JP3597755B2 - 炉壁内面貼付用耐火タイルおよびその耐火タイルを支持するための引掛金具 - Google Patents

炉壁内面貼付用耐火タイルおよびその耐火タイルを支持するための引掛金具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炉壁内面貼付用耐火タイルおよび炉壁内面に耐火タイルを支持するための引掛金具の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばごみ焼却炉の炉壁には廃熱の有効利用を図るために多数本の水管が埋設され、かつこの水管が炉内ガスにより腐食されるのを防ぐためにこの炉壁内面にセラミック製の耐火タイルが貼り付けられる。特開平8−178242,特開平10−89672等の公開特許公報はこうした炉壁の構造を示すものである。
【0003】
ところで従来では、耐火タイルを炉壁内面に支持するための引掛金具は、上記公開特許公報等に示されているように、水管のフィン(炉壁内面)に引掛金具を8°〜20°程度の仰角をもって突出させることで耐火タイルを脱落することなく係合させるものであるので、引掛金具を炉壁内面に対してアーク溶接で固着せざるを得ないものであった。ところがアーク溶接により固着しようとすると、引掛金具をその先端面が炉壁内面に接触するよう支持し接触部分の周囲にビードを肉盛りする工程が必要となるので煩雑な手間を要し、多数本の引掛金具を固着するには非常に時間がかかり築造コストを上昇させる欠点があった。
【0004】
一方、特許第2986917号では、耐火タイルに取付孔を開設し該取付孔を貫通させたボルトを水管のフィン(炉壁内面)にねじ込むことにより、耐火タイルを固定するものであったが、これでは炉壁にねじ孔が貫通状に形成されるので炉壁強度を損なうおそれがあった。
また、モルタル(キャスタブル)を充填するための数ミリの隙間を確保するために耐火タイルに裏面を部分的に突出状に形成することも、耐火タイルの形状が複雑になり肉厚部で耐熱衝撃性が損なわせるおそれがあった。
さらに、引掛金具部周囲のタイル裏面を突出させると引掛金具の溶接ビードと突出部が接触するため、設計通りの隙間が得られず、ボイラーへの熱伝達を阻害する等の不具合が発生し易くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記欠点を解消し、固着作業が容易なる引掛金具を提供するとともに、その固着によって耐火タイルの裏側にモルタルを充填するための一定の隙間を確保し得るようにするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明に係る引掛金具は、導電性の金属材料からなり、円盤状部の先端面の中心に小突起を一体に形成するとともに、該円盤状部の背面に上面が後方に向けて傾斜状に隆起する引掛部を一体に形成し、該引掛部の周囲に鍔を形成してなることを特徴とする。
また本発明は上記引掛金具において、円盤状部の先端面を前方に僅かに盛り上がる球面または円錐面状に形成したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1は本発明に係る引掛金具の正面方向斜視図、図2はその側面図である。この引掛金具1は、導電性の金属材料からなり、円盤状部2の先端面3の中心に小突起4を一体に形成するとともに、該円盤状部の背面に該円盤状部の外径よりも幅狭であって上面5が後方に向けて傾斜状に隆起する引掛部6を一体に形成する。なお具体的には、円盤状部2の外径dは15mm、引掛部6の幅wは9mm、上面5の傾斜角度αは21°である。
【0008】
また、円盤状部2の先端面3は前方に僅か(1mm程)に盛り上がる球面または円錐面状に形成され、その頂部に直径3mm,長さ2mm程の小突起4が一体に形成される。
【0009】
また、7,7は引掛部6の周囲に一体に形成された鍔で、該各鍔は円盤状部2の先端面3からの距離hが9.5mmに設定される。
【0010】
また、セラミックス製の耐火タイル10は、図3,図4に示したように、長方形板状であって裏面の中央および両側縁に夫々突条11,12,12が平行に形成され、中央の突条11の中程より上部に非貫通なる上向傾斜状(傾斜角度β=21°)の引掛孔13が形成されている。そして該耐火タイル10の上側縁14および下側縁15は該引掛孔とほぼ同じ角度で傾斜状に切り欠かれている。
【0011】
