JP3596904B2 - Fo−2295−i物質、fo−2295−ii物質および/またはfo−2295−iii 物質並びにその製造法 - Google Patents

Fo−2295−i物質、fo−2295−ii物質および/またはfo−2295−iii 物質並びにその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、養鶏産業上、重要な疾病であるコクシジウム症に対する治療薬および予防薬として有用なFO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質並びにその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、抗コクシジウム剤としては、サルファ剤、キノリン剤、抗チアミン剤、抗生物質等が実用化されており、最近では、ポリエーテル系抗生物質、例えば、モネンシン、サリノマイシン、ラサロシド等が広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの薬剤に耐性のコクシジウムが出現し、その効果が弱まっており、これに代わる抗コクシジウム剤が要望されている。
従って、本発明の目的は、上記の観点から、薬剤非耐性のコクシジウムは勿論、とくにポリエーテル系化合物に対して耐性を獲得したコクシジウムに対して有効な薬剤を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
一般に薬剤の交叉耐性は、作用する物質の構造の類似あるいは作用機序の類似する場合に成立し、従来の抗コクシジウム剤と構造的に、あるいは、作用機序が相違する化合物は、コクシジウム症の治療剤あるいは予防剤として有用である。そこで、本発明者らは、従来の薬剤に耐性を獲得したコクシジウム原虫に対しても有効な新規薬剤を自然界から見出すべく種々の研究を続け、モネンシン耐性のコクシジウム原虫を試験生物として、微生物の生産する代謝産物の中から探索した結果、新たに鹿児島県種子島の池の水から分離したFO−2295菌株の培養液中にコクシジウムに有効な物質が産生されることを見出した。
【0005】
次いで、該培養物から抗コクシジウム活性物質を分離、精製した結果、後記の物理化学的性質を有するFO−2295−I、FO−2295−IIおよび/またはFO−2295−III 物質(以下、総称してFO−2295物質と呼称こともある)は、従来全く知られていない物質であることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成されたものであって、後記の物理化学的性状を有するFO−2295−I物質、FO−2295−II物質およびFO−2295−III 物質からなる群より選ばれたFO−2295物質またはその薬学的に許容し得る塩を提供するものである。
【0006】
更に、本発明は、ペニシリウム属に属し、FO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295III 物質を生産する能力を有する微生物を培地に培養せしめ、該培養物中にFO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を蓄積せしめ、該培養物からFO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を採取することを特徴とするFO−2295−I、FO−2295−IIおよび/またはFO−2295−III 物質またはそれらの薬学的に許容し得る塩の製造法を提供するものである。
【0007】
本発明のFO−2295−I物質、FO−2295−II物質およびFO−2295−III 物質の物理化学的性状を述べると次の通りである。
〔1〕FO−2295−I物質
(1)元素分析値:C75.48%、H7.67%
(2)推定分子式:C1822(高分解能マススペクトルによる)
(3)分子量:286(高分解能EIマススペクトルによる測定値は次の通りである)
計算値:286.1568
実測値:286.1568
【0008】
(4)比旋光度:〔α〕 28+38.4°(C=0.5、メタノール中)
(5)紫外線吸収スペクトル:メタノール中で測定した紫外部吸収スペクトルは図1に示す通りであり、203、226、285nm付近に特徴的な吸収極大を示す
(6)赤外線吸収スペクトル:KBr法で測定した赤外線吸収スペクトルは図2に示す通りであり、2918、1680、1639、1444、1272、1000cm−1に吸収帯を有する
(7)呈色反応:硫酸反応、リンモリブデン酸反応は陽性、ニンヒドリン反応は陰性
【0009】
