JP3599346B2 - 天然型化学連結反応によるタンパク質の合成 - Google Patents

天然型化学連結反応によるタンパク質の合成 Download PDF

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Description

[発明の分野]
本発明は、2つのオリゴペプチドをアミド結合で末端同士(end to end)、化学的に連結(ligating)するための方法および中間体に関する。さらに詳しくは、本発明はオリゴペプチドを化学的に連結するための方法および中間体であって、第1のオリゴペプチドの酸化されていないN−末端システインが第2のオリゴペプチドのC−末端チオエステルと縮合し、β−アミノチオエステル中間体を形成し、これが自然に(spontaneously)分子内転位を起こし、アミド結合と連結生成物を形成するものに関する。
[政府の権利]
ここに開示される発明は、一部ナショナル インスティテュート オブ ヘルス(国立衛生研究院)からの助成金、Ro1 GM 48897−01,P01 GM 48870−03およびGM 50969−01によって一部(in part)支援された。アメリカ合衆国政府は、本発明に対して或る権利を有する。
[背景]
タンパク質は、細胞フリーの系で化学的、リボソーム的に(ribosomally)、又は細胞内でリボソーム的に合成される。これらの分野での進歩によって、多くのタンパク質を手に入れることが著しく改善されたが、さらなる改善の要求をも刺激した。
タンパク質にその多様な特性があるのは、ポリペプチド鎖の正確に折りたたまれた(folded)三次元構造によるものである。タンパク質の該三次元構造は、その機能的属性(attributes)を決定する。しかしながら、現在のところ、三次元構造のみからタンパク質の生物学的特性を予測したり、および/又は完全に説明することは困難である。該分子の共有結合構造を系統的に変化させ、そして折りたたまれた構造の影響と生物学的機能を関係付けることによって、タンパク質の構造がどのようにして生物学的特性を決定するかについてのよりよい理解を達成することができる。従って、新しいタンパク質およびタンパク質類似体を合成するための、より高度な合成手法についての需要がますますでてくる。
組換えDNAに基づく分子生物学に由来する手法は、遺伝子工学による遺伝子工学による(genetically engineered)微生物に於いてタンパク質の発現を促進するのに利用することができる。エム スミス(アングバンデ ケミー インターナショナル エディション イングリシュ、33巻 1214頁 1994年)によって開示されたような部位特異的(site−directed)変異誘発は、多数の修飾されたタンパク質を系統的研究のために有用な量で合成することを可能とする。例えば、シー アイゲンブロットおよびエー コシアコフ、カレント、オピニオン イン バイオテクノロジー 3巻 333頁 1992年を参照。革新的な(innovative)アプローチを用いると、発現系に組み込むことのできるアミノ酸の範囲が増加し、そしてタンパク質の共有結合構造の生合成的修飾の用途を、飛躍的に拡大することを有望にする。シー ジェー ノーレンら、サイエンス 244巻 182頁 1989年;ジェー エー エルマンら、サイエンス 255巻 197頁 1992年を参照。しかしながら、リボソーム的タンパク質合成の性質(nature)に内在する限界があるように思われる。ヴィー ダブリュー コーニッシュら、プロシーディング ナショナル アカデミー サイエンス USA 91巻 2910頁 1994年を参照。
タンパク質の化学合成も、またタンパク質構造と機能の関係の要求に貢献してきた。段階的固相合成は、小さいタンパク質の新たな合成を可能にしてきた。ティー ダブリュー ムールら、カレント オピニオン イン バイオテクノロジー 4巻 420頁 1993年を参照。生物学的機能の分子論的基礎を探求するために、全タンパク質の段階的固相合成を使用したいくつかの例もある。エム ミラーら、サイエンス 246巻 1149頁 1989年;エー ウローダクァら、サイエンス 245巻 616頁 1989年;エル エイチ ファングら、バイオケミストリー 30巻 7402頁 1991年;ケー ラジラサナムら、サイエンス 264巻 90頁 1994年を参照。
タンパク質の構造/機能の相関関係を調べるのに、特殊な例では、ペプチド断片の配座的に支援された(conformationally−assisted)再連結反応を介する半合成を利用することもできる。アール イー オフォード「プロテイン エンジニアリングに対する化学的アプローチ」プロテイン設計並びに新しい治療薬およびワクチンの開発(プロテイン デザイン アンド ザ ディベロプメント オブ ニュー セラピューティクス アンド ヴァクシンズ)、ジェー ビー フック、ジー ポステ編(プレナム出版、ニューヨーク)、253−282頁 1990年;シー ジェー エー ウォレスら、ジャーナル バイオロジカル ケミストリー 267巻 3852頁 1992年を参照。半合成アプローチの重要な延長は、クローンされた又は合成ペプチド断片の酵素的連結反応の使用である。エル アブラムセンら、バイオケミストリー 30巻 4151頁 1991年;ティー ケー チャングら、プロシーディング ナショナル アカデミー サイエンス USA 1994年(印刷中)を参照。前記の方法論は、タンパク質およびタンパク質類似体の合成にうまく応用されてきたけれども、ティー ダブル ムールらは(カレント オピニオン バイオテクノロジー 4巻 420頁 1993年)、タンパク質の研究に有機化学のツールをより広く応用することに対して、引き続き興味が存在すると報告している。
ステファン ケントらは、最近、保護されていないペプチド断片の化学連結反応をタンパク質の全合成に対する改善された手段として導入した。エム シュノルツアーら、サイエンス 3256巻 221頁 1992年を参照。化学連結反応は、保護されていないペプチドの化学選択的反応を含み、連結部位に於いて非天然のバックボーン構造を備える生成物を与える。保護されていないペプチドの使用によって古典的化学合成に内在する困難性、すなわち多くの合成中間体の限られた溶解度をもたらす保護基の複雑な組合せが回避された。例えば、ケー アカジら、ケミカル ファーマシューティカル ブレタン(東京)33巻 184頁 1985年を参照。対照的に、化学連結手法は、鎖長に於いて50以上の残基の保護されていないペプチドを日常的に作り精製し、そして同定することを可能にした。最適化された段階的固相法を用いると、60残基までのペプチドを良好な収率、高純度で合成することは、日常的である。都合の好い場合には、80以上の残基のペプチドを合成できる。エム シュノルツァーら、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロティン リサーチ 40巻 180−193頁 1992年。
化学連結反応に対する前記のアプローチの重要な面は、連結部位での非天然(すなわち、非ペプチド型)のバックボーン構造の形成によってペプチドを特異的、正確に結合するために化学選択的な反応を使用することである。それによって、例えば95残基のフィブロネクチンのインテグリン結合モジュールである連結10F3のようなタンパク質領域の類似体を含む広範囲にわたるバックボーン修飾されたタンパク質の容易な製造が可能となってきた。エム ウィリアムスら、ジャーナル アメリカン ケミカル ソサィエティ 1994年(印刷中)を参照。GIV−2 プロテアーゼのフラップ基質水素結合の触媒的貢献は、このタンパク質の99残基サブニュットのホモ二量体の化学連結反応を用いる化学合成によって解明された。エム バッカら、プロシーディング ナショナル アカデミー サイエンス USA 90巻 11638頁 1993年を参照。化学連結反応は、完全な生物学的活性を有する大量のタンパク質を高純度で日常的に、再現性よく合成するのに有用であることも証明された(20)。アール シー デリスリー ミルトンら、「保護されていないペプチド断片の化学連結によるタンパク質の合成:鏡像酵素分子D−およびL−プロテアーゼ類似体タンパク質化学に於ける手法IV(テクニークス イン プロティン ケミストリー IV)。アカデミック プレス、ニューヨーク、257−267頁 1992年を参照。
また化学連結反応は、通常でないトポロジーのタンパク質様分子の簡単な製造にも採用することができる。例えば、4−ヘリックス バンドル テンプレート組立て合成タンパク質(分子量6647ドルトン)(ピー イー ドーソンら、ジャーナル アメリカン ケミカル ソサィエティ 115巻 7263頁 1973年);ホモジニアス多価人工タンパク質(分子量19,916ドルトン)(ケー ローズ、ジャーナル アメリカン ケミカル ソサィエティ 3116巻 30頁 1974年);多鎖インテグリン(integrin)受容体細胞質領域の人口ネオプロテイン擬似体(分子量14,194ドルトン)(ティー ダブリュー ムールら、バイオケミストリー 33巻 7701−7708頁 1994年;およびペプチド樹脂状体(dendrimer)(分子量24,205ドルトン)(シー ラオら、ジャーナル アメリカン ケミカル ソサィエティ 116巻 6975頁 1994年)等である。この手法によって得ることのできるタンパク質の範囲は、合成ペプチド断片(segment)の大きさで制限される。
