JP3597743B2 - 検出体の送り装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のステアリングホイールの操舵角の検出を行う角度センサに搭載される検出体の送り装置に係わり、特にスクリュー軸の回転に応じて往復移動させられる検出体の送り精度を高めた検出体の送り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、本願発明者によって特願平11−3155号で提案した従来の角度センサの内部構造を示す平面図であり、例えば自動車のステアリングホイールの操舵角を高精度に検出するものである。
【0003】
図4に示す角度センサ1は、プラスチック等の合成樹脂材料からなるケース2内に回転体3が設けられている。回転体3は、合成樹脂材料等を円筒状に形成したものであり、ケース2に対して回転自在に支持されている。この回転体3の内部に自動車のステアリングホイールが挿通され、ステアリングホイールとともに回転体3が時計回りおよび反時計回り方向に回転させられる。前記回転体3の外周面には、複数のはすば歯車3aが全周に渡って形成されている。
【0004】
またケース2内には、図示X方向を軸とする回転軸9が回転自在に設けられている。そして、この回転軸9には、駆動歯車8が設けられている。駆動歯車8の外周面には複数のはすば歯車8aが全周に渡って形成されており、前記回転体3のはすば歯車3aと歯合している。回転軸9は、黄銅やアルミニウム等の金属材料からなり、中央部から一端側にかけて螺旋状のスクリュー軸9aが形成され、このスクリュー軸9aに検出体4が設けられている。
【0005】
検出体4は、移動方向(X方向)の一端面から他端面にかけて貫通孔4aが穿設されている。この貫通孔4aには内周面に前記回転軸9に形成されたスクリュー軸9aと歯合するねじ山(図示せず)が形成されている。また検出体4の下面には、磁石5がインサート形成等によって取り付けられている。前記検出体4はX方向へ直線的に移動するように前記ケース2内で案内されており、前記回転体3が回転し、駆動歯車8と回転軸9が回転することにより、検出体4および磁石5がX方向へ往復移動する。
【0006】
前記ケース2の固定部材7上には、前記磁石5に対向する側にホール素子6が設けられている。そして、磁石5がX方向へ往復移動すると、その磁気的な変位を検出することにより、前記ステアリングホイールの回転角度(操舵角)の検出が可能となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の角度センサ1では、検出体4とスクリュー軸9aとは、単に検出体4の貫通孔4aに形成されたねじ山にスクリュー軸9aを歯合させただけの構成であるため、前記検出体4のねじ山とスクリュー軸9aのねじ溝との間の遊び(バックラッシ)が形成されやすい。そして、このバックラッシにより、検出体4が軸線方向(X方向)にがたつきが生じやすく、検出体4が回転体13の回転角度に応じた正確な移動距離を得ることができなくなる。よって、ホール素子6では、ステアリングホイールなどの被検出軸の回転角度を高い精度で検出することができなくなるという問題がある。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、スクリュー軸の回転に応じて往復移動させられる検出体の送り精度を高めた検出体の送り装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転駆動力が与えられるスクリュー軸と、前記スクリュー軸に嵌合し前記スクリュー軸の回転力で前記スクリュー軸の軸方向へ移動する嵌合部材と、前記嵌合部材と共に移動する検出体と、前記検出体の直線移動を検出する検出手段とが設けられ、
