JP2002284736A - 無水酢酸の製造法 - Google Patents

無水酢酸の製造法

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JP2002284736A
JP2002284736A JP2001085669A JP2001085669A JP2002284736A JP 2002284736 A JP2002284736 A JP 2002284736A JP 2001085669 A JP2001085669 A JP 2001085669A JP 2001085669 A JP2001085669 A JP 2001085669A JP 2002284736 A JP2002284736 A JP 2002284736A
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Mitsuru Yamashita
充 山下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経済的で、高品質の無水酢酸を安
定して製造し得る無水酢酸の製造法を提供する。 【解決手段】 粗製無水酢酸を蒸留塔7で蒸留し
て精製無水酢酸を製造する際、蒸留塔7から留出する低
沸成分をオゾン処理塔8でオゾン処理して蒸留塔7へと
リサイクルさせる。低沸成分中の無水酢酸は、粗製無水
酢酸製造設備1まで戻されずにリサイクルされるので、
無水酢酸が再びケテンに戻ること等が抑えられ、収率の
低下やエネルギー損失が抑制されて経済性が向上する。
また、低沸留出成分中に混入している不飽和化合物がオ
ゾン処理によって酸化消失し、色相に悪影響を及ぼすこ
の不飽和化合物の濃度が蒸留塔7内で上昇することも抑
えられて、品質に優れた精製無水酢酸を安定して製造す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、酢酸を熱
分解してケテンを生成させ、このケテンを酢酸に吸収反
応せしめる方法(ケテン法)等によって製造される無水
酢酸の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無水酢酸は酢酸セルロースの原料、医
薬、農薬(アセフェート等)、染料、洗顔料、甘味料
(アルパルテーム等)、可塑剤(クエン酸トリブチル
等)、高分子分野(ポリオキシテトラメチレングリコー
ル、ポリアセタール、液晶ポリマー等)などに広く用い
られている。このような無水酢酸の各種製造法のうち、
上記したケテン法は、酢酸セルロース系の回収酢酸を再
使用するために広く用いられている。
【0003】この場合、酢酸セルロース製造工程から排
出される酢酸水溶液から濃縮回収された酢酸が原料酢酸
として使用され、この原料酢酸から、酢酸を例えば20
%程度含む粗製無水酢酸がケテン炉を通して製造され
る。次いで、この粗製無水酢酸を蒸留して低沸および高
沸化合物を除去し、99%以上に高純度化された精製無
水酢酸が製造されている。
【0004】上記のような蒸留処理では、無水酢酸より
も沸点の低い酢酸が低沸成分として蒸留塔の塔頂から留
出する。この低沸成分中には無水酢酸が20%程度含ま
れており、したがって従来は、この低沸留出成分を、ケ
テン炉と蒸留塔との間に設けられている粗製無水酢酸貯
留タンクに戻して、蒸留塔で再蒸留させるようなリサイ
クル処理が行われている。
【0005】なお、上記のように製造される精製無水酢
酸の品質は、例えばサンプル30mlに硫酸0.3ml
を加え、常温で10分間経過後の着色状態をAPHA値
で表現する硫酸着色試験(以下、硫着試験という)等に
よって評価されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のよう
