JP3599758B2 - シクロヘキシルヒドロペルオキシドの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、シクロヘキサンを、130〜200℃の間の温度で、4〜50バールの間の圧力で、0.05〜14時間で、触媒の不在で、酸素含有ガスを用いて、シクロヘキサン中の主にシクロヘキシルヒドロペルオキシド0.5〜8重量%、およびシクロヘキサノールおよびシクロヘキサノン0.1〜4重量%を含有する混合物に変換し、場合により、この混合物を反応後に部分的に膨張させることによりシクロヘキシルヒドロペルオキシドを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような方法は欧州特許出願公開第004105号明細書から公知である。シクロヘキシルヒドロペルオキシドは、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンの製造のために使用される。このため、シクロヘキシルヒドロペルオキシドは、金属触媒の影響下で別々の反応工程中で分解される。シクロヘキサンを触媒の不在で主にシクロヘキシルヒドロペルオキシドへ酸化させ、および引き続き別々の反応工程でシクロヘキシルヒドロペルオキシドを分解することによるシクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンを製造することは、非触媒シクロヘキサン酸化と呼ばれる。これは本質的に(金属)触媒が酸化の間に存在しない。
【0003】
触媒シクロヘキサン酸化において(コバルトおよび/またはクロム化合物が通常使用される)、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサンは生成される主生成物であり、その他は少量のシクロヘキシルヒドロペルオキシドが生じ、多量のシクロヘキシルヒドロペルオキシドはすでに酸化の間に分解されてしまう。一般に、非触媒酸化の生成物は、シクロヘキサノール+シクロヘキサノンの重量%に少なくとも比較可能なシクロヘキシルヒドロペルオキシドの重量%を含有する。しばしば、シクロヘキシルヒドロペルオキシドの量は、反応後の混合物中で、シクロヘキサノール+シクロヘキサノンの量の2倍程度で存在する。これに対して、触媒酸化は、シクロヘキサノール+シクロヘキサノンの重量%に比較して50%よりも少ないシクロヘキシルヒドロペルオキシドを含有する混合物が得られる。これは、しばしばシクロヘキサノール+シクロヘキサノンの重量%と比較して40%よりも少ないペルオキシドである。
【0004】
触媒酸化の利点は、酸化反応を容易に行うことができかつ簡単に制御できることである。しかし、この触媒酸化の欠点は比較的多くの副生成物、たとえばアルキルカルボン酸が生じてしまうことである。シクロヘキサン酸化における低い転化率(通常、6%より低く、2%より高い)を考慮すると、これは原料の大部分が失われてしまうため主要な欠点である。それにもかかわらず、工業的方法のはるかに大多数は触媒酸化を用いている。
【0005】
非触媒シクロヘキサン酸化においては、少量の副生成物が得られる。しかし、この方法は、酸化反応を開始させ、その進行を維持するのが著しく困難であり、その結果、長い反応時間および/または高い温度が許容できる転化率のために必要であるという欠点を有し、このために、一部の利点が失われ、それにより副生成物が生成してしまう。
【0006】
【発明の構成】
本発明は前記の課題の解決手段を提供することであり、これは1〜6個の炭素原子を有する線状または環式アルキル鎖を有する酸化生成物0.1〜3重量%を、酸化反応の開始時点でシクロヘキサン中に存在させることを特徴とする。
【0007】
英国特許第1151287号明細書は、シクロヘキサンを酸化生成物の存在下に酸化させる方法が記載されている。しかし、英国特許第1151287号明細書は、120℃でのシクロヘキサンの酸化を記載しており、挙げられた酸化生成物はシクロヘキサンと同じ炭素数を有する生成物である。さらに、シクロヘキサンの連続的酸化は、1.1〜1.3%のシクロヘキシルヒドロペルオキシドの存在で起るが、酸化の開始時点でどれくらいの量のシクロヘキシルヒドロペルオキシドが存在しているかは示されていない。本発明により、酸化の開始は、反応混合物に特別な酸化成分を添加することにより促進される。英国特許第1151287号明細書では、酸化成分のレベルを、酸化を開始した後に一定の範囲内に保持している。英国特許第1151287号明細書中のシクロヘキシルヒドロペルオキシドは、酸化の開始時点に反応混合物に供給するのではなく、シクロヘキシルヒドロペルオキシドをその場で生成させている。
