JP3598868B2 - 熱間圧延線材の製造方法 - Google Patents

熱間圧延線材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、熱間圧延による線材の製造方法に関し、より詳しくは、熱間圧延後にレーイング式捲取機を用いて捲き取った線材をステルモアタイプのコンベア上に展開して直接軟化処理することにより、表層部に異常組織、具体的には脱炭相を有しない軟質組織の熱間圧延線材を得る方法に関する。
【従来の技術】
【0003】
熱間圧延で製造されたJIS G 3502に規定されるピアノ線材、同G 3507に規定される冷間圧造用炭素鋼線材、さらには同G 4051,同G 4104、同G 4105などに規定される機械構造用炭素鋼と合金鋼、同G 4805に規定される軸受鋼、同G 4801に規定されるばね鋼および同G 4401などに規定される工具鋼などを母材とする線材は、2次加工、3次加工と称される伸線、引抜き、切断、鍛造、切削などの冷間での加工工程を経て所要の製品に仕上げられる。
【0004】
しかし、上記の熱間圧延されたままの線材の多くは、通常、その組織中にパーライト相、べーナイト相あるいはマルテンサイト相といった硬質相を有し、冷間加工性が劣る。したがって、これらの線材の製造時には、熱間圧延後に焼鈍や球状化などの軟化熱処理を施して強度を下げることで延性を高め、冷間加工性を向上させる方法が採られてきた。
【0005】
ところが、上記の軟化熱処理には、10〜20時間という長時間を必要とすることが多い。このため、生産性の向上や省エネルギーの観点から、圧延のままで軟化熱処理を施した場合と同等の軟化組織を得ることができる、いわゆる「直接軟化処理」に対する要望が大きくなってきた。
【0006】
そこで、線材の連続熱間圧延における圧延条件や冷却条件を種々調整して線材の冷却速度を調整し、軟化組織を得る方法が種々提案されている(例えば、特公昭60−56208号公報、特開昭62−180023号公報、同62−199718号公報、同63−293122号公報、特開平3−64420号公報、同4−268028号公報および同4−32514号公報)。
【0007】
すなわち、上記各公報のうち、特公昭60−56208号公報、特開昭62−180023号公報、同63−293122号公報および特開平4−268028号公報に示される方法は、いずれも、圧延後の線材をコイル状に捲き取った後に徐冷する方法である。しかし、この方法は、圧延後の線材をコイル状に捲き取るために、線材どうしが極めて密に接触するので、線材密度が高くなる。その結果、線材内部の冷却速度が極めて遅くなり、軟質組織は得られるが、線材の表層部に脱炭相が生じて異常組織が発生することがあるという欠点を有している。また、スケール性状が不均一になることが避け難く、このために脱スケール工程が複雑になるという欠点も有している。
【0008】
特開昭62−199718号公報に示される方法は、圧延後、パーライト変態が終了するまでの温度域を15℃/分以下の冷却速度で徐冷するか、または、圧延後直ちに680〜730℃の温度域にパーライト変態が終了するまで保持した後放冷する方法である。これらの方法によれば、確かに軟質組織が得られる。しかし、680〜730℃の温度域に長時間保持された場合に線材の表層部に脱炭相が生じ、上記の場合と同様に、異常組織が発生することがあるという欠点を有している。
【0009】
特開平3−64420号公報に示される方法は、レーイングヘッドから吐出された線材をステルモアコンベアタイプのコンベアで搬送しつつ冷却する際、650±10℃の温度域に少なくとも3分間保持する条件で冷却を行うことで、実質上ベイナイト相を含まないフェライト相とパーライト相の二相組織にする方法である。しかし、この方法は、Cr、Mo、NiおよびMnなどを多く含む焼入性の高い合金鋼(例えば、JIS G 4105に規定されるSCM430やSCM440)の線材の製造には適用できないという欠点を有している。すなわち、上記のSCM430やSCM440に代表される焼入性の高い合金鋼は、650±10℃の温度域に少なくとも3分以上保持しただけでは、炭素が濃化したオーステナイト相が未変態で残り、これがその後の冷却でベイナイト相に変態する。その結果、線材の全長で均一な軟質組織が得られず、機械特性が大きくばらつき、その後の2、3次の冷間加工時に断線や割れなどの不具合が生じるためである。