に、蒸留塔からの低沸留出成分を粗製無水酢酸貯留タン
クに戻し直接蒸留塔にリサイクルさせて無水酢酸を製造
する従来の方法では、硫着試験結果の良好な高品質の無
水酢酸を安定して得難いという問題を生じている。
【0007】つまり、例えば前記したケテン法による無
水酢酸の製造において、酢酸セルロース製造工程から濃
縮回収される酢酸が原料酢酸として使用される場合、こ
の原料酢酸にはセルロース系から来る種々の不純物が含
まれる。これらは蒸留処理で精製無水酢酸から除かれる
が、このうち、特に色相の悪化を招来すると推定される
不飽和化合物が低沸成分中に多く混入し、これが、蒸留
塔から粗製無水酢酸貯留タンクに戻されてリサイクルさ
れるため、運転の継続に伴い、粗製無水酢酸貯留タンク
や蒸留塔内での不飽和化合物の濃度が次第に上昇する。
この結果、蒸留塔を通して得られる精製無水酢酸中の不
飽和化合物の濃度も次第に上昇し、これによって品質の
低下が生じていた。
【0008】なお、色相に悪影響を及ぼす不飽和化合物
の濃度上昇を抑えるために、例えば、蒸留塔からの低沸
留出成分の凝縮液、すなわち無水酢酸と酢酸との混合液
をケテン炉へと戻してリサイクルさせるようにすること
が考えられる。しかしながらこの場合には、酢酸の熱分
解を通して製造された無水酢酸が再びケテンに戻ること
になって、無水酢酸を製造するプロセスにおいて収率が
低下し、また、大きなエネルギー損失が生じてしまう。
【0009】本発明は上記した問題点に鑑みなされたも
のであって、その目的は、より経済的で、高品質の無水
酢酸を安定して製造し得る無水酢酸の製造法を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の無水酢酸
の製造法は、(1)酢酸を含む粗製無水酢酸を蒸留塔で
蒸留して精製無水酢酸を製造する無水酢酸の製造法であ
って、蒸留塔から留出する低沸成分をオゾン処理して蒸
留塔にリサイクルさせること、(2)無水酢酸の製造法
が、原料酢酸を熱分解させて生成するケテンを酢酸に吸
収させることにより粗製無水酢酸を得、この粗製無水酢
酸を精製蒸留塔で蒸留して精製無水酢酸を製造する無水
酢酸の製造法であること、(3)原料酢酸を熱分解させ
て生成するケテンを酢酸に吸収させることにより粗製無
水酢酸を得、この粗製無水酢酸を精製蒸留塔で蒸留して
精製無水酢酸を製造する無水酢酸の製造法であって、蒸
留塔から留出する低沸成分を、オゾン処理し、さらにオ
ゾン処理の前及び/又は後に再蒸留して精製蒸留塔にリ
サイクルさせること、(4)ケテン炉を通して原料酢酸
を熱分解させて生成するケテンを酢酸に吸収させること
により粗製無水酢酸を得、この粗製無水酢酸を精製蒸留
塔で蒸留して精製無水酢酸を製造する無水酢酸の製造法
であって、精製蒸留塔から留出する低沸成分を、さらに
酢酸を主成分とする低沸成分と、酢酸が除かれて濃縮さ
れた無水酢酸を主成分とする高沸成分とに分離する再蒸
留塔を設け、この再蒸留塔から留出する低沸成分を上記
ケテン炉に供給する一方、再蒸留塔からの高沸成分をオ
ゾン処理して精製蒸留塔にリサイクルさせることを特徴
としている。
【0011】このような製造法によれば、蒸留塔からの
低沸留出成分中の無水酢酸は、ケテン炉には送られずに
蒸留塔へとリサイクルされるので、この無水酢酸が再び
ケテンに戻ることが抑えられ、したがって、収率の低下
やエネルギー損失が抑制されて経済性が向上する。
【0012】本発明によれば、蒸留塔からの低沸留出成
分はオゾン処理されて蒸留塔へと送られるので、このと
きのオゾン処理により、低沸留出成分中に混入している
不飽和化合物は酸化されて消失する。したがって、蒸留
塔からの低沸留出成分のリサイクルが繰返されても、色
相に悪影響を及ぼす不飽和化合物の濃度が蒸留塔内で上