【0008】
米国特許第349156号明細書中では、8〜16個の炭素原子を有するシクロアルカンを、シクロアルカノール、シクロアルカノンおよびシクロアルキルヒドロペルオキシドのような開始剤の存在で酸化させる方法が記載されている。しかし、米国特許第349156号明細書は、高い炭素数を有するシクロアルカンの酸化がシクロヘキサンとは異なった反応を示すことを開示している。
【0009】
Vasin et al.の文献(Khimicheskaya Promyshlennost, Vol. 20, No. 7, 3〜6頁、1988)および米国特許第5043481号明細書を考慮しても、シクロヘキサンの酸化反応にC6−酸化生成物を添加することが有利であることは意想外である。この Vasin et al.の文献は、酸化すべきシクロヘキサン中でのシクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンの濃度は、それらの存在が有効な生成物の収率の損失を引き起こすため、できる限り低く維持するべきであると開示している。米国特許第5043481号明細書は、酸化生成物を酸化帯域に戻すことがシクロヘキシルヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールに基づく分子に関する正味の選択性の明らかな損失を引き起こすことを開示している。このように、米国特許第5043481号明細書は、酸化のために供給されるC6−酸化生成物の量をできるだけ低く維持するべきであると開示している。さらに、米国特許第5043481号明細書およびそこで引用された文献は、多量の第3級アルコールを、酸化の促進の目的で、酸化すべきアルカンに添加することが望ましいと開示している。これは、たとえば生成第3級ブタノールを連続的に供給するという欠点を有している。
【0010】
米国特許第3109864号明細書(触媒酸化方法に関する)から、たとえば、再利用すべきシクロヘキサンを通常のように精製することを開示している。
【0011】
本発明は、再利用すべきシクロヘキサンを精製する必要がなく、第3級アルコールの生成も必要なく、一方で高い選択性および比較的速い速度で得られる酸化されたシクロヘキサンが生じる簡単な方法を提供する。
【0012】
線状または環式アルキル鎖を有する酸化生成物は、特に、アルコール、アルカナル、酸化アルケン、アルカノン、酸および/またはアルキルヒドロペルオキシドである。アルカノン、アルカノール、アルカナルおよび酸化アルケンを使用するのが有利である。適当な酸化生成物の例は、ギ酸、酢酸、エタノール、アセトアルデヒド、1−プロパノール、2−プロパノール、プロパナル、プロパノン、ブタナル、ブタノン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ペンタノン、ペンタナル、ペンタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、6−ヒドロキシヘキサノン、6−ヒドロキシヘキサナル、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキシルヒドロペルオキシド、酸化シクロヘキセンまたはこれらの混合物である。
【0013】
一般に、この酸化生成物の沸点はシクロヘキサノンのものよりも低い。
【0014】
酸化生成物の混合物、単に有効である混合物を使用するのが有利である。
【0015】
1〜6個の炭素原子を有する線状または環式アルコール、アルカナル、アルカノン、酸化アルケン、酸および/またはアルキルヒドロペルオキシドを、装置の始動の時点で純粋なシクロヘキサンに添加するのが有利である。シクロヘキサン中にこれらの成分がすでに存在しているシクロヘキサンを使用することもできる。本明細書において、以後「成分」という単語は、線状またはシクロアルキル鎖を有する酸化生成物を表わす集合名詞として使用する。
【0016】
0.2重量%より多く、特に0.25重量%より多くの酸化生成物を、酸化すべきシクロヘキサン中に存在させることが有利である。一般に、本発明の利点は酸化生成物の量が2重量%より下である場合に十分に達成されるが、この上限は重要でなない。しかし、酸化生成物の量が開始時点で高すぎる場合、最大の所望の転化率が急速に達成されるため、この工程効率は減少する。C6−成分の量は1重量%よりも少ないのが有利であり、C5−成分の量は1重量%よりも少ないのが有利である。
