所に配され、当該成形フレーム1の周長を調整する。
図8〜図10に示されるように、本周長調整機構2は、本実施形態では内側リンク体10Bに装着され、更に具体的には当該分割体10bの背板17間に装着される。
しかして、この周長調整機構2は、相対向する背板17に固設されたナット体30と、このナット体30間に螺装され回動部32を有する調整ボルト31とからなる。
【0017】
以下、更に詳しくその構成を述べる。
分割体10bの背板17には、本機構の取付け位置に対応して下方に張出し部17aが延設され、この張出し部17aを利用して調整ボルト31の遊挿されるボルト挿通孔34が開設される。なお、背板17の高さが十分であれば、張出し部17aは必要でないことは勿論である。ナット体30は、その内部に貫通状にねじ孔35を有する円筒体をなし、このボルト挿通孔34に臨んで背板17に溶接をもって強固に固設される。なお、対となるナット体30のねじ孔35a,35bのねじは互いに逆に切られている。
調整ボルト31は、十分な強度を持ち、中央の回動部32を挟んで両端部に向けて互いに逆方向にねじが切られたねじ部31a,31bを有し、それらのねじ部31a,31bを対応するナット体30のねじ孔35a,35bに螺合される。回動部32は調整ボルト31に一体的に形成され、外面が6角ナット状をなし、スパナ等の回動手段が把持され回動操作を受ける。
本実施形態の周長調整機構2は、1つの内側リンク体10Bにおいて幅方向に2つ設けられているが、3つ以上であってもよく、その数に限定されない。また、図2に示されるように、形成フレーム1の4箇所に配されているが、配置箇所は適宜に決められ、その数に限定されない。
しかして、調整ボルト31の回動により、そのねじ部31a,31bに螺合された相対向するナット体30は、互いに引き寄せられる方向あるいは離れる方向に移動し、これにより一対となった分割体10bの背板15間の距離βを自在に調整する。
【0018】
間隔保持機構3(図11〜図13参照)
間隔保持機構3は周長調整機構2に併設され、本実施形態では内側リンク体10Bの両端部に同一構成をもって配される。
すなわち、図11〜図13に示されるように、本間隔保持機構3は、分割体10bの相対向する背板15に固設されるテーパー板40と、これらの両テーパー板に挟着される内方及び外方間隔保持体41,42と、これらの間隔保持体41,42間に装着されるボルト43とからなり、更には外方間隔保持体42間に架け渡される連結板44を含む。
(テーパー板40)
テーパー板40は一定幅をなし、中央部より内方及び外方へ向けて厚さの低減するテーパー面40aが形成される。該テーパー板40の幅方向の両端部あるいは一端部にはガイド壁40bが形成されるが、該ガイド壁40bは適宜省略可能である。2つのテーパー板40は相対向して、分割体10bの背板17に溶接あるいはビスをもって固定される。
(内方・外方間隔保持体41,42)
内方間隔保持体41は一定幅をなし、厚さにおいて内方から外方へ向けて、テーパー板40のテーパー面40aに合致するテーパー面41aが形成される。該内方間隔保持体41の中央にはボルト43のボルト杆を受け入れるボルト挿通孔46が貫通状に開設される。
外方間隔保持体42は、幅及び厚さにおいて内方間隔保持体41と構成を同じくし、その中央にはボルト43のボルト杆のねじ部と螺合するねじ孔47が開設される。
(ボルト43)
ボルト43は、ボルト頭部43aとボルト杆部43bとからなり、ボルト杆部43bにはねじ部43cが形成される。該ボルト43は、ボルト杆部43bが内方間隔保持体41のボルト挿通孔46に遊挿され、ねじ部43cが外方間隔保持体42のねじ孔47に螺合する。
(連結板44)
連結板44は、細長の平板体からなり、両側に配される外方間隔保持体42を繋ぐべく、その上面に固設される。該連結板44にはボルト挿通孔48が開設され、外方間隔保持体42の進退動に伴うボルト43の抜差しを許容する。
【0019】
図11〜図13において、図11・図12は、周長調整機構2が収縮されて、内側リンク体10Bの相互が狭まった状態(間隔a)における間隔保持機構3の状態を示す。図13は、周長調整機構2が伸長されて、内側リンク体10Bの相互が広まった状態(間隔b)における間隔保持機構3の状態を示す。
