JP6115106B2 - 硬化性コーティング組成物、積層ポリエステル樹脂フィルム及び太陽電池バックシート - Google Patents

硬化性コーティング組成物、積層ポリエステル樹脂フィルム及び太陽電池バックシート Download PDF

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Description

本発明は、硬化性コーティング組成物、積層ポリエステル樹脂フィルム及び太陽電池バックシートに関するものである。
本発明は、例えば鉄道車両、自動車、自動販売機等の表面に貼付して用いられるマーキング用フィルムの表面保護、光沢向上、変退色・劣化防止等を目的としたオーバーレイフィルムや、車両や住宅のプラスチック製ウインドウや外装看板の表面保護用フィルム、液晶ディスプレイ反射用シート、太陽電池用バックシート等として、主として保護や変退色防止の目的で用いられる高耐候性フィルム・シートに関するものである。
上記した高耐候性フィルム・シートは、共通して、物体を厳しい外部環境から遮断し保護することを目的としており、直射日光による紫外線暴露や大きな気温変化を受けたり、風雨に曝されるなどの環境変化があっても、長期間に亘り破れたりせずに、物体を確実に保護できることが必要となる。
例えば、太陽電池バックシートは、太陽電池本体を厳しい外部環境から遮断し保護することを目的としたシートである。太陽電池パネルは、屋外に設置されることから、直射日光による紫外線暴露や大きな気温変化および風雨に曝されるなどの環境変化があっても、長期間に亘り安定稼動することが必要である。当然、バックシート自体にも、耐UV性や耐候性が求められる。
この様な太陽電池バックシートに適用するポリエステル樹脂フィルムは、上記した厳しい品質を満足させるために、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートの様なポリエステル樹脂中に、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を添加して混練し、必要な厚みとなる様に溶融押出成形するなどして製造されてきた。
しかしながら、上記した様な製造方法では、耐UV性や耐侯性にある程度優れたポリエステル樹脂フィルムは得られるものの、製造工程が多工程にわたり、簡便に得られないという欠点があった。
また、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムは機械的強度、耐熱性、光学特性、耐薬品性等の優れた特性を有しており、食品包材から工業用途まで幅広い分野で使用されている。しかしながら、その優れた特性の反面、紫外線による黄変劣化の欠点を有し、太陽電池バックシートなど屋外に長期間使用されるフィルムにおいては上記黄変劣化が使用限界の要因となっている。PETフィルムに紫外線カット性能を付与させるために、太陽電池バックシートの最外層に紫外線を吸収する汎用二酸化チタンを含有した硬化性コーティング組成物をPETフィルム上に施す方法が知られている。しかし、このような硬化性コーティング組成物は、PETフィルムとの密着性は塗工直後において優れるものの、高温高湿の環境下において密着性が著しく低下することが確認されている。
一方、エポキシ樹脂を含有する硬化性コーティング組成物は、PETフィルムとの密着性は塗工直後や高温高湿の環境下において、密着性が維持されるといった開示も見受けられるが、エポキシ樹脂の紫外線耐性が弱いため、これを含有する硬化性コーティング組成物は黄変劣化を起こしやすい。これを防止するために、高価な紫外線吸収剤を添加する必要があり、製造コストアップが懸念される。
そこで、これらの課題を解決する硬化性コーティング組成物、積層ポリエステル樹脂フィルム及び太陽電池バックシートの開発が望まれている。
特開2012−197432号公報 特開2012−124357号公報
従って、本発明の目的は、市販されている多様なPETフィルムにコーティングを施すことで、例えば、PETフィルムとの密着性、耐光性、耐ブロッキング性、耐侯性、貯蔵安定性、更には耐加水分解性を付与できる硬化性コーティング組成物を提供することである。
本発明者は、前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、水酸基を含有する樹脂とポリイソシアネート化合物とを含有する組成物に、アスペクト比が高い針状充填物を加えることにより、前記課題を解決することを見出した。
すなわち本発明は、水酸基を含有する樹脂と、有機ポリイソシアネート化合物と、無機充填物を含有する硬化性コーティング組成物であって、前記無機充填物として、アスペクト比が5〜50である針状無機充填物を含有することを特徴とする硬化性コーティング組成物、該組成物を積層した積層フィルム、太陽電池バックシートを提供する。
本発明の硬化性表面コーティング組成物によれば、市販されている多様のPETフィルムにコーティングを施すことで、紫外線吸収剤を用いなくても、前記PETフィルムに耐UV性や密着性、特に、高温高湿試験後の前記PETフィルムとの間に優れた密着性を付与できる。このため、従来手法のエポキシ樹脂に起因する黄変劣化を未然に防ぐことができる。また、これを用いた太陽電池バックシートを提供できる。
