JP3578686B2 - センサの支軸装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のステアリングホイールの回転角度(操舵角)の検出を行うセンサに係わり、特にセンサ内部に設けられた回転軸のスラスト方向への位置ずれを防止したセンサの支軸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、本願発明者によって特願平11−3155号で提案した従来の角度センサの内部構造を示す平面図であり、例えば自動車のステアリングホイールの操舵角を高精度に検出するものである。
【0003】
図6に示す角度センサ1は、プラスチック等の合成樹脂材料からなるケース2内に回転体3が設けられている。回転体3は、合成樹脂材料等を円筒状に形成したものであり、ケース2に対して回転自在に支持されている。この回転体3の内部に自動車のステアリングホイールが挿通され、ステアリングホイールとともに回転体3が時計回りおよび反時計回り方向に回転させられる。前記回転体3の外周面には、複数のはすば歯車3aが全周に渡って形成されている。
【0004】
またケース2内には、図示X方向を中心軸とする回転軸9が回転自在に設けられている。そして、この回転軸9には、駆動歯車8が固定されている。駆動歯車8の外周面には複数のはすば歯車8aが全周に渡って形成されており、前記回転体3のはすば歯車3aと歯合している。回転軸9は、黄銅やアルミニウム等の金属材料からなり、中央部から一端側にかけて螺旋状のスクリュー軸9aが形成され、この回転軸9に検出体4が設けられている。
【0005】
検出体4は、移動方向(X方向)の一端面から他端面にかけて貫通孔が穿設されている。この貫通孔には内周面に前記回転軸9に形成されたスクリュー軸9aと歯合するねじ山(図示せず)が形成されている。また検出体4の下面には、磁石5がインサート形成等によって取り付けられている。前記検出体4はX方向へ直線的に移動するように前記ケース2内で案内されており、前記回転体3が回転し、駆動歯車8と回転軸9が回転することにより、検出体4および磁石5がX方向へ往復移動する。
【0006】
前記ケース2の固定部材7上には、前記磁石5に対向する側にホール素子6が設けられている。そして、磁石5がX方向へ往復移動すると、その磁気的な変位を検出することにより、前記ステアリングホイールの回転角(操舵角)の検出が可能となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の角度センサ1では、固定部材7の両端に設けられた支持片7a,7bの先端に設けられた軸受部7a1および7b1によって回転軸9の両端を支持するものである。したがって、回転軸9に直交するラジアル方向へ拘束することは可能であるが、スラスト方向(軸中心線方向:X方向)へ拘束することが困難な構成である。よって、回転軸9の長さ寸法に誤差が生じると、軸受部7a1と7b1との間で回転軸9がスラスト方向に位置ずれするため、検出体5の移動距離に誤差が生じ、回転角度の検出精度が低下するという問題がある。
【0008】
このような回転軸9のスラスト方向へのがたつきを防止するためには、回転軸9の加工精度を高め、回転軸9のスラスト方向へのがたつきを無くす必要があるが、この場合加工コストが高騰するという問題がある。また回転軸9は、温度変化によりスラスト方向に伸縮が生じるため、高い加工精度で回転軸9を加工することが、必ずしもスラスト方向の精度を保つのに有効な手段とはいえない。
【0009】
また、板ばね又はコイルスプリングなどの弾性部材を用いて、回転軸9をいずれか一方の軸受部7a1又は7b1に加圧すことにより、スラスト方向へのがたつきを防止する手段も存在する。
【0010】
しかし、この場合には部品点数が増えるという問題がある。また加圧力が小さいと、スラスト方向へのがたつきを有効に防止することができない。反対に加圧力が大き過ぎると、回転軸9の端面と軸受部7a1又は7b1との間に大きな摩擦が生じ、前記軸受部7a1又は7b1が変形や摩耗が生じてラジアル方向への位置ずれ発生の原因となる。すなわち、弾性部材による加圧力の調整が困難であるため、単に回転軸9の一方の端部を一方の支持部に加圧するのみでは、回転軸に生じるスラスト方向のがたつきを完全に防止することはできない。