(8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、酢酸エチルエステル、クロロホルムに可溶、水に不溶
(9)塩基性、酸性、中性の区別:酸性
(10) 物質性状:白黄色粉体
【0010】
(11) 核磁気共鳴スペクトル:バリアンXL−400、400MHz、NMRスペクトロメータを用いて重クロロホルム溶液中で測定したH−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルは、それぞれ図3及び図4に示す通りである。また、水素および炭素の化学シフトは下記表1に示す通りである。
【0011】
【表1】
Figure 0003596904
【0012】
〔2〕FO−2295−II物質
(1)元素分析値:C75.50%、H7.71%
(2)推定分子式:C1822(高分解能マススペクトルによる)
(3)分子量:286(高分解能EIマススペクトルによる測定値は次の通りである。
計算値:286.1568
実測値:286.1576
【0013】
(4)比旋光度:〔α〕 28+74°(C=0.1、メタノール中)
(5)紫外線吸収スペクトル:メタノール中で測定した紫外部吸収スペクトルは図5に示す通りであり、204、226、282nm付近に特徴的な吸収極大を示す
(6)赤外線吸収スペクトル:KBr法で測定した赤外部吸収スペクトルは図6に示す通りであり、2918、1675、1633、1509、1053cm−1に吸収帯を有する
(7)呈色反応:硫酸反応、リンモリブデン酸反応は陽性、ニンヒドリン反応は陰性
【0014】
(8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、酢酸エチルエステル、クロロホルムに可溶、水に不溶
(9)塩基性、酸性、中性の区別:酸性
(10)物質性状:白黄色粉体
(11)核磁気共鳴スペクトル:バリアンXL−400、400MHz、NMRスペクトロメータを用いて重クロロホルム溶液中で測定したH−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルは、各々図7および図8に示す通りである。また、水素および炭素の化学シフトは表2に示す通りである。
【0015】
【表2】
Figure 0003596904
【0016】
〔3〕FO−2295−III 物質
(1)元素分析値:C68.02%、H7.18%
(2)推定分子式:C1114(高分解能マススペクトルによる)
(3)分子量:194(高分解能EIマススペクトルによる測定値は次の通りである)
計算値:194.0943
実測値:194.0930
【0017】
(4)比旋光度:〔α〕 28−12.0°(C=0.1、メタノール中)
(5)紫外部吸収スペクトル:メタノール中で測定した紫外線吸収スペクトルは図9に示す通りであり、210、282nm付近に特徴的な吸収極大を示す
(6)赤外部吸収スペクトル:KBr法で測定した赤外線吸収スペクトルは図10に示す通りであり、1606、1498、1447、1380、1314、1258cm−1に吸収帯を有する。
(7)呈色反応:硫酸反応、リンモリブデン酸反応は陽性、ニンヒドリン反応は陰性
【0018】
(8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、酢酸エチルエステル、ジメチルスルホキシド、クロロホルムに可溶、ヘキサン、水に不溶
(9)塩基性、酸性、中性の区別:中性
(10)物質性状:白黄色粉体
(11)核磁気共鳴スペクトル:バリアンXL−400、400MHz、NMRスペクトロメータを用いて重クロロホルム溶液中で測定したH−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルは、それぞれ図10および図11に示す通りである。また、水素および炭素の化学シフトは下記表3に示す通りである。
【0019】
【表3】
Figure 0003596904
【0020】
本発明で使用される上記のFO−2295−I物質、FO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を生産する微生物(以下、FO−2295物質生産菌と称する)は、ペニシリウム属に属するが、その中で例えば本発明者らが鹿児島県種子島の池の水より分離したペニシリウム属に属するペニシリウム エスピー(Penicillium sp.)FO−2295菌株は、本発明の最も有効に使用される菌株の一例であって、本菌株の菌学的性状を示すと次のとおりである。
【0021】
I.形態的性質
