JP3597184B2 - 積層樹脂フィルム及び積層体 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、任意の対象物の表面に貼り付けるための積層樹脂フィルム及び積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、屋外用のフィルムとして、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂等の各種合成樹脂を主成分とするフィルムが使用されてきた。しかし塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を主成分とするフィルムでは、比較的短期間の暴露により光沢低下、クラックの発生や、汚染され易い、といった欠点があり、長期耐久性は期待できなかった。又、フッ素系樹脂フィルムに関しては、その樹脂フィルム自体の耐候性は問題なく長期使用が可能であったが、その製法上高温加熱が必要とされ、樹脂に添加された紫外線吸収剤はほとんど昇華し、製造されたフィルム内部には存在しないという事態が生じる欠点があった。このためフッ素系フィルムが問題なく長期耐候性を保持しているにも関わらず、このフッ素系フィルムの下層例えば、粘着剤、印刷インキ、粘着対象物の表面樹脂等の紫外線による劣化を防ぐことができず、市場で大きな問題となっていた。又、それらのフッ素系フィルムは、アクリル系樹脂フィルム等と比較して透明性が劣り、又顔料分散性に劣るため透明性に優れた着色フィルムを製造することも困難であった。その上フッ素系樹脂は、その特性上外部との相互作用が極めて小さな表面が形成されるため非粘着性を示す。それ故、任意の対象物に貼着するために粘着剤、接着剤等をフッ素フィルムに被着させるには、このフッ素フィルムの表面にコロナ放電等の物理的処理を施す必要があった。コロナ放電処理は電極とロールの間にフィルムを通し、高電圧を印加してコロナ放電を発生する方法であるが、適性な装置の選定に加えて電極近傍の雰囲気の安定性に充分留意しなければ、安定した強固な接着を得ることが難しい等の問題点があった。
【0003】
これらの欠点を解決するため、フッ素系樹脂と低温で溶融可能な樹脂と共押し出しして積層フィルムにした製品も市販されている。これは、この低温溶融可能な樹脂層に紫外線吸収剤を添加して、被着体表面を紫外線から保護し、またこの低温溶融可能な樹脂そのものにホットメルト接着剤の機能を付与して上記の欠点を解決しようとしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決するため、フッ素系樹脂と低温で溶融可能な樹脂と共押し出しして積層フィルムにした製品も市販されている。これは、この低温溶融可能な樹脂層に紫外線吸収剤を添加して、被着体表面を紫外線から保護し、またこの低温溶融可能な樹脂そのものにホットメルト接着剤の機能を付与して上記の問題を解決するものである。しかし、紫外線が表面側のフッ素樹脂層を透過してしまうため、この低温溶融可能な樹脂層が、紫外線により劣化し、積層フィルムとしての耐久性を充分に発揮することができなかった。結局、このような従来の技術では、表面層の耐久性と、その下層の耐久性とを両立させることは困難であると諦められていた。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するため、接着剤または粘着剤を介して任意の対象物に装飾効果を与えると共に、屋外での耐候性を向上させた積層樹脂フィルム及び積層体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の積層樹脂フィルムは、表面層と、前記表面層より下方に位置する1層以上の下層とを含み、前記表面層と前記下層とは積層されて一枚のフィルムに形成されており、
前記下層の下側には粘着剤層又は接着剤層が形成され、
さらに前記粘着剤層又は接着剤層に剥離紙が貼り合わされている積層樹脂フィルムであって、
前記表面層は、全光線透過率が70%以上で、かつ、溶剤と当該溶剤に可溶な反応性官能基を有するフルオロオレフィン系共重合体と、前記フルオロオレフィン系共重合体の反応性官能基と同一である反応性官能基を有するアクリル系重合体と、
前記反応性官能基と反応する硬化剤及び/又は硬化触媒と、
紫外線吸収剤及び/又は酸化防止剤とを含有する樹脂溶液を塗布して、前記反応性官能基を有するフルオロオレフィン系共重合体成分とアクリル系重合体成分とを反応させたフッ素系樹脂フィルムで形成され、
前記アクリル系重合体の重量平均分子量が、5000〜400000であり、前記フルオロオレフィン系共重合体とアクリル系重合体の比率は重量比で、30:70〜98:2であり、
前記下層を形成する層のうち、少なくとも1層はウレタン系樹脂層であり、かつ前記ウレタン系樹脂層を形成するフィルムは、100%伸長時引張り強度が、30kg/cm2〜600kg/cm2の範囲内にあることを特徴とする。
【0007】