前記嵌合部材と前記検出体とが板ばねで連結され、この板ばねで前記嵌合部材が支持されており、前記板ばねは、板厚方向が前記嵌合部材および前記検出体の移動方向と直交する方向に向けられており、前記板ばねは前記移動方向と直交する方向で且つ板面方向へ間隔を開けた位置で、前記嵌合部材と前記検出体とに対し前記移動方向に向く線に沿って固定されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、板ばねの板厚方向(面方向)が板ばねの弾性方向(Z方向)に向けられ、且つ前記板ばねの弾性方向の線上に沿って嵌合部材と検出体が固定されているので、板ばねに捩りが生じなくなり、嵌合部材を安定してスクリュー軸に嵌合させることができ、検出体を確実に移動させることができる。
【0011】
上記において、前記板ばねの前記嵌合部材に対する取付け面と、前記検出体に対する取付け面が、同一面上に位置しているものが好ましい。
【0012】
上記構成では、薄型化が可能となる。
また前記嵌合部材には、前記板ばねの面と垂直方向に開口するU字形状の嵌合部が形成され、前記嵌合部が前記スクリュー軸に噛み合っているものが好ましい。
【0013】
上記構成では、嵌合部を断面U字形状とすることにより、嵌合部の一部を開口することができるため、この開口を通してスクリュー軸と嵌合部との着脱を容易とすることができる。
【0014】
また、前記嵌合部材には、移動方向に間隔を開けて前記嵌合部が一対形成されており、前記板ばねには中央部に切欠部が形成され、前記板ばねの前記切欠部が形成されていない領域により、前記一対の嵌合部が前記スクリュー軸方向へ付勢されているものが好ましい。
【0015】
これにより、一対の嵌合部を独立してスクリュー軸に押し付けることができるので、一対の嵌合部が傾くことなく安定してスクリュー軸に弾圧されるものとなる。
【0016】
また、前記検出体の軸線方向の移動をガイドするガイド部材を設けられており、前記ガイド部材が、前記スクリュー軸に平行に設けられた少なくとも1本以上のレールからなり、前記検出体が前記レールの上を摺動するものであるものが好ましい。
【0017】
すなわち、レールは1本でもよく、2本以上あってもよい。スクリュー軸と平行となるようにレールを設けておくことにより、検出部材(ホール素子)に対し検出体を直線的にスムーズに移動させることができる。
【0018】
さらに、前記レールは前記移動方向に沿って2本平行に設けられており、前記嵌合部材は、前記2本のレール間のほぼ中心に位置しているものが好ましい。
【0019】
これにより、検出体を保持するホルダの荷重を、2本のレールに均等に配分することができるため、ホルダが傾いたり、レールからホルダの摺動片が脱線するような不具合を防止できる。よって、常に検出部材に対し検出体を平行に移動させることが可能となるため、安定して被検出軸(ステアリングホイール)の微回転角度を検出できるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
図1は、本発明における検出体の送り装置を搭載した角度センサの内部構造を示す正面方向の断面図であり、例えば自動車のステアリングホイールの操舵角を高精度に検出するものである。図2は角度センサの主要部分を示す分解斜視図、図3は本発明における検出体の送り装置を示し、Aは図1のA方向からの側面図、Bは図3AのB−B線の拡大断面図である。
【0021】
図1に示す角度センサ10では、符号12がケースを、符号13が回転体をそれぞれ示している。回転体13は、合成樹脂材料により円筒状に形成されており、ケース12内に図示時計回り方向(α1方向)および反時計回り方向(α2方向)に回転自在に支持されている。前記回転体13の中心は空洞であり、この中に自動車のステアリングホイールSh(被検出体)が挿通される(図2参照)。回転体13の内周面には軸方向に延びる凸部13a,13bが突出形成され、前記ステアリングホイールShの外周面に形成された凹部(図示せず)に嵌合可能となっている。そして、ステアリングホイールShが回転すると、それに伴って回転体13が回転させられるものとなっている。また図2に示すように、この回転体13の外周面には、軸方向(Y方向)に対しほぼ45°斜め向きに刻まれた歯からなるはすば歯車13Aが周設されている。
【0022】