昇することが抑えられるので、品質に優れた精製無水酢
酸を安定して製造することができ、又、本発明によれ
ば、蒸留塔からの低沸留出成分のうち、再蒸留塔で分離
された高沸成分は、これをオゾン処理して蒸留塔へと送
られるので、このときのオゾン処理により、高沸成分中
に混入している不飽和化合物が酸化され消失する。した
がって、蒸留塔からの低沸留出成分のリサイクルが繰返
されても、色相に悪影響を及ぼす不飽和化合物の濃度が
蒸留塔内で上昇することが抑えられるので、品質に優れ
た精製無水酢酸を安定して製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照しつつ説明する。図1に本実施形態に係る無
水酢酸の製造設備構成を模式的に示している。同図にお
いて1は、前記したケテン法に従って粗製無水酢酸を製
造する粗製無水酢酸製造設備である。この設備1には、
蒸発器2、ケテン炉(熱分解炉)3、冷却塔4、ケテン
吸収塔5が順次設けられている。
【0014】例えば酢酸セルロース製造工程から排出さ
れる酢酸水溶液から酢酸が濃縮回収され、この酢酸が、
蒸発器2に原料酢酸として供給される。この蒸発器2で
原料酢酸が蒸発してケテン炉3に導入され、このケテン
炉3において、例えばリン酸トリエチル、ジアンモニウ
ムホスフェート等を触媒とし、温度700〜740℃、
圧力70〜1000mmHg程度の条件下で酢酸が熱分
解されて、ケテンが生成される。次いで、この分解ガス
は冷却塔4で10〜−10℃に冷却され、水および未反
応の酢酸が分離される。こうして得られたケテンを、ケ
テン吸収塔5で酢酸に吸収させて粗製無水酢酸が製造さ
れる。このような粗製無水酢酸は、例えば無水酢酸80
%、酢酸20%程度の混合液で、これが粗製無水酢酸貯
留タンク(以下、粗無酢タンクと略記する)6に送られ
る。
【0015】粗無酢タンク6の後段に蒸留塔7が設けら
れ、この蒸留塔7で粗無酢タンク6内の粗製無水酢酸を
蒸留することによって、純度99%以上の精製無水酢酸
が製造される。又、必要であれば蒸留塔7の後に脱高沸
塔を設けてもよい。
【0016】本発明法を実施するための設備は、上記の
蒸留塔7に、後述するオゾン処理塔8を付設して構成さ
れている。この場合、上記した蒸留塔7の形式に特に制
限はないが、一般的にはシーブトレイ、バブルキャップ
トレイ、バルブトレイ等の棚段塔、インタロックスサド
ル、ポールリング、スルザーパック等の充填塔のうちか
ら一つまたは二つ以上選択して用いることが可能であ
る。
【0017】棚段塔の場合は、トレイ数は20〜80個
程度、充填塔の場合はそれに相当する充填高さを有する
ものを使用するのが好ましい。粗製無水酢酸は、粗無酢
タンク6から蒸留塔7の中間部、望ましくは蒸留塔中央
部よりも上方から導入され、この原料導入段より下方、
望ましくは蒸留塔中央部よりも下部から、純度が99%
以上の精製無水酢酸が蒸気または液で回収される。
【0018】蒸留塔7の操作圧力についても特に制限は
ないが、圧力が高すぎる場合、塔内温度の上昇により望
ましくない反応が起こるおそれがあり、逆に圧力が低す
ぎる場合、塔頂から留出する低沸成分の凝縮に困難を伴
う。したがって、望ましい操作圧力は、塔頂において1
00mmHg〜常圧の範囲である。
【0019】塔頂蒸気の凝縮液の一部は還流液として塔
頂に戻されるが、回収液流量に対する還流液流量の比、
いわゆる還流比は原料液の組成、求められる製品品質等
により決定される。通常0.5〜100程度の範囲から
選択できる。
【0020】一方、蒸留塔7に直接還流されずにこの蒸
留塔7の系外に放出される凝縮液(以下、低沸留出液と
いう)は例えば無水酢酸50%、酢酸50%程度の混合
液であり、これがオゾン処理塔8に送られ、このオゾン
