JP3600395B2 - 楽音信号発生装置 - Google Patents

楽音信号発生装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3600395B2
JP3600395B2 JP03320797A JP3320797A JP3600395B2 JP 3600395 B2 JP3600395 B2 JP 3600395B2 JP 03320797 A JP03320797 A JP 03320797A JP 3320797 A JP3320797 A JP 3320797A JP 3600395 B2 JP3600395 B2 JP 3600395B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filter
parameter
generator
tone
envelope
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03320797A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1049158A (ja
Inventor
清已 高氏
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd filed Critical Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Priority to JP03320797A priority Critical patent/JP3600395B2/ja
Publication of JPH1049158A publication Critical patent/JPH1049158A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3600395B2 publication Critical patent/JP3600395B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は楽音信号発生装置に関し、特に、波形メモリから読み出されるデジタル波形データをデジタルフィルタを用いて制御することにより種々の音色の楽音信号を発生するようにした楽音信号発生装置に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
電子ピアノ、電子キーボード、シンセサイザ等の電子楽器では、鍵盤部の鍵操作により演奏を自由に行うことができるようになされている。また、自動演奏装置や自動伴奏装置では、あらかじめプリセットされている、または演奏者が作成した自動演奏データや自動伴奏データにより自動的に演奏を行うことができるようになされている。
【0003】
これらの演奏の際に発音される楽音は、波形メモリにあらかじめ記憶されている複数種類の楽音波形データを用いて生成される。例えば、演奏者が鍵盤部の鍵を操作すると、その操作状態を表すキー情報や、操作パネル部の各操作子により設定されている音色などの楽音パラメータ情報に基づいて、上記波形メモリの中から対応する楽音波形データが読み出される。そして、この読み出された楽音波形データが加工されて所望とする音色の楽音が生成されるようになっている。
【0004】
ところで、近年では、種々の音色の楽音を生成するために、デジタルフィルタを用いた楽音波形データの加工が行われている。この種の電子楽器においては、デジタルフィルタに種々のフィルタ制御情報が与えられることによりフィルタ特性が決定され、種々の音色の楽音信号が生成されるようになっている。そして、そのデジタルフィルタに与えるフィルタ制御情報を時間的に変化させることにより、音色変化が実現されるようになっている。
【0005】
以上のような楽音波形データの読み出しおよび加工の処理は、電子楽器内の楽音発生部(楽音信号発生装置)によって行われる。
図13は、上記楽音発生部の従来の構成例を示すブロック図である。
図13において、20は波形メモリであり、音色や音域に応じた種々の楽音波形データが、繰り返し波形データとして、あるいは立ち上がり部と繰り返し部とからなる波形データとして所定のエリアに予め記憶されている。
【0006】
21は波形読み出し回路であり、図示しない鍵盤部の鍵操作に応じて与えられるキー情報(Key ON/OFF情報、 Key識別情報(鍵番号等))と、図示しない操作パネル部の設定状態に応じて与えられる音色情報とに対応して、波形メモリ20からそこに記憶されている所望の楽音波形データを所望の楽音周波数に応じた速度で読み出す。このとき、波形読み出し回路21から波形メモリ20に時分割で与えられるアドレス情報に従って、そのアドレス情報に対応する楽音波形データが波形メモリ20から読み出されるようになされている。
【0007】
22はフィルタ回路であり、波形メモリ20から所望の楽音周波数に従って読み出された楽音波形データに含まれる各周波数成分を、フィルタ制御情報発生器231より発生される制御情報に基づいてフィルタ制御する。上記フィルタ制御情報発生器231は、フィルタ回路22のフィルタ特性を制御するための制御情報を発生するものであり、図示しない鍵盤部の鍵操作に応じて与えられるキー情報(Key ON/OFF情報、 Key識別情報(鍵番号等)および各鍵の操作スピードに関するタッチ情報( Keyタッチレスポンス))と、図示しない操作パネル部の設定状態に応じて与えられる音色情報とに基づいて上記制御情報を発生する。
【0008】
24は乗算器であり、フィルタ回路22より出力される所望フィルタ特性に制御された楽音波形データと、エンベロープ発生器25から与えられるエンベロープ信号とを乗算し、エンベロープの付加された楽音波形データを出力する。上記エンベロープ発生器25は、フィルタ回路22より出力される所望フィルタ特性に制御された楽音波形データの振幅を、上記キー情報(Key ON/OFF情報、 Key識別情報(鍵番号等)および Keyタッチレスポンス)と上記音色情報とに基づいて制御するものである。
【0009】
図14は、図13に示したフィルタ制御情報発生器231のより詳細な構成を示すブロック図である。
図14において、90はフィルタパラメータ発生器であり、上記 Key識別情報(鍵番号等)、 Keyタッチレスポンスおよび音色情報に基づいて、フィルタ制御情報の1つであるカットオフ値Cutoffを生成するのに必要な3つのパラメータ(バイアスBIAS、ディプスDepth 、エンベロープ用パラメータEnv.Para)と、もう1つのフィルタ制御情報であるレゾナンス値Qとを発生する。