【0010】
特開平4−32514号公報に示される方法は、素材を900〜1250℃に加熱し、880℃以上の温度域で総減面率50%以上の圧延を行い、次いで880℃未満の温度域で減面率10%以上の圧延を行った後、直ちに鋼材の表面温度がMs点〜700℃となるように冷却し、引き続き減面率10%以上の圧延を1回以上施すとともに、圧延機出側での線材の表面温度が750〜880℃になる条件で仕上げ圧延を終了し、この仕上げ圧延後、線材の表面温度が750〜800℃となるように急冷した後捲き取り、700〜500℃の温度域を0.05〜0.7℃/秒の冷却速度で冷却する方法である。しかし、この方法は、捲き取り後、表面温度700〜500℃の温度域を0.05〜0.15℃/秒の冷却速度で冷却するが、この冷却速度が遅いために、線材の表層部に脱炭相が生じる場合があり、異常組織の発生を確実に防ぐことができないという欠点を有している。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、レーイング式捲取機から吐出された線材をステルモアタイプのコンベア上に展開して搬送しつつ冷却する線材の製造方法であり、線材の材質がCr、Mo、NiおよびMnなどを多く含む焼入性の高い合金鋼の場合でも、圧延のままで軟質組織が得られ、かつ表層部に脱炭相などの異常組織がない製品を確実に得ることが可能な線材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の要旨は、次の熱間圧延線材の製造方法にある。
【0013】
重量%で、C:0.31〜1.2%、Si:0.01〜0.23%、Mn:0.01〜2%、Al:0.001〜0.1%、Cr:0〜2%、Mo:0〜0.6%、S:0〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、不純物中のPが0.05%以下の化学組成を有する鋼を素材鋼片として熱間圧延後、捲き取った線材をコンベア上に展開して直接軟化処理する熱間圧延線材の製造方法であって、下記(1)〜(6)の条件で順次処理することを特徴とする熱間圧延線材の製造方法。
【0014】
(1)素材鋼片を900〜1250℃に加熱する。
【0015】
(2)仕上げ圧延前の圧延を、被圧延材の表面温度が650〜750℃の温度範囲に60秒を超えて曝されないように行う。
【0016】
(3)仕上げ圧延を、被圧延材の表面温度700〜900℃、減面率30%以上で行う。
【0017】
(4)仕上げ圧延後、直ちに、被圧延材の表面温度がMs点を超え850℃以下になるように冷却する。
【0018】
(5)次いで、レーイング式捲取機で捲き取り、10〜50本/mのリング密度でコンベア上に展開し、展開したリングの最低温部の温度が650℃以上(但し、650℃を除く)で、かつ最高温部の温度が800℃以下になるまで冷却する。
【0019】
(6)その後、リング密度を150〜500本/mとした後、冷却速度0.15〜2℃/秒で500℃まで冷却する。
【0020】
なお、上記のリング密度とは、ステルモアタイプコンベア上の長さ方向1m当たりのリング中心線上のリング数を意味する。
【0021】
上記の本発明においては、素材鋼片には、重量%で、C:0.31〜1.2%、Si:0.01〜0.23%、Mn:0.01〜2%、Al:0.001〜0.1%、Cr:0〜2%、Mo:0〜0.6%、S:0〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、不純物中のPが0.05%以下の化学組成を有する鋼を用いる必要がある。
【0022】
上記の本発明は、下記の知見に基づいて完成させた。すなわち、本発明者らは、熱間圧延後、レーイング式捲取機で捲き取った線材をステルモアタイプのコンベア上に展開して搬送しつつ冷却する、いわゆる直接軟化処理において、均一な軟質組織が得られるとともに、製品線材の表層部に脱炭相を生じさせない処理条件を見いだすために、鋭意実験研究を行い、次のことを知見した。
【0023】
製品線材の表層部に発生する脱炭相は、ステルモアタイプのコンベア上での冷却時に発生するが、仕上げ圧延後、直ちに、少なくとも被圧延材の表面温度がMs点を超え、850℃以下になるように冷却し、次いで、レーイング式捲取機で捲き取り、10〜50本/mのリング密度でコンベア上に展開し、展開したリングの最も低温になる部分の温度が650℃以上(但し、650℃を除く)で、かつ最も高温になる部分の温度が800℃以下になるまで冷却した後、リング密度を150〜500本/mにして0.15〜2℃/秒の冷却速度で500℃まで冷却する場合には発生しなくなる。