【0020】
案内ローラ4(図1〜図4、図6〜図9参照)
案内ローラ4は、成形フレーム1の各軸部11に回転自在に装着される。該案内ローラ4は本実施例では軸部11に一体に取り付けられたものとなっているが、軸受を介して取り付ける態様もある。ローラ本体は硬質の合成樹脂体あるいは金属体よりなり、帯状部材100の内面に当接する。標準の案内ローラ4(4a)はリンク体10の内幅一杯の長さを有するが、後記する接合機構部7の所要数(通常は1)の前方部の案内ローラ4(4b)は帯状部材100の幅だけ短くされる(図6・図7参照)。
【0021】
接合機構部7(図1・図2、図6、図14、図15参照)
接合機構部7は、成形フレーム1の取付け部に装着される。
該接合機構部7は、内面ローラ5と外面ローラ6とが組となった接合ローラ部50を主体とし、かつ、これらのローラ5,6の同期回転を図る歯車機構51を収めるとともに、該歯車機構51に連動する送り機構52を保持する箱体53、及び該箱体53に取り付けられローラ5,6の回転駆動源としての油圧モータ54を含む。そして、該接合機構部7は螺旋状に捲回される帯状部材100の接合部、すなわち当該帯状部材100が最初に閉合する位置に対応して配される。
【0022】
(箱体53)
箱体53は、図14・図15に示されるように、上部分53Aと下部分53Bとに分かれ、上部分53Aはピン軸56回りに開放可能とされ、閉合装置57をもって上部分53Aを下部分53Bへ閉合する。
箱体53は上下部分53A,53Bにわたってその前後面により歯車機構51の軸部の保持をなす。また、箱体53の下部分53Bにおいて、前面部は油圧モータ54の取付け部に供され、後面部は成形フレーム1の取付け部のリンク体に取り付けられる。
箱体53の他の側面には上部分53Aを下部分53Bへ閉合する閉合装置58が取り付けられる。図示するものはその一例であって、上部分53Aから突設されたリブ58に連結棒59が枢着され、また、下部分53Bにはリブ58と同位相で二又状の受棚60が突設され、連結棒59はこの受棚60の凹部に入り込む。連結棒59にはコイルばね61及びその下部のねじ部に螺合するナット62が順次装着され、ナット62の締込みをもってコイルばね61を受棚60の下面に押し付けるようにされている。これにより、コイルばね61の弾性により上部分52Aの締付け力が適宜に調整される。
【0023】
(歯車機構51)
歯車機構51は、図15に示されるように、箱体53の前後壁にわたって下方より順次、回転自在に架け渡された3つの軸部64,65,66を有し、各軸部59,60,61に歯車67,68,69が固設される。そして、第2の軸部65には内面ローラ5が連結され、第3の軸部66には外面ローラ6が連結される。図示されるように、第1の軸部64の回転に対して第2軸部65は逆方向に、第3軸部66は順方向に回転し、ひいては内面ローラ5と外面ローラ6とは互いに逆回転となる。なお、これらの歯数を調整することにより軸部65,66の回転数、ひいてはローラ5,6の回転数を調整することができる。更に、第3の軸部66に間隔保持用のスペーサローラ70が回転自在に取り付けられる。
本実施形態では3つの軸部64,65,66は回転軸受をもって支持固定されてなるが、すべり軸受を用いることは自由である。
更に、第3の軸部66に間隔保持用のスペーサローラ70が回転自在に取り付けられる。該スペーサローラ70は後記する送りローラ73と実質的に同径(小径を含む)とされ、その外周を管渠Pの内壁面に当接する。なお、該スペーサローラ70は適宜省略されうる。
【0024】
(送り機構52)
送り機構52は、箱体53の外部において第2の軸部60に固設される駆動スプロケット72、第3の軸部61に回転自在に装着されるスプロケット付き送りローラ73(73aはその送りローラ部、73bはそのスプロケット部)及びチェーン74からなる。もっと詳しくは、駆動スプロケット72は、その外周に歯車歯72aを有し、キーを介して、もしくはスプライン係合をもって第2の軸部65に固定され、該軸部65と一体に回転する。
