JP3598571B2 - 鍵盤楽器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、鍵盤に連動して動作し弦を打撃するアクション機構を備えた鍵盤楽器に関し、特にハンマーによって弦を直接打撃する通常演奏と、打弦時に弦の振動を抑制し演奏音を弱音化させる弱音演奏(あるいは消音演奏)を選択的に切り替え得るようにした鍵盤楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
鍵盤の押鍵操作に連動して動作するアクション機構によって弦を打撃するグランドピアノ、アップライトピアノ等の鍵盤楽器においては、演奏音量が大きいことから、演奏音量を選択的に小さくする弱音機構を備えている。この弱音機構としては、ペダル操作によってマフラーフェルトと呼ばれるクッション材を弦とハンマーとの間に選択的に介在させるものがある(以下先行技術1という)。
【0003】
また、弱音装置の別の従来例としては、たとえば特公昭54−40013号公報(以下先行技術2という)に開示されたものも知られている。この先行技術2は、複数本張設された弦相互間からハンマー方向に突出する足を有する可動片を各音高の弦それぞれに対応して設けるとともに、各可動片をばねによってハンマー方向に付勢し、通常演奏時にはハンマーが可動片を打撃しないように可動片を弦から十分離間させておき、弱音演奏時には弦間から可動片の足を突出させて可動片を介してハンマーが弦を打撃することでハンマーを減速させ、その打撃力を弱めるようにしたものである。
【0004】
さらにまた、最近では楽器の多様化に伴い、通常演奏と、打弦音を全く発生させない演奏(消音演奏)を切替え可能にした鍵盤楽器も提案されている。このような鍵盤楽器においては、鍵の動きを検知するキーセンサ、ペダルセンサ等のセンサを組み込んでおくことにより、打弦を通じて弦を振動させて発音する通常演奏時においては自然ピアノの演奏を行うことができ、消音演奏時には弦を発音させずセンサによって楽音制御回路を制御し電子音を発生させる電子ピアノの演奏を行うことができる。打弦音を発生させない具体的方法としては種々提案されているが、その一例として本出願人が先に提案した特願平5−347216号に開示しているような消音装置(以下先行技術3という)がある。この先行技術3は、通常演奏時にはハンマーによる打弦を阻止せず、非打弦演奏時にハンマーが打弦する直前にハンマーシャンクの回動を阻止する阻止機構と、弦に対して当接・離間自在に配設され、非打弦演奏時に弦とハンマーとの間に介在される第1の減音手段と、同じく非打弦演奏時に前記弦に前記第1の減音手段とは反対側から、かつ前記ハンマーによって打撃される部位とは異なった部位に当接される第2の減音手段とで構成したものである。この消音装置によれば、消音時には、ハンマーシャンクの回動を阻止することでハンマーは減速されて弦を打撃するとともに、第1および第2の減音手段で弦の振動を抑制することにより、音程感のある音の発生を防ぐことができる。
【0005】
また、打弦音を発生させない具体的方法の他の例として本出願人が先に提案した特開昭61−289393号公報に開示されているような消音装置(以下先行技術4という)がある。この先行技術4は、通常演奏時には押鍵される鍵がダンパー機構を弦から離間させることで発音を可能にし、消音演奏時には押鍵されてもダンパー機構が弦から離れないようにして打弦音を発生させないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の鍵盤楽器においても以下に述べるような問題があった。
すなわち、先行技術1は、ハンマーがマフラーフェルトを介して弦を打撃するので音をある程度まで弱音化できるが、音程感のある音を微弱に発音する、あるは音程感のある音を完全に発音させないようにするということはできなかった。また、先行技術2は、可動片によりハンマーを減速させるようにしているので音をある程度まで弱音化できるが、弦の振動を抑制するものではないので、音程感のある音を微弱に発音する、あるいは音程感のある音を完全に発音させないようにするということはできなかった。
さらに、先行技術3は、阻止機構によりハンマーシャンクの回動を打弦直前に停止させているため、鍵のタッチをある程度犠牲にしなければならないという問題があった。すなわち、打弦音を完全に発生しないようにするためには、阻止手段によりハンマーシャンクの回動が停止された時点におけるハンマーと弦との距離は、ハンマーシャンクの撓み等を考慮すると、たとえば10mm程度必要である。言い換えると、ハンマーと弦との距離が10mm程度になった時にハンマーシャンクの回動を阻止するように阻止機構を設ける必要がある。この時、ハンマーの接近を従来のピアノと同じ(低音域3mm、中音域2.5mm、高音域2mm)に設定した場合、ジャックがバットの下部から脱進する前に、ジャックおよび阻止機構によってバットが挟み込まれて止まってしまい、ピアノ的な演奏(たとえば連打)ができなくなる。これを防止するためにはジャック小とレギュレチングボタンとの距離を短縮してジャックの脱進時期を早めに調整し、ハンマーの接近を通常より広く、たとえば10mm以上にしなければならない。しかし、ハンマーの接近を通常より広くすると、鍵のタッチが浅く感じるようになる。また、早めの脱進によりジャックのバットに対する供給エネルギが減少するため、通常演奏時のハンマーの衝撃力も弱くなり、打弦による音色が変化してしまう。 さらに、阻止機構、第1および第2の減音手段を設ける必要があり、構造が大規模にならざるを得なかった。
さらにまた、先行技術4は、消音演奏時には、鍵を押したときに鍵がダンパー機構を持ち上げないので、ダンパー機構の負荷が鍵に作用せず、鍵のタッチ感が軽くなってしまうという問題があった。
【0007】