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、簡単な構成により、回転軸のスラスト方向へのがたつきを防止したセンサの支軸装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の回転体と、前記第1の回転体からの回転力を受ける第2の回転体と、前記第2の回転体と共に回転する軸と、前記軸を支持する固定部と、前記軸の回転を検出体の直線方向への移動に変換する変換部とを有し、前記検出体の直線方向の移動が検出されるセンサにおいて、
前記固定部には、一対の支持部が設けられており、前記一対の支持部には前記軸を回転自在に支持できる穴または切欠きが形成されており、前記一対の支持部により、前記軸に形成された被加圧部が、軸中心線に沿う方向(スラスト方向)で互いに逆向に付勢されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明では、軸(回転軸)の両端が、固定部(ユニットケース)側の支持片に形成された軸受孔において、軸受部材を介して支持されているため、ラジアル方向へ拘束することができる。同時に支持体に設けられた支持部が、軸に設けられた一対の被加圧部をそれぞれ軸端方向に付勢するため、軸をスラスト方向へ拘束することができる。特に、スラスト方向への拘束により、第1の回転体の回転力が、第2の回転体(駆動歯車)を介してスラスト方向に作用しても、軸のスラスト方向へのがたつきを防止することができる。
【0014】
上記において、前記軸の両端部は軸受部材により、軸中心と直交する方向(ラジアル方向)に支持されており、前記軸受部材による支持箇所の間に前記一対の支持部が位置しているものが好ましい。
【0015】
上記構成では、2点支持の間の距離を長くできるので、部品寸法のばらつきに起因する軸の傾きを抑えることができる。
【0016】
例えば、前記一対の支持部は、樹脂により弾性変形可能に形成されており、この一対の支持部が、前記軸に設けられた一対の被加圧部の間に位置し、一対の支持部により、前記一対の被加圧部に対してそれぞれ軸端方向への付勢力が与えられている。
【0017】
この場合には、軸の形状を単純な形状にできる。
また、前記一対の支持部は、前記固定部から延びる支持体から分岐形成されたものである。
【0018】
したがって、支持部と軸が当接する部分間の距離を近接させることができるので、寸法変化が少なく確実にスラスト方向のがたつきを防止できる。
【0019】
なお、前記支持体が、前記固定部と一体に形成されているものが好ましい。
本発明では、軸の両端を支持する支持片および支持体を固定部に一体に形成することにより、簡単な構成とすることができるため、部品点数の削減および製造コストの低減を図ることができる。また取り付け等に伴うがたつきがないため固定部との相対精度が高められ又維持できる。さらに軸は、支持片の軸受孔および支持体の支持部に対し、支持片の欠損部および支持体の切欠きを通して真上から装着することができるため、その組み立て作業を容易なものとすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
図1は、本発明における角度センサの内部構造を示す断面図であり、例えば自動車のステアリングホイールの操舵角を高精度に検出するものである。図2は角度センサの主要部分を示す分解斜視図、図3は軸の一部と支持体とを示す分解斜視図、図4は支持体に軸が組み付けられた状態を示す側面図、図5は支持部に軸が組み付けられた他の状態を示す側面図である。
【0021】