本菌株は、バレイショ・ブドウ糖寒天培地、麦芽汁寒天培地、コーンミール寒天培地などで比較的良好に生育し、分生子の着生も良好でる。バレイショ・ブドウ糖寒天培地に生育したコロニーを顕微鏡で観察すると菌糸は透明で隔壁を有しており、分生子柄は基底菌糸より直生している。
【0022】
ペニシラスは単輪生で、分生子柄がしばしば2〜3に分岐している。梗子はペン先型で3〜6個群生し、大きさは7.5〜10.0×2〜3μmである。始めはフイアロ型分生子が梗子の頂端に一個着生し、培養時間の経過とともに連鎖状となり、最終的にはこの連鎖は170μm前後に達する。分生子は球形〜亜球形で大きさは2〜2.5μmであり、その表面は平滑からわずかに粗面である。
2.培養性状
各種培地上で25℃、14日間培養した場合の肉眼的観察結果を表4に示す。なお、各培地において、菌の生育に伴う分泌液および菌核の形成は観察されなかた。
【0023】
【表4】
Figure 0003596904
Figure 0003596904
【0024】
3.生理的、生態的性状
1)最適生育条件
本菌株の最適生育条件はYpSs培地においてpH5〜10、温度15〜29℃である。
2)生育の範囲
本菌株の生育範囲はYpSs培地においてpH2〜10、温度10〜31℃である。
3)好気性、嫌気性の区別:好気性
【0025】
以上の形態的観察および培養性状の結果から本菌株がペニシリウム属に属することが明らかであった。本菌株はペニシリウム エスピー.FO−2295(Penicillium sp.FO−2295)として、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている(FERM P−13400)。寄託日は平成5年2月1日である。
【0026】
以上、FO−2295物質生産菌について説明したが、菌の一般的性状としての菌学上の性状は極めて変異し易く、一定したものではなく、自然的にあるいは通常行われる紫外線照射または変異誘導体、例えばN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、エチルメタンスルホネートなどを用いる人工的変異手段により変異することは周知の事実であり、このような人工的変異株は勿論、自然変異株も含め、ペニシリウム属に属し、FO−2295−I物質、FO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を生産する能力を有する菌株はすべて本発明に使用することができる。また、細胞融合、遺伝子操作などの細胞工学的に変異させた菌株もFO−2295物質生産菌として包含される。
【0027】
本発明においては、先ず、ペニシリウム属に属するFO−2295物質生産菌が培地に培養される。本菌の培養においては、通常真菌類の培養法が一般に用いられる。培地としては、微生物が同化し得る炭素源、資化し得る窒素源、さらには必要に応じて無機塩類などを含有させた栄養培地が使用される。同化し得る炭素源としては、例えばブドウ糖、ショ糖、糖密、デキストリン、澱粉、セルロースなどが単独または組み合わせて用いられる。
【0028】
資化し得る窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等の各種無機酸あるいは有機酸のアンモニウム塩類、尿素、ペプトン、NZ−アミン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、フイッシュミールあるいはその消化物、大豆粉あるいはその消化物、脱脂大豆あるいはその消化物、加水分解物などの含窒素有機物質、さらには、グリシン、グルタミン酸、アラニン等の各種アミノ酸が使用可能である。
【0029】
無機物としては、例えば各種リン酸塩、硫酸塩、食塩、さらには微量の重金属塩が添加される。また、栄養要求性を示す変異株を用いる場合には、当然その栄養要求性を満足させる物質を培地に加えなければならないが、この種の栄養素は、天然物を含む培地を使用する場合は、とくに添加を必要としない場合がある。
【0030】
培養は通常振とうまたは通気攪拌培養などの好気的条件下で行うのがよい。工業的には深部通気攪拌培養が好ましい。培養のpHはたとえば5〜8であるが、中性付近で培養を行うのが好ましい。培養温度は10〜30℃で行い得るが、通常は15〜29℃(好ましくは27℃付近)に保つのがよい。培養時間は液体の場合、通常3〜6日間培養を行うと、本発明のFO−2295−I物質、FO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質が蓄積されるので、培養中の蓄積量が最大に達した時に、培養を終了すればよい。
【0031】