【0017】
酸化はバッチ式または連続的に実施することができる。実際に酸化は2個以上の一連の反応器部分中で連続的に実施され、その際、シクロヘキシルヒドロペルオキシド、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンの量は、酸化C6−成分の必要量が最後の反応器部分に達するまで、それぞれの反応器部分において増加する。本発明による酸化反応の開始は、最初の反応器部分または複数の最初の反応器部分中で行われる。最初の反応器部分中での酸化の環境は、バッチ式の酸化の開始に相当することができる。最後の反応器中での酸化の環境は、バッチ式の酸化の最後の時点での環境に相当することができる。
【0018】
酸化は一連に配列された反応器の系中でまたはコンパートメントを備えた管状反応器中で行われる。通常、酸素または酸素含有ガスがそれぞれの反応器または反応器部分に供給される。この酸化が最初の反応器(反応器部分)中で開始されることが極めて重要である、それというのも、さもなければ別々の反応器を離れた排気ガスは多すぎる酸素および炭化水素(たとえば蒸発したシクロヘキサン)を含有しているからである。このガス混合物は爆発を引き起こすことができる。本発明による酸化の実施の際に、その危険性は最小限にすることができる。
【0019】
一般に、この反応は自動的にまたは温度を制御することにより実施される。温度制御は通常ではガス流に対する反応熱の放出、中間冷却または当業者に公知の他の方法により行われる。遷移金属(シクロヘキシルヒドロペルオキシドの分解を促進する)が酸化すべき混合物に混入するのを妨げるために、反応器は不活性な内壁を選択するのが有利である。たとえば不動態化鋼、アルミニウム、タンタル、ガラスおよびエナメルの内壁を有する反応器を使用することができる。これは、壁領域と液体容量との割合が望ましくないような少ない生産能力にとって特に重要である。大きな能力については、壁の別々な不活性化はあまり厳しく必要とされない。反応にあまり主要な影響を与えない僅かな量の金属イオンが酸化混合物に混入した場合に、本発明の範囲内で、この反応は非触媒シクロヘキサン酸化と考えることは明らかである。非触媒シクロヘキサン酸化と比較して、一般にコバルトおよび/またはクロムを添加する触媒シクロヘキサン酸化は、シクロヘキサノール+シクロヘキサノンと比べて比較的少ない量のシクロヘキシルヒドロペルオキシドを有する反応混合物が得られる。
【0020】
本発明による方法の主要な点は、成分が酸化反応の開始時点ですでに存在していることである。連続的に行われる酸化において、これらの成分は、酸化の開始を行う最初の反応器部分に供給される。このことは必要ではないけれども、これらの成分をシクロヘキサンが(最初の)反応器に入る前にシクロヘキサンに添加するか、またはシクロヘキサンがすでにこれらの成分を含有しているのが有利である。これらの成分(場合により必要なシクロヘキサンの一部と混合して)について、別々のラインを通して(最初の)反応器中へ装入し、そこで純粋なシクロヘキサンと混合させることもできる。純粋なシクロヘキサンとは少なくとも0.05重量%より少ない線状または環式のアルキル鎖を有する酸化生成物を有するシクロヘキサンを指す。
【0021】
本発明による酸化の開始は2つの方法に限定することができる。第1は、酸化の開始は、0〜0.5重量%の間のC6−成分を、本発明により添加される酸化C6−成分とは別に形成させる場合に起こる。第2に、酸化の開始は、本発明により添加される酸化成分の量に関係なく、酸素およびシクロヘキサンが一定の温度(130〜200℃)で一定の滞留時間にわたり一緒に存在する場合に起こる。160℃のような比較的低い温度で酸化の開始は最初の20分間で起こる。190℃のような高い温度での開始は最初の2分間で起こる。アレニウスの法則を用いて、一定の温度で酸化の開始が起こる時間を容易に計算することができる。
【0022】
本発明による方法の第1の実施態様では、1〜5個の炭素原子を有する成分0.1〜3重量%を使用する。6より少ない炭素原子を有するこれらの成分は、これらが蒸発するシクロヘキサンと一緒に排出されるか、またはこれらはさらなる酸化により比較的急速にCO2に酸化し、その結果、反応後の混合物は比較的少量の障害成分を含有するために有利である。
【0023】