スプロケット付き送りローラ73は、小径部のスプロケット部73bと大径部の送りローラ部73aとからなり、軸受を介して第3の軸部66に回転自在に装着される。スプロケット部73bはその外周に歯車歯を有する。送りローラ部73aは、本実施形態では鋼製素材よりなるが、適宜、その外周に帯状の弾性輪(図示せず)を装着されうる。
チェーン69は、駆動スプロケット72とスプロケット付き送りローラ73のスプロケット部73bとに巻き掛けられ、駆動スプロケット72の駆動力をスプロケット付き送りローラ73に伝達する。
しかして、送りローラ73の回転は管渠Pの管壁に当接し、その回転をもって本装置Sの回転速度を決めるが、その速度は後述する接合ローラ部50により製管されるライニング管Rの成形速度に同期して、あるいは該成形速度よりも若干速くされる。
【0025】
本装置Sにおいて、この送り機構52の送りローラ73を含む差し渡し寸法Lが最大径をなす。
【0026】
本送り機構52とスペーサローラ70との関係に付いては、本実施の形態においては両者は併設されたものであるが、どちらか一方を省略してもよく、更には、送りローラ73の駆動系を省いて該送りローラ73にスペーサローラの機能を持たせることもできる。
【0027】
(油圧モータ54)
油圧モータ54は、その駆動軸54aを第1の軸部59に連結して箱体64の前面に取り付けられる。
該油圧モータ54には、該油圧モータ54に油を送るイン側配管76aと、該油圧モータ54から油を排出するアウト側配管76bとが接続される。更に、これらの配管76は、箱体53あるいは成形フレーム1の適宜位置に取り付けられる回転継手77(図1参照)に接続され、該回転継手77には外部の圧力源に連なる配管78が接続される。
この回転継手77を介することにより、回転動作を伴う油圧モータ54側の配管76と、回転動作のない外部側配管78との間の作動流体の授受をなす。
この歯車機構51・油圧モータ54により、油圧モータ54の駆動力は第1の軸部64に伝達され、かつ、歯車機構51を介して第2・第3の軸部65,66に伝達される。第2軸部65と第3軸部66とは互いに逆回転となる。
【0028】
(接合ローラ部50)
接合ローラ部50は、図16に示すように、内面ローラ5と外面ローラ6とが互いに管軸方向に相並んで、かつ、両ローラ5,6の間に帯状部材100を挟着するように所定の間隔を保って配される。
そして、前記したように、内面ローラ5は第2の軸部65に直結的に取り付けられ、外面ローラ6は第3の軸部66に直結的に取り付けられる。
【0029】
図16は接合ローラ部50の詳細構造を示す。
図16は接合ローラ部50の内面及び外面の2つのローラ5,6を拡大して示すとともに、これらのローラ5,6と帯状部材100との対応関係を示す。図示されるように、本実施形態ではこれらのローラ5,6は帯状部材100の複数(本実施形態では3)スパンにわたって配される。また、Hは帯状部材100相互の最初の閉合部を示す。
【0030】
内面ローラ5は円筒状をなし、帯状部材100の内面に密着し、閉合部Hを含め、外面ローラ6をもって外方から押圧される帯状部材100を支持する。なお、内面ローラ5の前端部には拡径部5aが形成され、かつ該拡径部5aに帯状部材100の内面の溝110に係合する鍔5bが突設されるものであるが、適宜省略されうる。
【0031】
外面ローラ6は円筒本体6aに所定間隔をもって複数の輪状鍔部6bが形成されてなり、これらの輪状鍔部6bは帯状部材100の突条102間の溝104に嵌まり込む。また、円筒本体6aの外周は帯状部材100の突条102の外面に圧接される。該円筒本体6aの外面にはローレット加工が施され、帯状部材100との滑りを防ぐ。また、その一部6a’は小径にされ、突条102から外れる。
輪状鍔部6bに付き、閉合部Hに対応する2個一対の輪状鍔部6b’はその周側部が帯状部材100に当接する。他の輪状鍔部6bについては格別当接する必要はなく、突条102間の溝104に嵌まり込むことが肝要である。
【0032】
この接合機構部7のライニング管Rへの取付けは、箱体53の上部分53Aを開放し、外面ローラ6の輪状鍔部6bを帯状部材100の突条102のピッチに合致させ、かつ、閉合部Hに輪状鍔部6b’を位置させ、しかる後、上部分53Aを下部分53Bに閉合し、閉合装置57を閉鎖し、そのナット62を締め込んでなす。
【0033】
