JP3599852B2 - ガラススクリーンのトラス構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラススクリーンを支持するトラス構造に関し、詳細にはガラス板を点支持金具を介して支えるロッドで構成したトラス構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラス板の取り付けはサッシで保持するものから、フレームレス構法の接着方式、金属金具による点支持構法があり、接着方式としては方形なガラス板の各辺を枠と構造用シーリング材で線支持するもの(実開平1−122110号公報、特開昭64−10845号公報)、金属金具の点支持構法のものとしては、例えば特開平6−117087号の公報には、各ガラスパネルの四隅には貫通孔が設けられ、これらの貫通孔を通してパネル支持金物により各ガラスが躯体側に固定され、その実施例として、梁および柱により建物躯体側の構造体が構成され、該柱間に張設のワイヤトラスに強化、半強化、合せガラス等からなるガラスパネルが装着され、最上位のガラスパネルの上縁部には吊り支持金物が取付けられ、この吊り支持金物により縦方向に連結された4枚のガラスパネル重量を梁で支持し、四隅部の支持金物は実質上パネルの重量は支持せず、ガラスパネルを風圧力等による水平方向の引張り、圧縮に対し躯体側に固定する作用を果すことが開示されている。
【0003】
また、先に本出願人が出願した特開平6−193171号公報に、ロッドに軸着のボスから四方に放射するアームの先端にガラス板の四隅を螺着する吊り下げガラス板の支持構造において、前記アームをI字状あるいはV字状の取付金具とし、その片端もしくは交点を、前記ボスを挟みその上下に固着延設する回動部材の両端あるいはその一方に軸着し、並設する左右のガラス板にはV字状のアームを、ガラス板の褄側にはI字状のアームの取付金具を組合せ、前記ボスの反面側に前記ロッドを固着する突起軸部を設け、その上下に杆材を設けこれを介して前記ガラス板を支持するガラス板の支持構造を提供している。
【0004】
さらに、特開平7−34562号公報には、屋根やガラスカーテンウォール外壁の風等による振動を有効に無くすために、屋根や壁などの構造材に引張ケーブルを併設して所要の引張り力で緊張させる張索構造体において、上記引張りケーブルにはニッケル・チタン合金などの超弾性合金から成るジョイント部を設けてプレストレスを導入した張索構造体が開示されている。
【0005】
さらにまた、本出願人による先の出願の特願平6−183361号には、ガラス板の四隅に設けた孔と螺着の取付金具を、自立柱に直接あるいはその間に架設し風圧力を受ける水平な主トラスの室外側に位置する弦材、圧縮材との交点に回動自在に軸着し、前記自立柱上の躯体に固着する最上段の前記取付金具から垂下あるいは下方の取付金具間に杆材を連設するガラススクリーンの構造体において、前記杆材を室外側の弦材とし、圧縮材を前記主トラスの圧縮材と共通するように結構する垂直トラスを配設したガラススクリーンの構造体を提供した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
接着方式のものは、地震による層間変位と風圧による動きを吸収させるため、縦、横の部材の断面構造が複雑、あるいは該変位をシール材の弾性変形で吸収も複雑なシール材の形状となる欠点を有し、
特開平6−117087号公報のガラスパネル支持金物によるものは、風圧を水平に張設したワイヤトラスに負担させる構造のため予め付与する張力は過大な手段を必要とし、ワイヤの膨張における弛み対策、さらにはガラスパネルの自重等の吊り下げ荷重の負担は最上段に配設する支持金物間に別途吊り下げ手段を要し、さらにガラスパネルの破損時の取り替えにおいては、その下方のガラスパネルの自重を別途支持する手段をその都度必要とする問題があり、
また、特開平6−193171号公報で、前記吊り下げ手段の問題に対して垂設の取付金具間を固着する杆材を垂直に配設してガラス板を吊り下げる支持構造を提供して解決したが、新たに地震等による上下動や熱伸縮を吸収する手段を要するという問題があり、