もし典型的なタンパク質領域の大きさに至るまでの天然型のバックボーンペプチドを得る直接合成法があるなら、有用な拡張が起りうる。エー エル バーマンら、プロシーディング ナショナル アカデェミー サイエンス USA 91巻 4044頁 1994年を参照。そこで化学連結反応は、これらの領域(domain)を繋ぎ合せ(string)、一般的方法としてタンパク質の世界を調べるのに利用されるであろう。
エル イー ケインら(ザ アニュアル ミーティング オブ ザ プロティンソサエティ サンディエゴ 1994年7月発表)によって開示された保護されていないペプチドのコンバージェント化学連結反応に基づいて、タンパク質の全合成のためのモジュール戦略が開発されてきた。タンパク質領域(モジュール)は、50−70残基領域の化学連結反応によって合成された。これらの領域は、それから繋ぎ合わされて標的タンパク質を与えた。ここでは、お互いに適合性のある連結化学方法が要求される。領域内での連結反応は、最適には安定なペプチド様の結合を与えるべきであり、領域間の連結反応は、連結部位に形成された広範囲に変化する構造の特性にも耐えるだろう。
より直線的な(straightforward)タンパク質のタンパク質の化学的全合成は、有機化学の重要な目的の実現を意味する。これは一般的合成方法によって可能となるタンパク質共有結合構造の無制限な変形という興奮するような見通しを高め、そしてフォールディング性、安定性、触媒活性、結合および生物学的活性等の特性の構造的基盤を探究するための新たな刺激を与える。
必要なものは、連結部位での天然型のペプチド結合形成と保護されていないペプチドの化学選択的反応の利点を組み合せる天然型の化学連結反応の手法である。この第2世代の連結反応化学は、化学的全合成で直接的に到達できる天然型バックボーンポリペプチドの大きさを飛躍的に増大させるであろう。それは高度な大きさのタンパク質を含む広範囲の合成標的に応用するのに役立つだろう。そして、タンパク質の機能的領域の直接的な入手を可能とする。天然型(native)の化学連結反応は、タンパク質の化学的全合成への一般的なモジュラー・アプローチの礎石である。さらに、それは化学的に合成体されたペプチドと、他の源から誘導されたペプチド断片との両方を使用することに対して適合性がある(compatible)。
[発明の要約]
本発明の一つの側面は、天然型の化学連結の方法に向けられている。天然型化学連結法は、タンパク質および大きいオリゴペプチドの化学合成を容易にする。「天然型化学連結反応」の原理は、スキーム1に示されている。第1の段階は、保護されていない合成ペプチド−α−チオエステルとN−末端Cys残基を含む別の保護されていないペプチド断片との化学選択的(chemoselective)反応であり、第1の共有結合生成物としてチオエステル結合でリンクされた(thioester−linked)中間体を与える。反応条件を変化させることなしに、この中間体は、自然に速やかに分子内反応を起こし、連結部位(ligation site)に天然型のペプチド結合を形成する。さらに操作することなしに、標的である完全な長さを有するポリペプチド生成物が、所望とする最終形態で得られる。天然型化学連結方法によって提供される一般的合成法(access)は、タンパク質分子の共有結合構造のバリエーションの範囲を大きく拡張する。
本発明の一つの態様は、オリゴペプチド生成物を製造するために、第1のオリゴペプチドと第2のオリゴペプチドを末端同士で連結する方法を提供する。第1と第2のオリゴペプチドは、触媒チオールを含む反応溶液中で混合される。触媒チオールは、共役されていないメルカプタンまたは共役チオールでよい。好適な触媒チオールとしては、ベンジルメルカプタン、チオフェノール、1−チオ−2−ニトロフェノール、2−チオ安息香酸、2−チオ−ピリジン、4−チオ−2−ピリジンカルボン酸、および4−チオ−2−ニトロピリジンが挙げられる。第1のオリゴペプチドは、C−末端チオエステルを含む。第2のオリゴペプチドは、酸化されていないスルフヒドリル(sulfhydryl)側鎖を有するN−末端システインを含む。N−末端システインの酸化されていないスルフヒドリル側鎖は、次いでC−末端のチオエステルと縮合され、第1および第2のオリゴペプチドをβ−アミノチオエステル結合でリンクする中間体オリゴペプチドを生成する。
Figure 0003599346
該中間体オリゴペプチドのβ−アミノチオエステル結合は、分子内転位反応を起こし(undergo)、第1および第2のオリゴペプチドをアミド結合でリンクする、オリゴペプチド生成物を生成する。
本発明の別の側面は、オリゴペプチド中間体に向けられ、これはC−末端チオエステルを有する第1のオリゴペプチド断片と、N−末端システインを有する第2のオリゴペプチド断片と、C−末端チオエステルとN−末端システインをリンクするβ−アミノチオエステル結合ユニットとからなる。β−アミノチオエステル結合ユニットは、自然に分子内転位反応を起こし、第1および第2のオリゴペプチド断片を末端同士でリンクするアミド結合を形成する。
本発明の別の側面は、C−末端チオエステルを有するオリゴペプチドを製造する方法に向けられる。その方法は、酸化されていないチオールを備えるリンカーを有する樹脂と、Boc−アミノ酸スクシンイミド エステルを反応条件下で混合して、Boc−アミノチオエステル樹脂を製造するものである。オリゴペプチドは、それから段階的固相ペプチド合成によってBoc−アミノチオエステル樹脂上に組み立てられる(assembled)。オリゴペプチドが完成すると、Boc−アミノチオエステル樹脂は、HSで開裂され、C−末端チオールを有するオリゴペプチドを生成する。該C−末端チオールは、次いでC−末端チオエステルを有するオリゴペプチドに変換される。
スキーム1のオリゴペプチド チオエステル(α−COSR基(moiety))は、チオエステル樹脂上で高度に最適化された段階的SPPSによって調製された、対応するオリゴペプチドチオール(α−COSH)から容易に生成されうる。チオエステル樹脂は、文献として本明細書の記載の一部とされるエル イー ケインらの方法(テトラヘドロン レターズ 36巻 1217−1220頁 1995年)によって合成された。ケインの方法は、ブレークおよびヤマシロ(ジェー ブレーク、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 17巻 273頁 1981年;ディー ヤマシロら、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 31巻 322頁 1988年)によって開示されたチオエステル樹脂を利用する。ペプチド生成物は、通常の方法で開裂、精製および確認された。エム シュノルツァーら、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 40巻 180−193頁 1972年を参照。
上記ヤマシロの方法は、保護されたオリゴペプチド上のチオカルボキシル基をジアリール(diaryl)ジスルフィドで活性化し、アシルジスルフィドを与える。ヤマシロら、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 31巻 322−334頁 1922年を参照。これらのC−末端ペプチド−アシルジスルフィドは、反応性の高い求電子性中間体であり、第2のペプチドのN−末端上でα−アミノ基で攻撃され、続いてカップリングされて天然型ペプチド結合を形成する。チオカルボキシル基の活性化剤として2,2′−ジピリジル ジスルフィドを用いる報告されたカップリング収率は、所望のα−IB−92生成物を45%で与える。α−IB−92の3−断片(3−segment)の合成の場合、出発樹脂を基準とする総収率は、8%と報告されているが、2−断片合成は11%の収率を与えた。
ジアリール ジスルフィド結合の高反応性のため、ヤマシロのアプローチは、ペプチド分子に存在するアミノ酸残基の広範囲にわたる保護および脱保護基化を必要とする。例えば、リシン基は、反応性の高いアミン官能基性のため、シトラコニル(citraconyl)誘導体として保護される。さらに、Msc基またはtBoc基は、分子に存在する末端アミン官能基性を保護するために用いられる。