一方、ケース12の下方(図1のZ2方向)には、ユニットケース17が設けられている。ユニットケース17は、射出成形等した合成樹脂から形成され、図1に示すようにケース12の下部位置において取り付けられている。ユニットケース17のX1およびX2方向の両端には、図示Z1方向に延びる支持片17a,17bが形成され、その先端に円形の支持部17a1と支持部17b1がそれぞれ形成されている。前記支持部17a1,17b1の上部には、図示Z1方向の端部を開放した欠損部17a2,17b2がそれぞれ形成されており、これら欠損部17a2,17b2を通して後述の回転軸30の両端が前記支持部17a1,17b1内にそれぞれ装着可能となっている。前記支持片17a,17bの間には、支持片17c、第1の台座部17dおよび第2の台座部17eが設けられている。
【0023】
図2に示すように、第1の台座部17dは略V字形状に形成され、そのV字状の傾斜面の裏(第1の台座部17dの内部)には、それぞれの傾斜面に一対の第1の検出部材H1(図1参照)が外形を位置決めされた状態で設けられている。一方、第2の台座部17eは図示X方向に延びた直方体形状からなり、その上面の両側部には、断面凸状のレール(ガイド部材)17e1,17e2がX方向に延設されている。図1、図3A,Bに示すように、第2の台座部17eの内部には、第2の検出部材H2が設けられている。そして、この第2の台座部17eの上部に検出体20が対向している。なお、前記第1および第2の検出部材としては、例えばホール素子、MR素子、磁束検出コイルなどを使用することができる。なお、以下においては、第1および第2の検出部材がホール素子であるものとして説明する。
【0024】
前記検出体20は、、合成樹脂から形成され、その内部には平面長方形状の空間領域21Aを有している。前記空間領域21Aを囲むホルダ21の四隅には図示Y軸方向に突出する4つの摺動片21a,21a,21a,21aがそれぞれ形成されている。各摺動片21aの底面は、摩擦係数の小さな平滑面で形成され、各摺動片21aの底面の幅間隔(Y方向の対向間隔)は、前記レール17e1とレール17e2の幅間隔と同寸法で形成されている。よって、ホルダ21は、各摺動片21aを前記レール17e1,17e2の上にそれぞれ載せた状態で、図示X方向に往復移動できるものとなっている。
【0025】
前記ホルダ21の空間領域21A内には、軸線方向に沿って1対のN極とS極に着磁されたフェライトなどの磁性材料からなる第2の磁石M2が保持されている。そして、第2の磁石M2の磁着面と前記第2の検出部材(ホール素子)H2とが対向している。またホルダ21の図示Y側には、固定部21fが設けられており、この固定部21fには図示Z1方向に突出する凸部21g,21hが形成されている。
【0026】
前記空間領域21Aの上部には、弾性支持部材22および嵌合部材23が設けられている。弾性支持部材22は、1枚の薄い金属板又は樹脂製の板をプレス加工および/または打抜き加工、あるいは曲げ加工等した板ばねにより形成されている。弾性支持部材22の図示Y1側(固定端側)の面が取付け面22Aであり、図示Y2側(自由端側)の面が取付け面22Bである。取付け面22Aと取付け面22Bは折り曲げ部を介して連結されている。そして、弾性支持部材22の中央には、四角形状の切欠き22Cが形成されている。前記弾性支持部材22の取付け面22Aには、十字形状の切込み22a,22bが検出体の移動方向(X方向)に沿って形成されている。前記切込み22a,22b内に前記ホルダ21の凸部21g,21hが挿通され強嵌合されることにより、弾性支持部材22のY1側の取付け面22Aが、ホルダ21の固定部21fに固定される。これにより、弾性支持部材22が固定部21fに片持ちはり状態で支持される。そして、前記他方(Y2側)の取付け面22Bが自由端となり、弾性支持部材22の板厚方向(面の法線方向=図示Z方向)が弾性方向となる。前記自由端側の取付け面22Bの両端には、位置決め用の穴22c,22dが検出体の移動方向(X方向)に沿って形成されている。また穴22cと穴22dとの間には、前記切欠き22C内に図示Y1方向に延び、先端がZ1方向に曲げられた支持腕22f,22fと、Y2方向に延び先端がZ1方向に折り曲られた22f,22fがそれぞれ一体に形成されている。