さらに、特開平7−34562号公報のものは最下部のガラス板のスパンにおいて、超弾性合金から成るジョイント部が室内側に張り出して設けられており、ジョイント部が室内側に張り出している部分だけ室内空間の利用が制限され、またジョイント部が透明なガラス板の視認性を低下させ、邪魔なものとなっている。
【0007】
さらにまた、本出願人による特願平6−183361号のものにおいては、地震、熱膨張等による圧縮にも対応できる構造体を提供しているが、最下部のガラス板のスパンにおいて、特開平7−34562号公報のものと同様に垂直トラスの弦材が室内側に張り出している部分だけ室内空間の利用が制限され、また垂直トラスの弦材が透明なガラス板の視認性を低下させ、邪魔なものとなっている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のかかる問題に鑑みてなされたもので、わずかな初期張力でより経済的な部材でかつ地震、熱膨張等による圧縮にも対応でき、室内空間の有効利用、および視認性を向上させる構造体の提供を目的とする。
すなわち、本発明は、自立柱間に張設した室内側と室外側の弦材からなる水平トラスと、上部構造体より最下部のスパンのガラス板の上部まで張設した室内側と室外側の縦弦材からなる垂直トラスとからなり、水平トラスと垂直トラスの交点部に接続金具を設け、室内側弦材と室外側弦材間に接続金具を介して垂直トラスと共有する圧縮材のロッドを設け、ガラススクリーン側に位置する接続金具に軸着した支持金具の支持アームにガラス板の隅部に設けた穿設部を締付ボルトとナットで締付挟持する締付金具を取付け、最下部のスパンをトラス無しとし、上部2点で吊下げられている、最下部のスパンのガラス板の下端をガラス板の荷重により前に垂れようとする力を抑えるためにサッシ枠で支持したことを特徴とするガラススクリーンのトラス構造である。
あるいは、本発明は、前記水平トラス、垂直トラスを構成する弦材、圧縮材、縦弦材をロッドとし、最下部より上方のスパンのガラス板の荷重により前に垂れようとする力によって、垂直トラスの室内側の縦弦材に働く圧縮力を抑えて、垂直トラスの室内側縦弦材の座屈変形を発生させない強度のロッドからなる縦弦材を用い、前記自立柱間に架設する水平トラスの両端にソケット継手による張力導入手段を介して定着するようにしたことを特徴とする上述のガラススクリーンのトラス構造である。
あるいはまた、本発明は、自立柱と自立柱の中間部に補助の自立柱を設け、補助の自立柱のガラススクリーン側と室内側にそれぞれ接続金具を固着させ、補助の自立柱に設けた接続金具と自立柱に固着した取付金具にソケット継ぎ手を介して水平トラスを張設し、さらに、ガラススクリーン側に位置する接続金具に軸着した支持金具の支持アームにガラス板の隅部に設けた穿設部を締付ボルトとナットで締付挟持する締付金具を取付け、ガラス板の荷重を補助の自立柱で支持するようにしたことを特徴とする上述のガラススクリーンのトラス構造である。
あるいはまた、本発明は、ガラススクリーンの両端部は、自立柱を取り囲む化粧板付近に固設したサッシ枠にはめ込み支持するようにしたことを特徴とする上述のガラススクリーンのトラス構造である。
あるいはまた、本発明は、ガラススクリーンの両端部は、自立柱に直接、2点支持用、または1点支持用の支持金具にてガラス板の隅部穿設部を支持するようにしたことを特徴とする上述のガラススクリーンのトラス構造である。
あるいはまた、本発明は、前記最下部スパンのガラス板の下端をセッティングブロックを介してサッシ枠で支持するようにしたことを特徴とする上述のガラススクリーンのトラス構造である。
あるいはまた、本発明は、前記最下部スパンのガラス板の下端をガスケットで支持するようにしたことを特徴とする上述のガラススクリーンのトラス構造である。
あるいはまた、本発明は、前記最下部スパンのガラス板の下端の隅部を独立した点支持金具で支持するようにしたことを特徴とする上述のガラススクリーンのトラス構造である。
【0009】
