JP3881560B2 - 仮表示層付印刷用塗装金属板 - Google Patents

仮表示層付印刷用塗装金属板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、フルカラー広告看板、装飾用内装材、装飾用床材、装飾用表装材、エレベータ扉材、家電機器用外板、什器(日用の器具)用外板等に使用され、各種印刷模様が付けられる小ロット多品種用途の仮表示層付印刷用塗装金属板に関する。さらに詳しくは、昇華転写が可能な仮表示層付印刷用塗装金属板に関する。
【0002】
【従来技術】
昇華性染料を用いた印刷基材の製造では、オフセット、シルクスクリーン、グラビア、転写等の印刷法で昇華性染料を基材のトップクリア層に印刷した後、加熱処理で昇華性染料をクリア樹脂層に浸透させている。
【0003】
例えば、硬化性合成樹脂の塗布により形成された塗膜に転写紙を接触させて加熱する方法(特開昭51-24313号公報)、金属板表面にプライマ塗膜及び有色トップ塗膜を形成したプリペイント金属板の塗膜に熱昇華性インクを浸透させる方法(特開平7-31931号公報)、金属板素地上に設けられている不透明樹脂層の内部に昇華形着色剤を浸透させる方法(特開平7-102733号公報)等がある。何れの方法も塗装金属板の塗膜面に転写紙の印刷面が接するように転写紙を重ね合わせ、転写紙を塗装金属板と共に加熱することにより、塗装金属板の塗膜に昇華性染料を浸透させて模様を発現させている。
【0004】
しかし、昇華性染料を塗膜中に浸透させるために加熱すると、転写紙は収縮し、一方で塗装金属板は熱膨張することから、1m当たりで1〜2mmの画像寸法誤差が発生するという問題点があった。また、一辺が1m以上の転写紙と塗装金属板を0.5mm以内の寸法誤差で重ね合わせて転写することも困難であった。
【0005】
昇華熱転写用の転写紙は、インクの滲みを防止するために一般的に塗工紙が使用されている。しかし、紙に塗工されている樹脂は、転写後に未昇華の昇華性染料と共に塗膜上に付着し、印刷塗装金属板の光沢を低下させる原因ともなる。この場合、溶剤を含ませた布で拭き取っても、樹脂表面に付着残留した樹脂及び昇華性染料を完全に除去することは困難である。塗工紙の種類によっては、表層樹脂上に完全に融着して除去不可能なこともあり、印刷面の外観が著しく劣化する場合もあった。
【0006】
以上の理由から、低価格で簡単な作業で、長期耐久性に優れ、画像の寸法誤差が少なく、かつ表面外観に優れた印刷用塗装金属板の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、低価格で簡単な作業で仮表示が出来、仮表示層を除去すれば本来の表示が現れ、表面外観に優れ、長期耐久性が期待でき、かつ画像の寸法安定性にも優れた仮表示層付印刷塗装金属板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の仮表示層付印刷用塗装金属板は、印刷表示が可能な少なくとも一層の剥離性仮表示層と、少なくとも一層の基体層とを、金属板の上に前記基体層、前記仮表示層の順番で積層した仮表示層付印刷用塗装金属板であって、
前記基体層は前記金属板の上にプライマー層を介するか又は介さずして塗布形成されており、
前記仮表示層の前記基体層と接していない面側は、昇華性の染色剤を含有したインクの吸収性があり、かつ前記昇華性の染色剤を昇華させて基体層に拡散染色させる加熱の際にブロッキング現象を起こさない樹脂組成物で形成され、
前記仮表示層の前記基体層と接している面側は、光沢を有し、かつ前記昇華性の染色剤に非親和性の樹脂で形成されており、
前記仮表示層に昇華性の染色剤を含有したインクを印刷し、加熱により前記昇華性の染色剤を昇華させて基体層に拡散染色させることが可能であることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は剥離可能な仮表示層からなる上層と耐候性に優れた表面層を持つ基体層からなる仮表示機能付き高耐候性印刷用塗装金属板を提供できる。特に、このような仮表示機能付き印刷用塗装金属板はフルカラー広告看板、装飾用内装材、装飾用床材、装飾用表装材、エレベータ扉材、家電機器用外板、什器用外板等に使用することが可能である。
【0010】
本発明の仮表示層付印刷用塗装金属板においては、前記剥離性仮表示層と基体層との剥離力Aが0.008N/10mm以上1.18N/10mm以下で、かつ、前記仮表示層の破断強度BがA<Bの関係にあることが好ましい。
【0011】
また、前記剥離性仮表示層の前記基体層と接している面側の60°光沢が5以上であることが好ましい。
【0012】
また、前記剥離性仮表示層にはガラス球が混在されており、前記基体層と接している面側にはガラス球が露出されていないことが好ましい。
【0013】
また、前記剥離性仮表示層の膜厚はCμmであり、前記ガラス球の平均粒子径がDμmであるときα・C=D(ただし、0.2≦α≦2)の関係があり、前記ガラス球の充填率E%(体積%)が1≦E≦70の範囲であることが好ましい。
【0014】
また、前記剥離性仮表示層が1層または2層以上で構成されていることが好ましい。
【0015】
また、前記剥離性仮表示層がインクジェットインク受容層で形成されていることが好ましい。
【0016】
また、前記剥離性仮表示層には多孔質顔料が配合されており、前記基体層と接していない面側は、前記基体層と接している面側より同等以上の濃度配合されていることが好ましい。
【0017】
また、前記基体層の表面層は溶剤に可溶なフルオロオレフィン系共重合体を含むフッ素系樹脂層で形成されていることが好ましい。
【0018】
また、前記フッ素系樹脂層は反応性官能基を有する溶剤に可溶なフルオロオレフィン系共重合体と、前記反応性官能基と反応する硬化剤及び硬化触媒から選ばれる少なくとも一つとの反応により形成されていることが好ましい。
【0019】
また、前記基体層を構成する層のうち、前記フッ素系樹脂に接する層がウレタン系樹脂で形成されていることが好ましい。
【0020】
本発明の仮表示層付印刷用塗装金属板を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。図1は本発明の仮表示層付印刷用塗装金属板の構成図である。仮表示層1は熱転写、静電印刷、インクジェット等の手段により印刷が可能であるが、とりわけ簡便にフルカラー印刷が可能なインクジェットプリンタを使用するのが好ましい。そのためには仮表示層は基本的にインクを好適に吸収して保持出来るインク受容層から構成されるのが好ましい。また、仮表示層を剥離した後の基体層の表面光沢を保持させる為に前記の仮表示層の裏側すなわち基体層の表面側に接する面60°光沢が約5以上、好ましくは約10以上、特に好ましくは約20以上に調整されるのが好適である。基体層の表面側の光沢が約5未満の場合には仮表示層を剥離した後の基体層の表面の鮮映性が低下し、本来表示すべき情報の認知度が劣り好ましくない。また、上記剥離性を有する仮表示層の膜厚は約1μm〜約100μmに調整され、特に好ましくは約3μm〜約80μmに、最も好ましくは約5μm〜約60μmに調整される。上記厚さが約1μm未満の場合はインクの吸収量が不足し、また剥離するときの作業性も劣り好ましくない。また上記厚さが約100μmを越えると、塗装金属板をロール状態に巻き上げた場合、仮表示層の基体層に接する側と接しない側との曲率半径の差が大きくなる。その結果、下層側には圧縮応力が、上層側には引張り応力が作用し、再度シートを巻きだしたときに仮表示層が剥離して筋状に浮き上がる、いわゆる骨入り現象が発生し易くなる。また、仮表示層の剛直性が増して好ましくなく、コストも高くなり好ましくない。さらに上記剥離性仮表示層の鉛筆硬度が3B以上、好ましくは2B以上、さらに好ましくはB以上に調整されるのが好適である。鉛筆硬度が3Bに達しない場合、塗装金属板を長尺に巻いたり、重ねたりした際にその巻圧や荷重によって、前記仮表示層が圧縮破壊されたり、ブロッキング現象が発生したりして好ましくない。なお、鉛筆硬度はJIS K5400 8.4に準拠して測定する。