【0027】
図2に示すように、弾性支持部材22の取付け面22Bの上には、嵌合部材23の長手方向が検出体20の移動方向(X方向)と平行となるように固定されている。嵌合部材23は樹脂材料から形成されており、基台23AのX1およびX2方向の両端には、円柱の一端面から他端面にかけて貫通孔が形成され、さらに円柱をXY平面に平行な面で切断した一対の半中空円柱状の嵌合部23a,23bが形成されている。すなわち、嵌合部23a,23bは断面U字形状に形成され、その内面23c,23cには雌ねじがそれぞれ形成されている。
【0028】
また嵌合部材23の基台23Aの底面(Z2側の面)には、前記ホルダ21に形成された凸部21g,21hと同様の形状で径小の凸部23d,23eが図示Z2方向に突出形成されている(図3B参照)。そして、前記凸部23d,23eを弾性支持部材22の取付け面22Bに形成された前記穴22c,22dに挿通して位置決めし、前記支持腕22f,22f,22f,22fを嵌合部材23の基台23Aにカシメ付けることにより、嵌合部材23を取付け面22Bに強固に保持して、嵌合部材23が弾性支持部材22の自由端に保持されている。
【0029】
このように、嵌合部材23を弾性支持部材22の取付け面22Bに固定すると、嵌合部材23はホルダ21の前記空間領域21Aの真上に設置され、弾性支持部材22の弾性力により、図示Z方向に弾性支持される。
【0030】
また、1枚の板からなる弾性支持部材22の同一面上において、且つ検出体20の移動方向(X方向)と直交する方向(Y方向:板面方向)へ間隔を開けた両端(Y1側の固定端とY2側の自由端)の位置において、検出体20の移動方向(X方向)に沿ってホルダ21および嵌合部材23がそれぞれ固定されている。すなわち、ホルダ21および嵌合部材23の長手方向が、検出体20の移動方向と平行となるように固定されている。このため、薄型化が可能であり弾性支持部材22の自由端側に発生しやすい捩じれを防止することができる。また嵌合部材23に弾性支持部材22を保持して、これを簡単にホルダ21に組み付けられるので組み立て作業が簡単にできる。
【0031】
前記回転軸30には駆動歯車36が固定されており、回転軸30と一緒に回転可能となっている。前記駆動歯車36の外周面には、前記回転体13の外周面に形成されたはすば歯車13Aと同一モジュールからなるはすば歯車36Aが周設されている。また回転軸30には、前記駆動歯車36に隣接する位置から回転軸30の左側の端部にかけて螺旋状のスクリュー軸30aが形成されている。そして、スクリュー軸30aのねじ溝のピッチは、上記嵌合部23a,23bの内面23c,23cに形成された雌ねじと同ピッチで形成されている。
【0032】
回転軸30の両端を前記支持片17aの支持部17a1と支持片17bの支持片17b1との間に支持すると、スクリュー軸30aが前記弾性支持部材22の自由端に設けられた嵌合部材23の真上に位置するように設定される。これにより、弾性支持部材22の自由端に設けられた嵌合部材23の嵌合部23a,23bを図示Z1方向からスクリュー軸30aに噛み合わせることができる。
【0033】
このとき、上記のように弾性支持部材22には捩じれが生じ難くなるため、嵌合部材23をZ1方向に水平に付勢することができる。これにより、スクリュー軸30aに対し、嵌合部23aと嵌合部23bの両端において偏った付勢力が発生することを防止できる。よって、嵌合部23aと嵌合部23bとでは、均一な付勢力でスクリュー軸30aを弾圧することができるため、スクリュー軸30aと嵌合部23a,23bの内面23c,23cとの間を均等に密着させることができ、この間のがたつきを抑えることができる。
【0034】
また、弾性支持部材22の付勢力は、嵌合部材23をスクリュー軸30aに押し付けるとともに、ホルダ21を第2の台座部17eに接近する方向(図示Z2方向)に押し付ける。このとき、前記嵌合部材23を、2本のレール17e1および17e2間のほぼ中心に位置するように設定しておくと、検出体20を保持するホルダ21の荷重を、各摺動片21aを介して2本のレール17e1,17e2にほぼ均等に配分することができる。これにより、ホルダ21が傾いたり、ホルダ21の各摺動片21aがレール17e1,17e2から脱線するような不具合を防止することができる。よって、常に第2の検出部材に対し検出体20を平行に移動させることが可能となるため、被検出軸(ステアリングホイール)の微回転角度を安定して検出できる。