ここに記載される発明は、アシルジスルフィド基(ヤマシロのアプローチ)に代えて、より反応性の低い(従って、より化学選択的な)チオエステル求電子剤を用いるため、2つのオリゴペプチドをカップリングさせるのにいかなる保護基の使用も必要としない。分子間カップリング工程に於いて、このチオエステル求電子剤は、遊離アミンよりもより求核的なスルフヒドリル基を必要とする。求核性スルフヒドリル基は、システイン残基上に見い出すことができる。アミノおよびヒドロキシル官能基は、チオエステル求電子剤に対して比較的反応性が高くないので、2つの保護されていないオリゴペプチドの選択的カップリングが、システインのスルフヒドリル基によって達成される。ペプチド2のシステイン上のスルフヒドリル基が、ペプチド1のチオエステルを最初に攻撃し、カップリングされたチオエステル中間体を形成する。このカップリングされたチオエステル中間体は、付随してシステインからの遊離α−アミノ基によって攻撃され、そして自然に転位して、天然型ペプチド結合を形成する。望まない副反応が減少するので、保護基化および脱保護基反応工程をなくすことにより、収率が増加する(スキーム1)。
チオエステル樹脂リンカーを備えるアミノメチル樹脂支持体上での最適化された段階的固相ペプチド合成によって得られるチオ酸前駆体から、チオエステル基が合成される。チオ酸前駆体は、続いて液体HF中、0℃、1時間で生成される。ヤマシロら、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 31巻 322頁 1988年を参照。
段階的固相ペプチド合成を用いるチオエステルリンカーの合成手法は、ブレークおよびヤマシロ(ブレークら、プロシーディング ナショナル アカデミー サイエンス USA 78巻 4055頁 1981年;ヤマシロら、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 31巻 322頁 1988年)によって報告されている。しかしながら、この方法は、Boc−アミノ酸スクシイミドエステルを、硫化水素で対応するBoc−アミノチオ酸に変換する必要があるため、望ましくない。ここで報告する改善された方法は、Boc−アミノ酸スクシイミド エステルを直接利用し、そしてそのため硫化水素ガスの不便さと危険性を回避する。ケントら、テトラヘドロン レターズ 36巻 1217頁 1995年を参照。
この方法(スキーム2)に於いて、チオール(3)は、クロライド(2)(ヤマシロら、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 31巻 322頁 1988年)とチオ尿素との反応、引き続き結果として得られるチオウロニウム(thiouronium)塩の水性(aqueous)塩基中での加水分解によって生成される。チオール(3)は、商業的に入手可能な広範囲のBoc−アミノ酸スクシイミド エステルと反応することが可能で、ジシクロヘキシルアミン(DCHA)塩として都合よく単離される、所望のチオエステルリンカー(1)を与える一般性のある中間体である。
天然型の化学連結アプローチを研究するために、小さいペプチドを用いるモデル研究を行った。反応の機構を調べる助けに、ペプチド Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−α−COSBzlをAc−Cysと反応させた。結果として得られる連結生成物の正確な質量が電子スプレイ(electrospray)質量分析で決定され、そしてペプチドのα−チオエステル基上のAc−Cys側鎖の求核攻撃によって生成する連結生成物としてのチオエステル・リンクされたペプチドと一致した。Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−α−COSBzlと、H−Cys−Arg−Ala−Glu−Tyr−Ser(ブロックされていないa−NH2官能基を含む)との反応は、pH6.8で迅速に進行し(pH以上では反応が非常に遅く進行し、これは、Cys側鎖のイオン化したチオレート形の関与を示唆する)、そして予測された質量の単一生成物を与えた。この生成物は、求核剤に対する感受性を欠いており、そしてジスルフィド−リンクされた二量体ペプチドを形成する能力を有していた。これは、疑いの余地なく連結部位での天然型アミド結合の形成を指摘している。これらの研究は、スキーム1に示す機構と矛盾しなかった。該スキーム1では、最初のチオエステル連結生成物は、安定なペプチド結合を形成する速やかな転位反応のため、はっきりした中間体として観測されなかった。容易な分子内反応は、最初の化学選択的連結反応に於いて形成されるチオエステルに関して、α−NH2基の好ましい幾何学的配置に起因する。
Figure 0003599346
ペプチド結合形成のためにこのような「エントロピー活性化」を使用することは、ブレナーによって体系的に述べられた原理に基づいている。エム ブレナー、イン ペプチド プロシーディングス オブ ザ エイス ヨーロピアン ペプチド シンポジウム エッチ シー ベェアマン編(ノース ホーランド アムステルダム 1−7頁 1967年を参照。ペプチド結合形成のための「エントロピー活性化」の概念は、より最近ディー エス ケンプら(ジャーナル オーガニック ケミストリー 58巻 2216頁 1993年)およびシー エフ リューら(ジャーナル アメリカン ケミカル ソサィエティ 116巻 4149頁 1994年)によって採用されてきた。
天然型化学連結法によって、いくつかのモデルペプチドが合成されてきた。タンパク質に通常見い出される全範囲の官能基を含むペプチドに対して、天然型化学連結反応が一般的に応用できることを、これらのモデルペプチドの合成の成功は立証している。反応する断片のいづれかに、遊離の内部Cys残基でさえ存在してもよい。内部Cys残基は、ペプチド−a−チオエステル成分とエステル交換を起こしうる。しかしながらこの反応は、アミド結合への転位が起こり得ないので非生産的であり、形成されたチオエステルは容易に可逆的であり、そして反応系の生産的な部分として残る。ここに開示されるように、天然型化学連結反応は、N−末端Cys残基での反応に限定されている。このCysの側鎖チオールが酸化されてジスルフィド−リンクされた二量体を形成するのを防止することは、重要である。何故ならば、これは連結反応に於いて反応性がないからである。連結反応を妨げることなく、Cys残基を還元形態に保っておくために、チオエステル脱離基に対応する過剰のチオールが用いられた。アミノ−末端ペプチド断片は、それに、必要なα−COSR官能基を装備するために化学合成によって製造されねばならない。さらに、最適な連結反応のためには、この成分が束縛されていない(unhindered;即ち、β−枝分かれしていない)C−末端アミノ酸を有するべきである。尿素またはグアニジン塩酸塩のような可溶化剤は、連結反応を妨げず、そしてペプチド断片の濃度を高め、かくして反応速度を増加させるために用いることができた。
Figure 0003599346
よりよいチオエステル脱離基を用いると、より速い連結反応を結果としてもたらすことは、さらなるモデル反応が証明する。本発明者らは、スキーム5に示すように、ヒト・サイトカイン受容体(アール デアンドリーら、ブラッド 83巻 2802頁 1994年)の細胞外領域からのペプチドの天然型化学連結反応に、この観察を応用した。エルマン(Elman)試薬の還元形態に対応する5−チオ−2−ニトロ安息香酸(−SNB)脱離基の使用は、速い高収率反応を与えた。スキーム5に関して下記に記載するように、ペプチド断片間の反応は、5分間以内に本質的に完了し、連結反応の部位で天然型ペプチド結合を持つ50残基生成物を与えたことが観察された。このようにして、適当に調整された特性を有するチオエステル脱離基を使用することによって、迅速な天然型化学連結反応が達成されうる。
天然型化学連結反応法のタンパク質分子の全合成への応用は、ヒトインターロイキン8(IL−8)の合成によって例証された。エム バギオリニら、FEBS レターズ 307巻 97頁 1989年;アイ クラークルイスら、ジャーナル バイオロジカル ケミストリー 269巻 16075頁 1994年;アイ クラークルイス、バイオケミストリー 30巻 3128頁 1991年;およびケー ラジャラスナムら、バイオケミストリー 29巻 1689頁 1994年を参照。72−アミノ酸ポリペプチド鎖は、4つのCys残基を含み、これらは天然のタンパク質分子の中で2つの機能的に重要なジスルフィド橋(bridges)を形成する。IL−8の全合成は、スキーム7に示されている。2つの保護されていない合成ペプチド断片は、きれいに反応し、さらに化学的操作(9)することなしに完全な長さのポリペプチド鎖を還元形で与えた。33−および39−残基のIL−8断片は、各々2つのCys残基を含み、そして共に、タンパク質に見い出される20の遺伝学的にコードされたアミノ酸のうち18を包含していたので、この成功した連結反応は特に重要である。
Figure 0003599346
精製された生成物は、以前報告されたようにフォールドされ、そして酸化されて元の連結生成物の質量よりも正確に4ダルトン少ない質量を有するIL−8を与えた。これは2つのジスルフィド結合の形成を示す。この折りたたまれた生成物の特性は、以前に研究された標準のIL−8試料の特性と同一であった。好中球エラスターゼ放出のアッセイでの滴定は、フォールドされ、連結された[Ala33]IL−8の有効濃度(ED50=0.3nM)および最大応答が、通常の合成で得られた対応する分子のものと区別できず、そして天然型配列のIL−8と同一であったことを立証した。この結果は、疑いなく連結部位でのペプチド結合の形成を確認した。何故ならば、天然型ジスルフィド結合を形成した遊離のCys34側鎖を与えるためには、チオエステルからアミドへの転位反応が起こったに違いないからである(スキーム7を参照)。