図1に示す角度センサ10では、符号12がケースを、符号13が回転体(第1の回転体)をそれぞれ示している。回転体13は、合成樹脂材料により円筒状に形成されており、ケース12内に図示時計回り方向(α1方向)および反時計回り方向(α2方向)に回転自在に支持されている。前記回転体13の中心は空洞であり、この中に自動車のステアリングホイールSh(被検出軸)が挿通される(図2参照)。回転体13の内周面には軸方向に延びる凸部13a,13bが突出形成され、前記ステアリングホイールShの外周面に形成された凹部(図示せず)に嵌合可能となっている。そして、ステアリングホイールShが回転すると、それに伴って回転体13が回転させられるものとなっている。そして、図2に示すように、この回転体13の外周面には、軸方向(Y方向)に対しほぼ45°斜め向きに刻まれた歯からなるはすば歯車13Aが周設されている。
【0022】
一方、ケース12の下方(図1のZ2方向)には、ユニットケース(固定部)17が設けられている。ユニットケース17は、射出成形等した合成樹脂から形成され、図1に示すようにケース12の下部位置において係止可能となっている。ユニットケース17のX1およびX2方向の両端には、図示Z1方向に延びる支持片(固定部の一部)17a,17bが形成され、その先端に円形の軸受孔17a1と軸受孔17b1がそれぞれ形成されている。前記軸受孔17a1,17b1の上部には、図示Z1方向の端部を開放した欠損部17a2,17b2がそれぞれ形成されており、これら欠損部17a2,17b2を通して後述の軸30の両端が前記軸受孔17a1,17b1内にそれぞれ装着可能となっている。
【0023】
前記支持片17a,17bの間には、支持体17c、第1の台座部17dおよび第2の台座部17eが設けられている。図3に示すように、前記支持体17cは、ユニットケース(固定部)17の底部から図示Z1方向に延びている。支持体17cの先端は、二股に分岐に形成され、各先端は一対の支持部17c1,17c2を形成している。前記支持部17c1,17c2は例えばU字形状の切欠きであり、軸を軸線と直交する方向から挿入できる形状であればその他V字形状ものであってもよい。支持部17c1,17c2は、前記ユニットケース(固定部)に一体に形成されており、図示X方向に弾性変形可能となっている。そして、前記支持部17c1,17c2の軸方向(X方向)の幅寸法は、W0に設定されている。
【0024】
そして、図1および図2に示すように、前記支持片17aの軸受孔17a1,支持体17cの支持部17c1,17c2および支持片の17bの軸受孔17b1は一つの直線上(X方向の直線)に位置する関係に形成されている。
【0025】
また図2に示すように、第1の台座部17dは、略V字形状に形成され、そのV字状の傾斜面の裏(台座部17dの内部)には、それぞれの傾斜面に一対の第1の検出部材H1(図1参照)が外形を位置決めされた状態で設けられている。第2の台座部17eは、図示X方向に延びた直方体形状からなり、その上面の両側部には、X方向に断面凸状のレール17e1,17e2が延設されている。図1に示すように、第2の台座部17eの内部には、第2の検出部材H2が外形をい位置決めした状態で設けられている。またこの第2の台座部17eの上部には、スライド部材(検出体)21が設けられる。前記スライド部材21は、前記第2の検出部材H2に対向する位置関係に設定されている。なお、前記第1および第2の検出部材としては、例えば磁気検出素子(例えば、ホール素子、磁気検出コイル等)、摺動抵抗、光センサなど公知のセンサを使用することができる。なお、以下においては、第1および第2の検出部材が、ホール素子であるものとして説明する。
【0026】
前記スライド部材21は、合成樹脂から形成され、その内部には平面長方形状の空間領域21Aが形成されている。前記空間領域21Aを囲む部分の四隅には図示Y軸方向に突出する4つの摺動片21a,21a,21a,21aが設けられている。各摺動片21aの底面は、摩擦係数の小さな摺動面で形成され、各摺動片21aの底面の幅間隔(Y方向の対向間隔)は、前記レール17e1とレール17e2との幅間隔と同寸法で形成されている。これらスライド部材21の各摺動片21aをレール17e1,17e2の上に載置させた状態で、スライド部材21が図示X方向に移動可能となっている。
【0027】