【0010】
ここで、上記カットオフ値Cutoffは、フィルタ特性のカットオフ角周波数(共振角周波数)とサンプリング周期とを乗算した値を示すものである。また、レゾナンス値Qは、フィルタ特性のバイアス点における振幅を決定するためのパラメータであり、フィルタパラメータ発生器90により発生されるレゾナンス値Qがそのままフィルタ回路22に出力される。また、バイアスBIASはカットオフ値Cutoffのベースとなるレベル調整のためのパラメータ、ディプスDepth はフィルタの作用度合いを制御するためのパラメータ、エンベロープ用パラメータEnv.Paraはフィルタ特性のエンベロープを制御するためのパラメータである。
【0011】
91はフィルタエンベロープ発生器であり、フィルタ特性のカットオフ値Cutoffに関連する信号を生成するために、鍵操作に応じて与えられるキー情報の1つであるKey ON/OFF情報をトリガーとして、フィルタパラメータ発生器90から出力されるエンベロープ用パラメータEnv.Paraに基づいてフィルタエンベロープ信号を発生する。
【0012】
92は乗算器であり、上記フィルタエンベロープ発生器91より出力されるフィルタエンベロープ信号と、作用度合いを制御するパラメータであるディプスDepth とを乗算する。また、93は加算器であり、上記乗算器92から出力される乗算結果と、カットオフ値CutoffのベースパラメータであるバイアスBIASとを加算することにより、上記カットオフ値Cutoffを発生する。
【0013】
図15は、上記フィルタ制御情報発生器231から発生されるフィルタ制御情報(カットオフ値Cutoffおよびレゾナンス値Q)によって制御されたフィルタ特性の例を示す図である。この図15から明らかなように、レゾナンス値Qの値が例えばQ,Q,Q−nと変わることによって、カットオフ周波数付近のフィルタ特性の傾きがa,b,cの特性のように変わる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電子楽器に備えられた楽音信号発生装置では、図15のような単調なフィルタ特性しか得ることができず、楽音波形データを複雑に制御することができなかった。そのため、複雑な音色変化を実現することができず、表現力豊かな楽音を発生する上で障害となっていた。
【0015】
本発明は、このような実情に鑑みて成されたものであり、より複雑なフィルタ特性を発生してフィルタ制御を行うことによって、より複雑な音色変化を実現することができるようにした表現力豊かな楽音信号発生装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の楽音信号発生装置は、波形メモリより読み出される楽音波形データを、デジタルフィルタとして複数のデジタルフィルタを設けフィルタ制御することにより、個々のフィルタ特性を組み合わせて新たなフィルタ特性を得て、種々の音色の楽音信号を発生するようにした楽音信号発生装置であって、上記各デジタルフィルタのフィルタ特性を制御するフィルタ制御情報のうち少なくとも時間的に変化する要素を制御するパラメータについては1つだけ発生する時間的変化パラメータ発生手段と、該時間的変化パラメータ発生手段から発生されたパラメータに対して、上記各デジタルフィルタへの作用度合いを表すパラメータを上記各デジタルフィルタ毎に別々に発生するディプス発生手段とを有し、該各デジタルフィルタへの作用度合いは独立で時間的変化は共通するフィルタ制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0017】
各デジタルフィルタで時間的変化パラメータを共用し、フィルタの作用度合いを表すパラメータを、各デジタルフィルタで別々に発生するようにすれば、各デジタルフィルタにおいて時間変化を共通にして相互の関係を明確にしながら、かつ、作用度合いを各々独立に制御することが可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、本実施形態の楽音信号発生装置(楽音発生部)を用いた電子楽器全体の概略的な構成を示すブロック図である。
図1において、CPU1、ROM2、RAM3、キーボード部5、操作パネル部6および楽音発生部7は、それぞれアドレスバス、データバス、コントロール信号ライン等の信号バス4に接続されて、相互にデータの送受信が行われるように構成されている。
【0037】
ここで、キーボード部5は、演奏を行うための複数の鍵とその鍵の各々に対応して設けられた鍵スイッチとを含む1つまたは複数の鍵盤から成っている。上記鍵スイッチは、押鍵や離鍵を検出するとともに、各鍵の動作スピードに関するタッチ情報を検出するように構成されている。
【0038】
また、操作パネル部6は、音色や音量等を選択および設定するための各種操作子(例えば、スイッチやボリューム)と、これらの選択および設定状態を表示するためのLCD(液晶表示装置)またはLED(発光ダイオード)から成る表示装置とを有している。
【0039】
CPU1は、本実施形態の電子楽器全体の制御を行うための中央処理装置であり、ROM2に格納されている制御プログラムに従って、RAM3をワークメモリとして利用しながら例えば次のような処理を行う。すなわち、CPU1は、キーボード部5の各鍵スイッチのスキャン処理を行って、各鍵の押鍵・離鍵に伴う鍵情報(Key ON/OFF情報、 Key識別情報(鍵番号)、タッチ情報等)を楽音発生部7に割り当てる処理を行う。また、操作パネル部6の音色設定スイッチや音量設定ボリュームのスキャン処理を行って、設定された音色や音量の楽音パラメータ情報に応じて楽音発生部7から所望の楽音信号を発生させる処理を行う。
【0040】
上記ROM2は読み出し専用のメモリであり、上述のようなCPU1の制御プログラムの他、上記楽音発生部7から所望の楽音信号を発生させるために必要なパラメータデータなど、種々のデータが格納されている。
【0041】
また、上記RAM3は読み書きが可能なメモリであり、CPU1のプログラム実行過程において各種の必要なデータを一時的に記憶したり、エディット可能なパラメータデータを記憶したりする記憶領域を有している。このRAM3の一部あるいは全部はバッテリーバックアップされており、操作パネル部6により設定された音色に応じた必要なデータを、電子楽器の電源がオフにされても保持しておくことができるようになされている。
【0042】