タンパク質は通常、組換えDNAに基づく分子生物学の方法を用いて遺伝子工学的に組換えられた(genetically engineered)微生物中での発現によって研究される。例えば部位特異的変異誘発のような方法は、多数の修飾されたタンパク質を系統的な研究のために有用な量、合成する能力に重大な影響を与えてきた。革新的なアプローチが発現系に組み込むことができるアミノ酸の範囲を拡げ、そしてタンパク質の共有結合構造の生合成的修飾の用途を飛躍的に拡大する望みを増加させてきた。しかしながら、リボソーム的タンパク質合成の特徴に内在する限界があるように思われる。
ウィーランドは、チオエステル中間体を用いてジペプチドを合成する方法を開示している。ウィーランドら、リービッヒ アナーレン ケミー 580巻 159頁 1953年を参照。ウィーランドは、S−グリシル−(または他の枝分かれしていないアミノアシル)チオフェノールとシステインの反応を利用している。このようにして、システイン残基上のスルフヒドリル基が最初にS−グリシル−チオフェノールのチオエステルを攻撃し、そしてカップリングされたチオエステル中間体を生成する。このカップリングされた中間体は、付随してシステインからの遊離α−アミノ基によって攻撃され、そして自然に転位し、自然型ペプチド結合を形成する。
ウィーランドのアプローチの限界は、使用する分子の大きさ(モノアミノ酸のみがシステインにカップリングされる)であり、そしてチオエステルの合成に用いられる方法に由来する。チオエステルを生成するために、ウィーランドのアプローチは、末端カルボン酸を混合酸無水物(mixed anhydride)、酸塩化物またはチオ酸として活性化することを必要とする。Asp(D)およびGlu(E)のようなアミノ酸残基に、もし酸性基が存在すれば問題が起きる。これらの場合、ウィーランド法は望ましくない副反応を生じ、そしてそのため複雑な保護基を用いる戦略が、特にもしオリゴペプチドが合成されるならば要求される。
ここに記載される本発明では、オリゴペプチド−チオエステル基がチオ酸前駆体から誘導されるので、入念な保護基を用いる戦略の必要性が除外されている。このチオ酸前駆体(ペプチドα−COSH)は、チオエステル樹脂リンカーを装備したアミノメチル樹脂支持体上での標準的段階固相ペプチド合成によって合成される。チオ酸前駆体は、リンカー/樹脂から液体HF中、0℃、1時間で、ほとんど定量的(99%)に開裂される。
チオエステルペプチド(ペプチド−α−COS)は、2つの一般的方法で合成することができる。
(1)連結乾燥された粗チオ酸ペプチド(ペプチド−α−COSH)をエルマン試薬(アンドリッチ化学から入手できる5,5′−ジチオビス−2−ニトロ安息香酸),pH5.5(2当量)で、100mM酢酸ナトリウム緩衝液中6Mグアニジンと反応させる。これは、SNB−チオエステルペプチド(ペプチド−α−COSNB)を与え、続いて逆相高速液体クロマトグラフィー(RPHPLC)で精製される。
(2)凍結乾燥された粗チオ酸ペプチド(ペプチド−α−COSH)をpH4.0で、臭化ベンジル、6Mグアニジン、および100mM酢酸ナトリウム緩衝液と反応させる。ベンジルチオエステル(ペプチド−α−COSBn)は、次いでRPHPLCで精製される。
前記の反応条件は、活性化されたチオエステルを備える保護されていないオリゴヌクレオチドの形成を可能にする。末端システイン残基を含む第2のペプチドとの続く反応は、容易なカップリングと天然型ペプチド結合の形成を可能にし、そして100以上のアミノ酸残基のオリゴペプチド鎖を生成することができる(スキーム1)。
都合のよい場合には、化学合成は、既にタンパク質構造の機能性に対する関係の探求について重要な貢献をしてきた。段階的固相合成は、小さいタンパク質(14)の全く新しい合成を可能にしてきた。そして生物学的機能の分子的基礎を探求するために、タンパク質全合成にこの方法を用いたいくつかの有名な例がある。特殊な場合に化学をタンパク質の研究に応用するのを可能にした別の方法は、ペプチド断片の配座的に支援された再連結反応を介しての半合成である。半合成アプローチの重要な延長は、クローンされたかまたは合成されたペプチド断片の酵素的連結反応の使用である。これらの方法には、現在のところ厳しい制限があるけれども、有機化学のツールをタンパク質の研究により広く応用しようとする真剣な興味が引続いてある。
天然型化学連結反応は、まさにそのような可能性を提供する。それは、連結部位に於ける天然型ペプチド結合の形成と、保護されていないペプチドの化学選択的反応の利点とを組み合せる。この第2世代の連結化学は、化学的全合成によって直接得られる天然型バックボーン ポリペプチドの大きさを劇的に増加させる。それは、中位の(moderate)大きさのタンパク質を含む、広範囲な合成ターゲットに有用に応用され、そしてタンパク質の機能的領域の直接的な入手を可能にする。天然型の化学連結反応は、タンパク質の化学的全合成への一般的なモジュラーアプローチの礎石でもある。さらに、その方法は、化学的に合成されたペプチドと他の源から誘導されたペプチド断片との両方を使用することについて適合性がある(compatible)。
より直接的なタンパク質の全合成は、有機化学の重要な目的の実現を意味する。それは、一般的合成法によって可能となるタンパク質共有結合構造の無制限なバリエーションを提供し、そして例えば、フォールディング性、安定性、触媒活性、結合および生物学的活性等の特性の構造的基礎を探求するための新たな刺激をも提供する。
別の態様に於いて、カルボキシ末端ペプチド断片またはタンパク質モジュールは、標準的な組換えcDNA方法(recDNA means)によって発現することができる。もし生成物がN−末端Cys残基を含むならば、ここに記載された天然型化学連結反応を用いて、合成アミノ末端ペプチド−α−COSRと反応させることができ、タンパク質の一部が化学合成に由来し、そして一部がリボソーム的合成に由来する生成物を与えるだろう。
[詳細な説明]
ペプチド−α−チオ酸の形成
ペプチド−α−チオ酸の固相合成に用いるためのチオエステル樹脂リンカーの形成および利用の典型的手順は、下記の通りである。ケントら、テトラヘドロン レターズ 36巻 1217頁 1995年を参照。
4−(α−メルカプトベンジル)フェノキシ酢酸ジシク ロヘキシルアミン(3)(スキーム2)
ヤマシロら(インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 31巻 322−334頁 1988年)によって確立された条件を用いて作られた(2)(7.5g,27mmol)、チオウレア(2.3g,30mmol)、そしてエタノール(100ml)の混合物を還流する(コーニングら、ジャーナル オーガニック ケミストリー 23巻 1525−1530頁 1958年に報告された条件で)まで加熱した。4時間後、チオウレニウム塩への変換は、TLC(90:5:5 クロロホルム:メタノール:酢酸)で示されるとおり、本質的に完了した。10N NaOH(30ml)を添加し、そして還流を2−3時間継続した。室温まで冷却後、反応混合物を真空下、元の体積の約半分まで濃縮し、濃HCl(pH2.0まで)で酸性化し、そして酢酸エチル(4×30ml)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を飽和NaCl(1×30ml)で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥した。揮発性物質を真空下、取り除いた。結果として得られる油状物を酢酸エチル(100ml)に溶解し、そして、如何なる不溶性物質をも濾過した。DCHA(アルドリッチ社から入手できるジシクロヘキシルアミン)6.0ml(30mmol)を、撹拌しつつ濾過物に加えた。数分以内に白い固体が沈澱しはじめた。ジエチルエーテル(150ml)を加え、そして懸濁液を数時間、−20℃に冷却した。結果として得られる白色固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥したところ(3)が生じた(10.3g,23mmol,84%)。
1H NMR(CDC13):δ7.30(m,7H),6.82(d,2H,J=8.7Hz),5.39(幅広いs,s,1H),4.40(s,2H),2.81(m,2H),2.23(幅広いs,1H,外部D2O),1.88−1.02(複雑なm,20H);
FAB MS(セシウムイオン):計算値[C27H37NO3S,H+]456.2572,実測値456.2572.元素分析計算値 C27H37NO3S:C,71.17;H,8.18;N,3.07;S,7.04.実測値C,71.11;H,8.41;N,3.08;S,7.09.