処理塔8内で、含有する不飽和化合物をオゾン含有ガス
により酸化消失させるオゾン処理が施されて、粗無酢タ
ンク6に戻される。
【0021】このとき用いるオゾン含有ガスにも特に制
限はない。工業的には、一般に空気あるいは酸素を原料
とし、無声放電によりオゾンを発生させる方式が用いら
れる。通常、空気原料の場合、オゾンの濃度は5〜25
g/Nmである。
【0022】オゾン処理塔8に供給するオゾンの割合
は、蒸留塔7からの低沸留出液中に含まれる不飽和化合
物量やオゾン自身の分解反応等を考慮し、反応を完全に
完結させるようにオゾンを仕込む。実用上はさらに気液
の接触効率等を考慮して実験により適宜決められるが、
通常、このときのオゾン使用率は50〜2500g−O
/Tであり、好ましくは200〜2000g−O
Tである。
【0023】オゾン処理塔8の形式は、オゾンと、蒸留
塔7からの低沸留出液との接触が良好に行えるのならば
特に制限はないが、実用上は気泡塔方式、攪拌槽方式、
充填塔方式が好ましい。また接触時間は、数十秒〜数十
分の範囲で適切な時間を設定すれば良い。反応温度は室
温付近が適当であり、好ましくは20〜40℃程度であ
る。温度が高すぎるとオゾン自身が分解し易くなるので
好ましくない。
【0024】このような処理条件で、オゾン処理塔8を
通してオゾン処理された低沸留出液は粗無酢タンク6に
送られ、したがって、粗製無水酢酸製造設備1を通して
粗無酢タンク6に新たに送り込まれる粗製無水酢酸と共
に蒸留塔7に送られて蒸留され、リサイクルされる。
【0025】以上のように本実施形態においては、蒸留
塔7からの低沸留出液に対し、これにオゾン処理を行っ
た後に蒸留塔7にリサイクルさせるようになっており、
したがって、低沸留出成分中の無水酢酸は、粗製無水酢
酸製造設備1には送られずに直接的に蒸留塔7へとリサ
イクルされるので、無水酢酸が再びケテンに戻ることが
抑えられ、したがって、収率の低下やエネルギー損失が
抑制されて経済性が向上する。
【0026】そして上記では、オゾン処理により、蒸留
塔7からの低沸留出液中に混入している不飽和化合物を
酸化消失させて蒸留塔7にリサイクルさせるので、この
ようなリサイクルを繰返しながら運転が継続されても、
色相に悪影響を及ぼす不飽和化合物の濃度上昇が蒸留塔
7内で生じることはなく、この結果、品質に優れた精製
無水酢酸を安定して製造することが可能となっている。
【0027】次に、本発明の他の実施形態について説明
する。図2に本実施形態に係る無水酢酸の製造設備構成
を模式的に示している。同図において11は、前記した
ケテン法に従って粗製無水酢酸を製造する粗製無水酢酸
製造設備である。この設備11には、蒸発器12、ケテ
ン炉(熱分解炉)13、冷却塔14、ケテン吸収塔15
が順次設けられている。
【0028】例えば酢酸セルロース製造工程から排出さ
れる酢酸水溶液から酢酸が濃縮回収され、この酢酸が、
蒸発器12に原料酢酸として供給される。この蒸発器1
2で原料酢酸が蒸発してケテン炉13に導入され、この
ケテン炉13において、例えばリン酸トリエチル、ジア
ンモニウムホスフェート等を触媒とし、温度700〜7
40℃、圧力70〜1000mmHg程度の条件下で酢
酸が熱分解されて、ケテンが生成される。次いで、この
分解ガスは冷却塔14で10〜−10℃に冷却され、水
および未反応の酢酸が分離される。こうして得られたケ
テンを、ケテン吸収塔15で酢酸に吸収させて粗製無水
酢酸が製造される。このような粗製無水酢酸は、例えば
無水酢酸80%、酢酸20%程度の混合液で、これが粗
製無水酢酸貯留タンク(以下、粗無酢タンクと略記す
る)16に送られる。
【0029】粗無酢タンク16の後段に蒸留塔17が設
けられ、この精製蒸留塔17で粗無酢タンク16内の粗
製無水酢酸を蒸留することによって、純度99%以上の