上記楽音発生部7は、操作パネル部6の音色設定スイッチの操作によって選択および設定された音色で、キーボード部5で押鍵された鍵に応じた楽音信号を発生させるための楽音発生器、音像効果装置、残響効果装置などを備えている。この楽音発生部7は、何れかの鍵の押鍵や音色設定スイッチの設定状態に応じて与えられる鍵情報や音色情報に基づいて、後述する波形メモリから楽音波形データを読み出し、この読み出した楽音波形データを加工してデジタル形式の種々の音色の楽音信号を発生する。
【0043】
上記楽音発生部7で発生されたデジタル楽音信号は、D/A変換部8に与えられてアナログ楽音信号に変換される。こうしてD/A変換されたアナログ楽音信号は、アナログ信号処理部9で簡単なフィルタ処理(ノイズ除去処理)および増幅処理が施された後、パワーアンプ10で適当なレベルまで増幅されてスピーカ部11に与えられる。スピーカ部11は、与えられたアナログ楽音信号を可聴信号として放音するためのものであり、1個あるいは複数個で構成されている。
【0044】
図2は、図1に示した楽音発生部7の構成をより具体的に示したブロック図である。なお、図2において、従来例である図13に示したブロックと同じ内容のブロックには同じ符号を付して、内容の異なるブロックには異なる符号を付している。以下では、図13と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分についての詳細な説明は省略する。
【0045】
図2において、22aは第1のフィルタ回路であり、波形メモリ20から所望の楽音周波数に従って読み出された楽音波形データに含まれる各周波数成分を、フィルタ制御情報発生器23より発生される第1のフィルタ制御情報に基づいてフィルタ制御する。また、22bは第2のフィルタ回路であり、上記第1のフィルタ回路22aによりフィルタ制御された楽音波形データの各周波数成分を、フィルタ制御情報発生器23より発生される第2のフィルタ制御情報に基づいて更にフィルタ制御する。
【0046】
上記フィルタ制御情報発生器23は、上記第1のフィルタ回路22aおよび第2のフィルタ回路22bにおける各フィルタ特性を制御するための第1、第2のフィルタ制御情報を発生するものである。すなわち、キーボード部5の鍵操作に応じて与えられるキー情報(Key ON/OFF情報、 Key識別情報(鍵番号等)およびタッチ情報( Keyタッチレスポンス))と、操作パネル部6の音色設定スイッチの設定状態に応じて与えられる音色情報とに基づいて上記第1、第2のフィルタ制御情報を発生する。
【0047】
乗算器24は、第2のフィルタ回路22bより出力される所望フィルタ特性に制御された楽音波形データに対してエンベロープ発生器25からのエンベロープ信号を乗算するものであり、エンベロープ発生器25は、第2のフィルタ回路22bより出力される所望フィルタ特性に制御された楽音波形データの振幅を制御するものである。
【0048】
図3は、図2に示したフィルタ制御情報発生器23のより詳細な構成を示すブロック図である。図3において、30はフィルタパラメータ発生器であり、上記 Key識別情報(鍵番号等)、 Keyタッチレスポンスおよび音色情報に基づいて、図2の第1のフィルタ回路22aおよび第2のフィルタ回路22bに対して第1のフィルタ制御情報(第1のカットオフ値CutoffIと第1のレゾナンス値QI)と第2のフィルタ制御情報(第2のカットオフ値Cutoff II と第12のレゾナンス値QII)とをそれぞれ独立して供給するのに必要な種々のパラメータ(第1、第2のバイアスBIASI,II 、第1、第2のディプス DepthI,II 、第1、第2のエンベロープ用パラメータEnv.ParaI,II 、第1、第2のレゾナンス値QI,II )をそれぞれ発生する。
【0049】
すなわち、本実施形態のフィルタパラメータ発生器30では、第1のフィルタ回路22aに対して第1のカットオフ値CutoffIと第1のレゾナンス値QIとを供給するのに必要なパラメータとして、第1のバイアスBIASI、第1のディプス DepthI、第1のエンベロープ用パラメータEnv.ParaI、第1のレゾナンス値QIをそれぞれ発生する。また、第2のフィルタ回路22bに対して第2のカットオフ値CutoffIIと第2のレゾナンス値QIIとを供給するのに必要なパラメータとして、第2のバイアスBIASII、第2のディプス DepthII、第2のエンベロープ用パラメータEnv.ParaII、第2のレゾナンス値QIIをそれぞれ発生する。
【0050】
31aは第1のフィルタエンベロープ発生器であり、フィルタ特性の第1のカットオフ値CutoffIに関連する信号を生成するために、上記キー情報の1つであるKey ON/OFF情報をトリガーとして、フィルタパラメータ発生器30から出力される第1のエンベロープ用パラメータEnv.ParaIに基づいて第1のフィルタエンベロープ信号を発生する。
【0051】
32aは第1の乗算器であり、上記第1のフィルタエンベロープ発生器31aより出力される第1のフィルタエンベロープ信号と、作用度合いを制御するパラメータである第1のディプスDepth Iとを乗算する。また、33aは第1の加算器であり、上記第1の乗算器32aから出力される乗算結果と、第1のカットオフ値CutoffIのベースパラメータである第1のバイアスBIASIとを加算することにより、上記第1のカットオフ値CutoffIを発生する。
【0052】
31bは第2のフィルタエンベロープ発生器であり、フィルタ特性の第2のカットオフ値CutoffIIに関連する信号を生成するために、上記キー情報の1つであるKey ON/OFF情報をトリガーとして、フィルタパラメータ発生器30から出力される第2のエンベロープ用パラメータEnv.ParaIIに基づいて第2のフィルタエンベロープ信号を発生する。
【0053】
32bは第2の乗算器であり、上記第2のフィルタエンベロープ発生器31bより出力される第2のフィルタエンベロープ信号と、作用度合いを制御するパラメータである第2のディプスDepth IIとを乗算する。また、33bは第2の加算器であり、上記第2の乗算器32bから出力される乗算結果と、第2のカットオフ値CutoffIIのベースパラメータである第2のバイアスBIASIIとを加算することにより、上記第2のカットオフ値CutoffIIを発生する。
【0054】
以上のように、本実施形態による楽音信号発生装置では、波形メモリ20から読み出された楽音波形データに含まれる各周波数成分をフィルタ制御するためのフィルタ回路として、第1のフィルタ回路22aと第2のフィルタ回路22bとの2つを設け、それらを従属接続して、第1のフィルタ回路22aでフィルタ制御した楽音波形データに対して、更に第2のフィルタ回路22bで異なるフィルタ特性に基づきフィルタ制御を行うようにしている。
【0055】