【0035】
前記駆動歯車36の図示右端側は、駆動歯車36の軸中心部をX1方向に延長した太軸延長部36aおよび細軸延長部36bが形成されている。なお、細軸延長部36bは、太軸延長部36aに連続して図示X1方向に形成されている。前記太軸延長部36aには、補助歯車40が回転自在に外挿される。駆動歯車36の右端面と前記補助歯車40との間には、付勢部材50Aが設けられている。図1および図2に示す実施の形態における付勢部材50Aは、例えばねじりばねであり、駆動歯車36をβ2方向に付勢できるようになっている。付勢部材50Aの一方の先端50aは、図示X2方向に延び形成されており、図1に示すように駆動歯車36の内部に穿設された挿通孔36cに挿入されている。また付勢部材50Aの他方の先端50bは、補助歯車40の対向面内に形成された掛止部40aに掛止されている。
【0036】
前記補助歯車40の外周面は、はすば歯車40Aで形成されている。より詳しくは、この補助歯車40は、駆動歯車36と対向する側の外径がその逆側の外径よりも小さく、その間が前記回転体13の外周面に形成されたはすば歯車13Aと同じ径の曲率を有する逆球面はすば歯車状となっている。すなわち、図1に示すように、この補助歯車40は、軸断面形状において歯が前記回転体13の周方向に沿った形状のはすば歯車形状である。なお、補助歯車40は軸断面形状において歯が前記回転体13の周方向に沿って直線的に傾斜したかさば車(bevel gear)であってもよい。
【0037】
また、補助歯車40の図示右端側には、リング状のワッシャ55と第1の磁石M1が設けられている。前記第1の磁石M1の内径寸法は、駆動歯車36の細軸延長部36bの外径寸法とほぼ同寸法に形成されており、第1の磁石M1を細軸延長部36bに嵌合させることにより、第1の磁石M1を回転軸30に固定することが可能となっている。
【0038】
前記ワッシャ55の両面は、摩擦係数の小さな平滑面で形成され、前記補助歯車40と第1の磁石M1との間にワッシャ55を介挿することにより、前記補助歯車40の端面と第1の磁石M1の端面との間に生じる滑り摩擦を緩和できるようになっている。なお、磁石M1の端面および駆動歯車36の端面に当接するようにスピードナット56を設けることにより、補助歯車40,磁石M1の抜けを防止することが好ましい。
【0039】
図1および図2に示すように、前記駆動歯車36、補助歯車40、付勢部材50A、ワッシャ55および第2の磁石M2を備えた回転軸30は、前記支持片17aの支持部17a1と支持片17bの支持部17b1との間に支持される。このとき、回転軸30の両端には、軸受部材60,60がそれぞれ装着される。前記軸受部材60は、合成樹脂材料から成形されており、円筒状の軸受部61とこの軸受部61の一方の面に設けられたフランジ62とから形成されている。そして、回転軸30の両端が、軸受部材60,60に挿通された状態で、軸受部61,61の外周面がそれぞれ前記支持部17a1と支持片17b1に支持される。これにより、回転軸30は、ラジアル方向(回転軸30に直交する方向)への軸ずれが防止されている。
【0040】
図1に示すように、前記回転軸30を固定部材17の内部に固定すると、第1の磁石M1は略V字形状に形成された上記第1の台座部17dの傾斜面に対向する位置に設置される。また第1の台座部17dと第2の台座部17eとの間に駆動歯車36が配置される。
【0041】
さらに、嵌合部材23の嵌合部23a,23bには、前記スクリュー軸30aと噛み合わされる。このとき、弾性支持部材22の付勢力により、嵌合部23a,23bが前記スクリュー軸30aをZ1方向に弾圧するため、スクリュー軸30aと嵌合部23a,23bの内面23c,23cとの間のバックラッシを低減することができる。
【0042】