これらの成分を使用することは、それらが反応速度を著しく増大させるばかりか、これらの成分が酸化工程の選択性に関して悪影響を及ぼさないことが見出されたために、著しく有利である。
【0024】
本発明による方法の第2の実施態様では、0.1重量%より多くの1〜5個の炭素原子を有する成分の他に、0.1重量%より多くの6個の炭素原子を有する成分も使用される。これらは特にシクロヘキサノール、シクロヘキサノンおよびシクロヘキシルヒドロペルオキシドに関する。ヘキサナルおよびシクロヘキサンエポキシドも、著しく適当である。このC6−成分は、多量では目的生成物に対する選択性を減少させるため1重量%より少ない量で存在する。この態様は、シクロヘキサン酸化の間に1〜5個の炭素原子を有する成分の量が望ましい量よりも少なくなるため有利である。再利用されるかまたは場合により全ての損失量に対して生成することでシクロヘキサン中の工程固有のC6−成分を維持する場合、1〜5個の炭素原子を有する成分を獲得するかまたは生成する必要はない。
【0025】
実際に、特に、6個の炭素原子を有するものの他に、4〜5個の炭素原子を有する成分が著しく適当であると証明される。
【0026】
本発明による方法の第3の態様では、0.1〜3重量%のC6−成分が使用される。有利に、1重量%より少ないC6−成分が使用される。完全に純粋なシクロヘキサンを使用する場合が特に有利である。このC6−成分は、たとえば軽い成分流(特にシクロヘキサノン中のヘキサナルおよびシクロヘキセンオキシドからなる)から得ることができ、これはシクロヘキサノン精製工程で留去することができる。今までにこれらの生成物の燃焼はかなり常用されてきた。
【0027】
当業者にとって、このような態様を組み合せることも可能であり、その結果、酸化を実施する工程とは無関係に、1種以上の方法を同じにまたは独立して適用することもできる。
【0028】
特に、第2の実施態様は、有利に酸化の間に生成される排気ガスを凝縮し、場合により反応混合物の膨張により形成されるガス混合物と一緒に(ガス流と一緒に)これをさらに精製させずに非触媒シクロヘキサン酸化の開始に供給することにより行われる。これは、所望の量のC1〜C6成分を連続して再利用し、連続方法で作業する場合に、酸化反応を適正な進行を保証するために、線状または環式生成物を工程に添加する必要がないことを保証する。
【0029】
再利用ガス流の凝縮の際に放出される熱を、反応器に供給される新たなシクロヘキサンを加熱するために使用することはエネルギー的に有利である。これは熱交換機を用いるかまたは加熱すべきシクロヘキサン中にガス流を直接収容させることにより行うことができる。
【0030】
酸素含有ガスとして、酸素自体、空気、酸素の豊富なまたは乏しいもの、または窒素または他の不活性ガスと混合した酸素を選択することができる。空気が有利であるが、この空気は、爆発の危険性を回避するために特別な不活性ガスと混合されていてもよい。爆発の危険性を回避するために、通常、排気ガスの酸素濃度が爆発性の限界を下回って残留する程度の量の酸素含有ガスを反応器に供給する。原則として、酸素は(純粋な酸素として計算して)、シクロヘキサン1lあたり0.1〜50l(NTP)の間の量で供給される。この量は反応速度に依存し、有利に、酸素はわずかに過剰で存在するが、これは重要ではなく、酸素の量は原則として限定要因ではない。
【0031】
通常、酸化反応器から出た反応混合物は、シクロヘキシルヒドロペルオキシドが分解する前に冷却するのが望ましい。原則として、この反応混合物は少なくとも10℃、有利には少なくとも30℃冷却される。この反応混合物は、膨張により冷却するのが有利であるが、冷却は熱交換機を用いて行うこともできる。膨張を行う場合には、シクロヘキサンの一部が(いくらかのC5〜C6成分と共に)蒸発し、これは酸化にフィードバックするのが有利である。膨張のために、分解すべきシクロヘキシルヒドロペルオキシドの同時の濃縮が行われる。これは、分解工程をより有効に行うことができ、少ない分解触媒(以後参照)が必要となることが有利である。
【0032】
シクロヘキシルヒドロペルオキシド分解は、冷却の後に、たとえばコバルトまたはクロムのような遷移金属触媒の影響下で、有利に欧州特許出願公開第004105号または同第092867号明細書に記載されたように実施する。
【0033】
一般に、分解温度は20〜150℃、有利に50〜130℃である。この工程での圧力は重要ではないが、通常1〜30バールである。
【0034】