次に本発明の積層体は、前記の積層樹脂フィルムの前記剥離紙を剥離した後、対象物の表面上に貼り付けたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明はフッ素系樹脂フィルムとポリウレタン系樹脂フィルムからなる屋外用の超高耐候性を有し且つ透明性に優れた積層樹脂フィルムを提供するものであり、このような積層樹脂シートは接着剤または粘着剤を介して任意の対象物に装飾効果を与えると共にこの対象物の屋外での耐候性を飛躍的に向上させることができる。即ち、本発明に係る積層樹脂フィルムは、表面層と、少なくとも1つ以上の層を持った下層とを有してなり、表面層と下層とは積層されることにより一枚のフィルムを形成するものであり、前記下層に重ねて粘着剤層又は接着剤層を形成し、さらに前記粘着剤層又は接着剤層に剥離紙を貼り合わせてなる積層樹脂フィルムであって、前記表面層は、全光線透過率が70%以上で、かつ、溶剤と当該溶剤に可溶な反応性官能基を有するフルオロオレフィン系共重合体、前記反応性官能基と反応する硬化剤及び/又は硬化触媒、紫外線吸収剤及び/又は酸化防止剤を含有する樹脂溶液から形成されたフッ素系樹脂フィルムにて形成され、前記下層をなす層のうち少なくとも1つは、ウレタン系樹脂層であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、前記フルオロオレフィン系共重合体及び前記アクリル系重合体の前記反応性官能基が同一の官能基である。
【0010】
前記反応性官能基は、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、シリルオキシカルボニル基のうち、少なくとも1つを有すること、かつ、前記硬化剤は、ポリイソシアネート、ブロックイソシアネート、アミノ樹脂、ポリエポキシ化合物、ポリアミン化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリシリルオキシカルボニル化合物のうち、少なくとも1つを有するものであることが好ましい。
【0011】
前記反応性官能基が、水酸基であり、前記硬化剤は、ポリイソシアネート、ブロックイソシアネート、アミノ樹脂から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0012】
前記ウレタン系樹脂層は、ポリオールとポリイソシアネートとを重合させることによって得られるポリウレタン樹脂であることが好ましい。
【0013】
前記ウレタン系樹脂層は、無黄変型ウレタン樹脂であることが好ましい。
【0014】
前記ウレタン系樹脂フィルムは、100%伸長時引張り強度が、約30kg/cm2〜約600kg/cm2の範囲内にあることが好ましい。
【0015】
本発明の前記積層体においては、前記対象物が、再帰反射シートであることが好ましい。
【0016】
本発明は、鋭意研究を重ねた結果、表面層としてフッ素系樹脂フィルムを、下層にウレタン系樹脂フィルムを使用することにより極めて耐久性に優れかつ透明性、着色性にも優れその上、表面フッ素系樹脂層で確実に紫外線を遮断できる積層樹脂フィルムが得られることが見いだされ、完成するに至った。即ち本発明は、上記の通り、フッ素系樹脂フィルムからなる表面層に、ウレタン系樹脂層を積層することにより積層樹脂フィルムを形成するものである。
【0017】
上記表面層をなすフッ素系樹脂フィルムは、厚さ約0.5〜300μmで全光線透過率が約50%以上であり、上記下層をなすウレタン系樹脂層は、厚さ約1〜500μmで100%伸長時の引張り強度が約30kg/cm2〜600kg/cm2の範囲にある。従って、このような数値特性を得るべく、本発明に係る積層樹脂フィルムは、表面層が、フッ素系樹脂フィルムにて形成され、その厚さは約0.5〜300μmに調整され、特に好ましくは約2〜200μmに、最も好ましくは約3〜100μmに調整されるのが好適である。上記厚さが約0.5μm未満の場合は、下層の保護の為の紫外線遮断効果が乏しく又、長期使用の為のフィルム強度も乏しく好ましくない。又上記厚さが約300μmを越える場合は、均一でフラットなフィルムを形成するのが困難になる。その上剛直性が増し、作業性が悪くなり、コストも高くなるため、好ましくない。又、表面層は、全光線透過率が約50%以上、好ましくは約60%以上、更に好ましくは70%以上になるように調整される。全光線透過率が50%未満の場合は、下地の鮮映性が損なわれ、透明着色性を損なうので好ましくない。下層をなすウレタン系樹脂層は、その厚さが約1〜500μmに調整され、好ましくは約2〜400μmに、特に好ましくは約3〜300μmに調整されるのが好適である。上記厚さが約1μm未満の場合には、着色層として使用するに際し、顔料の含有率が高くなり過ぎ、ウレタンの特長である強伸性が低下して好ましくなく、又、500μmを越える場合は、均一でフラットなフィルムを形成するのが困難になる。その上、コストも高くなるため、好ましくない。又、下層は、100%伸長時の引張り強度が約30kg/cm2〜600kg/cm2、好ましくは約40kg/cm2〜500kg/cm2、特に好ましくは約50kg/cm2 〜400kg/cm2に調整されるのが好適である。100%伸長時の引張り強度が約30kg/cm2未満の場合は、フィルムの腰がなくなる上に、フィルムのブロッキング等が生じて好ましくない。約600kg/cm2を越える場合は、フィルムの剛直性が増し、曲面等の3次元貼り適性が低下して好ましくない。
【0018】
表面層として使用されるフィルムは、汎用溶剤に対する溶解性が良くフィルムを製造する上での作業上の点からすれば、フルオロオレフィン類の共重合体あるいはフルオロオレフィン類とフルオロオレフィン以外の単量体との共重合体(以下、これらをフルオロオレフィン系共重合体とも称する)を主成分とするものが挙げられる。
【0019】