前記スライド部材21の空間領域21A内には、軸線方向に沿って一対のN極とS極に着磁されたフェライトなどの磁性材料からなる第2の磁石M2が保持されている。そして、第2の磁石M2の磁着面と第2の検出部材(ホール素子)H2とが対向するものとなっている。またスライド部材21の図示Y側には、固定部21fが設けられており、この固定部21fには図示Z1方向に突出する凸部21g,21hが形成されている。
【0028】
図2に示す符号22は弾性支持部材である。弾性支持部材22は、薄い金属板をプレス加工、打抜き加工等することにより形成されている。弾性支持部材22の図示Y1側の基端部22Aには、十字形状の切込みを周囲に設けた穴22a,22bが形成されており、この穴22a,22b内に前記スライド部材21の凸部21g,21hを挿通することにより、弾性支持部材19の基端部19Aがスライド部材21の固定部21fに固定される。弾性支持部材22の図示Y2側は支持部22Bである。前記基端部22Aが固定部21fに固定され片持ち支持状態となる。そして、前記支持部22Bは自由端となり、図示Z方向に弾性的に支持される。前記支持部22Bには穴22c,22dが形成され、穴22cと切込み22dとの間には、図示Y1およびY2方向に延びる支持腕22f,22f,22f,22fが形成されている。
【0029】
図2に示すように、弾性支持部材22の支持部22Bの上には、嵌合部材23が固定される。嵌合部材23は、樹脂成形されており、基台23AのX方向の両端には、円柱の一端面から他端面にかけて貫通孔を形成し、さらに円柱をXY平面に平行な面で切断した一対の半中空円柱状の嵌合部23a,23bが形成されている。この嵌合部23a,23bの内面には、雌ねじ23c,23cがそれぞれ形成されている。また嵌合部23a,23bを支持する基台23Aの裏面には、前記スライド部材21に形成された凸部21g,21hと同様な凸部が図示Z2方向に突出形成されている(図示せず)。そして、前記凸部が弾性支持部材22の支持部22Bに形成された前記穴22c,22dに挿通されることにより、嵌合部材23の基台23Aを弾性支持部材22の支持部22Bに固定できるようになっている。そして、各支持椀22fを基台23Aにそれぞれ巻き付けるようにその先端を変形させ抱持することにより、支持部22Bに嵌合部材23を強固に固定できるようになっている。
【0030】
上記のように弾性支持部材22に固定された嵌合部材23は、スライド部材21の前記空間領域21Aの真上に設置され、弾性支持部材22の弾性力により、図示Z方向に弾性支持され、後述するスクリュー軸30aに弾圧されている。
【0031】
前記支持片17aの軸受孔17a1と支持片17bの軸受孔17b1との間には、軸30が支持される。軸(回転軸)30には、駆動歯車(第2の回転体)36が固定されており、軸30と一緒に回転可能となっている。前記駆動歯車36の外周面には、前記回転体13の外周面に形成されたはすば歯車13Aと同ピッチからなるはすば歯車36Aが周設されている。そして、軸30には、前記駆動歯車36に隣接する位置から軸30の左側の端部にかけて螺旋状のスクリュー軸30aが形成されている。スクリュー軸30aのねじ溝のピッチは、上記嵌合部材23の嵌合部23a,23bの内面の雌ねじ23c,23cと同ピッチで形成されている。
【0032】
前記駆動歯車36の図示右端側は、駆動歯車36の軸中心部をX1方向に延長した太軸延長部36aおよび細軸延長部36bが形成されている。なお、細軸延長部36bは、太軸延長部36aに連続して図示X1方向に形成されている。前記太軸延長部36aには、補助歯車40が回転自在に外挿される。駆動歯車36の右端面と前記補助歯車40との間には、付勢部材50Aが設けられている。図1および図2に示す実施の形態における付勢部材50Aは、例えばねじりばね50であり、駆動歯車36をβ2方向に付勢できるようになっている。付勢部材50Aの一方の先端50aは、図示X2方向に延び形成されており、図1に示す駆動歯車36の内部に穿設された挿通孔36cに挿入されている。また付勢部材50Aの他方の先端50bは、補助歯車40の対向面内に形成された掛止部40aに掛止されている。