これらの培地組成、培地の液性、培養温度、攪拌速度、通気量などの培養条件は使用する菌株の種類や外部の条件などに応じて好ましい結果が得られるように適宜調節、選択されることはいうまでもない。液体培養において、発泡があるときは、シリコン油、食物油、界面活性剤などの消泡剤を適宜使用できる。
【0032】
このようにして得られた培養物に蓄積される本発明のFO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質は菌体内および培養濾液中に含有されるので、培養物を遠心分離して培養濾液と菌体に分離し、各々から本発明のFO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を採取するのが有利である。
【0033】
FO−2295−I物質、FO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を採取するには、通常微生物の培養物から代謝物を採取するのに用いられる手段が単独あるいは任意の順序に組み合わせて、または反復して用いられる。すなわち、例えば抽出濾過、遠心分離、透析、濃縮、乾燥、凍結、吸着、脱着、各種溶媒に対する溶解度の差を利用する例えば沈澱、結晶化、再結晶、転溶、向流分配法、クロマトグラフイー等の手段が用いられる。
【0034】
培養液からFO−2295−I物質、FO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を採取するには、培養液を酢酸エチル等の非親水性有機溶媒で抽出するか、あるいは培養濾液あるいは菌体抽出液を活性炭、アルミナ、多孔性合成高分子樹脂、イオン交換樹脂等に吸着させ、メタノール等の溶出溶媒で溶出し、得られた溶出液を減圧濃縮後、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出すればよい。
【0035】
得られた粗物質は、さらに脂溶性物質の精製において通常用いられる公知の方法、例えばシリカゲル、アルミナ等の担体を用いるカラムクロマトグラフイーあるいはODS担体を用いる逆相クロマトグラフイー、さらに高速液体クロマトグラフイー等の方法により精製することができる。
【0036】
このようにして得られたFO−2295−I物質、FO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質は中性物質であり、水に難溶であるが、公知の方法により塩基との塩に変換することができる。また、本発明のFO−2295物質の薬学的に許容し得る塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩等の塩を常法により製造することができる。
【0037】
次に本発明のFO−2292−I物質、FO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質の鶏に対する抗コクシジウム活性について述べる。
鶏コクシジウム生育阻害活性
モネンシンに耐性の鶏コクシジウム、エイメリア・テネラのオーシストを用い、宿主であるハムスター腎由来細胞(BHK−21細胞)上での生育阻害活性を、大永らの方法(大永、石井:日本獣医師会雑誌、31、592−596(1978))に準じて測定した。
【0038】
本発明のFO−2295−I物質、FO−2295−II物質およびFO−2295−III 物質の鶏コクシジウムに対する生育阻害作用濃度は、各々10μg/ml、2.0μg/mlおよび0.1μg/mlであった。FO−2295−I物質、FO−2295−II物質およびFO−2295III 物質は40μg/mlの濃度で細胞毒性が認められたが、本物質はいずれも宿主であるハムスター腎由来細胞(BHK−21細胞)に対してエイメリア・テネラの生育阻害活性を示す濃度において細胞毒性は認められなかつた。
【0039】
一方、既知鶏コクシジウム生育阻害剤モネンシンについても同様の投与実験を行った。その結果、モネンシンでは、コクシジウム生育阻害活性は認められず、0.03μg/ml投与で主細胞に対する細胞毒性が認められた。本発明のFO−2295−I物質、FO−2295−II物質およびFO−2295−III 物質は、既知鶏コクシジウム生育阻害剤モネンシンに比較して低毒性であるということができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明のFO−2295−I物質、FO−2295−II物質およびFO−2295−III 物質は、ポリエーテル系抗生物質モネンシンに耐性のコクシジウム原虫の生育阻害活性を有することから、コクシジウム病の寛解に導くことが可能となる。また、公知の抗コクシジウム剤の薬物の効果を著しく持続せしめ併用剤として用いることもできる。