本発明に用いる水酸基を含有する樹脂(A)としては、イソシアネート基と反応性を有する水酸基を含有する水酸基を含有する樹脂であれば、特に限定されないが、例えば、樹脂の水酸基価が1〜200mgKOH/gであることが好ましい。これらの樹脂としては、たとえば、それぞれ水酸基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂又はフッ素樹脂等が挙げられ、これらは単独で、或いは、2種以上を併用してもよい。
前記水酸基を含有する樹脂(A)は、水酸基価が1〜200mgKOH/gであることが好ましいが、特に、水酸基価4〜100mgKOH/gの範囲にあることが、基材との密着性、耐久性および耐加水分解性の観点から好ましい。水酸基価が1より小さい場合は、塗膜の硬化がほとんど進まず、基材、例えばPETフィルムとの密着性、耐久性が劣ったり、水酸基価が200より大きい場合は、硬化収縮が大きすぎる為に、基材、例えばPETフィルムとの密着性が悪化したりする傾向にある。
本発明で用いられる水酸基を含有するアクリル樹脂とは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを必須成分として重合して得られる、水酸基を含有する線状樹脂をいう。以下、アクリルとメタクリルを合わせて(メタ)アクリルと称する。
この様なアクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として、必要に応じて(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル酸基含有モノマーを共重合することで容易に製造することが出来る。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として、共重合を行うに当たり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを併用することで、アクリル樹脂骨格の側鎖に水酸基が導入された、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂を得ることができる。
この様な水酸基を含有するアクリル樹脂は、線状であることによる、低粘度、硬化皮膜の優れた可撓性等の特徴を大きく損なわない範囲において、前記した単量体に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサ(メタ)アクリレートの様な、2〜6個の(メタ)アクリロイル基を含有する重合性単量体を少量併用して重合したアクリル樹脂であっても良い。
この様な水酸基を含有するアクリル樹脂としては、例えば、DIC(株)製「アクリディック」シリーズ、大成ファインケミカル(株)製「アクリット」シリーズがある。例えば、アクリル樹脂の市販品としては、DIC(株)製、商品名:アクリディックA−808−T、同57−451を挙げることが出来る。
本発明に用いる水酸基を含有するポリエステル樹脂とは、グリコールと、二塩基酸またはその誘導体とを必須成分として反応させて得られる、過剰の水酸基を含有する線状樹脂をいう。勿論、上記二塩基酸に代えて、二塩基酸無水物、二塩基酸低級アルキルエステル等のエステル形成性誘導体を用いて、重縮合反応のみならず、付加反応やエステル交換反応にて、ポリエステル樹脂を得ることも出来る。
ポリエステル樹脂としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコールと、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸スベリン酸、アゼライン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ニ塩基酸とを必須原料成分として反応させた脂肪族ポリエステル樹脂や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコールと、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族二塩基酸とを必須原料成分として反応させた芳香族ポリエステル樹脂が挙げられる。
この様な水酸基を含有するポリエステル樹脂は、線状であることによる、低粘度、硬化皮膜の優れた可撓性等の特徴を大きく損なわない範囲において、前記したグリコールや二塩基酸に、トリメリット酸、ピロメリット酸、トロメチロールプロパン、ペンタエリスルトール等の、水酸基やカルボシキル基等の活性水素基を分子内に3〜4個含有する化合物を少量併用して得たポリエステル樹脂であっても良い。
前記ポリエステル樹脂は、その主鎖中にベンゼン環やナフタレン環がより多く含有されることでTgがより高くなる傾向があり、例えば、コーティングすべき対象基材がPETやPBT(ポリブチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)との親和性が高まるため、本発明では脂肪族ポリエステル樹脂よりも芳香族ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。しかしながら、主鎖中にベンゼン環やナフタレン環がより多く含有されることで、結晶性や融点等も高くなる傾向があり、流動性や塗布性が低下しやすい。