精製無水酢酸が製造される。又、必要であれば蒸留塔1
7の後に脱高沸塔を設けてもよい。
【0030】本発明法を実施するための設備は、上記し
た蒸留塔17に、後述する再蒸留塔18と、オゾン処理
塔19とを付設して構成されている。この場合、上記蒸
留塔17の形式に特に制限はないが、一般的にはシーブ
トレイ、バブルキャップトレイ、バルブトレイ等の棚段
塔、インタロックスサドル、ポールリング、スルザーパ
ック等の充填塔のうちから、一つまたは二つ以上選択し
て用いることが可能である。
【0031】棚段塔の場合は、トレイ数は20〜80個
程度、充填塔の場合はそれに相当する充填高さを有する
ものを使用するのが好ましい。粗製無水酢酸は、粗無酢
タンク16から蒸留塔17の中間部、望ましくは蒸留塔
中央部よりも上方から導入され、この原料導入段より下
方、望ましくは蒸留塔中央部よりも下部から、純度が9
9%以上の精製無水酢酸が蒸気または液で回収される。
【0032】蒸留塔17の操作圧力についても特に制限
はないが、圧力が高すぎる場合、塔内温度の上昇により
望ましくない反応が起こるおそれがあり、逆に圧力が低
すぎる場合、塔頂から留出する低沸成分の凝縮に困難を
伴う。したがって、望ましい操作圧力は、塔頂において
100mmHg〜常圧の範囲である。
【0033】塔頂蒸気の凝縮液の一部は還流液として塔
頂に戻されるが、回収液流量に対する還流液流量の比、
いわゆる還流比は原料液の組成、求められる製品品質等
により決定される。通常0.5〜100程度の範囲から
選択できる。
【0034】一方、蒸留塔17に直接還流されずにこの
蒸留塔17の系外に放出される凝縮液(以下、一次低沸
留出液という)は例えば無水酢酸50%、酢酸50%程
度の混合液である。これが再蒸留塔18に送られ、無水
酢酸と酢酸との分離処理が行われる。
【0035】この再蒸留塔18の形式や操作圧力等につ
いても上記とほぼ同様で、この再蒸留塔18の中間部に
上記した一次低沸留出液が導入され、塔頂から留出する
二次低沸成分がほぼ100%の酢酸からなるように温度
条件等が設定される。そして、この二次低沸成分、すな
わち酢酸は、粗製無水酢酸製造設備11に送られて、原
料酢酸と共に、蒸発器12・ケテン炉13・冷却塔14
・ケテン吸収塔15を通して粗製無水酢酸の製造に使用
される。
【0036】一方、再蒸留塔18の塔底から高沸成分が
抜き出されるが、この缶出液は例えば無水酢酸75%、
酢酸25%程度の混合液である。これはオゾン処理塔1
9に送られて、このオゾン処理塔19内で、含有する不
飽和化合物をオゾン含有ガスにより酸化消失させるオゾ
ン処理が施される。
【0037】このとき用いるオゾン含有ガスに特に制限
はないが、工業的には、一般に空気あるいは酸素を原料
とし、無声放電によりオゾンを発生させる方式が用いら
れる。通常、空気原料の場合、オゾンの濃度は5〜25
g/Nmである。
【0038】オゾン処理塔19に供給するオゾンの割合
は、蒸留塔18からの缶出液中に含まれる不飽和化合物
量やオゾン自身の分解反応等を考慮し、反応を完全に完
結させるようにオゾンを仕込む。実用上はさらに気液の
接触効率等を考慮して実験により適宜決められるが、通
常、このときのオゾン使用率は50〜2500g−O
/Tであり、好ましくは200〜2000g−O/T
である。
【0039】オゾン処理塔19の形式は、オゾンと上記
した缶出液との接触が良好に行えるのならば特に制限は
ないが、実用上は気泡塔方式、攪拌槽方式、充填塔方式
が好ましい。また接触時間は、数十秒〜数十分の範囲で
適切な時間を設定すれば良い。反応温度は室温付近が適
当であり、好ましくは20〜40℃程度である。温度が
高すぎるとオゾン自身が分解し易くなるので好ましくな
い。