本発明のガラススクリーンのトラス構造は、自立柱に直接接続金具を介して支持金具を軸着し、あるいは自立柱間に張設した水平トラスと上部構造体より最下部のスパンのガラス板の上部まで張設した垂直トラスからなり、水平トラスと垂直トラスの交点部にトラスを形成する室内側と室外側の弦材、 室内側と室外側の縦弦材、及び 室内側弦材と室外側弦材間に設けた垂直トラスと共有する圧縮材のロッドを接続する接続金具を設け、ガラススクリーン側に位置する接続金具に軸着した支持金具の中心より四方に延設した支持アームに、4枚の隣接するガラス板の隅部に設けた穿設部を締付挟持する締付金具をそれぞれ取付け、最下部のスパンをトラス無しとし、上部2点で吊下げられている、最下部のスパンのガラス板の下端をガラス板の荷重により前に垂れようとする力を抑えるためにサッシ枠で支持した。
【0010】
ガラススクリーンが受ける風圧荷重により、水平トラスの室内側弦材はそれぞれ引張り力が働き、風圧によるガラススクリーンの変形を抑えようとする。逆に室内側が正圧になると、水平トラスのガラススクリーン側の弦材が引張り材として働き、ガラススクリーンが変形しても復帰できるようにバランスを保っている。
【0011】
また、ガラス板および支持金物等の荷重は垂直トラスが支えているが、特に垂直トラスの内のガラススクリーン側の縦弦材によりガラス板の上部隅部位置2点に設けた支持金具でガラス板および支持金物の荷重を吊り下げ支持しており、ガラス板の下部隅部に設けた支持金具はガラス板の荷重を支えず、ガラス板の位置、傾き等の規制を主として補助的に支持するものである。
【0012】
ガラス板の上部隅部の穿設部を締付挟持する締付金具を前記支持金具の中心から四方に延設の支持アームの先端のネジ孔に取り付け、該支持金具をトラスを接続する接続金具よりガラススクリーン側に突出のロッドに軸着する。
【0013】
いま、最下部スパンのガラス板は上部2点で吊り下げられ、下端では支持していない状態で、吊り下げたガラス板の荷重によりガラス板が前に垂れようとする力が働き、さらに垂直トラスのガラススクリーン側の縦弦材と圧縮材との交点に設けた接続金具を支点にして、圧縮材の室内側寄りの部分が上方に持ち上がろうとする力が働き、垂直トラスの室内側の縦弦材が圧縮力を受け、この圧縮力に耐えられるだけの強度を垂直トラスの室内側縦弦材に持たせ、該室内側縦弦材のロッドの径を太くして前記圧縮力による座屈変形の発生を抑えた。
【0014】
さらに、最下部より2番目のスパンのガラス板は、同様に上部隅部2点で吊り下げ支持するが、最下部のスパンのガラス板と同様に、最下部のガラス板の下端が支持されていない状態であるため、2番目のガラス板も荷重により前に垂れようとする力が働き、さらに垂直トラスのガラススクリーン側の縦弦材と圧縮材との交点に設けた接続金具を支点にして、圧縮材の室内側寄り部分が上方に持ち上がろうとする力が働き、垂直トラスの最下部より3段目に位置する室内側の縦弦材が2番目のスパンのガラス板の荷重による圧縮力と、垂直トラスの2番目のスパンの室内側縦弦材に受けている圧縮力の両方を受け、この圧縮力に耐えられるだけの強度を垂直トラスの室内側縦弦材に持たせ、該室内側縦弦材のロッドの径を太くして前記圧縮力による座屈変形の発生を抑えた。
【0015】
あるいは、ガラススクリーンの最下部スパンのガラス板の下端辺をサッシ枠等の支持手段、例えば最下部のスパンのガラス板の荷重をサッシ枠等に預けることにより、該ガラス板の上部隅部位置にガラス板の荷重がかからないようにし、最下部より2番目のスパンのガラス板の垂直トラスの室内側の縦弦材に圧縮力が働かないようにすることで、最下部より2番目の垂直トラスの室内側弦材のロッドの径は通常とすることができ、
さらに、最下部より2番目のスパンのガラス板は、同様に上部隅部2点で吊り下げ支持するが、最下部のスパンのガラス板は下端のサッシ枠に荷重を預けているが、2番目のスパンのガラス板は最下部のスパンのガラス板とは異なって上部隅部2点で吊り下げ支持となって、垂直トラスのガラススクリーン側の縦弦材と圧縮材との交点に設けた接続金具を支点にして、圧縮材の室内側寄り部分が上方に持ち上がろうとする力が働き、垂直トラスの最下部より3段目に位置する室内側の縦弦材が2番目のスパンのガラス板の荷重による圧縮力のみを受け、この圧縮力に耐えられるだけの強度を垂直トラスの室内側縦弦材に持たせ、該室内側縦弦材のロッドの径を太くして前記圧縮力による座屈変形の発生を抑えた。