【0024】
ただし、素材鋼片を1250℃を超えて加熱した場合、仕上げ圧延に入るまでの間に被圧延材をその表面温度650〜750℃の温度範囲に60秒を超えて曝した場合、および仕上げ圧延時における被圧延材の表面温度が700℃未満または900℃超で、かつ減面率30%未満の場合には、いずれも、製品の表層部に脱炭相が生じる。
【発明の実施の形態】
【0025】
以下、本発明の各工程における処理条件を、上記のように定めた理由について詳しく説明する。
【0026】
素材鋼片の加熱温度:
加熱温度が900℃未満では、圧延機に対する負荷が大きくなる。また、鋼片断面内の温度が等しくなるように均一加熱するのに長時間かかり、生産性が低下するだけでなく、圧延時に割れが発生することがある。一方、1250℃を超えて加熱すると、加熱中の脱炭量が急激に増加し、製品線材の表層部に脱炭が発生する。したがって、素材鋼片の加熱温度は、900〜1250℃とした。
【0027】
仕上げ圧延前の圧延:
仕上げ圧延に入るまでの圧延時に、被圧延材をその表面温度が650〜750℃の温度範囲に60秒を超えて曝す、すなわち表面の650〜750℃の温度範囲での滞在時間が60秒を超えると、この時点で被圧延材の表層部のみがフェライト変態し始める。そして、この時に生成したフェライト組織が、後工程のステルモアタイプのコンベア上での冷却時におけるフェライト変態を促進させ、その結果、被圧延材の表層部に多量のフェライト相が生成して製品線材の表層部に脱炭相が形成される。したがって、仕上げ圧延前の圧延は、被圧延材の表面温度が650〜750℃の温度範囲に60秒を超えて曝されない条件で行うこととした。
【0028】
仕上げ圧延:
仕上げ圧延時の被圧延材の表面温度が700℃未満であると、圧延機に対する負荷が大きくなるだけでなく、圧延時に割れが発生することがある。また、被圧延材の表層部にマルテンサイト相やベイナイト相などの硬質の低温変態相からなる過冷却組織が発生し、均一な軟化組織が安定して得られなくなる。一方、上記の表面温度が900℃を超えると、仕上げ圧延中または圧延後の結晶粒が粗大化して焼入性が高くなり、冷却後に上記と同様のベイナイト相などの硬質相が発生し、上記の場合と同様に、均一な軟化組織が安定して得られなくなる。
【0029】
しかし、減面率を30%以上にすると、結晶粒の粗大化が抑制されて焼入性が低下し、冷却後にベイナイト相などの硬質相が生じなくなり、均一な軟化組織が安定して得られるようになる。したがって、仕上げ圧延は、被圧延材の表面温度700〜900℃、減面率30%以上の条件で行うこととした。好ましい減面率は50%以上である。
【0030】
なお、減面率は高ければ高いほどよく、その上限を特に定める必要はないが、70%を超えると加工発熱よって材料温度が上昇し、加工によって得られた微細粒が粒成長を起こして粗大化しやすいので、その上限は70%とするのがよい。
【0031】
仕上げ圧延後の捲き取りと冷却:
本発明においては、仕上げ圧延後の線材を、直ちに冷却してレーイング式捲取機でリング状に捲き取り、次いで保温カバーを有するステルモアタイプのコンベア上に、はじめは小さいリング密度で展開して冷却し、その後、大きなリング密度に展開し直して冷却するという2段階冷却を行う。しかし、その際の捲き取り温度が850℃超、1段階目の展開リング密度が50本/m超であると、冷却速度が遅すぎるために、製品線材の表層部に脱炭相が生じる。一方、捲き取り温度がMs点以下であると、マルテンサイト相が生成し、均一な軟質組織が安定して得られなくなる。
【0032】
さらに、1段階目の展開リング密度を10本/m未満にすると、長大なステルモアタイプのコンベアが必要になり、設備費が嵩む。また更に、1段階目の展開後におけるリングの最低温部の温度が650℃未満になってから2段階目の展開冷却に移行すると、その最低温部の温度が低すぎるために十分に軟化せず、該部にベイナイト相などの硬質相が発生し、均一な軟質組織が安定して得られなくなる。逆に、最高温部の温度が800℃超である間に2段階目の展開冷却に移行すると、その最高温部の温度が高すぎるために該部に脱炭相が発生することがある。このため、2段階目の展開冷却に移行する際には、前記の最低温部の温度が650℃以上(但し、650℃を除く)で、かつ最高温部の温度が800℃以下になるように冷却してから移行する必要がある。