これにより、2つのフィルタ回路22a,22bの全体により、1つのフィルタ回路だけでは実現不可能な複雑なフィルタ特性を発生することができ、その複雑なフィルタ特性に基づき楽音波形データをフィルタ制御することができる。したがって、従来の楽音信号発生装置では発生することができなかった種類の楽音信号を発生することができ、より複雑な音色変化を実現することができるようになる。
【0056】
図4は、図2に示したフィルタ制御情報発生器23の他の構成例を示すブロック図である。この図4の実施形態は、フィルタ制御情報の1つであるカットオフ値Cutoffを、第1のフィルタ回路22aおよび第2のフィルタ回路22bで連動して動作させようとするものである。
【0057】
図4において、40はフィルタパラメータ発生器であり、上記 Key識別情報(鍵番号等)、 Keyタッチレスポンスおよび音色情報に基づいて、図2の第1のフィルタ回路22aおよび第2のフィルタ回路22bに対して第1、第2のフィルタ制御情報(第1、第2のカットオフ値CutoffI,II と第1、第2のレゾナンス値QI,II )をそれぞれ供給するのに必要な種々のパラメータ(第1、第2のバイアスBIASI,II 、ディプス Depth、エンベロープ用パラメータEnv.Para、第1、第2のレゾナンス値QI,II )をそれぞれ発生する。
【0058】
本実施形態のフィルタパラメータ発生器40では、種々のパラメータのうち、時間的に変化する要素を制御するパラメータ(時変化関数)であるディプス Depthとエンベロープ用パラメータEnv.Paraについては、第1のフィルタ回路22a用と第2のフィルタ回路22b用とで共通のパラメータとしてそれぞれ1つだけ発生する。また、バイアスBIASとレゾナンス値Qについては、第1のフィルタ回路22a用として第1のバイアスBIASIと第1のレゾナンス値QIとを発生するとともに、第2のフィルタ回路22b用として第2のバイアスBIASIIと第2のレゾナンス値QIIとを発生する。
【0059】
41はフィルタエンベロープ発生器であり、第1のカットオフ値CutoffIと第2のカットオフ値CutoffIIとを連動して制御する制御情報を生成するために、上記キー情報の1つであるKey ON/OFF情報をトリガーとして、フィルタパラメータ発生器40から出力されるエンベロープ用パラメータEnv.Paraに基づいてフィルタエンベロープ信号を発生する。42は乗算器であり、上記フィルタエンベロープ発生器41より出力されるフィルタエンベロープ信号と、作用度合いを制御するパラメータであるディプスDepth とを乗算する。
【0060】
43は第1の加算器であり、上記乗算器42から出力される乗算結果と、第1のカットオフ値CutoffIの基準となる第1のバイアスBIASIとを加算することにより、上記第1のカットオフ値CutoffIを発生する。また、44は第2の加算器であり、上記乗算器42から出力される乗算結果と、第2のカットオフ値CutoffIIの基準となる第2のバイアスBIASIIとを加算することにより、上記第2のカットオフ値CutoffIIを発生する。
【0061】
以上のように、本実施形態による楽音信号発生装置では、フィルタ制御情報の1つである第1、第2のカットオフ値CutoffI,II を発生するためのパラメータのうち、時変化関数であるディプスDepth とエンベロープ用パラメータEnv.Paraについては、第1のフィルタ回路22a用と第2のフィルタ回路22b用とで共通に用いるようにしている。
【0062】
これにより、2つのフィルタ回路22a,22bの基準のカットオフ位置は、それぞれに独立のバイアスBIASI,II によって設定されるが、その設定された2つのフィルタ回路22a,22bのカットオフ位置は共通の時間変化をされるようになるので、2つのフィルタ回路22a,22b間相互の関係を明確にすることができる。また、フィルタエンベロープ発生器41を1つだけ設ければ良いので、回路規模を小さくすることができるという利点もある。
【0063】
図5は、図2に示した第1のフィルタ回路22aと第2のフィルタ回路22bとの接続状態を変更できるようにした場合の構成例を示すブロック図である。
図5(a)において、第1のフィルタ回路22aおよび第2のフィルタ回路22bは、フィルタ制御情報発生器52から発生される第1、第2のフィルタ制御情報に基づいてフィルタ制御を行う。
【0064】
本実施形態のフィルタ制御情報発生器52は、上記第1、第2のフィルタ制御情報の他に、2つのフィルタ回路22a,22bの接続状態を選択するためのモード信号Modeも発生する点で図2のフィルタ制御情報発生器23と異なるが、フィルタ制御情報を発生する部分の構成は上記フィルタ制御情報発生器23の構成と同じであり、図3または図4のように構成される。
【0065】
51は選択器であり、その端子Sに入力されるフィルタ制御情報発生器52からのモード信号Modeの種類に応じて、波形メモリ20から端子Bに入力される楽音波形データと、第1のフィルタ回路22aから端子Aに入力される楽音波形データとのうちの一方を選択して次段の第2のフィルタ回路22bに出力する。
【0066】
すなわち、選択器51は、端子Sに入力されるモード信号Modeが“L”のときは、第1のフィルタ回路22aで第1のフィルタ特性に従ってフィルタ制御された楽音波形データを選択し、端子Sに入力されるモード信号Modeが“H”のときは、波形メモリ20より所望の楽音周波数に従って読み出された楽音波形データを選択して、次段の第2のフィルタ回路22bに出力する。
【0067】
これにより、第2のフィルタ回路22bでは、波形メモリ20より所望の楽音周波数に従って読み出された楽音波形データと、第1のフィルタ回路22aでフィルタ制御された楽音波形データとのどちらか選択された方の楽音波形データの各周波数成分を、フィルタ制御情報発生器52から発生される第2のフィルタ制御情報に基づいてフィルタ制御することになる。
【0068】
50はゲートであり、フィルタ制御情報発生器52から入力されるモード信号Modeの種類に応じて、第1のフィルタ回路22aによりフィルタ制御された楽音波形データを次段に出力したり遮断したりするものである。すなわち、ゲート50は、上記選択器51により第1のフィルタ回路22aからの楽音波形データが選択されているとき、つまり、フィルタ制御情報発生器52からゲート50に与えられているモード信号Modeが“L”のときは、上記第1のフィルタ回路22aでフィルタ制御された楽音波形データを次段に出力させないようにする。
【0069】