Boc−アミノチオエステル リンカー(1)ジシクロヘ キシルアミン塩の一般的合成(スキーム2)
3(3.67mmol),Boc−Ala−OSu(ノボバイオケミー コーポレーションから入手)(3.68mmol)、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン−5.74mmol)、ジメチルフォルムアミド(35ml)および塩化メチレン(4ml)の混合物を室温で撹拌した。数時間後、最初の白色懸濁液が完全に溶解し、澄んだ無色の溶液を生じた。24時間後、反応混合物を1N HCl(150ml)に注ぎ込み、そして酢酸エチル(4×35ml)で抽出した。合せた酢酸エチル抽出物を、1N HCl(2×30ml),H2O(1×30ml),飽和NaCl(1×30ml)で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥した。揮発物を真空下、取り除いた。結果として得られる油状物質をフラッシュクロマトグラフィー(925:50:25 クロロホルム:メタノール:酢酸)で精製すると酢酸が混じった油状物質が生じた。残存する酢酸を取り除くために、油状物質をクロロホルム(40ml)に溶解し、そして0.1N HCl(7×10ml),飽和NaCl(1×10ml)で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥した。揮発物を真空下、取り除くと油状物質として(1)が生じた。この油状物質をジエチルエーテル(10ml)に溶解し、それにジシクロヘキシルアミン(1当量)を加えた。ヘキサン(100ml)を撹拌下、添加すると濃い油状物質として未反応のジシクロヘキシルアミンから(1)のジシクロヘキシルアミン塩が分離した。溶媒を油状物質から移し(decanted)、そして油状物質をCH2Cl2(30〜40ml)に溶解した。結果として得られる溶液を真空下、濃縮するとジシクロヘキシルアミン塩(1)が白色泡状固体(スキーム2)として生じた。
樹脂上でのリンクおよび合成の実例は下記のとおりである。
4−[a−(Boc−Ala−S)ベンジル]フェノキシ酢酸(0.80mmol)を塩化メチレン9ml中で、1.00gのアミノメチル樹脂(0.40mmol)に加え、0℃で塩化メチレン中1.33ml 0.6M DCCI(ジシクロヘキシルカルボジイミド)と15分間、そして、24℃で30分間処理する。生成物を次いで標準的な固相ペプチド合成条件に晒す。ケントら、テトラヘドロンレターズ 36巻 1217頁 1995年;ジェー ブレーク、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 17巻 273頁 1981年を参照。所望の鎖が合成されると、ペプチド樹脂(最初の装填量 約45μmol)を8mlの液体HF(0.8mlアニソール)中、0℃で1時間処理する。窒素で蒸発させた後、残渣を酢酸エチルで洗浄する。固型炭酸水素アンモニウムでpHを6に調節しながら、該固体を引続いて水中(約15ml)、0℃で撹拌する。濾過および凍結乾燥は、粗チオ酸生成物を与え、これはさらに30mgのバッチで分取HPLCによって精製できる。
チオエステル末端ペプチド断片の調製
α−COSRチオエステルペプチドは、2つの一般的方法で合成することができる。
(1)凍結乾燥された粗チオ酸ペプチドをエルマン試薬(アルドリッチ化学から入手できる5,5′−ジチオビス−2−ニトロ安息香酸),pH5.5(2.0当量)で、100mM酢酸ナトリウム緩衝液中、6Mグアニジンと反応させる。これはSNB−チオエステルペプチドを与え、続いて逆相高速液体クロマトグラフィー(RPHPLC)で精製される。
(2)凍結乾燥された粗チオ酸ペプチドをpH4.0で、臭化ベンジル、6Mグアニジンおよび100mM酢酸ナトリウム緩衝液と反応させる。ベンジルチオエステルは、次いでRPHPLCで精製される。
Figure 0003599346
前記の反応条件は、活性化されたチオエステルを備える保護されていないオリゴヌクレオチドの形成を可能にする。末端システイン残基を含む第2のペプチドとの続く反応は、容易なカップリングと天然型ペプチド結合の形成を可能にし、そして100以上のアミノ酸残基のオリゴペプチド鎖を生成することができる(スキーム1)。
[実施例]
実施例1
モデルペプチドLeu−Tyr−Arg−Ala−Gly−αCOSH(配列番号1)は、アミノメチル樹脂上で最適化された段階的固相ペプチド合成によって調製される。チオエステル樹脂リンカーは、以下の文献から採用され、一般化された方法によって調製される。ケントら、テトラヘドロンレターズ 36巻 1217頁 1995年;ジェー ブレーク、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 17巻 273頁 1981年;ディー ヤマシロおよびシー エッチ リー 同上 31巻 322頁 1988年を参照。所望の鎖が合成されると、ペプチド樹脂(最初の装填量 約45μmol)を8mlの液体HF(0.8ml アニソール)中、0℃で1時間処理する。窒素で蒸発させた後、残渣を酢酸エチルで洗浄する。pHを固型炭酸水素アンモニウムで6.0に調節しながら固体を引続いて水中(約15ml)、0℃で撹拌する。濾過および凍結乾燥は、粗チオ酸形成物を与え、これはさらに30mgのバッチで分取HPLCによって精製できる。
チオエステル末端ペプチド断片は、続いてチオ酸断片から化学合成によって合成され、必要なα−COSR官能基(ここでRは例えばベンジル、5−チオ−2−ニトロ安息香酸(−SNB)、チオフェノール等のアルキル基である)を備える。よりよいチオエステル脱離基の使用は、より速い連結反応速度を結果としてもたらす。このようにして、モデル ペプチド Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−αCOSH(配列番号1)は、最初に6.0Mグアニジン−HCl,pH4.6,酢酸ナトリウム緩衝液中で臭化ベンジル(15当量)との反応でチオベンジルエステルに変換され、Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−αCOSBn(配列番号3)を形成する。結果として得られるペプチドは、約20−45%アセトニトリル(分当り1%で)を用い、214nmでモニターする、標準的な逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)条件で精製される。
ペプチドH−Cys−Arg−Ala−Gly−Tyr−Ser(配列番号2)について、固相法は、エム シュノルツァー、ピー アレウッド、ディー アレウッド、エス ビー エイチ ケント、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 40巻 180頁 1992年に記載されているように高収率そして高純度で60残基までのペプチドの調製を可能にする。
第1に、反応の機構を調べるためにペプチド Leu−Tyrb−Arg−Ala−Gly−αCOSBn(Bn:ベンジル;配列番号3)をAc−Cys(ノヴォバイオケミー コーポレーションから商業的に入手でき、ブロックされたα−NH2官能基を含む)と反応させた。結果として得られる連結形成物であるLeu−Tyr−Arg−Ala−Gly−αCOS−CH2C(NHAc)COOH(配列番号4)の正確な質量は、電子スプレー質量分析で決定された。そしてペプチドのα−チオエステル基上のAc−Cys側鎖の求核性攻撃により生成される連結形成物としてのチオエステル−リンクされたペプチドと一致した。
最後に、Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−αCOSBn(配列番号3)とCys−Arg−Ala−Glu−Tyr−Ser(配列番号2:ブロックされていないα−NH2官能基を含む)の反応は、pH6.8で迅速に進行し、そして予想した質量の単一形成物を与えた(pH6.0未満では、反応は非常に遅くしか進行しなかった。これはpH6.8でCys側鎖のイオン化したチオレートの関与を示唆している;スキーム3)。ペプチド Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−αCOSBnとCys−Arg−Ala−Glu−Tyr−Serとを、0.1Mリン酸緩衝液中、pH6.8,6.0,および4.7,25℃で反応させた。1時間後、反応は次のように進行した。すなわち、pH6.8では連結形成物Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−Cys−Arg−Ala−Glu−Tyr−Ser(配列番号5)の95%を越え、pH6.0では約10%、そしてpH4.7では約1.0%を与えた。HPLCで観測したとおり、スキーム3は反応の1時間後、25℃でのpH依存性を示す。この形成物は、求核剤に対する感受性を欠いていた。そしてジスルフィド−リンクされた二量体ペプチドを形成する能力があった。これは疑いもなく連結部位に於いて天然型アミド結合が形成されたことを示す。