したがって、この発明は上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、簡単な構造で、かつ鍵タッチ感を何等変えることなく通常演奏と弱音あるいは消音演奏を選択的に切り替えることができるようにした鍵盤楽器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、弱音演奏時に弦とハンマーとの間に介在されるマフラー機構と、前記弦の打弦点もしくはその近傍に対応して前記ハンマーとは反対側に配設された振動抑制手段とを備え、この振動抑制手段は、通常演奏時においては前記弦から離間されており、弱音あるいは消音演奏時に前記弦の打弦点もしくはその近傍に当接され、前記マフラー機構とで弦を挾み込むことを特徴とする。
また、この発明は、振動抑制手段、楽器本体側に固定された伸縮自在なエアバックと、このエアバックに固着されたクッション材とを備え、弱音あるいは消音演奏時に空気の供給によってエアバックを膨張させ、クッション材を弦に押し付けることを特徴とする。
また、この発明は、マフラー機構と振動抑制手段とが弱音あるいは消音演奏時に互いに連動して動作することを特徴とする。
さらに、この発明は、鍵盤の操作を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に応じて電子的に楽音信号を発生する楽音信号発生手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
【作用】
この発明において、振動抑制手段は弱音演奏時に弦の打弦点もしくはその近傍をハンマーとは反対側から押圧する。ハンマーは、振動抑制手段が接触している弦を打撃する。
マフラー機構は、弱音演奏時にハンマーと弦との間に介在されることによりハンマーの打撃力を弱める。
弱音あるいは消音演奏時に振動抑制手段とマフラー機構とで弦を挟み込むことにより、ハンマーの打撃力を弱めると同時に弦の振動を阻止する。
振動抑制手段のエアバックは、弱音あるいは消音演奏時に空気が供給されることにより膨張し、クッション材を弦に押し付ける。
マフラー機構と振動抑制手段とは弱音あるいは消音演奏時に互いに連動して動作し、通常演奏状態または弱音演奏状態から消音演奏状態に切り替える。
楽音信号発生手段は、鍵盤の操作が検出されることにより電子的に楽音信号を発生する。
【0010】
【実施例】
以下、この発明を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
図1はこの発明をアップライトピアノに適用した場合の第1実施例を示す低音域(または中音域)における鍵盤とアクション機構部の断面図、図2は振動抑制手段の一部を破断した斜視図である。図1において、棚板1の上には鍵盤筬2が固定されており、さらにその上に白鍵と黒鍵とからなり鍵盤4を構成する88個の鍵4Aがその略中央部をバランスキーピン5により上下方向に揺動自在に支持されて、かつ各音高の弦3に対応するように並設されている。
【0011】
前記棚板1の後方には支柱アッセンブリ6が略垂直に立設されている。支柱アッセンブリ6は、上桁7、中桁8、大土台(図示せず)、桁裏9等によって枠状体に形成された支柱本体10と、支柱本体10の前面に固定されたピン板11および内廻し12等で構成されている。ピン板11の前面にはフレーム13の上端部が固定されている。内廻し12は枠状に形成されており、その前面に響板14の周縁部が固定されている。フレーム13は、アルミニウム、鋳鉄等の鋳物製で、前記弦3の上下端部を支持する弦受山13aを一体に有し、両側部および下端部が前記内廻し12に響板14を介して固定されている。弦3は、上下端部が前記フレーム13に植設されたチューニングピン16と図示しないフレームピンにそれぞれ係止されることにより所定の張力で張設されている。響板14の前面には中、高音域の弦3の中間部を支持する長駒17と、低音域の弦3の中間部を支持する図示しない短駒が固着されている。このような支柱アッセンブリ6の構造は従来のアップライトピアノの支柱アッセンブリと同様である。
【0012】
前記鍵盤4の上方で弦3の前方には全ての弦3に対して共通に延在するセンターレール18が配設されており、このセンターレール18には各鍵4Aに連動して動作し対応する弦3を打撃するアクション機構19とダンパー機構20が組み付けられている。センターレール18は、鍵4Aの配列方向に並設された3〜4つの図示しないアクションブラケットに共通に固定されている。
【0013】
前記アクション機構19は、ウイペン22、ジャック23、バット24、ハンマーアッセンブリ25、キャッチャ26等で構成されている。
【0014】
前記ウイペン22は、後端が前記センターレール18の下端部に固定されたウイペンフレンジ27にピンを介して上下方向に回動自在に軸支されており、前端側下面に一体的に設けられたウイペンヒール22Aが鍵4Aの上面後端部寄りに植設されたキャプスタン28の上に載置されることにより通常略水平に保持されている。さらにウイペン22の前端側上面にはバックチェックワイヤ29とブライドルワイヤ30が鍵盤4の前方側に所要角度傾斜して植設されている。バックチェックワイヤ29の上端には打弦動作後弦3の反発力およびバットスプリング32の力によって回動復帰するハンマーアッセンブリ25を弾性的に受け止めるバックチェック31が取り付けられている。
【0015】
前記ジャック23は側面視L字状に形成されて、その下端屈曲部が前記ウイペン22の上面に突設されたジャックフレンジ33にピンを介して前後方向に回動自在に軸支されるとともに、ジャックスプリング35によって図1において時計方向の回動習性が付与されている。ジャック23の上方に伸びる一腕はジャック大23Aを形成し、その頂端面がバット24の下面前端部に当接し、前方に伸びる他腕がジャック小23Bを形成し、後述するレギュレチングアッセンブリ36の下方に延在している。