そのため、前記ポリエステル樹脂は、示差走査熱量分析法(DSC法)でのガラス転移温度(Tg)20〜110℃のポリエステル樹脂であることが好ましい。本発明では、全アルコール中炭素原子数2〜4の脂肪族グリコール25モル%以上を用い、かつ全多塩基酸中芳香族二塩基酸30モル%以上を用いて得た、Tgが40〜100℃の芳香族ポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。
水酸基を含有するポリエステル樹脂としては、例えば、東洋紡績(株)製「バイロン」シリーズ、ユニチカ(株)製「エリーテル」シリーズ、更に詳しくは、例えばユニチカ(株)製、商品名:エリーテルUE−3210、同XA−0611が挙げられる。
本発明に用いる水酸基を含有するポリウレタン樹脂とは、たとえば、ポリイソシアネート化合物と1分子中に少なくとも2個の水酸基を含有する化合物とを、水酸基がイソシアネート基に対して過剰となるような比率で反応させて得られる。その際に使用されるポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。また、1分子中に少なくとも2個の水酸基を含有する化合物としては、前記多価アルコール類、ポリエステルジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
本発明に用いられる水酸基を含有するポリオレフィン樹脂とは、ポリオレフィン樹脂を後述する水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、あるいは、水酸基含有ビニルエーテルでグラフト変性あるいは共重合化し、合成される。
ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2〜8のオレフィンの単独重合体や共重合体、炭素数2〜8のオレフィンと他のモノマーとの共重合体を挙げることができる。具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂などのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ4−メチルペンテン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・へキセン共重合体などのα―オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などを挙げることができる。更に、これらポリオレフィンを塩素化した塩素化ポリオレフィンも使用することができる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキエチル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリセロール;ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等が挙げられ、前記水酸基含有ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。
これらの水酸基を含有するポリオレフィン樹脂としては、例えば、三井化学(株)製、「ユニストール」などが市販されている。
本発明で用いられる水酸基を含有するフッ素樹脂とは、フッ素ビニル単量体を必須成分として重合して得られる、水酸基を含有する線状樹脂をいう。
上記したフッ素ビニル単量体としては、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロピレン、2,2,3,3−テトラフルオロプロピレン、1,1,2−トリフルオロプロピレンまたは3,3,3−トリフルオロプロピレンの如き、純粋なる意味でのフルオロオレフィンをはじめ、さらには、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンまたは1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレンの如き、フッ素原子以外のハロゲン原子をも有する形の化合物までを包含した、いわゆる広義のフルオロオレフィン類などが挙げられる。
更に、フッ素樹脂の必須成分として、共重合を行うに当たり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、あるいは、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどの水酸基含有ビニルエーテルを併用することで、フッ素樹脂骨格の側鎖に水酸基が導入された、水酸基を含有するフッ素樹脂を得ることができる。水酸基を含有するフッ素樹脂としては、例えば、DIC(株)製「フルオネート」シリーズなどが挙げられる。
本発明で用いる水酸基を含有する樹脂(A)は、数平均分子量5,000〜50,000を満たすこと、好ましくは数平均分子量10,000〜30,000であることが、PETフィルムとの密着性、耐加水分解性に優れる点でより好ましい。上記した分子量の水酸基を含有する樹脂は、有機溶剤に溶解する上、同溶液の流動性を大きくは損なうことなく、際立ったPETフィルムとの密着性や耐加水分解性を発現する。