2−チオ酸 誘導体Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−SCH2COOH(配列番号6:塩化メチレン中、2−ブロモ酢酸へのチオ酸Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−SH(配列番号1)の攻撃によって形成する)とCys−Arg−Ala−Glu−Tyr−Ser(配列番号2)とを用いる別の未公表のモデルは、45℃、0.2Mリン酸緩衝液中、pH6.8で連結された。1時間後、反応はスキーム4においてHPLCで観測されたように80%まで進行した。連結されたLeu−Tyr−Arg−Ala−Gly−Cys−Arg−Ala−Glu−Tyr−Ser(配列番号5)および未反応のCys−Arg−Ala−Glu−Tyr−Serからの酸化形成物の単離は、遊離チオール連結形成物の存在を証明した。
天然型化学連結反応は、タンパク質に通常見い出される全範囲の官能基を含むペプチドに対して一般的に応用できる。遊離の内部Cys残基でさえ反応断片のいづれかに存在してよい。内部Cys残基は、ペプチド−α−チオエステル成分とエステル交換を起こしうる。しかしながら、この反応は、アミド結合への転位が起こり得ないので非生産的であり、形成されたチオエステルは容易に可逆的であり、そして反応系の生産的な部分として残る。
天然型化学連結反応は、アミノ末端Cys残基での反応に限定されている。このCysの側鎖チオールが酸化されてジスルフィド−リンクされた二量体を形成するのを防止するために、チオエステル脱離基に対応する過剰のチオールが、連結反応を妨げることなくCys残基を還元形態に保つために用いられる。さらに、少量のベンジルメルカプタンまたはチオフェノールのような低分子量チオールが、還元雰囲気を維持するために、カップリング反応混合物に添加される。
Figure 0003599346
チオールの添加は、チオエステルの反応性を、特に、もし添加したチオールが予め形成されたチオエステルより良い脱離基であるなら、増加させる。チオフェノールの反応への添加によってベンジルエステルがフェニルエステルに変換される場合が、この観察の実例である。反応収率および反応速度は、実質的に増加する。例えば、ベンジルメルカプタンを用いると7時間後、バルナーゼ(Barnase)反応の収率は25%であるが、同一の反応混合物へチオフェノール処理を施すと90%の収率であった。
連結混合物へのチオールの添加は、また反応混合物を還元形態に保つ。これは反応性N−末端Cys残基の酸化を防止し、そして内部Cys残基が存在する場合、チオールは分子間ジスルフィド結合の形成を減少させる。さらに、還元的雰囲気は、チオエステル断片の安定性を増加する。連結反応は、pH7.5に於いてほとんどまたは全く加水分解なしで、一晩で進行できる。
実施例2
迅速な天然型化学連結反応は、本明細書の一部と見做されるヒトIL−3受容体β−サブユニットの外部領域からの残基46−95に対応するペプチド断片の合成によって例証される。アール デアンドリァら、ブラッド 83巻 2802頁 1994年を参照。
8M尿素、pH4.0、50mM酢酸アンモニウム緩衝液中で、5,5′−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)(10当量)との処理によって、粗合成IL−3 Msc(46−76)αCOSHを5チオ−2−ニトロ安息香酸エステル(−COSNB)に変換した。ここでMsc、すなわち2(メチル−スルホニル)−エチロキシ−カルボニル保護基(フルカ(Fluka)69227)を、1.1当量の2−(メチルスルホニル)エチル 4−ニトロフェニルカーボネート、1.1当量のジイソプロピルエチルアミンおよび5ジメチルホルムアミドを用いて、N−末端に位置させた。このチオエステル含有物質は、pH6.0未満で完全に安定であることが見い出され、そして約20−45%アセトニトリル(分当り1%)を用い214nmでモニターする標準的逆相HPLC条件下で、容易に精製された。
スキーム5に示すように、連結反応は、IL−3[Cys77](77−95)(標準的な固相法によって合成、ケントら、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 40巻 180頁 1992年を参照)を精製したIL−3MSC(46−76)αCOSNBに、前述したpHで添加することにより開始され、そして反応はUVによってモニターされる。ここで置換されたアリールチオレート脱離基は、特徴的な吸収を412nm(εTNB,412nm=13,700dm3 mol−1cm−1)に有する。pH7.0で反応は本質的に5分間以内に完了する。MSC(46−76)αCOSNBがpH5.0でLeu−エンケファリン(アミノ末端残基Tyr)の10倍モル過剰量(10−fold molar excess)に晒らされる時、反応は観察されない。この対照実験は、連結部位に於いてアミノ末端Cys残基が絶対的に必要であることを確認する。
精製IL−3[Cys77](77−95)0.98mMおよびIL−3(46−76)αCOSNB 0.9mMを8M尿素、pH5.0、50mM酢酸アンモニウム緩衝液中、23℃で反応させた。反応は分析的逆相9C18(22.5−45%アセトニトリル(分当り0.7%,214nm)でモニターした。1時間後、連結反応溶液を還元剤トリス(2−カルボキシエチル)フォスフィン(TCEP)にpH9.0で晒らし、そしてMSC保護基を取り除くために続いてpH13.0まで上昇させる。ここでTCEPとの処理は、ペプチド形成物と共に溶出する傾向のあるチオフェノールとベンジル メルカプタン ジスルフィド生成物を還元することによって生成物の精製および分析の助けになることが見い出された。
Figure 0003599346
スキーム6は、HPLCによる反応の進行度を示す。すなわち、出発ペプチドの粗生成物への変換が示されている(スキーム6)。50残基生成物は、電子スプレー質量分析によって予想された質量(実測値5747.0ドルトン、計算値(平均同位体組成)5747.4ドルトン)を有する。連結生成物は、高pH、還元条件に安定であることが示され、そして分子内ジスルフィド結合を形成する。これらの観察は、連結部位での天然型結合の存在と矛盾しない。
類似の方法は、保護基の除去、または中間体の最終形態への変換、あるいはその両方の工程を必要としてきた。ジェー ブレークら、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 17巻 273頁 1981年;ケンプら、ジャーナル オーガニック ケミストリー 58巻 2216頁 1993年;リューら、ジャーナル アメリカン ケミカル ソサィエティ 116巻 4149頁 1994年を参照。以前のどのような方法も、保護されていないペプチド断片が直接、天然型バックボーンの最終生成物を形成することを可能にしなかった。
実施例3
IL−8(34−72)断片(配列番号9)は、ケントら(インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 40巻 180頁 1992年)によって記載された最適化段階的固相法で合成される。そして60−80残基のペプチドを良好な収率および高純度で与える。ペプチド−αCOSHは、チオエステルリンカーを備えるアミノメチル樹脂上での最適化された段階的固相ペプチド合成によって調製される。チオエステルリンカーは、ジェー ブレーク、インターナショナル ジャーナル ペプチド プロテイン リサーチ 17巻 273頁 1981年;ディー ヤマシロおよびシー エイチ リー 同上 31巻 322頁 1988年から採用され、一般化された方法によって調製される。生成物は引き続いて標準的な逆相HPLC条件で精製され、そして電子スプレー質量分析を含む標準的方法によって同定される。
Figure 0003599346
粗合成断片IL−8(1−33)αCOSH(配列番号7)は、6Mグアニジン−HCl、100mM酢酸ナトリウム緩衝液中、pH4.6で臭化ベンジル(15当量)との反応によってチオベンジルエステルに変換される。反応混合物は、標準逆相HPLC条件下で精製され、チオベンジルエステル、IL−8(1−33)αCOSBn(配列番号8)を形成する(スキーム7)。
IL−8(1−33)αCOSBn(配列番号8)(5.0mg、1.3μmol)とIL−8(34−72)(配列番号9)(4.8mg、1.1mmol)を0.5ml 6.0Mグアニジン−HCl中、pH7.6(リン酸緩衝液)、23℃でベンジルメルカプタン(5ml)の存在下、反応させた。適当な反応時間後(48−72時間)、約60%の連結反応収率が得られた。生成物は上記のような標準的逆相HPLCで精製され、そして電子スプレー質量分析によって同定された。
スキーム8Bには、合成ペプチドIL−8(1−33)αCOSBzl断片およびIL−8(34−72)断片の反応前の分析HPLCスペクトル(C18逆相、25−45%アセトニトリル(分当り1%)、215nmでモニター)が示されている。
スキーム8Cには、精製された連結反応生成物、IL−8(1−72)(SH)4(配列番号10)の完全に還元された形態での分析HPLCスペクトル(C18逆相、25−45%アセトニトリル(分当り1%)、214nmでモニター)が示されている。挿入されている(inset)のは、電子スプレー質量分析スペクトル(生のデータが単一電荷状態として示されている)で、観測分子量が8319.8ダルトンで、計算分子量(平均同位体組成物)が8319.8ダルトンである。