図5は平行に配置された複数本の水管16をフィン17によって連結してなる炉壁を示す。上記引掛金具1は、炉壁内面のフィン17部分に小突起4を接触させ、該引掛金具と炉壁との間に大電流を流すことにより、該小突起4を抵抗発熱させ、或いは該小突起4と炉壁内面との間に発生するアーク熱により該小突起4を溶融させ炉内壁面に融着させる。これには、引掛金具1に大電流を印加するための溶接ガンが使用され、溶接機(図示せず)のコンデンサに貯えられた大電流を一時に該引掛金具と炉壁との間に流すことにより、該小突起4を溶融させる。そのとき先端面3は前方に僅かに盛り上がる球面または円錐面状に形成されていることから、該引掛金具1が炉内壁面に対し多少斜めに当てられても先端面3の周縁部が炉壁内面に接触するおそれがなく、常に小突起4に電流が集中して流れるようになる。なおこのようにコンデンサを備えた溶接機から大電流を印加する溶接工法は一般にCD(Capacitor Discharge)工法、またはCDスタッドウェルディングシステム(CD Stud Welding Systems)等と称される。
【0012】
こうして引掛金具1を図5に示したように炉壁内面の水管間のフィン部分に一定間隔にて固着し、図6,図7に示したように、該引掛金具1の引掛部6を耐火タイル10の引掛孔13に遊嵌することで、該耐火タイル10を離脱させるおそれなく支持できる。そのとき、鍔7,7が耐火タイル10の裏面に当接することで、炉壁内面と該耐火タイル10の裏面との隙間gが一定に保たれ、モルタル20を充填するための一定の隙間を確保し得る。従って、この隙間gは概ね前記距離hの設定によって自在に確保し得る。なお、実際的にはこの隙間gは3〜10mmの範囲で適宜選択される。
【0013】
なお、鍔7,7は図示したようなT字状の形状に限らず形成できるが、このような形状にすることで、円盤状部2の両側が空くので手溶接する際にもこの鍔7,7が邪魔にならない利点がある。
また、耐火タイル10の上側縁14および下側縁15を引掛孔13とほぼ同じ角度で傾斜状に切り欠いたことで、メンテナンスのために耐火タイルを交換する必要が生じた場合、古い耐火タイルをこの傾斜に沿って斜め上方に持ち上げれば、その上下の耐火タイルを傷付けることなく容易に離脱させることができ、新しい耐火タイルに交換できるので、メンテナンスも容易になる。
【0014】
【発明の効果】
上記のように本発明に係る引掛金具は、導電性の金属材料からなり、円盤状部の先端面の中心に小突起を一体に形成するとともに、該円盤状部の背面に上面が後方に向けて傾斜状に隆起する引掛部を一体に形成し、該引掛部の周囲に鍔を形成してなるので、溶接機から大電流を印加するCD溶接工法により、炉壁内面に容易に固着でき築造コストを軽減させるとともに、耐火タイルと炉壁内面との間に常に一定の隙間が形成され、モルタルの充填厚さが確保されるので常に失敗のない施工が容易となる。そのうえ、炉壁強度や耐火タイルの強度等の諸特性が損なわれることがないとともに、耐火タイルの上側縁および下側縁が引掛孔とほぼ同じ角度で傾斜状に切り欠かれていることによって、メンテナンス時の交換が容易となるなど有益な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る引掛金具の実施の形態を示す正面方向斜視図。
【図2】図1の引掛金具の側面図。
【図3】本発明に係る耐火タイルの実施の形態を示す裏面方向斜視図。
【図4】図3の耐火タイルの縦断面図。
【図5】炉壁内面に引掛金具を固着した状態の斜視図。
【図6】本発明に係る引掛金具によって耐火タイルが支持された炉壁の縦断面図。
【図7】図6の横断面図。
【符号の説明】
1 引掛金具
2 円盤状部
3 先端面
4 小突起
5 上面
6 引掛部
7 鍔
10 耐火タイル
11,12 突条
13 引掛孔
14 上側縁
15 下側縁
20 モルタル
g 隙間

Claims (2)

  1. 導電性の金属材料からなり、円盤状部の先端面の中心に小突起を一体に形成するとともに、該円盤状部の背面に上面が後方に向けて傾斜状に隆起する引掛部を一体に形成し、該引掛部の周囲に鍔を形成してなることを特徴とした炉壁内面に耐火タイルを支持するための引掛金具。
  2. 円盤状部の先端面を前方に僅かに盛り上がる球面または円錐面状に形成した請求項1に記載の炉壁内面に耐火タイルを支持するための引掛金具。
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