【0040】このような処理条件で、オゾン処理塔19
を通してオゾン処理された前記缶出液は粗無酢タンク1
6に送られ、したがって、粗製無水酢酸製造設備11を
通して粗無酢タンク16に新たに送り込まれる粗製無水
酢酸と共に精製蒸留塔7に送られて蒸留され、リサイク
ルされる。
【0041】以上のように本実施形態においては、蒸留
塔17からの低沸留出液に対してこれを再蒸留し、酢酸
および無水酢酸の混合液から、無水酢酸を殆ど含まない
酢酸と、酢酸が除かれて濃縮された無水酢酸とに分離さ
れる。そして、酢酸は粗製無水酢酸を製造するための原
料酢酸として再利用する一方、濃縮された無水酢酸は粗
無酢タンク16に送られて精製蒸留される。これによっ
て、収率の低下やエネルギー損失が極力抑えられる。
【0042】つまり、仮に上記のような再蒸留を行うこ
となく、蒸留塔17からの低沸留出液をそのまま粗製無
水酢酸製造設備11に戻すようなプロセスでは、酢酸の
熱分解を通して製造された無水酢酸が再びケテンに戻る
ことになって、無水酢酸を製造するプロセスにおいて大
きな損失となる。そこで、上記のような再蒸留を行って
無水酢酸を分離し、分離された無水酢酸は粗無酢タンク
16に送るようなプロセスとすることで、一旦生成され
た無水酢酸が粗製無水酢酸製造設備11へと戻ることは
なく、これによって、収率の低下やエネルギー損失が抑
制されて経済性が向上する。
【0043】さらに上記では、蒸留塔17からの低沸留
出成分のうち、再蒸留塔18で分離された高沸成分は、
これをオゾン処理して粗無酢タンクを経て蒸留塔17へ
と送られるので、このときのオゾン処理により、高沸成
分中に混入している不飽和化合物は酸化され消失する。
したがって、蒸留塔17からの低沸留出成分のリサイク
ルが繰返されても、色相に悪影響を及ぼす不飽和化合物
の濃度が蒸留塔17内で上昇することも抑えられるの
で、品質に優れた精製無水酢酸を安定して製造すること
ができる。
【0044】また上記のようなプロセスにおいては、蒸
留塔17からの低沸留出成分中に混入している不飽和化
合物は、再蒸留塔18において分離された酢酸を主成分
とする低沸成分側により多い比率で混入するが、これ
は、粗製無水酢酸製造設備11におけるケテン炉13で
分解され、このケテン炉13からの排出ガスとして系外
に放出される。さらに上記のプロセスでは、前記したオ
ゾン処理で酸化されて生じたオゾン化中間体も、再蒸留
塔18からの低沸成分側に混入した状態になったとき
に、上記同様ケテン炉13で分解されて系外に排出され
る。この結果、粗無酢タンク16や蒸留塔17内にオゾ
ン化中間体が蓄積していくことも抑えられるので、この
ようなオゾン化中間体の含有率も小さな高品質の精製無
水酢酸を製造することが可能となっている。以上、蒸留
塔17からの低沸留出成分を蒸留した後にオゾン処理す
る方法を説明したが、蒸留塔17からの低沸留出成分を
オゾン処理した後に再蒸留してもよいし、オゾン処理の
前後両方に再蒸留塔を設けてもよい。
【0045】
【実施例】実施例1 前記した粗製無水酢酸製造設備1を通して得られる粗製
無水酢酸を、粗無酢タンク6から、30段のシーブトレ
イを有する蒸留塔7の上から10段目に3093g/H
rにて連続的に供給し、還流比2.5、塔頂圧力1気圧
にて運転を行った。精製された無水酢酸は上から27段
目より蒸気サイドカットで2010g/Hrの割合で連
続的に抜き取った。また、塔底より309g/Hrの割
合で高沸物を含む無水酢酸を連続的に抜き取った。
【0046】一方、蒸留塔7の塔頂から留出する低沸成
分の凝縮液(低沸留出液)を773g/Hrの割合でオ
ゾン処理塔8に供給し、オゾン処理を行って粗無酢タン
ク6へとリサイクルさせた。このときのオゾン処理塔8
として、外径5mm×高さ5mmのラシヒリングを装填
