JP3598678B2 - ビスマレイミド樹脂およびそれを含有する接着剤 - Google Patents

ビスマレイミド樹脂およびそれを含有する接着剤 Download PDF

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  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビスマレイミド樹脂およびそれを含有する接着剤に関する。更に詳しくは、有機溶媒可溶性のビスマレイミド樹脂およびそれを含有する接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ビスマレイミドと芳香族ジアミンとのマイケル付加反応による共重合反応は周知であるが、その結果得られるビスマレイミド樹脂は、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点の非プロトン性極性溶媒にしか溶解し得ないという問題がある。このような高沸点溶媒に溶解させたビスマレイミド樹脂をポリイミドフィルムに塗布し、ラミネート法によって銅箔と貼り合せる際、残存した溶媒による発泡という深刻な問題がみられる。また、ビスマレイミド樹脂の剛直な構造から、それから成形されたフィルムは脆く、かつ接着剥離強度が低いという問題も存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低沸点有機溶媒にも可溶性であり、また有機溶媒溶液として調製された溶液をポリイミドフィルムに塗布し、ラミネート法によって銅箔と貼り合せた際、発泡や接着剥離強度が低いという問題もなく、その上柔軟性を有するフィルムを形成し得るビスマレイミド樹脂を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、一般式
Figure 0003598678
[ここで、Rはビス(3−アミノプロピル)基を有するポリエーテル基であり、nは10以上の整数である]で表わされるビスマレイミド樹脂によって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
上記ビスマレイミド樹脂は、式
Figure 0003598678
で表わされる脂環式ビスマレイミド化合物とビス(3−アミノプロピル)基を有するポリエーテル化合物との反応によって得られる。
【0006】
かかる脂環式ビスマレイミド化合物は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと無水マレイン酸とを反応させることによって容易に製造することができる。この反応では、一般に1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに対して2倍モル量の無水マレイン酸を用い、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類またはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒などを反応溶媒として、約0〜15℃の反応温度で行われる第一段階の反応がまず行われ、次のような式で表わされるビスマレアミック酸を中間体として形成させる。
Figure 0003598678
【0007】
第二段階の反応は、一般には形成されたビスマレアミック酸を特に分離することなく、その反応混合物にトリエチルアミン等の塩基性触媒をビスマレアミック酸に対して約0.01〜0.1となるモル比で加え、更に無水酢酸等の脱水剤をビスマレアミック酸に対して約1〜3となるモル比で加え、約15〜50℃の反応温度で約1〜3時間程度反応させることによって行われ、そこに脱水、環化反応生成物たる脂環式ビスマレイミド化合物を生成させる。得られた脂環式ビスマレイミド化合物は、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等に可溶性である。
【0008】
また、脂環式ビスマレイミド化合物と反応するジアミン化合物としては、次のようなビス(3−アミノプロピル)基を有するポリエーテル化合物が用いられる。
1,4−ブタンビス(3−アミノプロピル)エーテル
NCOCHCHCHCHOCNH
エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル
NCOCHCHOCNH
ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル
NCOCHCHOCHCHOCNH
1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
NCOSi(CH OSi(CH3) OCNH
α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン
NC[OSi(CH OSi(CH ]nOCNH
n=〜20
ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン
NCSi(CH O[Si(CH O]nSi(CH NH
n=0〜20
【0009】
これら両者間の共重合反応は、脂環式ビスマレイミド化合物1モルに対してビス(3−アミノプロピル)基を有するポリエーテル化合物が0.1モル以上、好ましくは0.1〜1モルの割合で用い、好ましくはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン等の非プロトン性極性溶媒中で、室温乃至加熱還流条件下で1〜3時間程度反応させることによって行われる。反応終了後、生成した共重合体は、n−ヘキサン再沈によって精製される。