【0016】
また、張力導入手段をソケット継手とし、該ソケット継手を緊締することによる容易な取り付けができ、わずかな緊張力を付与して水平トラスを定着するため、風圧力で発生し追加される引張力にも耐える経済的な部材断面にすることができる。
【0017】
さらに、前記最下部スパンのガラス板の下辺端をサッシ枠で支持することにより、最下部スパンのガラス板の荷重が、最下部より2番目のスパンの縦トラスの室内側縦弦材に与える圧縮力を発生させないようにし、
また、前記最下部スパンのガラス板の下端をガスケットで支持するようにし、さらに、前記最下部スパンのガラス板の下端の隅部を独立した点支持金具で支持するようにした。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は一部を切欠、省略したガラススクリーン側から見た該ガラススクリーンを支持するトラス構造の斜視図を示し、図2は本発明のトラス構造の一部を切欠、省略した水平トラスの平面図、図3は本発明のトラス構造の一部を切欠、省略した垂直トラス8の縦断面図、図4は本発明の別の実施例のトラス構造の斜視図、図5は本発明のトラス構造の別の実施例のトラス構造の一部を切欠、省略した平面図、図6は一部を切欠、省略し、上下にV字状のアームを設けた三軸方式の取付金具を示す斜視図、図7は上部構造体に取付けた支持金具の側面図、図8は自立柱に張力導入手段を介して水平トラスを設ける一部を省略、切欠した平面図、図9は最下部スパンのガラス板の下端部の支持方法を説明する一部を省略、切欠した縦断面図を示す。
【0019】
以下に具体的なガラススクリーンのトラス構造の実施例を示すが、本発明はこれに限るものではなく種々の応用が考えられるものである。
まず一実施例として、図1に示すように自立柱3と自立柱3との間に縦寸法が2,500mm〜3,100mm、横寸法が1,800mmのガラス板1を縦横3段3列の合計9枚併設し、ガラススクリーン2を支持形成するためのトラス構造を示した。トラス構造は自立柱3、3間に張設した水平トラス5と上部構造体4より最下部のスパンのガラス板1の上部まで張設した垂直トラス8からなり、水平トラス5と垂直トラス8の交点部にトラスを形成する室内側と室外側の弦材6、6'、 室内側と室外側の縦弦材9、9'、及び 室内側弦材6と室外側弦材6 ' 間に設けた垂直トラス8と共有する圧縮材7のロッドを接続する接続金具10、10、・・を設け、ガラススクリーン2側に位置する接続金具10、10、・・に軸着した支持金具11、11、・・の中心より四方に延設した支持アーム15に、4枚の隣接するガラス板1の隅部に設けた穿設部を締付挟持する締付金具18をそれぞれ取付け、各ガラス板1を四隅で支持し、ガラススクリーン2を形成した。
【0020】
水平トラス5としては前記自立柱3と自立柱3間に外径が16mmφからなる機械構造用鋼棒のロッド材1、2本を図1、図2のように張設し、中央部が室内側弦材6と室外側弦材6'からなり、外径30mmφの圧縮材7との交点部より自立柱3に向けて張設時は、室内側弦材6と室外側弦材6'とをクロスさせ、室外側弦材6'は自立柱3の室内側に設けた取付金具12に取付け、室内側弦材6は自立柱3の室外側に設けた取付金具12'に取付けた。
【0021】
室内側弦材6はガラススクリーン2が風圧荷重に耐えられるように、16mmφの機械構造用鋼棒のロッド2本を張設した。
室内側弦材6と室外側弦材6'間には垂直トラス8と共有する30mmφの機械構造用鋼棒からなる圧縮材7を設け、室内外両方向からの風圧に対処すべく水平トラス5の張力を支え維持するものである。
【0022】