このような、フルオロオレフィン系共重合体を調整するに際して使用されるフルオロオレフィンの具体的なものとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびC1〜C18なる(パー)フルオロアルキルトリフルオロビニルエーテル等が挙げられる。これらのフルオロオレフィンを2種以上共重合することによりフルオロオレフィン類のみを単量体成分とする共重合体が得られる。又、前記フルオロオレィン類とこれらと共重合可能な単量体類との共重合により溶剤に可溶なフルオロオレフィン系共重合体を調整することができる。このフルオロオレフィン類と共重合可能なビニル系単量体の具体的なものとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル等のアルキル若しくはシクロアルキルビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、パーサイフク酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のカルボン酸ビニルエステル類、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体類、アクリル酸、メタアクリル酸の如きカルボキシル基を含有する単量体類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテルの如きアミノ基を有する単量体類、グリシジルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの如きエポキシ基を有する単量体類、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、2−トリメトキシエチルビニルエーテル、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの如き加水分解性シリル基を有する単量体類、2−トリメチルシリルオキシエチルビニルエーテル、4−トリメチルシリルオキシブチルビニルエーテルの如きシリルオキシ基を有するビニル系単量体類、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ビニル−5−トリメチルシリルオキシカルボニルペンタノエートの如きシリルオキシカルボニル基を有する単量体類、更にエチレン、プロピレン、塩化ビニル、各種アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。このような単量体のうち、共重合性、塗膜性能等の点から、官能基を有しないビニルエステルやビニルエーテル類を必須成分として使用することが特に好ましく、更に、必要に応じて前記した如き反応性官能基を有する単量体を共重合すれば良い。
【0020】
本発明を実施するに当たって用いられるフルオロオレフィンとフルオロオレフィン以外の単量体との共重合体として好適なものとしては、フルオロオレフィン約15〜70重量%、反応性官能基を含有するビニル系単量体約0〜30重量%及び、これらと共重合可能な他の単量体類約5〜85重量%を共重合して成るものである。フルオロオレフィンの使用量が約15重量%未満では耐久性と防汚効果が不充分であるし、約70重量%を越えると汎用溶剤への溶解性が低下して作業性を悪くするので好ましくない。又使用される共重合体の重量平均分子量としては、作業性とフィルムの耐久性の点から、約5000〜400000、更には、約7000〜300000の範囲内にあることが好ましい。
【0021】
このようなフルオロオレフィン系共重合体の具体的なものあるいは調整方法の具体例は、特開昭53−96088号公報、特開昭57−34107号公報、特開昭59−102962号公報、特開昭61−113607号公報、特開昭61−57609号公報、特開昭61−141713号公報、特開昭62−84137号公報、特開昭62−185740号公報、特開昭64−29450号公報等に記載されている通りである。又、本発明で使用されるフルオロオレフィン系共重合体の調整方法として、予め調整したフルオロオレフィンとカルボン酸ビニルエステルを必須成分とする共重合体を加水分解して水酸基を有する重合体に変換したり、水酸基を有するフルオロオレフィン系重合体に2塩基酸無水物を付加することによりカルボキシ基を有する重合体に変換したりする方法も採用できる。
【0022】
前述のフルオロオレフィン系重合体のうち反応性官能基として水酸基を含有する共重合体の市販品の代表的なものには、大日本インキ化学工業株式会社製“フルオネート”(商品名)K−700、K−701、K−702、K−703、K−704、旭硝子株式会社製“ルミフロン”(商品名)LF−100、LF−200、LF−300、LF−400、LF−500、LF−600、セントラル硝子株式会社製“セフラルコート”(商品名)A−101B、A−201TB、A−100TMBなどがある。
【0023】
本発明の積層樹脂フィルムの表面層であるフッ素系樹脂フィルムは、前述の通りフルオロオレフィン系共重合体とアクリル系重合体から調整することもできる。ここにいうアクリル系重合体とは、アクリル酸エステル若しくはメタアクリル酸エステルを必須成分とする単独重合体または共重合体であり、前記した如き反応性官能基を有するものが使用可能である。このアクリル系重合体としては公知慣用の各種のものが使用できるが、耐久性及び作業性の点から、重量平均分子量として約5000〜400000、さらには約7000〜300000を有するものが特に好ましい。表面層用の樹脂として前記した通りフルオロオレフィン系共重合体とアクリル系重合体を併用する場合には、前者と後者の比率は重量比で、約30:70〜約98:2、更に好ましくは約40:60〜約95:5の範囲内にあることが望まれる。アクリル系重合体の使用量が約2%未満では付与したいアクリル系重合体の特性が発揮されないし、約70重量%を越えると耐久性と防汚効果が不充分となるので好ましくない。
【0024】