また、上記選択器51により波形メモリ20からの楽音波形データが選択されているとき、つまり、フィルタ制御情報発生器52からゲート50に与えられているモード信号Modeが“H”のときは、ゲート50は、上記第1のフィルタ回路22aでフィルタ制御された楽音波形データを次段に出力させるようにする。
【0070】
53は加算器であり、ゲート50からの出力と第2のフィルタ回路22bからの出力とを加算するものである。モード信号Modeが“L”の場合、選択器51では第1のフィルタ回路22aからの楽音波形データが選択され、ゲート50では第1のフィルタ回路22aからの楽音波形データが遮断されるので、第2のフィルタ回路22bからの楽音波形データが加算器53を介してそのまま出力されるようになり、2つのフィルタ回路22a,22bの接続状態は、図5(b)のように直列接続となる。
【0071】
一方、モード信号Modeが“H”の場合、選択器51では波形メモリ20からの楽音波形データが選択され、ゲート50では第1のフィルタ回路22aからの楽音波形データが出力されるので、加算器53では、第1、第2のフィルタ回路22a,22bからの楽音波形データが加算されて出力されるようになり、2つのフィルタ回路22a,22bの接続状態は、図5(c)のように並列接続となる。
【0072】
図6は、図5に示したフィルタ制御情報発生器52のより詳細な構成を示すブロック図である。
この図6において、第1、第2のフィルタ制御情報を発生する部分の構成は、図4に示したフィルタ制御情報発生器23の構成と同じであり、同じ内容のブロックには同一の符号を付している。
【0073】
図4の構成と異なる点は、フィルタパラメータ発生器60が、第1、第2のフィルタ回路22a,22bをLPFとHPFとの何れに設定するかを制御する2つの制御信号H/L I,H/L II と、上記第1、第2のフィルタ回路22a,22bを図5(b)のように直列接続するか、図5(c)のように並列接続するかを設定するモード信号Modeとを出力していることである。
【0074】
図7は、図5の構成によって形成することが可能なフィルタ特性の例を示す図である。
図7(a)は、第1、第2のフィルタ回路22a,22bを図5(b)のように直列接続し、両方ともLPFとした場合であって、
第1のカットオフ値CutoffI<第2のカットオフ値CutoffII
第1のレゾナンス値QI≠第2のレゾナンス値QII
とした場合のフィルタ特性を示す。
【0075】
図7(b)は、第1、第2のフィルタ回路22a,22bを図5(b)のように直列接続した場合であって、
第1のフィルタ回路22aをLPF、第2のフィルタ回路22bをHPF
第1のカットオフ値CutoffI>第2のカットオフ値CutoffII
第1のレゾナンス値QI=第2のレゾナンス値QII
とした場合のフィルタ特性を示す。
【0076】
また、図7(c)は、第1、第2のフィルタ回路22a,22bを図5(c)のように並列接続した場合であって、
第1のフィルタ回路22aをHPF、第2のフィルタ回路22bをLPF
第1のカットオフ値CutoffI>第2のカットオフ値CutoffII
第1のレゾナンス値QI=第2のレゾナンス値QII
とした場合のフィルタ特性を示す。
【0077】
以上のように、本実施形態では、図5に示したように、2つのフィルタ回路22a,22bを直列接続させてフィルタ特性を決定するだけでなく、並列接続させてフィルタ特性を決定することが自由にできるようにしている。したがって、図7(a)(b)のように2つのフィルタ特性のANDによってフィルタ特性を決定したり、図7(c)のように2つのフィルタ特性のORによってフィルタ特性を決定したりすることができ、より様々なフィルタ特性を発生することができ、そのような複雑なフィルタ特性に基づき楽音波形データをフィルタ制御することができる。
【0078】
なお、以上に述べた種々の実施形態において、図2の例では第1、第2のフィルタ回路22a,22bを直列接続し、図5の例では直列接続と並列接続とを自由に選択できるようにしたが、はじめから並列接続するように構成しても良いことは言うまでもない。
【0079】
図8は、図5に示したフィルタ制御情報発生器52の他の構成例を示すブロック図である。この図8の実施形態は、図6の構成を更に改良したものである。すなわち、図6の実施形態では、フィルタのカットオフ値Cutoffを時間的に変化させるエンベロープの元となるエンベロープ用パラメータEnv.Paraと、作用度合いを制御するディプスDepth との両方を第1、第2のフィルタ回路22a,22bで共通に用いていたが、図8の実施形態では、エンベロープ用パラメータEnv.Paraのみを共通にし、ディプスDepth は別々に持たせるようにしている。
【0080】
図8において、図6に示した各構成ブロックのうち、同じ内容のブロックには同一の符号を付している。図6の構成と異なる点は、フィルタパラメータ発生器65が、作用度合いを制御するパラメータとして、第1のフィルタ回路22a用の第1のカットオフ値CutoffIを生成するために第1のディプス DepthIを発生するとともに、第2のフィルタ回路22b用の第2のカットオフ値CutoffIIを生成するために第2のディプス DepthIIを発生していること、およびディプスDepth を2つ発生することに伴って乗算器を2つ備えていることである。
【0081】
この図8の実施形態では、フィルタエンベロープ発生器41から出力された第1および第2のフィルタ回路22a,22bで共通のフィルタエンベロープ信号EGは、第1の乗算器42と第2の乗算器45とに入力される。
【0082】
第1の乗算器42は、上記フィルタエンベロープ発生器41より出力されるフィルタエンベロープ信号EGと、フィルタパラメータ発生器65より出力される第1のディプスDepth Iとを乗算する。そして、第1の加算器43において、第1の乗算器42から出力される乗算結果とフィルタパラメータ発生器65より出力される第1のバイアスBIASIとを加算することにより、第1のカットオフ値CutoffIを発生する。
【0083】
一方、第2の乗算器45は、上記フィルタエンベロープ発生器41より出力されるフィルタエンベロープ信号EGと、フィルタパラメータ発生器65より出力される第2のディプス DepthIIとを乗算する。そして、第2の加算器44において、第2の乗算器45から出力される乗算結果とフィルタパラメータ発生器65より出力される第2のバイアスBIASIIとを加算することにより、第2のカットオフ値CutoffIIを発生する。
【0084】