垂直トラス8としては図3および図7に示すように、上部構造体4に固着した吊金具に取付座22を介して取付金具21を、該取付金具21の下方に固着した取付板23を介して縦弦材9、9'と連結し、さらに水平トラス5と共有の圧縮材7と接続し、縦弦材9、9'は最下部スパンのガラス板1の上端位置までとし、該位置において縦弦材9、9'の下端間にそれぞれ接続金具10を介して圧縮材7を設け、最下部のスパンには垂直トラス8を無くした構造とした。ここで室内側の縦弦材9は外径20mmφで、ガラススクリーン2側の縦弦材9'は12mmφのそれぞれ機械構造用鋼棒とした。
【0023】
垂直トラス8の上部、および水平トラス5の室外側弦材6'と垂直トラス8の室外側縦弦材9'との交点の接続金具10に、図6に示すような支持金具11を取付け、ガラス板1の四隅に設けた穿設部を締付支持するものであるが、該支持金具11の構成は、上下二軸の軸部17、17'に回動自在でガラス板1と螺着した先端にネジ孔16を設けた支持アーム15を軸着したもので、ガラス板1の隅部に設けた穿設部に締付ボルト19を挿通後、裏面よりナット20で締付螺合し、さらに前記支持アーム15の先端に設けたネジ孔16に図示されないパッキンとナットを介して前記ガラス板1の穿設部に取付けた前記締付ボルト19を固着させるものである。これにより上下左右の隣接したガラス板1、1間にはシリコンシーラント等のシール材24を充填して硬化せしめれば、ガラススクリーン2となる。
【0024】
本実施例の場合は最下部のスパンは垂直トラス8が無いために、本来引張材として機能すべき垂直トラス8の室内側縦弦材9がなく、ガラス板1の荷重により前に垂れようとする力が働くが、これを防止するために本発明では最下部のスパンのガラス板1をサッシ枠13で支持し、ガラス板1の荷重により前に垂れようとする力を抑えた。さらに最下部より上方のスパンのガラス板1の荷重についても、最下部の垂直トラス8を無くしたことによる、室内側縦弦材9の本来の引張材としての機能が果たせず、ガラス板1の荷重により同じく前に垂れようとする力が働き、垂直トラス8の室内側の縦弦材9に圧縮力が働き、座屈変形が発生するが、これを抑えるために本実施例では垂直トラス8の室内側縦弦材9の外径を太くして20mmφとし、座屈変形を発生させないようにした。
【0025】
ガラススクリーン2の両端部は図2、および図8に示すように自立柱3を取り囲む化粧板付近に固設したサッシ枠13にはめ込み支持したが、2点支持用、または1点支持用の支持金具11にてガラス板1の隅部穿設部を支持しても良い。
【0026】
ガラススクリーン2の上端部は図7に示すように、2点支持用の支持金具11にてガラス板を吊り下げ支持するが、ガラス板1の上端部については、エッジ部の保護、雨水の侵入防止、および美観上の観点よりサッシ枠13にはめ込んでいる。
【0027】
図4、図5には変形実施例として、ガラススクリーン2の面積を大きく取りたい場合、つまり自立柱3と自立柱3間の距離が長くなる場合の実施例で、自立柱3と自立柱3の中間部に補助の自立柱3'を設け、補助の自立柱3'が1カ所であれば自立柱3と自立柱3間を6列3段の18枚のガラス板からなるガラススクリーン2が形成でき、補助の自立柱3'を複数本設ければさらに幅広いガラススクリーン2が形成できるものである。
【0028】
いま、補助の自立柱3'のガラススクリーン2側と室内側にそれぞれ接続金具10を固着させ、補助の自立柱3'の該接続金具10と自立柱3に固着した取付金具12、12'にソケット継手14を介して水平トラス5を張設した。水平トラス5の構造は前記実施例1と同様とし、前記自立柱3と自立柱3間に外径が16mmφからなる機械構造用鋼棒のロッド材1、2本を図4、図5のように張設し、中央部が室内側弦材6と室外側弦材6'からなり、外径30mmφの圧縮材7との交点部より自立柱3に向けて張設時は、室内側弦材6と室外側弦材6'とをクロスさせ、室外側弦材6'は自立柱3の室内側に設けた取付金具12、および補助の自立柱3'の室内側に設けた接続金具10に取付け、室内側弦材6は自立柱3の室外側に設けた取付金具12'、および補助の自立柱3'の室外側に取付けた接続金具10に取付け張設した。
【0029】