本発明の積層樹脂フィルムを形成するに際して、フルオロオレフィン系共重合体及びアクリル系重合体は有機溶剤に溶解した形で使用される。フルオロオレフィン系共重合体もしくはブレンドされるアクリル系重合体が前記した如き反応性官能基を有する場合には、硬化剤として当該反応性官能基と反応する官能基を有するものを配合することもできる。反応性官能基として加水分解性シリル基を有する場合には、酸類、塩基あるいは各種有機錫化合物の硬化触媒を配合できる。又、既述の通り、硬化剤を配合させる場合にも、硬化反応を促進するに適した触媒を添加することもできる。フルオロオレフィン系共重合体の反応性官能基が水酸基若しくはシリルオキシ基の場合には、ポリイソシアネート、ブロックポリイソシアネート、アミノ樹脂、金属アルコキシド若しくは金属キレート化合物等を、又反応性官能基がエポキシ基の場合には、ポリカルボキシ化合物、ポリシリルオキシカルボニル化合物、ポリアミン化合物等を、更に反応性官能基がカルボキシル基若しくはシリルオキシカルボニル基の場合には、ポリエポキシ化合物、エポキシシラン化合物、金属キレート化合物等を、又更に反応性官能基がアミノ基の場合には、ポリエポキシ化合物もしくはエポキシシラン化合物を、硬化剤として配合できる。フルオロオレフィン系共重合体或いはフルオロオレフィン系共重合体とアクリル系共重合体のブレンド物に硬化剤としてアミノ樹脂を配合する場合には、前記ベース樹脂成分約100重量部に対してアミノ樹脂を約5〜100重量部好ましくは約10〜60部配合すれば良い。
【0025】
又、アミノ樹脂以外の硬化剤を配合する場合には、フルオロオレフィン系共重合体あるいはフルオロオレフィン共重合体とアクリル系重合体ブレンド物中の反応性官能基1当量に対して硬化剤中の官能基が約0.2〜2.5当量、更に好ましくは約0.5〜1.5当量の範囲内となる様に硬化剤を配合すれば良い。
【0026】
前述した表面層を形成するために使用される組成物には、紫外線吸収剤又は酸化防止剤或いはこの双方を添加して表面層に、これらを含有せしめることにより長期耐久性をいっそう向上させることができた。このような紫外線吸収剤としては公知慣用のものを使用でき、代表的なものとしてはヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、不飽和ニトリル系化合物等が挙げられる。酸化防止剤の代表的なものとしては、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物等があり、これらの使用が好適である。
【0027】
又、有機溶剤としては従来の周知のものが使用可能であり、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート等のエステル系、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族もしくは脂環族系炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤類等が挙げられる。これらのうち、硬化剤にポリイソシアネート化合物を使用する場合には、アルコール系溶剤の使用は避けなければならない。
【0028】
図1に示すように、表面層1と下層2とを有する本発明の実施例の積層樹脂フィルムにおいて、下層2を構成する樹脂フィルムは、ポリウレタン系樹脂で形成される。ポリウレタン系樹脂としてはポリオールとポリイソシアネートとを反応せしめることにより得られるポリウレタン樹脂からなる樹脂組成物であれば良い。更に、イソシアネート基と反応する基を2個以上有する低分子の化合物を鎖伸長剤として、使用すればより好適である。本発明に使用されるポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールの単独或いはこれらの混合物が好適である。又特に好適なポリオールとしては、高分子量ジオールが掲げられる。高分子量ジオールとして用いられるものとしては、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオールの単独あるいはこれらの混合物が使用できる。
【0029】
使用に適したポリエステル系ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3,3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等の1種又は2種以上のジオールと、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等のジカルボン酸の1種又は2種との縮合物などである。
【0030】
前記ジオールを開始剤とするγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等の開環重合物も挙げられる。更にまたポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール等のポリ炭酸エステルジオールも挙げられる。ポリエーテル系ジオールとしては、ポリエステル系ジオールの項で前記したジオールを開始剤とするエチレンオキサイドの単独あるいは2種以上の開環重合物などである。又テトラヒドロフランの開環重合物も、使用可能なものとして挙げられる。特に上記したジオールのうち数平均分子量が約600〜5000の高分子量ジオールが好適である。一方において、数平均分子量が約600未満であると塗膜が硬くなりすぎ、又ウレタン樹脂を重合する上で必要とするジオールのモル数が増加し、それにともなってイソシアネート量も増加するので、結晶性が上がり塗膜が失透すると共に溶剤への溶解性も低下し、フィルム加工上の作業性も悪くなる。又、数平均分子量が約5000を越えると塗膜の強度が極端に低下し、積層フィルムの加工適性が悪くなる。さらに上記した数平均分子量約600〜5000の高分子量ジオールの中で耐光性、耐加水分解性が優れる点でポリ(アルキレンカーボネート)ジオールを用いれば好適である。