図9は、図8の構成に基づいて、同じエンベロープでディプスDepth をそれぞれ別々に制御したときに発生する第1、第2のフィルタ回路22a,22bの各フィルタ特性の例を示す図である。本実施形態では、第1、第2のディプスDepth I,Depth IIは正の値だけでなく負の値もとることができるようにしている。図9(a)は第1のフィルタ回路22aのフィルタ特性、図9(b)は第2のフィルタ回路22bのフィルタ特性の例を示している。
【0085】
なお、ここでは、
第1のフィルタ回路22aをLPF、第2のフィルタ回路22bをHPF
第1のカットオフ値CutoffI>第2のカットオフ値CutoffII
第1のレゾナンス値QI=第2のレゾナンス値QII
第1のディプスDepth I≧0、第2のディプスDepth II<0
とした場合のフィルタ特性を示している。
【0086】
以上のように、図8に示した本実施形態では、フィルタ制御情報の1つである第1、第2のカットオフ値CutoffI,II を発生するためのパラメータのうち、該カットオフ値Cutoffを時間的に変化させるエンベロープの元となるエンベロープ用パラメータEnv.Paraのみを第1のフィルタ回路22a用と第2のフィルタ回路22b用とで共通に用い、その作用度合いを制御するためのディプスDepth については別々に用いるようにしている。
【0087】
これにより、2つのフィルタ回路22a,22bのカットオフ位置の時間変化を共通にして両者相互の関係を明確にしながら、かつ、エンベロープの深さを各々独立に制御することができ、2つのフィルタ回路22a,22bの時間変化の共通性を保ちつつより複雑な音色変化を実現することができるようになる。
【0088】
図10は、図5に示したフィルタ制御情報発生器52の更に他の構成例を示すブロック図である。これまでに示した各実施形態は、2つのフィルタ制御情報のうち、一方のカットオフ値のみをエンベロープによって時間的に変化させるようにしたものであったが、図10に示す実施形態は、これに加えて、もう1つのフィルタ制御情報であるレゾナンス値もエンベロープによって時間的に変化させるようにしたものである。
【0089】
すなわち、図10は、図8の構成を更に改良したものであり、図8に示した各構成ブロックのうち、同じ内容のブロックには同一の符号を付している。図10において、フィルタパラメータ発生器70は、カットオフ値に作用するエンベロープに加えてレゾナンス値に作用するエンベロープを発生するために、第1および第2のエンベロープ用パラメータEnv.Para−1、Env.Para−2を別々に発生している。
【0090】
このとき、上記第1のエンベロープ用パラメータEnv.Para−1は、第1および第2のフィルタ回路22a,22b用のカットオフ値CutoffI,IIに作用するパラメータとして、各フィルタ回路22a,22bで共用する。また、上記第2のエンベロープ用パラメータEnv.Para−2は、第1および第2のフィルタ回路22a,22b用のレゾナンス値ResoI,IIに作用するパラメータとして、各フィルタ回路22a,22bで共用するようにしている。
【0091】
また、フィルタパラメータ発生器70は、第1のフィルタ回路22aにおけるエンベロープの作用度合いを制御するパラメータである第1のディプス DepthIとして、カットオフ値用のディプスDepth I−1とレゾナンス値用のディプスDepth I−2とを発生する。また、第2のフィルタ回路22bにおけるエンベロープの作用度合いを制御するパラメータである第2のディプス DepthIIとして、カットオフ値用のディプスDepth II−1とレゾナンス値用のディプスDepth II−2とを発生する。
【0092】
第1および第2のカットオフ値CutoffI,IIは、図8に示したのと同様の回路ブロック(第1のフィルタエンベロープ発生器41と、第1および第2の乗算器42,45と、第1および第2の加算器43,44)により発生され、その動作は既に述べたとおりである。これに対して、本実施形態の第1および第2のレゾナンス値ResoI,IIは、図8に対して新たに追加した各回路ブロック(第2のフィルタエンベロープ発生器71と、第3および第4の乗算器72,73と、第3および第4の加算器74,75)により発生される。
【0093】
すなわち、第2のフィルタエンベロープ発生器71は、フィルタパラメータ発生器70より出力されるレゾナンス値用の第2のパラメータEnv.Para−2に基づいて、第1および第2のフィルタ回路22a,22bで共通の第2のフィルタエンベロープ信号EG2を発生する。この第2のフィルタエンベロープ発生器71から出力された第2のフィルタエンベロープ信号EG2は、第3の乗算器72と第4の乗算器73とに入力される。
【0094】
第3の乗算器72は、上記フィルタエンベロープ発生器71より出力される第2のフィルタエンベロープ信号EG2と、フィルタパラメータ発生器70より出力されるレゾナンス値用のディプスDepth I−2とを乗算する。そして、第3の加算器74において、第3の乗算器72から出力される乗算結果とフィルタパラメータ発生器70より出力される第1のレゾナンス値QIとを加算することにより、エンベロープ制御された第1のレゾナンス値ResoIを発生する。
【0095】
一方、第4の乗算器73は、上記フィルタエンベロープ発生器71より出力される第2のフィルタエンベロープ信号EG2と、フィルタパラメータ発生器70より出力されるレゾナンス値用のディプスDepth II−2とを乗算する。そして、第4の加算器75において、第4の乗算器73から出力される乗算結果とフィルタパラメータ発生器70より出力される第2のレゾナンス値QIIとを加算することにより、エンベロープ制御された第2のレゾナンス値ResoIIを発生する。
【0096】
図11は、図10の構成に基づいて、レゾナンス値についてもエンベロープによって時間変化をするように制御(なお、この場合も第1、第2のフィルタ回路22a,22bでエンベロープは同じでディプスDepth はそれぞれ別々に制御)したときに発生する第1、第2のフィルタ回路22a,22bの各フィルタ特性の例を示す図である。
【0097】
図11(a)は第1のフィルタ回路22aのフィルタ特性、図11(b)は第2のフィルタ回路22bのフィルタ特性の例を示している。なお、ここでは、
第1のフィルタ回路22a、第2のフィルタ回路22b共にLPF
第1のカットオフ値CutoffI≒第2のカットオフ値CutoffII
第1のディプスDepth I−2≧0、第2のディプスDepth II−2<0
とした場合のフィルタ特性を示している。
【0098】
なお、この図11ではレゾナンス値Resoの時間変化のみを示し、カットオフ値Cutoffの時間変化については示していないが、図10の構成は図8の構成も含んでいるので、図9のようにカットオフ値Cutoffについても併せて時間変化させるようにすることが可能である。