【0033】
また、2段階目の展開冷却時におけるリング密度が500本/m超であると、スケール性状が不均一になり、脱スケール処理が困難になる。一方、リング密度が150本/m未満であると、均一な軟化組織が安定して得られなくなる。さらに、リング密度が150〜500本/mであっても、その際の被圧延材表面の冷却速度が0.15℃/秒未満であると、軟質組織は得られるが、徐冷時間が長すぎるために、製品線材の表層部に脱炭相が発生することがある。逆に、冷却速度が2℃/秒を超えると、焼入性の高い合金鋼などでは十分に軟化せず、ベイナイト相などの硬質相が発生し、均一な軟質組織が安定して得られなくなる。また更に、その際、被圧延材の表面温度が500℃になるまで上記の冷却速度で冷却しないと、未変態オーステナイト相が残存し、これがその後の冷却によってマルテンサイト相などの硬質相を形成し、均一な軟質組織が安定して得られなくなる場合がある。
【0034】
したがって、仕上げ圧延後は、直ちに、少なくとも被圧延材の表面温度がMs点を超え、850℃以上になるように冷却することとした。また、レーイング式捲取機でリング状に捲き取った線材は、10〜50本/mのリング密度でステルモアタイプのコンベア上に展開し、展開したリングの最低温部の温度が650℃以上(但し、650℃を除く)で、かつ最高温部の温度が800℃以下になるまで冷却した後、150〜500本/mのリング密度に展開し直し、0.15〜2℃/秒の冷却速度で500℃まで冷却することとした。
【0035】
なお、仕上げ圧延前の圧延と仕上げ圧延における被圧延材の表面温度は、圧延機を構成するロールスタンド間に水冷装置と温度計を設置し、温度計による測温結果に基づいて水冷装置から噴射する水量を調整することで制御可能である。また、仕上げ圧延前の圧延における滞在時間は、圧延機による圧延速度を調整することで制御可能である。さらに、仕上げ圧延後における被圧延材の表面温度、1段階目の展開冷却から2段階目の展開冷却に移行する際における被圧延材の表面温度、および2段階目の展開冷却時における被圧延材の表面温度とその冷却速度は、圧延機の後段に設けられた水冷装置やステルモアタイプのコンベアに設けられた衝風供給装置を用いることにより制御可能である。
【0036】
次に、上記本発明の方法において、素材鋼片として用いる鋼について説明する。なお、以下において「%」は「重量%」を意味する。
【0037】
本発明の方法に用いる鋼は、C:0.31〜1.2%、Si:0.01〜0.23%、Mn:0.01〜2%、Al:0.001〜0.1%、Cr:0〜2%、Mo:0〜0.6%、S:0〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、不純物中のPが0.05%以下の炭素鋼または低合金鋼である。
【0038】
下、各成分の含有量を上記のように定めた理由について説明する。
【0039】
Cは最終製品の強度を確保するのに有効な元素であるが、0.31%未満では所望の強度が確保できず、1.2%を超えると著しい靱性低下を招くので、その含有量を0.31〜1.2%とした。
【0040】
Siは溶鋼の脱酸および固溶強化による最終製品の強度確保の目的で添加するが、0.01%未満ではこれらの効果が十分でなく、0.23%を超えると逆に靱性低下を招くので、その含有量を0.01〜0.23%とした。
【0041】
Mnは鋼の焼入性を向上させ、最終製品の強度を確保するのに有効な元素であるが、0.01%未満ではその効果が十分でなく、2%を超えるとその効果が飽和し、逆に靱性低下を招くので、その含有量を0.01〜2%とした。
【0042】
Alは溶鋼の脱酸および結晶粒の微細化を目的として添加するが、0.001%未満ではこれらの効果が十分でなく、0.1%を超えるとこれらの効果が飽和し、逆に靱性低下を招くので、その含有量を0.001〜0.1%とした。
【0043】
Pは鋼の結晶粒界や中心部に偏析して靱性を低下させ、特に0.05%を超えると著しい靱性低下を引き起こすので、0.05%以下とした。
【0044】