【0031】
イソシアネート基と反応する基を2個以上有する低分子の化合物としてはポリオールやポリアミンの1種又は2種以上の混合物が使用できる。とりわけ鎖伸長剤において、好適な低分子量の化合物としては、ジオールやジアミン類が挙げられる。このジオールとして好適なものは、例えば、エチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等である。又このジアミン類として好適なものは、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、N,N’−ジアミノピペラジン、2−メチルピペラジン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用できる。更にはモノイソシアネート、3官能以上のイソシアネートを用いてもよい。上述の鎖伸長剤のなかでも、とりわけ数平均分子量が約200以下の低分子量ジアミンが好適である。数平均分子量が約200を越えるとウレタン樹脂の凝集力が低下し、ウレタン樹脂の特長である強伸度が出なくなり好ましくない。
【0032】
ポリイソシアネートとしては例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンイソシアネート等の脂肪族或いは脂環族ジイソシアネートやトリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、カルボジイミド基を含むポリイソシアネート、アルファネート基を含むポリイソシアネート、イソシアヌレート基を含むポリイソシアネートなどが適切である。更に上述のポリイソシアネートの中でも、耐候性等がすぐれる点で脂肪族或いは脂環族ジイソシアネートがより好適である。上記したポリウレタン系樹脂は、有機溶剤中で溶液重合することにより得られる。
【0033】
有機溶剤としては、ジメチルフォルムアミド、セロソルブアセテート、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、シクロヘキサノン等の有機溶剤を使用することができる。溶液反応は、通常有機溶剤中で、必要に応じて触媒の存在下、約50〜120℃の反応温度で、5〜10時間行われる。上記反応において高分子量ジオールとイソシアネートと鎖伸長剤の反応順序も特に制限されないが、通常高分子量ジオールとジイソシアネートとをイソシアネート基の過剰条件で反応せしめて、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーを得、これと鎖伸長剤を反応させる方法が採用されることが多い。ジオールとジイソシアネート、必要に応じて用いられる鎖伸長剤の反応割合は特に制限されないが、通常ジオールと鎖伸長剤の合計活性水素原子量を1.00当量としたとき、約0.95〜1.10当量となる重量割合である。
【0034】
ポリウレタン樹脂を製造するに際し、必要ならば触媒及び安定剤を使用することができる。触媒としては例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、モルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の金属塩、ジブチル錫ジラウレートの如き有機金属化合物が挙げられる。安定剤としては、置換ベンゾトリアゾール類などの紫外線に対する安定剤、フェノール誘導体などの熱酸化に対する安定剤などを加えることができる。これらの触媒や安定剤は、ポリウレタン樹脂を製造する際に任意の段階で加えることができる。本発明に、使用可能なポリウレタン系樹脂には、紫外線吸収剤又は酸化防止剤或いはこの双方を添加して長期耐久性をいっそう向上させることができる。このような紫外線吸収剤としては、従来周知のものが使用でき、代表的なものとしてはヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、不飽和ニトリル系化合物等が挙げられる。酸化防止剤の代表的なものとしてはヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物等がある。更に本発明に使用可能なポリウレタン系樹脂には、必要に応じて加水分解防止剤、顔料、染料、増粘剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、難燃剤、消臭剤、分散剤、粘着付与剤樹脂、充填剤、架橋剤等を添加することができる。尚、本発明では上記ポリウレタン樹脂と共に、必要ならば通常用いられているその他の樹脂、例えばポリウレタン樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、繊維素系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂等を併用することもできる。又、上記ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、通常約5000〜100000、中でも約2000〜50000であることが好ましい。
【0035】