有利に4〜50%の濃度でのシクロヘキシルヒドロペルオキシドは、酸化剤として相応するアルケンからのアルカンオキシドの存在で著しく有利に適用することができる。
【0035】
【実施例】
本発明を次に制限のない例に基づき詳説する。
【0036】
例
比較例A
還流冷却器を備えた5lバッチ反応器に、純粋なシクロヘキサン(99.9+%、HPLC等級)を装填した。温度を165℃にセットした。反応器からの蒸気を還流冷却器中で完全に凝縮させた。空気を反応器に送風し、25分後にバッチ試験を停止した。引き続き、この液体成分を分析した。シクロヘキサンの他に、これはシクロヘキシルヒドロペルオキシド0.26モル%だけ、シクロヘキサノール0.02モル%およびシクロヘキサノン0.01モル%であった。酸およびC3〜C5成分は痕跡量で観測されたにすぎなかった。
【0037】
例1
還流冷却器を備えた5lバッチ反応器に、シクロヘキサンを装填した。全体で、シクロヘキサンはシクロヘキシルヒドロペルオキシド、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノン0.2モル%を含有している。サーモスタット制御の浴を用いて、反応温度を165℃まで上昇させ、この水準で維持した。空気を反応器に送風させた。反応器からの蒸気を還流冷却器中で完全に凝縮させた。25分後に空気供給を遮断し、反応器を冷却した。この液体はシクロヘキシルヒドロペルオキシド1.89モル%、シクロヘキサノン0.22モル%、シクロヘキサノール0.20モル%、酸0.18%および3〜5個の炭素原子を有する成分0.08モル%を含有していた。この実験は、この量の6個の炭素原子を有する酸化生成物が著しく促進された反応効果を有することを示す。
【0038】
例2
例1に記載された反応器に、シクロヘキサノール、シクロヘキサノンおよびシクロヘキシルヒドロペルオキシド0.2モル%ならびにC4およびC5成分(ブタノール、ペンタノン、ペンタナルおよびペンタノール)0.25モル%を含有するシクロヘキサンを装填した。この温度を165℃にセットした。空気を25分間送風した後、この反応を停止させた。この液体を分析し、これはシクロヘキシルヒドロペルオキシド2.97モル%、シクロヘキサノン0.54モル%、シクロヘキサノール0.43モル%、酸0.41モル%およびC3〜C5成分0.29モル%を含有していたことが判明した。この実験は、C4/C5成分の添加が反応速度を著しく増大させたことを示す。
【0039】
例3
例2の実験を160℃で繰り返した。25分後にこの反応を停止した。この液体の組成は、シクロヘキシルヒドロペルオキシド2.03モル%、シクロヘキサノン0.21モル%、シクロヘキサノール0.19モル%、酸0.13モル%およびC3〜C5成分0.26モル%であった。この実験は、例1と同様の転化で、5℃だけ低い反応温度を用いることで、より良い選択性(酸0.28モル%の代わりに0.13モル%)が達成されたことを示す。
【0040】
例4
反応器に、シクロヘキサノール、シクロヘキサノンおよびシクロヘキシルヒドロペルオキシド0.3モル%およびC4〜C5成分0.25モル%を含有するシクロヘキサンを装填した。この反応温度を160℃に上昇させ、空気を送風した。25分後に反応を停止させた。この液体を分析し、次の成分が得られた:シクロヘキシルヒドロペルオキシド、2.05モル%、シクロヘキサノール0.23モル%、シクロヘキサノン0.27モル%、酸0.15モル%およびC3〜C5成分0.31モル%。この実験は、C4〜C5成分の添加によって、著量のC6成分が、例2と比較したと同様に、全体的な選択性に関して不利な影響を有していないことが示された。
【0041】
例5
一連の4個の反応器のカスケードの最初の反応器に、シクロヘキサン141.6kg/hrを装填した。シクロヘキサン流は、シクロヘキサンの他にシクロヘキシルヒドロペルオキシド0.12重量%、シクロヘキサノール0.32重量%、シクロヘキサノン0.19重量%およびC1〜C5成分0.34重量%を含有していた。この反応を9.7バールの圧力で169〜170℃の温度で連続的に運転した。反応器の上部から排出される流量は、窒素の他に、少量のC1〜C6成分を有するシクロヘキサン蒸気54kg/hrが排出された。この酸化生成物は主にブタノール、2−ペンタノン、ペンタノール、ペンタナルおよびシクロペンタノール、つまり主にC4〜C5成分、および主にC6成分としてヘキサナルおよびエポキシシクロヘキサンからなる。