叙上のライニング施工装置Sは以下のように管渠内のライニング施工に適用され、操作される。
図17・図18はそのライニング施工工事の概要を示す。この施工工事では地下埋設管渠として円形断面をなす下水道管渠Pへの適用例を示す。図において、Q1は上流側人孔、Q2は下流側人孔である。
図17に示されるように、地上部においては、上流側人孔Q1側では帯状部材100を巻き付けた回転台付き巻出し装置Tが配され、下流側人孔Q2側では油圧駆動源Gが配される。工事は上流側から下流側に沿ってなされる。
【0034】
本ライニング施工装置Sの管渠P内への搬入
本ライニング施工装置Sを人孔Q1を介して更生の対象となる管渠P内に搬入する。本施工装置Sの成形フレーム1は組立て可能となっており、人孔Q1内への搬入は容易である。すなわち、人孔Qの開口部は小さいが、1つの内側リンク体10Bの背板17相互のボルト・ナットを取り外すか、あるいは1つの周長調整機構2の調整ボルト31を取り外すことにより、その搬入は容易になされる。搬入後、再びボルト・ナットあるいは調整ボルト31を取り付け、成形フレーム1を環状体となす。更に、接合機構部7はこの成形フレーム1に取付け可能となっており、現場での取付けも容易である。
本施工装置Sの周長は、管渠Pの円形の内壁面の周長より若干小さな長さとされる。なお、本施工装置Sの周長は案内ロール4の最外径の包絡線の長さをもって決められる。
【0035】
成形フレーム1の周長の調整
本施工装置Sにおける成形フレーム1の周長を調整する。すなわち、該成形フレーム1の周長調整機構2の調整ボルト31を回動し、その間隔βを調整する。普通には、調整ボルト31を中立状態に位置させる。これにより、成形されるライニング管Rの周長を規定する。また、間隔保持機構3の内方及び外方間隔保持体41,42は互いに可及的離れた状態とされる。
周長調整機構2の調整が終了すれば、間隔保持機構3におけるボルト43を回動し、内方及び外方間隔保持体41,42を互いに引き寄せ、テーパー板40のテーパー面40aに当接させる。
【0036】
ライニング施工
ライニング施工は以下の手順に基づいてなされる。
(1) 帯状部材100を人孔Q1内に引き込み、人孔Q1内において帯状部材100を手作業にて数回(3回程度)捲回し、ライニング管(これを開始用ライニング管という)Roを作製する。この開始用ライニング管Roの内面の周長は本施工装置Sの周長に等しい。また、この開始用ライニング管Roは帯状部材100の弾性により拘束力の加わらない自然状態で円形を保持する。
【0037】
(2) この開始用ライニング管Roの内側に本施工装置Sを組み込み、該開始用ライニング管Roの前縁において、本ライニング施工装置Sの接合機構部7を所定状態に設置する。すなわち、接合ローラ部30の内面ローラ5と外面ローラ6とをライニング管Roの閉合部に配するものであり、外面ローラ6の輪状鍔部6aを帯状部材100の溝104に嵌め込み、特に輪状鍔部6bを閉合部Hに正確に当接する。また、内面ローラ5の鍔5bを帯状部材100の凹溝110に係合させる。
【0038】
(3) この状態の開始用ライニング管Roを組み付けた本施工装置Sを管渠P内に引き入れる。
このとき、送り機構52の送りローラ73を含む差し渡し寸法Lは自然状態で、換言すれば非拘束状態で、管渠Pの径Dよりも大きいものであるが、成形フレーム1は屈撓性があり、差し渡し寸法Lを縮小させ、管渠P内への強制的装入がなされる。すなわち、当該部分のライニング管Roは送りローラ73を介して管渠Pより拘束力を受けて楕円形状に変形する。図17はこの状態を示す。
【0039】
(4) 接合機構部7の内外面ローラ5,6を回転駆動し、内面ローラ5と外面ローラ6との挟着力をもって、帯状部材100の閉合部Hにおいて、その継手構造により開始用ライニング管Roに連なって新たに供給される帯状部材100は接合される。そして、本施工装置Sの全体は管周方向に公転し、かつ管軸方向に前進する。
これにより帯状部材100は螺旋状に捲回され、ライニング管Rが製管される。
【0040】
この工程において、成形クレーム1の回転に伴い、周長調整機構2に加わる力は、間隔保持機構3によって受けられ、当該周長調整機構2に過大な応力は生じない。
【0041】