図1に示される積層樹脂フィルムの製造は、第1工程にて、ポリエチレンテレフタレートフィルムや工程紙の如き支持フィルム上に乾燥膜厚が約0.5〜300μm、好ましくは約2〜200μm、更に好ましくは約3〜100μmになるように、前記表面層1用の塗料を塗布し、未乾燥の状態で、あるいは常温もしくは加熱により乾燥する。次に第2工程において、前記下層フィルム用の塗料を乾燥膜厚約1〜500μm好ましくは約2〜400μmになるように塗布し、常温もしくは加熱により乾燥する。この第1及び第2工程によって、積層樹脂フィルムの製造がなされる。又、上記第1及び第2工程における塗料塗布後の乾燥条件は、塗料原料として使用されるベース樹脂の種類、ベース樹脂中の反応性官能基の種類、硬化剤の種類、および溶剤の種類に応じて適宜決定される。上記各工程における塗料の塗布は、スプレー塗装によっても良いし、ナイフコーター、コンマコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、フローコーター等の通常用いられる塗装装置を使用して行うこともできる。また本発明の積層樹脂フィルムの各層を形成するために使用される塗料として顔料を含まないクリヤー塗料を使用することにより着色のない積層樹脂フィルムが得られるが、図1の表面層1及び下層2を形成する塗料として顔料含む着色塗料を使用することにより着色した積層樹脂フィルムを得ることもできる。このような着色塗料を得る際に使用される顔料としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッドもしくはハンザイエローのような有機系顔料や酸化鉄レッド、酸化鉄イエロー、チタンホワイト、コバルトブルーの如き無機系顔料等公知のものが適している。
【0036】
上記工程を経て得られる本発明に係る積層樹脂フィルムは、前述の通り下層のウレタン系樹脂フィルムが形成された後、このウレタン系樹脂フィルムに重ねて粘着剤層3又は接着剤層を形成し、更に、この粘着剤層3又は接着剤層に剥離紙4を貼合わせて、最終製品とする(図1)。
【0037】
【実施例】
以下に本発明の実施例について、具体的に説明するが、記載の数値は特に断りのない限り基準的なものであり、このような数値に限定するものではない。なお下記の実施例1〜4は参考例であり、実施例5が本発明の実施例である。
【0038】
【実施例1】
図1に示す表面層1用の樹脂組成物を調整するに当り、フッ素樹脂として“フルオネートK−703”(大日本インキ化学工業株式会社製商品名、重量平均分子量40000、固形分水酸基価72、不揮発分約60%)、硬化剤としてアミノ樹脂“スーパーベッカミンJ−820−60”(大日本インキ化学工業株式会社製商品名、不揮発分約60%)、硬化触媒として“ネイキュアー3525”(楠本化成株式会社製商品名)、紫外線吸収剤として“チヌビン900”(チバガイギー社製商品名)、酸化防止剤として“チヌビン292”(チバガイギー社製商品名)を使用した。この実施例1における表面層1用樹脂組成物の配合例(数値は重量部)を掲げると、フルオネートK−703が約100部、スーパーベッカミンJ−820−60が約30部、ネイキュアー3525が約2部、チヌビン900が約1部、チヌビン292が約1部である。そして、前記組成物を支持フィルムに乾燥膜厚が約20μmになる様に塗布し、約140℃で約10分間加熱乾燥を行い、表面層1用のフィルムを得た。続いて上記表面層1フィルム側にポリカーボネート系無黄変型ウレタン樹脂“NY−331”(大日本インキ化学工業株式会社製商品名、不揮発分約25%、溶剤DMF、100%モジュラス約55kg/cm2)を用い、乾燥膜厚が約20μmになるように塗布し、約140℃で約10分間加熱乾燥を行った。こうして得られた積層樹脂フィルムの表面に、図1に示す通り、アクリル系粘着剤“ファインタックSPS−1016”(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)約100重量部と架橋剤“ファインタックTA−101−K”(商品名)約2重量部の混合溶液を塗布し、乾燥して厚さ約35μmの粘着剤層3を形成し、さらに、この粘着剤層に塗布面をシリコンコートした剥離紙4を貼り合わせて最終製品とした。
【0039】
【実施例2】
この実施例2において、積層樹脂フィルムは、表面層1の樹脂組成物の配合液を下記のように変更する以外は、構造、寸法、及び製造方法等は、前記実施例1の場合と同様である。詳述すると、この実施例での表面層1用樹脂組成物の配合例(数値は重量部)は、“フルオネートK−700”(大日本インキ化学工業株式会社製商品名、重量平均分子量約70000、固形分水酸基価48、不揮発分約50%)が約100部、“スミマールM−100C”(住友化学工業株式会社製商品名、不揮発分約100%)が約15部、“ネイキュアー3525”(商品名)が約1.3部、“チヌビン900”(商品名)が約1部、“チヌビン292”(商品名)が約1部である。
【0040】
【実施例3】
本実施例3の積層樹脂フィルムは、表面層1の樹脂組成物の配合液を下記のように変更する以外は、構造、寸法、及び製造方法等は、実施例1の場合と同様である。詳述すると、この実施例での表面層1用樹脂組成物の配合例(数値は重量部)は、重量平均分子量約45000なるヘキサフルオロプロピレン/エチルビニルエーテル/ベオバー9/アジピン酸モノビニル=50/15/20/15(重量比)共重合体の溶液(“ベオバー9”:オランダ国シェル社製商品名の分岐脂肪酸のビニルエステル、溶剤は、トルエン/n−ブタノール=70/30重量比の混合溶剤、不揮発分約50%)が約100部、エポキシ当量170なるソルビトールポリグリシジルエーテルが約7.4部、ジアザビシクロオクタンが約0.6部、チヌビン900が約1部、チヌビン292が約1部である。
【0041】
【実施例4】