上記のように、回転軸30が装着されたユニットケース17が、ケース12内の下部位置に固定され、さらに回転体13をケース12内に設けると、回転体13のはすば歯車13Aと駆動歯車36のはすば歯車36Aとが互いにねじ歯車の関係を持って噛み合う。
【0043】
上記角度センサ10を自動車のステアリングホイールShに装着し、ステアリングホイールShを図示α1又はα2方向に回転させると、回転体13に歯合している駆動歯車36および補助歯車40が図示β1又はβ2方向へ回転させられる。そして、回転軸30およびこの回転体30に固定されている第1の磁石M1がともにβ1又はβ2方向に回転させられる。
【0044】
前記第1の磁石M1の外周面は、第1の磁石M1が1回転する間にN極とS極とが1回ずつまたは2回ずつ第1の検出部材(ホール素子)H1を通過するように着磁されている。よって、この第1の磁石M1と対向するV字状の第2の台座部17dに設けられた第1の検出部材H1が、前記第1の磁石M1の磁界の強度変化を検出することにより、回転体3の微回転角度を検出することができる。
【0045】
前記回転軸30がβ1又はβ2方向に回転させられると、ホルダ21の嵌合部23a,23bには、回転軸30のスクリュー軸30aにより図示X1又はX2方向(スラスト方向)への送り力が作用する。これにより、ホルダ21の摺動片21aが、第2の台座部17eのレール17e1、17e2上を摺動して図示X1又はX2方向に直線的に移動させられる。すなわち、回転軸30のスクリュー軸30aおよび嵌合部材23の嵌合部23a,23bは、回転軸30のβ1又はβ2方向の回転運動を、直線運動に変換する変換部となっており、この変換部により検出体20がX1又はX2方向に移動させられる。
【0046】
また上記のように、弾性支持部材22が嵌合部材23を水平に付勢し、回転軸30のスクリュー軸30aと嵌合部23a,23bの内面23c,23cとの間のがたつきをなくすことができるため、スクリュー軸30aの回転に応じて移動する検出体20の送り精度を高めることができる。すなわち、回転体13の回転角度と検出体20の移動距離との間のリニアリティ(直線性又は線形性)を高めることができる。よって、検出体20に設けられた第2の磁石M2が第2の検出部材(ホール素子)H2に対向して移動し、このときの第2の磁石M2から発せられる磁界のZ方向の成分の変化を第2の検出部材H2を介して検出することにより、回転体13の回転角度を高精度で検出することができる。すなわち、回転体13の回転角度に正確に対応する出力(比例した出力)を第2の検出部材H2から得ることができる。
【0047】
また嵌合部23a,23bの内面23c,23cの雌ねじの形状が摩耗により擦り減ることがあっても、常に嵌合部材23は弾性支持部材22によりスクリュー軸30aに接近する方向に付勢されているため、長期に渡りがたつきの発生を防止することができ、よって高い送り精度を維持することができる。
【0048】
さらに嵌合部23a,23bは、U字形状に形成され、上部が開口しているため、スクリュー軸30aと嵌合部23a,23bとの組み立てを容易とすることができる。
【0049】
なお、上記実施の形態では、嵌合部材23の両端に嵌合部23a,23bが分離された態様のものを示したが、分離されず嵌合部材23の一方の端部から他方の端部にかけて一体的な形状であってもよい。
【0050】
また上記実施の形態では、弾性支持部材22とホルダ21、および弾性支持部材22と嵌合部材23が、共に2箇所に設けられた切込みと凸部によって連結されるものを示したが、少なくとも2以上の箇所において連結されていればよく、あるいは全面が接着固定されていてもよい。
【0051】
また第2の台座部17eには、検出体20を案内するガイド部材として2本のレール17e1,17e2を示したが、検出体20を移動方向に直線的に移動させることが可能であれば、レールの数は1本でもよいし、3本以上であってもよい。
【0052】