スキーム8Dに示すように、精製された1−72連結生成物の空気酸化は、折りたたまれた[Ala33]IL−8分子(HPLCで精製後として示されている)を生じる。折りたたまれた、ジスルフィド橋かけ結合した天然型タンパク質の還元されたペプチドと比較してのより早い溶出は、典型的である。ルイスら、FEBレターズ 307巻 97頁 1989年;ルイスら、ジャーナル バイオロジカル ケミストリー 269巻 16075頁;ルイスら、バイオケミストリー 30巻 3128頁 1991年を参照。
フォールディングおよび酸化条件は、ポリペプチド0.2mg/ml、1Mグアニジン−HCl、pH8.5トリス緩衝液、そして空気中、環境温度での激しい撹拌である。挿入されているのは、酸化および折りたたまれた合成IL−8電子スプレー質量分析スペクトル(生のデータが単一電荷状態として示されている)で、実測分子量が8315.6ドルトンで、計算分子量(平均同位体組成物)が8315.8ドルトンである。(スキーム8)。
実施例4 HIV−1 K41 プロテアーゼ(未公表条件)
連結反応は、いくつかの方法で実施される。(5−チオ−2−ニトロ安息香酸)SNBチオエステルを含む連結反応のための最適の手順は、2つのペプチド、すなわちHIV(1−40)−COSNB(配列番号11であり、ここで述べた標準条件から形成した)およびHIV(41−99)(配列番号12であり、ここで述べた標準条件から形成した)を固体のまま同一の容器内で秤量し、そして6.0MグアニジンHClを100mM酢酸ナトリウムとともにpH6.5で添加することである。ここでペプチドのおおよその濃度は、各々のペプチドについて7−13mg/mlである。
5分後に、約2%のチオールを添加する。2種類のチオール触媒が用いられてきた。すなわち、ベンジルメルカプタン(溶液中(insitu)、ベンジルチオエステルを形成する、配列番号13)およびチオフェノール(溶液中、フェニルチオエステルを形成する。配列番号14)である。HIV PRの連結反応に於いて、ベンジルメルカプタンとの反応は、40時間で60%以上の生成物収率を与え、一方チオフェノールは10時間で80%以上の生成物収率を与え、HIV−1 K41 プロテアーゼ(配列番号15)を形成した。
TCEPとの続く処理は、ペプチド生成物と共に溶出する傾向のあるチオフェノールとベンジル メルカプタン ジスルフィド 生成物を還元することによって、生成物の精製および分析の助けとなることが見い出された。生成物は上記の標準的な逆相HPLC条件で精製され、そして電子スプレー質量分析によって固定された(スキーム9)。
実施例5 バルナーゼ例(未公表条件)
2つのペプチド、すなわちバルナーゼ(1〜48)−SNB(配列番号16であり、ここで述べた標準条件から形成した)およびバルナーゼ(49〜110)(配列番号17であり、ここで述べた標準条件から形成した)を固体のまま同一の容器内で秤量し、そしてpH7.5緩衝液(6Mグアニジン 100mMリン酸塩)に溶解した。ペプチドを溶解すると直ちに2%ベンジルメルカプタン(溶液中、ベンジルチオエステルを形成する、配列番号18)または4%チオフェノール(溶液中、フェニルチオエステルを形成する、配列番号19)を添加した。7時間後、ベンジル メルカプタン反応は25%進行し、そしてチオフェノール反応は90%を越えて進行して、バルナーゼ(1〜110)(配列番号20)を形成した。反応生成物は、上記のような標準的逆相HPLCによって精製された(スキーム10)。
チオールの添加は、チオエステルの反応性を、特にもし添加したチオールが予め形成したチオエステルより良い脱離基であるならば、増加させる。チオフェノールの反応への添加によってベンジルエステルがフェニルエステルに変換される場合が、この観察の実例である。反応収率および反応速度は、実質的に増加する。例えば、ベンジル メルカプタンを用いると7時間後、バルナーゼ反応の収率は25%であったが、同一の反応混合物へチオフェノール処理を施すと90%の収率でバルナーゼ(1−110)(配列番号20)を与えた。
連結混合物へのチオールの添加は、また反応混合物を還元形態に保つ。これは反応性N−末端Cys残基の酸化を防止し、そして内部Cys残基が存在する場合、チオールは分子間ジスルフィド結合の形成を減少させる。
Figure 0003599346
さらに、還元的雰囲気は、チオエステル断片の安定性を増加させる。連結反応は、pH7.5に於いてほとんどまたは全く加水分解なしで、一晩で進行できる。
Figure 0003599346
[配列表]
(1)一般的情報
(i)出願人
(A)名称:ザ スクリップス リサーチ インスティテュート
(B)番地:10666 ノース トーリー パインズ ロード スウィート220 メールドロップ TPC8
(C)都市名:ラホヤ
(D)州名:CA
(E)国名:USA
(F)郵便番号(ZIP):92037
(G)電話:619−554−2937
(H)ファックス:619−554−6312
(ii)発明の名称:天然型化学連結反応によるタンパク質の合成
(iii)配列数:20
(IV)コンピューター読み出し形態
(A)媒体の型:フロッピーディスク
(B)コンピューター:IBM PC コンパチブル
(C)オペレーティング システム:PC−DOS/MS−DOS
(D)ソフトウェア:パテントリリース1.0、バージョン1.25(EPO)
(V)現在の出願データ
(A)出願番号:PCT/US
(B)出願日:1995年5月4日
(2)配列番号1についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:5アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:5
(D)他の情報:/ラベル=COSH
注)「ここでCOSHは、チオ酸である。」
(xi)配列記載:配列番号1
Figure 0003599346
(2)配列番号2についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:6アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(xi)配列記載:配列番号2
Figure 0003599346
(2)配列番号3についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:5アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:5
(D)他の情報:/ラベル=COSBn
注)「ここでCOSBnは、ベンジルチオエステルである。」
(xi)配列記載:配列番号3
Figure 0003599346
(2)配列番号4についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:5アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:5
(D)他の情報:/ラベル=X
注)「ここでXは、N−アセチル−システイン−チオエステルである。」
(xi)配列記載:配列番号4
Figure 0003599346
(2)配列番号5についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:11アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(xi)配列の記載:配列番号5
Figure 0003599346
(2)配列番号6についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:5アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:5
(D)他の情報:/ラベル=SCH2COOH
注)「ここでSCH2COOHは、2−チオ酢酸である。」
(xi)配列記載:配列番号6
Figure 0003599346
(2)配列番号7についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:33アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:33
(D)他の情報:/ラベル=COSH
注)「ここでCOSHは、チオ酸である。」
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:1
(D)他の情報:/ラベル=MSC
注)「ここでMSCは、2−メチル−スルフォニル−エチロキシ−カルボニルである。」
(xi)配列の記載:配列番号7
Figure 0003599346
(2)配列番号8についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:33アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:33
(D)他の情報:/ラベル=COSBn
注)「ここでCOSBnは、ベンジルチオエステルである。」
(xi)配列の記載:配列番号8
Figure 0003599346