この蒸気は冷たいシクロヘキサン87.6kg/hrに収容されこの混合物は最初の反応器についての供給材料として使用される。この方法での再利用により、酸化すべきシクロヘキサン中の酸化生成物の量はおおざっぱに一定に保持するとができ、この量は一定のスムーズな連続的反応を行うような量である。反応器のそれぞれについて、空気1.6kg/hrを供給した。この反応および特に滞留時間は、2%よりわずかに多くのシクロヘキシルヒドロペルオキシドが排出される反応混合物中させることにより(シクロヘキサン供給流の調節により)制御することができる。この条件下で、滞留時間は約0.7時間であり、第4の酸化反応器で保たれる流量は88.6kg/hrである。この流量はシクロヘキシルヒドロペルオキシド2.2重量%、シクロヘキサノール1.6重量%、シクロヘキサノン0.76重量%、酸0.4重量%およびC3〜C5成分0.27重量%を含有している。目的生成物(シクロヘキシルヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノール)に関する効率は87重量%であった。膨張により(主にシクロヘキサンが蒸発)、反応混合物は110℃まで冷却された。シクロヘキシルヒドロペルオキシドの混合物中の濃度は冷却後に3.1重量%であった。
【0042】
例6
例5に記載したような構成の第1の反応器に、シクロヘキサン181kg/hrを装填した。この流量の組成は、シクロヘキシルヒドロペルオキシド0.12重量%、シクロヘキサノール0.27重量%、シクロヘキサノン0.16重量%およびC1〜C5成分0.63重量%であった。この酸化反応器は例5と同様に9.7バールおよび169〜179℃で作業した。反応器からの上部流量は、窒素の他に、少量のC1〜C6成分を含んだシクロヘキサン蒸気66.5kg/hrからなる。この蒸気は冷たいシクロヘキサン114.5kg/hrに収容され、この混合物は第1の反応器についての供給材料として用いられた。それぞれの反応器について、空気1.8kg/hrが供給された。この反応および特に滞留時間は(シクロヘキサン供給流の調製により)、2%よりわずかに多いシクロヘキシルヒドロペルオキシドを排出される反応混合物中に存在させることにより調節される。この条件下で、滞留時間は0.55時間であり、この流量は、シクロヘキシルヒドロペルオキシド2.3重量%、シクロヘキサノール1.3重量%、シクロヘキサノン0.6重量%、酸0.31重量%およびC3〜C5成分0.28重量%を含有していた。目的生成物(シクロヘキシルヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノール)に関する効率は88重量%であった。
【0043】
この例は、C3〜C5成分の量を0.3から0.6重量%に増加させると、反応速度が明らかに上昇し、目的生成物に対する選択性は同様にいくらか高められたことが示された。
【0044】
この例においても同様に、スムーズで一定の連続的な非触媒シクロヘキサン酸化が行うことができることが判明した。
【0045】
例7
例6と同様の方法で、純粋なシクロヘキサン90kg/hr、反応器からの蒸気66.5kg/hrおよび排出された反応混合物の膨張の際に得られた蒸気24.5kg(これは180℃から110℃への混合物の冷却で生じた)を含有するシクロヘキサン181kgを供給した。第1の反応器に供給されるシクロヘキサンの組成は:シクロヘキシルヒドロペルオキシド0.19重量%、シクロヘキサノール0.19重量%、シクロヘキサノール0.35重量%、シクロヘキサノン0.21重量%およびC3〜C5成分0.72重量%である。第4の反応器で保持される流量は115kg/hrであった。この流量はシクロヘキシルヒドロペルオキシド2.4重量%、シクロヘキサノール1.5重量%、シクロヘキサノン0.8重量%、酸0.42重量%およびC3〜C5成分0.30重量%を含有した。
【0046】
この実験は、この工程からの再利用流が、C3〜C5成分をシクロヘキサンに供給するために著しく適当であることを示した。
【0047】
例8
例6で得られたシクロヘキシルヒドロペルオキシド含有流を、欧州特許出願公開第928867号明細書の例Iに記載されたようなペルオキシド分解工程に供給した。主にシクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンからなる生じた混合物を蒸留により分離した。第1のカラムに置いて、シクロヘキサンよりも軽い成分は分離される。これはヘキサナル、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、エポキシシクロヘキサンおよびいくらかのシクロヘキサノンからなる。