(4A)また、この工程において、送り機構32の送りローラ73は管渠Pの管壁に当接し、その回転をもって本施工装置Sを回転駆動し、ひいてはライニング管Rの製管速度を決める。
すなわち、接合機構部7が上方にあるとき(図17の状態)、成形フレーム1の屈撓作用により、かつ、その中折れ防止機構の作用により、ライニング管Rの円形保持力をもって、送りローラ73は管壁に押し付けられ、本装置Sを回転させる。
接合機構部5が下方に至るとき、送りローラ73は当然に管壁に当接するものであり、管壁からの反作用を受けて本装置を回転させる。
【0042】
(4B)更にまた、この工程において、帯状部材100は地上部に配された巻出し装置Tより順次供給される。該巻出し装置Tは、図16にその構成の一例を示すように、人孔Q1の開口部周りに配された円形軌状200上に転子202を介して回転台204が回転自在に配備され、この回転台204に帯状部材100を繰出し自在に巻き付けた巻胴206が回転自在に支持されてなる。これにより、円形軌条200に沿う回転台204の水平面での回転と巻胴206の鉛直面での回転とが合成される。
製管動作に伴い帯状部材100はねじれ回転をなすが、巻出し装置Tにおいてはこの回転に同期して回転台204をもってこれに追従する。
【0043】
(5) 施工装置Sの前進に伴い、本施工装置Sの後に残置されたランニング管Rはその弾性により円形状に復帰する。
【0044】
(6) 管渠Pの所定長(通常には人孔Q1からQ2までの全長区間)にわたってライニング管Rが施工されると、本施工装置Sが取り外される。本施工装置Sでは周長調整機構2を有することにより、本取外し作業は容易に行われる。先ず、間隔保持機構3において、そのボルト43を回動し、内方及び外方間隔保持体41,42を互いに引き離し方向に移動させ、定着を解除する。しかる後、周長調整機構2の調整ボルト31を回動し、間隔を縮小させる。これにより、成形フレーム1は全体的に径を縮小させ、ライニング管Rから分離し、本施工装置Sの取外しがなされる。
本施工装置Sはまた、既に述べたように分割することができ、人孔Qを介して外部への搬出も容易である。
【0045】
(7) 管渠Pの全長にライニング管Rが施工されると、管渠Pとライニング管Rとの間隙にセメントミルクMが充填されその固結を待って本実施形態の施工工事は完了する。
【0046】
この実施の形態のライニング施工装置によると、その成形フレーム1はリンク機構により屈撓性を有するとともに周長調整機構2には間隔保持機構3が併設されてなるので、成形フレーム1は全体的に一定強度を維持し、弱体部分がなくなる。そして、管渠Pの内壁形状に良好に追従し、ライニング管Rの弾性と相まって管壁に弾圧的に押し付けられ、送りローラ73を常時管壁に当接させ、本施工装置Sを確実に回転駆動させ、製管を円滑になす。
そして、周長調整機構2により成形フレーム1のライニング管Rとの着脱が容易になされ、該成形フレーム1の周長が適宜に調整されるので、管径の変化に対応でき、かつ、正確な周長を得ることができる。
更に、本実施形態の成形フレーム1によれば、リンク体10相互はボルト・ナットにより組立て可能となっているので、リンク体10の増減(付加・撤去)が容易になされ、径の拡大・縮小が自在になされ、どのような管径にも対応できる。
【0047】
本実施形態のライニング施工装置Sを用いて実施されるライニング施工方法において、管渠の途中に段差のある場合、あるいは曲がりがある場合、次のようなライニングの施工形態を採る。
すなわち、図19はそのような管渠の状態の一例を示し、管渠P1と管渠P2とは段差Δを生じている。なお、管渠P1とP2の径は同径とする。本施工装置Sは管渠P1から管渠P2へと進む。
しかして、この段差部分では管渠の内径の周長M並びに高さHは最小値を採る。
【0048】
この施工の形態において、本施工装置Sの差し渡し寸法Lは管渠P1,P2の径D以下とされ、換言すれば、成形フレーム1の周長は管渠P1,P2の周長よりも十分に小さくされる。これにより、その成形フレーム1は管渠P1あるいはP2において、ライニング管Rを装着した成形フレーム1は、ライニング管Rの弾性作用を受けて実質的に円形状を保持する。従って、開始用ライニング管Roを組み付けた本施工装置Sの成形フレーム1は管渠Pの壁面から拘束力を受けることなく、自然状態を保持し、管渠P内に装入される。