【0041】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
実施例 1
500ml容三角フラスコに、グルコース2.0%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.2%、硫酸マグネシウム7水塩0.05%、リン酸2水素カリウム0.1%、寒天0.1%を含む液体培地(PH6.0)100mlを分注し、121℃で20分間蒸気滅菌した。これに寒天斜面培地上に生育させたペニシリウム エスピー.FO−2295株(FERM P−13400)の菌体を白金耳にて無菌的に接種し、27℃、2日間培養して種培養液を得た。
【0042】
次いでスクロース2.0%、グルコース1.0%、コーンスターチリカー1.0%、肉エキス0.5%、KHPO0.1%、硫酸マグネシウム7水塩0.05%、炭酸カルシウム0.3%、寒天0.1%及び微量金属塩類たとえば鉄、亜鉛、マンガン、銅、コバルトを含む液体培地(pH6.0)を作成し、500ml容三角フラスコ38本に100mlづつ分注した後、121℃、20分間蒸気滅菌した。これに上記の種培養液1%容接種し、27℃、4日間振とう培養した。
【0043】
この培養液3.8Lを遠心分離して菌体と上清に分け、上清部分に等量の酢酸エチルを加え良く攪拌した後、遠心分離して酢酸エチル層を分離した。この酢酸エチル抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮乾固して粗抽出物859mgを得た。この粗抽出物を逆相(ODS)系の高速液体クロマトグラフイー(展開溶媒:30%アセトニトリル・0.05%リン酸〜80%アセトニトリル・0.05%リン酸)により、分離精製し、FO−2295−I物質9.4mg、FO−2295−II物質1.9mgおよびFO−2295−III 物質0.8mgをそれぞれ得た。
【0044】
実施例 2
FO−2295−I物質、FO−2295−II物質及びFO−2295−III 物質の鶏コクシジウム生育阻害活性:
モネンシンに耐性の鶏コクシジウム、エイメリア・テネラのオーシストを用い、宿主であるハムスター腎由来細胞(BHK−21細胞)上での生育阻害作用を、大永らの方法(大永、石井:日本獣医医師会雑誌、31、592−596(1978)に準じて測定した。その結果を表5に示す。
【0045】
【表5】
Figure 0003596904
【0046】
本発明のFO−2295−I物質、FO−2295−II物質およびFO−2295−III 物質の鶏コクシジウムに対する生育阻害作用濃度は、各々10μg/ml、2.0μg/mlおよび0.1μg/mlであった。なお、本物質はいずれも宿主であるハムスター腎由来細胞(BHK−21細胞)に対しては、エイメリア・テネラの生育阻害活性を示す濃度において細胞毒性は認められなかった。一方、既知鶏コクシジウム生育阻害剤モネンシンについても同様の投与実験を行った。その結果、モネンシンでは、コクシジウム生育阻害活性は認められず、0.03μg/ml投与で宿主細胞に毒性が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】FO−2295−I物質の紫外線吸収スペクトルである(メタノール溶液として測定)。
【図2】FO−2295−I物質の赤外線吸収スペクトルである(KBr法)。
【図3】FO−2295−I物質のプロトン核磁気共鳴スペクトルである(重クロロホルム溶液)。
【図4】FO−2295−I物質の13C核磁気共鳴スペクトルである(重クロロホルム溶液)。
【図5】FO−2295−II物質の紫外線吸収スペクトルである(メタノール溶液として測定)。
【図6】FO−2295−II物質の赤外線吸収スペクトルである(KBr法)。
【図7】FO−2295−II物質のプロトン核磁気共鳴スペクトルである(重クロロホルム溶液)。
【図8】FO−2295−II物質の13C核磁気共鳴スペクトルである(重クロロホルム溶液)。
【図9】FO−2295−III 物質の紫外線吸収スペクトルである(メタノール溶液として測定)。
【図10】FO−2295−III 物質の赤外線吸収スペクトルである(KBr法)。
【図11】FO−2295−III 物質のH核磁気共鳴スペクトルである(重クロロホルム溶液)。
【図12】FO−2295−III 物質の13C核磁気共鳴スペクトルである(重クロロホルム溶液)。

Claims (5)

  1. 次の理化学的性質を有するFO−2295−I物質およびFO−2295II物質およびFO−2295III 物質からなる群より選ばれたFO−2295物質またはその薬学的に許容し得る塩。
    〔1〕FO−2295−I物質