【0016】
前記バット24は、前記センターレール18の肩部に固定されたバットフレンジ37にピンを介して前後方向に回動自在に設けられ、かつ前記バットスプリング32によって図1において反時計方向の復帰習性が付与されている。
【0017】
前記ハンマーアッセンブリ25は、ハンマー38と、ハンマーシャンク39とで構成されている。ハンマー38は、ハンマーウッド38Aと、フェルト等の弾性部材からなるハンマーヘッド38Bとで構成されている。ハンマーシャンク39は、その下端が前記バット24に固定されており、通常ハンマーレール40にフェルト41を介して当接することにより初期位置に係止されている。
【0018】
前記キャッチャ26は、バット24の前面にキャッチャシャンク42を介して取り付けられている。キャッチャ26と前記ブライドルワイヤ30はブライドルテープ43によって互いに連繋されており、これによってハンマーアッセンブリ25の回動復帰をウイペン22の回動復帰に追従させ、ハンマーアッセンブリ25の跳ね返り、弦3の2度打ちを防止するとともに、ハンマーアッセンブリ25の初期位置への復帰を早めるようにしている。
【0019】
前記レギュレチングアッセンブリ36は、88鍵のアクション機構19を複数個のアクション機構19にグループ化した各セクション毎に延設された複数個のレギュレチングレール45と、各ジャック23のジャック小23Bに対応して前記レギュレチングレール45にレギュレチングスクリュウ46を介して並設された複数個のレギュレチングボタン47と、レギュレチングレール45を保持する複数個のレギュレチングブラケット48等で構成されており、このレギュレチングブラケット48が前記センターレール18に固定されている。ジャック小23Bとレギュレチングボタン47との間の距離Dは、ハンマー38が弦3に2〜3mm程度まで接近した時ジャック23がバット24の下部から脱進する距離(3〜5mm程度)に設定されている。この距離Dは、レギュレチングスクリュウ46を回転させてレギュレチングボタン47を上下動させることにより簡単に微調整することができ、Dが大きくなると、ジャック23の脱進時期が遅くなり、反対に小さくなると早くなる。
【0020】
このようなアクション機構19において、鍵4Aの押鍵操作によってウイペン22がキャプスタン28によって突き上げられて時計方向に回動すると、ジャック23がバット24を突き上げてハンマーアッセンブリ25を時計方向に回動させ、これによってハンマー38が押鍵操作された鍵4Aに対応する弦3を打撃する。打弦動作時において、ジャック23はその上昇途中において、ジャック小23Bがレギュレチングボタン47に当接してその上昇運動を阻止されることにより、ジャックスプリング35に抗して反時計方向に回動される。このため、ジャック23はバット24の下部から一時的に脱進する。この脱進時期は、通常演奏時において、ハンマー38が弦3に2〜3mm程度まで接近したときとされる。そして、ジャック23は、ハンマー38による打弦動作後、鍵4Aの復帰動作に伴うウイペン22の回動下降に連動して回動復帰することにより、その上端が再びバット24の下部に入り込み、次の打弦動作を可能にする。
【0021】
前記ダンパー機構20は、ダンパーレバー51と、ダンパーレバー51の上面の植設されたダンパーワイヤ52と、ダンパーワイヤ52の上端に取り付けられたダンパー53等で構成されている。ダンパーレバー51は、中間部が前記センターレール18の上面に固定されたダンパーレバーフレンジ54にピンを介して前後方向に回動自在に軸支されるとともに、ダンパーレバースプリング55によって時計方向の回動習性が付与されており、これによって前記ダンパー53を弦3に押し付けている。この状態において、ある鍵4Aを押鍵操作すると、当該鍵4Aに対応するウイペン22の後端部上面に植設されたダンパースプーン56がダンパーレバー51の下端部を押圧するため、ダンパーレバー51はダンパーレバースプリング55に抗して回動され、ダンパー53を弦3から離間させる。そして、このダンパー53が離間した後、ハンマー38が弦3を打撃することで、通常演奏を可能にしている。
【0022】
なお、ハンマー38による弦3の打弦点Pは各音域の弦3a,3b,3c(図2参照)によって異なり、低、中音弦3a,3bの場合は有効弦長(フレーム13の上方側弦受山13aから長駒17までの弦部分)の1/8の位置(弦受け山13a側から)、高音弦3cの場合は1/20の位置とされる。このため、高音弦3cの打弦点は、低、中音弦3a,3bの打弦点よりも高く、弦受山13aにきわめて近い位置とされる。また、上記したアクション機構19とダンパー機構20は、従来のアップライトピアノのアクション機構およびダンパー機構と全く同様である。
【0023】
さらにこの発明においては、上記した通常演奏に加えて通常演奏時の鍵タッチ感を阻害しないで打弦音を弱めて弱音演奏することができる振動抑制手段62を備えている。この振動抑制手段62は、弱音演奏時に弦3の打弦点Pに対応して、弦についてハンマー38と反対側、すなわち支柱アッセンブリ6側に配置され、弱音演奏時に弦3をハンマー方向に押圧して前記ハンマー38のハンマーヘッド38Bとともに弦3を挾み込むものである。一方、上記の通常演奏時には、振動抑制手段62を弦3の後方に待機させた状態に保持しておく。この状態である鍵4Aを押鍵操作すると当該鍵4Aに連動してアクション機構19が動作してハンマー38が押鍵操作された鍵4Aに対応する弦3を直接打撃する。したがって、大きな演奏音による演奏を行うことができる。
【0024】
