JP3929231B2 - リブ板ガラスの支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、強化ドア等の上部のランマ部や面板ガラスの上部に設けるリブ板ガラスの支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
建物の外壁として大板ガラスを用いて大開口部を構成するガラススクリーン工法のうちリブ板ガラス(ガラス方立)を用いる工法としては、ガラススタビライザー工法、吊り下げスタビライザー工法が良く知られている。
【0003】
ガラススタビライザー工法はガラス方立付き自立工法とも呼ばれ、リブ板ガラス(方立ガラス、ガラススタビライザーとも云う)を用いて、面板ガラスの自重による撓みと面板ガラスに加わる風荷重とを支持する工法であり、
また、吊り下げスタビライザー工法はガラス板の上辺部を吊り下げると共にリブ板ガラスを用いてガラス板の自重による撓み、及び面外方向からの風圧荷重等を防ぐ工法であり、開口部のガラス板の高さが高い場合や、リブ板ガラスが上部側の一部のみに設ける場合に良く用いられる工法である。
【0004】
前記リブ板ガラスを用いたガラススクリーンの構成としては片リブ、両リブ、貫通リブの三種類が従来からより良く知られており、室内側にリブ板ガラスを配設した片リブ構造が最も広く一般的に実施されている。
【0005】
該リブ板ガラスを用いたガラススクリーンは、複数枚の面板ガラスを横方向に並設し、それぞれの縦辺を突き合わせるようにして立設させ、さらに突き合わせ部分と直交する方向の室内側にリブ板ガラスを立設させて、面板ガラス間の突き合わせ目地部分と、面板ガラスと前記リブ板ガラス間の目地部分のそれぞれに構造用シーリング材を充填させ接着固定するようにしたものである。
【0006】
前記リブ板ガラスを用いたガラススクリーンにおいて、リブ板ガラスを室内側に配設した場合、リブ板ガラスが天井から床面までに及ぶとリブ板ガラスによって室内空間の利用が制限されるため、この制約を解消するために、リブ板ガラスを天井部近傍の一部のみに吊り下げて設け、下方側にはリブ板ガラスを設けないような構造のものが考えられている。
【0007】
この横方向に一列に並設した面板ガラスの各目地部分の上部に直交するように、リブ板ガラスを吊下によって支持して設ける場合には、リブ板ガラスの上端辺には複数個の吊下げ用の穿孔部を設け、該穿孔部を吊下金具等によって吊り下げる構造が一般的である。(図6(a)参照)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図6(a)に示すように、横方向に並設した複数枚の面板ガラスのそれぞれを吊下または自立させることによって支持し、該面板ガラス間の目地部に直交するように設けた前記リブ板ガラスの上端に設けた穿孔部を吊下金具によって吊り下げる構造において、図6(b)に示すように、面板ガラスの面外方向より風圧等の荷重が加わると、面板ガラスは該風圧荷重によって変形するが、面板ガラスの目地部分に交差するように設けたリブ板ガラスは、風圧荷重を受け止めようとする。
【0009】
このような該リブ板ガラスは、その上端辺に設けた2個の穿孔部を吊下金具によって支持固定されているので、面板ガラスの面外方向からの正の風圧荷重によってリブ板ガラスの下端側が室内側に回動しようとするモーメントが働き、面板ガラスに近い側の穿孔部は下方側に、面板ガラスから遠い側の穿孔部は上方側に移動しようとする力が働くが、リブ板ガラスはその2つの穿孔部を吊下金具で支持され、上部構造躯体に固定されて動くことができないので、該穿孔部にはモーメントによる力が集中して無理な力が加わり、破損する恐れが高いという問題点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、強化ドアの上部のランマ部や面板ガラスの上部に設けるリブ板ガラスの支持構造において、面板ガラスの面外方向からの正負の風圧荷重をリブ板ガラスによって確実に受け止めると共に、該風圧荷重を受けてもリブ板ガラスを吊下支持する穿孔部の負担を軽減させて破損することがないようにすることを目的とするものである。
【0011】
すなわち、本発明は、強化ドア等の上部のランマ部や面板ガラスの上部位置に面板ガラスと直交して設けるリブ板ガラスの支持構造において、リブ板ガラスの重心線の上方延長線上にリブ板ガラスの吊下支持用の穿孔部を1つ設け、該穿孔部を躯体の懸架部材から吊下金具によって吊下支持すると共に、リブ板ガラスの両側縦端面の上端部にそれぞれセッティングブロックを係止させ、該セッティングブロックによって面板ガラスの面外方向の正負の荷重を吸収させることを特徴とするリブ板ガラスの支持構造である。