【0033】
前記補助歯車40の外周面は、はすば歯車40Aで形成されている。より詳しくは、この補助歯車40は、駆動歯車36と対向する側の外径がその逆側の外径よりも小さく、その間が前記回転体13の外周面に形成されたはすば歯車13Aと同じ径の曲率を有する逆球面はすば歯車状となっている。すなわち、図1に示すように、この補助歯車40は、軸断面形状において歯が前記回転体13の周方向に沿った形状のはすば歯車形状である。なお、補助歯車40は軸断面形状において歯が前記回転体13の周方向に沿って直線的に傾斜したかさば車(bevel gear)であってもよい。
【0034】
また、補助歯車40の図示右端側には、リング状のワッシャ55と第1の磁石M1が設けられている。前記第1の磁石M1の内径寸法は、駆動歯車36の細軸延長部36bの外径寸法とほぼ同寸法に形成されており、第1の磁石M1を細軸延長部36bに嵌合させることにより、第1の磁石M1を軸30に固定することが可能となっている。なお、磁石M1の端面および駆動歯車36の端面に当接するようにスピードナット56を設けることにより、補助歯車40,磁石M1の抜けが防止されている。
【0035】
前記ワッシャ55の両面は、摩擦係数の小さな平滑面で形成され、前記補助歯車40と第1の磁石M1との間にワッシャ55を介挿することにより、前記補助歯車40の端面と第1の磁石M1の端面との間に生じる滑り摩擦を緩和できるようになっている。
【0036】
図2ないし図4に示すように、軸30のX1側には、最も細軸の部分に対し、太軸状に形成された被加圧部30bと30cが形成されている。前記被加圧部30bと被加圧部30cとの対向間隔寸法(細軸部30dの長さ寸法)W1は、前記支持部17c1,17c2の幅寸法W0よりも、わずかに狭く設定されている(W0>W1)。
【0037】
前記駆動歯車36、補助歯車40、付勢部材50A、ワッシャ55および第2の磁石M2を備えた軸30は、前記支持片17aの軸受孔17a1と支持片17bの軸受孔17b1との間に支持される。このとき、軸30の両端には、軸受部材60,60がそれぞれ装着される。前記軸受部材60は、合成樹脂材料から成形されたものであり、円筒状の軸受部61とこの軸受部61の一方の面に設けられたフランジ62とから形成されている。そして、軸30の両端が、軸受部材60,60に挿入された状態で、軸受部61,61の外周面がそれぞれ支持片17aの軸受孔17a1と支持片17bの軸受孔17b1に前記欠損部17a2,17b2を通して支持される。これにより、軸30は、ラジアル方向(軸30に直交する方向)への軸ずれが防止されている。
【0038】
また支持体17cの支持部17c1,17c2は、前記支持片17aの軸受孔17a1と支持片の17bの軸受孔17b1とを結ぶ直線上の間に形成されている。よって、軸30の両端を軸受孔17a1,17b1に装着すると、このとき同時に軸30の細軸部30dが支持体17cの支持部17c1,17c2に装着される(図3および図4参照)。
【0039】
図1に示すように、前記軸30をユニットケース(固定部)17の内部に固定すると、第1の磁石M1は略V字形状に形成された上記第1の台座部17dの傾斜面に対向する状態に設定される。また嵌合部材23の嵌合部23a,23bには、前記スクリュー軸30aと噛み合う。そして、第1の台座部17dと第2の台座部17eとの間に駆動歯車36が配置される。
【0040】
前記被加圧部30bと被加圧部30cとの対向間隔寸法W1と、前記支持部17c1,17c2の幅寸法W0との関係は、幅寸法W0の方が前記対向間隔寸法W1よりもわずかに広く形成されている(W0>W1)。したがって、被加圧部30bと被加圧部30cとの間に前記支持部17c1,17c2を強制的に嵌め込むと、前記支持部17c1および支持部17c2には互いに接近する方向の撓みが生じる。よって、図4に示すように、被加圧部30bの対向面30b1と被加圧部30cの対向面30c1には、支持部17c1および支持部17c2が軸30の軸端方向(X1方向およびX2方向)へ拡幅しようとする付勢力f,fが均等且つ同時に働く。これにより、軸30をスラスト方向(X方向)に拘束することができる。