前記振動抑制手段62は図1および図2に示すように、全ての弦3に対して共通に延在する押圧部材74と、押圧部材74の弦3と対向する前面に固着されたフェルト等のクッション材75と、押圧部材74を進退移動自在に支持する複数個の軸76と、軸76を後方に付勢する圧縮コイルばね77と、支柱アッセンブリ6に固定され軸76を進退移動自在に軸支する軸受78と、押圧部材74を退避位置と押圧位置の2位置に選択的に切り替える切替手段79等で構成されている。押圧部材74は、低音域および中音域にわたって延設される第1,第2押圧部74a,74bと、高音域にわたって延設される第3押圧部74cとで構成されており、それぞれその弦3と対向する前面側にはクッション部材75が固着されている。また、押圧部材74は、弦3と響板14との隙間に配置されており、第3押圧部74cが上方に折り曲げられて第1、第2押圧部材74a,74bよりも高くなっている。これは低、中音弦3a,3bと高音弦3cの打弦点Pの高さが異なることによる。軸76は響板14に形成された挿通孔80を貫通し、後端が支柱アッセンブリ6の後方に突出している。切替手段79は、両端がピアノ本体の側面を形成する左右一対の親板82間に横架された回転軸83と、回転軸83にそれぞれ固定され各軸76の弦3とは反対側端面に当接する複数個の偏心カム84と、棚板1の下面前端部にホルダー85を介して配設された摘み86と、回転軸83と摘み86を連結するワイヤ87等で構成されている。
【0025】
次に、本実施例の弱音演奏時の動作について説明する。
通常演奏状態から弱音演奏状態に切り替えるには、切替手段79の摘み86を操作してワイヤ87を引き寄せる。これにより偏心カム84が回動して軸76を前進移動させ、クッション部材75を弦3に押し付け、もって通常演奏状態から弱音演奏状態に切り替わる。この状態で鍵盤4の中のある鍵4Aを押鍵操作すると、打弦時にはハンマー38のハンマーヘッド38Bと振動抑制手段62のクッション材75との間に弦3が挟み込まれた状態になる。その結果、ハンマー38の運動エネルギは、ハンマーヘッド38Bと振動抑制手段62のクッション材75とで殆ど吸収され、弦3は余り振動せず、弱音演奏を可能にする。この際、押圧部材74の第1、第2、第3押圧部74a,74b,74cおよびそれぞれ弦3に対応する前面に固着されたクッション材75は、低音域および中音域または高音域にわたって延設されている。したがって、押鍵に応じて回動するハンマー38が有する運動エネルギは、押鍵操作された鍵4Aに対応する音高を有する弦3に対応する箇所の押圧部材74とクッション材75とでだけで吸収されるだけでなく、延設された押圧部材74とクッション材75の中で押鍵操作された鍵4Aに対応する音高を有する弦に対応する箇所以外の領域にわたってハンマー38の運動(衝撃)エネルギを受けるので負荷能力が大きく、ハンマー38の衝撃を大きく吸収することができる。したがって、たとえハンマー38が弦3に衝突しても弦3に対して振動を伝えず、弦3の振動を抑制する。
【0026】
また、この発明によれば、弱音演奏状態においても、押鍵時にダンパー機構20の負荷が鍵に作用するので、上記した先行技術4のように鍵タッチ感が変化するということがなく、通常演奏時と同じ鍵タッチ感が得られる。
【0027】
ここで、高音弦3cの場合は弦受山13aから有効弦長の1/20の位置が打弦点Pで、フレーム13にきわめて近い位置のため、押圧部材74で打弦点Pを押圧する代わりに、打弦点Pの近傍部を押圧してもよい。高音部では振動の振幅が小さく、このような構造においても弦3の振動を抑止し、弱音演奏を可能にする。
【0028】
図3はこの発明の第2実施例を示す鍵盤とアクション機構部の断面図である。
この実施例においては、上記第1実施例と同様な構造のピアノに加えて上記した通常演奏に加えて通常演奏時の鍵タッチ感を阻害しないで打弦音を弱める弱音演奏をすることができる装置90を備えている。この装置90は、弱音演奏時に弦3とハンマー38との間に介挿されるマフラー機構91と、弦3の打弦点Pに対応して弦3についてハンマー38とは反対側に配置され、弱音演奏時に弦3をハンマー方向に押圧し前記マフラー機構91とともに弦3を挟み込む振動抑制手段62とを備えている。
なお、マフラー機構91以外の部分の構成は第1実施例と同様であり、同じ符号を付してある。
【0029】
前記マフラー機構91は、マフラーレール93と、このマフラーレール93に垂下されたフェルト等のマフラーフェルト94と、マフラーレール93を支持する回動アーム95と、回動アーム95に図3において反時計方向の復帰習性を付与するばね96と、切替手段100等で構成されている。マフラーレール93は、金属、プラスチック、木材等の剛性の大きい材料によって側面視逆L字状に形成されている。
【0030】
この場合、マフラーレール93は、図4に示すように低および中音域と高音域とに分けて形成されており、高音域のマフラーレール93bが低、中音域のマフラーレール93aより高い位置に配置されている。その理由は、上記した通り低、中音弦3a,3bと高音弦3cの打弦点Pがそれぞれその有効弦長の1/8と1/20で異なることから、高音弦3cの打弦点の方が低中音弦3a,3cの打弦点Pに比べて高い位置にあるためである。そして、これらのマフラーレール93a,93bは互いに連動して動作するよう構成されている。
なお、マフラーレール93を低、中音域と高音域の2つに分けて形成する代わりに、各音域毎に分割して形成したり、あるいはアクション割りにしたがい全てのアクション機構19を複数のアクション機構19でグループ化した複数のセクション毎に分割して形成されるものであってもよい。
【0031】
前記回動アーム95は中間部が軸98によって上下方向に回動自在に軸支され、かつ前記ばね96によって図3において反時計方向の復帰習性が付与されることにより、通常演奏状態においては前端部下面が第1ストッパ99aに係止されている。この状態において、前記マフラーフェルト94はハンマー38の回動軌道から外れ、弦3のハンマー38によって打撃される部位、すなわち打弦点Pより上方に退避されている。したがって、この状態において鍵4Aの押鍵操作によってアクション機構19を動作させても、ハンマー38はマフラーフェルト94に当接することはなく弦3を直接打撃し、大きな演奏音を発する。
【0032】
前記切替手段100は、棚板1の前端部下面の適宜箇所にホルダ101を介して配設された摘み102と、回動レバー95と摘み102とを連結するワイヤ103等で構成されている。通常演奏状態から弱音演奏状態に切り替えるには、摘み102を操作してワイヤ103を引き寄せ回動レバー95をばね96に抗して図3において時計方向に回動させる。こうすることにより、マフラーフェルト94は弦3に沿って下降してハンマー38の回動軌道内に移動し、回動レバー96が所定角度回動して第2ストッパ99bに当接すると、通常演奏状態から弱音演奏状態に切り換わる。この状態で鍵4Aを押鍵操作するとハンマー38はマフラーフェルト94を介して弦3を打撃するため、弦3に対する打撃力は弱められる。
この場合、上記した振動抑制手段62の切替手段79は弱音演奏時に上記したマフラー機構91と連動して動作することにより、クッション材75を弦3に押し付ける。
【0033】
このような構造からなる鍵盤楽器においては、マフラー機構91と振動抑制手段62を連動させることにより、ハンマー38が弦3を直接打撃する通常演奏と、ハンマー32とマフラー機構91と、振動抑制手段62で弦3を挟み込んだ状態でハンマー38が弦3を打撃する弱音演奏を行うことができる。
すなわち、通常演奏においては、マフラー機構91を打弦点Pより上方の待機位置に待機させ、振動抑制手段62を弦3の後方に待機させた状態において、鍵4Aを押鍵操作すると、アクション機構19が当該鍵4Aに連動して動作しハンマー38が押鍵操作された鍵4Aに対応する弦3を直接打撃する。したがって、大きな演奏音による演奏を行うことができる。
次に、切替手段100を操作してマフラー機構91のマフラーフェルト94を打弦点Pの位置まで下降させるとともに、マフラー機構91と連動して切替手段79(図2参照)を動作させてクッション材75を弦3に押し付けると、弦3はハンマーヘッド38Bとマフラー機構91のマフラーフェルト94と、前記クッション材75とによって挟み込まれた状態となるので、この状態でハンマー38が弦3を打撃しても、弦3は殆ど振動せず、弱音演奏を可能にする。また、マフラーフェルト94によりハンマー38の打弦速度が減速され、ハンマー38から弦3に付与されるエネルギが吸収されるので、これによっても弱音化される。
【0034】
この場合、上記した先行技術3のようにハンマー38の回動を打弦直前に停止させることにより弱音演奏を可能にする場合は、ジャック23がバット24から脱進するタイミングを速くする必要があり、そのため鍵タッチ感が通常演奏時と異なるという不具合があったが、この発明においてはハンマー38自体の回動は何等阻止せず、弦3自体の振動を阻止するようにしているため、ジャック23がバット24から脱進するタイミングを早めに調整する必要がなく、通常、弱音演奏時のいずれにおいても同じ鍵タッチ感で演奏することができる。
また、本実施例によれば、マフラーフェルト94とクッション材75とで挟み込んで弦の振動を抑制するため、第1実施例に比べて弱音性能が高い。加えて、高音部でクッション材75で打弦点Pを押圧できなくても、マフラーフェルト94により弦を確実に挟み込むことができる。
【0035】
なお、マフラー機構91の切替手段100としては、摘み102とワイヤ103に限らず種々の変更が可能であり、たとえばペダル操作によって回動レバー95を直接回動させたり、駆動モータ、ソレノイド等によって回動させるなどの変更が可能である。駆動モータを使用する場合は、モータの回転をギヤ等によって軸98に伝達すればよい。ソレノイドの場合はリンクを用いればよい。
【0036】
図5はこの発明をグランドピアノに適用した場合の第3実施例を示す鍵盤とアクション機構部の断面図、図6は楽器本体の外観斜視図、図7(a)、(b)は振動抑制手段の動作状態と不動作状態の断面図である。なお、図中図1〜図4と同一構成部材のものに対しては同一符号をもって示し、その説明を省略する。グランドピアノにおいては、各音高の弦3は、アクション機構110の上方に水平に設置されたフレーム13に所定の張力で略水平に張設されている。鍵4Aの後端部上方には全ての弦3に対して共通に延在するサポートレール111およびシャンクレール112が配設されており、これらレール111,112に鍵盤4に連動して動作し対応する弦3を打撃する前記アクション機構110が組付けられ、またサポートレール111の後方には通常弦3の自由振動を阻止し、打弦時に弦3を解放するダンパー機構113が配設されている。
【0037】
前記サポートレール111とシャンクレール112は、棚板1上に図示しないアクション台を介して鍵4Aの配列方向に並設された複数個、たとえば3〜4つのブラケット114に略水平に固定されている。ブラケット114は、鍵盤筬2とともに左右方向に移動可能とされており、弱音演奏時に楽器本体115の下部に配置された図示しないシフトペダルの踏み込み操作によって前記鍵盤筬2と一体に鍵盤4の並設方向に移動されるように構成されている。
【0038】
前記アクション機構110は、鍵盤4の押鍵操作によって回動されるウイペン22と、弦3を打撃するハンマーアッセンブリ25と、押鍵操作に伴いウイペン22とともに上昇し前記ハンマーアッセンブリ25を突き上げるジャック23と、打弦動作後ハンマーアッセンブリ25を受け止めて初期位置に復帰させるレペティションレバー116と、打弦動作時に前記ジャック23をハンマーアッセンブリ25から一時的に脱進させるレギュレチングアッセンブリ36等で構成されている。
【0039】
前記ウイペン22は、前記サポートレール111に固定されたサポートフレンジ121の上端に後端がピンを介して上下方向に回動自在に軸支されており、前端側下面が鍵盤4の後端部上面に植設されたキャプスタン28上に載置されることにより通常略水平に保持されている。また、ウイペン22の後端部上面にはハンマーシャンク39を受け止めるハンマーシャンクストップフェルト122が固着されている。
【0040】
前記ジャック23は、その下端屈曲部がウイペン22の前端に回動自在に軸支されるとともに、レペティションスプリング123によって図5において反時計方向の回動習性が付与されている。ジャック23のジャック大23Aは、前記レペティションレバー116の前端部に形成された貫通孔からなる長孔125に下方から挿入されており、その頂端面がハンマーシャンク39の前端部側下面に固着されたハンマーローラ126の下面を支持している。また、ジャック大23Aにはレペティションボタン127が取り付けられており、このボタン127はウイペン22上に植設されたジャックストップ128に前記レペティションスプリング123のばね力によって通常圧接されることにより、ジャック23が反時計方向に回動するのを制限している。ジャック23のジャック小23Bは、前記レギュレチングアッセンブリ36の下方に所定の距離Dを保って延在している。
【0041】
前記レペティションレバー116は、ウイペン22の略中央部に突設されたレペティションレバーフレンジ129の上端にピンを介して上下方向に回動自在に中央部が軸支されるとともに、前記レペティションスプリング123によって図5において反時計方向の回動習性が付与されている。レペティションレバー116の後端部には通常前記レペティションスプリング123のばね力によってウイペン22の後端部側上面に圧接されるレペティションボタン130が配設されており、これによってレペティションレバー116の反時計方向の回動を制限している。
【0042】
前記ハンマーアッセンブリ25のハンマーシャンク39は、前記シャンクレール112の上面に固定されたシャンクフレンジ131の後端にピンを介して上下方向に回動自在に軸支されており、通常前記ハンマーローラ126がレペティションレバー116によって支持されることにより初期位置に係止されている。
【0043】
このような構造において、鍵4Aの押鍵操作に伴いウイペン22がキャプスタン28により突き上げられて反時計方向に回動すると、ジャック23がハンマーローラ126を下から突き上げてハンマーアッセンブリ25を時計方向に回動させる。これによってハンマー38が押鍵操作された鍵4Aに対応する弦3を直接打撃する。打弦動作途中において、ジャック23は、ジャック小23Bがレギュレチングアッセンブリ36に当接してその上昇運動を阻止されることにより、レペティションスプリング123に抗して時計方向に回動され、これによってハンマーローラ126の下部から一時的に脱進する。そして、打弦動作後、弦3の反発力および自重によって回動復帰するハンマーアッセンブリ25は、ハンマーローラ126がレペティションレバー116によって受け止められることにより初期位置へと復帰する。この時、レペティションレバー116は、ハンマーアッセンブリ25の落下衝撃によりレペティションスプリング123に抗して時計方向に回動されることにより、前記落下衝撃を吸収ないし緩和し、ハンマーローラ126の跳ね返りを防止するとともに同一の鍵4Aによる早い連打を可能にしている。また、前記ジャック23は、ハンマー38による打弦動作後、鍵4Aの復帰動作に伴うウイペン22の回動下降に連動して回動復帰することにより、上端が再びハンマーローラ126の下部に入り込み、次の打弦動作を可能にする。また、回動復帰するハンマーアッセンブリ25は、鍵4Aの後端部上面に配設されたバックチェック133によって弾性的に受け止められ、跳ね返りを防止される。
【0044】
前記ダンパー機構113は、ダンパーレバーレール135にダンパーレバーフレンジ136を介して上下方向に回動自在に配設され、前端が鍵盤4の後端部上方に延在するダンパーレバー137と、このダンパーレバー137の前端側に設けられたダンパーブロック138と、このダンパーブロック138にダンパーワイヤ139を介して配設されたダンパー140等で構成されている。ダンパー140は通常弦3を上方から押圧することにより、弦3の自由な振動を阻止しており、鍵4Aの押鍵操作時にダンパーレバー137が鍵4Aによって反時計方向に回動されると、上昇して弦3から離間するよう構成されている。そして、このダンパー140の離間後、前記ハンマー38が弦3を打撃することで通常演奏を可能にしている。
なお、上記したアクション機構110とダンパー機構113は、従来のグランドピアノのアクション機構およびダンパー機構と全く同様である。
【0045】
前記弦3の上方にはさらに振動抑制手段150が配設されている。この振動抑制手段150は、図6および図7に示すように楽器本体115を形成する側板151間に横架され弦3の打弦点Pの上方に位置する梁部材152と、この梁部材152の下面にセクション毎に分割されて固着された複数個のエアバック153と、各エアバック153の下面に固着されたフェルト等のクッション材154等によって構成されており、エアバック153がパイプ155によって空気供給源156に接続されている。エアバック153は、通常演奏時においては空気の供給を受けず、収縮状態を保持することによりクッション材154を弦3から離間させている。弱音演奏時に空気がパイプ155を経て供給されると、エアバック153が膨張してクッション材154を弦3の上面に押し付けるよう構成されている。エアバック153を用いた理由は、弦3と弦3の上方を覆う上蓋(図示せず)との隙間が狭く、カム機構等によって振動抑制手段150を移動させるための十分なストロークを確保することができないことによる。
【0046】
このような構造において、弱音演奏時にはエアバック153が膨張してクッション材154が弦3に当接した状態になる。前述した第1実施例および第2実施例と同様に、この状態で鍵盤4の中のある鍵4Aを押鍵操作すると、打弦時にはハンマー38のハンマーヘッド38Bと振動抑制手段150のクッション材154との間に弦3が挟み込まれた状態になる。その結果、打弦時においても弦3が余り振動せず、弱音演奏が可能となる。
【0047】
さらに、前記弦3の打弦点Pの下方にはマフラー機構161が配設されている。マフラー機構161は、図8に示すように中框162の前面に固定されたブラケット163の上端に一端が上下方向に回動自在に保持されたフェルト、人工皮革、クロス等からなるマフラーフェルト164を備えている。マフラーフェルト164は上記したマフラー機構91(図3参照)のマフラーフェルト94と同様に、低、中音側と高音側(もしくはアクション割り毎)に分割されて形成されており、通常演奏時においては二点鎖線で示すように垂下した状態に保持され、弱音演奏時にワイヤ166、摘み167等からなる切替手段168(図5参照)によって図8において反時計方向に回動されると、上昇して弦3の打弦点Pに下方から当接するように構成されている。
【0048】
このような構造においても図8に示すように、振動抑制手段150とマフラー機構161とを選択的に切り替えて弦3に接触離間させることにより、ハンマー38のハンマーヘッド38Bと振動抑制手段150とで弦3を挟み込んで打弦する弱音演奏と、振動抑制手段150とマフラー機構161とで弦3を挟み込んだ状態でハンマー38がマフラー機構161を介して弦3を打撃する弱音演奏とのどちらでも実現できる。いずれの弱音演奏も鍵タッチ感を何等変えることなく行うことができる。
なお、本実施例においては、第1実施例と同様に、マフラー機構を設けずにクッション材154とマフラー38によって弦を挟み込むようにしてもよい。
【0049】
図9はこの発明の第4実施例を示す鍵盤とアクション機構部の断面図である。上記第1〜第3実施例は、弱音演奏を行う装置の構造を説明したが、クッション材75の硬さおよび圧縮コイルばね77の強さとを適宜変更すれば、弦3を殆ど振動させることなく、音程を有する音を全く発生させない打弦によって音程を有する音を発生させない消音演奏をすることも可能である。ここで、消音とは、押鍵操作を行なっても音程を有する音を全く発生しない状態を指す。したがって、音程を有する音が全く発生せず、ハンマー38が振動抑制手段62のクッション材75と弦3とに衝突する打撃音が発生するものは消音に含む。
【0050】
第4実施例における鍵盤楽器は、消音演奏時には、鍵およびペダルに対応して設けられたキーセンサおよびペダルセンサからの出力信号によって楽音制御回路を制御して、電子音源からの電子音を発生させるようにしている。これを図9に基づいてさらに詳述する。第4実施例は上記した第1実施例と同様にアップライトピアノをベースとしている。楽音制御回路170を除き、ピアノ部分は第1実施例と共通であり、共通する要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
楽音制御回路170は、各鍵4Aの下に設けられたキーセンサ171および各ペダル172の下に設けられたペダルセンサ173が出力するセンサ信号をサンプリングするサンプルホールド回路(S/H)174と、サンプルホールド回路174からの信号をデジタル変換するADコンバータ175と、ピアノ、ハープシコード、チェンバロ等の自然楽器もしくは電子的に合成した楽音を電子データで記憶した電子音源176と、音色データ等の固定的なデータを記憶するリードオンメモリ(ROM)177と、演奏中のデータを一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)178と、これらの構成要素を制御するCPU179とを備えている。ADコンバータ175と、電子音源176と、ROM177およびCPU179とは、バス180を介して接続されている。
【0052】
楽音制御回路170は、さらにCPU179で処理された信号を外部に出力するために、デジタル信号をアナログ信号に変換するDAコンバータ(DAC)181を備えている。DAC181は、バス180と接続されている。DAC181には信号を増幅するアンプ182が接続されており、増幅された信号はアンプ182に接続されたヘッドホン183によって聴取することが可能である。
【0053】
次に、第4実施例に係る鍵盤楽器の動作を説明する。
通常演奏時には、第1実施例の鍵盤楽器の通常演奏と同様に動作する。通常演奏時においてはキーセンサ171およびペダルセンサ173は作動しない。
【0054】
一方、消音演奏時においては、演奏者が切替手段79の摘み86を操作して通常演奏から消音演奏に切り換えると、前記第1実施例と同様に、振動抑制手段62の偏心カム84が回転軸83と一体に回動し、軸76を弦3側に移動させる。したがって、押圧部材74のクッション材75が弦3に当接する。演奏者が鍵4Aを押鍵操作すると、ハンマー38が回動してハンマーヘッド38Bが弦3に当接する。しかし、押圧部材74のクッション材75も弦3に既に当接しているので、弦3は振動しない。したがって、押鍵した鍵4Aの音名に対応した音高を有する打弦音は発生しない。
【0055】
一方、消音演奏に切り換えた際に、キーセンサ171およびペダルセンサ173が作動しており、演奏者が鍵4Aを押したおよびペダル172を踏み込んだ際には、これらのセンサ171,173から検出信号が楽音制御回路170に出力される。検出信号は、サンプルホールド回路174を介してADC175に入力され、デジタル信号に変換される。CPU179は、デジタル信号に変換された検出信号に基づいて電子音源176を制御して電子的に楽音信号を発生させる。電子音源176から出力された楽音信号は、バス180を介してDAC181に出力され、DAC181でアナログ信号に変換される。アナログ信号に変換された楽音信号は、アンプ182によって増幅され、ヘッドホン183から音声信号として出力される。
【0056】
この場合、上記した先行技術3のようにハンマー38の回動を打弦直前に停止させることにより消音演奏を可能にする場合は、ジャック23がバット24から脱進するタイミングを速くする必要があり、そのため鍵タッチ感が通常演奏時と異なるという不具合があったが、この発明においてはハンマー38自体の回動は何等阻止せず、弦3自体の振動を阻止するようにしているため、ジャック23がバット24から脱進するタイミングを早めに調整する必要がなく、通常、消音演奏時のいずれにおいても同じ鍵タッチ感で演奏することができる。
【0057】
また、消音演奏時には、ピアノの打弦音の代わりに電子音をヘッドホン183で聴くため、近隣居住者へ騒音を伝達することがない。
【0058】
なお、第4実施例においては、アップライトピアノを用いて説明したが、グランドピアノに、第3実施例のような振動抑制手段150を設けて、さらに本実施例に用いたキーセンサ171、ペダルセンサ173、楽音制御回路170等を設けて消音演奏が可能な鍵盤楽器を構成してもよい。また逆に、第1〜第3実施例の弱音演奏可能な構成にキーセンサ171、楽音制御回路170等を設けるようにしてもよい。
また、第4実施例においても、第2、第3実施例と同様にマフラー機構91または161を設けるようにしてもよい。
さらにまた、第1〜第3実施例においては、通常演奏と弱音演奏とを切り換え可能にし、第4実施例においては通常演奏と消音演奏とを切換可能にしたが、振動抑制手段62または150を通常演奏時と弱音演奏時と消音演奏時の3段階で制御するようにしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明に係る鍵盤楽器は、振動抑制手段を弱音演奏時に弦の打弦点もしくはその近傍に当接させるようにしたので、ハンマーが弦を打撃した際、弦はハンマーと振動抑制手段によって挟み込まれて振動を阻止されるため、弱音性能を高めることができるとともに、音程感のある音が発音しない弱音演奏を行うことができる。また、アクション機構に何等の変更を行わないため、通常演奏から弱音あるいは消音演奏状態に切り替えても弱音あるいは消音演奏時においても鍵タッチ感を損なうことがなく、弱音あるいは消音演奏を行うことができる。
【0060】
また、この発明は消音演奏時にマフラー機構と振動抑制手段とで弦を挟み込むようにしたので、弦の振動をより確実に防止することができる。
【0061】
また、振動抑制手段としてエアバックを用い、このエアバックを空気の供給によって膨張させ、クッション材を弦に押し付けるようにすると、狭いスペースでも振動抑制手段を配置することができ、グランドピアノに適用する場合に好適である。
【0062】
さらに、消音演奏状態において、電子的に楽音を発生させることができ、近隣居住者への騒音となることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明をアップライトピアノに適用した場合の第1実施例を示す鍵盤とアクション機構部の通常演奏時の断面図である。
【図2】振動抑制手段の一部を破断した斜視図である。
【図3】この発明の第2実施例を示す鍵盤とアクション機構部の通常演奏時の断面図である。
【図4】マフラー機構の正面図である。
【図5】この発明をグランドピアノに適用した場合の第3実施例を示す鍵盤とアクション機構部の断面図である。
【図6】振動抑制手段の取付構造を示す楽器本体の斜視図である。
【図7】(a),(b)は振動抑制手段の動作状態と、不動作状態の断面図である。
【図8】マフラー機構の取付構造を示す断面図である。
【図9】この発明の第4実施例を示す鍵盤とアクション機構部の断面図である。
【符号の説明】
3…弦、4…鍵盤、19…アクション機構、20…ダンパー機構、25…ハンマーアッセンブリ、38…ハンマー、62…振動抑制手段、74…押圧部材、75…クッション材、79…切替手段、91…マフラー機構、94…マフラーフェルト、150…振動抑制手段、153…エアバック、154…クッション材、170…楽音発生回路、171…キーセンサ、173…ペダルセンサ、175…電子音源。

Claims (4)

  1. 弱音演奏時に弦とハンマーとの間に介在されるマフラー機構と、前記弦の打弦点もしくはその近傍に対応して前記ハンマーとは反対側に配設された振動抑制手段とを備え、この振動抑制手段は、通常演奏時においては前記弦から離間されており、弱音あるいは消音演奏時に前記弦の打弦点もしくはその近傍に当接され、前記マフラー機構とで弦を挾み込むことを特徴とする鍵盤楽器。
  2. 請求項1記載の鍵盤楽器において、
    振動抑制手段は、楽器本体側に固定された伸縮自在なエアバックと、このエアバックに固着されたクッション材とを備え、弱音あるいは消音演奏時に空気の供給によってエアバックを膨張させ、クッション材を弦に押し付けることを特徴とする鍵盤楽器。
  3. 請求項記載の鍵盤楽器において、
    マフラー機構と振動抑制手段とは弱音あるいは消音演奏時に互いに連動して動作することを特徴とする鍵盤楽器。
  4. 請求項1,2,3のうちのいずれか1つに記載の鍵盤楽器において、
    鍵盤の操作を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に応じて電子的に楽音信号を発生する楽音信号発生手段とを備えたことを特徴とする鍵盤楽器。
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