【0049】
管渠P内でのライニング管渠Rの製管は、内面ローラ5と外面ローラ6との挟着作用により行われることは先の施工形態と同様であるが、送りローラ73は上方にあるとき管壁とは非接触となり、下方に至るにつれ管壁に当接し、その反作用を受けて本施工装置Sを回転駆動させる。
【0050】
しかして、本施工装置Sが段差部分に至るとき、次のように作動する。
段差Δが小さい場合において、本施工装置Sの差し渡し寸法Lは段差部分の高さHより大きいものであるが、本施工装置Sの周長は当該部分での周長Mより小さく設定されているので、本施工装置Sはその屈撓性を発揮して段差部分を製管動作を行いつつ通過する。
段差Δが大きく、本施工装置Sの周長が当該部分での周長Mがより大きな場合、当該段差の手前で、本施工装置Sの駆動を停止し、その周長調整機構2の調整ボルト31をもって成形フレーム1の径を縮小させる。そして、再び本施工装置Sを駆動して、段差部分を通過する。
次いで、再び径を拡大させ、先の態様に応じて作業を進行させる。
曲がり部分のついても(図20)、本施工装置Sは直進性を示すが、曲がり部分に入ると曲率の外側の壁面に当接することにより、該壁面より反力を受けて曲率に対応する屈撓性を発揮する。
【0051】
管渠が途中でその径を変化する場合においても、本ライニング施工装置Sにより容易に対応できる。
図21は大径の管渠P1から小径の管渠P2へ移行する状態を示す。
すなわち、大径部P1内のライニングの製管作業が小径部P2の手前に至るとき、一旦停止し、成形フレーム1の周長調整機構2により径を縮小させ、その径を管渠P2の径に適合させるまで調整する。しかる後、製管作業を再開し、管渠P2内へ進入してゆく。
【0052】
叙上の実施の形態では、円形断面の管渠への適用を示したが、矩形断面の管渠への適用も勿論可能である。すなわち、本ライニング施工装置Sはその成形フレーム1は屈撓性を示すものであるので、成形フレーム1はその周囲に組み込まれる帯状部材100の弾性と相まって、矩形断面に対応する(図22参照)。
【0053】
更にまた、叙上の実施の形態では屈撓性の成形フレームを示したが、剛性を有する成形フレームを除外するものではない。すなわち、成形フレームは所定の幅を有し円環状をなすとともに剛性を保持し、周方向に分割された個々の分割体により組立て分解自在とされ、分割体の相互に周長調整機構が配される。
この態様の成形フレームを使用してなされるライニング施工方法によれば、周長調整機構により成形フレームのライニング管との着脱が容易になされ、該成形フーレムの周長が適宜に調整されるので、管径の変化に対応でき、かつ、正確な周長を得ることができる。
【0054】
(他の実施の形態)
図23に間隔保持機構の他の態様を示す。この態様においては、ライニング施工装置の成形フレームは円環体の全体が剛性を有し、かつ、分割体(セグメント)をもって構成される。そして、分割体の相互に周長調整機構が配され、この周長調整機構に併設して間隔保持機構3Aが配される。
【0055】
図23において、1Aは円環状をなす成形フレームであって、この成形フレーム1Aに内面ローラ及び外面ローラよりなる接合機構部が配されることは先の実施形態に準じる。また、この形成フレーム1Aは円弧状の各分割体よりなり、その適宜個所に先の実施形態に準じる周長調整機構2が配される。
更に図23に示されるように、この間隔保持機構3Aは、対向する分割体に配されるテーパー板80、このテーパー板80のテーパー面80aに当接する間隔保持体81、分割体の内方に突設する支え片82、この支え片82に当接して架け渡される反力受け部材83、間隔保持体81に螺合し、反力受け部材83に回動のみ許容して支持されるボルト84、からなり、更には間隔保持体81間に架け渡される連結板85からなる。更に、86は間隔保持体81に螺設されたねじ孔、87は反力受け部材83のボルト挿通孔、88は連結板85の孔である。
【0056】
本発明は叙上の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含される。