した充填塔を用い、この充填塔の上部から低沸留出液を
仕込み、空気を原料としてオゾン発生器によりオゾンを
発生させたオゾン化エアー(オゾンと空気の混合ガス)
を下部から導入した。このときのオゾン化エアー流量5
7Nm/Hr、オゾン濃度16g/Nm、オゾン使
用率1.2g/Kgである。また、このときの充填塔の
温度は30℃、圧力は常圧である。
【0047】このような運転状態を継続しながら、蒸留
塔7からの低沸留出液のリサイクル経路上でのオゾン処
理塔8でのオゾン処理後の液について硫着試験を行っ
た。その結果、APHA値は30でほぼこの状態が維持
されていた。又、精製無水酢酸を適宜採取し、色相変化
を観察したが数時間運転後も着色は見られなかった。
【0048】実施例2 前記した粗製無水酢酸製造設備11を通して得られる粗
製無水酢酸を、粗無酢タンク16から、30段のシーブ
トレイを有する蒸留塔17の上から10段目に3093
g/Hrにて連続的に供給し、還流比2.5、塔頂圧力
1気圧にて運転を行った。精製された無水酢酸は上から
27段目より蒸気サイドカットで2010g/Hrの割
合で連続的に抜き取った。また、塔底より309g/H
rの割合で高沸物を含む無水酢酸を連続的に抜き取っ
た。
【0049】一方、蒸留塔17の塔頂から留出する低沸
成分の凝縮液(低沸留出液)を773g/Hrの割合
で、30段のオルダショウ型の再蒸留塔18の下から3
段目に連続的に供給し、還流比5、塔頂圧力1気圧にて
運転を行った。塔頂からの留出凝縮液は、粗製無水酢酸
製造設備11の蒸発器2へと供給する一方、再蒸留塔1
8からの缶出液はオゾン処理塔19を通して粗無酢タン
ク6へとリサイクルさせた。このときの留出率は40%
であった。
【0050】オゾン処理塔19としては、外径5mm×
高さ5mmのラシヒリングを装填した充填塔を用い、こ
の充填塔の上部から上記の缶出液を463.8g/Hr
の割合にて仕込み、空気を原料としてオゾン発生器によ
りオゾンを発生させたオゾン化エアー(オゾンと空気の
混合ガス)を下部から導入した。このときのオゾン化エ
アー流量42.6NL/Hr、オゾン濃度21.5g/
Nm、オゾン使用率1.87kg−03/Tである。
また、このときの充填塔の温度は30℃、圧力は常圧で
ある。
【0051】このような運転状態を継続しながら、蒸留
塔17からの低沸留出液のリサイクル経路上でのオゾン
処理塔18でのオゾン処理後の液について硫着試験を行
った。その結果、APHA値は100でほぼこの状態が
維持されていた。又、精製無水酢酸を適宜採取し、色相
変化を観察したが数時間運転後も着色は見られなかっ
た。
【0052】比較例1 実施例1における無水酢酸の製造工程中、蒸留塔7から
の低沸留出液にオゾン処理を行わずに粗無酢タンク6に
直接戻してリサイクルさせた以外は、実施例1と同様に
して運転を継続した。このとき、蒸留塔7からの低沸留
出液のAPHA値は400以上であった。また、精製無
水酢酸の色相が次第に変化し、黄色に着色してきた。
【0053】以上、本発明における一実施形態および実
施例についての説明を行ったが、これらは本発明を限定
するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能
である。例えば上記では、ケテン法によって粗製無水酢
酸を製造する例を挙げて説明したが、例えば、酢酸メチ
ルやジメチルエーテルに一酸化炭素を反応せしめる方法
等のその他の方法によって得られる粗製無水酢酸を用い
て精製無水酢酸を製造する場合でも、本発明を適用する
ことが可能である。また、上記で示した具体数値等は例
示に過ぎず、適宜変更することが可能である。
【0054】
【発明の効果】以上のように、本発明の無水酢酸の製造
方法においては、蒸留塔からの低沸留出成分にオゾン処