【0021】
仮表示層の剥離力Aが約0.008N/10mm以上約1.18N/10mm以下、好ましくは約0.012N/10mm以上約0.98N/10mm、さらに好ましくは約0.016N/10mm以上約0.078N/10mm以下でかつ破断強度Bとの関係においてA<Bが成立するように調整されるのが好ましい。約0.078N/10mm以下でかつ破断強度Bとの関係においてA<Bが成立するように調整されるのが好適である。約0.008N/10mm未満であれば印刷等の作業時に仮表示層が基体層から剥離したり、印刷時にインクを吸収して仮表示層が膨潤した際にも剥離する不都合等が発生して好ましくない。また破断強度が剥離強度以下であれば、前記仮表示層を剥離する際、仮表示層が切れてしまい剥離作業が困難になり好ましくない。前述した仮表示層を形成するために使用される親水性樹脂にはポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、未変性および変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、アクリルウレタン、酢酸ビニル系樹脂、無水マレイン酸共重合体、アルキルエステルのナトリウム塩、ゼラチン、アルブミン、ガゼイン、でんぷん、SBRラテックス、NBRラテックス、セルロース系樹脂、アミド系樹脂、メラミン系樹脂、アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、これらをカチオン変性したもの、また親水基を付加したもの等を1種または2種以上使用することも可能である。
【0022】
また、シリカ、クレー、タルク、珪藻土、ゼオライト、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化亜鉛、チタン、等を添加してもよい。前記多孔質顔料を使用する際、その使用量は、好ましくは樹脂固形分の約0.5%(重量比)以上、約500%以下用いられるのが好ましく、さらに好ましくは約1%(重量比)以上約400%以下用いられるのが好ましく、最も好ましくは約2%以上約300%以下に調整されるのが好適である。0.5%未満の使用ではインク吸収量の改善効果が乏しく、500%を超えると仮表示層の塗膜が脆くなり剥離性が悪くなって好ましくない。
【0023】
また、前記した多孔質顔料を樹脂固形分の約0.5%(重量比)以上使用して、前記仮表示層の表面側の60°光沢を75以下、好ましくは65以下、さらに好ましくは55以下にすれば、インクの吸収性を上げると共に、仮表示層のブロッキング特性を向上させることができ、さらに仮表示層に滑り性も付与できるので好ましい。
【0024】
さらに、必要に応じて前記仮表示層にはブロッキングを防止するために、ガラス球を添加する事が可能である。添加するガラス球は前記仮表示層の膜厚がCμm、ガラス球の粒径がDμmであるときα・C=D(ただし、約0.2≦α≦約2の関係を満たすのが好ましく、さらに好ましくは約0.3≦α≦約1.9、最も好ましくは約0.4≦α≦約1.8に調整する。)であるガラス球を使用して充填率E%(体積%)が約1≦E≦約70の範囲で,好ましくは約2≦E≦約60の範囲で、さらに好ましくは約3≦E≦約50の範囲で前記ガラス球を使用するのが好適である。αが約0.2未満であればガラス球はインク受容層の中に埋もれてしまい耐ブロッキング適性が不足して好ましくない。また、αが約2を超える場合には仮表示層付塗装金属板をロール状に巻き上げた場合、仮表示層がガラス球によって押圧され、下層の基体層にビーズ球の型がセットされ好ましくない。またガラス球の充填率が約1%未満であるとブロッキング防止効果が乏しくなって好ましくなく、充填率が約70%を超えるとインクの吸収性が不足して好ましくない。
【0025】
さらに前記仮表示層が2層で構成される場合には、前記仮表示層の上層側にてインクの吸収性能を確保し、下層側にて基体層の表面層との剥離性を確保すると共に前記基体層の表面層の光沢を保持し、さらには剥離時の引張り応力に耐える強度を付加することも可能となる。この場合インクの吸収性能を向上させるために添加する多孔質顔料の濃度は上層側の濃度を下層側以上に設定するのが好ましい。仮表示層の裏面側すなわち基体層の表面側に接する面の光沢を確保して、基体層の表面光沢を維持するためには、できる限り仮表示層の下層側に使用される多孔質顔料の量は少ない方が好ましく、さらに仮表示層を剥離するときの引張り応力に耐える強度を確保する為にも、下層側に使用される多孔質顔料の量は上層側以下であることが好ましい。また前記仮表示層が3層以上で構成される場合には最下層側に使用される多孔質顔料の量は最上層側以下であることが好ましい。前記した仮表示層に昇華性の染色剤を含有したインクを使用して印刷し、その後加熱処理を行って前記昇華性染色剤を昇華させて基体層に拡散染色させるとき、前記仮表示層には前記した諸性能に付加して、さらに効率良く前記昇華性染色剤を基体層に拡散移行させる性能が要求される。これらの要求性能を充足させるために、仮表示層には昇華性染色剤に非親和性の樹脂を使用するのが好適であり、とりわけ仮表示層の上層側にて十分なインク吸収性能を確保し、下層側にて昇華性染色剤の拡散移行性能を確保すれば基体層に効率良く昇華性染色剤を拡散染色させることが可能となる。このためには上層側と下層側共に昇華性染色剤に非親和性の樹脂を使用すれば好適であるが、それぞれの層の役割分担を考え、下層側のみに昇華性染色剤と非親和性であり、前記染色剤の捕捉性が低い樹脂を適用する事も可能である。昇華性染色剤に親和性のない樹脂としてはオレフイン系の樹脂、すなわちポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロライド、など、ビニルアルコール系の樹脂、すなわちポリビニルアルコール、ポリエチレン-ビニルアルコール共重合体など、フッ素系樹脂、すなわちポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-へキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンーエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、さらには溶剤可溶型のフッ素系樹脂等およびポリシリコーン系の樹脂、またはこれらの樹脂の混合物等が挙げられる。
【0026】
本発明品の仮表示層に昇華型インクを使用して印刷を行い、その後加熱処理を実施することにより、下地の基体層と接触している仮表示層が加熱され、仮表示層に含まれている昇華性染色剤は昇華し、基体層の表面層やそれに続く層にも浸透する。その為、得られた印刷画像は表面層の表層のみに昇華性染色剤が単に転写したものではないため、表面摩擦によって印刷が薄くなることはなくまた、基体層の表面層やそれに続く下層に含有された紫外線吸収剤により太陽光線の紫外線もカットされるので昇華性染色剤の退色防止するための透明樹脂被覆やUVカットフィルムの貼り付け等の後工程も省略できる。
【0027】
基体層の表面層は、加熱処理時の150〜200℃で著しく軟化しない耐熱性のある樹脂を適用すれば良い。特に熱硬化性の樹脂を使用するのが好ましく、さらに好ましくは染色剤に対する親和性がなく、熱処理工程で染料が表面層と連続した下層にまで透過し易い性質を有する樹脂が望ましい。このような特性を満足する材質として、具体的には塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフイン系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、等の合成樹脂が使用可能である。とくに架橋硬化型合成樹脂を使用すれば屋外耐候性、仮表示層の剥離適性が向上して好ましく、さらに好ましくは特に屋外耐候性に優れ、また仮表示層との剥離性にも優れたフッ素系樹脂を主成分とする合成樹脂を使用すれば良い。フッ素系樹脂を主成分とする合成樹脂としてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等のフッ素系樹脂が挙げれる。これらのフッ素系樹脂を加工するには主として熱を加えて溶融し、所望する形状に加工してから冷却し製品化するのが一般的手法である。しかしこのような手法で製造された樹脂膜は縦方向や横方向に延伸されるので、熱転写時に150〜200℃の温度まで昇温すると収縮する傾向を示し、印刷ブレや印刷模様の不鮮明化等の欠陥が発生しやすくなる。この発生を防止する為に、基体層の表面層は前記した溶剤に可溶なフルオロオレフィン系共重合体からなるフッ素系樹脂を溶剤流延法、ロールコーターによる塗装方法等の加工方法にて未延伸の状態で形成されるのが好ましく、さらに好ましくは反応性官能基を有する溶剤に可溶なフルオロオレフィン系共重合体と、この反応性官能基と反応する硬化剤及び/または硬化触媒との反応により形成されたものであるのが好適である。さらに屋外にて表示看板として使用するときに、極度の温度変化を受ける場合がある。また、屋外設置中には小石や砂塵等の飛来物や種々の落下物等があり、これらより受ける衝撃により基体層にへこみが発生し、表示板の外観が損なわれる等のトラブルが発生する可能性がある。これらの問題を解決するには剥離応力に対しては柔軟に対応でき、また表面からの圧縮等のダメージに対しても自己治癒が可能となるように基体層の表層に続く第2層には弾力性に富んだウレタン系樹脂を適用するのが好ましい。このとき使用されるウレタン系樹脂は後述のウレタン系樹脂が好ましく、さらに好ましくは昇華性染色剤に染着性の良いウレタン樹脂が好適であり、最も好ましくはポリエステル系ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られるウレタン架橋ポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0028】
このとき使用される昇華型インク用染色剤としては、大気圧、70〜260℃で昇華または蒸発する染料が好ましい。例えば、アゾ、アントラキノン、キノフタロン、スチリル、ジまたはトリフェニルメタン、オキサジン、トリアジン、キサンテン、メチン、アゾメチン、アクリジン、ジアジン等の染料があり、これらの内、1,4−ジメチルアミノアントラキノン、臭化または塩化1,5−ジヒドロキシ-4,8−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノ-2,3−ジクロロアントラキノン、1-アミノ−4−ヒドロキシアントラキノン、1−アミノ-4-ヒドロキシ-2-(β−メトキシエトキシ)-アントラキノン、1-アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン-2-カルボン酸のメチル、エチル、プロピル、ブチルエステル、1,4−ジアミノ-2-メトキシアントラキノン、1−アミノ-4-アニリノアントラキノン、1-アミノ-2-シアノ-4-アニリノ(またはシクロヘキシルアミノ)-アントラキノン、1−ヒドロキシ-2-(p−アセトアミノフェニルアゾ)-4-メチルベンゼン、3-メチル-4-(ニトロフェニルアゾ)-ビラゾロン、3-ヒドロキシキノフタロン等がある。また、塩基性染料としてマラカイトグリーン、メチルバイオレット等を用いることができ、酢酸ナトリウム、ナトリウムエタレート、ナトリウムメチラート等で変性した染料等を用いるのが好適である。
【0029】
これらの染料を使用した昇華型インクを仮表示層に電子写真法、静電記録法、インクジェット法、感熱転写法等によって印刷加工を施し、その後100〜200℃に加熱することにより、昇華性染色剤が昇華し、印刷画像が基体層の内部に拡散染色される。このとき使用される仮表示層は前記した親水性樹脂が好ましく、さらに好ましくは前記した本発明のいずれかに記載の仮表示層で構成されるのが好適である。
【0030】
基体層の表面層に使用される樹脂は、フルオロオレフィン類をフッ素モノマー成分として得られるフッ素系樹脂を主成分とするものであり、このようなフ
ッ素系樹脂の具体的なものとしては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体のようなフルオロオレフィン類の単独重合体あるいはフルオロオレフィン類の共重合体に加えて、各種フルオロオレフィン類とフルオロオレフィン以外の単量体類との共重合体が挙げられる。
【0031】
これらのうち、汎用溶剤に対する溶解性が良く塗膜を製造する上での作業上の点からすれば、フルオロオレフィン類の共重合体あるいはフルオロオレフィン類とフルオロオレフィン以外の単量体との共重合体が特に好ましい(以下、これらをフルオロオレフィン系共重合体とも称する)。このような、フルオロオレフィン系共重合体を調整するに際して使用されるフルオロオレフィンの具体的なものとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよび炭素数C1〜C18の(パー)フルオロアルキルトリフルオロビニルエーテル等が挙げられる。これらのフルオロオレフィンを2種以上共重合することによりフルオロオレフィン類のみを単量体成分とする共重合体が得られる。また、前記フルオロオレフィン類とこれらと共重合可能な単量体類との共重合により、溶剤に可溶なフルオロオレフィン系共重合体を調整することができる。このフルオロオレフィン類と共重合可能なビニル系単量体の具体的なものとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル等のアルキル若しくはシクロアルキルビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、パーサイフク酸ビニル、安息香酸ビニル、p-t-ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のカルボン酸ビニルエステル類、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体類、アクリル酸、メタアクリル酸の如きカルボキシル基を含有する単量体類、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルビニルエーテルの如きアミノ基を有する単量体類、グリシジルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの如きエポキシ基を有する単量体類、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、2−トリメトキシエチルビニルエーテル、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの如き加水分解性シリル基を有する単量体類、2−トリメチルシリルオキシエチルビニルエーテル、4−トリメチルシリルオキシブチルビニルエーテルの如きシリルオキシ基を有するビニル系単量体類、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ビニル-5-トリメチルシリルオキシカルボニルペンタノエートの如きシリルオキシカルボニル基を有する単量体類、更にエチレン、プロピレン、塩化ビニル、各種アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。このような単量体のうち、共重合性、塗膜性能等の点から、官能基を有しないビニルエステルやビニルエーテル類を必須成分として使用することが特に好ましく、更に、必要に応じて前記した如き反応性官能基を有する単量体を共重合すれば良い。
【0032】
本発明に用いられるフルオロオレフィンとフルオロオレフィン以外の単量体との共重合体として好適なものとしては、フルオロオレフィン約15〜70重量%、反応性官能基を含有するビニル系単量体約0〜30重量%及び、これらと共重合可能な他の単量体類約5〜85重量%を共重合してなるものである。より好適な共重合体としては、フルオロオレフィン約20〜65重量%、反応性官能基を含有するビニル系単量体約5〜25重量%、及びこれらと共重合可能な他の単量体類約10〜75重量%を共重合してなるものである。フルオロオレフィンの使用量が約15重量%未満では耐久性と防汚効果及び昇華性染料の透過性が不充分であるし、約70重量%を越えると汎用溶剤への溶解性が低下して作業性を悪くするので好ましくない。また使用される共重合体の重量平均分子量としては、作業性と塗膜の耐久性の点から、約5,000〜400,000、更には、約7,000〜300,000の範囲内にあることが好ましい。
【0033】
このようなフルオロオレフィン系共重合体の具体的なものあるいは調整方法の具体例は、特開昭53-96088号公報、特開昭57-34107号公報、特開昭59-102962号公報、特開昭61-113607号公報、特開昭61-57609号公報、特開昭61-141713号公報、特開昭62-84137号公報、特開昭62-185740号公報、特開昭64-29450号公報等に記載されている通りである。また、本発明で使用されるフルオロオレフィン系共重合体の調整方法として、予め調整したフルオロオレフィンとカルボン酸ビニルエステルを必須成分とする共重合体を加水分解して水酸基を有する重合体に変換したり、水酸基を有するフルオロオレフィン系重合体に2塩基酸無水物を付加することによりカルボキシ基を有する重合体に変換したりする方法も採用できる。
【0034】
前述のフルオロオレフィン系重合体のうち反応性官能基として水酸基を含有する共重合体の市販品の代表的なものには、大日本インキ化学工業株式会社製商品名”フルオネートK-700、K-701、K-702、K-703、K-704”、旭硝子株式会社製商品名”ルミフロンLF-100、LF-200、LF-300、LF-400、LF−500、LF−600”、セントラル硝子株式会社製商品名”セフラルコートA-101B、A-201TB、A-100TMB”などがある。
【0035】
本発明の仮表示付印刷用塗装金属板を構成する基体層の表面層であるフッ素系樹脂塗膜は、前述の通りフルオロオレフイン系共重合体とアクリル系重合体から調整することもできる。ここにいうアクリル系重合体とは、アクリル酸エステル若しくはメタアクリル酸エステルを必須成分とする単独重合体または共重合体であり、前記した如き反応性官能基を有するもの及び有しないもののいずれもが使用可能である。このアクリル系重合体としては公知慣用の各種のものが使用できるが、耐久性及び作業性の点から、重量平均分子量として約5,000〜400,000さらには約7,000〜300,000を有するものが特に好ましい。表面層用の樹脂として前記した通りフルオロオレフィン系共重合体とアクリル系重合体を併用する場合には、前者と後者の比率は重量比で、約30:70〜約98:2、更に好ましくは約40:60〜約95:5の範囲内にあることが望まれる。アクリル系重合体の使用量が約2%未満では付与したいアクリル系重合体の特性が発揮されないし、約70重量%を越えると耐久性と防汚効果及び昇華性染料の透過性が不充分となるので好ましくない。
【0036】
本発明の仮表示層付印刷用塗装金属板の基体層を形成するに際して、フルオロオレフィン系共重合体及びアクリル系重合体は有機溶剤に溶解した形で使用される。フルオロオレフィン系共重合体もしくはブレンドされるアクリル系重合体が前記した如き反応性官能基を有する場合には、硬化剤として前記反応性官能基と反応する官能基を有するものを配合することもできる。反応性官能基として加水分解性シリル基を有する場合には、酸類、塩基あるいは各種有機錫化合物の硬化触媒を配合できる。また、既述の通り、硬化剤を配合させる場合にも、硬化反応を促進するに適した触媒を添加することもできる。フルオロオレフィン系共重合体の反応性官能基が水酸基若しくはシリルオキシ基の場合には、ポリイソシアネート、ブロックポリイソシアネート、アミノ樹脂、金属アルコキシド若しくは金属キレート化合物等を、また反応性官能基がエポキシ基の場合には、ポリカルボキシ化合物、ポリシリルオキシカルボニル化合物、ポリアミン化合物等を、更に反応性官能基がカルボキシル基若しくはシリルオキシカルボニル基の場合には、ポリエポキシ化合物、エポキシシラン化合物、金属キレート化合物等を、また更に反応性官能基がアミノ基の場合には、ポリエポキシ化合物もしくはエポキシシラン化合物を、硬化剤として配合できる。フルオロオレフィン系共重合体或いはフルオロオレフィン系共重合体とアクリル系共重合体のブレンド物に硬化剤としてアミノ樹脂を配合する場合には、前記ベース樹脂成分約100重量部に対してアミノ樹脂を約5〜100重量部好ましくは約10〜60重量部配合すれば良い。
【0037】
また、アミノ樹脂以外の硬化剤を配合する場合には、フルオロオレフィン系共重合体あるいはフルオロオレフィン共重合体とアクリル系重合体ブレンド物中の反応性官能基1当量に対して硬化剤中の官能基が約0.2〜2.5当量、更に好ましくは約0.5〜1.5当量の範囲内となる様に硬化剤を配合すれば良い。
【0038】
前述した基体層の表面層を形成するために使用される組成物には、紫外線吸収剤または酸化防止剤或いはこれら双方を添加して表面層に、これらを含有させることにより長期耐久性をいっそう向上させることができる。このような紫外線吸収剤としては公知慣用のものを使用でき、代表的なものとしてはヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、不飽和ニトリル系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。酸化防止剤の代表的なものとしては、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物等があり、これらの使用が好適である。
【0039】
また、有機溶剤としては従来の周知のものが使用可能であり、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート等のエステル系、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘブタン、オクタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族もしくは脂環族系炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤類等が挙げられる。これらのうち、硬化剤にポリイソシアネート化合物を使用する場合には、アルコール系溶剤の使用は避けなければならない。
【0040】
図1に示すように、本発明の仮表示層付印刷用塗装金属板の基体層2において、表面層に続く下層を構成する塗膜は、ウレタン系樹脂で形成すれば好適である。ウレタン系樹脂としてはポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られるウレタン系樹脂からなる樹脂組成物であれば良い。更に、イソシアネート基と反応する基を2個以上有する低分子の化合物を鎖伸長剤として、使用すればより好適である。本願発明に使用されるポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールの単独或いはこれらの混合物が好適である。また特に好適なポリオールとしては、高分子量ジオールが挙げられる。高分子量ジオールとして用いられるものとしては、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオールの単独あるいはこれらの混合物が使用できる。
【0041】
使用に適したポリエステル系ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2-ジメチル-1,3−プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3,3-メチル-1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール等の1種または2種以上のジオールと、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、へキサヒドロイソフタル酸等のジカルボン酸の1種または2種との縮合物などである。
【0042】
前記ジオールを開始剤とするγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等の開環重合物も挙げられる。更にまたポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール等のポリ炭酸エステルジオールも挙げられる。ポリエーテル系ジオールとしては、ポリエステル系ジオールの項で前記したジオールを開始剤とするエチレンオキサイドの単独あるいは2種以上の開環重合物などである。またテトラヒドロフランの開環重合物も、使用可能なものとして挙げられる。特に上記したジオールのうち数平均分子量が約600〜5,000の高分子量ジオールが好適である。一方において、数平均分子量が約600未満であると塗膜が硬くなりすぎ、またウレタン樹脂を重合する上で必要とするジオールのモル数が増加し、それにともなってイソシアネート量も増加するので、結晶性が上がり塗膜が失透すると共に溶剤への溶解性も低下し、塗装の作業性も悪くなる。また、数平均分子量が約5,000を越えると塗膜の強度が極端に低下し、塗膜の加工適性が悪くなる。さらに上記した数平均分子量約600〜5,000の高分子量ジオールの中で耐光性、耐加水分解性が優れる点でポリ(アルキレンカーボネート)ジオールを用いれば好適である。
【0043】
イソシアネート基と反応する基を2個以上有する低分子の化合物としてはポリオールやポリアミンの1種または2種以上の混合物が使用できる。とりわけ鎖伸長剤において、好適な低分子量の化合物としては、ジオールやジアミン類が挙げられる。このジオールとして好適なものは、例えば、エチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサン-1,4−ジメタノール等である。また、このジアミン類として好適なものは、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ピベラジン、N,N’-ジアミノピベラジン、2-メチルピベラジン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を併用できる。更にはモノイソシアネート、3官能以上のイソシアネートを用いてもよい。上述の鎖伸長剤のなかでも、とりわけ数平均分子量が約200以下の低分子量ジアミンが好適である。数平均分子量が約200を越えるとウレタン樹脂の凝集力が低下し、ウレタン樹脂の特長である強伸度が出なくなり好ましくない。
【0044】
ポリイソシアネートとしては例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンイソシアネート等の脂肪族或いは脂環族ジイソシアネートやトリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、カルボジイミド基を含むポリイソシアネート、アルファネート基を含むポリイソシアネート、イソシアヌレート基を含むポリイソシアネートなどが適切である。さらに上述のポリイソシアネートの中でも、耐候性等が優れる点で脂肪族或いは脂環族ジイソシアネートがより好適である。上記したポリウレタン系樹脂は、有機溶剤中で溶液重合することにより得られる。
【0045】
有機溶剤としては、ジメチルフォルムアミド、セロソルブアセテート、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、シクロヘキサノン等の有機溶剤を使用することができる。溶液反応は、通常有機溶剤中で、必要に応じて触媒の存在下、約50〜120℃の反応温度で、5〜10時間行われる。上記反応において高分子量ジオールとイソシアネートと鎖伸長剤の反応順序も特に制限されないが、通常高分子量ジオールとジイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件で反応せしめて、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーを得、これと鎖伸長剤を反応させる方法が採用されることが多い。ジオールとジイソシアネート、必要に応じて用いられる鎖伸長剤の反応割合は特に制限されないが、通常ジオールと鎖伸長剤の合計活性水素原子量を1.00当量としたとき、約0.95〜1.10当量となる重量割合である。
【0046】
ポリウレタン樹脂を製造するに際し、必要ならば触媒及び安定剤を使用することができる。触媒としては例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、モルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の金属塩、ジブチル錫ジラウレートの如き有機金属化合物が挙げられる。安定剤としては、置換ベンゾトリアゾール類などの紫外線に対する安定剤、フェノール誘導体などの熱酸化に対する安定剤などを加えることができる。これらの触媒や安定剤は、ポリウレタン樹脂を製造する際に任意の段階で加えることができる。
【0047】
本発明に、使用可能なポリウレタン系樹脂には、紫外線吸収剤または酸化防止剤或いはこの双方を添加して長期耐久性をいっそう向上させることができる。このような紫外線吸収剤としては、従来周知のものが使用でき、代表的なものとしてはヒドロキシべンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、不飽和ニトリル系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。酸化防止剤の代表的なものとしてはヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物等がある。更に本発明に使用可能なポリウレタン系樹脂には、必要に応じて加水分解防止剤、顔料、染料、増粘剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、難燃剤、消臭剤、分散剤、充填剤、架橋剤等を添加することができる。尚、本発明では上記ポリウレタン樹脂と共に、必要ならば通常用いられているその他の樹脂、例えばポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル-プロピオン酸ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、繊維素系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂等を併用することもできる。また、上記ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、通常約5,000〜100,000、中でも約2,000〜50,000であることが好ましい。
【0048】
また図2に示す本発明における仮表示層付印刷用塗装金属板の基体層23を形成するために使用される塗料としては顔料を含まないクリアー塗料を使用することにより着色のない塗膜を得ることも可能であるが、顔料を含む着色塗料を使用することにより着色した基体層23を得ることもできる。このような着色塗料を得る際に使用される顔料としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッドもしくはハンザイエローのような有機系頼料や酸化鉄レッド、酸化鉄イエロー、チタンホワイト、コバルトブルーの如き無機系顔料等公知慣用のものが適している。
【0049】
上記工程を経て得られる本発明に係る仮表示層付印刷用塗装金属板は耐食性を向上させるために、前述の基体層23が形成される前に、プライマ層3を設けることも可能である。
【0050】
基体層2の表面層側に仮表示層を積層して、本発明の仮表示層付印刷用塗装金属板が完成する。このときの仮表示層は乾燥膜厚が約1μm〜約100μm、好ましくは約3μm〜約80μm、さらに好ましくは約5μm〜約60μmになるように調整すればよい。さらに必要に応じて前記仮表示層を2層以上に積層して作製することも可能であり、そのときは下層より順次上層に積層することにより製造される。
【0051】
本発明に従った仮表示層付印刷用塗装金属板の下地金属板4としては、めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミ板、真ちゅう板、銅板等が使用できる。下地金属板の厚さは10μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上であり、更に好ましくは50μm以上である。
【0052】
【実施例】
以下実施例を用いて更に具体的に説明する。以下の実施例において「部」は重量部を示す。また%は重量%を意味する。
【0053】
(実施例1)
板厚0.5mmの亜鉛めっき鋼板に塗装前処理を施し、大日本インキ化学工業社製、ポリカーボネート無黄変型ウレタン樹脂”NY−331”(商品名、固形約25%、溶剤DMF、100%モジュラス約55kg)を乾燥膜厚が約30μmになるように塗布し、約140℃で約10分間加熱乾燥を行い、基体層の第2層を形成した。続いて上記第2層の表面に下記配合のフッ素系樹脂塗料を乾燥膜厚が約20μmになるように塗布し、約140℃で約10分間加熱乾燥を行い、基体層の表面層を形成した。
(1)”フルオネート K−703”(商品名、大日本インキ化学工業社製) 100部
(2)”バーノック DN−950”(商品名、大日本インキ化学工業社製) 25部
(3)紫外線吸収剤”チヌビン900”(商品名、チバガイギー社製) 1部
(4)紫外線吸収剤”チヌビン292”(商品名、チバガイギー社製) 1部
上記で作製した基体層上に下記の配合の混合溶液を乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、約120℃で約5分間乾燥を行い仮表示層を作製した。
(1)大日本インキ化学工業社製”パテラコールK−510P”(商品名、固形分約15.5%) 100部
(2)ユニオン硝子社製ガラスビーズ(中心粒径13μm) 3部(仮表示層に占める体積%:5.2%)
このようにして作製した仮表示層にインクジェット方式の一種であるピエゾ方式のプリンタ(ムトウ製RJ−6000)により画像を印刷した。このとき使用した昇華型インクジェット用インクは昇華性染料を含有する紀和化学工業社製インクジェット用インク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタの6色セット)を使用した。このようにして作製した仮表示層付印刷用塗装金属板を下記の2通りの方法によって加熱処理を実施した。
(A)熱風乾燥機(ヤマト科学社製、Fine Oven DF62)を約170℃に設定し、約7分間加熱処理を実施して昇華性染料を昇華させて、基体層側に転写印刷し、その後、仮表示層を剥離した。
(B)ヒートバキュームアプリケーター(HUNT EUROPE社製Vacu Sea1 4468)を使用して真空度3.99×103Pa(30mmHg)、設定温度約150℃で7分間加熱圧着処理を実施した。
【0054】
以上のようにして得られた実施例1における仮表示層付印刷用塗装金属板の模式的断面図を図2に示す。図2において、仮表示層1は単層であり、基体層は基体層21と基体層22と基体層23からなる。仮表示層1の部分のみを拡大すると図3のようになる。図3において、仮表示層1は、樹脂層31の中にガラスビーズ32が配合され、基体層に接しない面A側にはガラスビーズ32が露出し、基体層に接する面B側にはガラスビーズ32は露出していない。
【0055】
(実施例2)
仮表示層に使用する水性樹脂組成物及び構造を下記のように変更する以外は、構造、寸法及び製造方法等は実施例1の場合と同様の方法で製造した。
【0056】
基体層上に大日本インキ化学工業社製”パテラコールIJ−70”(商品名、固形分15.0%)を乾燥膜厚が10μmになるように塗付し、加熱乾燥を行った。続いて前記乾燥膜上に下記の配合水性樹脂組成物を同じく乾燥膜厚が10μmになるように塗布して加熱乾燥を実施した。
(1)”パテラコールIJ−70” 70部
(2)”パテラコールIJ−150” 30部
(上記配合組成物の固形分中の多孔質顔料含有率:25.0%)
このようにして作製した仮表示層に、実施例1と同様の方法にて画像を印刷した。その後、実施例1に記載した(A)及び(B)の方法にて加熱転写を行った。
【0057】
以上のようにして得られた実施例2における仮表示層付印刷用塗装金属板の模式的断面図を図4に示す。図4において、仮表示層は上層11と下層13とで構成され、基体層は基体層21と基体層22と基体層23からなる。
【0058】
(実施例3)
仮表示層に使用する水性樹脂組成物及び構造を下記のように変更する以外は、構造、寸法及び製造方法等は実施例1の場合と同様の方法で製造した。
【0059】
基体層上に大日本インキ化学工業社製”フルオネートFEM600”(商品名、固形分45.0%)を使用して乾燥膜厚が15μmになるように塗布し、加熱乾燥を実施した。続いて前記乾燥膜上に乾燥膜厚が30μmになるように高松油脂社製”MZ−100”(商品名、固形分15%、多孔質顔料含有率128.0%)を塗布して加熱乾燥を実施した。
【0060】
このようにして作製した仮表示層に、実施例1と同様の方法にて画像を印刷した。その後、実施例1に記載した(A)及び(B)の方法にて加熱転写を行った。
【0061】
(実施例4)
基体層の表面層21用の樹脂組成物の混合液を下記のように変更する以外は、構造、寸法及び製造方法等は実施例3の場合と同様である。詳述すると、表面層21用樹脂組成物の配合例(数値は重量部)は、重量平均分子量約30,000のテトラフルオロエチレン/ピバリン酸ビニル/エチルビニルエーテル/トリメトキシシリルエチルビニルエーテル=40/25/15/20(重量比)共重合体の溶液(溶剤:トルエン/n−ブタノール=70/30重量比の混合溶剤、不揮発分:約50%)が約100部、そして、ジブチル錫ジアセテートが約0.5部、”シーソーブ102”(商品名、白石カルシウム株式会社製)が約1部である。
【0062】
このようにして作製した仮表示層に、実施例1と同様の方法にて画像を印刷した。その後、実施例1に記載した(A)及び(B)の方法にて加熱転写を行った。
【0063】
(実施例5)
基体層の表面層21用の樹脂組成物の混合液を下記のように変更する以外は、構造、寸法、及び製造方法等は、実施例3の場合と同様である。詳述すると、表面層21用樹脂組成物の配合例(数値は重量部)は、”フルオネート K−700”が約100部、重量平均分子量20,000のイソブチルメタアクリレート/n−ブチルアクリレート/β−ヒドロキシエチルメタアクリレート=65/20/15(重量比)共重合体の溶液(溶剤はトルエン/酢酸ブチル=70/30重量比の混合溶剤、不揮発分約50%)が約30部、”バーノックDN−980”(商品名、大日本インキ化学工業株式会社製ポリイソシアネート樹脂、不揮発分約75%、イソシアネート含有率約15.0%)が約26.4部、”チヌピン900”が約1部、”チヌビン292”が約1部である。
【0064】
このようにして作製した仮表示層に、実施例1と同様の方法にて画像を印刷した。その後、実施例1に記載した(A)及び(B)の方法にて加熱転写を行った。
【0065】
(比較例1)
仮表示層1に使用する水性樹脂組成物及び構造を下記のように変更する以外は、構造、寸法及び製造方法等は実施例1の場合と同様である。
【0066】
基体層上に大日本インキ化学工業社製”パテラコールIJ−150”(商品名、固形分21.0%、多孔質顔料濃度約70.0%)を乾燥膜厚が20μmになるように塗付し、約120℃で5分間の加熱乾燥を行った。
【0067】
このようにして作製した仮表示層に、実施例1と同様の方法にて画像を印刷した。その後、実施例1に記載した(A)及び(B)の方法にて加熱転写を行った。
【0068】
(比較例2)
仮表示層に使用する水性樹脂組成物及び構造を下記のように変更する以外は、構造、寸法及び製造方法等は比較例1の場合と同様の方法で製造した。
(1)大日本インキ化学工業社製”パテラコールK−510P”(商品名) 50部
(2)大日本インキ化学工業社製”パテラコールIJ−150”(商品名) 50部
(上記配合組成物の固形分中の多孔質顔料含有率:40重量%)
このようにして作製した仮表示層に、実施例1と同様の方法にて画像を印刷した。その後、実施例1に記載した(A)及び(B)の方法にて加熱転写を行った。
【0069】
(比較例3)
板厚0.5mmの亜鉛めっき鋼板に塗装前処理を施し、ポリウレタン系樹脂溶液”バーノックL7−920”(商品名、大日本インキ化学工業社製、不揮発分25±1%、溶剤トルエン、sec-ブタノール)を乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、約140℃で約10分間加熱処理を行った。続いて上記表面層塗膜側に下記配合の塩化ビニル系樹脂塗料を乾燥膜厚が約20μmになるように塗布し、約140℃で約10分間加熱乾燥を行った。
(1)塩化ビニル樹脂100部
(2)エチレン/ビニルエステル樹脂 25部
(3)ポリエステル可塑剤 10部
なお上記塩化ビニル樹脂としては、”ニカビニルSG−1100N”(商品名、日本カーバイド工業社製)をエチレン/ビニルエステル樹脂としては”エルバロイ”(商品名、三井・デュポンポリケミカル社製)をそれぞれ用い、またポリエステル可塑剤としてはプロピレングリコール、ブタンジオール、及びヘキサンジオールからなる混合二価アルコールとアジピン酸とから合成された数平均分子量(Mn)が約3,000のものを用いた。このようにして得られた基体層上に大日本インキ化学工業社製”フルオネートFEM600”(商品名、固形分45.0%)を使用して乾燥膜厚が15μmになるように塗布し、加熱乾燥を実施した。続いて前記乾燥膜上に乾燥膜厚が30μmになるように高松油脂社製”MZ−100”(商品名、固形分15.0%、多孔質顔料含有率128.0%)を塗布して加熱乾燥を実施した。
【0070】
このようにして作製した仮表示層に、実施例1と同様の方法にて画像を印刷した。その後、実施例1に記載した(A)及び(B)の方法にて加熱転写を行った。
【0071】
(比較例4)
仮表示層に使用する水性樹脂組成物として水性ポリウレタン樹脂及びエピクロルヒドリンポリアミド樹脂等からなる水性樹脂組成物である大日本インキ化学工業社製”パテラコールK−510P”(商品名、固形分15.5%)を使用する以外は、構造、寸法及び製造方法等は比較例1の場合と同様の方法で製造した。
【0072】
このようにして作製した仮表示層に、実施例1と同様の方法にて画像を印刷した。その後、実施例1に記載した(A)及び(B)の方法にて加熱転写を行った
(比較例5)
仮表示層に使用する水性樹脂組成物として大日本インキ化学工業社製”パテラコールIJ−50”(商品名、固形分15.0%)を使用する以外は、構造、寸法及び製造方法等は比較例1の場合と同様である。
【0073】
このようにして作製した仮表示層に、実施例1と同様の方法にて画像を印刷した。その後、実施例1に記載した(A)及び(B)の方法にて加熱転写を行った。
【0074】
以上の実施例、比較例の評価結果をまとめて次の表1〜4に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0003881560
【0076】
【表2】
Figure 0003881560
【0077】
【表3】
Figure 0003881560
【0078】
【表4】
Figure 0003881560
【0079】
(備考)
★1手による剥離 ○(スムーズに剥がれる)>△>×(仮表示層が破れて剥離が出来ない)
★2 JIS Z 0237 90度引き剥がし法 N/10mm
★3 JIS Z 8741 60度鏡面光沢
★4 JIS Z 0237 引張り強さ及び伸びに準拠 N/10mm
★5 紀和化学工業社製インクジェット用インクを用いてムトウ製RJ-6000にてJIS X 9204 : 2000準拠高精細カラーデジタル標準画像のカラーチャートを720dpiで印刷を行い、印刷後、10分後に印刷面に上質紙を乗せてアルミニウム板に挟み、50g/cm2の荷重を1分間かけた後、上質紙に転写されるインク写りの有無を判定する。
○:インクの写りなし。
△:部分的にインクの写りあり。
×:全面的にインクの写りあり。
★6 ○(スムーズに剥がれる)>△>×(保護紙が仮表示層と付着して剥離ができない)
★7 ○(60度鏡面光沢が90以上で転写印刷濃度が高)>△(60度鏡面光沢が90以上で転写印刷濃度が中または60度鏡面光沢が90未満70以上で転写印刷濃度が大)>×(60度鏡面光沢が90以上で転写印刷濃度が低または60度鏡面光沢が90未満70以上で転写印刷濃度が中以下または60度鏡面光沢が70未満)加熱処理方法は実施例1に準拠
★8 ○(60度鏡面光沢が90以上で転写印刷濃度が高)>△(60度鏡面光沢が90以上で転写印刷濃度が中または60度鏡面光沢が90未満70以上で転写印刷濃度が大)>×(60度鏡面光沢が90以上で転写印刷濃度が低または60度鏡面光沢が70未満)加熱処理方法は実施例1に準拠
★9 JIS Z 9117に記載のサンシャインカーボン式促進耐候性試験の条件に準拠、試験時間は1,000時間、色差△EはJIS Z 8722に規定する刺激値直読方式によって測定し、「JIS Z 8730色差表示方法6」に規定する色差式を用いて求めた。
★10 南面45°屋外暴露試験(試験場所:和歌山県)試験期間は一年。
【0080】
以上の表1〜4のとおり、本発明の仮表示層付印刷用塗装金属板は、操作が容易で鮮明な画像が仮表示できた。製造コストも低価格であった。また不要になれば簡単に仮表示層を除去でき、除去すればすれば本来の表示が現れ、しかも長期耐久性が期待でき、耐熱寸法安定性にも優れた仮表示層付印刷用塗装金属板を実現できた。また、昇華性染色剤を仮表示層に印刷した後、加熱処理を行い、基体層内部に拡散染色させた後、仮表示層を剥離除去することにより、高耐候性で画像の印刷された塗装金属板が得られた。
【0081】
なお、本発明においては、図5に示すように仮表示層を上層または最上層11と、中間層12と、下層または最下層13とに積層して形成してもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、低価格で簡単な作業で仮表示が出来、不要になれば簡単に仮表示層を除去すれば本来の表示が現れ、しかも長期耐久性が期待でき、耐熱寸法安定性にも優れた仮表示層付印刷用塗装金属板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における仮表示層付印刷用塗装金属板を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の実施例1及び比較例2、4、5における仮表示層付印刷用塗装金属板を示す略断面図である。
【図3】本発明の実施例1における仮表示層の部分の模式的断面図である。
【図4】本発明の実施例2〜5及び比較例3における仮表示層付印刷用塗装金属板を示す模式的断面図である。
【図5】本発明の他の実施例における仮表示層付印刷用塗装金属板を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 仮表示層
2 基体層
3 プライマ層
4 金属板
11 仮表示層の上層または最上層
12 仮表示層の中間層
13 仮表示層の下層または最下層
21 基体層の表面層
22 基体層の第2層
23 基体層の第3層
30 仮表示層
31 樹脂層
32 ガラスビーズ

Claims (11)

  1. 印刷表示が可能な少なくとも一層の剥離性仮表示層と、少なくとも一層の基体層とを、金属板の上に前記基体層、前記仮表示層の順番で積層した仮表示層付印刷用塗装金属板であって、
    前記基体層は前記金属板の上にプライマー層を介するか又は介さずして塗布形成されており、
    前記仮表示層の前記基体層と接していない面側は、昇華性の染色剤を含有したインクの吸収性があり、かつ前記昇華性の染色剤を昇華させて基体層に拡散染色させる加熱の際にブロッキング現象を起こさない樹脂組成物で形成され、
    前記仮表示層の前記基体層と接している面側は、光沢を有し、かつ前記昇華性の染色剤に非親和性の樹脂で形成されており、
    前記仮表示層に昇華性の染色剤を含有したインクを印刷し、加熱により前記昇華性の染色剤を昇華させて基体層に拡散染色させることが可能であることを特徴とする仮表示層付印刷用塗装金属板。
  2. 前記剥離性仮表示層と基体層との剥離力Aが0.008N/10mm以上1.18N/10mm以下で、かつ、前記仮表示層の破断強度BがA<Bの関係にある請求項1に記載の仮表示層付印刷用塗装金属板。
  3. 前記剥離性仮表示層の前記基体層と接している面側の60°光沢が5以上である請求項1または2に記載の仮表示層付印刷用塗装金属板。
  4. 前記剥離性仮表示層にはガラス球が混在されており、前記基体層と接している面側にはガラス球が露出されていない請求項1〜3のいずれかに記載の仮表示層付印刷用塗装金属板。
  5. 前記剥離性仮表示層の膜厚はCμmであり、前記ガラス球の平均粒子径がDμmであるとき、α・C=D(ただし、0.2≦α≦2)の関係があり、前記ガラス球の充填率E%(体積%)が1≦E≦70の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の仮表示層付印刷用塗装金属板。
  6. 前記剥離性仮表示層が1層または2層以上で構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の仮表示層付印刷用塗装金属板。
  7. 前記剥離性仮表示層がインクジェットインク受容層で形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の仮表示層付印刷用塗装金属板。
  8. 前記剥離性仮表示層には多孔質顔料が配合されており、前記基体層と接していない面側は、前記基体層と接している面側より同等以上の濃度配合されている請求項1〜7のいずれかに記載の仮表示層付印刷用塗装金属板。
  9. 前記基体層の表面層は溶剤に可溶なフルオロオレフィン系共重合体を含むフッ素系樹脂層で形成されている請求項1〜8のいずれかに記載の仮表示層付印刷用塗装金属板。
  10. 前記フッ素系樹脂層は反応性官能基を有する溶剤に可溶なフルオロオレフィン系共重合体と、前記反応性官能基と反応する硬化剤及び硬化触媒から選ばれる少なくとも一つとの反応により形成されている請求項9に記載の仮表示層付印刷用塗装金属板。
  11. 前記基体層を構成する層のうち、前記フッ素系樹脂に接する層がウレタン系樹脂で形成されている請求項9または10に記載の仮表示層付印刷用塗装金属板。
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