▲1▼成形フレーム1において、外側リンク体10Aと内側リンク体10Bとは実施の形態に限らず、外側リンク体10Aがコ字形の組合せ体よりなり、内側リンク体10BがH形をなす形態、あるいは、外側及び内側ともにコ字形又はH形を採ることができる。更に、H形のリンク体において連結板13を2枚以上にしてもよい。
▲2▼接合機構部7において、油圧駆動に限定されるものではなく、空気圧モータあるいは電動モータを採用することができる。空気圧モータを採るとき、回転継手77の採用に変わりがないが、電動モータを採るとき、回転継手に替えて回転ブラシを採る。
あるいはまた、手動機構を除外するものではなく、歯車機構31を介してハンドル操作をもってローラ5,6を駆動する。
【0057】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明の管渠内用ライニング施工装置によれば、その成形フレームに周長調整機構が付加されてなるので、その周長調整機構の伸縮動作により該成形フレームの周長が適宜に調整されるので、管径の変化に対応でき、かつ、成形フレームのライニング管との着脱が容易になされる。また、その成形フレームの周長調整機構に間隔保持機構が併設されることにより、成形フレームは全体的に一定強度を維持し、弱体部分がなくなる。
請求項2に係る本発明の管渠内用ライニング施工装置によれば、成形フレームはリンク機構により屈撓性を有するとともに周長調整機構が付加されてなるので、管渠の内壁形状に良好に追従し、ライニング管の弾性と相まって管壁に弾圧的に押し付けられ、ライニング管の断面を可及的大きくすることができる。
そして、周長調整機構の伸縮動作により該成形フレームの周長が適宜に調整されるので、管径の変化に対応でき、かつ、成形フレームのライニング管との着脱が容易になされる。また、その成形フレームの周長調整機構に間隔保持機構が併設されることにより、成形フレームは全体的に一定強度を維持し、弱体部分がなくなる。
請求項4に係る本発明の本管渠内用ライニング施工方法によれば、断面の変化する管渠において、大径断面から小径断面へ移行する場合、その逆に、小径断面から大径断面へ移行する場合、周長を調整することにより、容易に通過できる。また、屈撓性を発揮する成形フレームにおいては、段差部では、該成形フレームの屈撓性とともに、周長が可変であるので、段差を容易に通過できる。更に、曲がり部において、該曲がり部の管壁から反力を受け、成形フレームは管壁の曲率に追従して変形し、曲がり部を通過する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管渠内のライニング施工装置の一実施形態の全体を示す縦断面図。
【図2】本ライニング施工装置の一部を省略した正面図。
【図3】ライニング施工装置を構成する成形フレームの一部断面平面図(図4の3方向矢視図)。
【図4】成形フレームの一部断面側面図(図3の4方向矢視図)。
【図5】成形フレームの中折れ防止機構を示す図。
【図6】成形フレームの取付け部の側面図。
【図7】成形フレームの取付け部の平面図(図6の7方向矢視図)。
【図8】成形フレームに配された周長調整機構及び間隔保持機構の一部断面平面図。
【図9】図8の9−9線断面図。
【図10】図8の10−10線断面図。
【図11】間隔保持機構の拡大断面図。
【図12】図11の12−12線断面図。
【図13】間隔保持機構の動作図。
【図14】接合機構部の正面図。
【図15】接合機構部の縦断面図。
【図16】接合機構部の接合ローラの構成図。
【図17】ライニング施工工事の要領図。
【図18】ライニング施工工事の要領図。
【図19】施工工事の他の要領図(段差のある場合)
【図20】施工工事の更に他の要領図(曲がりのある場合)
【図21】施工工事の更に他の要領図(断面変化のある場合)
【図22】ライニング施工工事の他の施工要領図。
【図23】間隔保持機構の他の態様図。
【図24】帯状部材の一態様図。
【図25】帯状部材の他の態様図。
【符号の説明】
P…管渠、R…ライニング管、S…ライニング施工装置、1…成形フレーム、2…周長調整機構、3…間隔保持機構、4…案内ローラ、5…内面ローラ、6…外面ローラ、7…接合機構部、10…リンク体、73…送りローラ、100…帯状部材