【0041】
上記構成では、例えば温度変化等により、前記軸30が伸縮し、前記被加圧部30bと被加圧部30cとの間の対向間隔寸法W1に多少の変化が生じた場合であっても、前記付勢力f,fにより、軸30のスラスト方向へのずれを抑えることが可能である。
【0042】
なお、被加圧部30b,30cの対向面30b1,30c1と支持部17c1,17c2とが直接接触して回転すると、樹脂で成形されている支持部17c1,17c2に摩擦による変形が生じやすくなる。しかし、軸30の両端は、支持片17aおよび17bの軸受孔17a1および軸受孔17b1においてそれぞれ支持されているため、軸30がラジアル方向へ位置ずれすることがない。
【0043】
上記のように、軸30が装着されたユニットケース17が、ケース12内の下部位置に固定され、さらに回転体13をケース12内に設けると、回転体13のはすば歯車13Aと駆動歯車36のはすば歯車36Aとが互いにねじ歯車の関係を持って噛み合う。
【0044】
上記角度センサ10を自動車のステアリングホイールShに装着し、ステアリングホイールShを回転させると、その回転に合わせて回転体13が回転させられる。
【0045】
回転体13が、図示時計回り方向(α1方向)又は反時計回り方向(α2方向)に回転させられると、この回転体13に歯合している駆動歯車36および補助歯車40は図示β1又はβ2方向へ回転させられる。そして、軸30およびこの軸30に固定されている第1の磁石M1がともに図示β1又はβ2方向に回転させられる。
【0046】
前記第1の磁石M1の外周面は、第1の磁石M1が1回転する間にN極とS極とが1回ずつまたは2回ずつ第1の検出部材(ホール素子)H1を通過するように着磁されている。よって、この第1の磁石M1と対向するV字状の第1の台座部17dに設けられた第1の検出部材H1が、前記第1の磁石M1の磁界の強度変化を検出することにより、回転体13の微回転角度を検出することができる。
【0047】
この際、補助歯車40のおよび駆動歯車36は、前記前記回転体13からα1又はα2方向の回転力を受けるため、軸30にはスラスト方向へ移動させる力が作用する。しかし、上記のように軸30は、支持体17cの支持部17c1および17c2によりX方向に拘束されているため、スラスト方向の位置ずれを防止することができる。
【0048】
一方、前記軸30がβ1又はβ2方向に回転させられると、スライド部材21の嵌合部23a,23bには、軸30のスクリュー軸30aにより図示X1又はX2方向(スラスト方向)への送り力が作用する。これにより、スライド部材21が図示X1又はX2方向に直線的に移動させられる。すなわち、軸30のスクリュー軸30aおよびスライド部材21の嵌合部23a,23bは、軸30のβ1又はβ2方向の回転運動を、スライド部材21のX1又はX2方向の直線運動に変換する変換部となっている。
【0049】
そして、回転体13に生じた回転力が、効率良く駆動歯車36に伝達され、且つ軸30のスラスト方向への位置ずれが防止されると、X1方向又はX2方向に移動するスライド部材21の移動距離に誤差が生じなくなる。すなわち、回転体13の回転角度とスライド部材21の移動距離との間のリニアリティ(直線性又は線形性)を高めることができる。よって、スライド部材21に設けられた第2の磁石M2が第2の検出部材(ホール素子)H2に対向して移動し、このときの第2の磁石M2から発せられる磁界のZ方向の成分の変化を第2の検出部材H2を介して検出することにより、回転体13の粗回転角度を高精度で検出することができる。
【0050】
そして、前記第1の検出部材H1および第2の検出部材H2の出力信号は、角度センサ10の外部に設けられる演算手段(図示せず)において演算処理され、ステアリングホイールShの回転角度および回転方向等が高精度且つリアルタイムで検出される。
【0051】