本発明で用いる水酸基を含有する樹脂(A)は、プラスチックフィルムの様な可とう性の基材上で密着性に優れる塗膜を形成させる為に、ガラス転移温度20〜110℃を満たすこと、特に、ガラス転移温度40〜100℃であることがより好ましい。上記したガラス転移温度の水酸基を含有する樹脂は、PETフィルムとの接着性、耐ブロッキング性、耐加水分解性をバランスよく満たすことができる。
本発明で用いられるポリイソシアネート化合物(B)としては、イソシアネート基を分子内に少なくとも2つ有する有機化合物が挙げられる。有機ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート;これらのポリイソシアネートのアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体などのポリイソシアネートの誘導体(変性物)などが挙げられる。
本発明に用いるポリイソシアネート化合物(B)は、使用される用途によって適宜選択すれば良いが、トリレンジイソシアネートの様な芳香族系は黄変する場合があり、より優れた耐候性を要する場合には、脂肪族系または脂環式等の無黄変型ポリイソシアネートを用いることが好ましい。ポリエステル樹脂フィルムの様な透明な基材上で硬化塗膜が着色して透明性が低下するのは視認性悪化の点でも好ましくない。よって本発明で好適なのは、脂肪族または脂環式等の無黄変型ポリイソシアネートである、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の無黄変型ポリイソシアネートを用いることが好ましい。
前記硬化剤は、ポリイソシアネート化合物(B)のみでもある程度の性能が発現するが、ポリイソシアネート化合物とポリカーボネート樹脂及び/又はカルボジイミド化合物とを積極的に併用することより、硬化塗膜により高度な耐加水分解性を付与することが出来る。
前記水酸基を含有する樹脂(A)とポリイソシアネート化合物(B)との配合割合は、水酸基を含有する樹脂(A)の固形分水酸基当量(a)とポリイソシアネート化合物(B)の固形分イソシアネート当量(b)の当量比〔(a)/(b)〕が0.5〜5、好ましくは、0.8〜2.0であることが好ましい。
さらに、本発明に用いるポリイソシアネート化合物はブロック化ポリイソシアネートであっても良い。
ブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール類、3、5−ジメチルピラゾール、1、2−ピラゾール等のピラゾール類、1、2、4−トリアゾール等のトリアゾール類、エチレンクロルヒドリン、1、3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等のラクタム類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル、マロン酸エチル等の活性メチレン化合物類が挙げられる。その他にもアミン類、イミド類、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール類等も挙げられる。
これらのブロック剤の中でも、ブロック剤の解離温度が80℃〜140℃のものが好ましい。解離温度が80℃未満であると、高温な貯蔵所において、ブロック剤がポリイソシアネートから解離する危険性があり、1液タイプとして設計された硬化性コーティング組成物の貯蔵安定性が損なわれる危険性がある。また、解離温度が150℃を超えると、太陽電池モジュールを構成する際の真空熱圧着の工程で、硬化反応が充分に進行せず、PETフィルム基材、封止層との密着性が低下してしまう。
この様なブロック剤を含有するポリイソシアネートとしては、例えば、旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート」シリーズ、住友バイエルウレタン(株)製「デスモジュール」シリーズがある。更に詳しくは、例えば住友バイエルウレタン(株)製、商品名:デュラネートTPA−B80Eが挙げられる。
本発明に用いる無機充填物は、アスペクト比が5〜100である針状無機充填物が必須成分として含有していれば、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、ベーマイト、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、塩基性硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、硝酸マグネシウム等の金属化合物等が挙げられ、これらの中でも、チタン酸カリウムウィスカ、ウォラストナイトウィスカ、針状酸化チタンが好ましい。
なお、本願において、アスペクト比とは、針状無機充填物の長軸の短軸に対する長さの比であることを意味する。
前記針状無機充填物の配合比率としては、例えば、水酸基を含有する樹脂(A)と、有機ポリイソシアネート化合物(B)の合計100重量部(固形分)に対して、 〜 重量部配合することが好ましい。