水平トラス5の室内側弦材6はガラススクリーン2が風圧荷重に耐えられるように、16mmφの機械構造用鋼棒のロッド2本を張設した。
また水平トラス5の室内側弦材6と室外側弦材6'間には垂直トラス8と共有する30mmφの機械構造用鋼棒からなる圧縮材7を設け、室内外両方向からの風圧に対処すべく水平トラス5の張力を支え維持するものである。
【0030】
垂直トラス8については前記実施例と同様で、図3および図7に示すように、上部構造体4に固着の吊金具26に取付座22を介して取付金具21を、該取付金具21の下方に固着した取付板23を介して縦弦材9、9'と連結し、さらに水平トラス5と共有の圧縮材7と接続し、縦弦材9、9'は最下部スパンのガラス板1の上端位置までとし、該位置において縦弦材9、9'の下端間にそれぞれ接続金具10、10を介して圧縮材7を設け、最下部のスパンには垂直トラス8を無くした構造とした。ここで室内側の縦弦材9は外径20mmφで、ガラススクリーン2側の縦弦材9'は12mmφのそれぞれ機械構造用鋼棒とした。
【0031】
ここで変形実施例では、補助の自立柱3'に接続金具10が固着され、該接続金具10にガラス板1の支持金具11を軸着し、ガラス板1の隅部穿設部を支持するものであり、この部分においては垂直トラス8を必要とせず、ガラス板1の荷重を補助の自立柱3'にて支持するものである。
【0032】
最下部のスパンのガラス板1の下端については、サッシ枠13等にて支持し、該ガラス板1の荷重により、該ガラス板1が前に垂れないようにした。
さらに、図9(イ)、(ロ)に示すように、最下部のスパンのガラス板1の支持方法はH字状、またはU字状の溝にクロロプレンゴム等のセッティングブロック27を介してガラス板1の下端を当接させ、弾性ゴム29または弾性シーリング材28を充填させて支持するようにしたもの、
或いは、図9(ハ)に示すように、ガラス板1の下端部をガスケット30で覆い、支持するもの、
或いは、図9(二)に示すように、枠の一部が着脱自在なサッシ枠13の溝にセッティングブロック27を介してガラス板1の下端を当接させ、ガラス板1の下辺部両面に発砲ポリエチレンや、クロロプレンゴム等のバックアップ材31を介してサッシ枠13で挟み、シーリング材28を充填させて支持するようにしたもの、
或いはまた、図9(ホ)に示すように、セッティングブロック27と当接させ、シーリング材28を充填して接着支持するようにしたもの、
或いはさらに、図示しないが、前記最下部スパンのガラス板1の下端の隅部の穿設部を独立した1点用または2点用の支持金具11で支持するようにしてもよい。
【0033】
ここで、ガラス板1とは強化ガラス板、半強化ガラス板、未強化ガラス板およびこれらを組み合わせ中間膜や樹脂注入により接着した合わせガラス板、さらにこれらに飛散防止フイルムを貼着したガラス板等も含むものである。
【0034】
【発明の効果】
本発明のガラススクリーンのトラス構造は、ガラススクリーンの最下部のスパンにトラスが無く、ガラスだけで構成でき、透明性を一層向上させると共に、室内空間を広く有効に使うことができ、風圧荷重を水平トラス、吊下げ荷重を垂直トラスの各々のロッドで負担し、その取付けにコンパクトな張力導入手段を介在させることにより、取り付けが容易かつ初期の引張荷重を小さくでき、さらに水平トラスの弦材を交差延設し離間して固着することにより構造体のデプスを小さくでき、前記構成により弦材の圧縮や膨張を吸収し層間変位量を三軸方式の特異な支持金具で吸収するためガラス板への負担を解消し、また左右に傾いたガラス板はV字状のアームを軸着することと吊り下げ自重から重心安定の理が作用して復元し、サッシレスに加え主トラスおよび垂直トラスの直交の組合せによる美的効果、各ガラス板の重量を垂直トラスで支持するためガラス板の破損時には、その取り替えも容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一部を切欠、省略したガラススクリーン側から見た該ガラススクリーンを支持するトラス構造の斜視図を示す。
【図2】本発明のトラス構造の一部を切欠き省略した水平トラスの平面図を示す。