CrおよびMoは、いずれも、焼入性の向上を通じて最終製品の強度を上昇させる作用を有する元素である。このため、その効果を得たい場合にはこれらのうちから選ばれた1種または2種を添加することができる。その効果は、Crは0.3%以上、Moは0.05%以上で顕著になる。しかし、Crは2%、Moは0.6%を超えて含有させると、熱間圧延のままでベイナイト、マルテンサイト組織を生じて均一な軟質組織が確保できなくなるだけでなく、製品線材の表層部に脱炭相が発生しやすくなる。したがって、CrおよびMoの含有量をそれぞれ、Cr:0〜2%およびMo:0〜0.6%とした。添加する場合のこれら元素の含有量は、Crについては0.3〜2%、Moについては0.05〜0.6%とするのがよい。
【0045】
Sは、被削性を向上させるのに有効な元素である。このため、その効果を得たい場合には添加することができる。その効果は、Sが0.05%以上で顕著になる。しかし、Sは0.1%を超えて含有させると、その効果が飽和し逆に靱性低下を招く。したがって、Sの含有量を0〜0.1%とした。添加する場合の含有量は、0.05〜0.1%とするのがよい。
【実施例】
【0046】
表1に示す化学組成を有する3種類の鋼からなる素材鋼片の角ビレット(140mm角、長さ10m)を準備した。
【0047】
【表1】
Figure 0003598868
【0048】
準備した各角ビレットは、表2に示す各条件にて熱間圧延するとともに、熱間圧延後、レーイング式捲取機でリング状に捲き取り、次いで保温カバーを有するステルモアタイプのコンベア上に展開して直接軟化処理を施すことにより、外径10mmの線材とした。
【0049】
得られた各線材から試験片を採取して引張試験とミクロ観察に供し、引張強さを調べる一方、異常組織である表層部の脱炭相の発生の有無を調査し、その結果を、表2に併せて示した。
【0050】
【表2】
Figure 0003598868
【0051】
表2に示す結果からわかるように、本発明の方法(試番1〜10)によった場合には、いずれも表層部には脱炭相が発生しておらず、引張強さが720MPa以下で軟質の線材が得られた。
【0052】
これに対し、仕上げ圧延前の圧延における被圧延材の表面温度650〜750℃の温度範囲における滞在時間、仕上げ圧延時の被圧延材の表面温度と減面率、仕上げ圧延後のレーイング式捲取機による捲き取り温度、1段階目の展開リング密度と2段階目のリング展開前のリングの最低温部と最高温部の温度、および2段階目の展開リング密度とその際の500℃への冷却速度のうちのいずれか1つ以上が本発明で規定する範囲を外れる比較例の方法(試番11〜20)によった場合には、いずれも表層部に脱炭相が発生していた。また、試番11、12および20は、2段階目の展開冷却時における500℃までの冷却速度が速く、ベーナイト相からなる硬質相が発生したために、引張強さが異常に高く、軟質な線材は得られなかった。
【発明の効果】
【0053】
本発明の方法によれば、熱間圧延のままで表層部に脱炭相からなる異常組織のない軟質な熱間圧延線材が確実に得られる。

Claims (1)

  1. 重量%で、C:0.31〜1.2%、Si:0.01〜0.23%、Mn:0.01〜2%、Al:0.001〜0.1%、Cr:0〜2%、Mo:0〜0.6%、S:0〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、不純物中のPが0.05%以下の化学組成を有する鋼を素材鋼片として熱間圧延後、捲き取った線材をコンベア上に展開して直接軟化処理する熱間圧延線材の製造方法であって、下記(1)〜(6)の条件で順次処理することを特徴とする熱間圧延線材の製造方法。
    (1)素材鋼片を900〜1250℃に加熱する。
    (2)仕上げ圧延前の圧延を、被圧延材の表面温度が650〜750℃の温度範囲に60秒を超えて曝されないように行う。
    (3)仕上げ圧延を、被圧延材の表面温度700〜900℃、減面率30%以上で行う。
    (4)仕上げ圧延後、直ちに、被圧延材の表面温度がMs点を超え850℃以下になるように冷却する。
    (5)次いで、レーイング式捲取機で捲き取り、10〜50本/mのリング密度でコンベア上に展開し、展開したリングの最低温部の温度が650℃以上(但し、650℃を除く)で、かつ最高温部の温度が800℃以下になるまで冷却する。
    (6)その後、リング密度を150〜500本/mとした後、冷却速度0.15〜2℃/秒で500℃まで冷却する。
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