理を施した後、蒸留塔へとリサイクルさせるようになっ
ているので、低沸留出成分中の無水酢酸が再びケテンに
戻ること等が抑えられて、収率の低下やエネルギー損失
が抑制され、経済性が向上する。しかも、上記のオゾン
処理により、低沸留出成分中に混入している不飽和化合
物が酸化され消失するので、蒸留塔からの低沸留出成分
のリサイクルが繰返されても、色相に悪影響を及ぼす不
飽和化合物の濃度上昇も抑えられて、品質に優れた精製
無水酢酸を安定して製造することができ、またさらに、
本発明の無水酢酸の製造法においては、精製蒸留塔から
の低沸留出成分をリサイクルさせるに際し、この低沸留
出成分中の無水酢酸は、ケテン炉には戻されずに精製蒸
留塔へと送られるので、この無水酢酸が再びケテンに戻
ることが抑えられ、したがって、収率の低下やエネルギ
ー損失が抑制されて経済性が向上する。しかも、精製蒸
留塔に送られる低沸留出成分は、これがオゾン処理さ
れ、これによって、混入している不飽和化合物を消失さ
せるようになっているので、色相に悪影響を及ぼす不飽
和化合物の濃度が精製蒸留塔内で上昇することも抑えら
れ、この結果、品質に優れた精製無水酢酸を安定して製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無水酢酸の製造設備の構成例を示す模
式図である。
【図2】本発明の無水酢酸の製造設備の他の構成例を示
す模式図である。
【符号の説明】
1 粗製無水酢酸製造設備 2 蒸発器 3 ケテン炉 4 冷却塔 5 ケテン吸収塔 6 粗無酢タンク 7 蒸留塔 8 オゾン処理塔 11 粗製無水酢酸製造設備 12 蒸発器 13 ケテン炉 14 冷却塔 15 ケテン吸収塔 16 粗無酢タンク 17 蒸留塔 18 再蒸留塔 19 オゾン処理塔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸を含む粗製無水酢酸を蒸留塔で蒸留
    して精製無水酢酸を製造する無水酢酸の製造法であっ
    て、 蒸留塔から留出する低沸成分をオゾン処理して上記蒸留
    塔にリサイクルさせることを特徴とする無水酢酸の製造
    法。
  2. 【請求項2】 無水酢酸の製造法が、原料無水酢酸を熱
    分解させて生成するケテンを酢酸に吸収させることによ
    り粗製無水酢酸を得、この粗製無水酢酸を精製蒸留塔で
    蒸留して精製無水酢酸を製造する無水酢酸の製造法であ
    ることを特徴とする請求項1記載の無水酢酸の製造法。
  3. 【請求項3】 原料酢酸を熱分解させて生成するケテン
    を酢酸に吸収させることにより粗製無水酢酸を得、この
    粗製無水酢酸を精製蒸留塔で蒸留して精製無水酢酸を製
    造する無水酢酸の製造法であって、 蒸留塔から留出する低沸成分を、オゾン処理し、さらに
    オゾン処理の前及び/又は後に再蒸留して精製蒸留塔に
    リサイクルさせることを特徴とする無水酢酸の製造法。
  4. 【請求項4】 ケテン炉を通して原料酢酸を熱分解させ
    て生成するケテンを酢酸に吸収させることにより粗製無
    水酢酸を得、この粗製無水酢酸を蒸留塔で蒸留して精製
    無水酢酸を製造する無水酢酸の製造法であって、 蒸留塔から留出する低沸成分を、さらに酢酸を主成分と
    する低沸成分と、酢酸が除かれて濃縮された無水酢酸を
    主成分とする高沸成分とに分離する再蒸留塔を設け、こ
    の再蒸留塔から留出する低沸成分を上記ケテン炉に供給
    する一方、再蒸留塔からの高沸成分をオゾン処理して精
    製蒸留塔にリサイクルさせることを特徴とする無水酢酸
    の製造法。
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