【図3】本発明のトラス構造の一部を省略、切欠した垂直トラスの縦断面図を示す。
【図4】本発明のトラス構造の別の実施例のトラス構造の斜視図を示す。
【図5】本発明のトラス構造の別の実施例のトラス構造の一部を切り欠き省略した平面図を示す。
【図6】一部を省略、切欠し上下にV字状のアームを設けた取付金具を示す斜視図
【図7】上部構造体に取付けた支持金具の側面図を示す。
【図8】自立柱に張力導入手段を介して水平トラスを設ける一部を省略、切欠した平面図を示す。
【図9】最下部スパンのガラス板の下端部の支持方法を説明する一部を省略、切欠した縦断面図を示す。
【符号の説明】
1、1' ガラス板
2 ガラススクリーン
3、3' 自立柱
4 構造体
5 水平トラス
6、6' 弦材
7 圧縮材
8 垂直トラス
9、9' 縦弦材
10 接続金具
11 支持金具
13 サッシ枠
14 ソケット継手
Claims (8)
- 自立柱間に張設した室内側と室外側の弦材からなる水平トラスと、上部構造体より最下部のスパンのガラス板の上部まで張設した室内側と室外側の縦弦材からなる垂直トラスとからなり、水平トラスと垂直トラスの交点部に接続金具を設け、室内側弦材と室外側弦材間に接続金具を介して垂直トラスと共有する圧縮材のロッドを設け、ガラススクリーン側に位置する接続金具に軸着した支持金具の支持アームにガラス板の隅部に設けた穿設部を締付ボルトとナットで締付挟持する締付金具を取付け、最下部のスパンをトラス無しとし、上部2点で吊下げられている、最下部のスパンのガラス板の下端をガラス板の荷重により前に垂れようとする力を抑えるためにサッシ枠で支持したことを特徴とするガラススクリーンのトラス構造。
- 前記水平トラス、垂直トラスを構成する弦材、圧縮材、縦弦材をロッドとし、最下部より上方のスパンのガラス板の荷重により前に垂れようとする力によって、垂直トラスの室内側の縦弦材に働く圧縮力を抑えて、垂直トラスの室内側縦弦材の座屈変形を発生させない強度のロッドからなる縦弦材を用い、前記自立柱間に架設する水平トラスの両端にソケット継手による張力導入手段を介して定着するようにしたことを特徴とする請求項1記載のガラススクリーンのトラス構造。
- 自立柱と自立柱の中間部に補助の自立柱を設け、補助の自立柱のガラススクリーン側と室内側にそれぞれ接続金具を固着させ、補助の自立柱に設けた接続金具と自立柱に固着した取付金具にソケット継ぎ手を介して水平トラスを張設し、さらに、ガラススクリーン側に位置する接続金具に軸着した支持金具の支持アームにガラス板の隅部に設けた穿設部を締付ボルトとナットで締付挟持する締付金具を取付け、ガラス板の荷重を補助の自立柱で支持するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載のガラススクリーンのトラス構造。
- ガラススクリーンの両端部は、自立柱を取り囲む化粧板付近に固設したサッシ枠にはめ込み支持するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガラススクリーンのトラス構造。
- ガラススクリーンの両端部は、自立柱に直接、2点支持用、または1点支持用の支持金具にてガラス板の隅部穿設部を支持するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガラススクリーンのトラス構造。
- 前記最下部スパンのガラス板の下端をセッティングブロックを介してサッシ枠で支持するようにしたことを特徴とする前記請求項1乃至5のいずれかに記載のガラススクリーンのトラス構造。
- 前記最下部スパンのガラス板の下端をガスケットで支持するようにしたことを特徴とする前記請求項1乃至5のいずれかに記載のガラススクリーンのトラス構造。
- 前記最下部スパンのガラス板の下端の隅部を独立した点支持金具で支持するようにしたことを特徴とする前記請求項1乃至5のいずれかに記載のガラススクリーンのトラス構造。
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