また、本発明の硬化性コーティング組成物には、前記針状無機充填物以外の無機充填物を適宜配合してもよい。これらの充填物としては、例えば、前記の針状無機充填剤のアスペクト比が低い物質、或いは、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料などが挙げられる。これら着色剤の具体例としては種々のものが掲げられ、有機顔料としては、例えば、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の如き溶性アゾ顔料;
フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の各種(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラックなどが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン、酸化ジルコニウム等の各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の各種の硫化物ないしはセレン化物;
硫酸バリウム、硫酸鉛等の各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫等の各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等のメタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土などが挙げられる。
さらに、プラスチック顔料としては、例えば、DIC(株)製グランドールPP−1000、PP−2000S等が挙げられる。
前記の無機充填物類の中でも、紫外線照射試験後の破断強伸度の保持率が、更に向上することから、針状無機充填物以外の無機充填物(例えば、低アスペクト比の無機充填物)、例えば、酸化チタンを併用することが好ましい。
この場合、針状無機充填物以外の無機充填物100重量部に対して、針状無機充填物を5〜100重量部配合されていることが好ましい。
本発明の硬化性コーティング組成物、特に上記した主剤には、粘度調整の観点から、そこに含める原料との反応性を有さず、原料を溶解する有機溶剤を含有させることが出来る。具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系炭化水素等が挙げられる。
本発明の硬化性コーティング組成物には、必要であれば、その他の添加剤などを含有させてもよい。添加剤としては、フィルムやコーティング膜などを形成する樹脂組成物に一般に使用されている添加剤などが挙げられる。添加剤としては、例えば、レベリング剤;コロイド状シリカ、アルミナゾルなどの無機微粒子;ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子;消泡剤;タレ性防止剤;シランカップリング剤;粘性調整剤;紫外線吸収剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;難燃剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防錆剤;蛍光性増白剤;無機系熱線吸収剤;防炎剤;帯電防止剤;脱水剤;などが挙げられる。
本発明の硬化性コーティング組成物は、通常、硬化剤であるポリイソシアネート化合物以外の各成分をあらかじめ配合した主剤プレミックスを調製しておき、これとポリイソシアネート化合物とを混合して調製することが出来る。
本発明の硬化性コーティング組成物は、種々の基材に塗布して乾燥することで、基材上に密着性のある硬化塗膜を積層することが出来る。基材への塗布量は、特に制限されるものではないが、例えば、1〜30g/m、中でも3〜15g/mの範囲から選択することが、少量で優れた耐候性等が付与できる点で好ましい。この塗布には、例えば、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、リバースコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター等を用いることが出来る。
また、本発明の硬化性コーティング組成物を塗布した積層体は、作成後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、室温〜100℃で、12〜240時間の間であり、この間に硬化反応が進行する。
この際の基材としては、例えば、紙、オレフィン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、カーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂やポリエステル系樹脂から得られた合成樹脂フィルム、銅箔、アルミニウム箔の様な金属箔等を挙げることが出来る。基材の厚みは、特に制限されるものではなく、例えば、10〜400μmから選択出来るが、本発明の硬化性コーティング組成物は、少量の塗布かつ低温短時間の乾燥で、基材に反りやヘタリ等、何ら影響を与えることなく優れた密着性を奏し、優れた耐候性を付与出来ることから、30〜80μmで軟化温度180℃以下の基材への適用が最適である。
低温かつ短時間の乾燥より、基材を反らせたり塗膜剥離したりするなどの不都合が発生することなく、基材への優れた密着性が得られ積層体の劣化をより効果的に防止することが出来る点で、基材としては、ポリエステル樹脂フィルムを用いることが好ましい。本発明の硬化性コーティング組成物の硬化塗膜がポリエステル樹脂フィルム上に積層された、積層ポリエステル樹脂フィルムは、上記した優れた性質を有したものとなる。
特に、160℃以下という比較的低温で1分間以下という短時間の乾燥より、薄膜の基材に上記した様な不都合を発生させず、基材への優れた密着性が得られ積層体の耐湿熱性と耐加水分解性に基づく劣化をより効果的に防止することが出来る点で、基材としては、PETフィルムを用いることがより好ましい。本発明の硬化性コーティング組成物の硬化塗膜がPETフィルム上に積層された、積層ポリエステル樹脂フィルムは、上記した優れた性質を有したものとなる。特に、太陽電池バックシート用の積層ポリエステル樹脂フィルムとして好適である。
ポリエステル樹脂フィルムと硬化塗膜との密着性を向上させるために、ポリエステル樹脂フィルムの硬化塗膜を形成する方の面に表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理、放射線処理等が挙げられる。
本発明の太陽電池モジュールにおいては、透明保護部材、太陽電池用セル、前記太陽電池用セルの全面を覆う封止樹脂、およびバックシートなどの構成は、従来公知の太陽電池モジュールと同様であって、本発明に特有の構成ではない。
すなわち、太陽電池用セルとしては、基板上に透明電極層、光半導体層および裏面電極層を積層し、複数の光電変換セルを形成するように分離溝によって分離され、かつそれらの光電変換セルが電気的に直列接続されてなる集積型太陽電池素子とすることが一般的であり、また、光半導体層中の光電変換層としては、シリコンや薄膜多結晶シリコンなどを用いることができる。さらに、太陽電池用セルからはモジュール外部に電気出力が取り出せるようになっている。
上記封止樹脂として用いられる樹脂としては、主としてEVAを用いるが、PVB(ポリビニルブチラール)、PIB(ポリイソブチレン)、オレフィン系樹脂(とりわけグラフト変性ポリエチレン樹脂)、アイオノマー樹脂、シリコン樹脂などを用いることもできる。通常、太陽電池モジュールの封止樹脂として用いられるEVAは、酢酸ビニル含有量が10〜40重量%であるものを用い、太陽電池モジュールの耐熱性、物理的強度を確保するために、熱あるいは光などによりEVAを架橋している。
熱架橋を行う場合は通常有機過酸化物が用いられ、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものが使用されている。通常、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが用いられ、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロキシパーオキサイド、2, 5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4 ,4−ビス−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイドなどが用いられている。
光硬化を行う場合には光増感剤が用いられ、水素引き抜き型(二分子反応型)である、ベンゾフェノン、オルソベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントンなどが用いられており、内部開裂型開始剤としては、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタールなど、α−ヒドロキシアルキルフェノン型として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノンなどが使用できる。更に、α−アミノアルキルフェノン型として、2−メチル−1−[4(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリフォリノフェニル)−ブタノン−1 などが、またアシルフォスフィンオキサイドなども用いられている。
また、太陽電池モジュールを構成するガラス板との接着を考慮してシランカップリング剤も配合されており、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが配合されている。
更に、接着性及び硬化を促進する目的でエポキシ基含有化合物を配合されている場合もあり、エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等の化合物や、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを配合されているケースもある。
そしてさらに、封止樹脂の架橋、接着性、機械的強度、耐熱性、耐湿熱性、耐候性などを向上させ目的で、アクリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基含有化合物を添加されており、(メタ)アクリル酸誘導体、例えばそのアルキルエステルやアミドが最も一般的である。この場合、アルキル基としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基の他に、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、アクリルアミドが代表的である。また、アリル基含有化合物としては、トリ
アリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が配合されている。
さらには、難燃性を付与するための無機化合物や、耐候性を付与するための紫外線吸収剤、酸化劣化防止のための酸化防止剤も種々に配合されている。つまり、太陽電池モジュールを構成するEVAは、太陽電池モジュールとして要求される機能を満たすべく、各種添加剤を配合した樹脂組成物である。
太陽電池モジュールとして一体化する方法について、その一例として、真空ラミネート方式が挙げられる。この方法は、例えば、100〜150℃に加熱された真空ラミネート装置の加熱板上のダミーガラスや金属板の上に、透明保護部材、透明保護部材側の封止樹脂、配線を施した太陽電池用セル、バックシート側の封止樹脂、およびバックシートの順に積層して、静置する。その後、真空ラミネート装置を閉じて減圧を開始し、この減圧状態を3〜10分間保持した後、給排気管から空気を導入して、圧力差によりゴム製ダイアフラムを上記積層体に押し当て加圧する。封止樹脂の種類にもよるが、この状態を10〜40分間保持することで加熱真空ラミネート工程が完了する。
また、上記真空ラミネート方式は、一例に過ぎず、公知のラミネート方式を適用することができる。
上記のとおり、本発明の硬化性コーティング組成物をポリエステル樹脂フィルム上に積層した積層ポリエステル樹脂フィルムをバックシートとして用いると、従来の硬化性コーティング組成物と比較して、耐光性、ポリエステル樹脂フィルムとの密着性、及び高温高湿試験後のポリエステル樹脂フィルムとの密着性が格段に向上する。更に、EVA等の封止樹脂への接着性、耐加水分解性、耐ブロッキング性に優れた性能を発揮することができる。
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。尚、実施例中の「部」は、重量基準である。
本発明に用いる水酸基を含有する樹脂(A)の数平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により求めた。
測定装置;東ソー株式会社製 HLC−8220
検出器;RI(示差屈折計)
測定条件;カラム温度 40℃ 溶媒 テトラヒドロフラン
また、本発明に用いる水酸基を含有する樹脂(A)のガラス転移温度は、下記の条件により求めた。
測定装置;セイコー電子工業株式会社製 DSC220C
測定方法;DSC(示差走査熱量分析)法
実施例1〜6
下記の表1−1、及び表1−2に示す通り、水酸基を含有する樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、針状無機充填物、針状無機充填物以外の無機充填物を用いて、主剤成分と硬化剤成分との二液型の、本発明の硬化性コーティング組成物を調製した。
実施例7
下記の表1−2に示す通り、水酸基を含有する樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、針状無機充填物を用いて、主剤成分と硬化剤成分との二液型の、本発明の硬化性コーティング組成物を調製した。
比較例1〜4
下記の表2−1、及び表2−2に示す通り、水酸基を含有する樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、針状無機充填物以外の無機充填物を用いて、主剤成分と硬化剤成分との二液型の、従来の硬化性コーティング組成物を調製した。
比較例5
下記の表2−2に示す通り、水酸基を含有する樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、針状無機充填物以外の無機充填物、エポキシ樹脂を用いて、主剤成分と硬化剤成分との二液型の、従来の硬化性コーティング組成物を調製した。
比較例6
下記の表2−2に示す通り、水酸基を含有する樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、針状無機充填物以外の無機充填物、エポキシ樹脂、紫外線吸収剤を用いて、主剤成分と硬化剤成分との二液型の、従来の硬化性コーティング組成物を調製した。
前記硬化性コーティング組成物を乾燥後の塗工量が10g/m2となるように「E5001」(東洋紡(株)製 PETフィルム)に塗布し、80℃、30秒間乾燥させ、硬化塗膜を形成した後、40℃で3日間エージングを行なった。また、「E5001」の代わりに「X10S」(東レ(株)製 耐侯性PET)を用いた場合についても、同様に塗工物を作成した。
(PETフィルムとの密着性評価サンプルの作製方法)
前記硬化性コーティング組成物を設けた塗工物を幅100mm、長さ250mmに裁断して、温度120℃、相対湿度100%RHの環境条件で、48時間や72時間のプレッシャークッカー試験(以下、PCT試験という)を行った。
(PETフィルムとの密着性の評価方法)
前記硬化性コーティング組成物を設けた塗工物について、PCT試験をしなかったもの(初期)、試験をしたもの(湿熱経時後)をJIS5600−5−6クロスカット法に従い、硬化性コーティング組成物とPETフィルム基材の剥離を測定した。