【0012】
また、前記面板ガラスの突き合わせ縦辺同士、およびリブ板ガラスを係止する縦端面にシーリング材を充填して接着した上述のリブ板ガラスの支持構造である。
【0013】
あるいはまた、本発明は、前記面板ガラスとリブ板ガラスとを連結する支持金具を、リブ板ガラスの面板ガラスに当接する側の下端隅部に設けたことを特徴とする上述のリブ板ガラスの支持構造である。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、リブ板ガラス1を設けたガラススクリーン構造において、並設した複数枚の面板ガラス2、2、・・同士の隣接する突き合わせ縦縁に直交するように立姿勢でリブ板ガラス1を設けた。
【0015】
該リブ板ガラス1は、強化ドアの上部のランマ部や面板ガラス2の上部に設けるもので、天井部近傍の一部のみに設けて、下方側にはリブ板ガラス1を設けないようにした構造のものである。
【0016】
図4に示すように、該リブ板ガラス1の重心線の上方延長線上端部近傍にはリブ板ガラス1の荷重を支える吊下支持用の穿孔部1aを1つだけ設け、リブ板ガラス1の該穿孔部1aの両面にはポリテトラフルオルエチレン等の摩擦係数の少ないシート材15を介して板状材11を配設し、該穿孔部1a内には円筒部材12を内接させて、板状材11の両外面側から円筒部材12内に挿通したボルト13とナット14の螺合によって穿孔部1aに吊り金具10を取り付け、該吊り金具10を上部構造躯体によって吊下げ支持するようにしたので、リブ板ガラス1は該穿孔部1aを支点として振り子状に回動可能である。
【0017】
また、図2に示すように、面板ガラス2、2同士、およびリブ板ガラス1との突き合わせ部分には高モジュラスな構造用シーリング材3を充填させて接着させた。
【0018】
さらに、同じく図2に示すように、リブ板ガラス1の2つの縦端面の上端部には、それぞれ硬質ゴムからなるセッティングブロック4を係止させ、面板ガラス2側とは反対側に位置するセッティングブロック4を係止金具6で挟持して固定するようにしているが、面板ガラス2とリブ板ガラス1の端面間の上端側には、構造用シーリング材3に代えて硬質ゴムからなるセッティングブロック4を係止させるようにしている。
【0019】
図3に示すように、前記リブ板ガラス1の上部側端面と係止金具6間で、セッティングブロック4の下部位置にはスポンジ状のバックアップ材5を介して、天井パネル板位置までシーリング材3’を注入充填した。
【0020】
次いで、本発明の作用について説明する。
【0021】
面板ガラス2の面外方向より風圧等による正の風圧荷重が加わると、図5(a)の状態から、図5(b)に示すように、面板ガラス2は風圧荷重によって室内側に向かって反るように変形しようとするが、面板ガラス2の上部側の目地部分に交差するように設けたリブ板ガラス1はその重心線上の上方延長線上に設けた1つの穿孔部1aを支点として回動可能であるので、リブ板ガラス1は面板ガラス2の変形に追従するように傾こうとする。
【0022】
リブ板ガラス1の2つの縦端辺の上端部にはそれぞれセッティングブロック4が設けられ、リブ板ガラス1が回動によって下辺側が室内側に移動して傾くと、室内側のセッティングブロック4は圧縮変形によってその力を吸収し、風圧荷重による力を受け止めることができる。
【0023】
面板ガラス2の面外方向にかかる風圧荷重等の力が解除されると、リブ板ガラス1はその自重による復元力と、リブ板ガラス1の端部に設けた弾性材であるセッティングブロック4の復元力によって、図5(a)の状態に戻る。
【0024】
面板ガラス2の面外方向に、負の風圧荷重が加わる場合においても、面板ガラス2が室外側に向けて反るように変形しようとするが、構造用シーリング材3で接着されているリブ板ガラス1も前記穿孔部1aを中心として回動するので、リブ板ガラス1が面板ガラス2の変形に合わせて追従する。
【0025】
面板ガラス2の面外方向にかかる負の風圧荷重等の力が解除されると、リブ板ガラス1はその自重による復元力と、リブ板ガラス1の端部に設けた弾性材であるセッティングブロック4の復元力によって、図5(a)の状態に戻る。
【0026】