(2)配列番号9についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:39アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(xi)配列の記載:配列番号9
Figure 0003599346
(2)配列番号10についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:72アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:72
(D)他の情報:/ラベル=SH4
(xi)配列の記載:配列番号10
Figure 0003599346
(2)配列番号11についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:40アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:40
(D)他の情報:/ラベル=COSNB
(xi)配列の記載:配列番号10
注)「ここでCOSNBは、5−チオ−2−ニトロ安息香酸エステルである。」
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:27
(D)他の情報:/ラベル=Xaa
注)「ここでXaaは、2−アミノ酪酸である。」
(xi)配列の記載:配列番号11
Figure 0003599346
(2)配列番号12についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:59アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:27
(D)他の情報:/ラベル=Xaa
注)「ここでXaaは、2−アミノ酪酸である。」
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:55
(D)他の情報:/ラベル=Xaa
注)「ここでXaaは、2−アミノ酪酸である。」
(xi)配列の記載:配列番号12
Figure 0003599346
(2)配列番号13についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:40アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:40
(D)他の情報:/ラベル=COSBn
注)「ここでCOSBnは、??である。」
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:40
(D)他の情報:/ラベル=COSBn
注)「ここでCOSBnは、ベンジルチオエステルである。」
(xi)配列の記載:配列番号13
Figure 0003599346
(2)配列番号14についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:40アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:40
(D)他の情報:/ラベル=COSPh
注)「ここでCOSPhは、フェニルチオエステルである。」
(xi)配列の記載:配列番号14
Figure 0003599346
(2)配列番号15についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:99アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:67
(D)他の情報:/ラベル=Xaa
注)「ここでXaaは、アミノ酪酸である。」
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:95
(D)他の情報:/ラベル=Xaa
注)「ここでXaaは、2−アミノ酪酸である。」
(xi)配列の記載:配列番号15
Figure 0003599346
(2)配列番号16についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:48アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:48
(D)他の情報:/ラベル=COSNB
注)「ここでCOSNBは、5−チオ−2−ニトロ安息香酸エステルである。」
(xi)配列の記載:配列番号16
Figure 0003599346
(2)配列番号17についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:62アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(xi)配列の記載:配列番号17
Figure 0003599346
(2)配列番号18についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:48アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:48
(D)他の情報:/ラベル=COSBn
注)「ここでCOSBnは、ベンジルチオエステルである。」
(xi)配列の記載:配列番号18
Figure 0003599346
(2)配列番号19についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:48アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(ix)特徴
(A)名称/キー:修飾部位
(B)位置:48
(D)他の情報:/ラベル=COSPh
注)「ここでCOSPhは、フェニルチオエステルである。」
(xi)配列の記載:配列番号19
Figure 0003599346
(2)配列番号20についての情報
(i)配列特性
(A)配列の長さ:110アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:1本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子の型:ペプチド
(xi)配列の記載:配列番号20
Figure 0003599346

Claims (5)

  1. 第1のオリゴペプチドと、第2のオリゴペプチドとを末端同士で連結して、オリゴペプチド生成物を製造する方法であって、
    工程A:第1と第2のオリゴペプチドを反応溶液中で混合させること;前記第1のオリゴペプチドは、C−末端チオエステルを含む;前記第のオリゴペプチドは、酸化されていないスルフヒドリル側鎖を有するN−末端システインを含む;次いで
    工程B:前記N−末端システインの酸化されていないスルフヒドリル側鎖を、前記C−末端チオエステルと縮合させ、前記第1と第2のオリゴペプチドをβ−アミノチオエステル結合でリンクする中間体オリゴペプチドを製造すること;そして、次いで
    工程C:前記工程Bの中間体オリゴペプチドのβ−アミノチオエステル結合を転位させ、前記第1と第2のオリゴペプチドとをアミド結合でリンクするオリゴペプチド生成物を製造すること、
    を含み、前記工程Aに於いて反応溶液中に触媒チオール が添加され、該触媒チオールは、(a)芳香環またはヘ テロ芳香環に直接付着した共役しているチオールまたは チオレートであり、(b)触媒作用濃度で存在してお り、且つ(c)前記C−末端チオエステルを形成せしめ るチオールとは異なることを特徴とする、前記方法。
  2. 触媒チオールは、C−末端チオエステルを 形成せしめるチオールよりも適した脱離基である、請求 項1に記載の方法。
  3. 前記工程Aに於いて、触媒チオールは、チオフェノール、1−チオ−2−ニトロフェノール、2−チオ安息香酸、2−チオ−ピリジン、4−チオ−2−ピリジンカルボン酸および4−チオ−2−ニトロピリジンからなる群より選ばれる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記工程Aにおいて、共役しているチオールは、チオフェノールである請求項3に記載の方法。
  5. C−末端チオエステルを有するオリゴペプ チドが以下の工程からなる方法によって製造される、請 求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法:
    工程A:酸化されていないチオールを備えるリンカーを有する樹脂を用意すること;
    工程B:Boc−アミノ酸スクシンイミドエステルを用意すること;次いで
    工程C:前記工程Aの樹脂と、前記工程BのBoc−アミノ酸スクシンイミドエステルとを、Boc−アミノチオエステル−樹脂を製造するための反応条件下で、混合すること;次いで
    工程D:段階的固相ペプチド合成によって、オリゴペプチドを前記Boc−アミノチオエステル−樹脂上へ組み立てること;次いで
    工程E:前記工程DのBoc−アミノチオエステル−樹脂をH Fで開裂し、C−末端チオールを有するオリゴペプチドを製造すること;そして、次いで
    工程F:前記工程EのC−末端チオールを有するオリゴペプチドを、C−末端チオエステルを有するオリゴペプチドへ変換すること。
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