【0099】
以上のように、図10に示した本実施形態では、フィルタ制御情報の1つであるカットオフ値だけでなく、もう1つのフィルタ制御情報であるレゾナンス値についてもエンベロープによって時間的に変化させるようにしているので、図8の場合に比べて更に複雑な音色変化を実現することができる。
【0100】
また、図10の例では図8の例と同様に、エンベロープ用パラメータEnv.Paraを2つのフィルタ回路22a,22bで共用しているので、2つのフィルタ回路22a,22bのカットオフ位置の時間変化やレゾナンスの時間変化をそれぞれ共通にして両者間の関係を明確にできることはもちろんである。さらに、ディプスDepth については別々に発生しているので、エンベロープの深さを各々独立に制御することができ、2つのフィルタ回路22a,22bの時間変化の共通性を保ちつつより複雑な音色変化を実現することができる。
【0101】
図12は、図5に示したフィルタ制御情報発生器52の更に別の構成例を示すブロック図である。この図12に示す実施形態は、図10の実施形態に対して、2つのフィルタ回路22a,22bで用いるカットオフ値CutoffI,IIおよびレゾナンス値ResoI,IIに作用する各エンベロープを全て共通にして、それぞれのエンベロープに対して別々にディプスDepth を持つようにしたものである。
【0102】
すなわち、図12においては、フィルタパラメータ発生器80は、2つのフィルタ回路22a,22bのカットオフ値CutoffI,IIおよびレゾナンス値ResoI,IIの全てに共通なエンベロープ用パラメータEnv.Paraを1つだけ発生する。また、このエンベロープ用パラメータEnv.Paraに基づいてフィルタエンベロープ発生器41で発生されたフィルタエンベロープ信号EGは、第1〜第4の乗算器42,45,72,73に入力される。その他の構成および動作は図10に示した実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0103】
以上のように、図12に示した本実施形態によれば、2つのフィルタ回路22a,22bにおけるカットオフ位置とレゾナンスとの時間変化を全て共通にして各者間の関係を明確にすることができる。また、図10の実施形態に比べてフィルタエンベロープ発生器41を1つだけ設ければ良いので、回路規模を小さくすることができるという利点もある。
【0104】
なお、以上に示した実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載した範囲内で変更可能な構成は全て本発明の範疇に含まれる。例えば、図10および図12の例ではディプスDepth をそれぞれ別個に発生しているが、図6のように共通に発生するようにすることも可能である。また、図8以降は全て図6の改良型として説明しているが、同様の内容を図4の改良型として応用することも可能である。
【0105】
【発明の効果】
本発明は上述したように、各デジタルフィルタで時間的変化パラメータを共用し、フィルタの作用度合いを表すパラメータを、各デジタルフィルタで別々に発生するようにしたので、各デジタルフィルタにおいて時間変化を共通にして相互の関係を明確にしながら、かつ、作用度合いを各々独立に制御することが可能となり、各デジタルフィルタの時間変化の共通性を保ちつつ、より複雑な音色変化を実現することができるようになる。また、時間変化パラメータを共通化した分回路規模を小さくすることができる。
【0106】
時間的変化パラメータがフィルタ特性のカットオフ値を制御するようにすれば、各デジタルフィルタのカットオフ値の時間変化を共通にして相互の関係を明確にしながら、かつ、作用度合いを各々独立に制御することが可能となり、各デジタルフィルタの時間変化の共通性を保ちつつ、より複雑な音色変化を実現することができるようになる。
【0107】
時間的変化パラメータがフィルタ特性のレゾナンス値を制御するようにすれば、各デジタルフィルタのレゾナンス値の時間変化を共通にして相互の関係を明確にしながら、かつ、作用度合いを各々独立に制御することが可能となり、各デジタルフィルタの時間変化の共通性を保ちつつ、極めて複雑な音色変化を実現することができるようになる。
【0108】
時間的変化パラメータがフィルタ特性のカットオフ値とレゾナンス値の両方を制御するようにすれば、より複雑なフィルタ特性を得て豊かな音色変化を実現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である楽音信号発生装置を適用した電子楽器全体の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した本実施形態の楽音発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示した本実施形態のフィルタ制御情報発生器の一構成例を示すブロック図である。
【図4】図2に示した本実施形態のフィルタ制御情報発生器の他の構成例を示すブロック図である。
【図5】楽音発生部の他の構成例を示すブロック図である。
【図6】図5に示した本実施形態のフィルタ制御情報発生器の一構成例を示すブロック図である。
【図7】図5に示した実施形態にて発生するフィルタ特性の例を示す図である。
【図8】図5に示した本実施形態のフィルタ制御情報発生器の他の構成例を示すブロック図である。
【図9】図8に示した実施形態にて発生するフィルタ特性の例を示す図である。
【図10】図5に示した本実施形態のフィルタ制御情報発生器の更に他の構成例を示すブロック図である。
【図11】図10に示した実施形態にて発生するフィルタ特性の例を示す図である。
【図12】図5に示した本実施形態のフィルタ制御情報発生器の更に別の構成例を示すブロック図である。
【図13】従来の楽音発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図14】図13に示した従来のフィルタ制御情報発生器の一構成例を示すブロック図である。
【図15】従来の楽音信号発生装置で発生するフィルタ特性の一般的な例を示す図である。
【符号の説明】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
4 信号バス
5 キーボード部
6 操作パネル部
7 楽音発生部
8 D/A変換部
9 アナログ信号処理部
10 パワーアンプ
11 スピーカ
20 波形メモリ
22a 第1のフィルタ回路
22b 第2のフィルタ回路
23 フィルタ制御情報発生器
30 フィルタパラメータ発生器
40 フィルタパラメータ発生器