尚、表1−1,1−2,2−1,2−2中の密着性条件(1)、(2)は以下のものとする。
密着性条件(1):PCT 120℃、100%RH、48時間、基材:E5001(東洋紡株式会社汎用PETフィルム)
密着性条件(2):PCT 120℃、100%RH、76時間、基材:X10S (東レ株式会社耐侯PETフィルム)
(紫外線照射試験後の破断強伸度維持の評価方法)
前記硬化性コーティング組成物を設けた塗工物について、アイスーパーUVテスターSUV−W161(岩崎電気株式会社製)で、UV照度100mW/cm、100時間照射して、株式会社エー・アンド・ディー製テンシロン万能材料試験機にて破断強伸度を測定した。
尚、PCT前後における各強度の保持率が、90%以上を◎、89〜80%を○、79〜70%を△、69%以下を×とした。
Figure 0006115106
Figure 0006115106
Figure 0006115106
Figure 0006115106
なお、前記表中の材料の概要を下記に示す。
エリーテルUE−3210:ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社)、固形分:100%
Tg:45℃、水酸基価:4mgKOH/g、数平均分子量:20,000、固形分:50%、Tg:70℃、水酸基価:20
アクリディックA−808:水酸基含有アクリル樹脂(DIC株式会社)、固形分:50%、Tg:41℃、水酸基価:40
アクリディックA−809:水酸基含有アクリル樹脂(DIC株式会社)、固形分:50%、Tg:41℃、水酸基価:20
フルオネートK−704 :フッ素含有ポリオール樹脂(DIC株式会社)、固形分:60%、Tg:41℃、水酸基価:40
エピクロン860:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社)、固形分:100%、エポキシ当量:240
チヌビン479:紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社)固形分:100%
JR−805:酸化チタン(テイカ株式会社)アスペクト比:1〜2
ティスモD101:チタン酸カリウムウィスカ(大塚化学株式会社)アスペクト比:15〜100
SH−1800:ウォラストナイトウィスカ(キンセイマテック株式会社)アスペクト比:10〜20
FTL−100:針状酸化チタン(テイカ株式会社)アスペクト比:13(代表値)
スミジュールN3300:HDI系ポリイソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社)固形分:100%
本発明の硬化性コーティング組成物は、より優れた耐光性、密着性、耐候性を有するので、例えば鉄道車両、自動車、自動販売機等の表面に貼付して用いられるマーキング用フィルムの表面保護、光沢向上、変退色・劣化防止等を目的としたオーバーレイフィルムや、車両や住宅のプラスチック製ウインドウや外装看板の表面保護用フィルム、液晶ディスプレイ反射用シート、太陽電池用バックシート等として、主として精密部品の保護や変退色防止の目的で用いられる高耐候性フィルム・シートを提供出来る。

Claims (8)

  1. 水酸基を含有する樹脂と、ポリイソシアネート化合物と、無機充填物を含有する硬化性表面コーティング組成物であって、前記無機充填物、アスペクト比が5〜50であり、チタン酸カリウムウィスカ、ウォラストナイトウィスカ、針状酸化チタンから選ばれる1種以上からなる針状無機充填物であることを特徴とする硬化性表面コーティング組成物。
  2. 前記水酸基を含有する樹脂が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、及び、フッ素系樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂である請求項1記載の硬化性表面コーティング組成物。
  3. 無機充填物として、前記針状無機充填物以外の無機充填物を含有する請求項1又は2に記載の硬化性表面コーティング組成物。
  4. 前記針状無機充填物以外の無機充填物100重量部に対して、前記針状無機充填物を5〜100重量部配合されている請求項3記載の硬化性表面コーティング組成物。
  5. 更に、酸化防止剤及び/または光安定剤を含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の硬化性表面コーティング組成物。
  6. 更にポリカーボネート樹脂及び/又はカルボジイミド化合物を含有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の硬化性表面コーティング組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の硬化性表面コーティング組成物の硬化皮膜がポリエステル樹脂フィルム上に積層された積層ポリエステル樹脂フィルム。
  8. 請求項7記載の積層ポリエステル樹脂フィルムを含む太陽電池バックシート。
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