【0010】
得られたビスマレイミド樹脂は、ポリイミドフィルムに塗布する際流れ出ないように、nが10以上、好ましくは15〜25の値を有しており、クロロホルム、2−メトキシエタノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の単独溶媒のみならず、メチルエチルケトンまたはテトラヒドロフランとジメチルホルムアミドとの重量比約90〜70:約10〜30の混合溶媒に可溶性である。
【0011】
このビスマレイミド樹脂は、例えばメチルエチルケトン−ジメチルホルムアミド(重量比90:10)混合溶媒に溶解させた後、ポリイミドフィルムに塗布し、80℃、5分間の予備乾燥(B−ステージ)を行い(この段階で得られたフィルムは柔軟性を有する)、更にこの塗布面に銅箔をラミネート法により貼り合わせ、約180〜220℃のオーブン中で加熱硬化させると、150℃での接着剥離強度にすぐれた接着物が得られる。
【0012】
【発明の効果】
本発明によって得られるビスマレイミド樹脂は、非プロトン性極性溶媒のみならず、これとメチルエチルケトン、テトラヒドロフランとの混合溶媒であって後者を主成分とするものやクロロホルム等の低沸点有機溶媒にも可溶性である。
【0013】
そして、このような溶解性の良いビスマレイミド樹脂を有機溶媒溶液として調製した接着剤は、これをポリイミドフィルムに塗布して乾燥させると、この段階で得られたビスマレイミド樹脂フィルムは柔軟性を有し、更にこの塗布面に銅箔をラミネート法で貼り合わせ、加熱硬化させると、発泡がみられず、しかも接着剥離強度の良好な接着物が得られる。
【0014】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0015】
実施例1
1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル0.3重量部をジメチルホルムアミドの80重量%溶液として調製し、この溶液を120℃に昇温した後、還流しながら前記式で表わされる脂環式ビスマレイミド化合物1重量部を加え、1時間撹拌した。反応終了後、その重合溶液をその固型分濃度が30重量%になるようにメチルエチルケトンを3.5重量部添加する。
【0016】
このようにして得られたビスマレイミド樹脂のメチルエチルケトン−ジメチルホルムアミド(重量比80:20)混合溶媒溶液を接着剤として用い、これをポリイミドフィルムに塗布し、80℃、5分間の予備乾燥(B−ステージ)を行った後、銅箔と貼り合わせ、180℃で12時間加熱硬化させた。得られた接着物について、ポリイミドフィルム−ビスマレイミド樹脂フィルム間の接着剥離強度(150℃)を測定すると0.9kg/cmであった。
【0017】
なお、用いられた脂環式ビスマレイミド化合物は、次のようにして製造された。撹拌機、温度計および滴下ロートを備えたセパラブルフラスコに、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン71g(0.5モル)およびメチルイソブチルケトン284gを仕込み、溶解させた後、そこにメチルイソブチルケトン392gに無水マレイン酸98g(1モル)を溶解させた溶液を室温条件下で滴下した後、更に1時間撹拌した 。引き続き、トリエチルアミン5g(0.05モル)および無水酢酸51g(0.5モル)を添加し、更に3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を水中に投入し、析出した結晶142g(収率90%)を目的物として回収した。
融点:142〜144℃
H−NMR:6.8ppm(ビスマレイミドの二重結合)
Figure 0003598678
【0018】
実施例2
実施例1において、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテルの代わりに、同量のジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテルを用いると、得られた接着物の接着剥離強度(150℃)は0.9kg/cmであった。
【0019】
実施例3
実施例1において、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテルの代わりに、同量のビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(n=4)を用いると、得られた接着物の接着剥離強度(150℃)は0.8kg/cmであった。
【0020】
比較例
無水マレイン酸と4,4´−ジアミノベンズアニリドとから得られた芳香族ビスマレイミドを、実施例1と同様の手法でマイケル付加反応を行い、ビスマレイミド樹脂を得た。得られたビスマレイミド樹脂は、メチルエチルケトン−ジメチルホルムアミド(重量比10:90)混合溶媒には不溶性であった。また、このビスマレイミド樹脂をジメチルホルムアミドに溶解させ、その溶液をポリイミドフィルムあるいは銅箔に貼り合わせようとしたが、樹脂が脆くて接着性を示さなかった。

Claims (2)

  1. 一般式
    Figure 0003598678
    [ここで、Rはビス(3−アミノプロピル)基を有するポリエーテル基であり、nは10以上の整数である]で表わされるビスマレイミド樹脂。
  2. 請求項1記載のビスマレイミド樹脂の有機溶媒溶液よりなるビスマレイミド樹脂系接着剤。
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