更に、上記実施の形態では切込み22a,22bを十字形状に形成したが、孔形状、あるいは孔の周囲に十字形状の切り込みを入れた形状として、前記凸部21g,21hに嵌合させてもよい。また上記実施の形態では切込み22a,22bを凸部21h,21gに挿入して保持したがインサート成形によって弾性支持部材22をホルダ21に保持してもよい。すなわち、ホルダ21に対し弾性支持部材22ががたつくことなく、位置決めされた状態で保持できればその他の取付け構造であってもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では切欠き22Cを四角形状としたが、切込み22aと22bの間、あるいは穴22cと22dの間を分断した形状としてもよい。さらに上記実施の形態では弾性支持部材22の取付け面22A,22Bを平坦面で形成したが、そこに軸線方向に沿ったリブを形成し、あるいはその端部を軸線と平行な折り曲げ線で折り曲げ、弾性支持部材22の撓み部分に影響を与えず、捻じり強度を高めるようにしてもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、スクリュー軸と嵌合部との間の密着度を高めることができ、両者の間に生じやすいがたつきを低減することができる。よって、検出体の軸方向への送り精度を高めることが可能となり、被検出軸の回転角度を高精度で検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】角度センサの内部構造を示すの正面方向の断面図、
【図2】角度センサの主要部分を示す分解斜視図、
【図3】本発明における検出体の送り装置を示し、Aは図1のA方向からの側面図、Bは図3AのB−B線の拡大断面図
【図4】従来の角度センサの内部構造を示す平面図、
【符号の説明】
10 角度センサ
13 回転体
17 固定部材
17e1,17e2 レール(ガイド部材)
20 検出体
21 ホルダ
21a 摺動片
22 弾性支持部材(板ばね)
22A 固定端側の取付け面
22B 自由端側の取付け面
23 嵌合部材
23a,23b 嵌合部
30 回転軸
30a スクリュー軸
36 駆動歯車
40 補助歯車
H1 第1の検出部材(ホール素子)
H2 第2の検出部材(ホール素子)
M1 第1の磁石
M2 第2の磁石
Sh 自動車のステアリングホイール(被検出軸)

Claims (6)

  1. 回転駆動力が与えられるスクリュー軸と、前記スクリュー軸に嵌合し前記スクリュー軸の回転力で前記スクリュー軸の軸方向へ移動する嵌合部材と、前記嵌合部材と共に移動する検出体と、前記検出体の直線移動を検出する検出手段とが設けられ、
    前記嵌合部材と前記検出体とが板ばねで連結され、この板ばねで前記嵌合部材が支持されており、前記板ばねは、板厚方向が前記嵌合部材および前記検出体の移動方向と直交する方向に向けられており、前記板ばねは前記移動方向と直交する方向で且つ板面方向へ間隔を開けた位置で、前記嵌合部材と前記検出体とに対し前記移動方向に向く線に沿って固定されていることを特徴とする検出体の送り装置。
  2. 前記板ばねの前記嵌合部材に対する取付け面と、前記検出体に対する取付け面が、同一面上に位置している請求項1記載の検出体の送り装置。
  3. 前記嵌合部材には、前記板ばねの面と垂直方向に開口するU字形状の嵌合部が形成され、前記嵌合部が前記スクリュー軸に噛み合っている請求項1または2記載の検出体の送り装置。
  4. 前記嵌合部材には、移動方向に間隔を開けて前記嵌合部が一対形成されており、前記板ばねには中央部に切欠部が形成され、前記板ばねの前記切欠部が形成されていない領域により、前記一対の嵌合部が前記スクリュー軸方向へ付勢されている請求項3記載の検出体の送り装置。
  5. 前記検出体の軸線方向の移動をガイドするガイド部材を設けられており、前記ガイド部材が、前記スクリュー軸に平行に設けられた少なくとも1本以上のレールからなり、前記検出体が前記レールの上を摺動するものである請求項1又は2に記載の検出体の送り装置。
  6. 前記レールは前記移動方向に沿って2本平行に設けられており、前記嵌合部材は、前記2本のレール間のほぼ中心に位置している請求項5記載の検出体の送り装置。
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