この実施例4の積層樹脂フィルムも、表面層1用の樹脂組成物の混合液を下記のように変更する以外は、構造、寸法、及び製造方法等は、実施例1の場合と同様である。詳述すると、表面層1用樹脂組成物の配合例(数値は重量部)は、重量平均分子量約30000なるテトラフルオロエチレン/ピバリン酸ビニル/エチルビニルエーテル/トリメトキシシリルエチルビニルエーテル=40/25/15/20(重量比)共重合体の溶液(溶剤:トルエン/n−ブタノール=70/30重量比の混合溶剤、不揮発分:約50%)が約100部、そして、ジブチル錫ジアセテートが約0.5部、“シーソーブ102”(白石カルシウム株式会社製商品名)が約1部である。
【0042】
【実施例5】
この実施例5の積層樹脂フィルムも、表面層1用の樹脂組成物の混合液を下記のように変更する以外は、構造、寸法、及び製造方法等は、実施例1の場合と同様である。詳述すると、表面層1用樹脂組成物の配合例(数値は重量部)は、フルオネート K−700が約100部、重量平均分子量20,000のイソブチルメタアクリレート/n−ブチルアクリレート/β−ヒドロキシエチルメタアクリレート=65/20/15(重量比)共重合体の溶液(溶剤はトルエン/酢酸ブチル=70/30重量比の混合溶剤、不揮発分約50%)が約30部、“バーノックDN−980”(大日本インキ化学工業株式会社製商品名、ポリイソシアネート樹脂、不揮発分約75%、イソシアネート含有率約15.0%)が約26. 4部、チヌビン900が約1部、チヌビン292が約1部である。
【0043】
【比較例1】
次に比較例について説明する。先ずこの比較例において、片面にコロナ放電処理が施された市販のテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体フィルムのコロナ放電処理面に、シリコーンコートした剥離紙に乾燥膜厚が約35μmになるように塗布されたアクリル系粘着剤を、貼り合わせてサンプルとした。このとき使用したアクリル系粘着剤と架橋剤は、配合及び乾燥について上述の各実施例と同様である。
【0044】
下記表1に各実施例及び比較例の初期値(貼り付け基板はABS)を示し(全光線透過率(%)はフィルム単体の透過率を測定した。)、表2にサンシャイン促進耐候性テスト(1000時間テスト後)の結果を示す。又表3にQUV促進耐候性テスト(1000時間テスト後)の結果を示す。表4は貼り付け基板をアルミニウムとした場合の初期値を示している。更に、表5にサンシャイン促進耐候性テスト(12000時間テスト後)を示す。各表において、サンプル1は実施例1の結果、サンプル2は実施例2の結果、サンプル3は実施例3の結果、サンプル4は実施例4の結果、サンプル5は実施例5の結果、サンプル0は比較例の結果、サンプルAはABS板の結果を示している。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
尚、実施例及び比較例で行った試験の方法は、下記の通りである。全光線透過率については、分光光度計(島津製作所製)を用い、JISK−6718に準拠して測定した。光沢度については、デジタル変角光沢計(スガ試験機株式会社製)を用い、JISZ8741(鏡面光沢度測定方法)に規定する方法2(60度鏡面光沢)によって測定した。但し、アルミニウム基板に貼付したテストピースに関しては75度鏡面光沢によって測定した。色相について、SMカラーコンピューター(スガ試験機株式会社製)を用い、JISZ8722の4.3.1の条件aの測定に準拠して色の測定を行った。色差については、CIE1976(L*a*b*)色空間において、次の数1によって計算した。
【0051】
【数1】
【0052】
第1促進耐候性試験(QUVウェザォメーター)については、積層樹脂フィルムを市販のABS板(新神戸電気株式会社製)に貼り付け、十分室温で放置した後、QUV(TheQ−Panel Company:ザキューパネル社製)で促進試験を行った。このときの暴露条件は、ブラックパネル温度約60℃にてUV光照射4時間及びブラックパネル温度約50℃にて結露約4時間を1サイクルとした。約1000時間経過時に測定し、外観検査として、変色、ふくれ、ひび割れ、スケールの発生、端のはがれ、腐食、汚染などを調べた。第2促進耐候性試験(サンシャインウェザォメーター)については、積層樹脂フィルムを市販のABS板(新神戸電気株式会社製)に貼り付け、十分室温で放置した後、デューサイクル・サンシャインースーパーロングライフウェザォメーター(スガ試験機株式会社製)を用い、JISZ−9117の7.5の(2)に示す方法で暴露し測定した。約1000時間経過時に測定し、外観検査として、変色、ふくれ、ひび割れ、スケールの発生、端のはがれ、汚染などを調べた。表4の試験については、貼り付け基板をアルミニウムに変更し、促進時間を約12000時間とした以外は、上記第2促進耐候性試験の場合と、ほぼ同様である。
【0053】
以下、試験及びその結果について総括する。キャスティングによる製法のため、フィルム外観は、均一にフラットであり、従来のフッ素系フィルム製品に見られるダイ筋、ピンホールは発生しない。各実施例のサンプルは、透明性(全光線率約93%)と優れた着色性を有している。従来のフッ素系フィルム製品は、フッ素含有率の関係で静電気が非常に発生しやすく、ゴミ、チリ等が付着して作業性が悪いが、本発明に係るフィルムは、通常のマーキングフィルムと同様の作業が可能である。従来のフッ素系フィルム製品は、フィルム面にコロナ放電処理を行わなければ粘着剤の接着力が発現しない。従って、シート同志の継ぎ貼りのときに必要な重ね貼りの作業ができない。これを解決するためにコロナ放電処理を行ったとしても、その効果は経時に減少し、又、コロナ放電処理効果が十分に発揮されている間に使用されたとしても反対にフッ素系フィルムの特徴である非粘着性を失ってしまうという問題が発生する。一方、本発明に係るフッ素系フィルムは、重ね貼りに何ら問題がなく使用が可能である。本発明に係るフィルムは、紫外線を確実にカットするので、下層の保護を十分に果たすことが可能である。これに対して従来品は、既述の通り、UVAを含有させることができないので、フッ素系フィルム自体は、十分に耐久性を保持しているにもかかわらず、下層が劣化するという問題が生じる。この点を解決するために、粘着剤層にUVAを添加して紫外線カットを試みているが、フッ素系フィルムと粘着剤の界面で粘着剤の劣化が起こり、粘着剤分子の切断、架橋反応が生じる。その結果粘着剤の性能が損なわれて、フィルムの剥離、収縮、めくれ上がり等の問題が生じてくる。このような問題点を本発明の実施により解決された。更に、本発明の実施にフッ素系インキ(紀和化学工業株式会社製、FFシリーズ)を使用することにより、スクリーン印刷が可能となり、さまざまなデザインを付与することができる。これは、従来のフッ素系フィルム製品がインキを密着させることができないのに比して、著しく優れた効果を得るものである。更に、必要な着色を施した本発明に係るフィルムを、従来から市販されている再帰反射シート等に重ね貼りを行えば、印刷が不要となる。従来は、再帰反射シート等の表面にスクリーン印刷を行って各種デザイン物及び標識等の製作を行っていたが、シートの耐候性に比較して印刷インキの耐候性が悪く、どうしてもインキの変退色は避けられなかった。そのために、印刷後にクリヤーコート加工することが欠かせなかった。従ってこれらに二次加工を施すのに非常に手間がかかり、又少量のデザイン物のためにもその都度、スクリーンを作製しなくてはならず、コストも高くなった。このような点についても本発明に係るフィルムは、コンピュータカットを施して、必要なデザイン物を作製することが容易に行え、人件費及びスクリーンの節約が可能となり、作業環境の向上をも実現し得るものである。
【0054】
【発明の効果】
本発明の実施によって、屋外用の超高耐候性を有し且つ透明性に優れた積層樹脂フィルムを提供することが可能となった。このような積層樹脂シートは、接着剤または粘着剤を介して任意の対象物に装飾効果を与えると共に、屋外での耐候性を飛躍的に向上させることができる。又、表面層及び下層の特に優れた積層樹脂フィルムを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す略断面図である。
【符号の説明】
1 表面層
2 下層
3 粘着剤層又は接着剤層
4 剥離紙
Claims (7)
- 表面層と、前記表面層より下方に位置する1層以上の下層とを含み、前記表面層と前記下層とは積層されて一枚のフィルムに形成されており、
前記下層の下側には粘着剤層又は接着剤層が形成され、
さらに前記粘着剤層又は接着剤層に剥離紙が貼り合わされている積層樹脂フィルムであって、
前記表面層は、全光線透過率が70%以上で、かつ、溶剤と当該溶剤に可溶な反応性官能基を有するフルオロオレフィン系共重合体と、前記フルオロオレフィン系共重合体の反応性官能基と同一である反応性官能基を有するアクリル系重合体と、
前記反応性官能基と反応する硬化剤及び/又は硬化触媒と、
紫外線吸収剤及び/又は酸化防止剤とを含有する樹脂溶液を塗布して、前記反応性官能基を有するフルオロオレフィン系共重合体成分とアクリル系重合体成分とを反応させたフッ素系樹脂フィルムで形成され、
前記アクリル系重合体の重量平均分子量が、5000〜400000であり、前記フルオロオレフィン系共重合体とアクリル系重合体の比率は重量比で、30:70〜98:2であり、
前記下層を形成する層のうち、少なくとも1層はウレタン系樹脂層であり、かつ前記ウレタン系樹脂層を形成するフィルムは、100%伸長時引張り強度が、30kg/cm2〜600kg/cm2の範囲内にあることを特徴とする積層樹脂フィルム。 - 前記反応性官能基は、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、及び、シリルオキシカルボニル基から選ばれる少なくとも一つであり、
前記硬化剤は、ポリイソシアネート、ブロックイソシアネート、アミノ樹脂、ポリエポキシ化合物、ポリアミン化合物、ポリカルボキシ化合物、及び、ポリシリルオキシカルボニル化合物から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の積層樹脂フィルム。 - 前記反応性官能基が、水酸基であり、前記硬化剤は、ポリイソシアネート、ブロックイソシアネート、アミノ樹脂から選ばれる少なくとも一つである請求項2に記載の積層樹脂フィルム。
- 上記ウレタン系樹脂層は、ポリオールとポリイソシアネートとを重合させることによって得られるポリウレタン樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の積層樹脂フィルム。
- 前記ウレタン系樹脂層は、無黄変型ウレタン樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の積層樹脂フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の積層樹脂フィルムの前記剥離紙を剥離した後、対象物の表面上に貼り付けたことを特徴とする積層体。
- 前記対象物が、再帰反射シートである請求項6に記載の積層体。
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