Claims (4)

  1. 管渠内において、両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を連続的に供給するとともに螺旋状に捲回し、相接する接合部相互を接合させて形成された管状体を残置させ、この既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもってライニング管を付加形成するライニング施工装置であって、
    所定の幅と横剛性とを有し、複数の円弧状のセグメントの組立てをもって形成される円環状の成形フレーム
    前記成形フレームのセグメント間に介装される周長を自在に調整する周長調整機構;
    前記成形フレーム回りに回転自在に装着され、帯状部材を螺旋状に捲回して形成されるライニング管の内面に当接する案内ローラ;
    前記成形フレームを介して取り付けられ、前記既に形成されたライニング管と新たに供給される帯状部材との接合部相互の位置に配されるとともに帯状部材を挟着する外面ローラと内面ローラとからなる接合機構部;を有してなる、
    ことを特徴とする管渠内用ライニング施工装置。
  2. 管渠内において、両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を連続的に供給するとともに螺旋状に捲回し、相接する接合部相互を接合させて形成された管状体を残置させ、この既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもってライニング管を付加形成するライニング施工装置であって、
    所定の幅と横剛性とを有し、リンク体の連なりによるリンク機構をもって屈撓自在とされるとともに各リンク体の中折れが防止された環状の成形フレーム;
    前記成形フレーム中に介装されるリンク体相互の間隔を自在に調整する周長調整機構;
    前記成形フレーム回りに回転自在に装着され、帯状部材を螺旋状に捲回して形成されるライニング管の内面に当接する案内ローラ;
    前記成形フレームを介して取り付けられ、前記既に形成されたライニング管と新たに供給される帯状部材との接合部相互の位置に配されるとともに帯状部材を挟着する外面ローラと内面ローラとからなる接合機構部;を有してなる、
    ことを特徴とする管渠内用ライニング施工装置。
  3. 成形フレームには、周長調整機構に併設して間隔保持機構が配されてなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の管渠内用ライニング施工装置。
  4. 管渠内において、両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を連続的に供給するとともに螺旋状に捲回し、相接する接合部相互を接合させて形成された管状体を残置させ、この既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもってライニング管を付加形成する方法であって、
    所定の幅と横剛性とを有し、環状をなすとともに周長を調整する周長調整機構が配された成形フレーム回りに前記帯状部材の内面に当接する案内ローラが装着され、かつ、この成形フレームに、既に形成された管状体の端縁部において、帯状部材の外面に当接する外面ローラと帯状部材の内面に当接する内面ローラとの2つのローラからなる接合ローラ部を配し、前記接合ローラ部でのローラを回転駆動させるとともに、既に形成された管状体と新たに供給される帯状部材との接合部相互の位置において前記2つの外面及び内面ローラで挟着して管状体を形成し、
    前記管状体の形成工程において、前記成形フレームに配された周長調整機構により成形フレームの周長を調整して管渠の周長の変化に対応する、
    ことを特徴とする管渠内のライニング施工方法。
JP2321897A 1996-02-16 1997-01-22 周長調整機構付き管渠内用ライニング施工装置並びにライニング施工方法 Expired - Lifetime JP3601230B2 (ja)

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