【0048】
例3と同様の方法で、シクロヘキサンを空気酸化させ、前記した第1のカラムからの混合物1.0重量%を純粋なシクロヘキサンに添加した(その結果、シクロヘキサンはC5成分0.3重量%およびC6成分0.6重量%を含有する)。25分間の酸化の後に得られた液体の組成は、シクロヘキシルヒドロペルオキシド2.6重量%、シクロヘキサノール0.47重量%、シクロヘキサノン0.74重量%、酸0.41重量%およびC3〜C5成分0.62モル%である。
【0049】
この例は、酸化生成物が形成されるシクロヘキサンおよびシクロヘキサノールの製造方法において、本発明による方法において著しく有利に使用することができる多くの特質があることを示した。
Claims (8)
- シクロヘキサンを、130〜200℃の間の温度で、4〜50バールの間の圧力で、0.05〜14時間で、触媒の不在で、酸素含有ガスを用いて、シクロヘキサン中の主にシクロヘキシルヒドロペルオキシド0.5〜8重量%、およびシクロヘキサノールおよびシクロヘキサノン0.1〜4重量%を含有する混合物に変換することによりシクロヘキシルヒドロペルオキシドを製造する方法において、酸化生成物0.1〜3重量%を酸化反応の開始時にシクロヘキサン中に存在させ、かつ酸化生成物としてシクロヘキサノール、シクロヘキサノン、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキシルヒドロペルオキシド、酸化シクロヘキセンまたはこれらの混合物を使用することを特徴とするシクロヘキシルヒドロペルオキシドの製造方法。
- 酸化を2個以上の一連の反応器部分中で連続的に実施し、その際、酸化反応の開始は最初の反応器部分中で行われ、シクロヘキシルヒドロペルオキシド、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンの量はそれぞれの反応器部分において増加する請求項1記載の方法。
- 酸化生成物を、酸化の開始を行った反応器部分に供給する請求項2記載の方法。
- 酸化生成物0.25重量%より多くを酸化すべきシクロヘキサン中に存在させる請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- 反応後の混合物が、重量%において、シクロヘキサノール+シクロヘキサノンよりも多くのシクロヘキシルヒドロペルオキシドを含有する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- 酸化生成物0.1〜3重量%をシクロヘキサンに添加し、その際酸化生成物としてシクロヘキサノール、シクロヘキサノン、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキシルヒドロペルオキシド、酸化シクロヘキセンまたはこれらの混合物を使用し、引き続き、このシクロヘキサン混合物に酸素含有ガスを通し、この混合物を130℃〜200℃の間の温度および4〜50バールの圧力に保持する非触媒シクロヘキサン酸化方法を開始させる方法。
- シクロヘキサンを、130〜200℃の間の温度で、4〜50バールの間の圧力で、0.05〜14時間で、触媒の不在で、酸素含有ガスを用いて、シクロヘキサン中の主にシクロヘキシルヒドロペルオキシド0.5〜8重量%およびシクロヘキサノールおよびシクロヘキサノン0.1〜4重量%を含有する混合物に変換することによりシクロヘキシルヒドロペルオキシドを製造する方法において、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキシルヒドロペルオキシド、酸化シクロヘキセンまたはこれらの混合物0.1〜1重量%を酸化反応の開始時にシクロヘキサン中に存在させることを特徴とするシクロヘキシルヒドロペルオキシドの製造方法。
- 酸化反応を、2個以上の一連の反応器部分中で実施し、その際、酸化反応の開始は最初の反応器部分中で行われ、シクロヘキシルヒドロペルオキシド、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンの量はそれぞれの反応器部分において増加する請求項7記載の方法。
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