なお、上記実施の形態に示されるものでは、前記支持体17cが、図示右側の支持片17aに並設されたものを示したが、その他例えば図示左側の支持片17bに並設されていてもよい。また前記第1の台座部17dと第2の台座部17eとの間に設けられていてもよく、支持片17a,17bの外側に並設してもよい。
【0052】
また上記実施の形態では、回転軸30に細軸部30dを設けて、その両端に太軸状に形成された被加圧部30b,30cが支持部17c1,17c2をそれぞれ軸線の両側方向に付勢するようにしたが、その他例えば図5に示すように、回転軸70には太軸部71が設けられており、その両端面(被加圧部)72,73間の距離W3は支持部17c1,17c2の内間の距離W4より大きく設定し、前記太軸部71が支持部17c1と支持部17c2との間に押し入れたものであってもよい。
【0053】
この場合、支持部17c1,17c2の互いに接近する方向への付勢力f,fにより、両端面(被加圧部)72,73が加圧されるため、回転軸70の軸中心線に沿う方向(スラスト方向)へのがたつきを防止できる。また回転軸70と支持部17c1,17c2の距離をより短くできるので、更に寸法変化が少ない部分での付勢が可能となる。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、軸のスラスト方向へのがたつきを防止することができる。よって第2の検出部材がスライド部材の移動距離を正確に検出することが可能となるため、ステアリングホイール(被検出軸)の回転角度を高精度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における角度センサの内部構造を示す断面図、
【図2】角度センサの主要部分を示す分解斜視図、
【図3】軸の一部と支持体とを示す分解斜視図、
【図4】支持体に軸が組み付けられた状態を示す側面図、
【図5】支持部に軸が組み付けられた他の状態を示す側面図、
【図6】従来の角度センサの内部構造を示す平面図、
【符号の説明】
10 角度センサ
13 回転体(第1の回転体)
17 ユニットケース(固定部)
17a,17b 支持片(固定部)
17c 支持体
17c1,17c2 支持部
21 スライド部材(検出体)
22 弾性支持部材
23 嵌合部材(変換部)
30,70 軸(回転軸)
30a スクリュー軸(変換部)
30b,30c 被加圧部
36 駆動歯車(第2の回転体)
40 補助歯車
50A 付勢部材
H1 第1の検出部材
H2 第2の検出部材
M1 第1の磁石
M2 第2の磁石
Sh ステアリングホイール(被検出軸)

Claims (5)

  1. 第1の回転体と、前記第1の回転体からの回転力を受ける第2の回転体と、前記第2の回転体と共に回転する軸と、前記軸を支持する固定部と、前記軸の回転を検出体の直線方向への移動に変換する変換部とを有し、前記検出体の直線方向の移動が検出されるセンサにおいて、
    前記固定部には、一対の支持部が設けられており、前記一対の支持部には前記軸を回転自在に支持できる穴または切欠きが形成されており、前記一対の支持部により、前記軸に形成された被加圧部が、軸中心線に沿う方向(スラスト方向)で互いに逆向に付勢されていることを特徴とするセンサの支軸装置。
  2. 前記軸の両端部は軸受部材により、軸中心と直交する方向(ラジアル方向)に支持されており、前記軸受部材による支持箇所の間に前記一対の支持部が位置している請求項1記載のセンサの支軸装置。
  3. 前記一対の支持部は樹脂により弾性変形可能に形成されており、この一対の支持部が、前記軸に設けられた一対の被加圧部の間に位置し、一対の支持部により、前記一対の被加圧部に対してそれぞれ軸端方向への付勢力が与えられている請求項1または2記載のセンサの支軸装置。
  4. 前記一対の支持部は、前記固定部から延びる支持体から分岐形成されたものである請求項1ないし3のいずれかに記載のセンサの支軸装置。
  5. 前記支持体が、前記固定部と一体に形成されている請求項4記載のセンサの支軸装置。
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