    (1)元素分析値:C75.48%、H7.67%
    (2)推定分子式:C18223 (高分解能マススペクトルによる)
    (3)分子量 :286
    (4)比旋光度 :〔α〕D 28+38.4°(C=0.5、メタノール中)
    (5)紫外線吸収スペクトル:メタノール中で測定した紫外部吸収スペクトルは、203、226、285nm付近に特徴的な吸収極大を示す
    (6)赤外線吸収スペクトル:KBr法で測定した赤外部吸収スペクトルは、2918、1680、1639、1444、1272、1000cm-1に吸収帯を有する
    (7)呈色反応 :硫酸反応、リンモリブデン酸反応は陽性、ニンヒドリン反応は陰性
    (8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、酢酸エチルエステル、クロロホルムに可溶、水に不溶
    (9)塩基性、酸性、中性の区別:酸性
    (10)物質性状:白黄色粉体
    〔2〕FO−2295−II物質
    (1)元素分析値:C75.50%、H7.71%
    (2)推定分子式:C18223 (高分解能マススペクトルによる)
    (3)分子量 :286
    (4)比旋光度 :〔α〕D 28+74°(C=0.1、メタノール中)
    (5)紫外線吸収スペクトル:メタノール中で測定した紫外部吸収スペクトルは、204、226、282nm付近に特徴的な吸収極大を示す
    (6)赤外線吸収スペクトル:KBr法で測定した赤外部吸収スペクトルは、2918、1675、1633、1509、1053cm-1に吸収帯を有する
    (7)呈色反応 :硫酸反応、リンモリブデン酸反応は陽性、ニンヒドリン反応は陰性
    (8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、酢酸エチルエステル、クロロホルムに可溶、水に不溶
    (9)塩基性、酸性、中性の区別:酸性
    (10)物質性状:白黄色粉体
    〔3〕FO−2295−III 物質
    (1)元素分析:C68.02%、H7.18%
    (2)推定分子式:C11143 (高分解能マススペクトルによる)
    (3)分子量 :194
    (4)比旋光度 :〔α〕D 28−12.0°(C=0.1、メタノール中)
    (5)紫外線吸収スペクトル:メタノール中で測定した紫外部吸収スペクトルは、210、282nm付近に特徴的な吸収極大を示す
    (6)赤外線吸収スペクトル:KBr法で測定した赤外部吸収スペクトルは、1606、1498、1447、1380、1314、1258cm-1に吸収帯を有する
    (7)呈色反応 :硫酸反応、リンモリブデン酸反応は陽性、ニンヒドリン反応は陰性
    (8)溶媒に対する溶解性:メタノール、エタノール、酢酸エチルエステル、ジメチルスルホキシド、クロロホルムに可溶、ヘキサン、水に不溶
    (9)塩基性、酸性、中性の区別:中性
    (10)物質性状:白黄色粉体
  2. ペニシリウム属に属し、請求項1に記載されるFO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を生産する能力を有する微生物を培地に培養して培養物中にFO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を蓄積せしめ、該培養物からFO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を採取することを特徴とするFO−2295−I物質、FO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質並びにそれらの薬学的に許容し得る塩の製造法。
  3. ペニシリウム属に属し、FO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を生産する能力を有する微生物がペニシリウム エスピー.FO−2295(Penicillium sp.FO−2295(FERM P−13400))である請求項2記載の製造法。
  4. ペニシリウム属に属し、請求項1に記載されるFO−2295−I物質および/またはFO−2295−II物質および/またはFO−2295−III 物質を生産する能力を有する微生物。
  5. 請求項4に記載の微生物がペニシリウム エスピー.FO−2295(Prnicillium sp.FO−2295(FERM P−13400))。
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