41 フィルタエンベロープ発生器
50 ゲート
51 選択器
52 フィルタ制御情報発生器
53 加算器
60 フィルタパラメータ発生器
65 フィルタパラメータ発生器
70 フィルタパラメータ発生器
71 レゾナンス値用のフィルタエンベロープ発生器
80 フィルタパラメータ発生器

Claims (4)

  1. 波形メモリより読み出される楽音波形データを、デジタルフィルタとして複数のデジタルフィルタを設けフィルタ制御することにより、個々のフィルタ特性を組み合わせて新たなフィルタ特性を得て、種々の音色の楽音信号を発生するようにした楽音信号発生装置であって、
    上記各デジタルフィルタのフィルタ特性を制御するフィルタ制御情報のうち少なくとも時間的に変化する要素を制御するパラメータについては1つだけ発生する時間的変化パラメータ発生手段と、
    該時間的変化パラメータ発生手段から発生されたパラメータに対して、上記各デジタルフィルタへの作用度合いを表すパラメータを上記各デジタルフィルタ毎に別々に発生するディプス発生手段とを有し、
    該各デジタルフィルタへの作用度合いは独立で時間的変化は共通するフィルタ制御を行うようにしたことを特徴とする楽音信号発生装置。
  2. 上記時間的変化パラメータがフィルタ特性のカットオフ値を制御するものであることを特徴とする請求項1記載の楽音信号発生装置。
  3. 上記時間的変化パラメータがフィルタ特性のレゾナンス値を制御するものであることを特徴とする請求項1記載の楽音信号発生装置。
  4. 上記時間的変化パラメータがフィルタ特性のカットオフ値とレゾナンス値の両方を制御するものであることを特徴とする請求項1記載の楽音信号発生装置。
JP03320797A 1996-05-31 1997-01-31 楽音信号発生装置 Expired - Fee Related JP3600395B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03320797A JP3600395B2 (ja) 1996-05-31 1997-01-31 楽音信号発生装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16105596 1996-05-31
JP8-161055 1996-05-31
JP03320797A JP3600395B2 (ja) 1996-05-31 1997-01-31 楽音信号発生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1049158A JPH1049158A (ja) 1998-02-20
JP3600395B2 true JP3600395B2 (ja) 2004-12-15

Family

ID=26371863

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03320797A Expired - Fee Related JP3600395B2 (ja) 1996-05-31 1997-01-31 楽音信号発生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3600395B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1049158A (ja) 1998-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7504573B2 (en) Musical tone signal generating apparatus for generating musical tone signals
JP3600395B2 (ja) 楽音信号発生装置
US5864081A (en) Musical tone generating apparatus, musical tone generating method and storage medium
JP2021119409A (ja) 電子鍵盤楽器、音信号発生装置および音信号発生方法
JP4268920B2 (ja) 電子楽器
JP3996987B2 (ja) 電子楽器
JPH10222168A (ja) 電子楽器の音量制御装置
JP5434445B2 (ja) 楽音信号制御装置及びプログラム
JP5532653B2 (ja) 楽音信号作成装置
JP2888712B2 (ja) 楽音発生装置
JPH07248765A (ja) 電子楽器
JP3912668B2 (ja) 電子楽器
JP2002328676A (ja) 電子楽器、発音処理方法及びプログラム
JP2857915B2 (ja) 自動演奏装置
JP3105132B2 (ja) 電子楽器の音色発生装置
JP3496796B2 (ja) 電子楽器のパッチ情報設定装置
JP3939595B2 (ja) 楽音信号発生装置、楽音信号発生方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP4484231B2 (ja) 電子楽音発生装置
JPH0934460A (ja) 効果付加装置
JP2005010362A (ja) 電子楽音発生装置の楽音制御装置
JPS6381396A (ja) 電子楽器
JPH0863161A (ja) 電子楽器の効果付加装置
JP2002215153A (ja) 電子楽器の機能選択装置
JPH0895569A (ja) 電子楽器
JPS6316758B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040420

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040907

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040916

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070924

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080924

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080924

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090924

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees