JP4572092B2 - 音色変更装置、及び、音色変更装置を備えたピアノ - Google Patents

音色変更装置、及び、音色変更装置を備えたピアノ Download PDF

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Description

本発明は、鍵盤楽器が打弦時に発音する音色を変更するための音色変更装置、及び、音色変更装置を備えたピアノに関する。
現在最も主要な楽器として様々な演奏の場で使用されているピアノは、約300年前に考案された鍵盤楽器の一つであり、押鍵操作された鍵盤に対応する音高の弦を、ハンマーが打弦することによって音色を発音する楽器である(特許文献1を参照。)。
特開平2003−66947号公報(第3頁−第5頁、第1図)
しかしながら、その考案以降、ピアノの音色については特に目立った変化がなく、ピアノ奏者等からの音楽的演出の幅を広げたいという要望があるにも拘わらず、このような要望に応えられずにいた。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、鍵盤楽器の音色を変更するための音色変更装置、及び、その音色変更装置を備えたピアノを提供することにある。
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、複数の鍵盤と、前記鍵盤毎に対応させて並設された複数の音高の弦と、通常は前記弦の自由振動を阻止し打弦時に前記弦を解放するダンパー機構と、操作された鍵盤に対応する前記弦を打弦するハンマーと、を備えた鍵盤楽器に使用され、打弦時に前記鍵盤楽器が発音する音色を変更するための音色変更装置であって、前記ダンパー機構とは別体に設けられ、音色を変更すべき音高の全ての弦に、少なくとも前記打弦時の前後に亘って当接して前記弦の振動を吸収するための弾性部材を備えており、剛性を有する本体を備え、前記弾性部材は、前記本体における前記弦と対向する面を覆って該本体に固定されており、前記弾性部材は、可撓性を有するシート部材であり、前記対向する面と前記シート部材との間には、隙間が設けられていることを特徴とする。
上記発明によれば、前記弾性部材は、少なくとも打弦時の前後に亘って、音色の変更対象の全ての弦に当接している。従って、前記弾性部材は、打弦時点から前記弦の振動を有効に吸収することができて、もって、前記鍵盤楽器が打弦時に発音する音色を確実に変更可能となる。
また、譬え前記弾性部材が、自身では形状を維持できない程度に柔らかな素材であっても、当該弾性部材は、剛性を有する本体に固定されるので、その形状を所定形状に維持させることができる。従って、前記並設された弦に対して前記弾性部材を確実に当接可能となる。
また、音色変更装置を前記弾性部材の素材のみで一体成形せずに済んで、前記弦に当接しない前記本体については、安価な素材を使用可能である。よって、その製造コストを安価にできる。
また、前記弾性部材は、可撓性を有するシート部材であるので、前記面を覆いながら前記本体に容易に固定することができる。
また、前記対向する面と前記シート部材との間には、隙間が設けられているので、前記本体に前記弦の振動は伝達され難く、当該弦の振動は、専ら前記シート部材によって吸収される。従って、前記本体が与える音響的影響を概ね排除して、専らシート部材によって音色は変更されるので、変更後の音色の推定が容易であり、もって希望の音色へ変更し易い。
更には、並設された弦の位置が互いに多少ずれていても、この位置のばらつきを前記隙間によって吸収することができて、もって、前記シート部材を、音色の変更対象の音高の各弦に確実に当接させることができる。
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の音色変更装置において、前記シート部材における、前記弦の長手方向に関する略中央が前記弦側に向けて凸状になるように、前記隙間は設定されていることを特徴とする。
上記発明によれば、前記シート部材は、その凸部が潰れることによって前記弦に面で当接することができる。従って、振動振幅が大きい弦に対しても、前記シート部材は弦から離れ難く、前記当接状態が維持され易くなる。
請求項3に示す発明は、請求項1又は2に記載の音色変更装置において、前記本体は、前記弦の並設方向に長尺な部材であり、音色を変更すべき複数の音高の全ての弦に当接可能な長さに設定されていることを特徴とする。
上記発明によれば、一つの音色変更装置によって、複数の音高の音色を一斉に変更可能となり、取り扱い易い。
請求項4に示す発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の音色変更装置において、前記音色変更装置は、振動中の弦から前記弾性部材が離れないような押し付け力で前記弦に押し付けられていることを特徴とする。
上記発明によれば、押し付け力によって前記弾性部材は前記弦に押し付けられているため、振動中の弦から前記弾性部材は離れない。よって、当該弾性部材は、常に前記弦との当接状態を維持可能となり、もって、前記鍵盤楽器が打弦時に発する音色を確実に変更可能となる。
請求項5に示す発明は、請求項4に記載の音色変更装置において、前記音色変更装置は、略水平に張設された前記弦に載置されており、前記本体の重量は、振動中の弦から前記弾性部材が離れないような重さに設定されていることを特徴とする。
上記発明によれば、当該音色変更装置は、前記弦に載置されることによって、その弾性部材が前記弦に当接状態に配置される。従って、当該音色変更装置を容易に鍵盤楽器に取り付けることができる。
また、前記本体の重量は、振動中の弦から前記弾性部材が離れないような重さに設定されている。よって、前記弾性部材は、常に前記弦との当接状態を維持可能となり、もって、前記鍵盤楽器が打弦時に発する音色を確実に変更可能となる。
請求項6に示す発明は、請求項5に記載の音色変更装置において、前記本体には、前記弦の並設方向に沿って複数の孔が設けられていることを特徴とする。
上記発明によれば、前記孔を設ける位置を調整することによって、前記音色変更装置の並設方向の重量バランスをとることができる。よって、弦の並設状態が鍵盤楽器毎に異なっていても、鍵盤楽器毎に最適な重量バランスに設定できて、鍵盤楽器毎に、前記弾性体と弦との当接状態の最適化を図ることができる。
請求項7に示す発明は複数の鍵盤と、前記鍵盤毎に対応させて並設された複数の音高の弦と、通常は前記弦の自由振動を阻止し打弦時に前記弦を解放するダンパー機構と、操作された鍵盤に対応する前記弦を打弦するハンマーと、を備えた鍵盤楽器に使用され、打弦時に前記鍵盤楽器が発音する音色を変更するための音色変更装置であって、前記ダンパー機構とは別体に設けられ、音色を変更すべき音高の全ての弦に、少なくとも前記打弦時の前後に亘って当接して前記弦の振動を吸収するための弾性部材を備えており、前記音色変更装置は、振動中の弦から前記弾性部材が離れないような押し付け力で前記弦に押し付けられ、前記音色変更装置は、略水平に張設された前記弦に載置されており、該音色変更装置は、剛性を有する本体を備え、前記弾性部材は、前記本体の下面を覆って該本体に固定され、前記本体の重量は、振動中の弦から前記弾性部材が離れないような重さに設定されており、前記本体には、前記弦の並設方向に沿って複数の孔が設けられており、前記複数の孔のうちの幾つかの孔には、錘が詰められていることを特徴とする。
上記発明によれば、前記重量バランスを更に容易にとることができる。
請求項8に示す発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の音色変更装置において、前記弾性部材が粘弾性体から形成されていること特徴とする。
上記発明によれば、前記弾性部材は粘弾性体から形成されている。一般に、この粘弾性体は、外力が加えられて変形されると、その変形によって蓄えられる内部変形エネルギーの一部を熱に変換して消費する特性を有する。従って、弦の振動を有効に吸収可能であり、もって、前記鍵盤楽器が打弦時に発音する音色を確実に変更可能となる。
請求項9に示す発明は、請求項8に記載の音色変更装置において、前記鍵盤楽器がピアノであるとともに、前記粘弾性体がソルボセイン(登録商標)であること特徴とする。
上記発明によれば、前記粘弾性体はソルボセインである。そして、このソルボセインは、人の指に似た質感をもっている。このため、あたかも人の指で弦を押さえたような状態を再現することができる結果、コントラバスの弦を指で弾いたような音色に、ピアノの音色を変更できる。よって、ピアノからコントラバスの音色を出すことが可能となり、ピアノ演奏の演出の幅を広げることができる。
請求項10に示す発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の音色変更装置において、前記音色を変更すべき音高は、前記鍵盤楽器が発音可能な全ての音高のうちの一部の音高であることを特徴とする。
上記発明によれば、鍵盤楽器が発音可能な全ての音高(例えば88ヶの音高)のうちの、一部の音高の音色が変更される。従って、例えば、これら一部の音高に対応する鍵盤を片手で弾きながら、前記音高以外の鍵盤を残るもう一方の手で弾くことによって、相異なる種類の音色を一人の奏者で奏でることができて、すなわち、一人で合奏を実施可能となる。その結果、鍵盤楽器の演出の幅を広げることができる。
請求項11に示す発明は、請求項10に記載の音色変更装置において、前記一部の音高は、低音域において互いに隣り合う複数の音高から構成され、前記音高よりも高音域の音高には、前記弾性部材が設けられないことを特徴とする。
上記発明によれば、高音域を鍵盤楽器本来の音色に維持しつつ、低音域の音高の音色を、例えば伴奏用の楽器の音色に変更可能である。よって、独奏でありながら、伴奏楽器を伴ったような演奏を行うことができて、独奏で可能な演出の幅を広げることができる。
請求項12に示す発明は、請求項1乃至11のいずれかに記載の音色変更装置において、前記鍵盤楽器は、前記弦の一端と他端とを固定して前記弦を張設するフレームを有し、前記弦における前記一端に近い部分には、前記弦の振動を響板に伝達するための駒が配置され、前記ハンマーの打弦点は、前記弦における他端に近い部分に設定されるとともに、前記打弦点と前記他端との間には、前記弦を通す孔を有するアグラフが設けられ、前記弦における、前記ハンマーの打弦点と前記アグラフとの間の部分に、前記弾性部材が載置されることを特徴とする。
上記発明によれば、一般に弦の振動が小さい、前記打弦点とアグラフとの間の部分に前記弾性部材が載置されている。従って、消音しない程度に、弦の振動を減衰させることができて、もって、音量を落とさずに有効に音色を変更可能となる。
請求項13に示す発明は、請求項12に記載の音色変更装置において、前記フレームは閉じた枠形状であり、該フレームの内周側には、前記弦が略水平に張設されているともに、前記弦の上方には補強用の複数のリブが掛け渡され、前記音色変更装置は、該音色変更装置を、前記打弦点近傍の前記リブに上方から下降させて該リブに係止させるための係止部を備え、前記リブと前記係止部との係止状態においては、前記弾性部材は、前記弦の並設方向への移動が規制されていることを特徴とする。
上記発明によれば、前記リブの上方から単に下降するだけで、前記音色変更装置を前記鍵盤楽器に取り付け可能であるとともに、前記リブに取り付けられた音色変換装置を上昇させるだけで、前記鍵盤楽器から取り外すことができる。すなわち、当該音色変換装置は、前記鍵盤楽器への着脱性に優れたものであり、演奏中又は演奏の合間に、容易に音色を変更可能である。
また、取り付け時には、その弾性部材は、前記弦の並設方向へ移動できないので、打弦時の弦の振動によって前記弾性部材が前記並設方向へずれてしまうことは確実に防止される。従って、演奏中に予定外の音高の音色が変化したり、逆に変更していた音高が元の音色に戻ったりするのを有効に防ぐことができる結果、当該音色変換装置は、その音色の変更安定性に優れたものとなる。
請求項14に示す発明は、請求項13に記載の音色変更装置において、前記係止状態においては、前記弾性部材は、前記弦の長手方向への移動が規制されていることを特徴とする。
上記発明によれば、前記音色変換装置を鍵盤楽器に取り付けた際には、その弾性部材は、前記弦の長手方向へ移動できないので、打弦時の弦の振動によって前記弾性部材が前記長手方向へずれてしまうことは確実に防止される。従って、演奏中に、弦の振動の吸収度合いが変化して音量が変化してしまうことが防止される結果、当該音色変換装置は、その音量の維持安定性に優れたものとなる。
請求項16に示す発明は、請求項1乃至14のいずれかに記載の音色変換装置を備えていることを特徴とするピアノ。
上記発明によれば、上記請求項1乃至14のいずれかと同様の作用効果を奏することができる。
本発明によれば、鍵盤楽器の音色を変更するための音色変更装置、及び、その音色変更装置を備えたピアノを提供可能となる。
以下、本発明に係る実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
===本発明を適用可能な鍵盤楽器の構成===
図1乃至図4は、本発明を適用可能な鍵盤楽器の一例としての平型ピアノ(グランドピアノ)1の説明図である。図1は前記ピアノ1の外観図であり、図2は前記ピアノ1の支柱11及び響板21の斜視図であり、図3は前記ピアノ1のフレーム31を示す上面図である。また、図4は、低音域における鍵盤41とアクション機構51の側断面図である。
図1の外観図に示すように、このグランドピアノ自体は、従来のグランドピアノと何等変わるものではなく、ごく一般的なものである。なお、以下の説明では、便宜上、弦33の並設方向(概ね鍵盤41の並設方向と同じ)を左右方向とも表現し、またこれと交差する弦33(図1中では不図示)の長手方向を前後方向とも表現する。例えば、図1に示すピアノ1の鍵盤41は、前後方向の前側において、左右方向に亘って並べられている。
図1乃至図4を適宜参照してわかるように、このグランドピアノ1は、左右方向に並設された各音高の鍵盤41と、前記鍵盤41に対応させて弦33が張設された金属製のフレーム31と、押鍵操作された鍵盤41に対応する弦33を打弦するためのアクション機構51と、弦33から伝達された振動を増幅する響板21と、これら鍵盤41、フレーム31、アクション機構51、及び響板21を支持する木製の支柱11と、を備えている。
(a)支柱11
図2に示すように、支柱11は、前側が開放した異形U字状の曲練支柱12と、この曲練支柱12の開放端部に両端部を掛け渡された奥框13と、この奥框13の前側に隣接配置されつつ、前記開放端部に両端部を掛け渡された中框14と、を備えている。この曲練支柱12と奥框13とで囲まれた内側空間には、補強用に、例えば4本の直支柱15が配置されている。そして、このうちの1本の直支柱15については、その両端部は曲練支柱12及び奥框13に接続されており、残る3本については、各直支柱15の一端が、それぞれに曲練支柱12の内周面に接続される一方、残る他端は、これら他端を一つに結合する要16を介して前記奥框13に接続されている。
(b)響板21
図2に示すように、響板21は、前記内側空間の平面形状とほぼ同形の板部材であり、その周縁部が、前記曲練支柱12及び中框3の上面に貼り込まれている。この響板21の上面における後方には、前記弦33と接触して前記響板21に前記弦33の振動を伝達するための長駒(不図示)及び短駒(不図示)が配置されている。なお、長駒は高音域側の弦33の振動を伝達するためのものであり、短駒は低音域側の弦33の振動を伝達するためのものである。
(c)フレーム31
フレーム31は、その外郭形状が前記響板21とほぼ同形の略枠部材であり、その内周側には、複数の弦33が、チューニングピン34とフレームピン35とを介して略水平に張設されている。そして、このフレーム31が、前記曲練支柱12及び中框14に支持されて響板21の上方に配された状態において、各弦33は、前記長駒及び短駒のいずれか一方と当接するようになっている。なお、前記複数の弦33は、前記88ヶの各音高に対応させて並設されており、弦33の太さ、長さ、弦33の本数、及び、張力のうちのいずれかの設定を異ならせることによって、各音高の音が発せられるように調整されている。
また、フレーム31の内周面には、当該フレーム31を補強するための複数のリブ32も掛け渡されており、これらリブ32は、前記弦33との干渉を避けるべく前記弦33の上方に配置されている。
なお、ピアノ1の前側に位置する前記チューニングピン34の近傍のフレーム31の部分には、各音高のそれぞれについてアグラフ36(図4を参照)が設けられている。そして、このアグラフ36の孔に、対応する音高の弦33は通されている。このアグラフ36は、一つの音高が複数の弦33によって構成されている場合に、これら各弦33の高さや有効弦長を整えるためのものである。
(d)鍵盤41
前記奥框13の下面には、図4に示す棚板17が固定されている。そして、この棚板17上には鍵盤筬42が配設されており、その上には、各音高の弦33に対応する88鍵全ての鍵盤41が、その略中央部をバランスキーピン43により上下揺動自在に支持されて配置されている。なお、各音高の弦33は、鍵盤41の上方に配設された前記フレーム31に略水平に張設されている。弦33の下方には、全ての弦33に対して共通に左右に亘って延在するサポートレール44が、鍵盤41の後端部上方に位置している。このサポートレール44には、鍵盤41に連動して動作し対応する弦33を打弦する前記アクション機構51が配設されている。また、その後方には通常弦33の自由振動を阻止し、打弦時に弦33を解放するダンパー機構101が配設されている。
前記サポートレール44は、棚板17上に不図示のアクション台を介して前記並設方向に並設された複数のブラケット45の後端部上面に略水平に設置固定されることにより全てのブラケット45を連結している。また、これらのブラケット45は、その前端部上面に同じく全ての鍵盤41に対して共通に延在するよう左右に亘って延設されたシャンクレール46によっても互いに連結されている。
(e)アクション機構51
図4に示すように、アクション機構51は、鍵盤41の押鍵操作によって回動されるウイペン53と、弦33を打弦するハンマーアッセンブリ61と、押鍵操作に伴いウイペン53と共に上昇し前記ハンマーアッセンブリ61を突き上げ回動させるジャック71と、打弦動作後回動復帰してくるハンマーアッセンブリ61を受け止め初期位置に復帰させるレペティションレバー81と、打弦動作時に前記ジャック71をハンマーアッセンブリ61から一時的に脱進させるレギュレチングアッセンブリ91等で構成されている。
前記ウイペン53の後端部は、前記サポートレール44に水平ピン54を介して軸支されており、よって、その前端部は上下方向に揺動可能となっている。この前端部の下面には一体的にウイペンヒール55が設けられており、このウイペンヒール55が、その下方にある鍵盤41の後端部に設けられたキャプスタン47上に載置されることによって、当該ウイペン53は、通常略水平に保持されている。そして、ウイペン53の後端部上面には、ハンマーシャンクストップフェルト56が配設されている。
前記ジャック71は、長腕71A及び短腕71Bからなる側面視L字状部材である。そして、このジャック71の屈折部が、水平ピン72を介して前記ウイペン53の前端部に軸支されており、よって、ジャック71は、長腕71Aを略上方に向けつつ短腕71Bを略前方へ向けた状態から適宜回動可能となっている。なお、このジャック71は、レペティションスプリング82によって、図1の反時計方向の回動習性を付与されている。ジャック71の長腕71Aは、レペティションレバー81の前端部を上下に貫通する長孔83に、下方から挿入されており、その長腕71Aの先端部が、その上方にある前記ハンマーアッセンブリ61を構成するハンマーシャンク62のハンマーローラ63に下から当接している。一方、前方を向いた短腕71Bは、その先端部が前記レギュレチングアッセンブリ91の下方に位置している。そして、ジャック71は、長腕71Aの略中間部に取り付けられたボタン73が、ウイペン53上に設けられたジャックストップ57に前記レペティションスプリング82のばね力によって通常圧接されることにより反時計方向の回動を制限され初期位置に保持されている。
前記レペティションレバー81は、ウイペン53の略中央部から上方へ突設されたレペティションレバーフレンジ58に水平ピン59を介して回動自在に軸支されると共に、前記レペティションスプリング82により反時計方向の回動習性を付与されている。レペティションレバー81の後端部には、レペティションボタン84が配設されている。このレペティションボタン84は、通常、前記レペティションスプリング82のばね力によってウイペン53の後端部上面に圧接されており、これによって、レペティションレバー81の反時計方向の回動は制限され、当該レペティションレバー81は初期位置に保持されている。
前記ハンマーアッセンブリ61は、前記ハンマーシャンク62と、このハンマーシャンク62の前端部下面に配設された前記ハンマーローラ63と、前記ハンマーシャンク62の後端部に配設されたハンマー64等で構成されている。このハンマーシャンク62は、その前端部が、前記シャンクレール46に固定されたシャンクフレンジ65に水平ピン66を介して軸支されており、その後端部は上下方向に揺動自在になっている。そして、ハンマーローラ63が通常、レペティションレバー81の前端部上面に載置されることで初期位置に保持されている。鍵盤41の押鍵操作に伴いウイペン53がキャプスタン47により突き上げられて水平ピン54を中心として反時計方向に上昇回動すると、ジャック71がハンマーローラ63を下から突き上げてハンマーアッセンブリ61を時計方向に上昇回動させ、これによってハンマー64が押鍵操作された鍵盤41に対応する弦33を打弦する。打弦動作途中において、ジャック71は、その短腕71Bがレギュレチングアッセンブリ91により上昇運動を阻止されることにより、レペティションスプリング82に抗して時計方向に回動され、これによってジャック71の長腕71Aの先端部がハンマーローラ63の下部から一時的に脱進する。この時、押鍵操作している奏者の指は、アフタータッチ感を受けることができるとともに、前記脱進によってハンマーアッセンブリ61の負荷がなくなるため、押鍵操作力は軽くなる。ちなみに、ジャック71の脱進時期は、ハンマー64が弦33に数mm程度まで接近したときとされる。そして、打弦動作後、弦33の反発力および自重によって回動復帰するハンマーアッセンブリ61は、ハンマーローラ63がレペティションレバー81によって受け止められることにより初期位置へと復帰する。この時、レペティションレバー81は、ハンマーアッセンブリ61の落下衝撃により水平ピン59を中心としてレペティションスプリング82に抗して時計方向に回動されることにより、前記落下衝撃を吸収緩和し、ハンマーローラ63の跳ね返りを防止すると共に同一鍵による早い連打を可能にしている。また、前記ジャック71は、ハンマー64による打弦動作後鍵盤41の復帰動作に伴うウイペン53の回動下降に連動して回動復帰することにより、長腕71Aの先端部が再びハンマーローラ63の下部に入り込み、次の打弦動作を可能にする。
前記レギュレチングアッセンブリ91は、前記シャンクレール46の内側に設けられたレギュレチングレール92と、ジャック71の短腕71Bに対応して前記レギュレチングレール92の下面側に配設されたレギュレチングボタン93とで構成されている。レギュレチングボタン93と前記短腕71Bとの距離Lは、通常演奏時においてハンマー64が弦33に接近した際にジャック71がハンマーローラ63の下部から脱進する距離に設定されている。
なお、前記鍵盤41の後端部上面には、打弦動作後に弦33の反発力等により回動復帰するハンマー64を弾性的に受け止めるべく、バックチェック48がバックチェックワイヤ49を介して配設されている。
前記ダンパー機構101は、ダンパーレバーレール102に配設されたダンパーレバーフレンジ103に後端部が水平ピン104を介して上下方向に回動自在に軸支され、前端部が鍵盤41の後端部上方に延在するダンパーレバー105と、このダンパーレバー105の前端部側に配設されたダンパーブロック106と、このダンパーブロック106にダンパーワイヤ107を介して配設されたダンパー108等で構成されている。ダンパー108は通常前記弦33を上方から押圧することにより、弦33の自由な振動を阻止しており、鍵盤41の押鍵操作時にダンパーレバー105が鍵盤41の後端部41aによって突き上げられて反時計方向に回動されると、上昇して弦33から離間するよう構成されている。そして、このダンパー108の離間後に、前記ハンマー64が弦33を打弦することで、ピアノ本来の音色が発音されるようになっている。
===本発明に係る音色変更装置の構成===
図5乃至図8は、本発明に係る音色変更装置111の一実施形態を説明するための図である。図5は音色変更装置111の斜視図であり、図6は、図5中のVI-VI線矢視の側面図である。また、図7は、音色変更装置111を取り付けていない状態のグランドピアノ1を、その左前方から見た斜視図であり、図8は、音色変更装置111を取り付けた状態を同方向から示す拡大斜視図である。
<<<音色変更装置111の概略説明>>>
図5に示す音色変更装置111は、グランドピアノ1の音色を、所定範囲の音域(例えば、低音域に属する3オクターブ分の音高)について選択的にかつ一斉に変更するものであり、その概略構成は、剛性を有する長尺な本体113と、この本体113の下面を覆う弾性部材115とからなる。
そして、この音色変更装置111を使用する際には、図7に示す状態のグランドピアノ1に対して、図8に示すように前記音色変更装置111の長尺方向を左右方向(弦33の並設方向)に揃えながら、当該音色変更装置111を前記音域の弦33の上に載置する。すると、音色変更装置111の下面の弾性部材115が、音色変更装置111の自重によって、前記弦33に押し付けられて当接し、ハンマー64に打弦された弦33の振動を前記弾性部材115が吸収することによって、ハンマー64の打弦時に発音する音色が変更される。
なお、弦33の長手方向に関する載置位置としては、図8及び図4に示すように、前記ハンマー64の打弦点とその手前のアグラフ34との間の部分が好ましく、更に言えばアグラフ34に近い程良い。これは、前記部分の弦33の振動が、前記打弦点の後方の部分よりも元々小さく、また、前記アグラフ34に近づく程に小さくなるためである。そして、この振動の小さい部分に載置することによって、消音しない程度に、弦33の振動を減衰させることができる結果、音量を大幅に落とさずに音色の変更が可能となる。
そして、このような音色変更装置111によれば、弦33の上に載置するだけでその音色を変更できるので、グランドピアノ1に対する取り付け及び取り外しは容易である。よって、演奏中や演奏の合間に、容易に前記音域の音色を変更できて取り扱い性に優れる。
また、弦33に載置されることから、前記弾性部材115は、必ず、ハンマー64による打弦時の前後に亘って当接することとなる。従って、前記弾性部材115は、打弦時点から前記弦33の振動を有効に吸収可能であり、その結果として、前記ピアノ1が打弦時に発音する音色を確実に変更することができる。
<<<音色変更装置111の詳細説明>>>
以下、この音色変更装置111について詳細に説明する。
(a)本体113
図5に示すように、前記本体113は、木製の略直方体の長尺部材であり、その長尺方向の全長は、前記所定範囲の音域(例えば、低音域に属する3オクターブ分の音高)の全ての弦33に当接可能な長さに設定されている。この長尺方向における所定位置の下面には、前後方向に貫通する溝部113aが形成されている。この溝部113aは、前記フレーム31の内側を前記前後方向に延びる前記リブ32に対する逃げであり、すなわち、リブ32に対応させて形成されている。そして、音色変更装置111を弦33に載置する際には、図8に示すように前記溝部113a内にリブ32を収めることによって、リブ32との干渉を回避している。なお、前記溝部32は、音色変更装置111の左右方向への移動を規制する係止部としても機能し、これによれば、音色変更装置111の弾性部材115は、左右方向へ移動できないので、例えば弦33の振動によって前記弾性部材115が左右の並設方向へずれてしまうことを確実に防止する。従って、前記音域の近隣の音高の音色が、演奏中に予定外に突然変化してしまったり、逆に、前記音域の両脇の音高の音色が突然ピアノ1の音色に戻ってしまったりすることを防ぐことができて、当該音色変換装置111は、その音色の変更安定性に優れたものとなっている。
また、前記リブ32の上方から単に下降するだけで、前記音色変更装置111をピアノ1に取り付け可能である一方、取り外す際には、取り付け状態の音色変換装置111を単に上昇させるだけで良い。よって、当該音色変換装置111は、前記ピアノ1への着脱性に優れたものであり、演奏中又は演奏の合間に、音色の変更を容易に行うことができる。
ところで、図5に示すように、この本体113には、左右の長尺方向に沿って複数の円孔113bが形成されているが、これらの円孔113bは、前記音色変更装置111の総重量及び前記長尺方向の重量バランスを調整するためのものである。すなわち、総重量が重ければ円孔113bを形成し、軽ければ円孔113bに鉛等の錘を埋設する。なお、総重量は、弦33の振動中でも弦33から弾性部材115が離れないような重さに設定すると良く、そうすれば、前記弾性部材115は弦33から跳ねることなく常に弦33との当接状態を維持可能となり、もって、ピアノ1が打弦時に発音する音色を確実に変更可能となる。
また、重量バランスの調整が必要な理由は、音高毎に、それぞれ割り当てられた弦33の本数、弦33の太さ、及び弦33の張力等が異なっていて、弾性部材115が離れないような押し付け力が、前記長尺方向に応じて異なるためである。なお、押し付け力が足りない位置には円孔113bを形成してその中に前記鉛を詰める。
ちなみに、このような総重量及び重量バランスの調整は、ピアノ1単位で行っておくのが望ましく、すなわち、ピアノ1毎に専用の音色変更装置111を作っておくと良い。これは、個々のピアノ1毎に弦33の並設状態が微妙に異なるためである。
(b)弾性部材115
前記弾性部材115は、例えば、粘弾性体から均等厚みに形成された可撓性のシート部材であり、図5及び図6に示すように、前記本体113の前面から後面にかけてU字状に渡されて前記本体113の下面を覆っている。そして、この覆った状態において、前面及び後面にビス117a止めされた前後一対のプレート117によって前記本体113に押し付け固定されている。このシート部材115の全長は、前記本体113の全長とほぼ同じであり、もって、前記溝部113aを除く本体113の全長に亘ってその下面を覆っている。
なお、この覆った状態において、シート部材115と本体113の下面との間には、図6に示す隙間Gが存在しているのが好ましく、更に好ましくは、この隙間Gの前後方向に沿う断面形状が、前記前後方向に関する中央が広い、下に凸の蒲鉾状になっていると良い。そして、このような隙間Gを形成しておけば、図4に示す弦33への載置状態において前記本体113には前記弦33の振動が伝達され難くなって、当該弦33の振動は、専ら前記シート部材115によって吸収される。従って、前記本体113が与える音響的影響を概ね排除して、専らシート部材115によって音色は変更されるので、変更後の音色の推定が容易となり、もって希望の音色に変更し易くなる。また、互いに隣り合う弦33の位置が上下方向に多少ずれていても、このずれのばらつきを前記隙間Gによって吸収することができるため、前記シート部材115を、それぞれの弦33に確実に当接可能となる。更には、前記シート部材115は、その蒲鉾状の隙間Gが潰れることによって前記弦33に面で当接することができる。従って、振動振幅が大きい弦33に対しても、前記シート部材115は弦33から離れ難くなり、当接状態が維持され易くなる。
ところで、シート部材115の素材として粘弾性体を用いている理由は、以下の通りである。一般に、粘弾性体は、外力が加えられて変形されると、その変形によって蓄えられる内部変形エネルギーの一部を熱に変換して消費する特性を有し、この特性を有していると、弦33の振動を有効に吸収可能であるからである。粘弾性体の種類は、希望の音色に応じて適宜選定すれば良いが、例えば、コントラバスの音色に変更したければ、粘弾性体の一種であるソルボセイン(登録商標)を用いると良い。このソルボセインは、ポリオールとMDI(ジフェニルメタン−ジイソシアナート(diphenyl-methane diisocyanate)からなるエーテル系ポリウレタンであり、衝撃エネルギーに対する吸収能力が大きいという特徴を有している。また、非常に人の指に似た質感をもっているため、あたかも人の指で弦33を押さえたような状態を再現することができて、その結果、コントラバスの弦33を指で弾いたような音色に、ピアノ1の音色を変更できる。すなわち、このソルボセインを用いれば、ピアノ1からコントラバスの音色を出すことが可能となり、ピアノ1で表現可能な演奏の幅を広げることができる。ちなみに、よりコントラバスの音色へ近づけるには、ソルボセインの中でもそのショア硬さが30°のものを用いると良く、更に好ましくは5mm厚みのものを用いると良い。
<<<音色変更装置111の一使用例>>>
ここで、図8を参照しつつ、音色変更装置111の一使用例について説明する。なお、この使用例は一例であって、なんらこれに限るものではない。
この使用例の音色変更装置111は、伴奏楽器としての使用頻度の高いコントラバスに最も近い音色に変更可能な条件に設定されており、すなわち、前記弾性体115には、ショア硬さが30゜で5mm厚のソルボセインを使用している。そして、この音色変更装置111を、コントラバスの音域である低音域(例えば、ほぼ最低位の音高から3オクターブ分に亘る全ての音高)の全ての弦33に亘って載置することによって、低音域ではコントラバスの音色に変更しつつ、それ以外の高音域ではピアノ本来の音色による演奏を行うことが可能となる。その結果、あたかも、ピアノ奏者及びコントラバス奏者のセッションの如き合奏を、ピアノ奏者の独奏によって実現可能となる。ちなみに、ピアノ奏者が、演奏中又は演奏の合間に、低音域の音色を元のピアノ1の音色に変更したければ、音色変更装置111を上へ持ち上げてピアノ1から取り外せば良い。
<<<音色変更装置111の変形例>>>
図9は、音色変更装置111の第1変形例を示す斜視図である。前述した実施形態の音色変更装置111は、前記フレーム31のリブ32を逃げるための溝部113aを有していたが、この第1変形例の音色変更装置121は、溝部113aを有していない点で主に相違する。なお、リブ32を有していないのは、変更対象の音域が前述の実施形態とは異なり、前記リブ32とは干渉せずに、音色変更装置111を弦33に載置できるからである。
但し、この第1変形例の場合であっても、音色の変更安定性の観点からは、音色変更装置121の左右方向への移動の規制を行う必要があり、この第1変形例にあっては、音色変更装置121の本体113の全長寸法を、前記音域の両脇にある一対のリブ32の間隔よりも若干小さく設定することによって達成されている。
また、この第1変形例にあっては、前後方向への移動を規制するための第2の係止部119が設けられている。この係止部119は、音色変更装置121の左右に一対設けられた略L字状部材であり、ピアノ1の左右方向に亘って延在するリブ32に上方から引っかけて、音色変更装置121の前後方向の移動を規制する。
図10は、第2変形例の音色変更装置131を示す斜視図である。前述の実施形態及び第1変形例では、前記本体113の溝部113aを除く全長の部分に亘って弾性体115が設けられていたが、この第2変形例にあっては、前記溝113a以外にも、弾性体115の未設部分113cが存在している点で相違する。すなわち、この場合の変更対象の音域は、本体113の両端側に分かれており、その間の未設部分113cの音域は、ピアノ本来の音色を出せるようになっている。
図11は、第3変形例の音色変更装置141を示す斜視図である。前述の実施形態等の本体113は、可動部を有しない構成であったが、この第3変形例の本体113は、その左右の両端部が前後方向に屈曲可能になっている点で相違する。そして、前後に屈曲すれば、弦33に載置した際に前後方向に傾倒し難くなって、弦33にシート部材115を確実に当接可能となる。
この第3変形例の音色変更装置141は、本体113の2カ所に、溝部113a,113aを有しており、すなわち、音色を変更すべき音域に、2カ所のリブ32が存在する場合に使用される。そして、これら溝部113a,113aによって、前記本体113は、左右方向に三つの部分に分かれており、そのうちの中央部1131と右部1132とは、両者の上面に添えられた横木142にボルト止めされている。ここで、右部1132は二本の鉛直ボルト144で固定されているが、中央部1131は、一本の鉛直ボルト144で固定されている。よって、当該鉛直ボルト144を回転中心として、横木142と一体に右部1132は前後に旋回可能となっている。これと同じ構成で、左部1133も中央部1131に連結されており、もって、左部1133も横木143と一体に前後に旋回可能となっている。
===その他の実施形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
(a)本実施形態においては、鍵盤楽器としてピアノ1を例示したが、鍵盤楽器であれば、これに限るものではなく、例えばチェンバロであっても良い。
(b)本実施形態においては、弦33が略水平に張設されたグランドピアノ1への適用例について説明したが、弦33が略鉛直方向に張設された縦型ピアノ(アップライトピアノ)へも適用可能であるのも言うまでもない。なお、この場合には、概ね、前述した実施形態の説明の記載における「水平方向」を「鉛直方向」に置き換えて考えれば良い。但し、この場合には、弦33の上に音色変更装置111を載置してその自重で弦33に押し付けることはできないので、略水平方向に弾性力を付与するコイルバネや板バネ等のバネ部材を用いて、音色変更装置111を弦33に押し付ける必要がある。
(c)本実施形態の音色変更装置111は、剛性を有する本体113に、粘弾性体からなるシート部材115を固定したものであったが、鍵盤楽器の弦33と対向する面が粘弾性体であれはこれに限るものではなく、例えば、前記本体113も含めて前記音色変更装置111の全体を粘弾性体で一体成形しても構わない。但し、その場合には、粘弾性体の素材単価によっては、製造コストがかかってしまう畏れがある。これに対して、上述した実施形態及び変形例によれば、前記弾性部材115の素材を用いて音色変更装置111を一体成形しなくて済み、前記弦33に当接しない前記本体113に対して木材等の安価な素材を使用可能である。
なお、この本体113の素材は、前述の木材に何等限るものではなく、剛性を有していれば、金属等の他の素材を適宜適用可能である。ちなみに、前記本体113に剛性が必要な理由は、前記弾性部材115が、自身では形状を維持できない程度に柔らかな素材であっても、前記本体113に固定すれば前記弾性部材115の形状を所定形状に維持可能となるからである。
(d)本実施形態の音色変更装置111は、ピアノ1に常設されずに、使用の都度、ピアノ奏者等が人力で着脱するものであったが、使用不使用を問わずピアノ1に常設するようにしても良い。この常設したピアノ1の例としては、例えば、弦33の上方に音色変更装置111を昇降可能に支持する昇降機構と、この昇降機構を制御すべくワイヤ等で連結されたペダルと、を備えたピアノ1が挙げられる。そして、このようなピアノ1によれば、ペダルを踏み込むことによって音色変更装置111は下降して弦33に載置され、その音域の音色を変更する一方で、前記ペダルの踏み込みを解除すれば、前記音色変更装置111の上昇を介して音色変更装置111は弦33から離れて、ピアノ本来の音色へと戻すことができて、すなわち、音色の変更を容易に行えるものとなる。
本発明を適用可能なグランドピアノ1の外観図である。 前記ピアノ1の支柱11及び響板21の斜視図である。 前記ピアノ1のフレーム31を示す上面図である。 低音域における鍵盤41とアクション機構51の側断面図である。 本発明の音色変更装置111の斜視図である。 図5中のVI-VI線矢視の側面図である。 音色変更装置111を取り付けていない状態のグランドピアノ1を、その左前方から見た斜視図である。 音色変更装置111を取り付けた状態を同方向から示す拡大斜視図である。 音色変更装置111の第1変形例を示す斜視図である。 音色変更装置111の第2変形例を示す斜視図である。 音色変更装置111の第3変形例を示す斜視図である。
符号の説明
1 ピアノ、グランドピアノ
33 弦
41 鍵盤
64 ハンマー
111 音色変更装置
113 本体
115 弾性部材、シート部材

Claims (15)

  1. 複数の鍵盤と、前記鍵盤毎に対応させて並設された複数の音高の弦と、通常は前記弦の自由振動を阻止し打弦時に前記弦を解放するダンパー機構と、操作された鍵盤に対応する前記弦を打弦するハンマーと、を備えた鍵盤楽器に使用され、打弦時に前記鍵盤楽器が発音する音色を変更するための音色変更装置であって、
    前記ダンパー機構とは別体に設けられ、
    音色を変更すべき音高の全ての弦に、少なくとも前記打弦時の前後に亘って当接して前記弦の振動を吸収するための弾性部材を備えており、
    剛性を有する本体を備え、
    前記弾性部材は、前記本体における前記弦と対向する面を覆って該本体に固定されており、
    前記弾性部材は、可撓性を有するシート部材であり、
    前記対向する面と前記シート部材との間には、隙間が設けられていることを特徴とする音色変更装置。
  2. 請求項1に記載の音色変更装置において、
    前記シート部材における、前記弦の長手方向に関する略中央が前記弦側に向けて凸状になるように、前記隙間は設定されていることを特徴とする音色変更装置。
  3. 請求項1又は2に記載の音色変更装置において、
    前記本体は、前記弦の並設方向に長尺な部材であり、
    音色を変更すべき複数の音高の全ての弦に当接可能な長さに設定されていることを特徴とする音色変更装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の音色変更装置において、
    前記音色変更装置は、振動中の弦から前記弾性部材が離れないような押し付け力で前記弦に押し付けられていることを特徴とする音色変更装置。
  5. 請求項4に記載の音色変更装置において、
    前記音色変更装置は、略水平に張設された前記弦に載置されており、
    前記本体の重量は、振動中の弦から前記弾性部材が離れないような重さに設定されていることを特徴とする音色変更装置。
  6. 請求項5に記載の音色変更装置において、
    前記本体には、前記弦の並設方向に沿って複数の孔が設けられていることを特徴とする音色変更装置。
  7. 複数の鍵盤と、前記鍵盤毎に対応させて並設された複数の音高の弦と、通常は前記弦の自由振動を阻止し打弦時に前記弦を解放するダンパー機構と、操作された鍵盤に対応する前記弦を打弦するハンマーと、を備えた鍵盤楽器に使用され、打弦時に前記鍵盤楽器が発音する音色を変更するための音色変更装置であって、
    前記ダンパー機構とは別体に設けられ、
    音色を変更すべき音高の全ての弦に、少なくとも前記打弦時の前後に亘って当接して前記弦の振動を吸収するための弾性部材を備えており、
    前記音色変更装置は、振動中の弦から前記弾性部材が離れないような押し付け力で前記弦に押し付けられ、
    前記音色変更装置は、略水平に張設された前記弦に載置されており、
    該音色変更装置は、剛性を有する本体を備え、前記弾性部材は、前記本体の下面を覆って該本体に固定され、
    前記本体の重量は、振動中の弦から前記弾性部材が離れないような重さに設定されており、
    前記本体には、前記弦の並設方向に沿って複数の孔が設けられており、
    前記複数の孔のうちの幾つかの孔には、錘が詰められていることを特徴とする音色変更装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の音色変更装置において、
    前記弾性部材が粘弾性体から形成されていること特徴とする音色変更装置。
  9. 請求項8に記載の音色変更装置において、
    前記鍵盤楽器がピアノであるとともに、
    前記粘弾性体がソルボセイン(登録商標)であること特徴とする音色変更装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の音色変更装置において、
    前記音色を変更すべき音高は、前記鍵盤楽器が発音可能な全ての音高のうちの一部の音高であることを特徴とする音色変更装置。
  11. 請求項10に記載の音色変更装置において、
    前記一部の音高は、低音域において互いに隣り合う複数の音高から構成され、前記音高よりも高音域の音高には、前記弾性部材が設けられないことを特徴とする音色変更装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の音色変更装置において、
    前記鍵盤楽器は、前記弦の一端と他端とを固定して前記弦を張設するフレームを有し、
    前記弦における前記一端に近い部分には、前記弦の振動を響板に伝達するための駒が配置され、前記ハンマーの打弦点は、前記弦における他端に近い部分に設定されるとともに、前記打弦点と前記他端との間には、前記弦を通す孔を有するアグラフが設けられ、
    前記弦における、前記ハンマーの打弦点と前記アグラフとの間の部分に、前記弾性部材が載置されることを特徴とする音色変更装置。
  13. 請求項12に記載の音色変更装置において、
    前記フレームは閉じた枠形状であり、
    該フレームの内周側には、前記弦が略水平に張設されているともに、前記弦の上方には補強用の複数のリブが掛け渡され、
    前記音色変更装置は、該音色変更装置を、前記打弦点近傍の前記リブに上方から下降させて該リブに係止させるための係止部を備え、
    前記リブと前記係止部との係止状態においては、前記弾性部材は、前記弦の並設方向への移動が規制されていることを特徴とする音色変更装置。
  14. 請求項13に記載の音色変更装置において、
    前記係止状態においては、前記弾性部材は、前記弦の長手方向への移動が規制されていることを特徴とする音色変更装置。
  15. 請求項1乃至14のいずれかに記載の音色変換装置を備えていることを特徴とするピアノ。
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