このように、面板ガラス2の面外方向の正と負の風圧荷重によって面板ガラス2が変形しようとした場合、リブ板ガラス1が回動可能であり、面板ガラス2の変形に追従してリブ板ガラス1が回動するため、リブ板ガラス1を吊下支持する穿孔部に無理な力がかかることもない。
【0027】
尚、リブ板ガラス1の穿孔部1aを支持する吊り金具10のシート材15、15はポリテトラフルオルエチレン等の摩擦係数の小さいシート材15を用いたので、リブ板ガラス1の回動が容易である。
【0028】
以上好適な実施の形態について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の応用が考えられるものである。
【0029】
リブ板ガラス1と面板ガラス2間に充填する弾性の構造用シーリング材3としては、高モジュラスな弾性シーリング材としてシリコーン系シーリング材や酢酸型シリコーン系シーリング材を使用する。
【0030】
セッティングブロック4としては硬度が90度程度の硬質ゴム等を使用する。
【0031】
面板ガラス2、リブ板ガラス1としては生板ガラス、半強化ガラス、強化ガラス板、あるいは前記ガラス板を組み合わせPVB、EVAで接着あるいは樹脂を注入した合わせガラス板、あるいは複層ガラス板であっても良いし、もしくは前記ガラス板に飛散防止膜を貼着したものでも良い。
【0032】
さらに、前記ガラス板として装飾模様、パターン等をプリント、塗装、またはコーティングしたガラス板であっても良い。
【0033】
あるいはまた、本発明のリブ板ガラスの支持構造において、面板ガラス2とリブ板ガラス1とを構造用シーリング材3によって接着固定するようにしたが、必要に応じて、面板ガラス2とリブ板ガラス1の面板ガラス2寄りの下端隅部を金具等を用いて該金具を面板ガラス板2またはリブ板ガラス1に設けた穿孔部と螺合し連結固定させるようにしても良い。
【0034】
また、該金具を面板ガラス2に孔明け無しで固定する場合には、前記面板ガラス2の突き合わせ縦辺目地部の両面よりゴムパッキン等を介して挟持螺合させる挟持金具等を用い、該金具とリブ板ガラス下端隅部を固定する金具と連結するようにすれば良い。
【0035】
【発明の効果】
リブ板ガラスの荷重を、リブ板ガラスの重心線上の上端に設けた穿孔部1点で支持し僅かながらも回動可能にしたので、面板ガラスへの面外方向からの正負の風圧荷重に対してバランスを保ちながら、リブ板ガラスを追従させることができるので、リブ板ガラスの吊下用孔にはリブ板ガラスの荷重のみが掛かるだけで、風圧荷重等による無理な力が掛からず、リブ板ガラスの破損が大幅減となる。
【0036】
また、面板ガラスが受ける面外方向の荷重をリブ板ガラスの両縦端面の上端部に設けた弾性ゴム等のセッティングブロックによって吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明する支持構造の斜視図。
【図2】本発明の実施例を説明する支持構造の側面図。
【図3】図2の要部を説明する拡大図。
【図4】穿孔部と吊り金具を説明する断面図。
【図5】(a)、(b)は、各々本発明の支持構造における風圧荷重が無い状態とある状態を説明する図。
【図6】(a)、(b)は、各々従来の支持構造における風圧荷重が無い状態とある状態を説明する図。
【符号の説明】
1 リブ板ガラス
1a 穿孔部
2 面板ガラス
3 シーリング材
4 セッティングブロック
5 バックアップ材
6 係止金具
10 吊り金具
11 板状材
12 筒状材
13 ボルト
14 ナット
15 シート材
Claims (3)
- 強化ドア等の上部のランマ部や面板ガラスの上部位置に面板ガラスと直交して設けるリブ板ガラスの支持構造において、リブ板ガラスの重心線の上方延長線上にリブ板ガラスの吊下支持用の穿孔部を1つ設け、該穿孔部を躯体の懸架部材から吊下金具によって吊下支持すると共に、リブ板ガラスの両側縦端面の上端部にそれぞれセッティングブロックを係止させ、該セッティングブロックによって面板ガラスの面外方向の正負の荷重を吸収させることを特徴とするリブ板ガラスの支持構造。
- 前記面板ガラスの突き合わせ縦辺同士、およびリブ板ガラスを係止する縦端面にシーリング材を充填して接着した請求項1記載のリブ板ガラスの支持構造。
- 前記面板ガラスとリブ板ガラスとを連結する支持金具を、リブ板ガラスの面板ガラスに当接する側の下端隅部に設けたことを特徴とする請求項1または2記載のリブ板ガラスの支持構造。
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